民主党幹事長としての定例記者会見(09年5月29日)
2009年5月29日(金)
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○補正予算:やむなく採決には応じるが、関連法案は引き続きしっかりと議論する
○厚労省分割:リーダーシップのかけらもない総理、解散・総選挙で国民の判断を
○藤井最高顧問が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前韓国大統領葬儀に党を代表して参列
○何をするかも説明せず延長ありきのような議論は極めて遺憾
○参議院定数についての党内議論を進める
○短期的な今回の核実験と中長期的な非核地帯条約は分けて考えるべき
○敵地攻撃論・核武装は短絡的でなく冷静な議論を
○問責・不信任は気が早い話
○水俣病問題の解決に向けて現場で誠意を持って詰めていく
○経団連政策評価の合理性ある説明を聞きたい
○政権をとれば補正だけでなく本予算も見直す
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■補正予算:やむなく採決には応じるが、関連法案は引き続きしっかりと議論する
【幹事長】まず国会ですけれども、補正予算について参議院での必要な審議も終えて、最終的には今日決着がつくということになりました。
中身については衆参両予算委員会での審議でも明らかにしてきたように、非常に大きな問題がある、大きな無駄遣いがあると思っています。そのことは基金の問題をはじめ具体的に指摘をし、国民の皆さんにもかなり伝わったのではないかと思っています。もう少し議論したいという気はありますけれども、しかし、いたずらに引き延ばすつもりはないということも今まで申し上げてきました。
したがって、与党のほうがぜひ採決をということであれば、喜んでということではありませんけれども、その採決に応じて成立させるのはやむを得ないことだと思っています。
ここで補正予算が上がるということになりますと、あとは予算関連法案それぞれ議論がされていくわけですが、何度も申し上げているようにいたずらに引き延ばすつもりはない、しかし中身のしっかりした議論が必要なので、そういう大きな考えにたってこれから進めていきたいと思っています。
■厚労省分割:リーダーシップのかけらもない総理、解散・総選挙で国民の判断を
【幹事長】この予算の関連ということではありませんが、昨日の総理のぶら下がりをみて愕然としたのは私だけではないと思います。厚生労働省の問題について、分割ということを麻生総理は確かに省の名前まで挙げて言われたわけです。
国民生活省と社会保障省、中身についても国民生活省については雇用とか児童、家庭、男女共同参画、そして社会保障省については医療、介護、年金、福祉と、そこまで言われながら昨日は全然こだわっていないと、自由な議論をしただけだと。
議論は自由ですけれども、総理の発言というのは重みがあるわけですから、それをいとも簡単に撤回する、しかも、その撤回の理由が結局は自民党の中の族議員の調整がつかなかったと、そこにリーダーシップのかけらもなかったということです。
幼保一元化、こども園は大事だとの趣旨のことを言われながら、結局幼稚園を所管する文部科学省とその背後にいる文教族、そして、保育所を所管する厚生労働省とその後ろにいる厚労族、ここの調整がまったくつかないということで、総理の発言が簡単に撤回されてしまうということに対して、本当にそれでこの国は大丈夫かという思いを強くしています。
こういう総理には早く辞めていただく、「辞める」という意味は解散して国民に判断いただくということだと思っています。しっかりと解散・総選挙に向けて、いつ解散・総選挙があってもいいように準備を整えていかなければいけないと思っています。
■藤井最高顧問が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前韓国大統領葬儀に党を代表して参列
【幹事長】韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の葬儀が行われていますが、党を代表して藤井最高顧問にご出席いただきました。昨日日本をお発ちいただき、急遽でしたがお願いをさせていただいたことをご報告申し上げておきます。
<質疑応答>
■何をするかも説明せず延長ありきのような議論は極めて遺憾/参議院定数について
の党内議論を進める
【記者】補正予算の今日中の成立を受けて、政府・与党は国会延長の検討に入りますが、延長そのものに対する民主党の見解、及び延長された場合どのようにどういったことを主なテーマとして追及と強めたいお考えでしょうか。また参議院の定数削減についてですが、参議院内では数値そのものを次のマニフェストに入れることに対して慎重な意見もあるようですが、幹事長としては定数の幅も含めてマニフェストに明記したいというお考えでしょうか。
【幹事長】国会の延長は、延長して具体的に何をするのかということがまずはっきりしないといけないと思います。一部に非常に長い期間を設定するという話も出ていますが、長い期間を設定してその間、何を議論するのかということをまず明らかにするのが本来である。国会が延長されますとそれなりに国民のみなさんにご負担いただく費用もかかります。単に開けておくというわけにはいきません。しっかりした中身のある審議をしていかなくてはなりませんが、具体的な中身として何を議論するのかということが明らかでないまま、日にちだけが先行していますのできわめて遺憾なことだと思っています。まずそこについて説得力のある説明をお聞きしたいと思っています。必要があれば延長もあるかもしれませんが、今のところ納得いくだけの説明は受けていません。まるで延長先にありきのような議論がおこなわれていることはきわめて遺憾です。
参議院の定数の話はこれからの議論です。こちらも遅れているのですが、参議院において定数是正の問題を中心として議論が進んでおりますので、全党的な議論をしなければなりません。一義的にご議論いただくのは参議院ということですけれども、衆参両院のあり方に関わる話であったり、もちろん参議院も民主党の中の参議院ですので、そういう意味で党の中にきちんと議論する場を作りたいと考えています。今週やろうと思っていて、ちょっと遅れてしまいました。
そこでの議論をきちんとした上で協議会に臨んでいただきたいと考えているところです。具体的な数字の話はまだしていませんので、具体的に言うのか言わないのかということも含めて、それはこれからの議論だということです。
■短期的な今回の核実験と中長期的な非核地帯条約は分けて考えるべき/敵地攻撃論・核武装は短絡的でなく冷静な議論を
【記者】北朝鮮の核実験およびミサイル実験についてですが、岡田幹事長は北東アジアの非核化を提唱されており、長期的に反対する国民はいないと思いますが、このような北朝鮮の行動を受けて自民党には敵地攻撃もできるようにすべきだとの議論が行われています。これについてどう考えるか。また核武装についてどうお考えでしょうか。また北東アジアの非核化について選挙の争点として取り上げていくお考えがあるのか教えて下さい。
【幹事長】私が、幹事長としてというよりも、一議員として北東アジアの非核地帯条約というものを提唱し、議連をつくって条文の案まで発表しています。非常に重要なことだと思っています。
ただ、これは北朝鮮において核が完全に除去されることが前提の話で、いまそういう状況にはないので短期的な今回の核実験の話と中長期的な非核地帯条約の話は分けて考えなければいけないと思います。
将来、北が核を除去しなければならないということになったときに、その後の絵がきちんとあるということは、非常に楽観的な考えかもしれませんが、私は北が核を除去しようと自ら放棄しようということの一助になるのではないかと思っています。いずれにしても、地下核実験は許し難い行為であって、これに対しては断固たる態度をとる必要があると思っています。
核実験の直後に、敵地攻撃論や核武装の話が永田町なり国会の場で議論されていると私は思いませんが、あまり短絡的な議論はしないほうがいい。冷静に議論することが必要な場合はあるかもしれません。
核武装というよりも、核を持つことの問題ということは、実は民主党が今から7~8年前、私が中心になって「民主党核政策」というものをとりまとめました。その中でかなり議論したことはあります。核を持つことはメリットがないという結論ですが、そういう議論をすることは一概に否定できませんが、こういう核実験をした直後にそういう話が出てくることは前回も時の外務大臣とか自民党政調会長でしたかそういう話が出ましたが、まさしく国際的に誤解を招くことになりかねないのでもう少し冷静に対応したらどうか、それが政治ではないかと思っています。
■問責・不信任は気が早い話
【記者】国会が延長されることになった場合、この国会をどう戦っていくのか。衆院解散直前の国会だと思いますが、対決姿勢を強めていくという中で、ちょっと気が早いですが、問責や不信任の扱いをどうするのかということを現時点でどのようにお考えかお聞かせ下さい。
【幹事長】気が早いと思います。まだ延長も決まっていません。大幅延長になるのかどうかということもまだ決まってない中で、それを前提にした議論を私はするつもりはありません。
■水俣病問題の解決に向けて現場で誠意を持って詰めていく/経団連政策評価の合理性ある説明を聞きたい
【記者】水俣病の患者団体と会ったと思いますが面談されたことの受け止めと、いま救済されていない患者の法案を与野党で協議しているかと思いますがそれは今国会中の合意を目指す考えなのでしょうか。また来週経団連の会長と民主党の代表と幹事長が会われて政策を語る会が開かれると思いますが、会長と代表が会われたのは岡田代表だった05年以来ですが、4年ぶりに開かれることの意義を教えて下さい。
【幹事長】今日お会いしたのは、蒲島知事と水俣市の副市長さんを中心とするメンバーの方とお会いしました。熊本県知事から以前副代表の時代にもお話があり、それに引き続き2回目ということです。
その趣旨は、とにかくこの国会で合意に至ってもらいたいというお話でした。わが党はいま松野参議院議員を中心に与党側と協議していますが、若干の違いが残っているということで、しかしこれがあまり遅れるのは決して好ましいことではありませんので、お互い誠意をもって話し合いをし、合意に達する、そのためにはお互い歩みよりをしなければなりませんが、そういったことを私も期待しています。
必要があれば幹事長としても何らかの役割を果たしたいと思いますが、まずは現場で話をつめているところですのでそちらに現時点では委ねておきたいと思います。
経団連の話は今まで私が代表をしていた時代のあと、どういう理由でトップ同士ということにならなかったのかは承知しませんが、どういう立場の人であれ話はなるべく、意見交換をしておくのは決して悪いことではないと思います。月曜日は実は私はあまり長くはいないのですが、様々な立場の方の意見を聞き、こちらからも意見を申し上げるということは大事なことだと思います。
個人的には、ここ数年間民主党の政策評価が下がりっぱなしですので、どうしてかということも是非聞いてみたいと思っています。別に経団連が評価を下げてもいいのですが、ちゃんとした合理性のある説明がるのであれば聞いてみたいと思っています。
■政権を取れば補正だけでなく本予算も見直す
【記者】補正予算について非常に無駄が多いという評価ですが、今後数ヵ月後に衆院選で政権をとった場合に執行停止もしくは予算の組み替えということも考えているのでしょうか。
【幹事長】そういうことは当然考えられます。これは補正予算だけではなくて今年度予算についてもそうです。特に今回基金で埋蔵金を掘り出してきて、また別に埋めている第二の埋蔵金みたいな話になっていますので、これを掘り出してさらに有益なことに使うのは当然考えられると思っています。