第169回国会 衆議院予算委員会 平成20年2月28日
岡田委員 民主党の岡田克也です。
まず、今、最後に富田委員の言われた話について、総理の御答弁について、私は予算委員会の野党側の筆頭理事として申し上げておきたいと思います。
この委員会、さまざまな議論をしてまいりましたけれども、私たちはまだまだ議論が足らないというふうに考えております。特に、私どもが再三求めております資料要求に対する資料の提出、あるいは両議長のあっせんの中に明言されております参考人の招致、そういったことを私たちが求めているにもかかわらず実現しておりませんので、予算委員会においてさらなるしっかりとした審議が必要である。そうでないと両議長のあっせんの前提が崩れるということは、私からもしっかりと申し上げておきたいと思います。
さて、もう一つ、今の富田委員の質問に関して、本題に先立って冬柴大臣にお聞きしたいと思います。
先ほど富田委員が具体的に指摘されたこと、二つありました。一つは、地下駐車場についての、その財団の役員の報酬が余りにも高過ぎるということ。そしてもう一つは、細野議員が指摘をした一億円の委託契約のでたらめさ、この二点について、大臣の答弁はありませんでしたが、どういうふうにお考えですか。
冬柴国務大臣 私もそこで聞いていて、私は、庶民の目線から見て、これは富田さんのおっしゃる、同じ感覚を持ちました。したがいまして、直ちに改革に取りかかっております。しかしながら、事実関係を、ただそこを指摘されて、ここで議論しただけですべてを決するわけにはまいりません。やはり、それについての資料等をきちっと照査して、その上で結論を得たい、そのように思っています。
ただし、国際のあの調査は、直ちに、これからの発注はしてはならない、それは申し上げてあります。しかしながら、法人自体どうするのかというような問題もありますので、そういう問題については、今、いろいろな事情を全部聞いた上で、最終判断を近くしたい。
それから、私は、六月というのはファイナルの話でございまして、それまでにできることは全部して報告をしたいということも申し上げているところでございます。
岡田委員 私は二点申し上げたんですが、地下駐車場の財団の役員の給与が二千万近くあるという指摘に対しては、何か対応されましたか。
冬柴国務大臣 私も、高いという、庶民感情は高いと思いましたということを申し上げました。したがいまして、今それをどうするかということを検討しているわけでありまして、近く結論を得たいというふうに思っています。
岡田委員 冬柴大臣の答弁を先ほどから聞いておりまして、救急車が通らない道があるとか、命の道だとか、さまざまなことを言われるわけですが、であれば、こういった 無駄遣いに対してどうして怒りが込み上げてこないのか。こういう無駄遣いをやめれば、そういった救急車の入れない道だって、どれだけそれが是正されるの か。ですから、本当に思っているんなら、こういった無駄遣いに対する怒りが、大臣自身、もっと込み上げてきていいんじゃないですか。それが、何か六月まで というふうにおっしゃるから、私は大変そこにバランスが欠けているなというふうに思うわけでございます。そのことをまず申し上げておきたいと思います。
さて、そこで、総理にお聞きしたいと思いますが、まず、一般財源化の話についてお聞きしたいと思います。
総理は、一般財源化できない理由として、ユーザーの理解ということを言われるわけですが、ユーザーが理解しないことが一般財源化できないことの理由なんで しょうか、それとも、やはり五十九兆円を行っていく、そのために一般財源化すべきでないというふうにお考えなのか、どちらでしょうか。
福田内閣総理大臣 私は、できないというふうに言っているわけじゃないんです。ユーザーの理解を求めながら一般財源化の枠を広げていく、こういうつもりで言っておったのでございます。
岡田委員 基本的な方向としては、一般財源化が望ましいという考え方をお持ちなわけですね。
福田内閣総理大臣 今現在の一般財源化の枠を考えれば、まだ一般財源化する余地は十分にあると思っております。
岡田委員 一般財源化する余地がある、しかし、ユーザーの理解がまだ得られていないということであれば、ユーザーの理解を得るために、総理はどういう努力をされているんですか。
福田内閣総理大臣 ですから、今回、法律を見直しまして、そして一般財源化するということにしたわけでありまして、それに沿いまして、昨年を上回る一般財源化の枠を設けたところであります。
岡田委員 今議論されている法律というのは、余った分は一般財源化するということですから、それは一般財源化という名前には値しないわけですね。一般財源化というの は、まさしく一般財源化ですから、余り物を他へ、一般財源として使う、しかも、今の法律では、それも翌年にはまた道路予算として充当するという建前には なっているわけですから、とても私は一般財源化に値しないと思いますよ。
ですから、根っこから一般財源化するという方向性について総理はどうお考えなんですか。基本的にはそれを望ましいとお考えなんですか。
福田内閣総理大臣 いや、それはやはり、片やユーザーがいますから。ユーザーの方がいて、そして、そういう方々の理解を得ながらということを何度も申し上げているところであ りまして、ですから、いきなりということは私は難しいと思うんですよ。それは、だんだんとというやり方もあるでしょう。そういうやり方を私はとっていると ころでございます。
ただ、これから一般財源化についてユーザーの理解が得られるならば、それは、そのときには、その幅を広げるという決断ができるときもあるんだろうというふうには思っております。
岡田委員 小泉元総理がこういうことを言われていますよね。野党の議論もなかなかいい点をついている、妥協は総理にしか言えない、そろそろ福田総理が、福田首相が一 般財源化を前提に、譲るべきは譲っていい案をまとめようと言えば、自民党も仕方ないと妥協の話が出てくる時期だ、そういう答弁をしておられますが、この答 弁をどう思われますか。(発言する者あり)この発言を総理はどう受け取られますか。
福田内閣総理大臣 これは、元総理の言葉として重く受けとめております。
岡田委員 私も、一般財源化と一たんは言いながら、最後はお茶を濁してしまった小泉さんですから、余りその小泉さんの言葉を重く受けとめる気にはなれないわけですけれども。
しかし、総理はこういうことも言っているんですよね。これは国会答弁です、総理の。環境の問題、これに対する意識も国民の間に随分広まってまいりました、 そういうものを反映して、一般財源化の一つの要素として取り入れていく、そういうことも当然将来考えていかなければいけません。
この答弁の意味はちょっとよく理解できないんですが、お答えいただけますか。どういう意味でおっしゃったんでしょうか。
福田内閣総理大臣 一般財源化の一つの考え方として、環境という、そういう考え方もあるのではないだろうかということを申し上げたわけです。
ガソリンと環境の関係、これはおわかりになりますよね、私から説明を申し上げるまでもないと思いますけれども。そういうことで、ユーザーの御理解が得られるかどうか、こういうことであります。
岡田委員 ここで言われた意味は、ガソリン税を環境対策に使うという意味で言われたのか、それとも、ガソリンに課税していることが環境対策の面で合理化される、そういうふうに言われたのか、どちらなんでしょうか。
福田内閣総理大臣 これは欧米諸国でもって、米はないですね、欧、ヨーロッパです、ヨーロッパ中心でありますけれども、ガソリン税を下げない。それは、やはりガソリンを使う こと自身が環境によくないのだというようなことで、むしろ頑張ってガソリン税は上げるという方向で環境対策、こういうふうな言い方もあります。
もう一つは、日本でよく言うことでございますけれども、例えば高速道路をつくることによって、先ほどどなたかの委員の方から説明ございましたけれども、格 段にCO2排出が減るというような現象、それから、あかずの踏切とか立体交差とか、そういったようなものは結果的に環境によいのだ、そういう観点で環境対 策、こういうふうなことでございます。
岡田委員 そうすると、政府の中でも一部議論されている、環境省などが提案していますが、地球温暖化税、炭素の含有量に着目して、これはガソリンだけではなくて石炭とかガスも含めて広くかける、そういった構想に対しては、総理はどうお考えですか。
福田内閣総理大臣 私は、環境対策ということでそのために財源が必要だ、それをどこから調達するかということについては、いろいろな方策があるんだろうと思います。
ですから、これは国民の御納得のできるような方法を考えていくということではないかと思っております。今ここでもってこれがいいというふうに申し上げることではないと思っております。
岡田委員 確かに、環境省の提案する環境税、温暖化税というのは、環境対策を捻出するためのものとして考えていると。三千億円程度のものだったと記憶しますが、ガソ リンにするとリッター一・五円ぐらいのものですか。そういうふうな考え方もあれば、総理も先ほどおっしゃったように、やはり温暖化を防ぐための税として、 より大規模に導入するという考え方もあると思うんですね。
ヨーロッパはまさしくそういう考え方で、そして、それは環境対策に使うという限定はせずに、一般財源として使う、その中には環境対策も含まれる、そういっ たことが一つ考えられると思います。そのときには恐らく、リッター一・五円程度の、そういう規模ではなくて、それよりもかなり多いものを想定することにな る、少なくとも価格効果ということを考えるのであれば、やはりある程度の規模のものが要ると思うんです。
それからもう一つは、車が社会に与えている外部不経済というのがあります。外部不経済、例えば公害の問題がありますね。NOxとか騒音とか、あるいは交通 事故とか、それから交通整理とか、警察にもそういった車にかかわって税金が必要になっているわけですから、そういう全体の外部不経済というものに着目して 課税をするという考え方は可能だと思うんです。それは、そうすると、道路のために使うということではなくて、一般財源として使うということが合理化される 余地が出てくる。
ですから、私は、一般財源化するということの意味ですが、ガソリン税は全廃して、そのかわりにそういったことに着目して新しい税を立てるということも選択肢としてあるんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
福田内閣総理大臣 環境対策というのは非常に多岐にわたるんですね。ですから、これ一つということはないと思います。
いろいろおっしゃいましたけれども、その中で、ガソリン税を廃してそれを環境税にする、変える、こういうふうなことですね。その場合には、では道路の方は どうするのかなということがありますので、道路は自動車が走る、自動車が走るとガソリンを使うから環境に悪いのだ、こういうふうに単純に考えるのであれ ば、環境対策上は、ガソリン税、道路をつくらないといったような発想もできるのかもしれぬけれども、しかし、自動車の方は自動車の方で技術開発をして、低 燃費のエンジン、また、これからは電池自動車、それから燃料電池とかいったようなものが出てくる可能性があるわけです。ですから、CO2を排出しないで交 通の便を確保するという方策もあるわけでありますから、それはそれで私は地方道路はなくていいという理由にはならないと思います。
むしろ、電池自動車、水素電池、そういう革新的な技術を開発するために技術開発費を必要とする、だからそのために環境税を取ろうじゃないかといったような ことは、一つの方策としては考えますけれども。ただ、例えば、CO2を吸収する森林、これをもっとふやそうじゃないか、そういう森林対策費をどうするかと かいったような、そのことのためにお金も要るんだというようなこともございますから、極めて多岐にわたることで、それに対して一つこの方法しかありません ということではないように思います。そこのところをこれから我々は工夫しなければいけない。ぜひ、こういうことについて、民主党、野党の皆様方にもお知恵 をおかし願いたいと私は本当に思っておるところです。
岡田委員 私は、道路をつくらなくていいと言っているわけではありません。必要な道路はつくる、しかし、必要でないものもかなりあるのではないかという視点で議論しているわけです。
総理は、一般財源化ということについての一定の方向性を示されて、そして、その中で環境というキーワードが出てまいりましたので、少し議論してみたわけで すけれども、一般財源化ということをやはり真剣に議論していく時期だということを改めて申し上げておきたいと思います。
そこで、中期計画の問題に入りたいと思いますが、この前の集中のときに、冬柴大臣がBバイCについて二つの発言をされているんですね。
まず、馬淵議員に対する答弁の中では、BバイCが一を切ったらやりません、着手しません、こう言われました。その後、武正委員に対しては、私どもは一・二 を切ればやりませんという答弁をされているんですね。これはどっちが本当なんでしょうか。大分意味が違うと思いますが、いかがでしょうか。
冬柴国務大臣 道路整備を開始するときに、科学的な方法で、そのときの最新の資料を用いて、それに投下する資源、コスト、これはこの道路特定財源から、受益者負担という ことで払っていただいているお金ですから、それが受ける便益を超えなければそれはやるべきではないということを申し上げているわけでございます。
したがって、コストを超える便益がなければということは、一を超えなければということでございまして、そういうものがたくさんあった場合に、いろいろな社 会的な選択肢はありますよ、それ以外の、貨幣に換算はできないけれども、百三十七ページに書いてあります、小さい字ですけれども、十六の項目に分けて書い てあります。そういうものを偏差値で順位立てをして、そして選んでいくということですけれども、いずれにしましても、投下したコストを超える便益というも のがそこで見込まれないという場合には見送らざるを得ないということは、我々は今までもやってきましたし、これからもやっていく、こういうことでございま す。
岡田委員 いや、今大臣が言われたこの重みづけの偏差値というもので、十六の指標が書いてありますね。こういうものも含めてBバイCが一とか一・二とかいう議論をされているんじゃないんですか。
冬柴国務大臣 百三十七ページのところ、その前からずっとありますけれども、これは最終ページ、BバイCはこの前のページに書かれています。これで一を超えるもの。一を 切るものはありません。しかし、これが一を超え一・二を切るようなものについては、先ほど言いましたように、現道を利用するとかいう形で修正をして、そし てその結果やはり一・二を超えるというようなもの、こういうものについてやっていくということで立てているわけでございます。
この場合も、ここに一・一一というものがありますが、そういうものについて、これをどうするかということは、それは問題ですけれども、一を超える、そし て、その後ろには、重みづけ、いわゆる外部効果というものですけれども、十六の指標があって、それをつくることによって病院へ行く時間が短くなるとか高速 道路へ近くなるとか、いろいろな指標がここに書いてありますが、そういうものもしながら選択するということであって、BバイCは左側のページで出してあり ます。
岡田委員 私の質問に対しても、BバイCが一・二を切るものについては既存の道路などを使いながら、つまり一以上一・二の、グループ三ですね、これについては既存の道路などを使いながら一・二を超えるという説明をされたんじゃないんですか。
ですから、すべては一・二を超える場合にやるという前提で言っておられるんじゃないんですか。一・二以下でもやるということがあるということですか。どちらなんですか。今までの答弁の中で、矛盾していますよ。
冬柴国務大臣 一・二を超えるようにできなければ、これはもうつくれないというふうに思います。
ですから、一・二を超えるということは、その地元の方とも相談して、現道を利用させていただくとかいうような問題をクリアできなければできないということで結構です。
岡田委員 今、冬柴大臣は、一・二を超えるようなものでないとできないというふうにおっしゃいました。
総理、考え方は同じでいいですね。確認です。
福田内閣総理大臣 BバイC一・二ということでこの中期計画は作成されている、それは道路の必要度を示しているものだ、こういうふうに考えております。
岡田委員 質問に答えていただいていないんですが、一・二を超えたものに限って道路はつくる、そういう冬柴大臣の答弁、総理もそれを認められますね。いかがですか。
福田内閣総理大臣 通常一・〇らしいんですけれども、今回は余裕を見て一・二にしているということであります。
岡田委員 ですから、質問に答えていただきたいんですが、一・二を超えた場合に限ってつくるんだということでよろしいですね。
福田内閣総理大臣 この中期計画では、一・二を超えているものであると理解しております。
岡田委員 中期計画の話をしているんじゃなくて、政府の方針を聞いているんです。一・二を超えた場合にのみ着手するということでいいんですね。先ほど冬柴大臣、そう はっきり言われましたよ。総理がそれを認められないと閣内不一致になりますよ。どうですか。総理の御見解を聞かせてください。ぜひお願いします。
福田内閣総理大臣 今回の中期計画の作成に際して行った高規格幹線道路の点検では、通常は費用対効果が一より大きい場合に整備の必要性があると判断するところでございますが、より厳格化して、一・二以上を基準としておるということであります。いいですか。
岡田委員 基準としているという意味は、一・二を超えた場合につくる、一・二を超えない場合はつくらない、そういう意味ですよね。確認です、これは。
冬柴国務大臣 百三十から百三十七に書かれているものは、一・二を超えるということを目標に、それが必要かどうかということで、そしてまた、一・二に足らない部分でも一 を超えている部分については、現道を利用するなど、その可能性がある部分をそこへ書き上げました。したがって、それでした部分についてはすべて有益なもの と考えられます。
次に、今度整備する段階で、最新の、だから今使っているBバイCの基礎になったものとは違う最新の指標ではかった場合、それは整備するかどうかということ は、私が誤解を与えていたら訂正させていただきますが、一・〇を超えた部分については、その必要があれば着手をするということでございます。もし誤解を与 えたとしたら、おわびをして、訂正をさせていただきます。
これから二年、三年先には、ことしじゅうには新しい交通予測もできますし、そしてまた、BバイCについてのマニュアルもつくろうということでしております ので、そういうものに基づいて厳格な評価をさせていただいて、現に着手する資格があるかどうかは、一・〇を超えたかどうか、そして、その後ろの十六の指標 を用いてするということでございます。
岡田委員 これは先ほどの冬柴大臣の答弁とも違いますし、この予算委員会で、何度か私は一・二ということを聞いているんですよ。それが突然何か、一・〇になるんです か。何かこれは、では今までの質疑は一体何だったんですか。私自身も大臣と議論して、そして大臣は、いや、今ある道、一・〇から一・二のものも今ある道な どを有効活用して一・二を超えます、そういう説明をされていたんじゃないですか。突然、何で一・〇になっちゃうんですか。これは余りにもちょっと、基本的 な、根本的な議論ですよ。いかがですか。
冬柴国務大臣 もちろん、これは非常に 希有な事例でございますけれども、新しい評価で客観的に見て一・〇を超えるということが、コストをベネフィットが上回るということは、これは一・〇を切っ たら全然問題になりませんけれども、一・〇を超えて、そして社会的な外部評価等も見て、そういうものが必要な場合は、それは着手することもできる。しか し、それは、そこを見ていただいたらわかりますけれども、大変希有な事例でございます。私どもの評価は、一・二以上でその中期計画は組み立てられておりま すので、御了解をいただきたいと思います。
岡田委員 一・二以上で組み立てられているのに、どうして一・〇でやるんですか。理解不能ですよ。
冬柴国務大臣 今の基準が、今の、それはもう民主党の委員の方々も、再三このBバイCについては、きょうもあるかわかりませんけれども、議論をしてきたところでございます。
したがって、それの、平成十一年のセンサスに基づいて十四年に行われた将来交通予測に基づいて、この中期計画はされているわけです。したがって、その中 で、十七年にまたセンサスをしてあって、二十年には将来交通予測が出るわけです。したがって、その最新のものというものは、その時点では十四年のものが最 新のものでございますけれども、その後に、民主党の先生方もいろいろ指摘されていますけれども、この交通予測が、確定はしていないけれども、下降線をた どっているじゃないかということ、これは我々も認めて、そして……(発言する者あり)ちょっと静かにしてくださいよ、こっちがしゃべっているのに。そうい うことを含んで一・二というアローアンスを見たということは、再三私は言ってきたわけです。
しかしながら、現実に着手する場合には、厳格な評価をもってやりますということを再々申し上げている。そして、それについては財務省の評価もいただきながら、予算の範囲でそれを整備を進めてまいりますということは申し上げてきたところでございます。
岡田委員 これは、この委員会で何度か発言された国土交通大臣の答弁と違いますから、政府としての統一見解を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
逢沢委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
逢沢委員長 速記を起こしてください。
岡田克也君、もう一度質問をしてください。そして、その後、冬柴大臣から再度答弁を求めます。
岡田委員 いや、先ほど答弁されたじゃないですか。ですから、政府としてのきちんとした、従来の答弁と食い違っているんなら、それはきちんとその説明も必要ですよ。だから、政府としての統一見解を示してください。答弁だけで取り消せるような問題じゃないですよ。
逢沢委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
逢沢委員長 速記を起こしてください。
国土交通大臣冬柴鐵三君。
冬柴国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この中期計画をつくるときの最新のデータというのは、平成十一年の交通センサス、そしてそれに基づいて行われた平成十四 年の将来交通需要予測というものが最新のものでありますので、それをもとにしてつくるということが原則の一であります。
ところが、これはつくりましたのは昨年、平成十九年でございます。その間に、平成十七年に交通センサスというものを行っております。それによりますと、将 来の交通予測というのはきちっと出ていないんですけれども、数値としては減りつつあるというような部分が認められますので、これは二十年、ことしの秋に は、十七年のセンサスに基づいて、そして、いろいろな問題をそこに、もうここでは言いませんけれども、入れて、交通予測というものを路線ごとに出すんで す。そういう作業をするんですけれども、するときに、普通は一・〇でコストとベネフィットが見合えば着工してもいいというものなんですけれども、この中期 計画では、そういう十七年のものも勘案して、そこにアローアンスとして一・二というものを基準に評価をしようということでやったわけです。
しかし、将来着工するという場合には、この二十年の秋に出る将来交通需要予測があるわけですから、そういう最新の資料に基づきまして、そして、これを着工 するかどうか判断します。そのときには、限界ですけれども、限界ですよ、しかし、一・〇を超えたらそれは着工が許されるということです。その場合には、後 ろに書かれている、数字だけではなしに、貨幣には換算できないけれども、多くの、十六の項目がそこにあります、そういうものも勘案しながらやるけれども、 一・〇を切ればこれはもう着工はできない、それをはっきり言っているわけでございます。
ですから、私が言っていることは間違っていないと思うけれども、しかし、誤解を生じたらいけませんので、ここで明確に申し上げたわけでございます。
岡田委員 委員長、私自身も、この一・〇、一・二の話は質疑の中でやっているわけですね。一・二という話は聞きました、一・二を割ればやりませんと。しかし、一・〇などという話は今初めてですよ、そんなの。今までの答弁と全然違うじゃありませんか。
一・二を切ればやりませんという答弁が今までですよ。ですからそこを、一・二を切ればやりませんという答弁との整合性を聞いているわけですよ。新しいデー タが出てきたら、そのことを、アローアンスを見て一・二なんという説明は聞いていませんよ、一・二を切ればやりませんと聞いていますから。納得できません よ。
逢沢委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
逢沢委員長 速記を起こしてください。
岡田克也君。
岡田委員 政府の見解がはっきりしないですよ。
申しわけないけれども、私は冬柴大臣の今までの答弁を見ていまして、非常に振れますよね。特に私が不信感を持っている理由を言いましょうか。
冬柴さんが幹事長のとき、私も幹事長でしたよね。イラクの大量破壊兵器の存在について、冬柴さんはテレビで何回も言われましたよ。VXガスは三・九トン以 上で、三億人を死に至らしめるとか、スプーン一杯で二百万人の殺傷能力がある炭疽菌を一万リットル保有している疑惑があるとか、そういったことを言って、 イラクが大量破壊兵器を持っている、そういった印象を非常に与えたにもかかわらず、その大量破壊兵器はないことがわかった。そのことに対して、あなたは政 治家として責任をとりましたか。
そういう人の答弁を私は信じられないんですよ。だから申し上げているんですよ。政府としてきちんと見解を出しなさいよ。大臣の答弁じゃだめです。政府としての見解をきちんと出してください。
冬柴国務大臣 えらい古い話が出ましたけれども、私は、国連のエルバラダイという人だったと思うけれども、IAEAの調査団が入った報告書、たしかあれは四月の二日か三 日だったと思うけれども、第一次報告書にきちっと書いていますよ、そのように。炭疽菌が一万リットル行方不明だ、そう言っていますよ。だから私は、あなた との討論会でも言っているんですよ。
だから、それを取り上げられるんだったら、私も名誉から、そういう人間だったら信用しないとまで言われたら、私もそれは言わなきゃいけないけれども、エル バラダイの報告書に書いてあったでしょう。私はそれを根拠に言っているだけの話であって、私はイラクへ行って調べたわけでもないんですから。そういうこと ですよ。
岡田委員 エルバラダイの報告は、なお調査が必要だ、結論はまだ出せない、それは数年じゃない、数カ月だということも言っているんですよ。だから、今はまだ武力行使をするには早過ぎるということを言っていたわけです。
自分に都合のいいところばかり取り出して、そして、国民に対して誤った印象を与えて、そのことに対して、本当に良心の呵責を感じないですか、政治家として。そういう冬柴大臣だから、私はあなたの答弁を真に受けるわけにいかないんです。
ここはぜひ政府としての統一見解を速やかに出していただきたい。委員長、政府としての統一見解を速やかに出していただきたいと思います。
逢沢委員長 岡田委員から、政府としての正式な見解、いわゆる統一見解をという求めがございます。民主党の持ち時間の範囲内で改めて政府からの見解を示していただきますように、委員長として要請をさせていただきます。
なお、とりわけ、去る二月二十一日、道路問題の最初の集中審議を行いました。そのときの答弁の議事録を精査することを、政府に特に要請をしておきたいと思います。
岡田委員 もう時間も余りありません。中期計画の補足資料をやろうと思ったんですが、時間がないので一つだけお聞きしたいと思います。
この基幹ネットワークの整備、五十九兆円ベースで二十二兆円について、私はその内訳、根拠を問うたわけですけれども、結局返ってきたのは、十九年度の実績 値を十倍して、それにコスト縮減分を減額して算定しているというのがこの資料の説明なんですね。つまり、内訳があるんじゃなくて、十九年度予算を単に十倍 しただけだ、そして一定の削減をかけたと。これでは内訳を示したことにならないんですね。六十五兆を五十九兆にして六兆円減らしたことの、そのうちの基幹 ネットワークの整備についての減額の理由というのは。結局、具体的な積み上げがあるんじゃなくて、単に十九年度掛ける十、こういう計算でそもそも基幹ネッ トワークのところをはじいていたということが、今回、明示的には初めて明らかになったんですが、ということは、やはり五十九兆も六十五兆もそういう形で計 算しているということですか。具体的な内訳はないということですか。
冬柴国務大臣 基幹ネットワークの事業につきましては、その事業費が他の事業に比して非常に大きい、それで、都市、地方などで、実施する地域、あるいは土工、橋梁、トン ネルなどの構造形式などによって単価も大きな差があるわけです。したがいまして、一律に単価を設定することは、事業量の誤差を大きくするおそれがありま す。
また、個別区間の整備方針につきましては、国幹会議の議を経るなどして今後決定するものでございまして、基幹ネットワークの整備の重点対策箇所数に当たる開通予定、延長を現時点で決定することは不相当でもございます。
このため、通常の単価に計画対象箇所数を掛ける方法は採用せず、今後基幹ネットワーク整備の進捗状況、高規格幹線道路の点検結果を踏まえ、平成十九年度事業費を十倍した額を中期計画の額としたものでございます。
以上でございます。
岡田委員 結局、この基幹ネットワークの部分というのは、全体の三七%を占めるわけですね、六十五兆円ベースあるいは五十九兆円ベースのいずれにしても。その三七% を占める部分については、内訳があるんじゃなくて、単に十九年度の実績掛ける十だ、こういうことですから、これでは中期計画というのは、極めて単純といえ ば単純なんですが、十九年度の予算を十倍しただけだ、それが内訳だということになる。
これじゃ中期計画にならないというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。総理、どうですか。
冬柴国務大臣 もう先ほど申し上げたとおりで、東京の例えば三環状をつくる場合の値段と、地方でつくる場合では、単価では何倍も違いますよ。そしてまた、トンネルあるい は長大橋等をつくらなければならないという部分の整備と、それから平たんな場所でつくる高速道路とでは、これも道路は違います。
したがいまして、今回の、実績値を踏まえて、そしてそれをこれで掛け合わせたものが一応整備費の総額としてあるわけでございますけれども、では、それだけ つくるかといったら、それは個々具体的にはその年その年の予算査定その他で決まっていくわけでございますから、これを求めたのは、きっちりとした十九年度 の事業費というのは確定していますから、いろいろなところをつくっていますから、そういうものを十倍するということは合理的であると思います。
岡田委員 具体的に、基幹ネットワークのここの部分をつくるんだということがあって、例えばAという路線、Bという路線、それぞれ幾らかかる、それを集積していくと 全体で幾らになる、二十二兆になるというのが本来の中期計画であって、おっしゃるような単純に掛ける十であれば、別に十九年度をベースに十掛ける必要はな いんですよね。その半分だっていいわけでしょう。
だから、本当に必要なものがあるという前提で、それを積算していって二十二兆とか二十四兆の数字になるならわかりますけれども、そうじゃなくて単純に実績 値掛ける十だというなら、それは極めて根拠に乏しいと判断せざるを得ないというふうに私は思います。
より詳細なところは他の委員に譲りたいと思いますが、私は、この補足資料のでたらめさ、いいかげんさというものがこれだけでも明らかだということを申し上げておきたいと思います。
終わります。