舛添都知事「違法でない」と言い切れるのか 政治資金疑惑の徹底追及を(夕刊フジコラム 2016/6/9)
安倍晋三首相は、現在を起点とすると、消費税率10%への引き上げの3年以上の延期を決めた。1日の記者会見で「『新しい判断』について(参院選で)信を問う」と語っていたが、これは極めておかしな話だ。
最近の経済状況を見ると、増税の先送りはやむを得ない。だが、安倍首相は1年半前、衆院解散時の記者会見で、「増税を再び延期することはない。ここではっきりと断言する」「必ず(消費税が)上げられる経済状況をつくる」と明言した。
あれは重大な選挙公約である。それが果たせなかったことについて、安倍首相から真摯(しんし)な反省はおろか、まともな説明すらない。一国のリーダーの選挙公約がこれほど軽くて本当にいいのか。
2つの問題点を指摘したい。
まず、安倍首相は1日の会見で「今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかす」と語っていたが、うまくいかなかった経済政策を続けても成功するはずがない。事実上の牽引(けんいん)車だった「円安」「株高」という環境も変わった。大型補正予算で対応する気なら、古い自民党に逆戻りだ。
いま、日本に必要なのは「分配と成長の両立」である。
普通の人が安心して生活できる状況をつくることが経済成長につながる。そのために、民進党は「人への投資」「格差の是正」「働き方革命」を打ち出し、先の通常国会に具体的な政策を法案として提出した。ほとんど審議されなかったが、改めて参院選で国民に訴えていきたい。
もう1つ、自民党総裁の任期を超えた増税延期は、あまりにも無責任というしかない。
安倍首相の総裁任期は2018年9月までで、19年10月の引き上げ時には任期切れになっている。次期首相(総裁)に判断を丸投げするつもりなら、とても受け入れられない。日本商工会議所の三村明夫会頭が「(再々延期なら)日本は財政破綻する」と語っていたが、同感だ。
わが国は徹底的な行財政改革と、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を進めなければならない。次世代に負担を先送りしてはならない。3度目の延期は絶対に許されない。
さて、東京都の舛添要一知事が6日、自身の政治資金流用疑惑について、弁護士同席で記者会見を開いた。「不適切だが違法ではない」という言葉が何度も聞かれたが、果たして、違法でないと言い切れるのか。
政治資金でないものを、政治資金として使ったのなら違法ではないのか。「不適切だが違法ではない」という理屈が通るなら、今後、非課税の政治資金を悪用した不正行為が横行しかねない。都民や国民も納得しないだろう。
都議会では7日、代表質問が行われたが、今後、「一問一答」形式で質疑を行う総務委員会で徹底的に事実解明をすべきだ。それでも、疑惑が晴れなければ、強い調査権限を持つ百条委員会の設置も考えるべきだ。 (民進党代表)