民主党幹事長としての定例記者会見(09年7月24日)
岡田 克也幹事長/定例記者会見要旨
2009年7月24日(金)
★会見の模様は民主党ウェブサイトでもご覧になれます。
300k⇒ http://asx.pod.tv/dpj/free/2009/20090724okada_v300.asx
56k⇒ http://asx.pod.tv/dpj/free/2009/20090724okada_v56.asx
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○党首討論会:大歓迎。党首だけでなく幹事長レベルでも
○子ども手当と控除廃止:中学生以下の子どもがいる世帯はすべて収入増
○自民党の意見広告:事実に反する記述が極めて多い、正確な情報で堂々議論を
○浅尾参院議員の離党:本人の説明がない段階で憶測で物を言うことは控える
○沖縄普天間基地:新田原基地や築城基地への移転検討との報道は事実無根
○日米トップの信頼関係を築いたうえで、30年、50年持続可能な日米同盟を協議
○テロ特措法:議論をしながら最終的に反対したのであって何が何でも反対ではない
○民主党政権での給油活動:いま継続容認とは考えていない。どうするか具体的なことは取ってから
○基地移転先:日米合意以降何年経っているのか、責任を棚上げした批判は無責任
○選挙後の公明党との関係:いま戦っている相手と組む、協力するとの話はあり得ない
○渡辺新党との連携:ぶつかっている相手と連携することは考えていない
○テロ特措法がスタートしたときとは状況が変わっている、全体が検討の対象
○経団連との関係:対話はしていきたいが、我々は国民視点の政策を作っていく
○社民党の非核三原則の法制化要求:現時点で具体的に検討しているわけではない
○経団連との隔たり:耳を傾けながら、こちらの主張もしっかり理解していただく
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■今後の幹事長記者会見:出来る限り、金曜日13時前後でやっていきたい。
【幹事長】先日、党としてのメディアの対応についていろいろ申し上げたかと思いますが、この会見は出来る限り続けたいと考えていますので、金曜日の13時前後で基本的にはやっていくということでお考えいただきたいと思います。
もちろん、各遊説先での記者会見などもありますので、それとの関係、兼ね合いもありますが、ここしか来られない社もあると思いますので、基本的にはしばらくは続けるということでお考えいただきたいと思います。
■党首討論会:大歓迎。党首だけでなく幹事長レベルでも。
私からは、1つは自民党と公明党のほうで各党党首による公開討論をとのの話が出ているようです。どのレベルで正式に決まったものかはわかりませんが、それは非常に、大いに結構なことでして、そういうお考えがあるのであれば、是非協議をしてそういう場を作っていったらどうかと考えています。
もちろん、各メディアや21世紀臨調などいろいろなところが企画されていると思いますが、それにプラスして何かお考えがあるということであれば、我々は大歓迎です。党首レベルであれば、もちろん麻生総理に出てきてもらってやるということになるわけです。党首だけではなくて幹事長レベルということなら、各党が出てもいいし、細田さんと私がやってもいいし、それは大歓迎なので大いにやりたいと考えています。
ただ、政策はお互い明らかにして、その上でやったほうがいいと思いますので、マニフェストも我々は間もなく発表する予定ですが、自民党のほうもしっかり出してもらいたいと思います。
■子ども手当と控除廃止:中学生以下の子どもがいる世帯はすべて収入増
【幹事長】それに関連して、追加的に2つほど申し上げたいと思いますが、お手元に資料を配布させていただきました。「子ども手当の創設と所得税控除(国税)の見直しの影響」というペーパーです。
これは日曜日の番組で、自民党は極めて不正確なパネルを持ち出して、議論を進めましたので、それに対してはこちらが自民党に対してもテレビ局に対しても反論といいますか、説明をしていますが、改めてここに書かせていただきました。
そもそも、子ども手当の話と配偶者控除はじめ諸控除廃止の話は、一対一に対応する話では必ずしもありません。
そして、我々は子育てというところに資金・予算を集中的に投入すべきであるという考え方で、子ども手当の創設を言っているのであって、それを個人レベルの損か得かの議論になってしまってはいけないと考えています。そういう発想自身が本筋からズレてしまっているとは思います。
しかし、ご指摘ですから我々が計算したわけですが、中学卒業までの子どものいるすべての世帯、つまり子ども手当の対象になる世帯で、すべての世帯で手取り収入が増えます。単身世帯、子どものいない共働き世帯は影響がありません。つまり、配偶者控除の話あるいは扶養控除の話などは、こういった世帯には関係ありません。
子どものいない65歳未満の専業主婦世帯というのが控除廃止の影響を受けるわけですが、これは所得レベルによって差が出てきます。わかりやすく言えば、所得税を支払っていない所得の少ない世帯にとっては控除の廃止は影響がありません。給与収入300万で子どものない世帯で1.9万の収入減、500~600万では3.8万円、これ以上所得が増えると、これよりさらに増えます。
他方で子ども手当がありますので、子どもが1人でも2人でもプラスになるということです。65歳未満の専業主婦世帯で、子どもがひとりもいなくてかつ所得税を納税している世帯というのは、全世帯の4%未満です。そこで影響が出てくるということです。
年金受給世帯について我々は別途手当てをしていまして、公的年金等控除の拡大、老年者控除の復活などもあわせて主張しているので手取り収入額は増えます。
ここは自民党の間違いの最たるところですが、住民税についての諸控除については見直しの対象にしないということを我々は明言しているところです。
こういうことで不正確なパネルをもとに細田幹事長はお話になったということです。最近、いきなりパネルが出てくるという細田幹事長のお得意パターンで、いっぱい文字が書いてありますから全部その場で読む時間もないままに不正確なパネルをもとに議論されるということがありまして、これは誠にいかがなものかという感じがします。特に、公共の電波を使って多くの人に影響があるときに、不正確な前提で議論をするというのは、公党として厳に慎むべきではないかと考えています。
■自民党の意見広告:事実に反する記述が極めて多い、正確な情報で堂々議論を
あわせて、これはちょっと皆さんにも耳の痛い話かもしれませんが、こういう、新聞各紙に自民党の意見広告が出ました。これも中身は非常に問題があって、こういうものがよく考査を通ったなと不思議に思います。
例えば、自民党は在沖縄海兵隊グアム移転協定を締結、それに対して民主党は沖縄県民の負担を軽減する協定にもかかわらず反対と。我々が反対しているのはこの中に普天間移転の話が前提として入っているからです。これを認めるということは普天間の辺野古への移転を認めることになりますので反対をしました。そのことを書かずに、とにかく負担軽減にもかかわらず反対したと。
それから自民党は北朝鮮特定貨物検査法を進める、民主党は国連決議に基づいた法案にもかかわらず反対と。我々反対はしていません。ただ、内閣不信任案が提出されたことに伴って、国会に出ないまま採決されたということで、反対をしたという事実はありません。
そういうことで、極めて事実に反する記述が目立ちます。あるいは、偏った教育をする日教組が強力な支持母体であるとか、日教組をやり玉にあげた表現など、選挙ですからいろいろな議論があるのは分かりますが、もう少し有権者に対して正確な情報を開示して堂々と議論する、そういう姿を是非望みたいものだと思います。
我々はこういう間違ったところについてはきちんと指摘をしていきたいと思いますが、ネガティブキャンペーンに同調するようなことはしません。基本的に国民の皆さんに向かってしっかりと政策を訴えていく、そういう姿勢でこの選挙戦を戦い抜いていきたいと考えています。
健全な政策面での批判といいますか議論は当然だと思いますが、非常に一部の偏ったところを強調して、まともな議論になっていないといういまの自民党の姿勢に対して大変残念に、また悲しく思います。
<質疑応答>
■浅尾参院議員の離党:本人の説明がない段階で憶測で物を言うことは控える
【記者】今日これから民主党の参議院議員の浅尾慶一郎さんが記者会見をして、離党して衆院選に立候補することを発表するそうだが、それに対する党の対応について。
【幹事長】この点は、我が党としては浅尾さんと話し合いを続けてきた案件です。そして、最終的なお返事をいただくという状態になったままです。したがって、当然ご本人が約束されたんですから、きちんとしたご説明、お返事があると思っていますが、それがない段階で憶測で物を言うことは控えたいと思います。
議員の身分に関わる重大事ですので、情報が不確かな段階で物を言うのは避けるべきだと考えています。3時に記者会見という話も流れています。もし、そこで事実が明らかになれば、その後私も今日これから外に出かけますが、確か次の会合は埼玉13区、4時半、南埼玉郡宮代町ということですので、その直前ぐらいにぶら下がりでコメントすることはあるかもしれません。現時点ではそれ以上のことは申し上げません。
■沖縄普天間基地:新田原基地や築城基地への移転検討との報道は事実無根
■日米トップの信頼関係を築いたうえで、30年、50年持続可能な日米同盟を協議
【記者】米軍普天間飛行場の移設について、3点ほど伺いたい。先日発表した政策インデックスには「県外移設」という文言はないがその理由と、幹事長はじめ代表も県外移設の検討を公言しているが今後それについては具体的にどのように検討していくのか。あと、本日一部報道で民主党が移設先として新田原(にゅうたばる)基地や築城(ついき)基地を検討しているとの報道があるが、事実関係について。
【幹事長】まず、第3点はありません。
それから、第1点と第2点に関して言うと、基本的に民主党のスタンスは変わっていません。政策インデックスというのは、いままで顧みられることもなく、ほとんどの人が読んでなかったと思うんですが、今回はマニフェストの発表が遅れていることもあるかもしれません。非常に注目を浴びて、私もあまり細かく見ていない部分もあったりして、もう少しちゃんと見ておけばよかったかなとも思っています(笑)。書いた書かないということは関係なくて、普天間に関する民主党の考え方は変わっていません。
ただ、私が申し上げているのは、日米間には様々な懸案事項があります。これは普天間基地の問題がそのうちの大きな1つということは間違いありませんが、他にも地位協定の見直しですとか、あるいは、アメリカ直接ではありませんが、アフガニスタンでの協力のあり方やインド洋での給油の問題や海賊の問題など様々なテーマがあります。
そういうものを、もし我々民主党政権になれば、日米間でまず首脳間の信頼関係をしっかりつくるべきだと私はアメリカ側にも申し上げています。つまり、オバマ・鳩山の両トップの信頼関係をきちっとつくり上げることをまず重視すべきで、その上で、その信頼関係に基づいて、そういう懸案事項についてきちんと順番をつけて議論をしていくと。
いっぺんに机の上に並べて「さあどうだ」ということでは、結局、議論の成果が期待できるはずもありませんので、日米間でそういう懸案事項についてきちんと協議をして、1つひとつを解決していくと。そういう姿勢で臨みたいと考えています。
私がアメリカ側の日本に来られた要人の皆さん、例えば、この前来られた国防次官のフロノイさんとか国務次官補のキャンベルなどに申し上げているのは、日米同盟の30年、50年ということを視野に入れて、持続可能な両国関係をきちんとつくっていかなければならない。そういう中で、先ほど申し上げたような様々な懸案事項について、きちんと解決していかなくてはならない問題ですから、お互い信頼関係に基づいて協議していこうと申し上げています。
沖縄の基地についても、やはり沖縄におけるあの悲惨な戦いの結果として、いま沖縄に基地が集中している。ある意味で戦後の継続の結果であって、もうそろそろ60年以上経って、そういう過去からの引きずりではなくて、将来の持続可能性ということを視野に置いて、きちんと話し合っていくべきではないかということを申し上げているところです。
■テロ特措法:議論をしながら最終的に反対したのであって何が何でも反対ではない
【記者】昨年までの政策集にあったテロ特措法延長に反対という文言が全く削除されていることに関し、麻生総理は「民主党こそブレている」と言っているが、これについてどのように反論するか。
【幹事長】テロ特措法をどうするか、我々は国会の承認の問題が欠けているとか、そういう論点で議論したわけで、インド洋に自衛隊を送ることそのものについて、何が何でも反対というわけではなかったわけです。議論をしながら、最終的に反対をしたということで、それを政策インデックスに書かなかったから態度が変わったかというと、変わったことはありませんし、何が何でも反対したという、そういう前提に立って総理が論じているのであればそれは違いますよということです。
■民主党政権での給油活動:いま継続容認とは考えていない。どうするか具体的なことは取ってから
【記者】民主党政権になった場合に、給油活動の継続を容認することもあり得るのか。
【幹事長】いまそういうふうには考えていません。ただ、テロ特措法というのはそもそもは私が政調会長のときに議論した法案です。民主党は国会承認さえ入れば賛成するという考え方で総理官邸まで行ったのですが、当時公明党が民主党が賛成することを非常に嫌ったということもあって、小泉総理は首を縦に振らなかったという経緯もある話です。実は。そんなに大きな幅で全然違う考え方をしているわけではないということです。
政権を取れば法案の改正もできるわけですから、必要な修正を加えて認めるということもないとは言えません。しかし、具体的なことは政権を取ってから考えればいい。いまここで頭の体操をしても仕方がないと思います。麻生総理はそういう立法時の経緯を全くご存じなくて言っておられると思います。
■基地移転先:日米合意以降何年経っているのか、責任を棚上げした批判は無責任
【記者】普天間移設の移転先について具体案が示されていないことに対して、中曽根外務大臣などが閣議後会見で批判のコメントをしているが、移転先についてどういうスタンスでこれから臨まれるか。
【幹事長】それは政権を取って、アメリカ側と信頼関係を築いたうえで、いろんな可能性を検討していくということになると思います。中曽根外務大臣が言っておられるのは、私は理解に苦しむわけですが、橋本・モンデール合意以降、一体何年経ってるんだと。その間の責任を全く棚上げして、民主党を批判しているのは非常に無責任な姿に映ります。中曽根大臣はどれだけ普天間のために努力されたのでしょうか。
■選挙後の公明党との関係:いま戦っている相手と組む、協力するとの話はあり得ない
【記者】今日これから、東京と神戸の公明党幹部の選挙区に民主党の公認・推薦候補を発表されるんですが、選挙後の公明党との関係についてどうお考えか。
【幹事長】まず「たら、れば」の話、政権交代が起きるかどうかというのは可能性の問題ですので、政権交代が起きる前提の話はしないほうがいいと思います。そして、いま公明党は自民党と連立を組む与党ですので、我々とは戦っている相手ですから、そこと組むとか協力するという話はあり得ないと思っています。
■渡辺新党との連携:ぶつかっている相手と連携することは考えていない
【記者】渡辺喜美さんがつくると言っている新党など、非自民との連携、距離感をどう考えているか。小沢代表代行が神奈川8区なら公認すると浅尾議員に言ったようだが、その距離感について。
【幹事長】基本的には、いまあちこちで民主党と渡辺新党はぶつかっています。ぶつかっている相手に対して連携することは基本的には考えていません。
■テロ特措法がスタートしたときとは状況が変わっている、全体が検討の対象
【記者】インド洋の給油活動は一昨年かなり民主党は強く反対して、幹部の中からは憲法違反という理由までおっしゃって反対していた。当時は小沢執行部だが、現在の執行部あるいは幹事長の考えとしては、国会承認とか、そういった部分での反対という意味か。
【幹事長】憲法違反という議論はありましたが、党として正式にそういう議論にはなっていないと思います。
私が政調会長をやっていて、この法案の成立のときに自民党との交渉者だったのですが、そのときの反対した理由は1つだけ、つまり国会承認が入るか入らないかと。逆に言うと、そこまで話を煮詰めてあったわけです。
しかし、その後を考えますと、あの時にはアメリカの自衛権の行使、国連も容認しているということで、日本の自衛隊が協力することについて憲法上の問題はクリアされると考えました。しかし、その後タリバン政権がなくなって、自衛権の行使というにはあまりにも長すぎる期間も過ぎているわけですね。アメリカの自衛権の行使と言うには。
そこで国連決議といっても、当初タリバン政権を攻撃することに対しての国連決議はあっても、いま内陸で活動している部分、ISAFが活動している部分については国連決議がありますが、インド洋での活動は基本的には米軍のオペレーションです。そういうことを見ると、あの法案がスタートしたときとはかなり状況が変わってきているのも事実です。そういうことも含めて、全体が検討の対象になるということです。
■経団連との関係:対話はしていきたいが、我々は国民視点の政策を作っていく
【記者】政権交代後の経済界との関係について、経団連は政策評価でも自民党には非常に高い「A評価」というのがたくさんあって、民主党については「D評価」が多かったと思うが、今後どういったスタンスで経団連との付き合いを進めていくのか。
【幹事長】まず、評価の点は経団連は別に国民的視点で評価しているのではなくて、経団連にとってどうかという視点で評価していると思います。例えば温暖化なども問題はその典型ですが、別に経団連がどのように評価しようと視点が違うので、そういう考え方なんですねということだと思います。民主党と経団連の間に考え方にかなり違うということの結果だと思います。
今後についても、日本の経済界を代表する団体ですから、対話はしていきたいと思いますが、我々は国民の視点で政策を作り、政治をやっていくということですので、是々非々で方向性の合うこともあれば、合わないこともあるということだ思います。
■社民党の非核三原則の法制化要求:現時点で具体的に検討しているわけではない
【記者】昨日、社民党が在京幹部会で、非核三原則の法制化をしていきたいということで、今後民主党にも協力を求めるということを決めたが、これについてはどのようなお考えか。
【幹事長】突然出てきた話なのでやや戸惑いを覚えつつ、幹事長名でご要請が参りましたので受け取らせていただきました。社民党の主張としてはそういうことだと思いますが、私たちはいまの段階で法制化するということを具体的に検討しているわけではありません。社民党にとっても突然だったような気がするんですけどね。経緯がちょっと分かりません。
■経団連との隔たり:耳を傾けながら、こちらの主張もしっかり理解していただく
【記者】温暖化対策の問題や消費税の問題などについて経団連とは隔たりがあると思うが、理解を得なければ進めることが難しいような政策もあると思うが、どのようにその是々非々のスタンスを貫いていくのか。
【幹事長】ですから議論していけばいいわけです。いろいろな場でかなり激しい議論はしています。それから、経団連のほうで、民主党に政策の説明をしてもらいたいという話も伺っていますので、それは機会も是非つくっていきたいと。広く経団連加盟企業の皆さんに民主党の考え方をご説明する機会がいいなと思っています。
別に我々は経団連に対して、自民党とは違って「お世話」になっていませんので、別に何か気にして物が言えないとか、そういうことは全くありません。
もちろん、経済界を代表する団体ですから、謙虚にお話には耳を傾けながら、こちらの主張も主張として、しっかりと理解していただきたいと考えています。