トピックス

2005.03.31|その他

定例記者会見録 2005年3月

3月29日

○スマトラ島沖余震:党対策本部で取り上げ、きちんとした対応をしていく

○全国行脚達成:現場主義の重要さを改めて認識、夏以降再度再開したい

○BSE問題:重要なのは消費者の視点、最初から結論ありきなら非常に問題

○ローカルマニフェストを提示して地方選挙を行うことは非常に意義深い

○候補者公認:目標の300人に近い状況、良い候補者が揃いつつあることに自信と期待

○郵政:民主党が政権を取ったあとにもう一回練り直すことも十分可能

○将来の郵貯・簡保の民営化も「あらゆるオプション」に含まれる

○某週刊誌の捏造記事に抗議、法的措置も辞さない旨を通告

スマトラ沖余震

【代表】第1点は、インドネシアのスマトラ島沖で、前回の余震と見られる地震が発生しましたが、余震とはいえ、ニアス島では、いま分かっているだけで1000人から2000人の犠牲者が出ているようだとの報道もあります。

これからどの程度拡大していくのかも分からない状況ですが、我々、ともすれば前回の地震があまりにも大きかったもので、簡単に1000人とか2000人とか言ってしまいますが、これは本当にそれだけの人命が一度にして失われることは大変な事態であります。

したがって、日本政府としても、そしてもちろん民主党としても、これに対してきちんとした対応が求められていると思います。我が党にある対策本部でこの問題を取り上げ、きちんとした対応をしていきたいと考えています。

全国行脚達成

【代表】2番目は、ここにパネルを用意しましたが、先日の宮崎県で、47都道府県の全体を回るという公約は達成したということになっています。

それぞれ非常に思い出深いものがあり、意義深かったと思います。農業や被災地、あるいはゴミ・廃棄物など、そうしたところについて、現場に足を運んで見ることがいかに重要かを改めて感じました。福岡の地震もそうですが、メディアを通して見聞きすることと、現場に足を運ぶということとは、かなり受ける印象が違うわけで、現場主義の重要さを改めて認識したところであります。

短期間しか行くことができなかった県もありますし、これで終わりということではなく、補選、都議選にしばらく集中したいと思いますが、夏以降、7月以降ですね、再度再開して、しっかりと現場主義を徹底していきたいと思います。そして、その結果を政策、次の政権政策につなげていくことも極めて重要だと思っています。

BSE問題

【代表】3番目にBSEの問題ですが、今日も何社か社説でお書きになっていたと思いますが、まず食品安全委員会の専門調査会で20カ月齢以下の牛について、これは国産の問題ですが、全頭検査から除外するという方針が決定されたということであります。

もちろん、それでリスクがゼロになったわけではありません。それは専門調査会の報告自身にも明記されていることであります。国民の皆さんの不安が、これで解消したということは言えないと思います。

こうした食品の安全に関わる問題は100%ということは残念ながらあまり考えられないことで、一定のリスクは残ると。しかし、それを全体として見たときに容認できるリスクなのかが問題で、今回の結論について、私自身、大きな異論があるわけではありませんが、しかし「国民に対する説明」という意味では、国民が納得して結論が受け入れられるよう、政府にもさらなる努力を求めておきたいと思います。

今後の焦点は米国産牛の輸入の問題になるわけですが、1つは迅速に対応することは重要だと思います。必要以上に時間をかけることは、決して望ましいことではありません。ただ、問題は「迅速」という名の下に、いい加減な対応になってはもちろんいけないわけで、その兼ね合いの問題だと思っています。

当面注目されるのは、諮問の内容です。食品安全委員会としては、諮問されたことについて検討し答えを出すわけですから、どういう諮問が出されるかということが極めて重要だと思っています。月齢管理がきちんとできていないなかで、本当に、例えば「20カ月齢以内」ということが特定できるのかという問題や、その処理が本当にきちんとなされているのかなど、いくつかの疑問点が提示されていますから、それに対して、消費者が納得できるような結論が検討され、なされることを期待しているところであります。

あくまでも重要なのは「消費者の視点」ということであって、その視点を見失ってしまっては、長い視点で見たときに、決してアメリカにとっても良いことにはならないと思います。日米関係、重要ですけれども、国民の最も関心の高い重要なポイントである「食の安全」をないがしろにして結論を必要以上に急ぎ、最初から結論ありき、ということでは、それは非常に問題だと思っています。

<質疑応答>

ローカルマニフェスト

【記者】今日16時から記者会見があるのですが、「ローカルマニフェスト推進会議」が党内で発足します。これを受けて、民主党が積極的に推進してきたマニフェストと、地方で作られるマニフェスト、また、民主党は地方分権を政策として打ち出していますが、これとの兼ね合いについて、ローカルマニフェストを使って、どのように民主党の考え方を浸透させていこうとお考えでしょうか。

【代表】ローカルマニフェストを使っていくというのではなく、それぞれの地方選挙においてマニフェストを提示して地方選挙を行うことは、非常に意義深いことだと思っています。すでにいくつかの改革派というべきか先進的というべきか、知事・市長の中でマニフェストを掲げての首長選挙が実現していると思いますが、それが全国に広がっていくことは、日本の選挙の質を上げることにつながります。

国政レベルでのマニフェスト選挙と、ローカルマニフェストの選挙とが相まって、従来型の良いことばかり並べた公約選挙から、本格的な具体的政策を競う選挙になっていくと。そういう意味で非常に意義の深いことだと思っています。

候補者の公認作業

【記者】今日の常任幹事会で2人が新たに公認され、これに250選挙区が埋まったということですが、昨年の代表選挙のときに、3月末までに300小選挙区目途に(候補者を)立てたいと話していましたが、その目標の達成度について代表はどのように評価しているか、教えてください。

【代表】これで作業のヤマはもう越えつつあるという認識です。この前、地域限定で公募した選挙区もあります。もちろん、その選挙区すべてが決定まで至るかどうかは、これは応募していただいた候補者について精査しなければならないので、誰でもいいというわけではいけませんので、その点は若干残りますが、これからは1つひとつ、きちんと決めていく段階になりつつあると思います。

3月末までに300というのは大きな目標でしたが、今それに近い状況になっていると。つまり、はっきり決まった以外に、事実上決まっているものもありますので、残されたものは非常に限られてきたということだと思います。

数だけでなく中身も含めて、非常に質の良い候補者がいま揃いつつあることに対して、自信と期待を持っています。

年金協議

【記者】年金制度改革について、改革案の骨格を今年秋までにまとめることを、与党との協議を進めていく前提で強調されてきましたが、先週金曜日の5党幹事長の口頭合意を見ると、「今年秋までに改革の方向付けを行い、骨格の成案を得ることを目指すことを確認した」となっていますが、「今年秋までに」というのは、ここにある「成案を得る」に係ると民主党は受け止めているのか、与党との交渉の当事者から代表はどのような説明を受けているのか、お聞かせください。

【代表】私は特に説明は受けていません。ただ、その文書を読めば「今年の秋までに骨格の成案を得る」ということ以外には、ちょっと読めないのではないかと思います。

【記者】年金についてですが、決議案作りが政調会長、議運理事の下で行われていると聞いていますが、決議案の中に全額税方式について盛り込んだほうがいいと思っているのか、盛り込まれなくても、そこは民主党として絶対に引けない点なのか、お伺いします。

【代表】決議案は具体的には政調会長以下に任せていますので、個々の中身はフォローしているわけではありません。おっしゃることも、我々としてはそういうことですが、それをいまの段階で「飲め」と言ったら、それは「イエス」という答えは絶対に返ってこないわけですから、書くとしても検討課題として書くということになるのだろうと思います。そうしたことが必要かどうかも含めて、まずは現場にお任せしておきたいと思います。

郵政改革

【記者】今日、郵政改革調査会総会で民主党の郵政改革に関する考え方がまとまったのですが、小泉民営化については反対という内容だったと思いますが、民主党が政権を取った場合、仮に小泉民営化が実施された場合、それをひっくり返して民主党が考える路線、つまり規模縮小など、民営化を引き戻すような作業が行われるのかお聞きしたいと思います。

【代表】かなり仮定を置いた質問だと思います。まず、小泉民営化というのも最終的な姿は見えていませんから。それができるかどうかも、これからの国会ですから。我々はそれに対して反対しているなかで、できたときの仮定の議論は非常にお答えしにくいと思います。

ただ、いずれにしても政府案も一挙にそれを実現していくわけではありませんので、近々政権交代が行われれば、その段階ですべての政府案ができているということではありませんから、その意味で私たちの考え方を中心にもう一回練り直すことは十分可能だと思っています。

しかし、(小泉民営化が)できるというふうに私たちは思っていませんから、その前提のご質問に対して、仮定の仮定を置いてお答えしたということで理解していただきたいと思います。

党調査会報告

【記者】今日の郵政改革調査会で了解された中間報告についての代表の見解について、改めてお聞かせいただけますか。

【代表】これは政調会長あるいは五十嵐ネクスト総務大臣と協議しながら作ってきたものでありますので、もちろん私はこれに賛成です。

【記者】中身についてのご見解を改めてお聞かせ願えますか。

【代表】これで賛成です。

郵政事業の将来像

【記者】この中で、将来像について、「あらゆる選択肢がありうる」という表現になっていますが、そこにあえて民営化という例示は入れなかったわけですが、この部分についてはいかがでしょうか。

【代表】「あらゆる選択肢がある」ということは、あらゆる選択肢があるわけですから、そのことに対して私が特に異を唱える理由はありません。

郵貯・簡保のあり方

【記者】その中で、民営化ではなくて、郵政から政府が完全に撤退する、将来的に郵政公社をなくしてしまうという意見も郵政改革調査会の中で出たということなのですが。

【代表】それは正確ではないと思います。むしろ郵貯・簡保をなくすということでしょ?郵便をなくすという選択肢はないと思います。

【記者】郵貯・簡保を、民営化ではなくて完全に民間の他のものに預金などを移して、郵政公社自体が、株式会社化もしないでなくなる、という選択肢もあったということですけれども、代表の中で将来像は、民営化か撤退か、どちらに近いでしょうか。

【代表】ちょっと私、おっしゃっている意味がよく分からないのですが、郵便がある以上、何らかの担当する部門が必要ですから、公社がなくなるというのは、ちょっと理解しがたいことです。

【記者】すみません、言い方が悪かったのかもしれませんが、郵貯・簡保の機能自体を他に全く移してしまうのか、公社は郵便だけを扱うことにするのか、そことのところは。

【代表】それはあらゆるオプションがあるというのが我が党の現時点における考え方ですから、あらゆるオプションというのは、あらゆるオプション。おっしゃったことも、オプションの中にはあるのだと思います。

【記者】代表はもともと(郵貯・簡保)2事業については、将来的には民営化が筋とか望ましいという言い方をされていましたが、今回の報告書の中から「民営化」という言葉は落ちて、「あらゆる選択肢」と言い方になりましたが、外から見ていると少し後退したような気がしますが、ここはどのように説明されますか。

【代表】私が郵貯・簡保について民営化が筋であると述べたときには、「筋であるが、今の小泉総理の考え方ではその具体的モデルが見えない」ということも申し上げてきたわけです。

我が党が基本的に考えていることは、少し公社の形で時間をかけて郵貯・簡保を縮小していくと。その中で次の望ましい姿を模索していくということですから、模索していくなかにあらゆる選択肢があるということですので、私の意見はきちんと入っていると認識しています。

人権擁護法案

【記者】人権擁護法案についてですが、自民党で人権擁護委員に国籍条項を設けるということを検討していて、国籍条項について民主党は検討していないと思うのですが、国籍条項を入れるべきかという点について、また政府が出してこないことで、民主党が独自に議員立法として提出するお考えがあるのかお聞きします。

【代表】前者の話は、また部門で議論されるのだろうと思いますが、代表(である私)がそれを飛ばして「こうだ」というよりは、より具体的な話だと思います。

私は大きなところの方向性は別に党内議論がなくても示したいと思いますが、個々のことについて細かく具体的に言うつもりはありません。それは党内できちんと議論することが筋だと思っています。

2番目の話は、これはやり方の問題ですが、しかし自民党の中でまだいろいろな議論をしているときに、それを飛び越してそうすることが良い結果に結びつくのかどうかということは、私はもう少し自民党の状況を見守ったほうがいいのではないかと思っています。

週刊誌の捏造記事

【代表】それから先ほど言い忘れましたが、最近メディア、週刊誌ですが、全く事実を捏造したような記事が見られましたので、ここについては、該当する出版社に対して、党として抗議を申し上げ、場合によっては法的措置も辞さないということを、今日通告することを申し上げておきたいと思います。

3月22日

○マラッカ海峡:人質の解放に安堵、再発防止のための具体策が必要

○福岡地震:鳩山元代表の現地調査、対策本部の開催などしっかりと対応

○旧橋本派1億円:与党は証人喚問やる気なし、世論に訴え事実解明を進めたい

○官僚答弁の棒読みや争点ズラしで国会審議がどんどん形式化していく

○代表として、時と場合によっては方向性を一歩先に進めるために発言している

○地方視察:現場を目で見て意見を聞くことはこれからの政策につながり有益だった

○証人喚問で対立しても年金は協議することは、与党が本気なら問題ない

○年金協議はダラダラと先延ばしすべきでない、だからこそ今秋という期限を設定

マラッカ海峡日本船舶襲撃事件

【代表】先ほど衆議院本会議でも、小泉総理からも各質問者からも話がありましたが、1つはマラッカ海峡における日本船の襲撃事件について、無事3名の皆さんが解放されたことについて、良かったなという安堵の気持ちとともに、喜びたいと思っています。

ただ、海賊の問題というのは、かねてから言われてきた懸案事項でありますので、それぞれの国の主権も絡む非常に難しい問題ではありますが、被害に遭う我が国としては、是非ともしっかりとした対策が必要であり、関係国ともよく話し合って、再発防止のための具体策が必要ではないかと考えています。

福岡県西方沖地震

【代表】福岡県西方沖地震災害でありますが、お亡くなりになった方、被災者の方に対してお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。我が党としては、鳩山先生が現地におられましたので、早速調査を要請し、お見舞い方々、現地に行って実態の把握に努めたところであります。

今日3時15分から、幹事長を本部長に、第1回の対策本部を開いています。実情をよく把握したうえで、しっかりとした対応をしていきたいと思います。

私も現在の予定では土曜日に福岡入りをすることにしていますので、すでに予定が相当組まれており、なかなかしんどいところがありますが、被災者、被災地の皆さんに対するお見舞いを申し上げる機会を是非つくりたいと考えています。

地震が起こって改めて感じるのは、棚上げになっている被災者生活再建支援法の問題であります。この問題は代表質問で取り上げて以来、大きな懸案事項であります。我が党はすでに修正案を出していますが、話は一向に進んでいないという状況にあります。

新潟の場合でも、それほど多くの予算がかかる話ではありません。生活の基盤である住宅本体の再建に活用していくということについて、この程度のことがなぜできないのかという思いを強くしています。この問題は今後とも引き続きしっかりウォッチして、法案修正を勝ち得ていきたいと思っています。

旧橋本派1億円問題と証人喚問

【代表】3番目に、予算が参議院でも予算委員会が大詰めを迎えていまして、予算成立も秒読みに入ってきたかと思いますが、その中で、旧橋本派1億円問題が置き去りになっていまして、今日も予算委員会の理事間協議が行われたと承知していますが、具体的前進はなかったと。予算成立までに何らかの目途をつけるという趣旨の合意を交わしているわけですが、全くやる気がないということであります。

もちろん、証人で呼ぶということになれば全会一致が原則でありますから、与党が賛成しなければ実現できません。与党は全くやる気がないということがはっきりしたと思います。あとは世論にいかに訴えていくかということだと思います。

裁判でも新しい事実が次々と出てきていますので、そうしたことについて世論に訴えながら、是非とも事実解明を進めていきたいと考えています。

<質疑応答>

証人喚問の実現可能性

【記者】証人喚問についてですが、今の発言だと、事実上、証人喚問はできないのではないかという感触を得られたようにも受け取れるのですが、その点についてはどうでしょうか。

【代表】私が申し上げたのは、予算成立までに一定の方向性を出すという合意について、実現の可能性が極めて薄い、ということです。予算成立も間近ですから。

もちろん明日、国対委員長間での協議もあるということで、諦めてはいませんが、事実上かなり難しくなっているということで、証人喚問そのものを諦めたのではありません。合意の実現が困難になってきているということです。

前半国会の総括—-民主党・与党の論戦力

【記者】予算成立ということで、この通常国会2カ月半を振り返っていただきたいのですが、2大政党制になって、与野党の論戦が本格化すると見られていたのですが、民主党の論戦力の総括と、与党の論戦に対する評価をお聞かせください。

【代表】我が党としては、かなりいい議論はしたと思います。ただ、相手のあることですから、今日の本会議もそうですが、相手が官僚の書いた答弁を棒読みするだけで、あとは争点をズラしてまともに答えないという姿勢の中で、国会審議がどんどん形式化していくという側面があったことは否めないと思います。

やはり国民に対して、その前で議論しているのだという意識を総理始め各大臣に持っていただきたいと思っています。

代表のリーダーシップ

【記者】最近の年金問題や人権擁護法案、NHK予算の問題などを見ていて、岡田代表のリーダーシップというか、発言というのが、かなり大きく党の政策なり方向性を動かしているように見受けますが、こう言ったら失礼かもしれませんが、質問によっては「これから議論する」「まだ私のところに来ていない」といった答えもあるなかで、最近そのように発言される真意というか、リーダーシップについてどのようにお考えかお聞かせいただけますか。

【代表】非常に難しい問題だと思います。私も党の大きな方向性とズレた発言をしているつもりはありません。大きな議論の方向性を踏まえながら一歩踏み出すときがあるということで、全く方向違いの議論をしているつもりはありません。

議論の成立を待っていたのでは、なかなか結論が出ないということもありますから、代表として、時と場合によっては、方向性を一歩先に進めるための発言をしているということです。

これは別に記者の皆さんの前でしているだけではなく、『次の内閣』でも相当言っていますので、代表としてリーダーシップを発揮すると言うとややおこがましいですが、議論の方向性をはっきりさせるために、場合によっては発言しなければならないと思っています。ただ、あまり発言しすぎないようにも気を付けています。

「世論に訴える」方法/地方視察の一巡

【記者】証人喚問の話に戻りますが、「世論に訴える」という手段について、どのようなことをお考えかをお聞きしたいのと、今度の土曜日で地方視察が一巡しますが、その成果についてお聞かせいただけますか。

【代表】まず、最初のご質問は、まだ予算が成立するまで、非常に少なくなったとはいえ時間がありますから、今、決定的なことを申し上げるつもりはありませんが、予算が成立して、その1億円の証人喚問の問題について何の進展もないということになれば、これは与党の約束違反ということだと思います。

それは私たちに対する約束違反であるとともに、国民に対して責任を果たしていないということです。したがって、これは補選も含めて大きな争点にしていくということです。

地方視察の話は(最後の視察地の)宮崎ですることになっていますので、あまり今ここですることもどうかと思いますが、47都道府県を回り、もちろん同じところに何度も行ったところもあります。

いろいろな思いを込めて地方行脚をしていますが、1つはやはり現場を見る、そして現場で多くの人々と意見を交わすことは1つの狙いです。

現場といっても様々なものを見てきましたが、比較的多かったのは農業や林業、あるいはゴミ(処理場)とかですね、そうしたものが多かったという感じをしています。

やはりそれぞれの現場がどのような問題を抱えているのかを、しっかりとこの目で見て、意見を聞くことは、これからの政策につながる話ですので、非常に有益だったと思います。

私は元々、自分の地元を回るのが大好きな人間でありますが、代表になって、なかなか地元回りができない分、全国を回っているという感じです。

今後、そのような意味の「現場を見る」ということはこれからも続けていきたいと思いますが、候補者の応援にウェイトがかかるかもしれませんが、1日何人かの候補者を応援に行くのであれば、その間少なくとも1箇所くらいは現場を見、そこの皆さんと意見交換することをこれからも続けていきたいと考えています。

学校や福祉に関わる部分、農林水産業のうち漁業とか、製造業といった部分は、まだ十分に見ていないかなと思っています。

それから、地方のメディアの方々や首長といった方々とも意見交換することも心がけてきたつもりです。

あわせて候補者の応援もすると。先ほど数えていましたら、候補者、当選1・2回生で20〜30人くらいの方の所は回ったかなという感じはします。全部で200人くらいと思っていますので、まだまだ道は遠いのですが、国会が終われば、そうしたことに集中していきたいと考えています。

約束違反をする与党との年金協議

【記者】証人喚問に関連して、今、代表は「与党が約束違反をした」とおっしゃっていますが、片や約束違反をした与党と年金改革の協議について前向きな議論をしようと調整中だと思います、そうした約束違反をする与党と一方では年金協議のほうでは前向きに議論するというのは、いわば又裂き状態という気もするのですが、どのようにお考えでしょうか。

【代表】ただ、それを言ったら、0か1のコンピューターの世界になってしまいますから、この問題とあの問題とは違うということは全くおかしなことではないと思います。これは徹底的に対立する法案と、協議して修正を練り上げる法案とが同時進行することは、全くおかしなことではありません。

証人喚問については決定的な対立ということですが、年金について与党のほうが本気になって抜本改革をやっていくということであれば、協議することは何の問題もないと。むしろ国民がそのことを望んでいる、必要なことだと思っています。

年金協議の期限設定

【記者】年金協議に関連して、週末に小沢一郎副代表が盛岡で会見された際、協議に関して「曖昧な、いい加減な形で続けるべきではない」と発言されたそうなのですが、これについてどのようにお感じなのか、ダラダラとやるべきではないと思うのであれば、交渉の期限などをお考えなのか、お伺いします。

【代表】ダラダラやるべきでないと、単なる先延ばしのために交渉すべきでないと。そのための協議をすべきではないというのが私の出発点であります。

だからこそ、今年の秋までに年金の抜本改革の骨格をつくり上げると自ら期限を設定しているわけで、それができないということであれば相手に誠意がないということになると思います。

国会法に基づく協議の場

【記者】年金の関係で、当初は国会法に基づいた協議の場をつくるかと思いますが、実質的に公開されて、なおかつ議論の蓄積が残って、しかも社民党、共産党の方々も入れるという場であれば、必ずしも国会法に則らなくてもいいと考えてもいいのでしょうか。

【代表】これは交渉の最中ですから、あまりこちらから具体的なことは言わないほうがいいと思いますが、重要なことは、今の国会法の中できちんと書かれているものであるかどうかということよりは、実質的にそのことが担保されればいいということだと思います。

他の2党については、私は他の2党が(協議の場に)なければいけないというふうには思いません。他の2党が望むのであれば参加できる形が必要だと思っています。

いずれにしても国民に開かれた場で、国会の枠の中できちんと議論することが必要だと思います。

3月15日

○日本船舶襲撃:でき得る限り政府に協力、マラッカ海峡の安全確保の仕組みを

○NHK予算:これだけの受信料不払いは顧客である国民がNOを突きつけている

○NHKと政治の関係:一定の中立性・距離感・独立性が確保される自己改革を

○ロシア大使と懇談、日露間の話し合いは全く進んでいないという印象を受けた

○前栃木県知事を衆院選の候補者として公認、政権獲得後は分権で活躍を

○中西議員の辞職:自覚を持って行動するのは当然、今回の事件は論外

○領土問題・海洋権益問題は先送りせず解決を、国民への十分な説明も必要

マラッカ海峡日本船舶襲撃事件

【代表】まず、マラッカ海峡における日本船舶襲撃事件については、党としても重大な関心を持って見守っているところであります。誘拐された日本人を含む3名の皆さんが無事救出されることを心から期待し、民主党としても、でき得ることを政府に対して協力していきたいと思っています。

私もマラッカ海峡へは先般、昨年12月にマレーシアを訪れた際に現地に行きまして、状況の視察もしたところであります。それぞれの国の主権が関わりますから、いろいろ難しい問題があると思いますが、マラッカ海峡の安全な通行が確保されるために、日本も含め国際社会が協力する仕組みが検討されるべきではないかと思っているところであります。今回の事件は、その必要性をより認識させたということだと思います。

NHK予算審査

【代表】2番目ですが、NHK予算について、いま審議が進んでいます。最終的には政調会長、そして五十嵐『次の内閣』総務大臣と相談して、我が党としての賛否を決めることになります。したがって、現時点ではまだ正式に決めているわけではありませんが、私が聞いている範囲で申し上げますと、こういう状況では賛成することはかなり難しいだろうと思っています。

理由はいろいろありますが、それはまた正式に決めたときにお聞きいただければと思いますが、私としては、これだけの受信料の不払いがあるということは、NHKの顧客である受信者がNHKに対して「NO」を突きつけていると。しっかり改革して信頼を取り戻す努力が足りないと受信者、つまり国民のかなりの部分が見なしているということだと思います。

NHKの放送内容について、私自身も「NHKスペシャル」などいくつかの番組をよく観ますし、その内容について一定の評価をしているものでありますが、しかし政治との関係について、きちんとした一定の中立性、距離感、独立性が確保されるような自己改革をしっかりやってもらいたいと思います。事前に番組の中身を説明しても構わないと言わんがごとき発言は、断固認められないと思っています。

事後的にいろいろな評価について番組に寄せられることは当然ですし、民主党も私も、そうしたことは当然、今までもあったし、これからもあると思います。

ただ、事前に説明し、説明すればそれに対する反応があるわけですから、そして番組が変更されれば、それは当事者が何と言い繕うとしても、一定の影響力の行使があったと言われかねない問題です。そうしたことがないように、事前に説明する悪弊はやめたほうがいいと思っています。

駐日ロシア大使との懇談

【代表】3番目。今日、駐日ロシア大使がお見えになりまして、1時間近く意見交換をしました。詳細は省きますが、その中で大使が言っていたことは、なかなか交渉に全くならないということをしきりに言っていました。

もちろん、大使の一定の判断の中で言われていることで、それをそのまま真に受けるわけではありませんが、物事は交渉事ですから、日本側に一定の考え方があり、何よりも領土問題、平和条約の問題を解決しようという総理大臣の政治的な意思が外務省に示されなければ、外務省としても動きようがないということだと思っています。

プーチン大統領というリーダーシップのある政治家がいまトップにいるチャンスを活かしきれるかどうか。私はこのチャンスを活かすべきだと考えていますが、残念ながら今日の大使の話を聞きますと、日露間の具体的な話し合いは全く進んでいないという印象を受けたところであります。

大使は、高い給料をもらって、日本中あちこちに時間があるから見て回ると。それはそれでいいけれど、私はそのことのために大使になったのではない、という趣旨を言っていました。

一定のいろいろなことの中で、そうした発言をされたという可能性を割り引いたとしても、重要な問題について、日露間で具体的な話し合いが全くなされていないことを想像するに十分な発言だったと思っています。

<質疑応答>

定数是正訴訟と補欠選挙

【記者】東京4区の選挙の問題で伺います。中西一善議員が辞職することで補選になるかと思われましたが、公職選挙法の規定で(定数是正などによる当選無効確認訴訟の最中は)補選にならないという問題があります。この点について、国民が裁判を起こす権利という問題と、地域の住民が国政に代表を送り込む機能という2つの問題があると思いますが、このバランスについて代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】この問題は前にも申し上げましたが、非常に難しい問題であります。したがって、少し『次の内閣』で議論するように、今日の役員会の場でも政調会長にお願いしました。今おっしゃった2つの権利はいずれも重要な権利ですから、あまり簡単に結論づけられるものではないと思います。

ただ今日、江田さん(参議院議員会長)が言われて、なるほどと思ったのは、最高裁まで、つまり司法判断に時間がかかりすぎているということも、こうした事態が起こる1つの原因ですから、そこをもう少し早く結論を出すような仕組みをつくると。

そういう方向での解決も、完全には封じ切れませんが、かなり事実上は弊害を除去できるということですから、第3の道も含めてよく検討していくべきだと考えています。

自民党憲法起草小委

【記者】自民党の憲法起草委員会小委員会の意見集約の要旨が、昨日まとまったのですが、その中に(自衛隊を)「軍」と明確に位置づけるべきなどといった内容があると思いますが、これについて代表のご感想をお聞かせください。

【代表】まだ途中だと認識していますので、あまり(他の)政党の途中経過について、代表がコメントすべきかどうかということがあると思います。代表がわざわざコメントしなければいけない段階の話ではないと思っています。

人権擁護法案と国籍条項

【記者】人権擁護法案の問題ですが、自民党の中で、人権委員会に国籍条項を(外国籍の人間を人権委員に任命しない)との話が強まっていますが、これについて民主党の考え方をお聞かせください。

【代表】これも代表がそこまで具体的にコメントする話ではないと思います。江田さんの下にプロジェクトチームもありますから、そこで議論していただければいいことではないかと思っています。

福田前栃木県知事の衆院候補者公認

【記者】今日の常任幹事会で、次期衆院選に公認決定された6人の中に、福田昭夫さん(前栃木県知事)が入っていますが、前知事の方が公認されるというのは珍しいケースかと思いますが、これは政治家としての即戦力への期待感とか、民主党が地方分権を進めるうえで知事経験者の力を借りたいという思いなどがあると思いますが、代表はどのようにお考えでしょうか。

【代表】福田さんとは今日も常任幹事会の後、10〜15分ほど話しました。私としては知事の経験を活かしてご活躍いただきたいと。民主党政権ができた際に、地方主権、分権の話は非常に大きな課題なので、福田さんには是非当選していただき、政府の中で、あるいは党の中でご活躍いただきたいと申し上げたところです。

考え方としては、民主党にかなり近い考え方を従来からお持ちの方だと理解していますので、非常にいい候補を立てることができたと思っています。

中西一善議員の辞職

【記者】先ほどの本会議での中西議員の辞職の許可についてですか、改めてこの事件についての受け止め方をお聞かせください。

【代表】ちょっとコメントのしようがないですよね。やはり国会議員たるもの、約10万人の有権者に選ばれて国会議員の資格を得ているわけですから、しかも国権の最高機関である国会の構成員ですから、その自覚を持って行動するのは当然で、今回の事件は論外だと思います。

特殊法人改革本部

【記者】今日の代議士会で、党として「特殊法人改革本部」を立ち上げるという説明があったと思うのですが、この狙いや構成についてご説明をお願いします。

【代表】具体的なことは事務方に聞いていただきたいと思います。

ただ、特殊法人改革が小泉内閣の下で現実には進んでいません。独立行政法人化されたものも含めて、当初言われていたことと現実は全く違いますので、そうしたことについて我々としてもしっかりと把握すると。そして、そうしたムダをいかにしてなくしていくか、実効性ある対策を考えていく、ということであります。

領土問題・海洋権益問題に対する民主党政権の対応

【記者】外交についてお伺いします。今日のロシア大使との話でも領土問題に触れる場面があったと思いますが、最近の竹島の話や東シナ海のエネルギー問題など周辺諸国と一部問題になっている部分があると思いますが、民主党が政権を取った場合、領土問題や海洋権益問題について、いまの政権とどのような違いがあるか、どのようなことを目指していくのか、お考えをお伺いします。

【代表】少なくとも先送りをしないという姿勢で解決していきたいと思います。海洋権益の問題も竹島問題も、いずれも先送りしてきたことが事態を複雑にしているわけです。その意味で、先送りをしない解決を目指していきたいと思います。北方領土も同じです。

ただし、そのような問題を解決するときには、国民に対する十分な説明が必要だということは言うまでもありません。

政府に対する対露外交の働きかけ

【記者】関連ですが、ロシア大使との会談で、交渉が全く進んでいない印象を受けたということですが、それを受けて民主党として政府に働きかけることなどお考えでしょうか。

【代表】外交交渉は政府の専管ですから、私たちが働きかけるという余地はあまりないと思います。

ただ、大使に申し上げたことは、プーチン大統領は非常にリーダーシップのある政治家で、プーチン大統領在任中にこの問題は解決すべきだと。そして、民主党は来年秋に総選挙が行われれば、その段階で政権を取り、翌年の夏の参院選で勝てば、衆参ともに過半数を制することになる、その段階で本格的な交渉は可能になる—-ということを申し上げました。

もう1つ申し上げたのは、こういう長い経緯を持つ問題は、政権が代わるということが1つの解決するチャンスであるということも申し上げておきました。

奥田経団連に対する評価

【記者】奥田経団連の評価についてお聞きしたいと思います。この10年くらい財界を見ていると、献金のあり方や政策評価など、際立って奥田経団連は活動していますが、政界への関与や評価など、財界のあり方について代表はどのように思われるでしょうか。

【代表】政策評価をすることは自由だと私は思います。経済団体であれ、その他の団体であれ、政党の政策について評価することに対して、私たちが「それはすべきでない」という立場にありません。

ただ、前から申し上げていますように、立場が違いますから。例えば、環境税の問題などは、経団連は表向きは少なくとも極めて否定的で、したがって我々の環境政策に「不合格」と言われるわけですが、それは私たちと立場が違うわけで、経団連から見ればそうかもしれませんが、国民の立場から見れば環境税は必要です、と申し上げているところです。

経済団体という立場として、そのような評価付けをしているということは、私からそのことについて異論を述べる立場にはありません。

年金目的消費税の税率

【記者】年金の話についてお伺いします。週末のテレビ出演で、代表は財源の部分について、残り全部を消費税で賄うなら3%では足りないかもしれない、との趣旨を述べられたと思います。仙谷政調会長は、給付が10万円くらいになるなら消費税は5%くらい必要になるかもしれない、との趣旨を言っていたと思いますが、それに関連し、今まで民主党は財源について、(国庫負担)2分の1(引き上げ)までは歳出削減で行う方針を決めていたと思うのですが、これについては動かす余地があるのか、まだそこは固まっていないという認識でいいのでしょうか。

【代表】私はあのとき(テレビ出演時)も申し上げたのですが、(国庫負担)2分の1までは歳出削減でやりますと。残りの2分の1を消費税で行うと。そのときには、3%ということが私たちの主張ですと。しかし仮に、それを全部行うとしたら3%では足りないと申し上げたわけです。論理的に申し上げただけです。

【記者】仙谷政調会長の発言は、給付の水準によってですが(消費税率が)5%になり得る話もしていたと思うのですが、これについては?

【代表】どのような趣旨でおっしゃったのか分かりません。我々は7万円くらいという計算をしていますが、それは10万円に上がれば、確かにそこに財源不足が生じるかもしれませんが、どの時点で上げるかということも分かりませんから、全体の名目成長を遂げたあとの話であれば、消費税率3%のままでも税収が増えるわけですから、どのような意味合いで言われたのか、私にはよくわかりません。それは仙谷政調会長にお聞きください。

領土問題・海洋権益問題の調整方法

【記者】先ほどの竹島と海洋権益の話に戻りますが、先送りをしない方針で行くと、従来どおりの立場で行けば、相手国と真正面から主張がぶつかって友好を阻害する可能性があるかと思うのですが、その調整はどのようにしようとしているのか、お聞かせください。

【代表】それぞれの事案ごとに、最も望ましい方法で行っていくべきだと思います。竹島の問題も、いま確かに韓国の中はある意味では非常に世論が沸き立っていますから難しい問題もありますが、とはいえ何も言わなければ既成事実が積み上がってしまいます。客観的に決めるというやり方もあると思います。そうしたことは、我々が政権を取れば、その時点で最善の方法を追求していくと。少なくとも何もしないで先送りすることが、先ほど申し上げたように事態をどんどん複雑にしているので、そういう手法は取らない、ということです。

3月8日

○両院議員懇談会で年金協議開始に向けた交渉に入ることを了解

○年金法案の強行採決に対する反省なく、参院選後の議論に応じなかったは総理

○人権擁護法案:メディア規制条項は削除、メディア側には自己努力を求める

○大臣の海外出張:もとは参院自民党が制限、国会改革全体の中で議論すべき

○納番制:経済取引はプライバシーより事実把握が優先、政治が国民に説明を

○証取法改正:議論は冷静に、感情論に走って拙速でやるのは問題

○年金の議論は国会でオープンに

○総理の任期中に社会保障全体の答えを作るなら年金改革案の骨格は秋までに

○補選:平田・門間両候補への期待感、民主党への期待感は高い、全力を尽くす

年金抜本的再改革と両院懇談会

【代表】私から2点申し上げておきたいと思います。第1点は年金の問題であります。今日、両院議員懇談会を開きまして、おおむねの方向性について説明し、了解をいただいたと思っております。

この問題は以前から申し上げていますように、年金あるいは社会保障制度の問題について、与野党できちんと議論ができ、合意ができるのであれば、それがベストだと。しかし、そのことが本当にできるのかどうかということについては、注意深い対応が必要であると申し上げてまいりました。

先の参議院選挙を終えて、我が党としては法案を出したわけですが、その後、与党は議論に応じることなく、たなざらしになってきました。この国会でいくつかの問題点について、私は代表質問で質したわけです。昨年の臨時国会でも3点について質問しました。そうした問題について、ある程度の方向性が出つつあると。

そして、年金をまず今年の秋までに骨格を固めるということについても申し上げ、小泉総理からは「自分も年金から、ということについて何の異存もない」という答弁も得ましたので、これから協議の枠組みについて議論するという条件は、ある程度整ったと思っています。

もちろん、具体的に協議に入れるかどうかは、幹事長レベルで明日、最初の会合が持たれます。我々としても、抜本改革を本当にやるのかどうかという確認、あるいは先ほど言いました、まず年金からしっかり議論して骨格を固めていくことの確認、その他いくつかの点について申し上げることになると思います。

今日も小泉総理は、10カ月間、この問題は参議院選挙後から放置されたというか、前に進まなかったことについて、いろいろ無責任な発言をされたようですが、「早く協議しないと進まないので、協議入りが決まってよかった」ということですが、私はこの間、2つのことは指摘しておかなければならないと思っています。

1つは、参議院選挙前に参議院で(年金法案を)強行採決したという事実であります。そのことについて、何の反省もないと受け止めています。

そしてもう1つは、昨年の2つの国会で我々が法案まで提示して年金の議論をしようと申し上げましたが、国会での議論に応じようとしなかったのは、小泉総理その人であります。そしてこの10ヵ月間、協議しようということはいいですが、具体案について、党の中で議論した形跡は全くありません。いまだに自民党や与党案がない状態であります。それについては猛省を求めたいと思っています。

今後、心を入れ替えて真剣に協議をするということであれば、そのことの担保が取れれば、もちろん協議をしていくことは、やぶさかではありません。その協議の場は国会であると考えています。

いずれにしても大事なことは、国民の立場に立って、この年金という最大の関心事をしっかり政治が受け止めて、真摯に議論していくことであって、そのことが政局的にどうとか、政治的な判断をしてもてあそぶということがあっては決してならないと思っています。

きちんと結論が出るという確信が持てたときに、我々は本格的な協議に対して入っていくことになります。私としては、是非誠意ある対応を与党側が行い、国民の立場に立った議論ができることを強く求めていくところであります。

人権擁護法案

【代表】それからもう1つは週末に、人権擁護法案について私が、愛媛だったと思いますが、申し上げたことについてであります。

基本的にそういうこと(メディア規制部分の削除)を全く修正するつもりはありませんが、少し丁寧に申し上げますと、2002年に我々が出した「人権侵害による被害の救済および予防に関する法律案」の大綱というものがあります。その中では、報道機関などによる過剰取材など人権侵害行為について、これを特別救済手続の対象にしないということを申し上げています。ということは、メディアについての様々な規制のところは必要ないということになります。

ただ、それで全く放置をするということではなく、メディア側の自主的な解決に向けた取り組みを行うことを努力義務として設けることを大綱の中で謳っていまして、つまり、国が関与してどうこうということはしないと。

しかし、現状でいいと思っているのではなく、メディア側の自己努力を求めていく。そうしたことは1つの努力規定として法案の中に入れていくと。そうした主張が我が党の主張であり、私の発言もその趣旨に沿ったものでございます。そのことを改めて申し上げておきたいと思います。

<質疑応答>

人権委員会の位置付け

【記者】人権擁護法案について、もう1点、民主党の大綱の中にある「人権委員会」を法務省の外局にするか内閣府の外局にするかということについて、民主党は内閣府ということで大綱には書かれていますが、この点についても譲らないというか、考え方に変更がないという理解でいいのでしょうか。

【代表】いろいろな議論を始める前にあまり固めてしまいますと、これは交渉の余地がないわけでありますので、すべて固く100%その通りでなければならないと言っているわけではありません。そこはいろいろな議論の余地があると思っています。そこはメディアの規制の部分と、一般的な規制の部分で、やや扱いに少し差があることと思っています。

メディア規制条項

【記者】人権擁護法案の関連ですが、これまでの大綱では特別救済の対象を一般救済の対象として、自主規制の努力義務を盛り込むということですが、これは代表の言う削除の整合性といいますか、削除をして努力義務を盛り込むという2段階の形になるのか、あるいは法案について削除しなければ譲れない、ということなのでしょうか。

【代表】基本的にメディアについての規制は、自主的な判断に委ねるべきだと、自主的な努力に委ねるべきだと考えています。したがって、法律全体を対象とした特別救済についてメディアに適用することは、私は考えていません。

【記者】若干関連するのですが、憲法の国民投票法案をめぐって、与党案の中にはメディア規制の部分が入っているという話がありますが、これについて代表はいかに思いますか。

【代表】まだ正式に提案されているわけではないので、あまり具体的なことをコメントしないほうがいいかと思っています。

例えば、選挙報道についてどこまで認めるのかということは、これはメディア規制ということではなくて、一定の議論があることは当然だと思っています。諸外国を見ても、いわゆる予想報道ですね。

例えば、先の参院選も1週間前の報道が、私は民主党の議席をいくつか失わせたと思っていますが、そうしたことをフリーに認めていくのか、あるいは一定期間は制限していくのか、そういう議論はありうると思います。

それから、私はメディアについて前にも申し上げたことがあると思いますが、例えば子供に対する有害の報道ですね、図書とかテレビも含めて。そうしたものに対して、基本的には自主的に対応していただければ一番いいと思いますが、現状はそれがきちんとできているとは思いません。そうしたことについて、全く野放しでいいのかというところも、私は議論があるところだと思っています。そこはメディアだったら何でも許されるということでは決してないわけで、きちんと冷静な議論をしていけばいいと思っています。

したがって、国民投票法案についての部分の制限も、今、私が白黒言ってしまわないほうがいい。議論すること自身は妨げないと思っています。

閣僚の海外出張

【記者】今日の閣僚懇談会で、大臣の海外出張について、副大臣がいるので大臣も出張したいという話が相次いで出ていますが、これについて、そもそも小沢一郎さんが副大臣制度を置いたことが1つの要因というか、それがあるのに、なぜできないというような話になっているのですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

【代表】大臣の海外出張については、どちらかというと参議院のほうが今まで厳しく運用されていると思いますが、その原型をつくったのが細川政権の自民党参議院なんですね。そのことはお忘れではありませんね、とまず申し上げておきたいと思います。あのときには徹底的に、当時の野党・自民党が反対したということがあったと思います。

ですから、そうした大臣出張の件についても、国会改革の中で、トータルパッケージの中で議論していくことはいいと思いますが、それだけ取り出して、そして大事な議論のときに、わざわざ大臣がそれほど重要でもないのに海外に出張に行ってしまうというような運用がなされることも懸念されるわけですから、そこはよく注意して議論したほうがいいと思っています。

年金協議に対する慎重論

【記者】年金についてお聞きします。今朝の両院議員懇談会で、執行部の方針に対して異論や慎重な意見もあったと思うのですが、これらについて代表はどのように受け止めていますか。

【代表】いろいろな議論があることは当然だと思います。ただ、党内的には常任幹事会や『次の内閣』での議論を経て、最終的に執行部として判断させていただいたわけで、そこは了解をいただいたと思います。若干、事実誤認とか、そういう意見もありましたが、これだけ大きな問題ですから、いろいろな議論があることは当然だと思っています。

【記者】今朝の両院議員懇談会で了承された部分というのは、前に進めることについては了承を得たと理解しているのですが、具体的にどこまで前に進めることを了承したのかというのがよく分からないのですが、代表はどのように?

【代表】どういう意味?

【記者】要するに、与野党協議に入るところのすべてに一任を受けるところまで了承を得たのか、あるいは議論の入口である明日の幹事長会談までが了承の内容なのか、了承の内容はどこまでカバーされているのかと。

【代表】基本的にどのように進めていくのかというのは執行部の権限であり責任ですから、1つひとつ一歩一歩、すべて両院議員懇談会ないし総会で了解を求めなければならないということでは、必ずしもないと思っています。我々の責任で進んでいくことについて説明し、了承を得たということです。

納税者番号制

【記者】年金について違う観点からの質問ですが、国民の中には納税者番号制度について、国民年金を含めて一元化をするうえで必要不可欠だという意見がある一方で、個人のプライバシーなどの問題があるということで懸念する声もあると思うのですが、これから党内で議論することだと思うのですが、現時点で描いている納税者番号制度について、大きな方向性だけでも構わないのでどのようにお考えか、お聞かせください。

【代表】昨年の12月に『次の内閣』で指示を出して、より具体的に詰めてもらいたいと申し上げています。

納税者番号制度の必要性については、我が党としては随分前から、その必要性について党内で決定し、主張しているわけであります。

私はむしろ、納税者番号制がプライバシーとの関係で問題になるのではないかということについては、これは参議院選挙期間中も何度も申し上げましたが、経済的な取引については、基本的にはプライバシーの問題よりも、事実をきちんと把握することが優先されると思っています。例えば、病歴とか個人のプライバシーがより前面に出る話と経済的な取引とは違うと考えています。

むしろ納税者番号制の問題は、それでどこまで把握できるのかという問題だと思っています。納税者番号制を入れたときに、どこまで経済的な取引が把握できるのかと。すべて100%把握というところまではいかないと思いますので、そうしたところについての技術的な検討が必要であると。

同時に納税者番号制を導入することによって、もちろん国民の中には反発はあると思います。かつてのグリーンカードの顛末を見れば、そういう部分があることは間違いありません。そこについては、きちんと政治が説明していく問題だと思っています。

現行年金法の改正

【記者】年金制度の抜本改革を求めていく方針を具体的にするには、昨年成立して現在施行されている年金法の改正を求めて与党と一緒に図っていくことが一番分かりやすいと思うのですが、抜本改革を求めるというのは、施行されている法律の改正を求めていくことにつながるとお考えですか。

【代表】それは当然です。年金制度を抜本改革するわけですから、今の法案がそのまま生きていたら、抜本改革ではないですよね。

【記者】そこは与党に明確に求めていくということでしょうか。

【代表】今の法律がそのまま行くというのなら、それは抜本改革ではありませんから。それは改正を求めていくということではなくて、抜本改革をした結果、当然新しい法律が必要になると。今の年金法というのは、その分、改正されるのかなくなるのか、いずれにしても新しい制度に入れ替わることですから、それは当然の前提だと思います。

先の強行採決

【記者】2点あります。1点は年金について。先ほどおっしゃった抜本改革を行う決意ということで、参議院での強行採決をした事実について何の反省もないと言っていましたが、今後、担保を取っていくうえで、謝罪などを求めるお考えでしょうか。

【代表】そこはトータルのパッケージの中の話ですから、個々にこれは良い、これは悪いと言ったら交渉になりませんから、今申し上げるつもりはありません。

ライブドアのやり方

【記者】もう1つは、ライブドアの関係で、今日、フジテレビの株の所有率の発表があり、フジテレビの会長は、ライブドアのやり方はフェアではないという言い方をしています。一方で自民党の部会で証券取引法の改正案が了承されましたが、そこは議論を切り離してというようなお考えだと思うのですが、改めてお考えをお聞かせください。

【代表】ライブドアの、何を申し上げればいいですか。

【記者】フジテレビの会長は、堀江さんのやり方はフェアではないという言い方をしているのですが、堀江さんのやり方について代表のお考えと証券取引法のお考えを。

【代表】一定のルールの中で行ったのであれば、フェアではないとは言えないと思います。あとは当事者間で争っている話なので、それ以上コメントするつもりはありません。

それから証券取引法改正の話は、以前から、そうした議論は冷静に議論したほうがいいと申し上げてきました。今回の事件でいろいろ穴が開いているということに気がついて、きちんと対応していこうということであればいいと思いますが、あまり感情論に走って拙速でやってしまうということにも問題がありますので、きちんと議論をして、その上で対応していけばいいことではないかと思っています。

年金協議打ち切りの可能性

【記者】年金の話に戻りますが、今日の両院議員懇談会の中で、出席者から、相手側の決意が見えなかったりする場合には、いつでも交渉を打ち切る覚悟でやってほしいという意見が多かったと思うのですが、いつでも交渉を打ち切るという前提で交渉に臨むという方針はそれでいいのか、それに対する決意をお伺いします。

【代表】協議にはまだ入っていない、今、枠組みの議論が始まるわけです。枠組みをつくるまでのことと、枠組みをつくったあとの中身を議論していくことの2段階があるわけです。その第1段階の枠組みをつくるところの議論が明日から始まると考えています。

その第1段階、第2段階いずれにしても、相手が本当に抜本改革をするという決意がないのであれば、議論しても意味がありません。政府・与党側が、抜本改革について真摯に取り組んでいくことが、全ての前提であるということは間違いのないことで、やる気がないなら、その段階で、議論しても意味がありませんから、単に引き延ばしの議論であれば、その議論は続かないということであります。

ただ他方で、やめることに目的があるわけではありませんから、できればきちんと議論をして成案を得るというのは、国民の立場から見ればベストなわけですから、その道は広い道だと思いません、狭い道だと思いますが、しかしそれをあえて追求していくことが、我々民主党、参議院選挙で民意をいただいた民主党の責任であるということを申し上げているわけです。

政党間協議

【記者】年金に関連して、協議の場について与党側は政党間協議ということで、国会外での協議を求めていますが、代表の説明ではやはり国会内で、ということにこだわっていますが、その点について見解をお聞かせください。

【代表】これは、国会の中で議論する場を設けることは申し上げています。年金をまずきちんと議論する、あるいは将来的には社会保障全体の議論をする場を設けて、国会の中で議論することを申し上げています。国会の外でとなると、ほかの野党2党はどうなるのかという話もあります。国民の目にも見えません。ですから、国会の中でオープンに行っていくことが必要だと思っています。

いろいろ聞きますと、幹事長や政調会長などいろいろ入れた場を設定したらどうかという提案もなされているようですが、もし政党間で議論することであれば、政党の案がまとまっていなければ、政党間で議論できないと思うのです。案も持たずに政党間で議論しろというのは、私は理解に苦しむところです。与党の中でも、自民党と公明党の間でも意見の相違はかなりあると思いますし、自民党の中ですらまとまっていないわけです。

国会の中で議論するということになれば、政党の議員が議論するわけですが、ある程度専門家としての議論もできますから、案があるに越したことはありませんが、案のない自民党でも専門家としての見識で、ある程度議論することは可能ではないかと思っています。

年金協議の期限

【記者】与野党での年金についての枠組みを議論する際に、スウェーデンの例が挙げられると思うのですが、スウェーデンでは選挙を含めてかなり長い期間にわたり年金の抜本改革の議論を行ってきたと思うのですが、代表は秋までに骨格まではまとめたいとおっしゃるのですが、約半年で納税者番号制や被用者保険料負担が明らかになっていない国民年金など、まだ国民の議論がなされていない部分もあると思いますが、半年という時間設定について、やや短いのではないか、あるいは実質的な議論ができないのではないかという意見もあると思いますが、そこについてはどのようにお考えでしょうか。

【代表】時間はいくらでもあります。24時間、365日、議論すればいいわけですから。私が「秋までに」と申し上げたのは、社会保障制度全体の最終的な答えをつくると与党あるいは小泉総理がおっしゃっているのですから、そうであれば小泉総理の任期は来年の秋までですから、小泉総理の任期の中で全部やるということであれば、少なくとも年金は秋くらいまでにまとまっていないと、とても全体までまとまるところまで行きませんね、と申し上げているわけです。

年金だけを小泉総理の責任で仕上げるというならば、もう少し余裕あるかもしれません。しかし、小泉総理ご自身が「社会保障制度全体」とおっしゃっているわけです。それは、私は平成19年度というのは明らかに逃げだと思いますので、小泉総理として、協議が必要、議論が必要だというのであれば、自分の任期でまとめられるという当然の前提だと思いますが、その前提で物事を組み立てていくべきだと考えています。もしそれがないとすれば、それは議論をする気がないということだと思います。

証人喚問の絞り込み

【記者】「政治とカネ」の関連で、橋本元総理の証人喚問を求めていますが、今まで12人という人数で手を広げすぎたのではないかと思うのですが、今後1人に絞るようなことをお考えでしょうか。

【代表】今12人でしたっけ、衆議院(で証人喚問を求めているの)は。今は6人ですね。そういう意味では少し絞っていると思います。

これは全体のやりとりの中での国対の判断ですから、今それを1人に絞るとか、2人に絞るとか、そうした発想は、私には今はありません。しかし、中心が橋本さんであり青木さんであるということは間違いないことだと思います。

衆院補選

【記者】来週、補選の実施選挙区が確定しますが、民主党にとって今のところ2つの選挙区があり、2勝することが勝敗ラインかと考えますが、今の手応えはどうでしょうか。

【代表】いずれも非常に重要な選挙だと思っています。福岡は小泉総理の盟友、山崎さんが相手方の候補ですから、これに勝つということは、非常に大きな意味を持つと思っています。仙台も含めて、是非いい結果を得たいと考えています。

【記者】今の手応えは?

【代表】地元の平田さん、門間さんに対する期待感、あるいは民主党に対する期待感は高いと思っています。しかし選挙戦はこれからが本番ですから、我々は全力を尽くしますが、今100%勝てるというような乱暴なことを言うつもりはありません。勝てるように全力を尽くすということです。

反国家分裂法案

【記者】台湾問題の関連ですが、中国で反国家分裂法案が提出されて成立する見通しですが、台湾の独立運動に釘を刺すということで、日本も含めた国際社会やから懸念の声が高まると思うのですが、その点について、いかがお考えでしょうか。

【代表】我が党は台湾の一方的な独立は認めないという考え方、しかしそれに対する武力行使についても反対するという考え方です。その考え方は、これからも貫いてまいります。

フジテレビのニッポン放送株3分の1確保

【記者】ライブドアの関連ですが、フジテレビがニッポン放送株の3分の1を確保して、いわゆる単独否決権を確保しましたが、これについてお考えがあればお聞かせください。

【代表】特にコメントはありません。

補選の勝敗ライン

【記者】先ほどの補選に関する質問ですが、補選の勝敗ラインは2勝でいいのでしょうか。

【代表】勝敗ラインという言葉を言うことの意味がどこにあるかですが、我々としては2つとも勝つことを目標に全力を尽くします。党としては2つ勝つということで、全力で頑張るということです。

3月1日

○予算委:所得税制の抜本改革なき定率減税縮減は消費を冷やす、総理には責任

○年金抜本再改革:総理答弁は一歩前進、枠組みを決議して議論できる可能性

○迂回献金、政策活動費に対する問題意識、法規制の必要性は総理も理解と認識

○協議会ではなく、まずは厚労委小委員会を設置して全党が議論するのがベター

○大久保議員の問題は個人ではなく政党の問題と考えて調査を進めている

○国民の不信感が頂点に達している年金問題は少しでも早く結論を出して実施すべき

○政権準備政党と政権批判政党との間にジレンマはない

予算委員会質疑—-定率減税縮減

【代表】今日は午前中、予算委員会の集中審議が行われたということで、私も40分ほど質問させていただきました。

まず、定率減税の問題ですが、私が申し上げたことは、来年度の経済見通しの中に消費は着実に良くなることが記載されているけれども、それは現実とは違うのではないのか、もうすでに違う兆候が出てきているのではないかということ。

そして、来年の1−3月期から増税が始まるのですが、本来の政府の説明でも、恒久的減税というのは抜本改革までの間の減税であると。そうであれば、抜本改革する際に初めて、その問題も一緒に議論すべきであって、抜本改革の形が見えていない1−3月から増税に入るのは間違いではないかと。しかもそのことは、所得税制がどのような形になるのかを国民の前に示さずに増税を先行させることは、消費を冷やすと。そのように申し上げたわけです。

それでも行うというのなら、それは橋本内閣のときと同じように、景気全体の足を引っ張る可能性があるわけですから、そのときには総理の責任が当然ありますよ、ということを申し上げておきました。

最後の部分については、総理は自分が責任を持ってやるという発言はありませんでしたが、いずれにしても、これだけ多くの人が懸念しているなかで増税を強行するのであれば、当然、結果が景気後退につながるということであれば、総理の責任は免れないということを申し上げておきたいと思います。

予算委員会質疑—-年金制度改革

【代表】それから年金の話について、前回の党首討論があまりにもひどすぎましたので、何とか前に進めたいという思いの中で、質問しました。

社会保障制度全体の改革を議論するなかで、まずは国民の最大関心事である年金をしっかり議論すべきであると申し上げました。総理は党首討論のときも、そのことはOKだということを言ったという話でしたが、議事録のどこを読み返しても、そうした発言はないわけです。

しかし、今日は反省をされたのか、割と素直に、まず年金からということについてはお認めになったと私は理解しました。そういう意味では一歩前進であったと思っています。

もちろん、年金の議論を始めるにあたってはいろいろな課題がありますが、この国会の中でも、私の代表質問に始まっていろいろな場で議論してきました。国民年金を含む一元化の話ですとか、消費税の問題や納税者番号制など、いろいろなことについてかなり議論してきていますので、そうしたものを整理して、枠組みをきちんとつくったうえで議論ができる、その可能性が強まってきたとは思っています。

具体的には、3党合意の中でも、まず厚生労働委員会で決議をするということになっていますので、その決議の中でしっかり枠組みをつくるということだと思います。

しかし、そこへ行く過程で、今日総理がお認めになった、まず年金をしっかり議論することや、抜本改革をちゃんと行うのだと。今、政府案としてなされている年金改革は、我々は抜本改革でないと思っていますが、そのことはあえて言わずに、少なくとも「これから行うものは抜本改革ですよ」ということで、「抜本再改革」という表現も使っていますが、そのことについてもしっかり認識を示されると。

つまり、これから「手直し」の改革しかしないということであっては話にならないわけで、「抜本的にやる」ということもきちんと確認されるということであれば、次のステップに進んでいけるのではないかと思っています。

いずれにしても、今日の常任幹事会、これから行われる『次の内閣』でその方向性について了解を得て、報道によると与党のほうが何か考え方とまとめて持ってくるということですから、そのときに私たちの考え方もきちんと述べて、お互いがきちんと理解できるということであれば、次のステップ、つまり厚生労働委員会における決議の検討ということに入っていけると思っています。

多少時間がかかっているようにも見えますが、私たちが一番恐れるのは、議論は始めたけど結論が出ない、先送りをするということです。そこをしっかり担保を取って、最終的に議論した結果まとまるということが極めて重要ですので、我々としてはその責任感をしっかりと持ちながら進めていきたいと考えています。

予算委員会質疑—-政治とカネ

【代表】今日は「政治とカネ」についても少し議論しました。迂回献金は、総理も問題があるということは以前から言われていたので、その認識をお聞きしたうえで、問題があるのなら法律できちんと規制しましょうと申し上げ、基本的にそこは理解を得たと思っています。

政策活動費についても、基本的には政治資金規正法で制限していくということも総理の答弁の中にあったと理解しています。そうであれば、具体的な案をお互いにぶつけ合って、国民の政治不信を取り除くための努力をしていかなければならないと思っています。

1億円ヤミ献金の問題については、ほとんど責任ある答弁が聞けませんでした。この問題は予算が成立するまでに結論を出すということですので、衆参予算委員会、理事会において、引き続きしっかり議論していきたいと思っています。新しい材料がいろいろと出てきていますので、国民の不信に応えるために、総理には自民党総裁として、証人喚問にしっかりとした対応をするように求めたいと考えています。

<質疑応答>

年金目的消費税導入のスケジュール

【記者】年金の関連で、消費税についてお聞きします。自民党では財政改革研究会を立ち上げまして、消費税について具体的に議論していくということですが、民主党の考え方を改めて確認したいんですが、マニフェストでは基礎年金国庫負担率の2分の1への引き上げを5年程度かけて、これ、あくまでも歳出削減によって実現する、その後に消費税について検討するということなんですが、現時点で仮に06年あるいは07年に総選挙で民主党が政権を取った場合、いつ頃を目途にこの消費税、年金目的消費税を引き上げるのか。もう1つは、もし与野党の社会保障協議会が仮に立ち上がって、次の総選挙までに何らかの合意を得られた場合には、この年金目的消費税を当初のスケジュールを前倒しするということもありうるのでしょうか。

【代表】まず消費税の問題ですが、「消費税」という言い方は正確ではありません。「年金目的消費税」ということです。今の消費税そのものではありません。

いろいろな改革を必要としていることを前提に、私が選挙のときから申し上げてきましたのは、3年を目途に3%充てると。年金目的消費税として、基礎年金を全額、税にするために充てるということを申し上げています。

誤解のないように念のために申し上げておきますが、基礎年金を全額税方式にしたときに、全部を年金目的消費税で充てるということを言っているわけではありません。基本的には、歳出削減で2分の1まで(国庫負担率を)引き上げて、残りの部分については年金目的消費税で、という考え方です。

「協議会」というのは、私はそのような表現を使っていません。まずは3党合意の中にもある、厚生労働委員会の中に小委員会を設けてそこで議論するということであって、基本的には国民の目に見えるところで、すべての政党が参加して議論することがベターであると考えています。

そこでかなり煮詰まって、最終的に政党間で議論しなければならないということになれば、協議会ということを排除するものではありませんが、順序としては、厚生労働委員会におけるオープンな議論ということになると思います。私たちとしてはそのように考えています。

大久保参議院議員問題

【記者】2点お尋ねします。先週、大久保勉議員の先の参院選での選挙費用について、実際より過少に申告していたのではないかという報道がされました。この問題について、代表はどの程度状況や事実を把握しているのかということと、この問題は議員個人の問題という捉え方をしているのかどうか、お伺いします。

【代表】私が把握しているのは、大久保議員が現時点における考え方を公表されたということを承知しています。

この問題は、政党としても民主党として、大久保さん個人の問題ではなくて、当然、党として把握しなければならない問題と考え、現在、平野幹事長代理を中心に、本人から話を聞くべく作業を進めているところと聞いています。

【記者】今、議員は家にも帰っていないのですが、ご本人はこの件に関して何とおっしゃっているでしょうか。

【代表】私自身、直接接触していないので分かりません。

【記者】党としてどなたかが、このように聞いている、ということはあるんでしょうか。

【代表】先ほど申し上げましたように、平野幹事長代理が大久保さんと接触すべく努力していると聞いていますが、現実に接触できているかどうかは、私自身まだ聞いていません。

年金抜本再改革

【記者】年金について、大きく2点お伺いします。1点目は、「再抜本改革」とおっしゃっていますが……

【代表】(首を横に振りながら)どうぞ(笑)

【記者】…… その中の具体的な内容について、今の段階でこういうことが抜本改革なんだだということを示していただきたい、それは一元化ということや他にあるのであれば、具体的に何が抜本改革なのか。その中に1階部分の税方式化も含んでいるのか。税方式という言い方を国会質問等であまりされないのはなぜなのか、合わせてお聞きしたいと思います。

【代表】あの、我々が使っている言葉は「抜本再改革」です(笑)。これはニュアンスの問題ですが、「再抜本改革」と言うと、今の政府案(現行制度)も抜本改革であるということになりますから、我々はそう思っていないわけです。

といって、今の政府の施行されている制度が抜本改革でないということも、前回の党首討論や今日の予算委員会ではあえて控えて、なるべく冷静な議論をしたいと思っています。

抜本改革か抜本改革でないかは、我々は抜本改革でないと思っていますが、あまりそこばかり感情的に議論していても仕方がないので、前を向いて、これから抜本改革をしっかり行うことに力点を置きたいと考えているからです。

その中で具体的項目については、厚生労働委員会の決議の中身になると思いますが、私たちが今考えていることは、その中に当然、税方式、1階部分、これを基礎年金と呼ぶか最低保障年金と呼ぶか言い方はいろいろですが、そこを基本的に税方式でやるということは当然入っています。

もちろん、それを行ったときに、羊羹(ようかん)のように全部フラットに行うのか、それとも所得に応じて、所得の多い人は、税ですから払わないことも制度設計上可能ですから、そのようにしてなるべく消費税の負担を減らしていくと考えるのか、そこは若干の幅のあるなかで議論しているということです。

年金改革の前倒し

【記者】抜本改革の開始時期として2007年度からということを言われていますが、枠組みについてもっと早く決めて、前倒しして行うことなどお考えでしょうか。

【代表】年度途中を避けると、2006年度と2007年度という2つの選択肢があるわけです。私はできるのであれば早いほうがいいと考えています。

もちろん、最後は社会保障制度全体の整合性を取らなければなりませんから、財源問題とか、それぞれの制度の関連など出てきます。全体を一挙にという発想もあるのだろうと思いますが、年金は年金で切り離し可能ですから、早くまとめて、国民の不信感が頂点に達している年金問題について早く結論を出す。できれば少しでも早く実施に移すことを考えています。

党首討論では、骨格だけでも早くつくろうと総理には申し上げました。私たちは最大限譲歩して申し上げたつもりです。

【記者】先ほどの話ですと、これからやるのが抜本改革だと認識を示せば次のステップに進めるとおっしゃっていますが、これは次のステップに進む条件が、これからが抜本改革だという認識を与党側が示すということでしょうか。

【代表】個々に詰めていくと、なかなか具体的なことにとらわれて、話が膠着状態になりますから、あまり今、個々のことを申し上げるつもりはありません。ただ、「抜本改革」という言葉の意味でもありますが、今の手直しで終わってしまうような「ミニ改革」では意味がないと思っています。

抜本再改革の諸条件

【記者】これまで一元化や納税者番号制度の導入など、いくつかの条件があったと思うのですが、これは決議文の中に書き入れるということもお考えでしょうが、この条件はまだ生きていると認識していいでしょうか。

【代表】今まで国会で随分議論してきましたので、通常国会が始まる前と比べれば前進している部分もあります。それは今までも申し上げてきたとおりです。そうしたものを最大限書き込んで、それを1つの枠にして、その枠の中で議論していくということだと思います。

盧武鉉韓国大統領の日本批判

【記者】韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が歴史問題で日本を批判しているようですが、これについて何かコメントをいただければ。

【代表】今日、ということですか?すみません、私はちょっとまだ把握していません。

「次のステップ」の意味

【記者】代表が最初に言った年金のことで確認ですが、抜本改革の認識を示せば次のステップに進めると思うという話がありましたが、その後に厚生労働委員会の決議に書き込むというステップに進めるという言い方をされましたが、代表の今言った「ステップ」とは本来、何を指すのでしょうか。

【代表】ステップ・バイ・ステップ(笑)。ですから、厚生労働委員会の決議を協議するステップに進めるということです。

【記者】協議入りというのは、まず決議文について進むためには、抜本改革の必要性とこれについての認識を共有すると。これさえあれば、次に決議文について協議して、さらにここで決議について文書が書き込まれれば、さらにその先の国会での議論、ということになるのでしょうか。

【代表】もうちょっと正確に言ったほうがいいと思いますが、私は年金をまずきちんと議論する、ということを申し上げたはずです。

ですから、あまりここで個々にやっていくと、言い落としがあったり、勝手な解釈が進んだりしますから、あまり細かいことを言うつもりはありません。それはまさしく、与党がどのように考えるかということもありますから、とにかくしっかりと前向きに議論しようということがあれば、次の具体的な決議の議論に入っていけるということだと思います。

ある意味では、国会で議論していることもすでに「協議」ですから、あまり言葉にとらわれずに考えていったほうがいいと思います。

来年度予算案の衆院通過

【記者】明日、予算案が衆議院を通過する見通しですが、いろいろ議論してきましたが、比較的早い段階での通過になると思うのですが、報道などを見ると、野党がスムーズに通してしまうという印象を与えがちではないかと思うのですが、その点についてご見解をお伺いします。

【代表】これは、どのような視点でものを見るかですね。審議拒否をして、なるべく時間を稼ぐということを良しとする立場から見れば、そのような見方もあると思います。問題はやはり、議論の中身だと思っています。

政権準備政党と政権批判のジレンマ

【記者】もう1点。「政権準備政党」ということを打ち出しましたが、その観点から見ると、単に批判に終わらずに建設的な議論をすることが大切だということになると思うのですが、そうすると一方で、批判の手を緩めているようにも見えがちになります。その間のジレンマもあるようにもお見受けしますが、改めて党としてのあり方、課題は何だとお考えでしょうか。

【代表】私はジレンマは全くありません。両方のサイドから見ていて、55年体制的視点から見ると、何か緩いのではないかという批判がありますね。一方で「政権準備党」の視点から見ると、批判ばかりしていると。しかし、そこは両方大事なんです。

「政権準備党」というのは、次の政権に向けて準備する、提言をする部分と、同時に監視的な機能、批判する機能というのも当然必要なわけで、その2つが入っていないといけないのです。この前もそのようなことに対して、両方の立場から批判があるのですが、両方の立場から批判があるということは、いいところへ行っていると私は受け止めています。

今日の予算委員会では、いろいろな意味で、私は具体的前進があったと思っています。その意味では「政権準備党」としての責任を果たせたのではないかと考えています。

与党の「決意を見極める」ということ

【記者】与党の決意を見極めるという発言がありましたが、その「決意を見極める」場として、どのようなことをお考えなのか。また、それを見極めたあとに決議に書き込む際、これまで出した条件の他に、どのような課題が考えられるでしょうか。

【代表】これからの交渉ですから、具体的なことを申し上げるつもりはありません。でき上がったものを見て判断していただければと思います。決意を見極めるということは、与党も何らかのアクションを(予算案が)衆議院を通過すれば起こされると聞いていますので、その場がそういうことになるのかもしれません。

ただ、我々見ていまして、誰がやっているのかよく分からないのです。人によってバラバラで、何とか与野党でしっかり協議しようと心底そう思っている人も、私はゼロではないと思っているのですが、しかし、とにかく引き延ばしに使って、最後は年金改革はどこかへ行ってしまってもいいと思う人もいるかもしれません。

厚生労働省は、年金改革を行ったのだから5年間はもうなしでいい、というようにも受け取れるのです。いろいろな見方があって、そして、武部幹事長と中川国対委員長と与謝野政調会長と、一体誰が責任を負ってしっかり進めているのかということも、非常に読みにくいです。

そこは民主党は、代表、幹事長、政調会長、国対委員長、1つのラインで動いていますが、(自民党側は)バラバラですから、我々も困ってしまうというのが正直なところです。

【記者】今、代表が言われたように、バラバラだからこそ総理の言質をこれまでも引き出そうと努力されたと思うのですが、そう考えると、これまでの総理の答弁では不十分であるがゆえに、さらに見極める必要があるという認識なのでしょうか。

【代表】2つに分けて、入口のところと中身の話、両方あるわけです。中身の話は厚生労働委員会の決議の話として次のステップですから、これは今は触れません。

しかし、そこもそれなりに、私は前進もあると前から申し上げています。国民年金を含めた一元化の話。これも「やらない」と言っているのではなく「望ましい」と。

しかしその前に、納税者番号制度とか自営業者の事業主負担の話とか、それはちゃんと議論するということまでは言っていますから、国会が始まる前と比べると、それなりに前進があったと思っています。消費税の話も、今まで総理は、自分の任期中は上げない、議論は自由にしてください、と他人事だったのですが、もう少し自らも発言されたということもあります。

そういうことは、それなりの前進があったのではないかと受け止めています。最後は決議という全体の形をつくる際での総合判断の問題だと思っています。

協議入りに対する慎重論

【記者】今後の年金問題に関してですが、決議を結ぶにあたっての協議に入るところは、登山でいうと何合目あたりかという点と、そうした協議に入ることについて、党内では慎重意見が非常に強いように見えるのですが、代表はどのような認識でしょうか。

【代表】今、何合目かというのは比喩的な表現ですから、そうしたものは避けたほうがいいと思っています。党内に慎重論があるという話ですが、今日の常任幹事会でも話しました。この後の『次の内閣』でも話します。党の意思決定機関の手続きはきちんと経て進めていきたいと思っています。




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