定例記者会見録 2005年4月
4月26日
○尼崎JR事故:原因を分析し、再発防止に向けしっかりとした対応を
○中東・アフリカ訪問:パレスチナ問題・スーダン問題など現地で意見交換したい
○小泉政権4年:宿題の先送りで次の政権が重荷を背負う、それは民主党の責任
○残りの国会にて何に重点を置き何を獲得目標として掲げるか整理するよう指示
○自民党との争いを演出し総理が露出し闘う姿勢を示したのは補選に一定の影響
○補選の敗因:低投票率は1つの原因だがトータルできちんと分析し次につなげる
○PKO:積極的に参加すべき、国連決議がある場合は自衛隊派遣を緩やかに
○スーダン:エネルギー問題の前に、平和構築、食糧支援など最低限の支援が先
○ライブドア問題:企業買収の厳しさ、法制のあり方など大きな問題提起
○同じ人間としての共感を持ってアフリカの人々に手を差し伸べることも日本外交に重要
○民主党のリーダーとして補選結果に責任、政権交代に向けてより努力が求められる
尼崎JR事故
【代表】第1は、今日も常任幹事会、代議士会の場でも申し上げましたが、尼崎におけるJRの事故につきまして、時間が経つにつれて、お亡くなりになった方が増えまして、現時点で73名と聞いていますが、多くの皆様がお亡くなりになり、あるいは傷を負われたことについて、心からお悔やみ、そしてお見舞い申し上げたいと思います。
我が党は、先ほど菅ネクスト国土交通大臣とも電話で話しましたが、菅ネクスト交通大臣が現地に向かいまして、実情をつぶさに見て、記者の皆さんにもぶら下がりでお話をしたうえで、現場を離れられた、ということであります。
事故の原因についてはまだ明確ではありませんので、まずそのことについて事故調査委員会で分析したうえで、再発防止に向け、しっかりとした対応が必要だと思います。
あわせて、遺族の皆さんや、怪我をされた皆さんに対する国としてのきちんとした対応も求めておきたいと思っています。
中東・アフリカ訪問
【代表】2番目ですが、先ほどお配りしたと思いますが、また後ほど詳しい説明があると思いますが、連休中に中東・アフリカに行くことにしています。29日に出発し、(来月)6日朝に帰ってくるという日程です。
今回の目的は、やはり1つは中東和平。イラクの問題もそうですし、あるいはテロの問題、やはりイスラエル・パレスチナの問題が根底にあるということですから、この点について日本政府もこれから力を入れると聞いていますが、直接現場に行って、責任者の皆さんともしっかり意見交換していきたいと思っています。
私自身は、パレスチナの議員選挙の監視団に、当時の小渕団長の下で—-確か5〜6年前のことですが—-参加していますので、それ以来ということになります。是非、指導者の皆さんともしっかりとした意見交換をしていきたい。日本として何ができるかを見極めていきたいと思っています。
ヨルダンにも参りますが、ヨルダンはこのイスラエル・パレスチナの問題とともに、イラクに対する玄関口でもあります。イラクの問題についても、ヨルダンの要人の皆さんと意見交換していきたいと考えています。
今年はサミットでもアフリカの問題が大きな議題になっています。イギリスのブレア首相を中心に、アフリカ問題についてもう一度世界が関心を持つべきだということで取り上げられているわけです。このアフリカに私自身も行って、現実をまずしっかりと見ていきたいということで、スーダンを選びました。
スーダンは南北の対立、ダルフールの問題、いずれも大変な状況でありますので、その両地点に行って、難民キャンプなども訪れたいと考えています。
あわせて、スーダンはちょうどアラブとアフリカの境目でありまして、潜在的にはいろいろな力も持っているし、重要な国であります。そうした認識も新たに得ていきたいと思っているところであります。
小泉政権発足4年
【代表】3番目ですが、今日が小泉総理になって4年目の誕生日だということで、もう4年も経ったのかという思いが非常にいたします。
この4年間で、多くは残念ながら期待外れに終わったわけでありますが、非常に日本にとって重要な4年間だったと思います。その間、全く成果がなかったと切って捨てるつもりはありませんが、しかし、多くの問題や改革が先送りされ、外交面では八方ふさがりになっているわけであります。
おそらく、次の政権が極めて大きな責任を持つことになると。同じようなことをあと数年行ったら、日本は内外ともにもたないと思いますので、いろいろな宿題を先送りして、次の政権がそれだけ大変な重荷を背負う結果になっていると思います。
政権交代をして、その重荷を民主党が背負って、解決に向けて方向性をしっかり付けていくことが、我々民主党の責任ではないかと思っています。
<質疑応答>
国会運営と補選
【記者】補欠選挙に絡んで、今朝、鉢呂国対委員長が記者会見の中で、前半国会について国会対策も十分に反省していかなければならないと私自身考えている、後半国会に臨むなかでもう一度戦術を見直す旨の発言をされていたのですが、代表自身は補選に向けての前半国会と今後の後半国会について、鉢呂委員長は反省すべき点もあったということですが、どのようにお考えか改めてお聞かせください。
【代表】もちろん、100点満点ということはありえませんから、常により良いものを求めて対応していかなければいけないことは事実だと思います。
実は今朝の役員会で最初に申し上げたのは私でありまして、前半・後半というよりは、半ばを越えたという感じではありますが、5月、6月、(国会)延長がないという前提に立ちますと2カ月ということになるのですが、この間を何に重点を置いて、どうやって進めていくのかということについて、もう一度きちんと整理してもらいたいと、私のほうから国対委員長にお願いしました。
例えば、橋本派の1億円の問題をどのようにして証人喚問を実現していくのか。あるいは、郵政の問題ももちろん主要なテーマになると思いますが、その他にも重要テーマはあります。そうした問題について、何に重点を置いて、どういったことを獲得目標として掲げるのかということを、もう一度きちんと整理して示してもらいたいと私のほうからお願いしました。
メディアと補選
【記者】補選に向けてメディアの露出ができれば良かったのではないかという意見も聞かれるのですが、その中で、国会審議でもう少し、有り体に言えば派手な対決姿勢を示すような国会戦略をとるおつもりがあるのか、お聞かせください。
【代表】メディアを意識して、ということは私はないと思います。
メディアの露出の点で見ると、やはり郵政の自民党内の争い、あるいは自民党と総理との闘いというものを、いわばシナリオを書いて演出していたと。選挙が終われば合意すると。そのことについて私は、選挙前から「もう、これはできたシナリオだ」ということを申し上げてきました。
メディアの皆さんも大体そのことは感じていたと思いますが、それにもかかわらず、それがかなりのメディアの部分を占めてしまう。そこは小泉総理のしたたかさかもしれませんし、本来、党の中でもめていることが、それほど詳細に報じる価値があるものなのかどうかということは、私はメディアの皆さんにも考えていただきたいなと思っています。
露出があればあるほど、闘う姿勢を示せば示すほど、小泉総理の支持率が上がると。自民党が下がっても総理が上がると。そのことが福岡などの補選に一定の影響を及ぼしたことは、おそらく間違いのない事実だろうと思っています。
前半国会が補選に与えた影響
【記者】先ほどの質問に関連して、前半国会で存在感を示せなかったなどの指摘がありますが、鉢呂国対委員長が言うように、その前半国会のやり方が補選に影響したとお考えになるか。それを踏まえて、補選の敗因について、どのようにお考えか、改めてお聞かせください。
【代表】補選については、いろいろな分析を宮城県連、福岡県連、そして党本部でこれからきちんと行いたいと考えていますので、それを待って申し上げたほうがいいだろうと思います。
投票率が低かったことが1つの原因です。しかしそれは投票率が低くなったのはなぜか、という問題もあるわけですから、トータルできちんと分析して、次につなげていくという姿勢が重要だと思っています。投票率だけでなく、いろいろな問題がおそらくあるだろうと思っています。
前半の国会がそれに影響を及ぼしたかどうかというのは、これは影響を及ぼしたとも言えますが、程度問題ですから、いい影響も及ぼした部分もありますし、それはなかなか一概に言える問題ではないと思っています。
期待外れの小泉改革
【記者】先ほど冒頭で触れられたように、小泉総理が5年目に突入するわけですが、多くが期待外れだったという一例なり、期待外れの改革を具体的に挙げていただいて、もう数年続けば(日本はもたない)という話もありますが、早期に辞職すべきだと思いますか。
【代表】先送りされた改革というのは、例を挙げればいくらでも挙げられるのですが、例えば地方分権ですね。これが単なる3兆円の数字合わせに終わってしまったということは言えると思います。
それから道路公団の問題も、無駄な高速道路を造らないはずが、結局、税金を使ってでも全部造るということに終わったわけですし、むしろ何ができたのかということでないと、ほとんどのことが先送りされていると思います。
財政の問題は、私は公共事業というものを景気対策のためにどんどん増やすということはしなかったということは、その前の森内閣や小渕内閣と比べれば、そこは一定の評価をしているわけですが、しかし無駄な公共事業を思い切って削減するとか、その他の経費を削減すること、つまり歳出の構造改革は全くされずに、結局、歴代総理の中でも国債の発行額という意味では極めて多い総理になってしまったわけですから、そうしたことが問題として挙げられると思います。
PKOのあり方
【記者】外遊に関連して、いま確か憲法調査会でも部門会議でも、民主党として日本政府のPKO参加のあり方について議論されていると思いますが、代表ご自身の考え方をお聞かせいただけますか。
【代表】PKO参加……もう少し狭めてもらうと答えやすいのですが。
【記者】例えば、確か憲法調査会では武力組織への参加について国連決議があれば参加してよいという方向で収斂されていると思うのですが、これについて代表自身の考え方を。
【代表】PKOの話?
【記者】はい。
【代表】PKOについては、積極的に参加すべきだというのが私の基本的考え方です。
ただ、その際にいま、PKO5原則というのがあって、いろいろな意味での制約がかかっています。私はそうしたものについて国連決議があるPKOについては、必ずしも厳格に考える必要はないと。国際的なスタンダードに合わせる方向で変えていくべきだと思っています。
大事なことは、そのときの論理立てですね。必要だから緩めるということではなく、憲法との整合性をいかにきちんととりながら、そうしたものを拡大していくかということが重要であって、私はいまの憲法9条の淵源(えんげん)というのが、自らの判断で周辺国に対して侵略を行ったことの反省に立っているとすれば、国連決議という「たが」がはまった状態でのPKO活動については、国連決議がない場合に自衛隊を外に出す場合と比べて緩やかに解するということは、憲法の淵源に照らして認められると論理構築すべきだと思っています。
いずれにしても、そうしたことはこれから党内で議論していかなければならないことで、「必要だからやる」というだけでは私は駄目だと思っています。
それから、もう1つ大事なことは、そうした形でPKO5原則を緩めることになったときに、近隣諸国に対してよく説明して、誤解のないように正しい理解を得ておくことが重要で、お互いにしっかりコミュニケーションしながら理解を得ていかないと、またそのことが誤解を生むことになってはならないと思っています。
スーダンとエネルギー戦略
【記者】今回の訪問国の中にスーダンが入っていまして、スーダンの訪問目的の中には特にエネルギー戦略が書いてなかったのですが、実際には中国を含め各国が採掘権を得て採掘に入っていますが、日本政府としてはエネルギー戦略の観点から、スーダンとどのように関わるべきだと思いますか。
【代表】いま現実に石油を掘り出しているのはマレーシアと中国と認識しているのですが、他の欧米の国々もそれに続こうというふうに対応している話も聞きます。
どの国に対して日本がエネルギー資源の確保ということでやるべきかというのは、これは個別の話ですから、私はあまりそれを政治が一定の方向性を持って言う話ではないのではないかと思っています。
少なくとも、いまのスーダンの現状を見れば、即座にそうした試掘ができる状態でも必ずしもないということもありますので、特にそのことを今回のスーダン行きの目的に掲げているわけではありません。
むしろ平和をしっかり維持していくこと、そして多くの難民の皆さんに対して、食糧支援をはじめ、生きていくための最低限の支援を届けることが、まず国際社会が果たすべき役割だと思っています。
ライブドア問題の総括
【記者】やや古い話で恐縮ですが、ライブドア問題について一定の決着を見たのですが、大局的な総括をいただければと思います。
【代表】前にも聞かれたのですが、私は特にコメントしていないのです。これは民間同士の話であって、一定の決着を見たことについて、これが良いとか悪いとか、どっちが勝ったとか負けたとか、あまり政治家は言うべきでないと思います。だからそのことは申し上げません。
ただ、今回のことが、いわば温室に入っていたような日本経済、あるいは日本企業に国際的な企業買収に対する厳しさというものを思い当たらせたという意味は非常にあると思います。
我々政治サイドからしても、いままでの法制で十分なのかどうかという議論がいま出てきているわけですが、そういう意味で1つの大きな問題提起になったことは間違いないと思います。
【記者】今までの法制で十分かということですが、代表としてこういう点を見直すべきだという点があれば、お伺いします。
【代表】外資規制の話は間接規制も含めてということだと私も思います。それ以外の、敵対的買収への対抗措置というのは、私は現状で良いとは思いませんが、しかし、あまりにも過剰になってしまうと現経営陣を守るだけのものになってしまうので、そのバランスというのは非常に重要だと思います。
現実は厳しいですから、多少の制度的な手当は必要だと思いますが、そのことが結局、既得権の保護、経営者の保護に一方的になってしまうと、日本経済の活力が失われてしまうので、そこのバランスをどのようにとっていくかと。
これは諸外国もいろいろな経験を経ているわけですから、そうしたものを参考にして考えていけばいいと思っています。
スーダンに対する支援
【記者】こちらの資料にもあるように、スーダンへ行く目的として、「脆弱な和平を定着させる支援のニーズを検討する」としていますが、具体的にこうした支援をしたいというお考えが現段階でございましたらお聞かせください。
【代表】まず1つは、難民に対する支援は最低限必要です。非常に事態が複雑ですから、200万人以上の人が亡くなっているわけですから、南北だけでも。
ダルフールは、まだそれ以上に安定していないわけで、宗教や民族などいろいろなものが複雑に絡み合った問題で、そう簡単ではありませんが、最低限必要なことはまず、いまいる難民が生存していけるだけの、病気の問題や食糧の問題、水の問題、あるいは子どもたちの教育の問題など、そうしたところについて日本は何ができるかを考えることが、まず大事だと思います。
私はアフリカというと、日本人から見ると非常に遠い存在で、ともすれば関心があまりないわけですけれども、しかしブレア首相の発想の原点にもあると思いますが、同じ人間としての共感を持って、最低限以下の状態にあるアフリカの人々に対して、人間として手をしっかり差し伸べることも、私は日本の外交にとって非常に重要なことだと思っています。そうしたことについて、現実を見ながら考えたいと思っています。
補選結果と自身の責任
【記者】補選のことに関連して、この補選は政権交代のための試金石という非常に重要な選挙と位置付けていたと思うのですが、そのことに対して、今回、2選挙区とも負けてしまったということで、政権交代というのは民主党にとって遠のいたとお考えになっているのか、また、ご自身の代表としての責任に関してどのようにお考えですか。
【代表】私は非常に重要な選挙だと言ってまいりましたが、「試金石」という表現を使ったことはないと思います。
重要なことは、政権を交代することであって、その前に補選や都議選がありますので、そこで勝てばより勢いがつくということですが、いろいろな困難を抱えたなかでの補選ですから、私自身が楽観的な前提に立っていたわけではありません。2勝もあれば2敗もあるということは、ずっと申し上げてきたところであります。
責任というのは、私は民主党のリーダーですから、今回の結果について責任を負うわけですが、責任を負うということは、政権交代に向けてより努力が求められるということだと思います。
【記者】具体的にお辞めになるということはお考えになっていないのでしょうか。
【代表】全く考えていません。夢にも思っていません。
4月19日
○補選は福岡・宮城ともに激戦、自分も木曜午後から金土両日選挙区に入る
○中国大使と会談、暴力・違法行為は容認できぬ、謝罪と補償を求める旨述べた
○危機意識を持って日中関係を立て直し、建設的な両国関係を
○党首討論:アジア外交、年金、郵政などについて小泉総理と議論したい
○補選の意味:八方ふさがりの小泉政治に対する是非を問う選挙
○中国関連施設・団体への嫌がらせはあってはならぬ、警察・司法がしっかり対応を
衆院統一補選
【代表】私のほうからは、まずは補選の件ですが、皆さんの中にも、週末の仙台と福岡にご同行いただいた方もいらっしゃいますが、それぞれいずれも激戦であります。
我々チャレンジャーですから追いかけている状態ですが、何とか投票日までに追い付き、そして抜き去りたいと思っております。
私自身もまた木曜日の午後あたりから、金・土とのいずれかに、両方入ることになると思いますが、入って、精一杯応援をしたいというふうに考えております。
今日まで関係者の皆さんの大変なご努力によって、接戦を維持しておりますこと、心から感謝しながら、そうは言っても結果をしっかり出したいと考えておりますので、全力を挙げて、党を挙げて頑張りたいと思っております。
日中関係と駐日中国大使との会談
【代表】それから日中の問題ですが、先ほど王毅大使と1時間ほど話をいたしました。これは元々1月過ぎに、会ってゆっくり日中の問題について、将来の問題について議論したいということで、話していたのが延び延びになったということですが、たまたまこういうタイミングになりました。
したがって、いま日中を巡る現下の問題についても意見交換をいたしました。仙谷政調会長、野田ネクスト財務大臣、近藤国際局次長、というメンバーで話し合いをいたしました。
中身はブリーフされていることだと思いますが、私どもから冒頭、日本大使館・領事館に対する投石などの違法行為、あるいは日本の企業、日本人に対する暴力的な行為については、これは私だけでなく、多くの日本人にとって容認できないものであり、中国に対しては、謝罪と補償を求めると。そして、そのことについて重く受け止めてもらいたいという趣旨のことを申し上げました。
その上で、具体的に両国の関係の重要性、そしてこれからの両国にとって、いま起きていることは日中国交回復以来築き上げてきたものが一挙に崩れ去ろうとしているという危機意識を持って、もう一度立て直し、そして建設的な両国関係を築いていくためにどうすべきかということについて、様々な意見交換を行ったということであります。
そういう中で、私自身も、タイミングはもう少し先になりますが、都議選明けくらいを目途に一度訪中して、トップ会談を行いたいということも申し上げておきました。
党首討論
【代表】明日の党首討論ですけれども、資料を配らせていただきましたが、外交問題として、日中問題を含むアジア外交について、これはいま、(代表の下で)外交ビジョンを議論しているところでありますので、いままでの外交ビジョンをめぐっての識者や党内での議論を踏まえて、小泉総理としっかり議論をしたいと思っております。
構造改革につきましては年金の問題が1つ。これは(年金)両院合同会議が1回開催されました、それを踏まえて、基本のところがちょっとズレているような気がいたしますので、その問題についてが1つ。
そして、もう1つは郵政の問題。これはまだ与党内で決着がついていませんが、かなり煮詰まってきたということを踏まえて、多少、民主党の考え方も示しながら議論していきたいと。時間があればその他、というふうに考えております。
<質疑応答>
衆院統一補選が持つ意味
【記者】補選の投票日が近づき、改めて伺いますが、今回の補選が日本の政治に及ぼすインパクト、補選が持つ意味についてお聞かせください。
【代表】補選は年に2回行われるものではありますが、しかし、いま八方ふさがりになった小泉政治、内政・外交いずれもそうだと思いますが、そういう中で行われるものでありますので、小泉政治に対して、その是非を問う選挙になっていると思っております。
補選で2敗した場合の責任
【記者】補選で2勝すると小泉政治に対するインパクトがあると思うのですが、結果的に両方とも負けた場合には、党内から責任を問う声がでてくる可能性があると思うのですが、代表はどう対応しますか。
【代表】まだ選挙が、投票が行われてない段階でそういったことにコメントすることはありません。いずれにしても選挙ですから、勝つか負けるか結果は出ます。勝てるように、党内全力を挙げて頑張っているということです。
中国大使の返答
【記者】王毅大使との会談のやりとり、(代表の発言に対する)王毅さんの返答を教えていただければと思うのですが、1つは代表の方から訪中してトップ会談をということで、これは胡錦濤国家主席との会談を要請されたのだと思うのですが、それに対する返答はいかがだったのか。また冒頭の、謝罪と賠償について、返答はいかがだったのか教えてください。
【代表】訪中に関しては、すぐに返事が返るはずはありません。大体、それをこれから調整していくということですから、当然国のトップになれば、いろいろな予定もあるなかでの話になりますから、日程調整も含めてこれから進めていくということです。
それから、謝罪と補償の問題については、いままでの中国政府の考え方と同じで、それについての直接的な返事はありませんでした。謝罪する必要はないという発言も特にありませんでした。
我々としては、そうすることが、日本国民の中国に対する理解を得るためにも必要なことだとも申し上げましたが、それに対しても特にコメントはありませんでした。
【記者】謝罪の言葉がなかった中国政府に対して、改めて今日会談を終えて代表はどのようにお感じになりましたか。
【代表】私は当然、謝罪と補償を行うべきだと考えております。
日本国内の中国関連施設・団体への嫌がらせ
【記者】中国に対して、日本の国内でも関連施設、団体に対する嫌がらせなどが一部報道されていますが、それについてはいかがお考えですか。
【代表】これは中国大使館に対しても、嫌がらせの類が最近も行われたと私も聞いております。そういうことはあってはならないことであると。そして、法に触れることがあれば、それは日本の警察、司法がしっかり対応するべきであると申し上げました。
中国の歴史教育批判
【記者】先ほどの話で、いま謝罪と賠償を求めたというのは、あくまでも在外公館や大使館についての行為に対してのものだと思うのですが、中国側が指摘している日本の歴史教育について、中国側からいろいろと意見が出ていますが、これについて代表はどういう意見をお持ちですか。
【代表】どういう意見ですか。
【記者】中国側が主張している、日本の歴史教育は問題だと言っている件について、代表の認識を。
【代表】問題だということはどういうことですか。正確におっしゃっていただかないと答えが。
【記者】南京大虐殺など、日本が歴史教育でちゃんとやってないと中国政府が言っているようなことについて、中国側が日本の歴史教育が間違っていると言っている件について、どのように感じられるのかと。
【代表】よく気を付けて言わないといけないと思いますが、歴史教育が間違っていると中国が言っているのか、むしろ、より具体的な教科書の問題とか、そうしたことが、何と言っていいのか言い方が難しいですね。今回、検定に通った教科書についても、それが中国側の考える事実と違う方向にあるのではないかと、そういう疑問は呈していると思いますが、今回はそういう議論は特にしていません。
党首討論で郵政改革に触れる理由
【記者】明日の党首討論で郵政について触れられると思うのですが、具体的に郵政のどの部分について質問されたいと思っているのかという点と、今まであえて触れてこなかった、先ほど代表が煮詰まってきたのでとの説明がありましたが、なぜ今回は触れるのかという理由を具体的に教えていただけますでしょうか。
【代表】明日には政府の案が示されると理解をしておりますので、示されれば、そこで政府の考え方がまとまったということですから、もちろん党との調整が若干残っているかもしれませんが、政府案はまとまったということで、それに対しての質疑が可能になると思います。
【記者】どういう点について?
【代表】それは申し上げません。
北京オリンピックへの影響
【記者】中国の関連ですが、日中外相会談でも、北京オリンピックに及ぼす影響が多少出たとも思いますが、代表は北京五輪への影響について、どのようにお考えになりますか。
【代表】大使との議論ではそういう議論はしておりません。ただ、法に触れるようなことが放置されるということですと、それは中国にとっても、国際的に与えるイメージ、その他の面で決してプラスとは言えない、むしろマイナスであるというふうに考えています。そのことは中国も分かっているだろうとは思います。
郵政改革に関する民主党批判
【記者】小泉首相が街頭演説などで郵政民営化に関連して、民主党も非公務員化などに反対する抵抗勢力だというような、郵政民営化に関連して民主党も抵抗を始めているというような主張をされていると思いますが、それについての反論はいかがでしょうか。
【代表】それも明日の党首討論にとっておきたいと思います。
中国大使との会談に出席した野田議員の立場
【記者】先ほどの王毅さんとの会談に戻りますが、同席されたのが、仙谷さん、野田さん、近藤(昭一)さんということですが、野田さんはどういった立場で今回出席されたのですか。
【代表】ネクスト財務大臣です。(今回の懇談は)どちらかというと、今回のいろいろなことを受けて、党としてその対応について話し合いをしたというよりは、元々あった会談で、だいぶ前からセットされていたものですから、そういう中で今回の事件が起きましたので、そういった中身も含めて議論したということです。元々は、かなりプライベートな性格を持ったものでした。
4月5日
○ローマ法王逝去:平和の問題に宗教者が役割を果たすことを実践した法王だった
○1カ月ぶりの党首討論、被災者支援、BSE、年金、政治倫理等を取り上げたい
○中韓の排日感情の高まりに対し政府はあまりにも無為無策、総理は対応を明確に
○郵政民営化は論評に値しない、自民党が了承していないなかで一々コメントせず
○政党が税金に過度に依存するのは望ましくない、党費・献金を増やしてバランスを
○議員歳費削減法案をパフォーマンスだと言う人の意見は理解し難い
○中韓の対応は望ましくないが、放置して未来思考の関係を築けぬ政府は猛省を
○福岡・宮城は政権選択の補選、素晴らしい平田・門間両候補の良さを訴えたい
○竹中大臣の委員会欠席は前代未聞で許し難い、国会審議の重要性を否定する行動
ローマ法王の逝去
【代表】まず、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世のご逝去に対しまして、謹んでお悔やみ申し上げたいと思います。直接お会いするチャンスはありませんでしたが、イラク戦争開戦にあたっての法王のお考えや、世界の平和のためにご尽力されてきたことに対し、心から敬意を表したいと思います。
私の名前で、すでにお悔やみの手紙を出させていただいたところですが、やはり、特に平和の問題に対して、宗教者が大きな役割を果たすことを実践された法王ではなかったかと思っています。
党首討論
【代表】2番目ですが、いまお手元にお配りさせていただきましたが、明日、1カ月ぶりの党首討論があります。2週間に1回(開催)ということを申し上げているわけですが、なかなかうまく日程の都合が合わずに、1カ月に1回、忘れた頃にやってくるということは非常に残念に思っています。
項目はいろいろと並べてありますが、すべてできるというわけではありません。順番もこの通りになるか決めていませんが、1つは福岡の地震で改めて思い起こされる被災者生活再建支援の問題。そしてBSE(牛海綿状脳症)に対する政府の対応、特にアメリカからの輸入の問題。
それから、年金制度改革が非常に開かれた形で議論が始まるということは、私もそうした議論を是非行うべきだということで言ってまいりましたので、そういう意味では感慨深いものがありますが、その議論が意味あるものにならなければなりませんので、議論を始めるにあたって、総理の基本的な考え方、中身というよりは心構えを確認しておきたいと思っています。
政治倫理の問題は、私たちが証人喚問を要求してきた旧橋本派の問題を中心に行いたいと。子育て支援はいつも入れているのですが、時間的に今回難しいと思いますので、時間があれば少し議論したいと思いますが、基本的には次回のテーマにしたいと考えています。
この点については、後ほどご質問があれば、もう少し詳しくお話したいと思っています。
日中・日韓関係と総理の責任
【代表】3番目ですが、外交にとって最も重要なことの1つは、近隣諸国といかにして建設的な関係を築いていくかということだと思いますが、最近の日韓関係、日中関係を見ますと、その外交の基礎が揺らいでいるという感を非常に強くいたします。
もちろん、いずれの問題も日本だけが悪い、問題があるということではないと思います。しかし、こういう事態に至っていること、日韓関係では大統領自らがかなり強い発言をされているわけですし、日中関係では国民レベルの一部とはいえ、排日感情のようなものが高まっているという事態を招いていることに対して、あまりにも政府は無為無策だと思います。
郵政の問題を、内向きの議論を自民党と政府の間ですることも小泉総理にとっては重要なことかもしれませんが、もっと総理として、いま日本の外交がどういう状況になっているかという現実を直視して、それに対して日本国総理大臣としてどのような対応をすべきかを明確にすることが自らの責任であるということを、「責任」という意味は全て責任があるという意味で言っているのではなく、近隣諸国との良い関係を築いていくこ
とが、日本国総理大臣の責任であることをきちんと認識されて、具体的に対応していただきたいと思っています。現状は極めて残念なことと受け止めています。
<質疑応答>
中国国内の反日行動
【記者】先ほど代表がおっしゃった中国のことですが、日本の常任理事国入りに反発する一部の若者が日系企業の窓ガラスを割るなどの行動に出ていますが、これに対して代表はどのように思われるかということと、代表ならばどのように日中関係を対応していくべきとお考えでしょうか。
【代表】様々な要素が絡み合っているのが現状だと思います。常任理事国入りの問題に対する反発ということは、直接的にはそういうことかもしれませんが、そういう反日行動に出るということは、今までのいろいろなマグマが溜まってきたものが噴き出したという感じがします。
先般のサッカーにおける、およそスポーツの場とは思えないような中国の一部のサッカーファンの反応も、そのこと自身は極めて望ましいことではないと思いますが、しかしそれも1つの現れfだと、日本に対する不満の現れだというふうにも受け止めることができるわけで、そういう日中関係になっていることに対して、総理は率直に、どうしてそうなったのか、自らの行動も含めてよく考えていただきたいと思っています。
基本的には、日中も日韓も首脳同士の信頼関係がないということが大きな原因だと思います。日韓首脳会談も鹿児島で行いました。そうしたときに本当にお互い表面だけの言葉を交わすだけではなく、きちんとした信頼関係ができていれば、このような今回の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の発言にはならなかったかもしれませんし、あるいは、そのときに何らかの異変に気付いたかもしれないと思うわけです。そういう意味で、近隣諸国との首脳外交が基本的にできていないと言わざるを得ないと思います。
郵政民営化と政府・与党調整
【記者】郵政について2つご質問します。昨日、政府が基本骨格を固めましたが、代表としてのご感想と、これに関して政府・与党内の動きについてのご感想をお伺いします。
【代表】これは私、申し上げません。というのは、まだ自民党として了承しているわけではありませんので、途中の段階で一々コメントするに値しないと思っています。(補選の)投票日までには、めでたく合意ができると思っています。
それまでいろいろもめた印象を与えたとしても、最終的には妥協ができると思っていますので、お互いにもめていること自身がニュースになって露出が高まるということになっているに過ぎない。そういうことに対して、一々コメントする気持ちにはなれません。
【記者】(郵政の政府の方針の)内容そのものについてと、明日の党首討論では、ここにある項目にないということであれば取り上げないということになるのでしょうが、取り上げない理由をお聞かせ願えますか。
【代表】メディアが、最後はどうなるということを予想しながらこれだけ報道していることは私は理解しがたいことですが、少なくとも(自民党が)党としてまとまっていない段階で私が党首討論で取り上げることは、意味のないことだと思っています。
【記者】方針そのものの内容については。
【代表】内容については(自民党が)党としてまとまっていませんから、今の段階でコメントする気はありません。きちんとまとまり、国会に出てきたときに、私としての考え方を申し上げたいと思います。「論評に値しない」という論評です。
民主党の財政構造
【記者】今日の常任幹事会で党本部の会計報告がありましたが、収入の部分で政党助成金と立法事務費を合わせると96%くらい占めていると思いますが、そのような財政構造についてどのように思うか改めてお聞きしたいのと、今後どのようなバランスを取りたいのかというお話もあればお聞かせください。
【代表】私自身、かねて申し上げているように、税金に過度に依存した歳入構造は望ましくないと。したがって、党費であれ、あるいは党に対する企業・団体からの献金であれ、増やしていくことでバランスを取るべきだと。もちろん個人献金もそうですが、そのように思っています。
いろいろ関係のところでご努力いただいているのですが、12月末日までの振込ということで見ると、あのような結果にならざるを得なかったということで、その後多少、企業・団体あるいは個人からの献金が増えているという話もありますので、来年度こそはもう少しバランスの取れた形になることを期待したいと思っています。
議員歳費1割削減法案
【記者】今日の常任幹事会で議員歳費の削減で法案を提出する方針をお決めになったかと思うのですが、他の党からはパフォーマンスではないかという声も上がっていますが、代表自身はどのようにお考えでしょうか。
【代表】まず事実関係から言いますと、常任幹事会で決まったわけではありません。常任幹事会は報告ですから。これを決める場は、法案となると『次の内閣』ということになります。ただ、方向・方針としては、役員会で今日確認したということであります。
これをパフォーマンスだと言う人の気持ちを聞いてみたいと思っています。いま、経済の状況は、総理はじめ一部の人たちが言うように改善しているとは思っていません。国民生活は非常に厳しい状況にあります。そういう中で、我々がいま、従来1割カットしてきたものについて、それを戻すということについての説明責任をむしろ求められると思っています。
日中・日韓関係と総理の責任(続)
【代表】外交の話を最初申し上げましたが、少し繰り返しになりますが、中国や韓国の対応について、私は是としているわけではありません。それ自身は望ましいことではないと思っています。
しかし、それをいわば放置している形になっている今の日本外交の現状、あるいは総理の無責任さというものに対して、非常に憂えているということであります。近隣諸国ときちんと未来志向の関係が築けていないことに対して猛省を求めているということです。
議員歳費削減法案提出のタイミング
【記者】議員歳費の件に関してですが、経済情勢についての認識の違いというのは、定率減税の継続か否かという議論があった際に政府とのスタンスがはっきり分かれたと思うのですが、なぜあのタイミングで議員歳費の1割カットを継続するという法案を出さなかったのでしょうか。
【代表】法案としては、今週出せば実際の議員歳費4月分が支払われるのに間に合うタイミングでありますので、あの時点でなぜ出さなかったのかと言われても、間に合うタイミングで私たちとしては出すというふうに申し上げるしかありません。
ただ、最初申し上げたように、『次の内閣』でまだ決めていませんので、党としての正式な決定はまだしていないということは申し上げておきたいと思います。
衆院統一補選に臨む意気込み
【記者】ちょうど1週間後に衆議院の統一補選が告示されますが、改めて補選に臨む意気込みをお聞かせください。
【代表】いずれも非常に大事な選挙だと思いますので、私たちとしては党を挙げて精一杯の努力をしたいと考えています。私も週末はほとんど、どちらかの選挙区に行くということになると思います。
特に福岡のほうは、小泉総理の盟友の山崎補佐官が相手方の候補者でありますので、これが山崎さんが当選しないということは、小泉総理に対して国民が信任していないということにつながる重要な選挙だと考えています。精一杯の努力をしていきたいと考えています。
具体的にはもちろん、平田候補も門間候補も、それぞれ素晴らしい候補者ですから、その良さを訴えていきたいと思いますが、私たちとしては政権を選択する補欠選挙であるという位置付けで戦っていきたいと思っています。
竹中大臣の総務委員会欠席
【記者】今日の総務委員会で、竹中大臣が自民党との調整で忙しいという理由などで、出席を予定していたのにもかかわらず最終的には欠席し、委員会も散会したのですが、これについて国会軽視という声があがっていますが、これについて代表のご感想は?
【代表】前代未聞の出来事ですよね。大臣が出席しないということは許しがたいことだと思います。与党・野党という問題ではなく、国会として、その「権威」というとやや言い過ぎかもしれませんが、国会審議というものの重要性を真っ向から否定する竹中大臣の行動については、厳しく批判されるべきだと思っています。これはあらゆる政党、どの党であろうと、同じ怒りを持って受け止めているのではないかと思っています。
……「野党」というのは、与党・野党という意味で言ったので、うっかり使ったわけではありませんから、誤解なきように(笑)。こういうとき「政権準備党」と言うのはなかなか言いにくいのでね。