定例記者会見録 2003年8月
8月27日
○埼玉知事選:上田さんらしいいい演説、だが楽観はしていない
○6カ国協議:中国と会談をできない状況をつくっている総理の責任は重い
○10月解散・11月総選挙という想定を今変える必要はない
○上田さんを応援しているのは、それが埼玉県民にとって最も望ましいから
○RDF事故:発電一般についてはコメントしないが、事故処理には問題あった
○社民党は自らの勢力維持が目的なのか政権交代が目的なのか明確にすべき
○自由党との選挙調整:軽々にコメントしないが週末にはある程度結論を出したい
埼玉県知事選挙
【幹事長】まず、埼玉県知事選挙についてですが、今朝、私としては初めて埼玉に入りまして、上田候補と一緒に朝の街頭演説をしてきました。
上田さんの話は、上田さんらしい道路公団とか官僚の天下りの問題とか、そういった官に対する怒り、そして税金の無駄遣いに対して、自分の信念を蕩々と述べられて、そして埼玉においても知事としてそういったことをきちんとやっていきたいという決意を述べられたと思います。
あれだけの事件のあったあとの知事選挙ですから、まさしく上田清司さんが知事になって、そういった県民の立場からの改革、そしてそういった税金の無駄遣いに鋭いメスを入れて直していくということは非常に意義深いことだと思います。
私も演説の中で、「上田さんとはもう10年間、政治家としての行動をともにしてきましたが、上田さんの正義感、そして今まで国会で一貫して税金の無駄遣い、官のいろいろな問題を指摘・追及してきたこと、そういったことが埼玉県においてもしっかり行われて、日本で一番情報公開度の高い、そして本当の意味で、県民の立場に立った県政が実現するチャンスである」というような趣旨のことを述べてきました。
マスコミの見通しは必ずしも悪くありません。しかし、多くの人がまだ誰に投票するか決めていないという状況を見るときに、私は全く楽観していません。これから、最終日には菅代表にも入っていただく予定ですし、私も金曜日にもう一度入って、少しでも役に立てればと考えています。
北朝鮮問題6カ国協議
【幹事長】次に、北朝鮮問題についてですが、6カ国協議が始まりました。私もまだあまり具体的にどういう議論が行われたのか承知していませんが、非常に重要な機会であると思います。
とにかく、北朝鮮に対して、拉致の問題、核の問題、そういったものをきちんと解決して、周辺の国々との信頼関係を築き、あるいは経済面でそういった国々の協力を仰ぎながら、経済的に国を開いていくということしか北朝鮮の生き残る道はない、今の体制が残る道はないんだということをしっかり理解させることが最も重要なことで、日本政府としてもしっかり努力をしていただきたいと思います。
しかし、それにつけても非常に重要なプレーヤーは中国です。その中国とトップ会談が自由に開けない状況をつくり出している小泉総理の靖国参拝、あるいは中国との信頼関係をきちんと築き得ていない総理のこれまでの2年半、やはりそういったことが日本の安全、北朝鮮との関係はまさしく日本の安全でもありますから、そういった問題に直結してきていると。
小泉総理のあの調子の良さ、国民の人気を得るような迎合的ないろんな姿勢、しかし結果的にはそれが国民の生命を危うくすることにつながっているということは指摘しておきたいと思います。
もし、総理が中国との間にもう少ししっかりした信頼関係を築けていれば、北朝鮮の問題も別の展開があったかもしれません。そういったことがあまり表には出てきませんが、しっかり認識をしておく必要があると思います。
総選挙の準備態勢
【幹事長】それから、総選挙が10月解散だと言われています。いろいろ議論はあるようですが、私は基本的にその日程を今、変える必要はないと思っています。10月解散・11月選挙という前提で、それに向けて諸般の準備を今進めているところです。
特に、今私がかなり時間を割いているのは、1つは選挙の具体的な戦い方についてのスケジュールをどういうふうに作っていくかということであり、同時に自由党との合併の諸般の手続きを進めるというのが、私の幹事長としての最も重要な仕事であると考えて、今そういった問題に取り組んでいるところです。
国会議員がなかなか、皆さん当然のことながら地元に帰っておられますので、やや事務の進み方がいかがなものかなという感じもしますが、もちろん私も地元に帰ったりしていますのであまり言えませんが、ここは9月いっぱい非常に重要な時期で、合併の問題についても選挙の問題についても、この1カ月を最大限活かし切っていい形で合併そして総選挙とつなげていきたいと考えています。
<質疑応答>
埼玉県知事選の国政への影響、RDF発電所事故
【記者】埼玉県知事選についてですが、総選挙に向けての影響なり、どういうふうにつなげていきたいかというのがまず1点お聞かせ願いたいのと、もう1つは国政とは違うんですが、先日三重県のRDF(ごみ固形燃料)発電所の事故がありましたが、RDFについてはいろいろ、税制の問題とか、あるいはそもそもゴミを減らすという視点からどうかという指摘もありますが、民主党としてRDFについて今後どのように考えておられるのか教えてください。
【幹事長】まずは埼玉県知事選の国政への影響というご主旨のご質問ですが、私は埼玉の知事選は知事選でしっかり取り組んでいかなければいけないと思うんです。それが国政に対して結果的に、例えば上田さんが勝てば民主党にとっていい影響を及ぼすということは事実だと思いますが、だから我々は上田さんを応援しているわけではありません。
埼玉にとって上田知事が誕生することは最も望ましい、そういった信念・確信に基づいてやっていることで、当選したらどういう結果が出るという議論をするのは早すぎると思います。
ただ、もちろん上田さんは民主党でずっとおられた方ですし、上田さんが現に知事選挙で主張されていることは民主党がかねがね主張していることと重なり合いますので、そういう意味では上田さんが当選することになれば、それは民主党の主張が県民の皆さんから受け入れられたと、結果的にはそういうことを意味することになると思います。
RDFの問題についてですが、私も先般地元に戻った折に現地に行きまして、総務省からも参事官が現地に派遣され、そして県の出納長も現地の本部長代理としておられましたので話を聞いてきました。
いろいろな問題があると感じました。その場では私は、現地は現地としてまず火を消し止めること、そしてダイオキシンなどが周辺に撒き散らされないことが最大の課題ですので、そこに専念してもらいたいと思いましたので、あまりその場では申し上げませんでしたが、いろんな問題があると感じました。それはこれから県庁の中で、あるいは県議会の中で大いに議論をする必要があると思っています。
一例を挙げれば、桑名市の消防署員の皆さんが貯蔵庫の上に乗ってホースで水を注入して消していたところ、それが200メートル飛んでお2人が亡くなっているわけですが、なぜそういうことになったのか。四日市市や名古屋市にはコンビナート用の梯子車があって、別に上に乗らなくても放水は可能だったわけですから、どうして県が近隣の市町村に早く協力を求められなかったのか。そういったことは返す返すも残念だし、かなり反省を要する問題だと思います。
RDFそのものの問題については、今回の事件がRDF発電そのものの問題なのか、それとも三重県の今回の事件を起こした発電所固有の問題なのか、そのこともきちんと検証する必要があると思いますので、RDF一般について今、私がこの場で述べることは特にありません。
社民党との選挙協力
【記者】社民党との選挙協力についてですが、選挙協力を今進めていると言いながら、社民党側がすでに民主党の候補者が立っているところにも候補者を擁立してきています。こういう社民党の候補者擁立の姿勢についてどのように考えておられるのか、それから今後どういうふうに進めていかれるお考えなのかお聞かせください。
【幹事長】いろいろ仕掛品もありますので、今、社民党が民主党や自由党の候補者がいるところに立ててきていること全てを批判するわけではありません。現に、都道府県ごとのギブ・アンド・テイクの原則で、かなりの整理ができつつあるわけですから、そのことは評価すべきだと思います。
ただ、一方でそういった形でやりながら、そうでない都道府県について新たに候補者を「どんどん」立ててくるということになりますと、これはやはり我々から見ると問題だということになります。
つまり、社民党さんには本当に今度の選挙で政権交代を成し遂げて、我々と連立を組んで菅総理の下でこの国を改革していくおつもりがあるのか、それとも自分たちの勢力を維持していくことが目的なのか。そこはやはり明確にしていただく必要があるのではないかと。
私たちは当然、自分たちの勢力を維持することも政党ですからもちろん重要ですが、何より大きな国民に向かっての政党がなすべきこと、それは政権交代を成し遂げることだと思いますので、そこできちっと党を集約していただきたいなという希望は持っています。
自由党との競合選挙区調査
【記者】自由党との競合選挙区の調整の関係でお伺いたいんですが、まず世論調査結果の報告を幹事長は受けられたのか、あるいはその結果について対応を党内あるいは幹部間で協議をされたのか、あともう1点、31日に調査結果に基づいて候補者全てを発表できる目途はどの程度なのか、その3点についてお伺いしたいんですが。
【幹事長】この調査のプロセスについて私から申し上げることはあまりありません。別に隠すわけではありませんが、しかし途中でいろいろなことが漏れたりすると、やはり候補者にとっては自らの政治生命をかけて数年間、あるいはそれ以上必死にやってきたその結果がかかっている話なんですね。
そういったことをあまり途中の段階で軽々にコメントすべきではないと私は考えていますし、関係者にも同じようにこの問題では軽々にコメントしないようにということを幹事長として求めています。従って、私から言うことは特にありません。
ただ、前から申し上げているように、月内になるべく結論を出したいと。31日の合併準備委員会の場である程度結論を出したいということを申し上げていますので、そこは変わっていません。全てかどうかは分かりません。しかし、12小選挙区の中のある程度の部分については結論を出したいと考えています。
しかし、最終的に決まるのは常任幹事会の決定ですから、翌週の火曜日ということになります。そこまではなかなか表に出せないかもしれませんが、調査結果がかなり明確なものについては早く結論を出していったらいいと。
そうでないようなものが出てきたような場合に、見方によって微妙な評価が分かれるようなものはどうするかということは、もう少し時間をかける必要があるかもしれません。
8月20日
○国連爆破テロ:国連の復興支援に支障が出ないよう政府はサポートすべき
○民由合併:本日は地方組織の方向性を決定、合併作業は順調に進んでいる
○自民党総裁選は日本国総理大臣を選ぶ選挙というには程遠い現状
○フィクションに基づいてイラクに自衛隊を派遣しようとしている政府の責任は重い
○米英軍ではなく国連を全面に出してイラク国民の支持を得ていくしかない
○イラク問題を戦争という手段で解決してきた1つの結果が今回の事件
バグダッド国連事務所爆破テロ
【幹事長】まず、イラク・バグダッドの国連事務所への爆弾テロにつきまして、お亡くなりになった皆さん、あるいは怪我をされた皆さんに対し、心から哀悼の意を表したいと思います。
デメロ特別代表始めイラクの復興のために頑張ってこられた皆さんに対して、このような卑劣なテロが行われたことに大きな怒りをもって抗議をしたいと思いますし、同時に今回のテロによって、国連を中心としたイラクの復興支援活動が影響を受けることのないように、そして日本政府としても国連をしっかりサポートして、イラク国民のための復興支援活動に支障が出ないように全力で支援すべきだと考えています。
国連がイラクの復興にしっかりと関与していくこと、そしてその下でイラク国民の手によって政府が樹立されていくという道筋に水を差すような今回のテロは極めて残念なことだと思います。影響を受けないで敢然として、イラク復興に向けて努力が必要だと考えています。
自由党との合併問題
【幹事長】次に、自由党との合併問題ですが、今日も合併準備委員会を開催しました。今日は地方組織の問題を中心に方向性を決めたわけですが、現在までのところ、合併に向けたいろいろな段取りは順調に進んでいると考えています。
最終的な合併の期日まで、あと1ヵ月プラスアルファぐらいになってきましたので、しっかりとした対応をしていきたいと考えています。
自民党総裁選
【幹事長】それから、自民党総裁選挙がいよいよあと1ヵ月ということになってきました。まだ、どういう構図になるのか分かりませんが、いずれにしても最大政党の総裁を決める選挙ですから、国民に分かりやすい形で、政策論議も含めて、議論をしてもらいたいと思います。
今のところ、我々の目に見えているのは派閥間の合従連衡といいますか、権力闘争そのものでありまして、少なくとも今の時点でいえば、自民党総裁は日本国総理大臣ですから、日本国総理大臣を選ぶための選挙というには程遠い現状ではないかと考えています。
これはいつものことですが、しっかりとこの国のリーダーを選ぶという責任感を持って、リーダー選びに努めていただきたいと考えています。
<質疑応答>
京都4区の候補者への応援
【記者】22日に幹事長は京都4区の民主党新人候補者の応援に入ると聞いていますが、京都4区は(自由党との候補者調整のための)世論調査の対象になっていると思いますが、まだ結果が出ていない段階で片方の民主党の候補者を応援するというのは少し公平性に欠けるようにも思えるんですが、その辺りを幹事長はどのように整理して今回応援に行かれるんでしょうか。
【幹事長】この件は選挙対策委員会を通じて自由党とも相談をしていると思いますが、現時点では自由党の候補者・豊田さんと民主党の候補者・北神さんと2人いるわけで、私は民主党の幹事長として北神さんの応援に行くということです。
敵はもちろん野中さんですから、そういう意味で何か問題があるとは認識していません。
政権交代に向けての自民党総裁選の位置付け
【記者】自民党総裁選の件ですが、民主党が次期衆院選での政権交代に向けての戦略の中に、自民党の今回の総裁選はどのように位置付けていらっしゃるんでしょうか。
【幹事長】まともにお答えすべき話かどうかというのはありますが、少なくともこの総裁選を通じて国民の皆さんにはより小泉総理の実態というのがよく見えるきっかけにはなると思いますね。
自民党の中でもこれだけの批判が出るということであれば、それはもちろん権力闘争としての側面はあるにしても一面の真理はあるわけで、そういったことを国民の皆さんが見る中で1つの評価の基準になるのではないでしょうか。
亀井静香議員へのヤミ金業者の献金
【記者】総裁選に絡んでなんですが、自民党の亀井静香衆議院議員がヤミ金関係者から献金をもらっていたという報道があり、また事務所もそれを認めていますが、それについてどのように見ていらっしゃいますか。
【幹事長】そのこと自身は非常に問題だと考えますが、こういうときにどう答えるべきかというのはなかなか難しい問題です。
全ての献金について事前にチェックをするのは限界があることも事実ですから、表に出ていることだけで済むのであれば、それは問題ですが、そのことを私の立場であげつらって強く批判をしようという気には私自身はなれません。擁護するわけではもちろんありませんが。
しかし、問題は表に出ていることだけなのかどうかということだと思います。確たる証拠は何もありませんのでそれ以上のことは申し上げられませんが、つながりがそれだけの、確か10万でしたか20万でしたか記憶にありませんが、そういった献金だけだったのか、それとも他にもいろいろな意味でのつながりがあるのかというところが最大の問題で、今の時点ではそれは具体的なことは何もありませんから、それ以上のことは申し上げられません。
バグダッド自爆テロの自衛隊派遣への影響
【記者】冒頭、幹事長が触れられたバグダッドの自爆テロについてですが、これに関連して自衛隊派遣が影響を受けるという見方が強まっていますが、自衛隊派遣に対して民主党が取ってきた立場・見解について、その辺りのご所見をお伺いしたいんですが。
【幹事長】我が党は自衛隊派遣に反対をしたわけですが、まだ戦闘行為が行われているということで、自衛隊派遣ができる状況ではないということを申し上げたわけです。そのことが今回の残念な事件によっても立証されたということですね。
こういう不安定な状況の中で戦闘地域と非戦闘地域が区別可能だというフィクションに立って、自衛隊を送り出すことを決定した政府の責任は重いと思います。
イラク復興支援のために取り組むべきこと
【記者】今のお答えに関連してですが、「ならばどうするか」ということが非常に重要になってくると思いますが、米兵が60名以上死亡して国連にも攻撃が向かったと。国連安保理も協議を再開するようですが、幹事長として今後政府の国際社会の中での取組みについてどのような手があると思いますか。
【幹事長】私はやはり国連をもっと前面に出してイラクの国民の支持を勝ち得ていくしかないと思います。
今回のテロはイラク国民の支持を得る行為だとは私は決して思いません。しかし、占領軍の形で米英軍が駐留していると、その存在感が非常に大きいということがイラク国民のいろんな意味での反発を招いていることは事実ですので、早い機会に国連主体に切り換えていくということがイラク国民の理解を得るためには重要なことだと思います。そして、イラク国民の支持があれば、こういったテロ活動にも自ずと制限が加わると考えています。
もう少し言えば、力で、戦争という行為を通じてこのイラクの大量破壊兵器の問題、あるいはそれすら疑わしいわけですが、そういった解決をしてきたことの1つの結果が今回の事件であると言えると思います。
新決議が出た場合の自衛隊派遣へのスタンス
【記者】仮定になりますが、もし国連安保理で新たな決議等が出た場合、自衛隊派遣に反対だという民主党のスタンスが変わる可能性というのはありますか。
【幹事長】どういう意味ですか。
【記者】例えば、PKOの派遣とか国連主導で軍隊というか、兵力を派遣して安定化させるというような決議が出た場合、国連主導のイラク復興・統治というような話になったときに、これまでのイラク復興支援法案の枠組みで考えてきた民主党のスタンスが変わる可能性はあるのでしょうか。
【幹事長】まずPKO活動が成立するためには、イラク国民の手によって政府が樹立されないとPKO法あるいは国連PKO活動の枠に乗っからないと思います。従って、それは直ちにという話ではないと思います。
もう1つは、イラク国民の手による政府が樹立される前の段階で、国連が多国籍軍を出して、そして多国籍軍が中心になって今の米英軍に取って代わるということは考えられないわけではありません。
そのときに日本としてどうすべきかということですが、基本的には多国籍軍に日本が参加をして、それが武力行使につながるということであれば憲法の禁ずるところだと思います。
武力行使に当らないということであれば憲法上は可能ですが、そのための立法が要りますね。今回の法律(イラク復興支援特措法)ではそれはできませんから、新たな立法あるいは法律の大幅な修正が必要になってくると思います。
それをすべきかどうかというのは、今の段階ではあまり軽々に言うべきじゃないと思いますので保留にしておきます。
8月6日
○広島平和祈念式典での総理発言は核への危機感や廃絶への思いがない
○民由合併、社民との選挙協力を進めて国民の期待感を高め政権交代を実現
○集中豪雨災害の水俣市視察や新人候補の応援に明日から九州4県を遊説
○選挙後に与党へ移るという最大の公約違反を許してよいか有権者は判断を
○後ろを振り返らず前だけを見て、小沢カードを政権交代のために使いたい
○今回の合併は民主の政策・規約を継承、野合批判は全く当たらない
○女性の支持が男性並みになれば支持率はグンと上がる、しっかり分析したい
第58回広島平和祈念式典
【幹事長】まず、今日、朝の式典も私もテレビを通して拝見しましたが、第58回広島平和祈念式典が開催されました。その式典を見ての私の感想は、小泉総理がいかにもなおざりな言葉を述べられたなということです。
その前の秋葉広島市長のお話は、市長の思いがこもったご発言だったと思いますが、総理は核の不拡散等について文字通り、型通りの発言をさらりとされて、また、被爆者の方々に対する政府の対応を述べられたわけですが、これだけ核の問題が引き続き重要なテーマであるときに、例えばアメリカ政府の中で小型核兵器の議論が出たり、あるいはモラトリアム、核実験の一時停止がどうなるか分からないというような議論があるなかで、何の危機感もない、核兵器廃絶に対する政治家あるいは総理としての思い入れが全く感じられない極めて形式的なご発言だったと、非常に残念な気持ちで聞いていました。
民主党の核政策については、私が政調会長代理だったときにまとめたものがすでにありますが(「民主党核政策」http: //www.dpj.or.jp/seisaku/gaiko/BOX_GK0011.html)、もちろん日本自身は核武装をしないこと、そして同時に核の廃絶に向けてきちんとステップを踏んで進んでいくこと、そのためのイニシアチブを日本が発揮すべきことなどについて、具体的な提言をさせていただいています。
民由合併と政権交代への道
【幹事長】次に、細川政権が成立してから10年が経ちますが、そういうなかで自由党との合併が決まり、そして昨日、社民党の土井党首と菅代表が会って、社民党との選挙協力についても具体的にスタートしました。
今度の選挙、私は10月解散はほぼ間違いないと思っていますが、そういうなかで野党が結集して、少なくとも自由党とは同じ党になるわけですが、プラス、社民党とも選挙協力をしっかりやるなかで、10年ぶりの政権交代を是非実現したいと考えています。
国民の皆さんの期待感もすでに高まっていますし、これからの10月に向けての持っていき方でそれは十分可能になる。今まで小泉総理に替わる者はないというなかで、やむを得ず小泉支持が5割とか6割とか、そういうことだったと思いますが、そういった国民の皆さんの気持ち、期待感に新しい民主党が対応できるように、そして「菅総理」というところに期待が集まるようにしっかりと持っていきたいと考えています。
今日は合併準備委員会も第2回目の開催を予定していまして、それが終わったあとブリーフもしたいと思いますが、前回、特に新人同士のぶつかり合いの選挙区については客観的な手法で候補者を絞るということまでは原則を決めたところですから、その原則に基づいて具体的な調査の手法とか、調査すべき選挙区についてある程度方向性が出せればいいなと思っています。
九州地方遊説
【幹事長】3番目ですが、明日から私自身は九州を回ります。鹿児島、熊本、佐賀、福岡の4県を回ることにしていますが、特に水俣市は集中豪雨で災害に見舞われたわけで、そのあとの状況視察も含めて、主として新人候補者のところを回って活動をしてきたいと考えています。
<質疑応答>
小選挙区制で政権交代が実現しなかった理由
【記者】細川政権誕生10年に関係してお伺いしたいのですが、細川政権のときに小選挙区制の導入が決まり、その後2回の選挙が行われました。当初、小選挙区制というのは政権交代が可能な二大政党制をつくり出すと言われていましたが、過去2回の選挙では自民党から政権交代をなし得ませんでした。この10年を振り返ったときの感想と、なぜ政権交代にならなかったかという分析をお聞かせください。
【幹事長】10年経つわけですが、思い出すのは羽田政権の最後の場面です。不信任案が提出されて、数から言えば、このままでは羽田政権は潰れてしまうという状況の中で、解散するかどうかということを羽田総理がお考えになった時期がありました。
あのときに私は、今の防衛庁長官の石破さんと2人で官邸に行って、深夜だったと思いますが、解散すべきではないというお話を2時間ぐらい羽田総理にさせていただきました。
私の念頭にあったのは、あの段階で解散すると当然のことながら中選挙区制での解散になります。法案は通っていましたが、まだ施行期間に至っていませんでしたので。
解散を中選挙区制でしてしまうと、次に当選してきた人たちは中選挙区で選ばれた人ですから、小選挙区比例代表並立制という新しい選挙制度は日の目を見ないまま、もう一度中選挙区制に戻ってしまうのではないか、そのリスクは極めて高いと判断しました。従って、あの時点での解散は絶対避けるべきだと私は羽田さんに申し上げました。
私の説得がどれくらい効いたかわかりませんが、それから数時間後に羽田さんは解散はしないということを発表されました。
そういう意味で、今の選挙制度に対する私の思い入れ、ちょっとほろ苦いところも含めて、あの時解散していればひょっとしたら当時の連立与党が勝ったのではないかという話もありますから、ほろ苦さも含めながら、しかし私自身が当時主張したことは間違っていなかったと考えています。
2回選挙をやってあまり変わっていないじゃないかというお話ですが、1つはやはり完全小選挙制ではなくて、そこに比例制というものが組み合わさっているためになかなか2つの政党には収斂しない。当然、少数政党の余地を残しているということだと思います。それは良い面悪い面がありますが、国民の選択がきちんと政権選択にダイレクトに結びつかないという意味では、今の制度はやや中途半端だと私は思っています。
できれば小選挙区は300、比例は100程度にしたほうがいいと個人的には考えています。そうすれば、恐らく一党で過半数を取るということももっと可能になるでしょうし、比例区があれば少数政党も少しは残ります。私はそういった形が望ましいのではないかと思っていますが、今の状況の下では単独ではなかなか過半数を取れずに連立という中途半端な形になっているということだと思います。
政権交代がなかったじゃないかということについては、新進党で一度チャレンジし、民主党になってチャレンジしましたが、いずれも自民党には届きませんでした。
しかし、比例区で見れば野党3党で与党3党と同じだけ取っているわけですし、3度目の正直という言葉もありますが、いよいよ今度の3回目の選挙で政権交代というものが現実のものになったと考えています。
新進党のときのチャレンジ、そして前回の民主党での総選挙と比べて、はるかにリアリティが高い。つまり政権交代を起こす可能性が高い状況にまで来ていると感じています。
細川連立政権成立から10年を振り返って
【記者】選挙制度も含めて、細川連立政権10年になりますけれども、振り返ってこの10年の功罪といいますか、先頭に立って岡田さんもやってこられたと思いますが、その総括をしていただけますでしょうか。
【幹事長】自民党に替わる新しい政党ができるためにはある程度の期間は必要ですから、10年かかったことは致し方なかったと思いますが、残念だったのは新進党の解散ですね。これで少し遅れました。しかし今の民主党ができて5年で、ようやくリングに上がって1対1で戦うだけの、そこまで来たという思いはあります。
少し予想外だったのは、政党間移動の話ですね。つまり、野党になった瞬間また与党に行ってしまうということが、ごく日常的に行われた10年だったと思います。
私はそのこと1つひとつについて批判するつもりはありませんが、しかしやはりマニフェストも議論になっていますが、自分がこの党で戦うということを明らかにして選挙に出て、選挙が終わったら当然のように他の党、例えば具体的には自民党に移ってしまうということが、これほど起きるとは予想しませんでした。
もう一言言うと、それを有権者が許しているという現状は、非常に私自身の予想を超えていますし残念だと思います。最も公約に違反した候補者が堂々と政党間移動をして、その次当選するということが現実に起きているわけで、ここは有権者の皆さんもしっかりその候補者を見極めるときの大きな判断基準にしていただきたい。そう簡単に政党を野党から与党に変わるということを許しているのは有権者ですから、それがいいのかどうかということは判断していただきたいと思います。
ついでに1つ申し上げておきますと、今日の某新聞に「政界渡り鳥」ということで、私の名前も出ていましたが、あれはちょっと表現が私は非常に不本意ですね。
「渡り鳥」というのはあっちに行ったりこっちに行ったりするのですが、私自身は自民党を出て10年、自分の意思で政党を変わったことは一度もありません。新生党は合併をして新進党になった。その新進党が解散されたので暫時数週間の政党をつくりましたが、最終的には民主党に合流したということであって、私自身があちこち行ったという認識は全くありませんので、「渡り鳥」という表現は適当ではないと思っています。
小沢一郎評
【記者】お伺いするつもりはなかったのですが、今のお話に関連して新進党の解党や野党から与党にということを言うと、小沢一郎さんが今回合併しますが該当するんじゃないかと思うんですが、そういう点について彼をどう見ていらっしゃいますか。
【幹事長】私が今申し上げたのは、個々の議員として野党議員で当選したのにその政党を辞めて与党に行く、自民党に行くということを申し上げたわけで、自由党が野党でありながら途中で与党の連立に加わったというのは全く性格が違うと思いますね。
私の小沢一郎さんに対する10年間の思いは非常にいろいろありますが、今私が考えているのは後ろを振り返らず前を見て、そして小沢一郎さんという有能な政治家をいかに政権獲得のためのカードとして使っていくか—-。そういう発想だけです。
埼玉県知事選挙
【記者】埼玉の知事選について、上田清司議員が立候補を表明して「友情支援」というなかなか聞き慣れない形の支援をするようですが、こういう結果になった経緯と、先に行われた神奈川県知事選の松沢さんの応援体制とはどんなふうに違うのか。あと全体の知事選の構図ですが、最初に声をかけられた坂東万里子さんがそれを断って無所属で出るということも含めて、その辺りをお聞かせください。
【幹事長】まず、知事選挙は基本的に県連で対応するということが原則です。その上で推薦依頼が本部に上がってきます。私はその原則が非常に大事だと思っていますので、特に県連から本部も含めて候補者擁立に関与してもらいたいという話が来ない限りは、基本的に都道府県連に任せています。例外は都知事のときでしたが、あの時は都連のほうからむしろ本部で決めてもらいたいというお話があって、一緒になって議論をしたという経緯ですね。
今回のことは細川県連代表から適宜ご報告はいただいていましたし、私の意見も時々申し上げましたが、基本的には県連で対応されてきたことで、上田さんが今回こうなったことについて、あるいはその前に少しおっしゃった他の候補に出馬依頼したといったことについて、党本部は関与していません。むしろ県連の責任と範囲の中でやっていただいたと思っています。
それから「友情支援」の意味ですが、友情支援は友情支援です。松沢さんのときと基本的に共通していると思いますよ。濃淡は多少あるかもしれませんが、埼玉県連の議員も一生懸命応援して、私も機会を見て埼玉県に応援に何度か入りたいと思っています。
ただ、上田さんとはまだ相談していませんので、彼自身の考えもあると思いますのでよく聞きたいと思いますが、私は個人的にも上田清司という人間を非常に買っていますので、そういう意味では衆議院に残ってもらいたいという気持ちが実は人一倍あったわけですが、出ると決めた以上は是非勝っていただきたいという思いの中で応援に行きたいと思っています。
民由合併が野合でない理由
【記者】先ほどの話に戻りますが、これまで政党が合併したり合流したりするたびに野合という批判がありました。今回もそういう話がありますが、幹事長の立場から見てこれまでの離合集散と今回の合併というのは何が違うのか、どういうふうに見ていらっしゃるのでしょうか。
【幹事長】野合批判で一番言われるのは、政策や理念の合意がないじゃないかということだと思いますが、今回の場合は合意があるんですね。形だけ政策合意して一緒になるということではなくて、今回は民主党の政策やマニフェスト、規約に合わせるという約束のもとで一緒になっているわけですから、そういう意味で野合批判は全く当たらない。我々の考え方を受け入れてもらうということだと思います。それが今までにない特徴と言われればその通りかもしれません。
自民党・山崎幹事長の愛人疑惑報道
【記者】今週の週刊誌に山崎幹事長の第3の愛人疑惑という記事が出ていますが、こういう愛人疑惑ばかりが報道されるような状況について、同じ幹事長としてどのように思いますか。(笑)
【幹事長】ちょっと私は3番目の話は見ていませんのでコメントしにくいのですが、いずれにしてもプライベートなこととはいえ公人ですから、特に第一党の幹事長という立場にある人が国民から見て倫理的に批判される状況というのは望ましいことではないと思いますよ。
どういう答えを期待したんですか?(笑)
小沢カード
【記者】先ほど幹事長から、小沢さんをいかにして有効なカードとして使うかという発言がありましたけれども、合併後の小沢さんの処遇について、現段階でのお考えを改めて伺えますか。
【幹事長】人事の話はしません。菅さんも言っておられるようにこれからの課題だと思います。小沢さんご自身は「一兵卒で」とおっしゃってますが、それは本当にご自身の気持ちとして言っておられると受け止めています。それ以上のことは今の段階で申し上げるのは適当ではないし、幹事長の私が申し上げるべき話ではないように思います。
もちろん、カードという言い方がやや誤解を受けるかもしれませんが、例えば今、小沢さんと菅さんのお二人があちこちのテレビや、あるいは街頭演説などをして「新しい民主党」をアピールしておられるということですね。そういうことを含めて、私は先ほど端的な言い方で申し上げました。
小沢さんには新しい民主党の中で存在感をしっかり示していただくと。それが政権への道につながるということであれば、当然そのことは必要だと思います。
女性票の獲得策
【記者】先週末の弊社(日経)の世論調査の結果で、投票したい政党は自民党32%、自由党と合併した民主党24%、これは男女を合計した数字ですが、男性は自民党32%、自由党と合併した民主党31%と1ポイント差です。
ただ、女性は自民党31%、民主党18%ということで、かなり女性票が少ないという形になっています。前から民主党が言われていることですが、それについて衆院選へ向けて何か具体的な女性票の獲得策を考えておられればお伺いしたいのですが。
【幹事長】もともと民主党も自由党も女性の支持率が、男性と比べると低いんです。その結果が合流したあとも続いているということだと思います。
女性の支持率を上げるにはどうしたらいいかというのはこの党のずっと課題であるわけで、もう少し詳しく分析する必要もあると思いますね。女性の中のどういった層の皆さんが、年齢層とか職業とか、そういうことをよく分析したうえできちんとした対応をこれから選挙に向けて取っていきたいと考えています。
我が党の政策はかなり実は女性の皆さんから見て、なるほどと言えるものを出しています。出していますが、マスコミへの露出などということになるとどうしても経済政策、金融政策あるいは安全保障といった問題が中心になって、より生活に密着したような話題や政策が載ることが少ないということも、あるいは影響しているかもしれません。
他にも多様な理由があると思いますが、そこはしっかり分析をして、逆に言うとそこが男性並みになれば支持率がグンと上がるわけなので、そのこともこれからの課題だと思います。
ただ、与党か野党かっていうのはかなり効くんですよね。私自身も与党の時代と比べると、やはり野党になって女性の支持が少し下がりました。男性との比較でいうとね。
韓国の新千年民主党の議員とその話を議論したときにも言われました。野党のときは女性の支持率が韓国の民主党も低かったと。金大中氏が当選して政権党になったらそれが逆転したと。「女性の場合は与党志向があるのではないか」と韓国の議員が言っていました。「あまり気にしなくていいよ。政権取ったら上がるから」と。政権を取るために上げなきゃいけないんですがね。
他に何かありますか……何か言いたそうですね。
【女性記者】いえいえ……。