166-衆-予算委員会-19号 平成19年05月23日
岡田委員 まず総理にお聞きしたいと思います。
今の高山委員と総理のやりとりを聞いていて感じたことですけれども、松岡さんの問題、いろいろありますが、その中で私が取り上げたいのは、経常経費、光熱 費や事務所費の問題です。この予算委員会の場でも何度もやりとりがありましたが、法律の問題は横に置きましょう、松岡さんの答弁で説明責任が果たされてい るというふうに総理はお考えですか。
安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁の中におきまして松岡大臣も、現行法にのっとって、法律にのっとって処理をしている、このように答弁をしているわけでありますし、また、私もそのように報告を受けているわけでございます。
現在私どもが政治活動を行うに際して、政治資金の取り扱いについては、現在決まっているこの政治資金規正法にのっとって処理をしていくことが義務づけられ ているわけでありまして、その中で処理をしているという説明であり、これは法にのっとって処理をしているという説明をされた、このように理解をしておりま す。
岡田委員 その説明は先ほど聞きました。法律にのっとって報告していると松岡さんは何度も繰り返しています。私が聞いているのはそういうことを聞いているんではなく て、そのことについて総理は、松岡大臣は説明責任を果たしているというふうに考えているのかどうかを聞いているわけです。
安倍内閣総理大臣 いわゆる政治資金規正法というのは、いわば政治活動について透明性を我々高めていく、あるいは、国民にとってその流れを把握できるようにするためのものでもあります。そして、政治活動に曇りがあってはならないということであろうと思います。
と同時に、やはりこうした政治資金規正法のような政治活動を縛るものにつきましては、政治活動の自由との関連から議論がなされるのは当然のことだろう、こ う思うわけでありまして、ですから、政治資金規正法については、各党会派においてよく議論が進められていくわけであります。
その中において議員立法によって先般も改正がなされた、こう承知をしているところでございますが、つまり、その中におきまして、この法律に求められている中におきまして松岡大臣は説明を果たされた、このように私は理解をいたしておるところでございます。
岡田委員 松岡大臣が法律に基づいて説明といいますか報告をきちんとしたかどうかということはちょっとこれからまた議論したいと思うんですが、私が総理に聞いている のは、説明責任を果たしたと総理は考えているかどうか、イエスかノーかで答えてください。ほかのいろいろな経緯の説明は必要ありませんから。
安倍内閣総理大臣 先ほど答弁で申し上げましたように、この法律によって定められているところによっての説明を果たしている、このように思います。
岡田委員 説明をしているかどうかじゃなくて、説明責任を果たしたかどうかということを聞いているわけです。説明は、それはずっとしておられますよ。それが説明責任を果たしたことになっているかどうかを聞いているわけです。
ちなみに、先般のテレビ番組「報道二〇〇一」で、自民党の石原伸晃さん、政治改革実行本部長、それから公明党の東さん、政治改革本部長、お二人は、口をそ ろえて松岡大臣は説明責任を果たしていないとテレビではっきり言われたんですよ。ですから、総理はどうですかということを聞いているわけです。
安倍内閣総理大臣 この政治資金規正法については、これはまさに、閣僚だけではなくてすべての議員に課せられているわけであります。その中において、説明をすること、公開を していくことをこの法律は求めているわけであって、その法律の求めるところに従っての説明をしているということでございます。
岡田委員 総理からお答えは結局聞けなかったというふうに思うわけですけれども、それでは、ちょっと別の問題を少し。
松岡大臣に一言お聞きしたいと思いますが、松岡大臣は先ほど来、政治資金規正法に基づいて適切に処理しているという答弁を繰り返されているわけですが、実 は、法律は報告を義務づけているだけではなくて、ほかのことも政治資金規正法は義務づけております、経常経費に関してですね。一つは、支出簿をちゃんと備 えなきゃいけない。もう一つは、五万円以上の支出については領収書を保存しなければいけない、添付は求めていませんけれども。それから領収書と支出簿の三 年間の保存。これは法律が義務づけているんです。
松岡さんは当然それをごらんになっていますね、御自身の経常経費について。
松岡国務大臣 お答え申し上げます。
私の事務所の方でこれを担当いたしておるわけでありますが、法に定められた保存の必要性のあるもの、保管の必要性のあるもの、そういったものについては法に従っておる、こういうことであります。そういうふうに報告を受けております。
岡田委員 報告を受けているかどうかじゃなくて、松岡大臣自身は確認をされていますねというふうに私の方で確認しているわけです。
松岡大臣、これは、参議院の予算委員会で社民党の福島さんの質問に対して、「はっきり申し上げますが、虚偽記載は一切ございません。」と断言しておられる んですね。虚偽記載が一切ないと言う以上は、自分で当然確認をしてそういう答弁をされていると思うんですよ。もし確認せずにこういう答弁をしたとしたら、 それこそが虚偽の答弁になりますよ。いかがですか。
松岡国務大臣 お答えいたします。
岡田先生も自分でいろいろな帳簿を見られて大変だと思います。私もいっぱいこの何年分とかあるのを見ましたら、これを一つ一つ確認するというのはとても じゃないが大変な作業でありますから、私は、いずれにいたしましても、そういうことは一切ない、ちゃんときちっとした報告をいたしておるということについ て、その報告を確認いたしているわけであります。
岡田委員 今、見たと言ったり報告を受けていると言ったりはっきりしないんですけれども、これだけ大きな問題になったわけですから、当然、子細にその問題になった部 分についてはチェックをされているはずですね。それをされたんですか、されていないんですかということを聞いているわけです。イエス、ノーでお答えくださ い。
松岡国務大臣 いや、これは先ほどから申し上げておりますように、しかるべき、法的に決まった会計責任者、またこれを担当している者、すべて確認をし、問題はないという報告を受けております。
岡田委員 今のお答えは、ですから、御自身では確認していないということを裏からお答えになったと思うんですね、報告を受けているということですから。しかし、国会 でこれだけ「虚偽記載は一切ございません。」と言い切っておきながら、自分で見ていないというのは極めて不自然ですよね。だから、そこが私の疑問であり国 民の疑問なんですよ。
そこで私は総理にお聞きしたいんですが、今の説明を聞いて、つまり、松岡大臣は御自身で確認せずに言っておられる、それが果たして法にのっとったものだというふうにお考えでしょうか。
安倍内閣総理大臣 松岡大臣も現在農林水産大臣という立場にあって公務が大変忙しいんだろうと思うわけでありますが、と同時に、会計責任者が今までずっとこの政治資金につい ては責任を持って事務を取り仕切ってきたということではないだろうか、このように思うわけでありまして、その政治の資金管理団体等々の政治資金を責任を 持って管理してきた責任者にどうなっているかということを聞いて、この責任者の説明を聞いてその報告を受けた、そしてそれを了としたということではないだ ろうか、このように思います。
岡田委員 総理は、松岡大臣が自分で確認すべきだとは思われないですか。
安倍内閣総理大臣 これはそれぞれなんだろうと思うんですが、例えば私も、ほとんど会計責任者に任せているわけでありまして、むしろ、私が自分でずっと調べるよりも、その任 せている人物の方が旧来からずっと経緯も知っているし、中身の把握もしているわけでありますから、私個人が一々調べるよりも、私の会計責任者に当たった方 が事実関係を把握する上においてはむしろ正確になる、私自身はこんなように考えております。
岡田委員 これだけ疑惑が深まっていて、それでも本人が確認しなくていいと。私は、安倍さんは日本国総理大臣ですから、やはりここはしっかりけじめをつけないと、松 岡さんが調べないと言うなら、安倍総理がだれかに調べさせたらいいわけですよ。そのぐらいのことはきちっとやらないと、国民はもう政治に対しては本当にど んどん不信感が増してきますよ。そのぐらいのことをどうしてやられないんですか。
法律にのっとったと言うけれども、法律にのっとっていない可能性が高いから問題になっているわけでしょう。それを、法律にのっとってやっていると聞いている、そういう答弁でずっと総理は続けておられますが、本当にそれでいいんですか、総理。
どんどん安倍内閣に対する国民の不信感が増していって、私は、総理はこれからいろいろなことを総理としてやっていかなきゃいけないと思うんですね。その中 には、国民に対して厳しいこと、負担がふえること、いろいろなことを日本国総理大臣としてやっていかなきゃいけない。そういうときに、こんなことで国民が ついてきますか、信頼しますか。私はそこがすごく気になる。
いかがですか、今からでも遅くはないですから、もう一回きちっと調べ、そしてけじめをつける、そのことは必要じゃありませんか。
安倍内閣総理大臣 確かに、この場においては松岡大臣の事務所費、光熱費の問題が議論されていますが、しかし、事務所費については、自民党だけではなくて民主党も含めていろ いろあったわけですね。そして、その中において、例えば小沢党首の問題についても発表されたわけでありますが、では、別の人がそれに対してそれを監査した りしたんでしょうか。
ですから、これからやるべきことというのは、これから果たすべき役割は、今までいろいろな指摘がありました、今後は、そういう指摘、御批判にこたえて法律 を整えていくということではないんでしょうか。こうした批判が今後は出ないように、これからはこういうルールでみんなきっちりやっていきましょうねという ことでやっていくのが私は責任の果たし方ではないか、このように思っております。
岡田委員 私は全く違うと思います。
まず、小沢党首は記者会見で記者の皆さんに全部チェックしてもらったんですね。見せたんですよ。だから、ちゃんとやったんです。(発言する者あり)領収書を記者にチェックさせたんですよ。問題になったところの領収書は全部チェックさせました。
そして、松岡さんは大臣ですよ。ですから、なぜ松岡大臣はやめないんだ、こんなことであればやめて当然だ、野党もふがいないといって我々国民から批判され ることもあるんですが、実は、松岡大臣がやめないのは、総理がかばっているからなんですよ。今までの歴代総理でここまでかばった総理はいませんよ。だから 松岡大臣は首がつながっている。そのことが政治不信というものにいかにつながっていくかということをぜひ考えていただきたいと思います。
次に、これからの問題としての法改正について少し議論をしたいと思います。
まず、今の不動産の議論が少し総理の方から出ましたから、この点について少し議論したいと思いますが、まず総理、不動産所有について与党案は、その所有を禁止する、こういうふうに聞いておりますけれども、その理由は何ですか。
安倍内閣総理大臣 まだ与党案が成文としてでき上がっておりませんから、私も詳しく今ここでお話しすることはできません。まさに、この法案をつくっていく方向性について、こ ういう方向性でつくっていくということを担当者から今の段階では聞いているにすぎないわけでございますから、詳しい議論は、この法案を国会に上程した後に 国会で御議論を、委員会で御議論をいただきたい、このように思うわけでございます。
今回のこの不動産所有禁止の問題につきましては、これは、先ほど申し上げましたように、民主党の小沢代表が、年間四億円、総額で十億円を超えるとこう言わ れておりますが、年間四億円余という極めて異例の事務所費を計上し、かつ、それによって入手した不動産を個人名義にしたということでございます。これだけ 巨額な不動産をこのように個人名義にされた方はほかには見当たらないわけでございます。もちろん、不動産を個人名義にした方はおられますが、それは、選挙 が終わった後、いわば管理事務所等々、これはほとんど大した額ではないですが、名義上そういう処理をした方もいるわけでありますが、ここまで巨大な額を、 不動産として、しかも個人の名義にされた、こういうことでございます。
そこで、現行の政治資金規正法は資金管理団体の不動産所有を明示的に禁止はしていないところでありますが、そもそも法律は、不動産所有を想定した構成には なっていないというふうに認識をしています。この不動産所有を認めますと、適正な課税がなされないまま不動産がいつの間にか個人の所有になってしまうとい うおそれがあります。そしてまた、政治資金を使って私的な蓄財や投資が行われるなどの懸念があるわけでございます。いわば不動産投資というのは、これは投 機の対象にもなり得るわけでございます。そして、実際にまた、政治活動に果たして本当に複数の不動産を保有する必要性があるのだろうか、それはやはり低い のではないかということでございます。
そうしたことなどから、与党案においては、不動産所有を明示的に禁止するということを今論点として検討をしている、こう聞いているわけでございます。
こうした問題についても、もちろん自民党だけでということではなくて、与党の中で、そしてまた与野党でお互いに胸襟を開いて議論をしていくことがよろしいのではないか、私はこのように思っております。
岡田委員 今、総理の御答弁の中で三つ理由として言われたと私は理解をいたしました。一つは、いつの間にか個人の財産になってしまうんじゃないかということですね。 それから二番目は、それが投機の対象になるんじゃないか。三番目が、本当に政治活動に必要なのか。この三点言われたと思うので、順次ちょっとお聞きしたい と思います。
まず、総理は小沢党首の件を取り上げて、個人の名前になっていると言われましたが、今は個人以外に登記のしようがないわけですね。ですから、そのことがお かしいということではなくて、それは、もし不動産を持とうとすれば、登記は個人でしかせざるを得ないということですね。問題は、その制度を悪用して、それ がいつの間にか個人の財産になってしまうかどうかということが問われているわけです。
そこで、きょうは国税庁次長を呼んでおりますので、確認したいと思います。もちろん、政治団体が保有するそういう不動産が、例えば政治団体が解散すると か、あるいは相続の折に個人の財産になってしまう、適正な課税もないままそうなってしまうということであれば、それは極めて不公正なことですね。ですか ら、そういうことがあり得るのかということを、私はあり得ないというふうに確信をしておりますが、国税庁から答弁していただきたいと思います。
加藤政府参考人 お答え申し上げます。
一般論として申し上げれば、私ども国税当局といたしましては、従来から資料情報の収集に努めておりまして、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどして適正、公平な課税の実現に努めている、これが私どもの基本方針でございます。
今後とも、このような考え方に基づき、私ども国税庁といたしましては、できる範囲で適切に対処してまいりたいということでございます。
岡田委員 実は、財産としては、不動産以外にも国債とか預金とか、みんな個人の名前ですね。ですから、実は同じ問題はあるんです。政治団体が持っていて、それは全部 個人名義になっています。そしてそれを、解散したときあるいは相続のときに個人の財産に紛れるんじゃないか。しかし、そんなことを認めるような国税庁じゃ ないというふうに私は思うわけです。今の答弁もそういう趣旨で言われたと思いますが、財務大臣、いかがですか、今の国税庁の答弁。
尾身国務大臣 国税当局は適正、公平な課税の実現に努めているものと確信をしております。
岡田委員 それでは、二番目の問題です。つまり、投機の対象になるんじゃないかという問題ですね。投機の対象になるかどうかということに関して言うと、まず、今の政 治資金規正法上、不動産や株を持つこと自身は禁じられていない。これは実は明文でも書いてあるわけです、株とか不動産というのは。しかし、それを運用して はいかぬ、こういうことになっているんですね。運用できるのは、国債とか預金、あるいは元本保証された投資信託、元本補てん契約のある金銭信託、こういう ものに限られているわけであります。
つまり、なぜそうしているかというと、おっしゃるように、そういう投機的なことに使って、本来、政治資金の趣旨からいって、そういうものに使うということは控えるべきだ、そういう考え方で十年前にこれは法改正されたと思うんです。
それで、不動産を投機の対象にすることはもちろん法律違反です。不動産を保有することが投機につながるかどうかということが議論だと私は思いますけれど も、ここは、もし投機を禁止するという趣旨で不動産や株について政治団体が持ってはいけないということであれば、一つの議論として私自身はわかるというふ うに思っています。ですから、そういう趣旨で法改正をするということなら私はわかります。しかし、それは株も含めてですね。ですから、やはり法改正すると きに、きちんと論理的に意味のあるような改正をしないといけないというふうに思うわけであります。
そういう意味で、私自身、投機の対象としての不動産保有や、あるいは株の保有が投機の対象になりかねない、そういう趣旨から制限をするということは理解できるということは申し上げておきたいと思います。
さて、最も重要な制度論は、私は、資金管理団体に限っているということだと思います。資金管理団体について、なぜ資金管理団体に限ったのか、ここは私は全 く理解できないんですね。資金管理団体とそれ以外の政治団体で法的にはほとんど効果の違いは今やないというふうに私は思うんですが、総理、なぜ資金管理団 体に限ったんですか。
安倍内閣総理大臣 この法律については、まだ現在与党で最終的に法文をまとめているわけでございまして、それが出てきた段階においてぜひ提案者との議論を行っていただきたい、こう思うわけでございます。
政治資金団体とは、政治家が代表を務める政治団体のうちから、その政治家のために政治資金の拠出を受けるべき団体としてその政治家が指定する団体という位置づけがなされているわけでございます。
資金管理団体に関しては、政治家個人が資金管理団体に対して行う寄附について、寄附の限度額に関するこれは特例が設けられている。政治家個人の政治資金は 資金管理団体に取り扱わせることとするという趣旨で、他の政治団体と異なる制度が設けられているということでございます。いわば、この資金管理団体は他の 政治団体とは違う位置づけ。政治家にとっては、これは自分が指定して、ここを基本的に出入りの中心にしますということに指定しているわけであります。そし て、そのことによって今申し上げましたような特例が設けられているということであります。そこにかんがみ、今回、資金管理団体に特定をした。
そして、すべての政治団体にしますと、これは全国に七万近くの政治団体があるわけでありまして、それらは非常に小さなものもあって、いわば細々と活動を 行っているところもあるわけでございます。そうした観点から、今回、我々、資金管理団体に絞らさせていただいた。また、今回のもともとの発端についても、 資金管理団体のこれは事務所費の処理の仕方に問題があったということでございます。
岡田委員 総理おっしゃったわけですが、資金管理団体とそれ以外の政治団体はどこが違うかということですよね。(パネルを示す)昔は確かに全然違ったんですよ。二〇 〇〇年以前は、資金管理団体のみが企業・団体献金を受けられる、これは基本的に違うことだったんですね。しかし、今や企業・団体献金は政党以外はだめなん です。だから、ここは同じになっちゃったんです、禁止、禁止。
そうすると、例えば政党や政党以外からの寄附について、政党からは制限がないとか政党以外は五千万円以下、これは同じです。総枠制限と個別制限、個人から の献金ですね、があって、一千万と百五十万、ここも基本的に同じなんですが、今総理がおっしゃった自己資金による寄附、つまり、政治家が自分の資金管理団 体に寄附するときは青天井ですよ、ほかの人がするときは百五十万が上限ですよ、ここが違う。もう一つは特定寄附、これも非常に技術的な話ですが、政党から 政治家個人にお金が行ったときに、お金を入れる、そのときに制限がない。でもこれは、いずれにしても非常にレアケースですよね。基本的に、そのことによっ て、政治団体とその中の資金管理団体の基本的な性格が異なるということはないんですよ。
それは、企業・団体献金を資金管理団体だけが受けられた時代はかなり違いましたよ。今やほとんど違いがない。だからこそ、例えば自民党でも、私の把握して いるところでは、五十人ぐらいの方が資金管理団体を持っておられませんよ。ほとんど実態が一緒だから、資金管理団体がなくても、ほかの政治団体でも代用で きるわけです。
そういうふうに、ほとんど同じものでどうして分けて、そして資金管理団体に限って今回のいろいろな規制をしようとしているのか、そこが私は理解できないから質問しているわけです。いかがでしょうか。
安倍内閣総理大臣 今回の問題の発端は、そもそもこの政治資金管理団体であった。政治家の政治資金管理団体において、その事務所費の使い方に対して問題があるのではないかという指摘があったことを発端としての今度の改正でございます。
例えば、多くの政治団体を持っておられる方々にとっては、それは全然自分たちとは関係ないことではないかという強い御主張もあるのは当然ではないだろう か、私はこんなように思うわけでございます。そして、それほど多くはないとはいっても、政治家個人が自分の政治資金管理団体に寄附をする、上限がないとい うのは、これはやはり大きな特例の措置であろう。そしてまた、政党からの寄附ということにおいてもその上限がないということになっているわけでございま す。
そういう点から、資金管理団体については、これはやはり、今回こうしたことが起こった中において、みずから我々いわば政治家が、ほとんどの政治家が大体政 治資金管理団体は持っているんだろう、こう思うわけでありますが、その中で資金管理団体に絞った、こういうことではないかと思います。
岡田委員 さっき言いましたように、個人で百五十万以上自分の政治資金管理団体に入れる、そういう人もいるでしょうが、毎年毎年何百万も何千万も入れる人はまれだと 思うんですね。それから、自民党だって、資金管理団体に一千万も特定寄附でやっていないと思うんです、政党支部にはやったとしても。そういう意味で、実際 は全然変わらない。
そういう中で、例えば経常経費、領収書添付を資金管理団体だけにするということになると、それを嫌な人は、では、資金管理団体をやめて、政治団体で基本的な活動をしましょう、実態は変わらないわけですから、そういうことは可能なわけですね。
それからもう一つは、資金管理団体とその他の政治団体の間のお金の行き来は、これは自由ですね。ですから、そういう中で実質的には全くのざる法になっているというふうに私たちは言っているわけです。
ですから、法律をつくる以上はきちんとしたものをつくるべきで、ざる法をつくって、国民の皆さんに、これでちゃんとやりましたなんというのは私は全くおかしなことだと思うんですが、いかがですか。
安倍内閣総理大臣 今まで何回も答弁をいたしましたように、基本的には、今回の問題というのは、政治家の資金管理団体の事務所費のあり方についての議論が発端でございます。
その中で、大半のいわば政治団体はこれは関係がなかったわけでありますが、主たる資金の団体である資金管理団体を、これをやはり今回は対象として絞っていくということが与党において大勢の議論であった、このように私は承知をいたしております。
岡田委員 大半の政治団体は関係なかったとおっしゃいましたが、たまたま今回問題になったのは資金管理団体であって、探せば経常経費について同じような問題、ほかの政治団体も出てくる可能性は十分あるんですよ。だから、たまたまそうだったということですよ。
もう一つ、では、いかに資金の流れがあるかということを説明したいと思います。失礼ですが、これは安倍総理の二〇〇五年の政治資金収支報告書をもとにつ くったものです。安倍総理が違法なことをやっているということではもちろんありません。これは、政治資金収支報告書の報告に基づいてそれを図にしたわけ で……(発言する者あり)私のものもしたいと思ったんですが、実は私は、政党支部と政治資金団体以外に政治団体を持っていないんです。六、七年前に全部整 理しました。ですから、こういうことができないんです。ですから、総理の分をちょっとお借りしたんです。
政党支部と資金管理団体、晋和会がある。そして、この資金管理団体の経常経費が八千二百六十九万、経常経費だけですね、ほかの政治活動費は除いてありま す。それ以外に、この資金管理団体晋和会と同じ事務所で東京政経研究会というのがあって、これは当時の総理の、安倍さんの秘書さんが代表をしておられる。 経常経費一千百万。それからこれは、地元にいずれも秘書さんが代表をしておられる三つの団体があって、同じ下関に、同じビルに事務所があるんですけれど も、それぞれ八十二万と千二百五十四万と五万の経常経費がある。今回の改正は、この資金管理団体だけ領収書の添付を義務づけるということなんですね。
ですから、例えば同じビルに東京政経研究会と晋和会があって、そのときに、事務所費とか光熱水費とか、つけかえというのは、つまり、どっちで計上するかと いうのはかなり自由度があると私は思うんですよ、同じビルにあるわけですから。そういう場合に、いや、晋和会の方で計上したら領収書添付が義務づけられる から、こっちの東京政経研究会の方で経常経費を計上しようというようなことが、悪く考えれば、悪い政治家ならそういうことを考えるということですね。
ですから、そういうことについてやはりそういう抜け穴だらけの法改正は私は意味がないということを申し上げているんですが、いかがですか。やはり、やる以上ちゃんとしませんか。
安倍内閣総理大臣 まず、今の私の晋和会と東京政経研究会においては、同じ事務所でありますが、事務所経費がかかっておりますので、この事務所経費についてはそれぞれの規模 において折半して、もちろん既にしっかりとこれは納めているわけでございますし、それは既に公開されているんだろう、このように思うわけでございます。
いずれにいたしましても、今、私のこの資金管理団体やほかの後援会等々の関係を見ても、やはり、主たるものは圧倒的に資金管理団体になっている。党の方 は、これは党の支部でありますから、私は支部長でありますが、会計責任者はしっかりとまた別途いるわけでありまして、また党本部との関係にもあるというこ とでございます。やはりこれを見ても、基本的には、資金管理団体が主たるこれはいわばお金を取り扱う流れの中心でもあるわけでございますから、ここをやは りそういう義務を課していくということについては、これは、いわば透明性を高めていく上においてはかなりの前進になっているのではないか、私はこのように 承知をいたしております。
岡田委員 何度も繰り返しますが、安倍総理のこの流れに問題があると私は言っているわけではもちろんありません。例として取り上げさせていただいただけです。
ただ、結構お金が行ったり来たりしているなという感じはありますよね。これは多くの議員の場合、やはりそうなっていると思うんですよ。そういうふうに自由 に行ったり来たりする中で資金管理団体だけ網をかけても、私はほとんど意味がないんじゃないかということを申し上げているわけです。
例えば政党支部はどうですか。つまり、今回の伝えられる与党案では、資金管理団体に限る、そういうふうに言っておられるので、そうすると政党支部も外れ ちゃうんですね。政党支部というのは、これは政治家の政治活動をしている。だから、七万も政治団体があって、それを全部網をかけるのはおかしいという議論 があります。私はそのこと自身認めませんが、しかし、少なくとも国会議員の政党支部、そういうものまで外しちゃうというのは、これはおかしいんじゃないで すか。いかがですか。
安倍内閣総理大臣 そうしますと、政党支部ということになれば、これは政党そのものになるわけでございますから、つまり、では政党をどう考えようかという議論になるのではな いだろうか、このように思うわけでございますが、政党は政党において厳しいチェックを行っているわけでございまして、自民党においては、政党のまさにこの 出納については、内規において、公認会計士も入れて厳しいチェックを行っている、このように承知をいたしておるところでございます。
岡田委員 私が申し上げたいのは、もともとこういった政治活動費は、これは全部領収書添付が義務づけられているんですよ、五万以上は。その上で経常経費をどうするか という今議論をしているんであって、それは、七万の政治団体すべてについて五万以上の政治活動費については領収書の添付が義務づけられている。これはやは り、政治活動をする以上、それを国民の目にさらして、適正、公正に行われているかどうかをチェックしてもらう、そのことによって説明責任を果たす。これは 政治資金規正法にその趣旨が書いてありますが、つまり、ほかの権利能力なき社団とは全く違う性格を政治団体は持っているわけです。
基本的に、その最もコアの部分、核心部分である政治活動費について領収書の添付を義務づけている。経常経費については、光熱費とかは当たり前だから、わざ わざ領収書を添付しなくてもおかしなことは起こらないだろう。しかし、それがどうもそうじゃないらしいということが今回のこの問題の根の深さであって、ほ かもなぜ経常経費について領収書添付はだめなのか、私はいまだにわからないです。
そして、さっき言ったように抜け穴も、やろうと思えば、悪意を持ってすればできちゃう。そういういいかげんな法改正をやって、国民の皆さんに、私たちは ちゃんとやりました、そういうことを続けていると政治全体が沈んでしまうと私は思うんですよ。やはりきちんとやるべきことはやる。それを総理の指示で、自 民党の中にいろいろ抵抗はあるのかもしれません、余り抵抗されると、経常経費の中に領収書のとれないようなまずいものを持ち込んでいるんじゃないか、そう いう疑念すらわいてきますよね。だから、ちゃんと経常経費は経常経費として使っているのなら、すべてについて領収書を添付したらいいじゃないですか。
そういうことを私はもう一回安倍総理に考えていただきたいんですよ、政治全体が沈んでいくかどうかの話ですから。ぜひ、日本国総理大臣としての答弁を最後にいただきたいと思います。
安倍内閣総理大臣 ただいま岡田委員がおっしゃったような論点も含めて与党で議論がなされた、このように思うわけでございます。
そういう中におきまして、政治活動の自由、あるいは、小さな団体にとっては事務の煩雑さ等もあるんだろう、このように思うわけでありますが、その中で、ま ずはやはり、基本的には我々国会議員がすべて持っている資金団体、これはいわば政治家にとってのお財布になるわけであります。主たる資金を預かる団体であ る政治団体において我々は五万円の領収書の添付をする。
この領収書を添付するということについてもいろいろな議論があったわけでありますが、ここはやはり透明性を高めるべきである、こう判断をいたしまして、問 題の発生した資金管理団体、我々政治家が基本的には全部持っている資金管理団体にまずは絞って、しかし、五万円の領収書の添付は義務づける、このような改 正を行っていくことをもって国民の信頼にこたえていかなければいけない、こう考えているところでございます。
岡田委員 私は、国民の信頼にこたえたことにはならない、そのことを申し上げておきたいと思います。
終わります。