定例記者会見録 2004年11月
11月30日
○知事・市町村長と意見交換:認識は完全に共有、これから本当の闘いが始まる
○橋本元総理の政倫審弁明:疑惑は深まった、証人喚問を実現すべき
○小泉総理には自民党総裁として責任がある、他人事では許されない
○経団連と意見交換:迂回献金など出し手のほうも十分注意をと申し上げた
○二大政党時代に野党第一党提出法案が議論すらされないのは国会の自殺行為
○新3党合意発言:与党は集中審議さえやる気なし、国民を欺くアリバイ工作
○自衛隊派遣延長問題:会期末までに、あるいは延長して政府は説明する責任
○橋本元総理の責任:事実解明が先、それが明確になれば責任の取り方も出てくる
○定率減税廃止:所得税の根本論、時期、増収分の使途など組み合わせで議論を
○「連続復活当選は負け犬」発言:何が何でも選挙区で勝ってもらいたい思いの表れ
知事・市町村長との意見交換会
【代表】まず第1点は、今ちょうど終わって戻ったところですが、全国の知事、市町村長との意見交換であります。前回も知事と意見交換を行いましたが、生の分かりやすく説得力あるご発言が相次いだと思っています。今回の政府の分権改革案への認識は完全に共有していると感じました。
あの場でも申し上げましたが、これから本当の闘いが始まるわけで、いろいろな法案も出てきますし、長い目で見れば義務教育国庫負担金の中身とか、そうしたこともこれからですので、あるいはもう少し長い目で見れば、国と地方のあり方について、3兆円・4兆円でない補助金全体20兆円の話をこれからしっかりとしていかなければならないので、今日お見えになった首長はじめ、全国の知事、市町村長ともっと意見交換していきたいと考えています。
私も全国を回っているときにも少しずつ、いろいろと首長と意見交換していますが、そうしたこともさらに重点的に進めていきたいと考えています。
この問題は結局、日本の国のあり方を考える根本問題で、単なるお金の分配の話ではありません。今日は浅野宮城県知事が上手い言い方をしていまして、小泉さんは劇の途中で立ってしまったということですが、まさしくそういうことでありますので、しっかりと国会でもこの問題を取り上げていきたいと思っています。
政治倫理審査会での橋本元総理の弁明
【代表】2番目は同じ時間帯で、政治倫理審査会に橋本元総理が来て弁明されたということであります。中身は私も今聞いたばかりですが、当初は1億円を受け取ったことすら記憶にないと言い、臼田日歯連会長に会ったことも記憶にないと言っていたわけですが、臼田会長に会っていたことは認めざるを得なかった。
そして1億円についても、非常に逃げを打った言い方で、自分自身が受け取ったことをはっきりとは認めていませんが、半ば認めたような形になりました。誰が考えても1億円を受け取ったら、それは記憶にないということはあり得ないわけで、もっと明確に正直に、率直に言われるべきだと思っています。
いずれにしても、今回のことで疑惑は深まりました。したがって、証人喚問は必ず実現しなければならないことだと思っています。我々が証人喚問を求めるというよりは、橋本元総理自らが出てきて、しっかりと国民に対して説明責任を果たすべきだと思っています。橋本元総理以外の関係者も同じであります。
そして、小泉総理はこの事態をどう見ているのか。党の問題ではないということで済む話ではありません。自民党所属の大幹部の話であります。村岡元官房長官も含めて、元自民党議員あるいは現自民党幹部ですから、説明責任を果たすよう、総裁としても責めを負っていると思っています。他人事のような顔をしているのは、全く許されないことだと思います。
日本経団連との意見交換会
【代表】3番目は、今日、日本経団連と意見交換をいたしました。政策面で非常に有益な意見交換をしましたし、日本経団連の副会長クラスでも混合診療の話などは意見が割れましたので、そういう意味ではお互いに率直な意見交換ができたかと思っています。
そのときに申し上げましたが、指名献金、迂回献金について、その事実があるということは多くの人が認めるところで、小泉総理は党首討論でも迂回献金はないと明言しましたが、これは現実にはそうしたものがかなりあるというなかで、出し手のほうもしっかりと、そうしたことがないよう注意してくださいと申し上げました。
今回、検察はなぜかこの問題に切り込むことはしませんでしたが、明らかなる脱法行為、贈賄・収賄の関係、あっせん利得罪の関係が成立しかねない問題でありますから、出し手のほうも十分に、そうしたことがないように徹底していく必要がある。そのことを申し上げたところです。
国会の会期延長問題
【代表】そして、国会は12月3日の閉会予定日が近づいていますが、我々は国会の延長を求めています。
現状はどうなっているかと言いますと、「政治とカネ」の問題は、与野党がそれぞれ政治資金規正法改正案を出していますが、議論されないままであります。そしてこれは大きな問題であるにもかかわらず、先送りされようとしています。
イラクへの自衛隊派遣に対するイラク特措法廃止法案は、(与党は)採決を行わないということで、これほど重要な問題がたなざらしになっています。
その他、被災者生活再建支援法改正案も、口では政府・与党もいろいろ言っていますが、300万円の限度の中で住宅再建を認めるべきで、これは地方からの切実な願いでもあります。これについても先送りであります。
そして、年金に法案に至っては、委員会への付託もされず審議すらされない、そういう状況であります。
まさしく国会が二大政党の時代になって、これだけ多くの国民の支持をいただいた野党第一党が、あるいは野党3党が法律改正案を提案しながら、それが議論すらされない、採決すらされないというのは、国会にとって自殺行為だと私は思います。
そうしたことについてしっかり議論し、採決することを政府に対して求めたいと思っています。そのために、国会の延長はぜひ成し遂げなければならないことだと考えているところであります。
<質疑応答>
自民党国対委員長による新たな3党合意発言
【記者】年金問題について、自民党の中川国対委員長は「3党合意」に関連して、新しい形で合意を目指したいという趣旨の発言をしていますが、これに関する党の対応と、年金問題の今後の見通しについて伺えますでしょうか。
【代表】ここは一部、今日も報道がなされていますが、まず私たちは、中川国対委員長が何を言おうと、それに対して何か議論をしているという現実は全くありません。そのことは明確に申し上げておきたいと思います。
我々が申し上げていることは、まず(厚生労働委員会で)集中審議をしようということです。しかし、法案も(委員会に)下ろさないし、ましてや集中審議など全くやる気がないなかで中川国対委員長の話が出てきているというのは、国民を欺くものだと。自らがアリバイ工作しているだけだと思います。もう少し真面目になってもらいたいと。
我々は集中審議をするなかで必要があれば、より国会で議論をするためのことについて議論することはやぶさかでないと、前から申し上げているところであります。
しかし、与党のほうがやる気のない状況の中で議論していっても、それは単なる先送りになるだけに過ぎません。中川国対委員長もいろいろおっしゃるのであれば、まず国会の中で議論するということをなぜ実現しようとしないのか。むしろ、その説明責任を求めたいと思っています。
自衛隊イラク派遣問題に関する小泉総理の説明責任
【記者】イラク問題についてお聞きします。政府は12月10日の閣議で1年間の自衛隊派遣延長を決定するようですが、国会の延長要求を野党3党で求めても実際に難しい状況で、このままでは国会で小泉総理の説明責任を果たす場が出てこないと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
【代表】我々は国会の延長要求をしています。したがって、それが認められないだろうという前提でのコメントは、今は控えたいと思います。あくまでも国会を延長して、しっかり説明責任を果たすことが政府の責任であると思っています。
10日に(政府が)決めたという話については私は確認していませんが、いずれにしろ国会はまだ時間がありますから、3日までの間でも説明責任を果たすべきだし、それで十分でなければ、延長するなかで説明責任を果たすべきだと思っています。
オランダ軍撤退後の自衛隊員の安全確保
【記者】自衛隊の派遣がこのまま延長されたとして、オランダ軍が撤退した場合、イギリス軍にお願いしているとはいえ、かなり自衛隊の安全性が保たれなくなるおそれがありますが、そこはどのようにお考えですか。
【代表】ここは、私が党首討論で議論したところであります。そこで申し上げたことは、オランダ軍の抜けた穴を、イギリス軍が別に増えるわけではありませんし、しかも非常に広範囲なイラク南部全体を見ている中で、サマワ県について、特に厚く、これ以上見るだけの余裕は常識的に考えれば、ないわけです。
そして、イラク警察の力も借りるという話も出ていましたが、イラク警察がどの程度力量を備えるようになったのかは、明確ではありません。その点について政府の説明もありません。
私が米国に行ったときに聞いたのは、サドル派が徹底抗戦を叫んだときに、訓練したイラク警察のかなりの部分が、支給された武器を持ってサドル派に走ったと。そのことに米国政府は非常にショックを受けたという話もそのときに聞いています。
そういうことはないと期待したいと思いますが、イギリス軍が本当にどの程度オランダ軍の役割を果たせるのか、あるいはイラク警察の現状がどうなっているのかについて、当然、派遣する前に説明責任を果たさなければならない。そのことを党首討論で申し上げたところです。
政倫審のあり方
【記者】政治倫理審査会の場そのものについて、中途半端な存在だとか、公開すべきだなど、意見がありましたらお聞かせください。
【代表】これは案件にもよりますし、(政倫審に)呼ぶ人にもよるわけです。私は国会議員であれば公開というのが原則だと思います。
それから、政倫審そのものが必要ないではないか、単なる駆け込み寺になっているのではないかという話はあります。しかし、そこは案件によって政倫審が適切であるという場合もあると思います。
今回の場合には事件が事件ですから、我々は最初から証人喚問を求めたわけですが、政倫審を行ったらそれで終わりということがないという前提の上では、政倫審そのものを否定する必要はないと思っています。
今回、政倫審で十分な説明をなされていないわけですから、そういう意味で証人喚問をと申し上げたわけです。
橋本元総理の責任問題
【記者】橋本総理の責任問題について、詳細は分かりませんが聞くところによれば、同義的な責任は感じているが具体的には司法に任せる趣旨の発言をし、次の小選挙区には出馬しないが今は辞することは考えていない趣旨の発言をしていたそうですが、これについて、橋本総理の責任をどのように思うか、お聞かせください。
【代表】まず事実解明が先だと思います。現実はどのようなことであったか明確になっていません。そこが明確になることによって、橋本元総理の責任の取り方というのが出てくるのだと思います。まだ中途半端な段階で、これでいいとか、あるいは不十分とか、そういう言い方はすべきでないと思います。
定率減税廃止論
【記者】定率減税について、細田官房長官は今日、「元に戻すときに来ている。額については景気に影響を与えることがないように」との趣旨の発言をしていますが、この官房長官発言に同意できますか。
【代表】定率減税は、「恒久」減税なのか「恒久的」減税なのかというそもそも論はありますが、私は将来的には元に戻す。ただしそれは単純に戻すのではなく、本来であれば所得税のあり方の根本論をもう一度きちんと行うべきだと思っています。
例えば、最高税率はこれでいいのかどうかと。私はもう少し上げてもいいと思っていますが、いずれにしても、そういうことを含めたきちんとした議論が必要です。
それからもう一つは、元に戻すことになるとしても、タイミングが問題です。私自身、財政の建て直しは非常に重要だと思っていますが、やはり(橋本政権が消費税率を5%に引き上げるなどした)前回の9兆円の負担増の失敗は、非常に記憶に鮮明です。
そういう意味で、景気との関係、状況を見極めながら進めていく話だと思いますし、減税した財源として何を行うのか、当初の予定では国民年金(基礎年金)の国庫負担を2分の1まで引き上げていくという話だったわけですが、こうしたことも含めて議論が必要だと思っています。ですから一概に戻す、戻さないという話ではない、そうした組み合わせの中で議論すべき話だと思います。
【記者】現時点では時期尚早であると?
【代表】これは注意深く議論したほうがいいと思います。ですから時期尚早と言い切ることは、今はいたしません。
「2回連続比例復活当選は負け犬」発言
【記者】今日の代議士会で、川内議員が昨日の新人議員研修会での代表の発言について「言葉には十分気をつけてもらいたいと思う。次は頑張ることを信じているということを言ってほしかった」というような話がありましたが、この点についてどのように受け止められましたか。
【代表】後で川内議員には電話して話をしておきましたが、あの時(新人議員研修会)には皆さん(記者)もいたわけで、私は先輩議員の中にはいろいろな状況の中で活動しているということは申し上げて、つまり地域によっては難しい状況の中で戦っている人もいることを言ったうえで、当選1回の議員方にハッパをかけるということで申し上げたわけです。
やや言葉足らずの面もあったかもしれませんが、川内議員には、いつかは通るということではなく、次に必ず通れということを申し上げておきました。
「とにかく次に政権を獲るのだ」ということを、私は常に候補者や議員の皆さんにメッセージ発信していきたいと。やや言葉が過ぎたかもしれませんが、何が何でも選挙区で勝ってもらいたいという思いの表れだと受け取っていただきたいと思っています。
11月16日
○小沢氏が副代表に就任、名実ともに全員野球の形が整った
○党首討論や予算委等の重要審議が与党の都合で決まるのはいかがなものか
○パウエル米国務長官辞任:今の段階で米外交の見通しを一概に言えない
○日朝実務者協議:従来の主張の繰り返し、不十分な根拠に怒りを覚える
○北朝鮮に残りの食糧支援を行うべきでないし、現時点で国交正常化交渉もない
○党として村岡元官房長官からヒアリング、証人喚問につなげていきたい
小沢氏の副代表就任
【代表】まず第1点は、先ほどの常任幹事会の冒頭にもお話ししましたが、小沢一郎・前代表代行に副代表のご就任をお願いし、お受けいただきました。これで名実ともに全員野球の形が整ったと思っています。政権交代という共通の目的に向けて全力で頑張っていく、そういう体制が整ったことを嬉しく思っています。
党首討論のポイント
【代表】次に、明日の党首討論ですが、質問項目はお配りしていますが、まず、党首討論はもちろん定期的に開くことが重要だということをかねがね申し上げてきましたが、今週は先週に引き続き開かれることになりました。
予算委員会での集中審議、つまり「政治とカネ」あるいはイラクの自衛隊派遣問題を求めていましたが、(与党側が)予算委員会だけはどうしても開きたくないというなかで、今週、党首討論という形で落ち着いたということであります。
もちろん、こうしたチャンスが与えられましたので、頑張って議論したいと思っていますが、ただ、与党側が自分の都合のいいように、重要な党首討論や予算委員会を設定するのはいかがなものかと強く思っています。
そういう意味で今後、党首討論について、2週間に1回くらいで定期的に開いたらどうかと前から申し上げているわけですが、そして党首討論を開いたから総理はその週は国会に出てこないというおかしなルールも、もう一度白紙にしてしっかり議論したらいいと。
これだけ課題が山積しているのに、1週間に45分だけ国会に出てくればそれでいいというのは明らかにおかしいわけで、必要な問題については、しっかりと説明責任を果たすということが、国会のあり方、総理の責任の果たし方だと思います。
項目的にはいろいろ並べましたが、基本的に1から4までで、5(今後の日米関係)は多分、時間がないだろうと思っています。
まず「1.イラク戦争」は、先週の党首討論での小泉総理の発言について、翌日、「いい答弁だ」と自画自賛されたので、そこまで言うのであれば、もう一度きちんと問い質しておく必要があると思っています。
「2.地方分権」については明日、地方6団体が中心になった集会も予定されていますが、私から言うと、完全に本来の目的を忘れて迷路に入っている、道路公団改革と同じ構図になりつつあると思いますので、そのことについて、小泉総理の考え方をしっかり質したいと思います。
「3.拉致問題」については、日朝実務者協議が終わりましたが、見るべき成果はありませんでした。そういう状況の中で今後どうすべきかについて、議論したいと思います。
「4.政治とカネ」については、党首討論の後、村岡元官房長官に来ていただき、民主党でヒアリングをすることになっていますが、自民党の調査結果も中身は明らかにされていませんし、極めていい加減なものでありますので、もう一度しっかりと問題提起したいと思っています。
イラクの問題は、別途イラク支援特別委員会が総理出席の下で開催される可能性が出てきましたので、あまり長くならないようにしたいとは思っています。
<質疑応答>
パウエル米国務長官の辞任
【記者】パウエル米国務長官が辞任されるということで、今後の米国の外交姿勢にどのような変化が出てくるとお考えでしょうか。また、ライス大統領補佐官が後任という話も出ていますが、それを含めて、どのような変化があるとお考えかお聞かせください。
【代表】これは大統領選挙の翌日にベーカー駐日米国大使とお会いしたときも、辞めるということは強いニュアンスでおっしゃっていました。後任とうまく引継ぎが行われるようにというニュアンスで、後任についても「He」か「She」かは知らないが、と言われましたので、「She」の可能性があるのかなと思って聞いていましたが、いずれにしても、その結果がどうなるのかは、今の段階では見通せないと思います。
もちろん、パウエル国務長官は国際協調路線に何とかバランスを取ろうとしていたというポジションでしたので、パウエル国務長官がいなくなるということは、より単独行動主義、先制攻撃擁護の方向に向かう可能性もあります。そのことは非常に懸念しています。
しかし一方で、この4年間のいろいろな失敗の反省に立って、もう少しバランスよく国際協調路線を重視するのではないかという期待もありますから、今の段階では一概には言えないことだと思います。
小沢氏に役職就任を要請した理由
【記者】小沢副代表の関係でお聞きしたいのですが、1つはなぜ小沢さんに選対本部長なり副代表なり、何らかの形で役職についてもらいたいと思っていたのか、なぜ小沢さんの力が必要だと思っていたのか。もう1つは、小沢さんが執行部に入ることで、どのように民主党が変わっていくとお考えでしょうか。
【代表】私は党の中で力のある皆さんに、それぞれしっかりと役割を果たしてもらいたいというコンセプトで代表就任以来やってきました。菅前代表、鳩山元代表、あるいは横路さんに、それぞれ『次の内閣』閣内に入っていただいたのも、その一環であります。
全員野球ですべての人が、その持てる力を、バントの上手い人はバント、ホームランの打てる人はホームラン、足の速い人はその足を活かした形で、最大限、党として力を発揮できる体制をつくりたいと思っていましたので、名実ともに全員野球の形が出来上がったと喜んでいます。
小沢さんが執行部に入ることで物事がどう変わるかということですが、小沢先生は政治家としての経験も非常に深く、しっかりとした考えをお持ちの方ですから、その力を執行部の中でしっかりと活かしていきたいと思っています。
副代表ポストを小沢氏に要請した理由
【記者】当初は選対本部長を要請されていたそうですが、最終的に副代表の要請になりましたが、その理由をお願いします。
【代表】プロセスはあまり言うべきでないと思いますが、必ずしも選対本部長として要請していたわけではありません。選対本部に入っていただきたいということで、お願いをしてまいりました。
小沢さんからは、選対本部を常設にして、そこに自分が入ることで、従来の執行部との関係はどうなるのか、というお話がありまして、そこを何とかクリアできるような知恵はないかということで、いろいろご提案申し上げましたが、党執行部との関係を明確にしなければいけないというお気持ちが強かったものですから、それならばむしろ選対本部をつくらずに、副代表をお受けいただくということが、小沢先生のお考えにも沿うのではないかと考え、私から提案したところです。
小沢副代表の役割
【記者】副代表は現在、他に5名の方がいますが、その中で小沢副代表の役割は今後どのように考えていますか。
【代表】副代表は特定の役割というより、全般的に党運営に関わりアドバイスしていただくということでありますので、小沢先生のような経験の深い方に、そうした立場でいろいろご示唆をいただくことは、非常に意味のあることだと思っています。
【記者】小沢副代表が今後果たしていく役割について、代表は全員野球と言われますが、野球チームだったら、どういう役割になると思われますか。
【代表】なかなか言い方は難しいのですが、ホームランバッターではないですか。
今後小沢氏が選対本部入りする可能性
【記者】今回、副代表として就任されることになるわけですが、改めて選対本部をつくった際に、それがいつになるかは分かりませんが、選対本部に入っていただくようなお願いをする可能性はありますか。
【代表】今回、選対本部をつくる場合には、候補者の選定と日常活動の指導という役割に限定して選対本部を立ち上げようという発想で進めてきたわけですが、今回、小沢さんが選対本部の役職に就くことを固辞されましたので、選対本部はしばらくつくることはありません。
もちろん、補選とか都議選とか、特定の具体的目的を持ったものとしてつくることはあるかもしれません。あとは総選挙、参議院選挙ということになりますので、私の任期中にそれをつくるような場面があるのかどうかも含めて、まだ確たることは申し上げられませんので、そういう意味で、仮定の議論は答えないほうがいいと思います。
小沢氏への副代表就任要請と受諾の時期
【記者】最終的に代表が小沢先生に要請されて、お受けになったのはいつでしょうか。
【代表】しっかり後を追っておられた(担当記者の)立場としては是非知りたいところかもしれませんが、プロセスのことは申し上げられません。今日、役員会で確認をしたうえで常任幹事会に報告し、その時点で決まったということです。
小沢氏への口説き文句とその返答
【記者】副代表をお願いする際の口説き文句と、それに対する小沢先生の受諾の言葉については?
【代表】プロセスは、あまり事細かく言わないほうがいいと思います。
人事権者としての満足感/岡田民主党の今後のプレー
【記者】人事権者としての今の満足感と、これから岡田色を全面に出したプレーができると思うのですが、「全員野球」と「ホームランバッター」の具体的な意味を交えて、どんなプレーをしたいと思うかをお聞かせください。
【代表】何か言えば言うほど、だんだん自縄自縛に陥っていくかもしれませんけど(笑)。「全員野球」ということですから、それぞれ得意な分野があるわけです。政策に強い仙谷政調会長とか、党務について非常に経験の深い川端幹事長、全般に私を支えていただいている藤井代表代行とかですね、それぞれの立場で最大限の力を発揮していただきたいと思っています。
副代表の皆さん、石井一さん、中井洽、米澤隆さん、岡崎トミ子さんにも、隔週1回開いている副代表会議で闊達なご議論をいただき、それが執行部にとって非常に大きな助けになっていますので、そういう意味で、それぞれの経験や力をお持ちの方に、最大限の力を発揮していただくということです。
小沢さんは政策面でも党運営の面でも非常に骨太ですから、そうした大局を見失うことのない党運営を行ううえで、非常に貴重な存在になると思います。
【記者】満足感は?
【代表】私は9月の代表就任時に、かなりの人事がその場でできたのですが、ただ1点、宿題になっていたことが今回整い、非常に満足しています。いい布陣ができたと考えています。
小沢副代表の常幹出席
【記者】これから小沢副代表が常任幹事会の正式メンバーになるかと思いますが、代表として出席を督励されるようなお考えはありますか。
【代表】常任幹事会の正式メンバーになるかどうかは、まだ決まっていません。ご相談したいと思います。これは今、規約改正の議論をしていまして、その中では確か副代表は常幹メンバーというのは規約改正で入ることになっていたのではないかと思います。これはまだ(党の)中の段階の話です。副代表をすべて常幹メンバーにするというルールは、今はないと思います。
ですから、小沢先生のお考えも伺ったうえで、常任幹事になっていただくかどうかを決めることにしたいと思いますが、その話はまだしていません。
小沢副代表の副代表会議出席
【記者】それに関連して、小沢先生に意見をもらう場として、副代表会議には出ていただきたいとお考えでしょうか。
【代表】副代表ですから、副代表会議に出ていただきたいと思っています。
日朝実務者協議の受け止めと今後の対応
【記者】拉致に関する日朝実務者協議について、その結果の受け止め方と、その結果を受けて経済制裁を、という声もありますが、どのような手立てを講じていくべきとお考えですか。
【代表】誠に残念ながら、成果はほとんどなかったということであります。そして、(北朝鮮側から)従来の主張が繰り返され、10名のうち2名は北朝鮮にいない。あとの8名については死亡しているという、非常に残念なことが繰り返されたこと。しかも、その根拠が十分に示されていないことに対して、非常に怒りを覚えています。
今後どうするかということは、政府でも検討されることと思いますが、少なくとも残された12.5万トンの食糧支援。もともと25万トンを出すこと自体に、我々は大きな疑問を感じてきたわけですが、すでにその半分が出てしまっていますので、残された12.5万トンについて、これを出すということにはならない、そうすべきでないと思いますし、まして国交正常化交渉という話はないと。今の段階では。それに本格的に取り組むことがあってはならないと思っています。
村岡元官房長官のヒアリング
【記者】村岡元官房長官について、民主党として明日ヒアリングするということですが、代表としてはどのようなことを聴取しようとお考えでしょうか。
【代表】これは現場に任せていますので、私自身が村岡氏とお話しするということではありません。
ただ、1億円問題の当事者として起訴されている立場です。他のその場にいたとされる人たちとの関係といいますか、なぜそうした人たちが起訴されず村岡氏が起訴されるに至ったのか。本来は証人喚問して質すべきことですが、今のところは(自民党の反対で)出て来られませんので、そうしたことについて村岡氏からお話をいただき、証人喚問につなげていきたいと考えています。
小沢副代表の意に沿うという意味
【記者】小沢副代表の件について、先ほど代表は、副代表をやってもらうことが小沢さんの考えに沿うとおっしゃっていましたが、「考えに沿う」というのはどういう意味合いなんでしょうか。
【代表】考えに沿うというか、私が副代表を提案して小沢さんにお受けいただいたということですから、そういう意味で小沢さんも了承されたわけですから、考えに沿っていると申し上げたわけです。
【記者】候補者の選定と日常活動の指導という限定して選対本部をという話でしたが、規約を改正して、その上で選対本部長を要請するとか、なぜ規約改正という手段を取らなかったのでしょうか。
【代表】規約を改正するかしないかということが本質的な問題なのか、そこは小沢さんと必ずしも意見が一致しない点なのですが、今、対策本部は規約上、「つくることができる」と書いてありますので、その規約に基づいて、常任幹事会で選挙対策本部を常設機関としてつくると。
常設機関といっても、すべての本部は基本的には1年ごとですが。そうしたことは、私は十分可能なことではないかと思っていましたが、ここは考え方に少しズレがあったのかもしれません。
小沢氏と副代表ポストの釣り合い
【記者】小沢さんにお願いする役職として副代表という役職は、これまでのキャリアと比べると、若干釣り合わない印象があるのですが、そうした点についてどのように認識していらっしゃいますか。
【代表】私自身も、副代表でいいのかなという気持ちは一つありましたが、規約上の定められたポストということになると、代表の他は、代表代行、副代表、幹事長ということですから、副代表が唯一の選択肢であったということです。
11月09日
○ファルージャ:罪のない人たちの命が失われることがないよう祈らずにいられない
○党首討論:イラク、年金等をテーマに政治に対する国民の理解が深まる議論を
○イラク特措法廃止法案は共産・社民両党とも足並みを揃えたい
○日朝協議:安否不明者を再調査する約束を果たさせることは最低限必要
○ASEAN訪問計画:新しい各国指導者らとしっかりとした信頼関係をつくりたい
○3〜4兆円の補助金を一部切り出して良し悪しを言ってもほとんど意味がない
○経済制裁:制裁自体ではなく安否調査を出させることが目的、そのためのカード
○街ごと攻撃することがイラク人にどう映るか、全面的に賛成と言うべきことでない
○都築前議員も輿石参院議員も本人自身の違反でなく、党に波及する問題でない
○政権戦略委:党内メンバーを中心に政権交代のためのロードマップをつくる
イラク・ファルージャ総攻撃
【代表】第1点はイラクの状況ですが、ファルージャへの攻撃が始まり、それに先立って北部地域(クルド人自治区)を除いて全土に非常事態宣言が出されたということで、非常に憂慮しています。前回もファルージャで多くの死者が出ていますが、今回はそれを上回るような攻撃がなされていると聞いていますので、罪のない人たちの命が失われることがないよう、祈らずにいられないということであります。
政府はサマワが非戦闘地域であるということを言い続けているのですが、非戦闘地域であれば非常事態宣言を出す必要はないわけで、政府の論理は完全に崩れていると考えています。戦闘地域、非戦闘地域の問題は日本の法律上の概念ではありますが、少なくとも安全な場所とはとても言えなくなっているのは、誰の目から見ても明らかではないかと思っています。
その中で自衛隊の撤退の問題が、この国会における重要なテーマに上がってきていますので、明日の党首討論でも、きちんとした議論を行いたいと考えています。
党首討論に向けて
【代表】第2点はそのことも関連して、党首討論ですが、お手元に配布した項目で進めたいと思っています。前回いろいろ項目を並べましたら、「半分もできなかった」とか、いろいろと書いていただきましたので、時間があればここまでやると、最後は「その他」ということであえて書きませんでした。
まず、イラク人質事件は残念な結末になりましたが、事件が終わるまでは批判はしないということで、2週間前の党首討論でもそうしたことは一切言わなかったわけですが、今後同じ失敗が繰り返されないように事後的な検証は必要で、そういう意味で今回の対応で何が問題だったかを議論したいと思っています。
2番目は、前回時間が足りなくてできなかった年金改革であります。私としては本会議で3つの提案をしています。3つの提案は従来と比べると半歩踏み出すものでしたが、それに対して小泉総理の答弁は全く答えがありませんでしたし、翌日、横路ネクスト厚生労働大臣が「岡田代表の質問に全く答えていないではないか」と改めて質問したにもかかわらず、また同じ答弁を繰り返したわけで、全くやる気がないと言わざるを得ません。党首討論の場を捉えて、この3項目を中心に掘り下げた議論をしてみたいと考えています。
3番目は、先ほどの自衛隊の派遣・撤退の問題について、重要なテーマとして時間を取って議論したいと考えています。時間があれば、大量破壊兵器の問題なども含めて議論したいと考えていますが、そこまで時間が取れるかは分かりません。
4番目の今後の日米関係は、ブッシュ米国大統領が再選されましたので、今後の日米関係のあるべき姿について。そして、これも時間があればですが、トランスフォーメーション(米軍再編)の関係なども議論したいと思っています。党首討論ですから、あまり具体的な細かい話をしようとは思いませんので、大局的な議論を行いたいと考えております。
その他、時間があれば行いたいのですが—-常に「時間があれば」と言っているのは、「できなかった」と書かれないために言っているわけですが—-「政治とカネ」の問題も前回の宿題、積み残しがありますから、少し触れたいとは思っています。
鉢呂国対委員長から聞くところによれば、明日も私だけということであります。45分間、長いようで短い45分ですが、しっかりした議論を行っていきたいと考えています。議論に当たっての基本的な姿勢は、前回の党首討論でも申し上げたように、批判のための批判、追及のための追及はしない。そして、党首討論を見ていた国民の皆さんが、何が問題になっていて、双方の考え方がどうなのかが分かり、政治に対する理解が深まる、そうした党首討論にしたいと考えています。
<質疑応答>
イラク特措法廃止法案—-社共との共同提案の可能性
【記者】民主党としてはイラク特措法の廃止法案を提出する方針ということですが、これについては共産党、社民党に共同提案を呼びかけるお考えはありますか。
【代表】できるだけそうしたいと考えています。イラクの問題全体を見ると、他の野党とは大分意見の違うところはありますが、自衛隊撤退という一点では一致していますので、共同提案がいいのか、我々が提案して賛成してもらうように持っていくのがいいのか、それは国対委員長にお任せする問題だと思いますが、なるべく3党が足並みを揃えたほうがいいだろうと考えています。
与党の自衛隊派遣延長反対派との連携の可能性
【記者】今日、自民党の古賀誠元幹事長(加藤紘一氏、亀井静香氏)ら3氏が小泉総理に自衛隊派遣延長に反対する申し入れをしましたが、こうした与党側の慎重派との連携についてはどのようにお考えでしょうか。
【代表】申し訳ないですが、その申し入れの中身は承知していません。ただ、いつもこの話が、その3名の皆さんの動きに関連して民主党は連携しないのかと言われますが、そういうことを言うことで、自衛隊の撤退、(派遣延長)反対という議論とは別次元の議論になってしまいますので、私としては、それはそれとして3名の方が自民党内でやってもらうことは結構ですが、それと連携するということは考えていないと申し上げておきたいと思います。
日朝実務者協議の合格ライン
【記者】北朝鮮の問題に関連して、今日から日朝実務者協議が行われますが、結果はこれからの話ですが、代表としては、どのような結果が出れば合格あるいは納得すると言えるでしょうか。
【代表】「合格」と言えば、それは先の長い話で、いずれにしても合格点は差し上げられないと思います。
ただ、2回の訪朝を行い、その中で10名の生存不明の皆さんの調査をすると北朝鮮側は約束しているのですから、その約束がきちんと果たされることは最低限必要なことであると思っています。
それが合格点ということではありませんが、10名の生死の状況、そして生存されているなら今どのような状況になっているのか、もし不幸にして亡くなられているならどのような状況で亡くなられ、今どうなっているのかなど、きちんと説明されることは、最低限必要なことだと思っています。
ASEAN訪問の意義
【記者】12月に予定されているASEAN諸国への訪問ですが、この時期に訪問する理由を教えてください。
【代表】ASEAN訪問は国会の状況もありますので、まだ固まっていることではありません。今の会期で国会が終わっていいのかという議論もありますので、いずれにしても国会最優先です。
その上で、ASEAN訪問を考えているのですが、いつか申し上げましたが、ASEANの指導者も大分顔ぶれが代わったなかで、新しい指導者の皆さんとしっかりとした人間的な信頼関係をつくりたいと。あわせて、発展著しいASEANの状況を、この目で見て把握しておきたいということです。「懐の深いアジア外交」ということを申し上げていますが、その一環と考えていただければと思います。
三位一体改革をめぐる政府・与党の混乱と民主党の対応
【記者】政府・与党が三位一体改革の議論で混乱している状況ですが、民主党として地方6団体の案を積極的に後押しするとか、6団体からヒアリングするなど、今の政府・与党の動きに積極的に噛んでいくことをすると、政権が近くなると思うのですが、そうした点について、代表の所見をお願いいたします。
【代表】政府・与党でもめているところに民主党が噛んでいくことが、政権が近くなるとは私は思いませんが、基本的には、政府・与党でまとまったときに、それに対して民主党がどう考えるかを述べるべきだと思います。途中の段階で、まだ自民党内で事実上何も決まっていないような話について、物を言うことに意味があるようにも思えません。
方向性としては、知事会始め6団体がまとめた案は、民主党の方向性と基本的なベクトルは合っていると思います。
ただ、問題設定の仕方が3〜4兆円の枠の中での議論になっているので、そういう意味での分かりにくさは否めないですね。知事会のほうも、それが第1段階であり、全体としてはもっと大きな話と言っていますから、そういうことであれば分かるのですが、3〜4兆円を切り出して、それが良いか悪いかということは、ほとんど意味のない話ではないかと思っています。
北朝鮮に対する経済制裁
【記者】日朝実務者協議ですが、安否不明10人の再調査結果について具体的な結果が伴わなかった場合、経済制裁を含め、どのように対応されるかお聞かせください。
【代表】今の段階で仮定を置いて、行う、行わないということを明確に述べるべきではないと思います。我々はいつでも手段・カードを用意しているから、それを切る準備はできているということを言えば十分ではないかと思っています。否定的である必要もありませんし、今やると言う必要もないと。
交渉事ですから、制裁することが目的でなく、まずは10名の安否について向こうからきちんと出させることが目的で、そのためのカードですから、そこは間違いのないように使っていかなければならないと考えています。
小泉総理のファルージャ総攻撃支持表明
【記者】ファルージャの攻撃に関連して、小泉総理が記者団に、全面的に攻撃を支持すると表明しましたが、このことについてご意見を。
【代表】なぜ支持するのかということがよく分からないのですが。
【記者】総理の発言だと、「治安改善がイラクの復興のカギとなる」と。
【代表】イラクの治安を早期に改善する必要があるということは、私も認識を共有しています。特に、来年1月の選挙を踏まえて、それまでに選挙をできる状況をつくり出していかなければいけないということだと思います。
ただ、今ファルージャを街ごと攻撃する、その中には、まだ退避していない一般市民もたくさん残っており、もちろん市民の財産もそこにあるわけです。
そういう中で、そこにテロリストなり旧フセインの残党がいるからといって、街ごと攻撃を加えるというやり方が適切なものかどうかというと、私には必ずしも全面的に賛成というのは、とても言うべきではないと思います。イラクの人たちから見たときに、そういう姿が果たしてどう映るのかと。ファルージャの住民以外の一般のイラクの皆さんから見てもどうか、ということは考えておかなければならないと思います。
民主党にまつわる「政治とカネ」の問題
【記者】「政治とカネ」の問題ですが、都築譲議員の辞職や輿石参議院議員の疑惑の関係で、民主党が「政治とカネ」の問題について取り上げにくくなるのではないかという見方がありますが、それについてどうお考えでしょうか。
【代表】都築前議員の問題は、都築さんご自身の問題ではありません。その運動を行った人の問題で、しかもアルバイト料の話ですから、自民党の「政治とカネ」とは全く次元の違う問題です。都築さんご本人が罪に問われているわけではありません。
輿石参議院議員の問題は、私もご本人と話をしましたが、ご本人いわく、「これは政治団体の問題であって、ご自身とは直接関係のない話である」と。政治団体の問題についても報道するマスコミもありますが、それが事実かどうか私は全く分かりませんが、党とは離れたところの問題で、輿石議員の政治団体でもないので、そういう意味では、これが民主党に関係が波及してくるとは考えにくいことだと思います。
自民党のほうは調査チームをつくって、何とか矛先を鈍らせようとしているのかもしれませんが、我々はそうしたことは全くありません。自民党の中でも将来のある有望な方がそうしたことを一生懸命言っている姿を見ると、やらされているにしても気の毒な話だなと。やっている本人が一番矛盾を感じながら「調査、調査」と言っているのではないかなとも思います。
共産党の空白区容認方針
【記者】選挙に関して、共産党が空白区を容認するという方針を出していますが、これについてはどのように受け止めていますか。
【代表】他の政党が、その政党の判断でどのような方針を出されるかということについて、私がコメントする立場にありません。
政権戦略委員会の立ち上げ
【記者】政権戦略委員会について非常に関心を持っているのですが、今の進捗状況、あるいはイメージされているものがあれば、ぜひ教えてください。
【代表】関心を持っていただいていることについては敬意を表します。メンバーになりたいということであれば、検討の対象に加えますが。(笑)
まだちょっと具体的イメージを固めるまでに行っていません。国会の目前の対応が第一ですので。しかし、そろそろ国会が終わるくらいを目途に考え方をまとめて、年内くらいに何とか立ち上げる準備を整えたいと考えていますが、今はそれ以上のことを申し上げられません。
いつか申し上げましたと思いますが、政権交代のためのロードマップづくりということが中心になる、というのが当初の私のイメージです。
【記者】最近、代表が各界の方と勉強会などでお会いになってるかと思いますが、そういう人脈を土台にした委員会に、という認識は間違ってますか。
【代表】原則、党の中ですよね、政権戦略委員会は。場合によっては、党外もあるかもしれませんが。基本的には党の中で、と考えています。
11月02日
○イラク人質事件:総理や政府の対応が適切だったのかこれから問い続けたい
○誤解を招きかねない報道に基づいた読者の投稿を掲載した産経新聞に強く抗議
○三位一体改革:省益に囚われた官僚、お先棒を担ぐ大臣、指導力のない総理
○都築議員の辞職表明:関係者とはいえ有罪が確定したことはお詫び申し上げたい
○政治資金規正法:与党案は極めて不真面目、迂回献金禁止規定は絶対必要
○自衛隊は重い責任を負う人たち、野党党首が観閲式に出席することは当然
○政治とカネ、自衛隊派遣問題の2つは後半国会の大きなテーマ
○年金改革法案は現在作業中だが、法案がまだでも厚労委で議論はすべき
○輿石議員の疑惑報道:まずは党として事実関係を調査する
イラク邦人人質事件と本会議質疑
【代表】第一に、いま衆議院の本会議が行われまして、イラク人質事件に関連して、総理出席で質疑が行われました。
聞いてまして、我が党の藤田幸久議員が、総理の事件発生直後の豊岡における発言ぶりを捉えて、それが果たして適切であったのかと問うたのに対して、総理は直接には答えなかったのですが、それに対する自らの説明なり釈明はありませんでした。
もちろん、こういう報道は一部を切り出して繰り返し報道されますから、そういう意味では総理にはお気の毒な面もあるかもしれませんが、しかし、やはりあの突き放した物言いは、私も非常に違和感を覚えました。
「脅しに屈する形で自衛隊は撤退させない」というその決意は私も共有するものでありますが、しかし同時に、香田さんの人命を何とかして救いたいという思いがあれば、あのような突き放したような言い方はすべきではなかったのではないかと思います。そうしたことについて、総理の率直な釈明が聞けなかったことは、極めて残念であります。
藤田議員も言ったように、我々は香田さんの救出の問題と自衛隊の撤退の問題は切り離して考える。我々は元々、自衛隊の撤退を求めていますが、しかし脅しに屈する形で行うべきでないと。
そういうことから、事件が区切りをつけるまでは政府に対する批判は控えてきましたが、非常に残念な形ですが一区切りつきましたので、今回の政府の対応が果たして適切だったのか、これからしっかりと問い続けていきたい。同じやり方を繰り返し、同じことが繰り返されないために、そう考えているところであります。
産経新聞報道への抗議
【代表】お、私自身の今回の事件が終わったあとでの発言がマスコミ各紙でも報じられたのですが、私が10月31日の記者会見で、このように申し上げました。
今回の事件を踏まえていろいろと述べたあとで、「このこととは直接関係するわけではありませんが、しかし自衛隊の派遣がなければ今回の事件が起こらなかったことも事実であります。我が党は、当初からイラク戦争について、これは国際法上の問題もある大義のない戦争であることを申し上げ、自衛隊の派遣も強く反対し、撤退を求めてまいりました。12月14日に期限が一旦切れますので、この国会の中でしっかり議論し、自衛隊の撤退を党として強く求めたいと考えます」と。
この中の「このこととは直接関係するわけではありませんが」という部分が削除されて、「自衛隊の派遣がなければ今回の事件が起こらなかったことも事実であります」という部分のみを報道したマスコミがいくつかあります。
具体的に申し上げますと、産経新聞もそういう報道をされていたのですが、読者がその切り出した部分だけを見て投稿しました。読者はその誤解を招きやすい記事を見て、まさしく誤解をして私の発言に対して抗議しているわけであります。誤解をしやすい記事を載せるだけならまだしも、その誤解しやすい記事に基づいて誤解した読者の発言を堂々と載せるのは、マスコミの姿として適切でないと申し上げ、強く抗議を申し上げたいと思います。この件は産経新聞社ときちんと話し合いをして、そうしたことが繰り返されないようにしたいと考えています。
三位一体の改革と増田岩手県知事からのヒアリング
【代表】次に、今日、増田岩手県知事をお呼びして、三位一体の改革について意見交換させていただきました。
私も意見交換の場まで出ていたわけではありませんが、その時の挨拶で申し上げたことをもう一度述べたいと思いますが、今回の自民党あるいは政府の混乱を見ていますと、非常に情けない思いがします。
3つありますが、第一に情けないのは霞ヶ関の官僚たちであります。国全体のこと、国民のことを思うのでなく、まさしく省益の観点で権限を絶対に渡さないこと。渡すのは将来負担が増えそうなもの、あるいは補助率を下げて権限は渡さないが、辻褄を合わせようとする。そういう省益のみを考えた志のない官僚の姿。極めて情けないと思っています。
しかし、その情けない官僚に輪をかけて情けないのは、その官僚に動かされて、省益のために内閣の一員であることを忘れて動かされている大臣そのものであります。大臣というのは閣議のメンバーとして国全体のことを考えなければならないにもかかわらず、自分の部下である役人に言わされて、お先棒を担いでいる姿は極めて情けないと思っています。
そして、その大臣を指導できない総理はさらに情けないわけです。そもそも今回のことは知事会あるいは各地方団体に対して、総理が丸投げしたことから話が始まったわけで、投げた以上、結論を地方団体がまとめてきたのであれば、総理はそれを尊重しなければならないことは当然です。総理自身もそうしたことは言われています。
それにもかかわらず、各省庁なり大臣が、知事会その他がまとめたものに対して、言いたい放題やらせている。本来、総理が投げかけた問題ですから、それを知事会その他がまとめてきたのであれば、それを内閣全体で受け止めて、内閣の中で意見集約をしたうえで知事会と交渉すべきであるにもかかわらず、まとめるという総理のリーダーシップが全く見えないのは、この国は総理が存在しないのではないかと言われるくらいの惨状だと思っています。
この問題がこれからどうなるか分かりませんが、総理自らが球を投げた話ですから、しっかりとリーダーシップを発揮して、他人事のように言っていないで、党および閣内をまとめる責任があることを申し上げたいと思っています。
都築議員の辞職表明
【代表】それから、先ほど愛知県・比例東海ブロックで当選されている都築譲議員に関連する運動員の有罪が最高裁で確定しました。その確定を受けて、都築議員が議員辞職を表明されたということであります。
先ほど本会議場で(上告)棄却となりましたということを私に報告したうえで、都築議員は本会議場を後にされたのですが、今の時点で別に都築議員が罪に問われたということではありません。
しかし、秘書その他の有罪が確定したということで、今後、連座の責任が問われる可能性がある。その中で都築議員が自らの責任を感じ議員辞職されたということだと理解しております。大変有能な方であり、残念に思いますが、しかし同時に、こうした形で秘書等関係者の有罪が確定したことについては、民主党として有権者の皆様に心からお詫び申し上げたいと思います。
<質疑応答>
政治資金規正法与党案の評価と修正協議の可能性
【記者】政治資金規正法の関係で、今日、与党が法案を提出し、民主党案の提出は4日に提出と聞いていますが、改めて与党案についてどう思うかお聞きしたいのと、民主党として修正協議を含めて国会対応をどうされるのか、お聞かせください。
【代表】まず、この問題は我が党としては、今日の『次の内閣』閣議で議論されるので、法案提出の日程まで決めたわけではありません。それほど時間を置かずに国会に提出することになるとは思います。
我が党の案と与党案との違いは明らかでありまして、いろいろな論点がありますが、少なくとも迂回献金禁止の条項を置くことは、我々としては絶対に必要なことだと思っています。
今回の問題は、旧橋本派の1億円の問題と迂回献金の問題の2つが問われているのですが、迂回献金に関する規定が(与党案には)何もないというのは、迂回献金を容認していると見られても仕方がない、そのように思います。
振込の問題も政党の政治資金団体だけでなく、(その他の政治団体も含めて)広く実施すべきだと民主党案は法案の中で規定していますが、与党案は片方だけ、つまり国民政治協会(自民党の政治資金団体)だけであります。
これについては自民党幹事長の説明によれば、従来から全部振込になっているということですから、実態は何も変わらないということになります。極めて不十分で不真面目な与党案だと思います。
公明党も途中まで迂回献金の禁止を言っていたわけですが、それを引っ込めたのはなぜなのか。当然そのことについて説明責任を負っていると思います。
これに関して言いますと、先の党首討論で小泉総理も調査することを認められているのですが、山崎拓氏に関する振込が現にあったのかどうかについて、これは1分でも調査できると申し上げましたが、あれから少なくとも1週間経っているわけですから、その結果を国民に対して説明する責任があると思います。もし説明できないのであれば、振込はなかったと言われても仕方がないことだと思います。
国会対応は、我々の法案を出して、それぞれの案について委員会で議論するということになりますが、修正協議といってもあまりにも差がありすぎて、なかなかそういうところまで行かないのではないかと。
まず、我々の案について、なぜ与党は認められないのかということをきちんと説明することから話は始まるのだと思います。最低限、私が申し上げたことを修正に盛り込むという意思がなければ、協議しても形だけに終わってしまうと思います。極めて遺憾です。
自衛隊観閲式への出席
【記者】7日の自衛隊の観閲式に出席するということですが、出席する理由について伺えますか。
【代表】出席する理由を改めて説明しなければならないとは思いません。当然のことだと私は思っています。今まで野党党首が出席したことはないと間接的に伺っていますが、むしろそのことが、いろいろな事情があったのだと思いますが、不思議な感じがします。
自衛隊の皆さんは、先の災害でも各地域で住民の生命・財産を守るために、大変なご努力をいただいたわけですし、イラクの問題では見解は違いますが、しかし世界各地でPKO部隊としても活躍している。あるいは国を守る重い責任を持つ人たちですから、50周年に当たってそうした式典があるときに、私が出席することは、むしろ当然であると思っています。
サマワの自衛隊宿営地への砲撃
【記者】イラクのサマワにある自衛隊の宿営地にロケット砲が打ち込まれた問題で、政府の発表が発生から19時間後と遅かったのですが、その件についての感想と、今日の本会議での総理答弁でも「非戦闘地域の条件に触れるものではない」という答弁がありましたが、これについての見解をお聞かせください。
【代表】時間が遅かった理由は、私は承知しておりません。どこで滞ったのか。しかし、こういう重要なことについて、迅速に国民に知らされないということは極めて問題だと思います。
非戦闘地域の話ですが、私はかつて首相官邸で、「将来、サマワで戦闘が行われる、つまり、戦闘地域になる可能性はないのか」と聞いたら、小泉総理は「それは分かりません」というお答えでした。
非戦闘地域の法律上の定義を全くご存じない答弁で、私は呆れてしまいましたが、将来戦闘が行われる可能性があるということであれば、法律の定義上では非戦闘地域ではなくなるわけですから、今回のロケット砲の着弾を見ても、まさしく将来ずっと、私はいまでも戦闘が行われていると思っていますが、仮にいま戦闘が行われないと強弁されても、将来も同じという根拠は全くないと思います。したがって、法律上の非戦闘地域とは言えない状況は明らかだと思っています。
イラクへの自衛隊派遣の延長問題
【記者】イラクの自衛隊派遣延長については、そのこと自体については法律上では国会での承認などは必要なないと思うのですが、それについて民主党は延長を反対していく観点でどのように対応していくのか。例えば、具体的に改正案か廃止案か、何らかの法案で対応していく可能性はあるのかについてお伺いいたします。
【代表】もともと、我々は反対した法案ですから、そういう道もあるかもしれませんが、まずは今の法律に則ったとしても、その要件を満たさないということで反対と言っているわけですから、これから恐らく、前半国会が終わり、後半国会に入るなかで、政治とカネの問題と並んで、この自衛隊の撤退問題、あるいは派遣をやめるという問題は、この国会の2つの大きなテーマだと思います。
今後の年金改革論議
【記者】国会開会前には年金問題の議論を終わらせないということを言われていましたが、厚生労働委員会など現場が動いているにもかかわらず、まだ法案などは提出されていませんが、どのような状況になっているのかお聞かせください。
【代表】法案は現在作業を続けています。やがて国会に提出されます。ただ、法案が出ないと議論できないということではありません。したがって、厚生労働委員会できちんと議論したらいいと思います。むしろ、すべきだと考えています。
近々、党首討論があれば、前回は小泉総理の長い長い答弁で時間が割けませんでしたが、年金問題を是非取り上げたいと思います。
産経新聞社への抗議方法
【記者】産経新聞社への抗議について、具体的にどのように対応されるんでしょうか。また、これまでも代表のおっしゃるような誤解を招くような報道はあったと思いますが、今回抗議することになった理由についてお願いします。
【代表】抗議は党として抗議します。何らかの対応を求めたいと思っています。
今回申し上げたのは、いろいろな発言を捉えて、我々の意を尽くさない報道をされることはままあることですが、その誤解を招きやすい報道に基づいて誤解した読者が投稿した。それをまた新聞に載せるということは、誤解を招きやすい報道をしたということの責任を覆い隠すばかりか、誤解を助長するような報道ですから、それは報道機関の姿勢として、私は問題があると思います。
米大統領選
【記者】米国大統領選について接戦が伝えられていますが、どのようにご覧になっているかお聞かせいただきたいのと、どのように予想しているかお聞かせください。
【代表】これは今言うと、結果が違った場合にあまり格好よくありませんし、私も予想屋ではありませんから、結果が出るまでは発言を控えたいと思います。
輿石参院議員に関する報道
【記者】産経新聞の今朝の報道で、輿石東・参議院幹事長に関連する記事が掲載されています。今日、輿石議員ご本人から報告を受けているかと思いますが、その辺りについてお聞かせください。
【代表】報道を受けて調査しているということでしたので、党としても正式に話をお聞きして、事実関係を押さえる必要があると考えています。まだその段階です。事実であるのかないのか含めて、把握するという段階です。
【記者】今の質問に関連して、国会では「政治とカネ」について政府・与党を追及していくなかで、このような報道が出たことについてどう思われますか。
【代表】自民党なり某所周辺が、民主党の政治とカネをめぐる問題について、何か対抗策として打ち出せるものがないかということで調査をしていたことは承知しています。そのことと今回の報道と関係があるか分かりませんが、もし今回のことが事実であれば、また何らかの法に触れるようなことがあるなら、それはそれとして、党として調査し対応しなければならない問題だと思いますが、まぁ、タイミングが非常にいいですね、という感じはいたします。
産経新聞社への早急な抗議
【記者】産経新聞の記事について代表が抗議したいという理由は分かりましたが、抗議に至るまでに、個別に新聞社に接触し事情を聞くということもあってもいいと思うのですが、そうした段階を経ずにこの場(記者会見)で抗議を表明するのは、私としては性急に思えるのですが、そうした手段を取った理由についてお聞かせください。
【代表】なるべくオープンに、というのが私のやり方ですから。