岡田外務大臣会見記録(平成21年9月29日)
岡田外務大臣会見記録(平成21年9月29日(火曜日)17時40分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)大臣会見等の開放とその基本的な方針について
(2)外遊について
○大臣会見等の開放とその基本的な方針について
○普天間移設問題
○来年度予算要求
○アフガン支援
○日露首脳会談(領土問題)
○東アジア共同体
○日韓外相会談
○核軍縮
○民主党職員及び政策秘書の8月の米国訪問
○日米関係
○地球温暖化問題
○天下りの見直し
○日メコン外相会議
○「密約」問題に関する調査
冒頭発言
(1)大臣会見等の開放とその基本的な方針について
(外務大臣)暫く留守をして会見も空いてしまいましたが、今日はまず冒頭、前回の記者会見の時にお諮りをした、私(大臣)と副大臣なども含めてですが、会見の開放と基本的な方針についてお配りした資料にあるように改めて方針を決定させて頂きましたのでご説明をしたいと思います。9月18日付けでお示ししたように、全てのメディアに会見を開放するということに致しました。18日に一旦方針をお示ししましたが、外務省記者会霞クラブから様々なご意見を頂き、この間その実施を見合わせてきた訳ですが、霞クラブから記者会見の開放そのものについての明確な見解は示されませんでした。従って、あれから時間も10日以上経ったということで、別添の基本方針に基づいて、今日から大臣、副大臣の記者会見を全てのメディアに公開することにしたいと考えています。資料にありますように基本的方針ですが、大臣、副大臣はそれぞれ週二回、副大臣は二人いますので一人一回になりますが、記者会見を行う。正副報道官は週一回、外務省内のこの会見場において定例記者会見を開催致します。時刻は15時を原則に、国会開会中、公務その他で移動があることはご了承頂きたいと思います。上記1の会見は、外務省記者会所属メディアに限らず原則として全てのメディアに開放するということで、日本新聞協会会員、日本民間放送連盟会員、日本雑誌協会会員、日本インターネット報道会協会員、日本外国特派員協会会員及び外国記者登録証保持者、上記メディアが発効する媒体に定期的に記録等を提供する者と決めさせて頂きたいと思います。上記会見に参加するメディアは外務省ホームページを通じて所定の手続きを行って頂き事前に登録をするということでございます。なお、外務省記者会からお話がありました閣議後の取材の機会が失われるということに関しては、閣議後も短時間のぶら下がりには応じるということに致します。ただ、前回申しましたように閣議後の会見は今までも行われてきた訳ですが、国会内で行われることが多く、なかなか多くの方が取材が出来ない、事実上制限をされるということがありますので、閣議後のぶら下がりについては閣議に関する最低限の事だけはそこでお答え致しますが、基本的には本省に帰って本省での正式な記者会見の場でお話を申し上げたい。従って、閣議に関する事以外のことは、その場ではお答え致しませんのでご了解を頂きたいと思います。全体として、閣議後のぶら下がりも含めると私は週4回やる訳で、従来と比べてかなり実質的な時間は増えたということが言えるかと思います。そして、次官、局長懇談、在外大使の会見や実務者のブリーフ等は従来通りということにしたいと思います。お配りした紙には経緯が書いてあり、参考ですが、外務省記者会からご意見も頂いておりました。そして閣議後のぶら下がりについては先ほど説明した形で、その要望に沿った形にさせて頂いたところです。記者会見を全てのメディアに開放するということに関しては、意見の一致をみることができませんでした。引き続き、加盟社、上位組織の話し合いを見守りながら検討するというご回答でしたので、時間も随分経ったということで、ここは私(大臣)の判断で先ほど申し上げたようなことで開催を今後させて頂くということに致しました。もしこれ以上従来のやり方を続けるということになりますと、それ以外の記者の皆さんの取材の機会を奪うことになりかねませんし、国民の知る権利にも関わることですので、こう判断したことをご了解頂きたいと思います。
(2)外遊について
(外務大臣)この間、ニューヨークへの出張と上海への出張とございました。いろんな形でブリーフされていますので、そのことについてご説明は致しませんが、ちょっとスケジュールが過密すぎるという感想は率直にございます。今週はまたカンボジアにも行くということで、慣れない生活でやや疲れておりますが、元気に頑張っていきたいと思います。外務大臣の仕事というのはやはり、外務大臣同士がお互い何度か顔を合わせてフランクに話せる関係を作り上げること、そのことがあって初めて意味が出てくるのかなと感じました。そういう意味ではいろんな機会を捉えてなるべく外へ出て、或いは日本に来られる外相の方には勿論必ずお会いして、お互いの信頼関係をしっかり作り上げていきたいと思っているところです。
大臣会見等の開放とその基本的な方針について
(問)岡田大臣がこのような形で正当な取材の機会を与えて下さったことにまず敬意を表します。質問ですが、事実関係の部分で、今日のこの会見は霞クラブ主催なのでしょうか。或いは岡田大臣の主催なのでしょうか。それに関連してもう一点が、この会見に関して、ここは基本的に外務省の建物ですが、いわゆる国民の財産の建物の中で、その民間団体である記者クラブの主催だとしたら、その法的根拠というのは何処にあるのか教えて頂けますか。
(外務大臣)今まで主催についてはどういう答弁をしていますか。
(報道課長)霞クラブと協議しながら、基本的には外務省が主催する形で本省では行われてきました。
(問)外務省が行っていると。
(外務大臣)ということです。
(問)もう一つ、法的根拠は外務省が主催だということで。
(外務大臣)はい。
(問)明日政務三役会議があると聞いていますが、政治主導で政策を決めていくことと政策の決定を透明にするということが政権交代の意義でもあったと思うのですが、政務三役会議で話されたことは、それは公開されるのですか。何らかの、こういうことが決まったと発表されるのですか。
(外務大臣)どこまで公開できるかという問題はあると思いますが、それは決まった後の大臣ないし副大臣の会見でご質問が出れば、お話しさせて頂きたいと思います。しかし、どこまで話すかという問題は勿論あると思います。
(問)決まったその日ではなく、次の日ならば次の日まで待ってくれということですか。
(外務大臣)今のところ、そう考えています。
(問)その日起こったことについても国民の知る権利ということに関して言えば、外務省でどういう政策決定が行われているかということはいろいろと興味あるところだと思います。会見でやりたいというのは原則分かりますが、どのような形で国民の知る権利に応えていくのか、政策決定の透明性という観点からどうなのかと。
(外務大臣)あまり国民の知る権利という言葉を振りかざさない方が私はいいと思いますが。
(問)大臣が会見で言われたので私は使っております。
(外務大臣)私(大臣)はまさしく開放するということは知る権利にかかわる根本問題だと思ったから言ったんです。必要があればその場でお話しすることもあって良いと思いますが。
(問)岡田大臣の同僚議員から聞いた話ですが、総理官邸の平野官房長官が、小沢代表や鳩山代表がインターネットやフリーの記者を会見に入れると言ったにもかかわらず、我々を閉め出した理由として、内閣記者クラブを持つ大メディアから圧力があり、平野官房長官は大メディアとの全面戦争を避ける為、やむなく閉め出したと答えていました。岡田大臣、そして大臣の周辺には大メディアからの圧力はなかったでしょうか。
(外務大臣)特に私は感じておりません。
(問)それなりのプッシュはあったのでしょうか。
(外務大臣)特にありません。
(問)質問ではないのですが、岡田大臣の決定に関しては、(私は)外国特派員協会の副会長をしていますから、本当に感謝しています。これから宜しくお願いします。
(外務大臣)お手柔らかにお願いします。
(問)他の役所で新しく着任した大臣の記者会見を開きたいということを言うと、必ずセキュリティの問題とキャパシティの問題 、たくさん人が来たらどうするんだという話や、いろんな人が来て靴でも投げられたらどうするんだという話が出ます。外務省はおそらくセキュリティが非常に重要な役所の一つだと思いますので、この記者会見開放の方針を貫徹される上で、この二つの問題をどのようにクリアされたのでしょうか。参考までにお願いします。
(外務大臣)セキュリティの問題は各省庁で対応が違いますので、一概に申し上げることは出来ないと思います。本日もセキュリティチェックはさせて頂いてやや不快な思いをされた方もいらっしゃるかもしれませんが、ある程度安定してくれば登録証を発給してそれで入省できるようにしたいと思います。何れにしても、それは試行錯誤でありますので、しかも各役所で違いますので一番オープン化が進んでいるのは現時点では外務省になりますので、我々がいろいろやっていく中でそれが他の役所にも伝わっていけば良いと思っております。
(問)今回は開放ありがとうございました。今迄の会見というのはよくわからないのですが、今迄は小じんまりとして、もう少しお行儀の良い感じだったのではないかと思いますが、今回のこういう、ある種国民の知る権利からすると画期的な会見というのに立ち合われてどのようにお感じになられているかお願いします。
(外務大臣)実はこの会見は二回目なんです。就任の時以来ですから、そういった意味でたくさんメディアの方がおられたんですね。次回以降お客さんが非常に少なくならないようにしたいと思います。
(問)会見室の隣には外務省記者会、霞クラブの部屋があるのですが、事実関係としてこの部屋は賃貸契約をされているのでしょうか、それとも外務省側で何らかの金銭的な負担をされているのでしょうか。
(外務大臣)承知しておりません。次回お答えします。
(問)今回、会見が開放されまして、取材ができる条件に日本インターネット報道協会会員であることというのが入っていますが、インターネットメディアに関して、外務省報道課にお尋ねしたら大臣の意向であると伺ったので、なぜこの協会を選んだのかが一点と、この協会は非常に少数のメディアしか加盟しておりませんので、これに加盟していることという条件があるので、PJニュースでは取材の許可がおりません。そうしますと、インターネットメディアに対する開放がまだ足りないと感じるのですが、基準の見直しを今後考えていますか。
(外務大臣)一定の実績・実体がある協会であればかまわないのですが、現時点では今言われたような形になっています。他にこういう協会があるとかがありましたら、検討の俎上には載せさせて頂きたいと思います。
(問)やはり協会会員の方よりメディア毎の申請というのはどうですか。
(外務大臣)メディア毎ですと、これはどうやって調べるのかという問題が発生しますので、事実上全くのフリーということになってしまうと思います。それは、今の段階ではセキュリティの問題とかいろいろ考えますとできないだろうと思っています。
(問)日本インターネット報道協会を選んだ理由はなんでしょうか。
(外務大臣)一定の実績を持った協会だということです。
普天間移設問題
(問)普天間問題について伺います。訪米等を通じて米国高官と普天間問題について意見交換をしたかと思いますが、その結果、大臣は普天間を現行ロードマップ通り辺野古沖に移設するのが良いと考えておられるのか、それとも県内で別の案を考えられるのか、それとも県外或いは国外移設が望ましいと考えられているのか、現時点でどのようにお考えになっていらっしゃるのかを教えて下さい。
(外務大臣)現時点で私の考えは言わないほうが良いと思います。基本的な考え方としては、マニフェストには書きませんでしたがその前の沖縄ビジョンの中では県外・国外と言っております。その根本にあるのは、沖縄への過重な負担、それを減らしたいという思いです。その思いは今も変わっておりません。他方でこの問題は、当然の事ながら日米間で話し合ってきた問題であり、かなり進んできた話です。そういう状況の中で一体どういう道があるのかと、私達の思いと現実と、その間にある溝をどうやって埋めることができるのか、それがこれから我々が取り組まなければならない課題で、基本的に米側とも率直に話をしていきたいと思っています。具体的に今のご質問にお答えするのは時期が早いと思います。
(問)総理は県外・国外移設を目指すという考えを表明されています。北沢(防衛)大臣は県内移設という考えを堅持する意向を示されていますが、内閣不一致のような感じがするのですが、この受け止めは如何でしょうか。また北沢大臣は近く外務大臣、内閣府、総理大臣とともにこの問題について協議したいとおっしゃっているのですが、そういう予定或いは受けられる考えはございますか。
(外務大臣)まず総理が言われた思いは、これは沖縄マニフェストに書かれたことで、思いとしては私も同じ思いです。その背景にある考え方は、沖縄の負担を減らしたいということは、今説明した通りです。北沢大臣は現場を見て、いろんなご感想があったのだと思いますが、皆お互いまだ閣僚に慣れていませんので、率直に言いすぎているところがあるかもしれませんね。総理も交えたというのは、私の判断で、時期が早すぎると思っています。どういう体制で内閣の中でこの問題を取り組んでいくのかということを、官房長官も交えて相談をして早急に決めたいと考えているところです。
(問)早急に決めたいということですが、総理が外遊の中の記者に対する発言で、果たして年内に決めることなのかどうかという、決める時期についてやや慎重な発言をされていたのですが、一方で岡田外相は、予算の関係もあるので年内に片付けなければならないというご発言をされていると思うのですが、どういう結論か、何らかの目途を示す時期について、オバマ大統領の訪日もあるのですが、どういうふうに考えていらっしゃるかということを伺いたい。
(外務大臣)まず総理のご発言は、翌日またご発言になっていて、沖縄の事を考えると急いだ方が良いという趣旨のことを言っておられるので、今ご指摘の発言だけではないということです。私も必ずやると言っているのではなく、思いとして年内、或いはオバマ大統領訪日までに一定の目途をつけたいという私の思いを申し上げた訳で、そこに齟齬はないと思います。
(問)ただ、外相自身もおっしゃっているように予算の問題もありますので、そこは思いとかとは別に一定の結論を出さざるを得ないと思うのですが、そこはどう考えていらっしゃいますか。
(外務大臣)予算は勿論予定が変わればその段階で変えることは出来ますから。しかし、なるべく予算書の中にきちんと書かれていた方が良いことは間違いないと思います。
(問)大臣は普天間飛行場の移設の問題について再検証するという考えを示していますが、これは変更を機に新しい滑走路を造るという公共事業のあり方に疑問があるのではないかというお考えがあって再調査になるのか、もしなんらかの疑問が見つかった場合は計画を白紙に戻すお考えがあるのか、再検証というのはどういう形で誰が行って、いつ発表されるのかをお聞きします。
(外務大臣)再検証という意味はどういうプロセスで今の場所に決まったのかということをきちんと調べたいということです。我々は政権の座にありませんでしたので、決定したプロセスがよく分からない、他にも考え方はいろいろあったと思いますが、なぜそこに落ち着いたのかということをきちんと、当時にどういう議論が行われて、どういうメリット、デメリットの判断があってそこになったのかということを調べてみたいということです。その中で、我々が納得できるものなのか、そうでないのかということを議論しなければいけないと思います。これは米国側に米国の方でも検証してくださいということを申し上げております。
(問)納得できない場合は撤回する可能性もあるということですか。
(外務大臣)あまり仮定の議論はしない方がいいと思います。
来年度予算要求
(問)来年度の予算要求についてです。今日の閣議で総理は概算要求をもう一回作り直して、来月15日に再提出と聞いています。ゼロベースでの見直しということですが、現時点で大臣が考えていらっしゃるこういった部分・分野、或いはこの項目はもっと削れるとか、或いは追加する、増額するという考えはどうでしょうか。
(外務大臣)暫く留守をしていましたので、まだ具体的に予算書に分け入って見るチャンスはないのですが、明日政務三役会議をやりますから、副大臣がそれぞれ精査をして貰っていますのでそれをよく協議した上でお話しをした方がいいと思います。
アフガン支援
(問)関連ですが、概算要求でアフガニスタン・パキスタン支援については現状で400億円を計上している訳ですが、これは来月15日までにある程度予算の話で出すことになるのでしょうか。それとももっと大臣がおっしゃっているように11月の中旬のオバマ米大統領訪日、或いは年内までこの件については検討を続けるのでしょうか。
(外務大臣)これも数字を置くことは幾らでも出来ますが、中身がきちんとしたものになると10月15日は少し厳しいかと思います。その際にとりあえずもう少し大きな数字を置くのか、それとも追加的に12月の三案が決定される段階で急遽入れるのか、それは技術的な話ですので、どちらが良いかよく考えながら進めていきたいと思います。
(問)アフガン支援についておうかがいします。中井国家公安委員長が今日の会見の中で、鳩山総理がオバマ米大統領に対して、アフガンの警察の訓練を考えてみたいということをニューヨークで伝えられたということを仰っていましたが、これは具体的にどういうことを想定されているのか、日本の警察官がアフガンに行って訓練にあたるのか、或いは向こうの方から来ていただくのか、或いは訓練組織にお金を出すという話しなのか、具体的な考えはいかがでしょうか。
(外務大臣)おそらく日米首脳会談での発言だと思いますが、具体的にそのように当時仰ったのか記憶に残っておりません。何れにしても様々なことが考えられますが、具体的な可能性を詰めていくのはこれからになりますので、一つの例として仰ったのだろうと理解しております。今、(警察官の)給与は日本が出している訳ですね。
日露首脳会談(領土問題)
(問)大臣も同席されたと思いますが、ニューヨークでの日露首脳会談で領土問題について、これから外相レベルの話し合いをしていこうということで一致されたと聞いています。実際に11月のAPECの時に次の首脳会談が行われると思いますが、外相レベルの話し合いというのは、いつから、どのくらいの頻度で行われるというのを大臣は想定されていますか。
(外務大臣)外相レベルでというお話しはロシア側から出た話です。APECでというのは日本側から出た話です。弱冠そこの詰めはその場ではされないまま終わっておりますので、APECの時には勿論、首脳会談をするというのは当然だと思いますが、その前に外相レベルの話し合いを持つのか、或いは、もう少しAPECで地ならしをした上でその後から外相会談で詰めていくのかということについては、私はまだ決まっていない状況だと思っております。これから総理とも相談してどういった手順で進めていったらいいのか決めていきたいと思っております。
(問)総理は半年で国民の期待に応えたいと仰っておりますが、大臣はアフガンの問題ですとか、米軍再編とかいろいろお忙しくて交渉の加速が簡単ではないだろうと思いますが、その辺りの兼ね合いはどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)それは総理の意欲を語ったものだと思います。ただ、相手のある話ですので、実際始めてみないとどういう状況か、ということはわかりません。この外相会談でも具体的なことはわからないということでしたので、勿論チャンスがあればそのチャンスを逃さずにという気持ちもありますけれども、果たして、そういう時期なのかどうかという見極めはまだついていないというのが私の率直な思いです。
東アジア共同体
(問)東アジア共同体についてお尋ねします。昨日の日中韓外相会議で大臣の方からお話しをされて、その後大臣はぶら下がりで一定の賛同を得られたという趣旨のことを仰っておられました。今後外務省として、或いは政府として鳩山内閣の掲げる東アジア共同体の具体像を決める、例えば作業チームを作るとかそういったことは考えておられるのでしょうか。
(外務大臣)私(大臣)のブリーフもあったのですが、三外相での会談で東アジア共同体というのは一つのテーマであったことは事実ですが、報道されたようにこの話ばかりしていた訳ではありません。東アジア共同体というのは、将来のビジョンでありまして、会談の場でも申し上げましたし、いろんな場で申し上げているのですが、EUのような形になる、つまり統一通貨を持ち、お互いがある意味でかなり主権を制限するという状況というのは政治体制が異なる中では出来ないとのことで、そういう意味では、すぐにそういったEUのような状況が出来る訳ではないと、今出来ることは東アジア共同体という大きなビジョンを持ちながら、目の前にあることを一つ一つ積み上げていくことだと思っております。東アジア共同体というものがどういうものか具体像を詰めてみても詰め切れないと思いますし、それよりは一つ一つ着実に積み上げていった方が良いと、その先にある将来のビジョンとして捉えておけば良いのだと考えております。
日韓外相会談
(問)これから、柳明桓韓国外交通商部長官との会談が行われますが、ポイントはどこにおかれますか。一方で北朝鮮に関する問題が主題になるかと思いますが、米朝協議を巡って少しずつ期が熟して来ているのではないかという分析もありますが、米朝協議に向けた現状、近い遠いどのように分析されていらっしゃますか。
(外務大臣)先ず、柳明桓韓国外交通商部長官とは、会談では北朝鮮の問題を中心に議論してみたいと思います。そして、米朝協議は何らかの動きがあるのではないかと思いますけれども、その辺りも韓国側の見方も含めて意見交換したいと思います。何れにしても、六者協議の枠内でということを米国は言っておりますので、その点については米朝で話し合うということは我々は全体の六者での協議が進む、これに資するものであると認識しております。
(問)会談の中では、天皇陛下の韓国ご訪問ですとか、永住外国人の地方選挙権の付与問題についても議題になるかもしれないのですが、このようなことについて、どのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)会談の前にこういうことを言って良いのかということもありますし、天皇陛下のご訪韓の話しは具体的に今出ている訳ではありませんので、ここで先走ってお答えするのは如何なものかと思います。外国人参選権の問題も現状について率直にお話しておきたいと思います。
核軍縮
(問)今回の訪米で核軍縮というのが一つの大きなテーマですけれども、日本は核軍縮を主導的に導いていく立場だと思うのですが、一方で米国の拡大抑止力、核の傘の下に入っているという現実もありまして、核で守られている国が核をなくせという、長期的には矛盾はないのかもしれませんが、短中期的には矛盾があるといった見方もあります。その点について日本として短中期的にどのように核軍縮と核の傘の関係を考えているのでしょうか。
(外務大臣)ここはよく議論しなければいけないと思っております。外務省の事務方とも議論を始めておりますけれども、私のかつての持論は核の非保有国に対する核の行使は認められないというふうにすべきではないとか或いは先制不使用とかいうことを外務大臣になる前に私の考え方として申し上げておりました。それに対する異論もある訳で、よく議論として省の中で、その上で今のお答えを申し上げたいと思います。
民主党職員及び政策秘書の8月の米国訪問
(問)既に一部でも報道されておりますけれども、衆議院解散後に大臣の衆議院議員としての政策秘書と民主党の政策事務局の職員が8月に訪米されたと思います。これは民主党幹事長としてどのような狙いで派遣をされたのか、それから、私としては大臣が就任直後に「密約」に対する大臣命令を出されたのは非常に素早かったと、この時ワシントンにある大使館のファイル数もある程度大臣が把握なさっていたようですけれども、この辺りは何か8月のミッションと関係があるのでしょうか。
(外務大臣)結論から申し上げますと関係ありません。選挙中に党の職員と私の政策秘書が米国に行ったのは事実です。これは、米国政府の方からの非公式に意見交換したいという申し出がありました。今だから言えることですけれども、政権交代を受けるのを見越してそういう話しだったと思います。こういう事で党の職員を派遣することにした訳ですが、そのサポートとして私(大臣)の政策秘書をつけたということです。
(問)鳩山代表の正式な名代として行かれたのでしょうか。
(外務大臣)勿論、そうです。
(問)もし差し支えなければ、例えば先方の最高位で会われたのは カート・キャンベルさんでしょうか。
(外務大臣)それは申し上げない方がいいと思います。
日米関係
(問)大臣は日米交渉がインド洋でのパッケージだと仰っているのですが、それはどういう意味か、パッケージという意味を説明して頂きたいというのが一点と、そのパッケージというのは勝手に日本側が思っているのか、それとも日米の間でパッケージで協議するという共通の認識が出来ているのか、この点について教えて下さい。
(外務大臣)日米間でそういうことはありません。パッケージという言葉が適切かどうかは分かりません。前々から言っておりますように、例えばアフガニスタン、或いはパキスタンに対する支援の問題とインド洋の問題は別の問題です。こちらをやるから、あちらをやらないというそういう関係には基本的にないと考えています。しかし、日米関係ということで見ると沖縄の基地問題、米軍再編も含めて様々な問題全体を、これは交渉ですから、交渉と言う言葉を使ってはいけないとキャンベル米国務次官補は言うのですが、話し合いですから全体でお互いに納得できたら話し合いになると、一つ一つの問題で合意することにあたって全体のその他についても当然その背景にはあると、そういうのをパッケージと申しています。
(問)パッケージ論で国民新党の下地さんが全く違った見解をされていまして、アフガンでこれをやるから、沖縄はこうだと、そういう全体でリンクしているのだという言い方をしているのですが、それと認識は違うのでしょうか。
(外務大臣)基本的には別々の話です。しかし同じ日米関係でやっている訳ですから、全体の姿というのは見ながらやっていかなければいけないということだと思います。あるところではギブ、あるところではテイクということになったとしても、全体で整合性がとれていれば話は纏まる可能性がある。
(問)気になっているのは、アフガン交渉とインド洋の交渉は沖縄交渉より優位な立場にあるのではないかというニュアンスを感じられたことです。このアフガンを優先するということの中で沖縄の方の交渉が後退してしまう危険性を感じたものですから。
(外務大臣)それは逆ですね。
(問)大臣は先程、沖縄の負担軽減という話しを仰いましたけれども、普天間の移設というものは、嘉手納以南の米軍施設の返還だとか、もしくはグアムへの海兵隊の移設といった負担軽減の部分もパッケージになっています。その辺りの整合性についてどのようにこれから交渉・協議をされていくおつもりでしょうか。
(外務大臣)整合性とはどういうことですか。
(問)つまり、沖縄の負担軽減というところが、普天間のパッケージになっている訳ですよね。普天間の県外移設を拒否した場合はグアムだとか米軍施設の返還というところに影響が出てくるかと思うのですが。
(外務大臣)影響が出ないようにするのが交渉だと思います。
地球温暖化問題
(問)地球温暖化についてお伺いします。明日に温暖化問題に関する閣僚委員会が官邸で開かれるとのことですが、どのような話し合いがもたれるのかというのが一点と国民に現在示されている削減モデルというのは前政権で作られた2005年比15%削減というのをベースにしたモデルだと思いますが、COP15の交渉が12月に控えていることも見据えた上で、国内との整合性をどう取るのかをお伺いしたのですが。
(外務大臣)基本的には明日はニューヨークにおける鳩山演説をベースに話をするという連絡が来ているわけですが、前回の関係閣僚会議の際に私の方から、もう一度きちんと前提条件を変えて計算をし直すべきだということを言ってあります。例えば、温暖化が進んだときのマイナスの影響というのは全く盛り込まれていない計算です。それから、いろいろな前提をおいて計算しているわけですが、その前提が果たして正しいかということについて、個人的にも大いなる疑問を持っています。ですから、もう一回そういうことを場を変えて、内閣の中に議論する場を作って、そして検討し直すべきだという問題提起を前回してありますので、そのことに対する一定の答えというのが出てくるのではないかと期待しています。これは急がないと間に合いませんので、是非それを着手してもらいたいと考えています。
天下りの見直し
(問)鳩山政権による天下り見直しの動きが進んでいる関連でお伺いしますが、現在、大使ポストは外務省のOBでほとんど占められている訳ですが、民間や外務省以外の役所の方に開放していく考えがあるのかと、外務省不祥事を受けて、平成14年にまとめられた「外務省を変える会」報告書では外務事務次官は最終ポストであって、それ以降の大使転出は認めないとあるのですが、その方針は踏襲されるのでしょうか。
(外務大臣)「外務省を変える会」の報告書の位置づけがよく分かりませんので、それをそのまま全部受け入れてやるという性格のものだったのか、提言だったのかというのは分かりませんので、お答えできません。恐らく事務次官がその後に大使をしないということであれば、どこかできちんと決定しなければならないと思いますが、そういう決定はないのだろうと私は思っています。それから、大使ポストを天下りと同列に論じることはいかがなものかと私は思うわけですが、いまでも他省庁や民間の登用も少ないながらもあります。今後も必要に応じて、そういったことを考えていけばいいと考えています。
日メコン外相会議
(問)今週末に行われる日メコン外相会議についての意気込みとその場でも東アジア共同体のビジョンについて話されるのかをお伺いします。
(外務大臣)東アジア共同体という考え方は説明したいと思います。そして、一つひとつ実績をあげていくと申し上げましたが、メコンにおけるインフラの整備とかはそういったことは重要なステップであると考えています。
「密約」問題に関する調査
(問)密約の検証ですが、どのような状況になっているのかと今後はどういうような展開になっていくのかについて材料があればお聞かせください。
(外務大臣)11月末までに調べるということになっていますので、これから行われていく調査、必要に応じて中間報告を受けながら、とにかく調査をしっかり進めていくということだと思います。チームのスタート時に私(大臣)はおりませんでしたので、明日には少しチームに私の考え方を改めて伝えたいと思っています。そして、後で新たなことが出てこないようにきちんと調べる、徹底的に調べるということをお願いしたいと思います。
(問)密約調査の関連でお伺いします。現状の非核三原則について「持たず」「作らず」というのは非常にわかりやすいのですが、「持ち込ませず」ということについて外務省の英訳を見るときちんと「introduction/配備はしない」ということですが、外相の認識では日本の国是である非核三原則の「持ち込ませず」というのは、「entry/通過」「transit/寄港」もないことを含んだ上で「持ち込ませず」ということなのでしょうか。
(外務大臣)そのところについて、従来の国会における政府の答弁と伝えられる米国側の一部公開された資料との間に矛盾があるということです。その矛盾が本当にあるのかどうかということを検証するのが11月末までですから、その先のことは今は予断をもって言うつもりはありません。