(09政権選択 世襲)政治家の道制限、民主主義弱める 岡田克也・民主幹事長に聞く
2009.05.30 朝日新聞朝刊
国会議員の世襲について、民主党は次の総選挙から「3親等以内の親族による同じ選挙区からの連続立候補」を認めない方針を決めた。政治改革推進本部長として論議を主導した岡田克也幹事長に聞いた。(聞き手・秋山訓子、蔭西晴子)
――そもそも世襲の何が問題なのでしょう。
「思いと志があり、努力すれば誰もが政治家になれるということが、日本では制限されてきた。日本の民主主義を弱くしているそんな状況を打開したい」
――制限をどう進めていくのでしょうか。
「民主党は内規でやる。ただ、世襲の定義は厳格にしないと話がどんどん大きくなってしまう。政治家の子どもでも他の選挙区から出て、一から努力すればいい。民主党でも次の総選挙で石井一参院議員のご子息は(一氏が衆院時代に立候補した小選挙区と)違う選挙区から出馬する」
――有権者に判断をゆだねてはとの意見もあります。
「中選挙区の時は、まだ弊害は少なかった。(世襲候補に公認を奪われても)無所属で出るとか、一つの党でも違う派閥から出るとか、いろんなやり方があった。小選挙区だと一つの党から1人しか出られない。政党の自己努力が必要だ」
――自民党も次の総選挙から世襲候補を公認しない方向で調整を進めています。
「(次男を後継者にした)小泉(元首相)さんのこともあり、弊害を感じているのでは。反発も強いようだが、半歩でも踏み込んでおくべきだ。(当選後の追加公認を念頭に)無所属でというのは正直なやり方とは言えない」
――世襲制限は、違法献金事件で傷ついた党のイメージを回復させるという意味もあるのでしょうか。
「その件とリンクする話ではない。事件が公になる前から検討を進めてましたから」
――小沢一郎代表代行は典型的な世襲政治家です。
「小沢さんは(過去にはさかのぼらないという意味で)我々の決めた世襲の定義に入らない。今いる世襲議員が悪でダメと言っているわけではない。これからのことで自民党の世襲議員もむきになる必要はない。まさか、お子さんのことを考えているのではないと思うが。ただ、将来の日本の民主主義を考え、一定の歯止めをかけなければならない」