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2009.05.14|その他

民主党代表選挙 立候補表明記者会見

2009年5月14日

<冒頭発言>

みなさんこんにちは。岡田克也です。昨日もお伝えをいたしましたが、改めて正式に、民主党の代表選挙に立候補することといたしました。この国の政治を変える、政権交代を必ずする。そのために民主党の代表として、先頭に立つ覚悟でございます。よろしくお願いをいたします。

私が政治家となって20年、最初の3年半、自民党に在籍しましたけれども、政治改革の議論をする中で、この国の政治を変えるためには、もう1つきちんとした政党をつくって、そして日本の政治の本流を担う、そういう政党が頑張っていかなければならない。そういう政治を実現しなければいけない。そういう思いで自民党を出て、細川政権、羽田政権、与党の短い期間ありましたけど、その後15年間、一貫して野党の立場で政権交代ある政治を目指して参りました。

民主党になって10年、政調会長代理とか、政調会長とか、幹事長、そういった立場で、政調会長のときは鳩山代表、幹事長のときには菅代表を支え、この民主党という若い党を、日本の政治を支える、日本の政治の本流を担える政党として育てるために頑張って参りました。代表も務めさせていただきました。

そういう中で、私が代表を辞めて4年。小沢代表の下で、民主党は参議院選挙に勝利をし、与野党逆転を実現しました。あと一歩で政権交代が実現する、そういう非常に大事なところにいま来ている。私が代表辞めて約4年、この間、候補者の支援を含めて全国を歩いて参りました。昨日、改めて計算しますと4年間で350カ所訪れたことになります。もちろん、私の地元も、その他、かなり歩かさせていただきました。そういう中で様々な方とお会いさせていただき、意見をいただく機会がありました。一生懸命働いている人たち、頑張っている人たち、しかしそれがなかなか報われない。そういう日本の現実というものを改めて感じさせていただきました。

政治というのは、私は、何でも政治がやる、やってあげるというものでは決してないというふうに思っています。しかし、もう少し、1人ひとりの人々の幸せのあと押しをしてあげたい。1人ひとりの日本人の笑顔が見たい、そういう思いでこの4年間、全国を回って参りました。

私が4年前の2005年の総選挙で、皆様に問うたこのマニフェスト、このマニフェストに書かれていること、日本刷新8つの約束と書いてありますけれども、例えば年金制度の抜本改革とか、あるいはムダをなくすための徹底的な行政改革とか、地方分権とか、様々なここに掲げたことは何1つ実現していない。ですから本当に政権交代をして、まさしくここに書かれたこと、もちろんこの精神はいまの民主党のマニフェストに引き継がれていますけど、そういったことを何が何でも実現していかなければいけない、改めてそう感じさせていただいているところでございます。

私のこの政権交代ある政治を目指した少なくとも15年、そして、民主党をつくりあげようとした10年、具体的なマニフェストをつくり上げて何とか実現しようとしてきたこの5年、変わらぬ決意でもって、この国の政治、何とか変えていきたい。そのために、この代表選挙で勝利させていただき、民主党を引っ張っていきたい。そう考えているところでございます。是非よろしくお願い申し上げます。以上です。

あの、政策のほう説明しませんでしたが、(配付資料を)ご覧いただいて、その点も含めてご質問があればご覧いただきたいと思います。

<質疑応答>

【記者】鳩山と岡田でどこが自分が(代表に)ふさわしいのか。挙党態勢に向けて小沢氏と鳩山氏の処遇は?

【岡田】最初の質問は私いま、一生懸命答えたつもり。私でなければこの政権交代はできないと確信している。

そして、小沢代表、あるいは鳩山幹事長、はじめこの党には本当に力ある優秀な人材がそろっている。政権交代するためには全員野球でなければ政権交代できません。そういう思いで私自身考えている。じゃどういう役職かとか、まだ私代表になっているわけではない。今先輩にあたる小沢さんや鳩山さんみなさんに対して、こういう役職とかいうのはきわめて僭越だ。それは代表に当選させていただければ改めて考えたい。しかし、全員野球でなければならないと考えている。

【記者】岡田代表時代に、財源の確保ために消費税導入と。今回方針どうする?

【岡田】いまの話はちょっと正確でないところがある。つまり、財源の確保のために消費税と言ったのではなくて、年金制度を抜本改革すると。1階部分、つまり基礎年金、国民年金にあたる部分をいまの保険料方式から税方式に変える、そのために将来消費税を3ポイント上げさせていただきたい。私が04年参院選、05年総選挙で申し上げたのはそういうことだ。

したがって年金制度の抜本改革は、これは早期に議論にとりかかるべきだと思うが、昨年12月には超党派で抜本改革案を発表したところ。そういったものベースにしっかり議論し、成案えれば、そういった税方式の導入になれば将来的には財源必要だ。しかし、年金制度の改革について1年や2年、あるいはは3年ぐらいで結論がでるわけではない。

2番目に、合意が得られたからといって突然税方式に変わるわけではない。時間をかけて、当初は40年と言っていたが、私は少し長すぎると思うが、20年くらいかけて税方式に転換していくことになる。したがって、ただちに消費税を上げることにはならない。将来的には、税方式を前提にすれば、消費税を年金目的税という形で必要になってくる。

政府の社会保障国民会議で消費税の話もいろいろ出たが、私がフェアじゃないと思ったのは、保険料がその分全くなくなることに言及されてない。年金額が、例えば月額7万円程度の基礎年金を払う、支給することを前提にすれば、そのための財源は一緒だ。それが保険料か税かであって、税が増えればその分保険料が減っているわけで、あまりこう私が消費税を上げたがっている印象はみなさん持ってもらいたくないなと思っている。

【記者】4年前のマニフェスト、その後4年で事態流動的。ほとんど変わらないものをつくるのか。この点は協力に追加するのか、最も強調するのはどこか?

【岡田】基本的にこの05年の、このころ若かったんですよね、私も。4年前ですけども、このマニフェスト、そして、その延長線上に前回の参院選の小沢代表の下でのマニフェストがある。

違うところもあるが、基本な流れは1つの流れにある。私が代表に就任してとして、近づく総選挙のためにマニフェストつくらないといけない。すぐに取りかからねばならないが、大きな流れは05年マニフェスト、そして、前回参院選のマニフェスト、その延長線上にあるということ。ただ、重点の置き所で若干違うというのは、先ほど示した公約をご覧いただくと、結局パーツとしては共通だ。やや重点の置き所が違うところもあるということにお気づきいただけると思う。

【記者】開かれた党運営との発言。小沢3年間の運営をどう評価するか。今後どう運営するか。

【岡田】小沢代表の3年間の中で、党がしっかりまとまって、そして、参院選勝利を1つのハイライトに、いろんなことが物事がしっかり決まって前に動いていくようになったのは、小沢代表の大きな功績だと思う。

私は昨日もテレビで言ったが、我々の目指す日本というのは情報公開、政府の、あるいは説明責任をきちんとはたしていく政府を形づくっていくんだと。そうであれば、その主体である政党自身も同じように情報公開とか、説明責任することが求められる。したがって、民主党についてよりオープンで、国民に開かれた政党を目指したい。リーダーとして目指していきたい。

【記者】鳩山幹事長が「友愛」というキーワードを出したが、国民向けの将来の日本の姿で分かりやすいキーワードは。公開討論は考えられるか。働きかけするか。

【岡田】後の質問から答えると、是非やりたいと思う。是非機会をつくっていただきたい。皆さんにもお願いしたい。非常に限られた期間での代表選なので、内向きでなく国民に開かれた代表選にしたいと考えている。そのために、そういう機会をメディアにも是非つくってほしい。いま代表選がスタートしたばかりだが、あっという間に終わってしまう。

さっきも冗談で言っていたが、この紙だって今朝までかけて作っている。もちろん、私自身の考え方だから、そんな時間がかからるわけではないが、きちんとしたものを出そうとすればそれなりに時間はかかる。私は50メートル競走。背広を着て、途中でトレーニングウェアに着替えながら走っている感じだ。なるべく多くの方に分かっていただくためには、国民に開かれた機会があればありがたい。

キーワードでというのは、「友愛」は、鳩山先生にとって非常に思い入れの深い、歴史のある言葉だ。なかなかそれだけの気の利いた言葉を私は簡単には言えないが、私は先ほど申し上げたが、「みんなの幸せをあと押ししたい」。そういう政治でありたいと考えている。

【記者】巷間、「親小沢」対「反小沢」と言われる。対立軸は何であると考えるか。

【岡田】私は対立軸という考えは取らない。鳩山由紀夫先生と岡田克也ふたりのどちらが代表にふさわしいか。それは1つの対立軸でズバッと切れるものではなくて、まさしくリーダーとしての全体を、人格も含めて判断していただく、そういう選挙だと思っている。反小沢とか親小沢とか、メディアにもそういう書き方はあるが、私の意識はそういうことはないし、そういう選挙をやってしまったら民主党への期待感はなくなる。

私自身の活動も、グループごとにとか、そういうことは避け、例えばお互い親しい同志とか、同期、地域とかいろんな形でお願いしている。何々グループというくくりで活動はしていない。したがって、皆さんのくくりで言うと、小沢さんに近いと思われる方にもお願いを率直にしているし、多くの方から「応援するよ」と言っていただいている。

【記者】党内に明確な支持基盤がなく劣勢が伝えられるが、世論調査では国民には鳩山さんより支持が高い。どう思うか。勝算は。

【岡田】国民の多くが、次は岡田だと言っていただいていることは本当にありがたい。その気持ちをしっかり受け止め、選挙戦を戦い抜きたい。

私は支持基盤がなくて弱いと言われたが、私は必ずしも弱いとは思っていない。私なりの1つの信念を持って、特定のグループに属したり、あるいはつくったりしないできた。自民党の派閥のような真似事をしてどうするんだと、そういう思いでやってきたつもりだ。それがこういう選挙のときには不利に働いているという人もいるが、私は民主党は自民党とは違うという強烈な思いを持って自らそういうふうに選んでやってきた。しかし、仲間はたくさんいる。基盤が弱いとは思わない。

選挙の現状は分からないが、我々はチャレンジャー。いま真剣にお願いしている。1人ひとりの議員に、いろんなしがらみやいろんなことはある。私がお願いしていることは、とにかくこの国の政治を変える、民主党政権をつくる、そのために何が必要か考えてください。その1点だけでお願いしている。

【記者】仮に政権交代をすると総理になるが、総理になったらこれだけはやるというのを国民に示してほしい。長所と短所を。

【岡田】具体的にやることは、いま渡した紙に書いてある。ただ、まずやらなければいけないことは、私は徹底的に行政改革をして、しっかりと政治主導の中でこの国を変えていくことが、最もやらなければいけないことだと思う。もう少し中長期的に見れば、1人ひとりの幸せをあと押しする、安心・安全の社会をつくる。そのための改革をしっかりやっていくことだ。

長所と短所……自己分析は難しいが、1つのことを別の言葉で言うことになるかもしれないが、短所は頑固、長所は一貫している。信念に基づいている。

【記者】配付資料に強い印象を受けた。民主党の政策をつくってきたことをもう一度言ってほしい。オバマ政権と価値観を共有と言うがパイプはあるか。

【岡田】指摘のように、私は最初、政調会長代理。枝野さんが筆頭政調副会長。私は政調会長代理を5年近くやった。この間は個々の政策というより、私が特にその中で努力してきたことは、政権を担う政党であることを前提に議論しようと。従来の野党の政策、どうせ与党にならないんだからという政策ではなく、きちんと整合性を持った政策をつくらなければならないと努力した。

割とかなりその原則でやったので、原理主義者とか、タリバンとか、私にとっては褒め言葉だが、いろんなあだ名を頂戴したが、その後、政調会長、幹事長。幹事長のときは党改革に取り組んだ。そういう意味で、政策だけではないつもりだが、民主党という党の基盤をつくるために第一線で汗を流してきた。そういう思いだ。

2番目の質問だが、外交のところに書いたことだが、もちろん、我々が政権を取れば内閣総理大臣になる。私は、オバマ大統領を見ていて、かなり親近感というか、共通点を肌で感じることが出来る。だから、うまくこの大統領とやれる。あるいは、オバマ大統領もいろいろ苦労しているが、しっかりタッグを組んで一緒になって、世界の、例えば貧困の問題、核の問題、温暖化の問題で協力していけると思う。

【記者】西松献金の問題。説明責任を果たしてないが8割。問題が噴き出してから、小沢さんに対して、おかしい、異を唱えることがなされなかった。執行部からそういう声が聞こえてこない。小沢と執行部が運命共同体の道を歩むかと。小沢辞任で代表選になるが、小沢問題について責任感じているのか。どういうふうに考えているのか。

【岡田】外には出てないかもしれませんけれども、つまり、ヒラバでは言わなくても、菅さんも鳩山さんも、そして私も、それぞれ代表には、様々な形で伝えていると、思いは伝えていると、伝えてきたと思います。

私は、菅さんや鳩山さんが具体的にどういうふうに言われたかは分かりませんけども、当然、そういうことはされてきた。しかし、それを、いやあ俺はこういうことを言った、と言って表に向かって言わない。私はこれはある意味で当然のことだと思うんですけど、そのことが、国民のみなさんから誤解を生む部分もあったかもしれません。

私はこの説明責任ということに関して、私は説明が足らないと申し上げたことがあるんですけれども、基本的に、西松の問題そのものを小沢さんにきちんと説明しなさいと、いうのは私はちょっと無理なことを言っているというふうに思います。

つまり、いますでに裁判で、小沢さんの秘書が、大久保氏が逮捕・起訴されて、これから裁判手続きが進んでいくわけです。そういう時に、裁判を控えているにもかかわらず、裁判以外の場で説明しなさいというのは、様々な制約があるということも考えなければいけないというふうに思います。本来、裁判で争われる話です。

ただ、いろいろ国民の声を幅広くお聞きしておりますと、なぜこんなに大きなお金が必要だったのかとか、何に使っていたのかとか、いうのがよく出るんですね。こんなお金をどうして集めていたのかということに関していうと、昨日もテレビで申し上げましたけど、実は、自民党の派閥の領袖クラスと比べるとかなり少ないんですね。その辺はかなり正しく国民に伝わってない部分もある。で、何に使っていたのかということは、もちろん、収支報告書を見れば分かるわけですが、私は本来であればもう少し、小沢代表も説明を丁寧にされたほうがよかったんではないかなと思います。そういう話は、小沢代表には申し上げたことはあります。

【記者】民主党は右から左から勢力。リーダーシップ取るにあたり、どのようなやり方。野党共闘、国民新党、社民党との関係は。

【岡田】野党共闘に関していうと、いままで選挙協力も含めて、様々な協力を野党間で進めて参りました。その考え方は、そのまま踏襲していきたいと考えています。

いま、具体的にそういう問題があるとは認識をしておりません。民主党が非常に幅広い。まあ幅広いことは事実です。ただそれを、旧何々党ということで、くくってしまう考え方は私はとりません。むしろ、ある意味で固定観念だと思いますね、それは。

ただ、1人ひとりの政治家がかつては何党にいたにしても、民主党に集い、そこで選挙を重ね、当選を重ねてきているわけですから、それはやっぱり民主党の議員であって、昔どこにいたかは関係ないと思います。様々な考え方があることはいいんです。これだけ国民の意見も多様であり、その中で過半数を、少なくとも議席を得なければいけないと。それだけ多様なものが、民主党の議員の中にあるというのは、ある意味当然であるというふうに私は思います。

ただ問題は、いろんなこと議論するのはいいんですけど、議論したあとはきちんと、議論の結果を尊重してやっていくと。そこが、やや欠けるところがあったと。私が代表を辞めるときに申し上げたことは、4年前ですけど、この党は自由にものが言える素晴らしい党だ。だけど、決まったことは守っていく。そういう党でなければ国民から信頼されない。いうことを申し上げた。代表を辞める最後の演説です。

その後、今の小沢代表の下で、前原さん、小沢さんのこの4年間の中でですね、民主党はかなり変わったと、成熟したと。で、いろんな議論があっていいし、いろんな考え方あっていいんですが、議論して結論を出せば、それを守っていく。一丸となっていく。そういう党にいまなっているというふう思います。

【司会(中川正春議員)】では時間……

【岡田】いいですよ、私は。

【記者】私じゃないと政権交代できないと。代表になって政権交代できなければどういう責任とるか?

【岡田】まだ政権もとれてないし、そもそも代表にもなってない。そういう時に、仮に取れなければという質問に、私はお答えする必要ないと思う。

【記者】年金税方式の移行期間20年と。少子高齢化でその間の財源手当てどう果たすか。代表時代に小泉改革との対峙、いま自民党内でも最近は反省も。改めて小泉改革の総括を。

【岡田】民主党の考え方は40年。昨年12月の超党派で発表した年金の改革案で20年と書いた。20年経たなければ消費税を投入しないのではない。順次入っていく。20歳の人は全部税方式。59歳の人は1年間税方式、そこだけ。そういう形で順次入っていくので、20年まで財源措置なくて突然上げるのではない。

小泉改革、05年選挙は小泉改革と対峙したのではなくて、郵政民営化是か非か聞いてみたいと、この1点で争われた不幸な選挙だったと思う。しかも、郵政民営化も「小泉郵政民営化」だった。

小泉改革の評価は、評価できる点も少しある。例えば、不良債権の処理を比較的迅速に進めたこと、あるいは景気が悪いからといって需要不足を補うためにどんどん公共事業を増やすことはせずにむしろ減らしたこと、そういうことは評価できる。ただ、三位一体・地方分権、医療制度改革、年金改革、様々なものが結局名前だけの改革に終わって、弱いところに負担が来て本来的な改革になってないと考えている。極めて中途半端なカッコ付き(「」)の改革だと考える。

【記者】参院選で目玉政策が子ども手当2・6万円と、戸別所得補償。いまの施策どうするのか。

【岡田】基本的に、子ども手当ては2万6千円。数字は書いてないが、基本的な考えは踏襲している。それを減額する気持ちはない。

ただ、全体をご覧いただければ分かるが、財源の明確化を最後に書いている。徹底的なムダ撲滅、歳出削減、「財源なくして政策なし」との基本原則の下、政策を実行するということなので、ムダをなくし、行政改革をするなかで財源を見出す。そして、その財源を使って政策をやっていく。2万6千円を一気にやるのか、段階を踏むのかをこれからマニフェストの中で検討しないとならないと思う。

農業の戸別所得補償は、国際競争力のある農業の確立と戸別所得方式の組み合わせで食料自給率をアップすると書いた。戸別所得補償方式は、そのまま活かしていく前提で。ただ、それだけでなくて、一方で国際競争力のある農業を確立すると。その両輪で自給率をアップしていかねばならない。

【記者】郵政民営化見直し案、国民新党と一定合意。見直し案の扱いは。これまでの政策と齟齬はないか。

【岡田】国民新党と民主党で合意した4事業の見直しということは、私はその通りでいい。つまり、両党で合意した文書はそのまま引き継ぐ考えだ。

【記者】前回の代表経験の教訓、その後の行脚。前回とどのような教訓、違ったスタイル、リーダーシップ、代表像を描くか?

【岡田】この4年間は私にとって貴重な4年間だったと思う。私と思想信条だいぶ違うが、中曽根康弘先生の『自省録』を読んで、科学技術庁長官を務められたあと、次の運輸大臣になられる前の10年くらいの間、“kill the time”という言葉を使っておられるが、非常にその時間があったからこそ、中曽根康弘が誕生したんだと書いておられる。

私もこの4年間、非常に貴重な時間、地域を歩き、自分の選挙区も含めてだが、様々な人々と意見を交わすことができた。より現場が見えてきた。そこの苦しみも楽しみも。だからそういったことをしっかり踏まえて、これから政治家として、リーダーとして頑張りたいし、頑張ることができる、それが最大の違いだと思う。

【記者】岡田評で原理主義者、融通がきかないと、どう変えていくか、変えないのか。労組・連合との支持議員からは、代表時代に関係が良くなかったと。

【岡田】原理主義者って言葉が誉め言葉なのか、そうでないのか意見が分かれるが、物事による。私は本質的に重要なことは譲りません。説得はしなければなりません。しかし、無原則に足して2で割ることはしません。そこは変わりません。しかし、あまり本質的でないことについては、多くの人の発言に耳を傾け、柔軟に対応するのは大事なことだと思う。

私が、本質的と思うことを譲らないから原理主義者でけしからんというのは、議論はいいと思うが、議論した結果、その議論に勝てなかったからアイツはけしからんというのはいかがかと思う。政治家には譲れないものがある。

連合との関係は、そういう話を最近聞いて非常に驚いている。もちろん、若い議員が多くて、あまり4年前のことをご存じない人もいるのかもしれません。しかし、私が代表の1年半弱の間、連合との関係で何か問題になったことはない。それは記者の皆さんも、当時やっておられた方はご存じなんで、最も連合と互いに理解しながらうまくやれた、そういう時期だったと思う。

今日もたまたま連合の高木会長、古賀事務局長ともお会いし、そういう話が出た。あの時は本当にいい関係だったねと話した。そのことは皆さんに、つまり知らない皆さんには申し上げたいと思う。

当時から言っているが、労組、働く人たちの権利を守る労組と、政党は、団体の性格が違う。全員一致するわけではない。意見の違いは当然ある。しかし、それはお互い信頼関係に基づいて理解し合うということで乗り越えていくことは可能だ。私が代表の時はそのことができていたと思う。

【記者】小沢代表の西松の問題。使途は明確に説明すべきと言ったが、代表になったら改めて小沢に説明を求めるか。

【岡田】これは、今回の事件は、小沢代表の秘書が逮捕されたということだが、政党と、こういった事件が起きたときの関わりあいをきちんと整理したほうがいいと思う。

もちろん、事件の性格によっては、政党がバックアップしなければならないこともあると思う。ただ、基本的には政治家個人の問題だ。たまたま代表だったということにおいては、個人では済まないところもあるが、代表を辞めるということなら、さらに、私は政党がどうのこうのではなく、小沢代表が個人として説明責任を果たすということだと思う。

我々は、私の言い方も「そうされたらどうですか。私はこういうことをしてますよ」と、私はホームページで収支報告をかなり細かく説明しながら公開している。そういうものも示して、「こういうことを考えないか」と申し上げた。少し前だが、「参考にする」と言っていたので、私は小沢代表が何らかの説明をするのではないかなと予想している。

もう1つ、せっかく話が出たので、私は政党として、今回の事件もそうだが、検察との関係。政党が前面に出て検察批判をするのは、私は避けるべきだと考えている。当事者である、具体的当事者が批判するのは当然だ。裁判の中でもそうだし、自ら降りかかった火の粉を払うのは当然だ。しかし、政党が国家権力の中核にある検察というものを頭から否定するような言い方は絶対すべきではない。具体的なことで問題があれば指摘すればいい。

例えば、今回のことだって、おかしなことはいろいろあった。事情聴取を受けた現職議員がいつの間にか事前に漏れている。こういう話は本当に憤りを憶えるが、ただ、検察のやっていること全体がおかしいかのごとく、そういう言い方を政党がすることは、国家権力の根幹を政党が否定することになりかねない。そこは一定の自制があるべきだと考える。

【記者】郵政選挙の総括について。著書の中で、小泉のキャラクター。メディアの過熱報道などを原因に挙げた。党内には、総選挙の指揮を執ることの不安視する声があるが。

【岡田】2005年の選挙は選挙の当日、投票日に私は、「いい選挙ではなかった。日本の民主主義にとって」と言った。1つの、ワンイシューで、劇場型の選挙で。決して、いまでも私はあの選挙は日本の民主主義にとっていい選挙だったとは思っていない。ただ、負けは負け。その責任者が私であることは間違いない。

したがって、私の力が及ばなかったわけでそのことについては、悔しさとともに、強い反省の気持ちを持っている。だからこそ、この4年間地域を回ってきた。なるべくメディアなども、テレビなども出ずに、全く出なかったわけではないが、控えて4年間やってきたつもりだ。

今度の選挙は同じ失敗をするわけにはもちろんいかない。しかし、あのときと比べて私は、党のまとまりもはるかによくなっているし、1人ひとりが成長したし、候補者も素晴らしい人材が揃っているので、必ず政権交代が出来ると考えている。

最後に言うが、あのときの小選挙区における民主党の票は2480万票。従来の票に比べてはるかに多くの得票を得た。しかし残念ながら、自民党は、投票率が上がってそれ以上の得票を得た。大体選挙区を見ると、民主党の候補者は1万~2万は皆増やしている。多くの選挙区で。でも自民党が3万~4万増やして結果的に逆転した。こういった選挙だった。決して民主党が大きな敗北、数の上では大きな敗北をしたが、支持した方の数からいうと、そんなにひどい選挙ではなかったということも申し上げたい。




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