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2008.02.21|国会会議録

第169回国会 衆議院予算委員会 平成20年2月21日

岡田委員 岡田克也です。

今までの民主党の議論を踏まえて、最後ですから、総括的に総理に御質問したいと思います。

まず、総理、最初にお聞きしたいと思いますが、道路の中期計画の素案、これは内閣のものですか、それとも国土交通省のものですか、いずれでしょうか。

福田内閣総理大臣 国土交通省だと聞いております。

岡田委員  そこでお聞きしたいんですけれども、平成十八年十二月八日の閣議決定、「道路特定財源の見直しに関する具体策」、その中で、「道路整備に対するニーズを踏 まえ、その必要性を具体的に精査し、」中略ということですが、「十九年中に、今後の具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画を作成する。」こういうこと が閣議決定されているわけですね。

おっしゃったように、この素案は国土交通省のものであって、内閣のものではありません。閣議決定もしておりません。そうすると、この閣議決定された、十九年中に定めるべき中期的な計画というのはどうなったんでしょうか。

冬柴国務大臣 十九年中、すなわち昨年中に、十一月十三日に国土交通省といたしましてはこの中期計画というものを公表いたしまして、いわゆる税を負担する方にその受益の内容をよくわかるように具体に示させていただいたわけであります。

そして、それを踏まえて、政府・与党でこれを検証していただき、その前に財務省の評価もいただきまして、そして、そこでは六十五兆と書いてありますが、事 業の量を、五十九兆を上回らないものとする、上限を上回らないものとするというように決めていただいたわけで、それに基づきまして、我々はここへ、きょう 本会議で提案の理由の説明をさせていただきましたけれども、そういうものを国土交通省において起草し、そして内閣に諮り、閣議決定をしていただいて、そし て今提案しているわけでございます。

ですから、それが決まれば、その中に事業の量を閣議決定していただくということになっていますから、きょう提案の理由の説明をした法律を御可決いただき、 そして成立したそのときに政府に諮って、五十九兆を上回らないというようなこの事業の量ですね、こういうものについて閣議決定をいただくというふうに私は 予定をいたしております。

岡田委員 私は、大臣に経緯を聞いたのではありません。

私たちは、閣議決定というのは非常に重いですから、その閣議決定で、十九年中に中期的な計画が、具体的な道路整備の姿を示した中期的な計画が閣議決定され る、内閣として定められるという前提で考えておりましたから、それがないまま、素案のままずっと来ている、そしてこの予算委員会でもこの素案の議論をして いる、いまだに内閣としてのきちんと決まった計画はない、そういう状況でこの予算委員会で議論しなければいけないというのは、私は極めて不本意ですよ。政 府としてのきちんとしたものがないままに、総理、それで五十九兆円の議論をしろと言うんですか。

まず、そのことについて総理の説明をお聞きしたいと思います。

福田内閣総理大臣  これは、この中期計画の素案では、渋滞対策などの政策課題ごとに対応する箇所を具体的に洗い出した上で、今後十年間で重点的に対策を講じる箇所数に限って 計画の内容として必要な事業を算出したものでありまして、現在お示ししている中期計画の案を御審議いただく材料としてもう十分な内容になっている、こうい うふうに承知いたしております。

なお、詳細なことは担当大臣にお聞きいただきたいのでありますけれども、政策決定プロセスとしてこれは間違っているというものではありません。

岡田委員 ですから、この素案は六十五兆円の案なんですね。しかし、我々が議論しているのは五十九兆円なんです。その五十九兆円の案はどこにあるんですか。案がないまま我々議論させられているんですか。そんなことってあるんですか、総理。

冬柴国務大臣 十年間の個別具体の整備箇所は、これは十年間の予算を縛ってしまいますから、しておりませんけれども、十年間で実施すべき必要最小限の道路整備について、その考え方をできるだけわかりやすく丁寧にそこに書いたと思います。

事業費が五十九兆円の積算根拠及びその内訳については、いまだ明らかになっていないという御指摘もいただいております。これにつきましては、素案六十五兆 円に対しまして、さらなるコスト削減で三兆円を削る、まちづくりや地域づくりと一体となって行う道路整備など、ほかの事業を活用することで二兆円を削る、 また、高速道路の料金引き下げ、あるいはスマートインターチェンジを活用することによって一兆円を削ることができるということでございます。計六兆円を削 減する方向で、現在、作業を鋭意進めさせているところでございます。

できるだけ早く国民の皆さん、また委員の皆様にお示しをさせていただきたいと思っているところでございます。

岡田委員 ですから、具体的な案ができたところできちんと議論をしたいと思うんです。それまでは結論出せませんよ。

それから、今おっしゃったことは先ほど本会議でもおっしゃったんだけれども、コスト削減で三兆円ですか。一声で三兆円、コスト削減できるんですか。そうす ると、六十五兆円というのは、それだけいいかげんなものだったんですか。五%あっという間に削減できるような、いいかげんなものを出されたんですか。

それから、スマートインターチェンジとか高速道路値下げ、これで一兆円。でも、そういうものは、スマートインターチェンジをつくればお金がかかりますよ ね。それで一兆円お金が浮くということは、結局、そういった高速道路に並行して予定している道路はつくらない、こういうことだと思うんですね。そうとしか 説明できないと思うんです、一兆円分。

では、今計画しているどこの道路をつくらないんですか。一兆円、それを明確にしてください。

冬柴国務大臣  具体的な道路の整備につきましては、これは本当に、あしたこれをつくるというわけにいかないんです。二、三年かかりますよ。都市計画決定もあれば、環境ア セスメント調査等、そういうものを踏んで、そして、その上で、その時点で最も新しいと申しますか、将来道路需要、交通需要の予測等を用いてBバイCを行 い、それを、高速自動車国道であれば国幹会議にも議をかけて、そして財務省の評価もいただきながら、その時々でやっていくわけです。

しかしながら、スマートインターチェンジとかそういうもので何で一兆円なんだと。それについては資料を提供しなきゃいけないと思います。私の方は、具体的にそれは示すことになると思います。

岡田委員 ぜひ一兆円の資料を示していただきたいと思います。

私が申し上げたいのは、一声で三兆円コストが削減できたり、要するに、一体この六十五兆なり五十九兆の計画の中身はどれだけしっかりしたものなのかという ことなんですよ。つまり、総理、よく聞いていただきたいんですけれども、何でこんな議論をしているかということですよ。

前回私が口頭で御説明したものを改めてパネルにしてまいりました。これは、一万四千キロの高規格道路をつくる、そのことを決めた昭和六十二年の四全総、そのときの前提としていた数字と現時点での数字の比較です。

二〇五〇年の人口推計が、この昭和六十一年の人口問題研究所の推計では一億二千八百八万人。しかし、今の最新の数字では、平成十八年ですけれども、九千五 百十五万人。もうこれだけで三千三百万人違うんですよ。これだけ人口の見通しが変わってきているんですね。

それから、財政の状況を見てください。当時は、国、地方合わせて二百三十八兆円、対GDP比六六・一%でしたけれども、今や七百七十八兆で一四七・六%。

世界を見たって、どこを見たってこんな国はありませんよ。これだけ財政が厳しくなり、そして将来の人口推計が変わった。それは、人口が変われば、冬柴大臣 が先ほど言われたように、免許の保有率が女性とか高齢者で高まれば一時はそれで相殺できるかもしれませんが、基本的には、人口が減ればその分、車の数も 減っていくんですよ。そういう中で、前回触れた一万四千キロは変えない。それで本当にいいのか。

先ほども本会議で、日本の競争力のために道路は必要だと与党の議員は言っていましたけれども、しかし、本当にそうなのか。道路は立派なものがどんどんでき たけれども、ほとんど使われず、それは維持管理費だって、お金かかりますよ。重荷になってこの国がどんどん沈んでいくことになるんじゃないかということを 我々は心配するから、ここでさまざまな議論をしているんですよ。(発言する者あり)

道路をつくらなきゃ日本はだめになると、今、尾身委員がやじを飛ばしましたけれども、総理、本当にそうですか。総理の意見を聞きたいんですよ。私と同じ問 題意識を持っている国民は多いはずなんですよ。ですから、総理にきちんとそこを説明してもらいたいんですよ。

本当に一万四千キロつくり続けるのか、本当に五十九兆円やるのか、なぜやるのか、そこを国民に対してわかりやすく総理の思いを語っていただきたいと思います。

総理、大臣の意見を聞いているんじゃありません、総理の意見を聞いているんです。大臣の意見は結構です。総理の意見を聞いているんです。

福田内閣総理大臣 道路計画のことですから、国土交通大臣に聞いていただきたいと思います。

私は、それは委員のおっしゃることもよくわかります。将来のことは、正直言ってわからないことはたくさんありますよ。人口がどんどん減っていく中で道路をいつまでもつくるのかという、そのお話もよくわかります。

ですから、そういうことについて、今こういう計画をつくりました、そしてそれは二〇五〇年まで続くんですということを言っているわけじゃありませんよね。 それは、極端に言えば、毎年見直しをしてもいいことだと思いますよ。ことしはセンサスが出ますから、それをもとにしてまた新しい推計をするということは可 能なわけであります。この十年間の方向性というものはつけさせていただくけれども、五年ごとに見直すとか、また毎年の予算のときにいろいろと議論して、よ りよい案をつくるといったようなこともあるわけです。ですから、そういうときに、道路を幾らつくるかといった本当に具体的なことは真剣に議論をしていただ きたい。

ただ、私も、道路をいつまでもつくればいい、そういう話にはくみしません。

岡田委員 ことし秋の交通センサスを考えられる、見直せばいいという、その総理の御発言は重く受けとめさせていただいて、後ほどまた議論したいと思います。

まず、将来交通量の推計については、先ほど馬淵委員がお話しされたとおりです。基本的に人口が減っていく中で最新の数字を使えば、それは必ず減るんです よ。そして同時に、二〇三〇年で推計しているけれども、ずっとふえているときは二十年ぐらい先でいいかもしれませんよ、道路が次第にそれに追いついていく という意味で。しかし、減っていくときには、やはり先を見通して、二〇五〇年ぐらい先でやらないとつくり過ぎちゃうということになるわけですよ。だから、 そういったことをしっかりと、将来交通量の推計についてはもう一回見直す必要があるということを先ほど馬淵さんは言われましたが、私も同じ思いでありま す。

そこで、費用便益分析について、これも先ほど来いろいろ議論されておりますけれども、先ほど来から触れられていること以外にも幾つか論点が今までこの委員会でもあったんですよ。

例えば、人件費の見積もりについて、正社員、つまり、時給二千八百円という前提ではじいているということですね。しかし、今や三人に一人が非正規の働き方をしている中で、こういう高い時給で計算することが適切かどうか。

もしこれを実態に合わせれば、便益の方は減るわけですよ。時給二千八百円の人が一時間時間が節約できたらと、そういうことで便益が計算されているわけです から、単価が落ちれば便益は減るんですね。全然違ってくるわけですよ。例えば二千八百円と千四百円じゃ全く違うわけですね。そういった問題もあります。

こういったことについて私はずっと見ているんですが、こういった基準をつくっている道路事業評価手法検討委員会、冬柴大臣は、ここできちんと専門の学者が 検討したものだ、こう言われるわけですが、やはりさまざまに聞いてみたいことがあるんですよ、議論したいことが。

ですから、私は、この検討委員会の委員長の森地茂さんをこの委員会にお呼びして、しっかりと、先ほど私が指摘した具体的なことも含めて議論したいというふうに考えておりますので、まず委員長、その点、お取り計らいをいただきたいと思います。

逢沢委員長 初めての御提案でございますので、予算委員会理事会で取り扱いを協議いたします。

岡田委員  もう一つ費用便益分析の中で、これも今まで触れられた点でありますが、実際にこの費用便益分析を行った財団法人国土技術研究センター、ここの常勤役員四名 は、全員が国土交通省のOBであるということが審議の中で明らかになりました。そして、そこには建設会社の出向者もたくさんおられる。こういうところで費 用便益分析を行っているということは、私はやはりかなりバイアスがかかっていると言われても仕方がないと思うんですよ。

ですから、そういった分析も、より客観的な第三者的なところでしっかりとやり直すべきだと思うんですが、国土交通大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣  これは非常に専門的で、そんなにあちこちでやっている作業じゃないですよね。しかしながら、もしそういう仕事を出す場合には、企画競争という形で、手を挙 げていただく方を探して、できれば十人ぐらいで競っていただいてその中から選ぶ、あらかじめそれを決めるのではなしに、そういうふうにやっていきたいとい うふうに思っているところでございます。それは、総理からの御指示も受けて、随意契約はやらないということの一環でございます。

岡田委員  その件もここで問題になりました。随意契約ではないという前提ですが、具体的にこの財団法人の名前を挙げて、ここと同等の能力を有するというようなこと で、結局は随意契約に実質的にはなっているということも明らかになったわけですよ。だから、もう一度これは全部やり直す必要があると私は思いますよ。

そして、この国土技術研究センターの責任者である大石久和理事長にもこの委員会に来ていただいて、しっかりとその経緯について議論したいと思いますので、委員長、この点もよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。

逢沢委員長 理事会で取り扱いについて協議いたします。

岡田委員 そのほか、その費用便益分析はいろいろな問題があるわけですよね。

例えば、今回のその前提が全く古い過大な分析であっても、BバイCが一・二を確保できない。したがって、四車線を二車線にしたものが四百二十二キロありま すね、一四%。それから、それでもBバイCが一・二を超えないということで、一部現道の活用など、事実上高規格幹線道路とは言えなくなったもの、これも一 六%、四百六十八キロあります。こういうものは、先ほども馬淵委員の話にもありましたように、前提がさらに厳しくなると、ほとんどが私は一を切ると思いま すよ。

そういう意味で、最新の数字でもう一回きちんとやり直す必要がある、こういうふうに思っております。この点、国土交通大臣、いかがですか。

冬柴国務大臣  やり直すといったって、これは、あなたも先ほど言われましたように、閣議決定を二回やっていますよ。十九年中にその道路の姿をいわゆるタックスペイヤーに 対してよく説明をし、御納得をいただき具体案をつくる、そういうことでございますよ。ですから、私の方は、ここでそれを十九年中につくって示したわけで す、十一月十三日に。

したがいまして、今後新しいものが出てきます。そのときには、それを用いて、これからつくるものを、いつ着手するかわかりませんけれども、その時点で最も新しい資料に基づいて審査をしていく。当然、財務省においてもそれは求められます。

そういうことで、その段階で判断をしていくということですから、これをつくり直す必要はないじゃないですか。どうですか。私はそう思いますよ。

岡田委員  その点、最後にまた総理と議論したいと思いますが、私は、ほとんど意味のない今の古い数字を用いたものではなくて、ことしの秋までに出るというのであれ ば、それで全面的に、今私が具体的に申し上げたところの再検討も含めて、だれが見てもきちっと信頼に値するだけの数字をもう一度計算し直すべきだというこ とを申し上げているわけです。

そこで、国土交通大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、この費用便益分析、私は、この費用便益分析を考えるときに、本州四国連絡高速道路の話をどう しても思い出すわけです。二〇〇〇年十二月の中間評価で、この費用便益分析、本州四国連絡高速道路、一体幾つだったですか。一・七ですよ、一・七。このこ とについてどういうふうに冬柴大臣はお思いですか。

冬柴国務大臣  それの整備に着手するときにはそういうものが出たんだろうと思いますけれども、しかし、その後、未曾有の経済の落ち込みがあったじゃないですか。そういう 大きな、激変するような、先ほどの、国の債務を比較しておられますけれども、こんな短い期間にこれほど大きな国家債務を負ったというような激変期を通じ て、その前と状況が変わった、そういうことがあると思います。

したがいまして、今後も、今後十年間にこれがどう変わっていくか、GDPがどうなるのか、あるいは人口推移がこのとおりにいくのか、もうじり貧でいいの か。やはり、この十年間に国際競争力もつけて、それで周辺の、特に十三億人という国民を擁する中国の勢力等を我々は取り込むことによって成長力を確保する ということも必要じゃないでしょうか。それはそのときの政治判断です。

ですから、人口が減るからそこの道路はがらがらになるんだとか、そういう縮小均衡的な考え方、そういうことでいいんでしょうか。私どもは、これから、やは り、我々の子供たちが自信と誇りを持てるような国、そういうものをつくっていかなきゃいけないと思いますよ。それが我々の、今を生きる大人の責任じゃない でしょうか。そういう意味で、国際競争力も強化しなきゃならない。

また、地方も、今経済は低迷していますよ。しかし、そのままでいいんでしょうか。

岡田委員も御存じのとおりですけれども、東海環状の七十二キロが東側だけ通じただけで、工場団地が、それまで四団地しかなかったのが、今十七団地操業して いるじゃないですか。そういう地方の活力を引き出すためにも、ほかにもたくさん例はありますよ、こういうことだから、人口が減ってくるんだからもうやめて もいいというようなことにはならない、そうあってはいけない、この十年頑張らなきゃいけないというのが私の気持ちなのでございます。

岡田委員 全く物の考え方が違います。

人口が減るからこそ、必要なことは選択と集中なんです。あなたのように、どんどんどんどん道路をつくっていく、本当にそれでこの国は大丈夫ですか。選択と 集中ですよ。そのための議論をしているんでしょう、今。それなら、百兆とか二百兆でもつくったらどうですか、道路を。この国をつぶすつもりですか。私は、 全く基本的考え方が違うということを、今大臣の答弁を聞いていて思いました。

私が聞いたのは、本州四国連絡高速道路、これは二〇〇〇年十二月ですから、そんな昔の話じゃないですよ。そのときに、費用は五・二兆円ですよ、便益は八・七兆円。その便益八・七兆円はどういう計算で出てきたんですか、ちゃんと答えてください。

平井副大臣 申しわけありません。急な御質問なので、今手元に資料がありません。

岡田委員 私が聞いたところでは、資料がないそうです。資料がない。つまり、八・七兆円の内訳は今ないと。私は、それは信じがたいことですが、だって二〇〇〇年の計算ですからね。しかし、その公団がなくなった、主体が変わったからないと。

いずれにしても、そのときに、二〇〇〇年十二月で一・七だったものが結局はどうなりましたか。一・五兆円の税金をつぎ込んだわけでしょう。これは全部道路 特定財源ですよ。一・五兆円つぎ込んで何とかつじつまを合わせた。これは全部国民の払った税金ですよ。だから、一・七なんていう数字が平気で出てくるBバ イC分析、費用便益分析だから私は信用できないわけですよ。さっきから議論しているわけですよ。

そういったことをまた今繰り返しつつあるんじゃないか、先ほど我が党の仲間の委員がさまざま具体的に主張しましたけれども、結局、この本州四国連絡高速道 路と同じことが繰り返されているのではないか、そのことを私どもは非常に問題にしているということであります。

そのほかにも、先ほどこれも同僚の議員が言われた地域高規格道路、六千九百五十キロ。しかしこれも、その六千九百五十キロの中にはさまざまなものが含まれていますよね。
 
大臣は私の地元のことを時々言われるので、先ほども東海環状の話をされましたが、例えば三重県で、愛知県の渥美半島から志摩半島に橋をかけることになって いるんですね。これも計画の中に入っていますよ、将来計画の中には。それから、紀淡海峡、和歌山から四国に橋をかける、四国からまた九州に、大分に橋をか ける、そういうものもこの地域高規格道路の計画の中には入っていますよ。

私は、こういうものを一度きちんと整理すべきだと思いますよ。こういうのが残っていますから、私どもの地元でも、三重県知事も、これをつくってくれつくっ てくれといまだに陳情に回っていますよ。だけれども、本当にそんなことでいいとは私は絶対思わない。しかし、地元としては、計画が残っていれば期待しちゃ うわけですよ、あるいは動かざるを得ないんですよ。

そういうものをもう一回全部見直してきちんと整理する。ここまではきちっとやる、しかしこれ以上はやりません、そういう線引きが必要じゃないですか。高度 成長期みたいにどんどんどんどんやっていく、それで本当にこの国は大丈夫だと。総理、どう思われますか。いかがですか。

冬柴国務大臣  私は、十年間が勝負だということを言っています。それは、本当に本格的な人口減少社会を迎える、それからまた、今、高度経済成長期につくった道路、橋梁が 年数を迎えるわけですよ。そうすると、本当にまた、それは今はないけれども、それに対する費用は莫大な投資を必要とします。そうすると、そういうときはも う道路はほとんどつくれなくなるんじゃないかと思います。私は、この十年、だから本当にこの十年の間に、子供たちが自信と誇りを持てるような、安全、安心 の国をつくるためにもこれをやらせてほしい、そういう思いです。
 
したがって、それから後のことは、もう税の問題とかそういうことはもっと協議をしてやればいい、私はそう思っています。

岡田委員 地方の件もちょっと申し上げたいと思います。
 
先ほど来出ている表ではありますが、実績値、例えばあかずの踏切を除去する対策、よく言われますよね、四年間で四十カ所です。それが、今度は十年間で千四 百カ所。交通事故対策、四年間で九千六百区間。括弧してあるのは一年間。四で割ったものです。それが四万区間。通学路の歩道整備、千八百キロ。これが二万 五千キロ。
 
こういった数字を見ると、それは、すぐに政府は、いや、あかずの踏切の問題や通学路の確保だと言われますけれども、数字は立派だけれども、実績から見ると けたが違うじゃないですか。これは本当にできるんですか、できる自信はありますか。総理、いかがですか。

冬柴国務大臣  これは、この直近の四年間の実績をとらえてやっていられると思いますけれども、私どもはこれをスピードアップする、そしてまた、最新の技術を用いてそれは やり遂げるということで申し上げているわけでございます。ではその踏切はどうなると言われたら、現在やっている数字等を見てください。二百二十七の踏切に 対しての立体交差を着手していますよ。
 
ですから、そういうことをいろいろと言われますけれども、我々としては、そこに盛り込んだものについては責任を持ってやるという覚悟のもとに出しているわけでございます。

岡田委員 私は、今の発言、理解できないんですよね。
 
つまり、責任を持ってやるとかやり遂げるというふうに言われていますけれども、これ、全部国がやる話ですか。違うでしょう。だって、地方道の踏切とか地方 道の通学路の歩道整備、これは地方の責任でやる話でしょう。国がやる話じゃないですよね。もちろん、国道の中には国が責任を負わなければならないものがあ りますけれども。
 
ですから、大臣はたんかを切るけれども、これ、国が、自分たちの財源でやる気にならなかったらできないことで、それを何か全部自分がやるようにおっしゃる けれども、これは完全に分権に反しているし、やはり、それだけでも僕はこれは実現可能性が極めて怪しいと思うんですよ。
 
ですから、答弁は求めませんが、結局、最初に予算ありきなんですよ。予算ありきでそれをいかに埋めるかで、こういったものも含めて一生懸命積算をした、つじつまを合わせた、そういうふうに私は国民の皆さんも思っていると思います。
 
そこで、こういう六十五兆円の予算ありき、あるいは五十九兆円の予算ありきということで計算していると思いますが、総理、一方で、今一般財源化の話があり ますよね。もちろん我々、地域には、一般財源化して地域に渡すということを言っているわけですが、国の分もですね。それに対して総理は、いや、自動車ユー ザーの理解を得られないということを前回言われました。しかし、そこで、例えば酒やたばこに対して高率な課税がされているわけですが、これは特定財源に なっていませんよね。そこはいかがなんですか。酒やたばこは、ではユーザーの理解を得ているんですか。一般財源ですよ。どうなんですか。

額賀国務大臣  もう委員御承知のとおり、これは受益者負担で、もともとが特定財源化して道路を整備する目的でやられているわけでありますね。長年のそういう流れを、今 回、我々は揮発油税の改正をして一般財源化を図っていくという路線転換を図った。岡田先生の将来の方向とは、まあ同調できるところもないわけではないんで すね。だから、そういうことをしながら、やはり道路を整備し、一般財源化を図っていく、この両面をこの法案は持っているわけでございます。
 
委員のおっしゃるように、一般財源化をなくしたら、同時に暫定税率も廃止をしたら、これは二・六兆円がなくなってしまって、先ほど示したように、道路が全くできなくなってしまうということをやはり国民の皆さん方は心配していると思いますよ。

岡田委員 財務大臣も、前回と比べると、一般財源化の方向というふうに言われたのだけ、少し財務大臣としてはいい答弁だったと私は思いますよ、前回まではまるで道路族みたいな答弁をしていましたからね。
 
先輩の塩川財務大臣、何て言われましたか。母屋でおかゆ、離れですき焼き、これは特定財源、その話をしているんですよ、塩川さんは。当時の財務大臣です よ。そして、特定財源の最大のものが道路特定財源じゃないですか。だから私たちは、ここを改革の本丸としてとらえて、一般財源化しなきゃいけないというこ とを言っているわけですよ。
 
かつては、小泉総理も安倍総理も一たびは一般財源化と言い、財務大臣も母屋、離れの例を例えて、そして特定財源に問題があるということを明言されたけれど も、この福田内閣はどうなんですか。余ったものだけ使っていいよ、しかし、翌年になったらまたこれは道路財源だと。これをもって一般財源化というのは、全 く羊頭狗肉じゃないですか、総理。
 
総理、特定財源をしっかりと一般財源化する、そういう方向性を少しでも出してもらえませんか。

福田内閣総理大臣  ガソリンを使う、要するにユーザーですね、それが明確になっているという特色がありますので、ですから、負担と給付といったような形でもってこういう制度 を有効活用するということで、私は今までそういう説明をしてきたわけですね。そういう説明をしてきて、これからどうするかというときに、やはりそういうよ うなユーザーという立場もございますのですから、そういうユーザーの理解を得るための努力をしているわけであります。そしてまた、そういうユーザーの理解 を得ながらその範囲を拡大していくということであります。
 
一般財源も二十年度はふやすという方向でいっており、さらに今後その枠を広げていく努力をする。しかし同時に、その際、ユーザーに対する説明もしなければいけない。理解を得てそういうことをしていくことになるということであります。

岡田委員  もちろん、ユーザーへの説明は必要です。ただ、私は、やはり自動車が社会的に与えている外部不経済、例えばCO2、これはもちろん、ガソリン、石油製品だ けではなくて、石炭やガスも共通ですね、温暖化対策税のような意味合い。それからもう一つは、NOx、SOxを出している。あるいは、交通事故とか交通警 察、そういったところにコストもかかっている。そういう社会に与えているコストを考えれば、私は、ガソリンや自動車に特定の課税をするということは、一定 の範囲では当然認められることだと思いますよ。ですから、そういう形でもう一回再構成していくということが必要だと私は思います。
 
そして、ユーザーも大事ですが、国民はどうですか。これはNHKの調査ですけれども、道路財源の一般財源化、賛成が四二%、反対の倍ありますよ。暫定税率 の維持も、維持すべきでないが三八%です。そして、五十九兆円の道路計画、これはもう、妥当でないが五一%ですよ。国民は、五十九兆円の計画に対して全く 理解を示していないわけです。
 
ですから、総理、私は一つ提案があるんですけれども、これだけいろいろな議論をしてきて、総理も聞いておられて、この中期計画が、今の素案が相当問題があるということは御理解されていると思うんですよ。ですから、それをもう一回やり直す。
 
それは、確かに秋まで時間かかりますよね。私は、秋でも、多少は前倒しできるんじゃないかとは思いますけれども、もう一回、きちんとしたデータがそろうこ としの夏か秋、それまでに、今まで指摘されたさまざまな問題もきちんとクリアできるような、そういった形でこの中期計画をつくり直す、そして、この国会で しっかりと中身を議論して、新しい計画をつくる。私は、五十九兆から比べればかなり小さくなると思いますけれどもね。これは政治的な決断なんですね、総理 の。
 
つまり、事務方が積み上げてきたさまざまな問題があるこの計画を、そのまま、この世論を無視して突っ走ってやっていくのか、それとも、ここで一度立ちど まって、そして計画を見直すという決断をされるのか、それは総理にかかっているんですよ。いかがですか。そういう決断、しませんか。

福田内閣総理大臣  私は、この場で何度も申し上げております。昔のデータを使ってそれでよしというように思っているわけではありません。新しいデータが今年中に出るというの であれば、そのデータ、特に今、転換期ですよね。ですから、毎年、将来に対する見方も変わってくる可能性は十分にあるわけですから、ことしじゅうに出る データを使って、それを来年以降にどういうふうに反映させるかということは、それはデータを見て考えていけるものだというふうに思います。
 
一般財源化についても、これは今御指摘ありましたように、環境の問題、これに対する意識というものも国民の間に随分広まってまいりました。ですから、そう いうものを反映して、一般財源化の一つの要素として取り入れていく、そういうことも当然将来考えていかなければいけないというふうに私は思っております。

岡田委員 終わりますけれども、もう一度私言います。
 
これは総理の政治決断ですよ。新しいデータに基づいて、国民だれもが信頼できるような計画をつくる。しかし、そのためには一年の空白ができます。この間、 さまざまな問題があるでしょう、暫定税率をどうするか、あるいは一般財源化するのか。我々はもちろん、暫定税率は廃止し一般財源化するという考えですけれ ども、しかし、一年間ということであれば、そこにいろいろな議論はできるかもしれません。
 
しかし、それは、あくまでも前提は、これをつくり直すということを総理がはっきり言われることですよ。それを言われない限りは、これはどこまで行っても平行線であるということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。




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