外務大臣会見記録(平成21年10月6日)
外務大臣会見記録(平成21年10月6日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)大臣の中国訪問
(2)政務三役会議
○温家宝首相の訪朝
○インド洋における補給支援活動
○日米局長級協議
○日中韓首脳会議
○「密約」問題に関する調査
○来年度予算・補正予算の見直し
○英語力
冒頭発言
(1)大臣の中国訪問
(外務大臣)私(大臣)の中国訪問についてですが、10月10日に日中韓首脳会議が北京で行われます。勿論鳩山総理がご出席でありますが、私も同席をさせて頂くということで、出席する予定にしております。さらに、その前にこの機会に中国要人の若干名の方と会談をする予定にしておりますので、私自身は9日に訪中と考えております。
(2)政務三役会議
(外務大臣)政務三役会議の中身につきまして、簡単にご報告したいと思います。大きく分けて三点あります。一つは先般問題になりました、閣議に大臣が出席できない場合の対応について。この点は本日の閣議、或いは閣僚懇談会で話題になった訳ではありませんが、先般松井副長官の方から連絡がありまして、官房長官からということであったのですが、なかなか閣議、或いは懇談会の場に代理の者が出席するということは今迄もあまり例がなく難しい。具体的な議題がある時に出席することは可能であるが、そうでない時に一般的に出席するのは難しいということでありましたので、ご提案として当面、官房長官が私の代理を務めるということでありますので、その官房長官の意を受けて副長官が私に報告をするということで当面やってみようということで合意をしたところです。
それから、(第二点目は)外務省政策会議につきまして、明日に第1回と第2回を開催するということにいたしました。第1回は全般的な話でありますので、私も出席をして議員の皆様にいろいろ報告をしたいと考えております。第2回については予算の話の中心になりますので、これは副大臣以下で対応をしたいと考えております。
第三点ですが、来年度予算の概算要求の大枠について議論しました。当初予算と補正予算の関係とかです。ご案内のように外務省はかなり補正で計上するケースが多い訳ですけれども、そのようなものをどうすべきなのか。結論的に言えば、補正というのは組まれるかどうか分かりませんから、当初予算の中で従来補正で計上していったようなものを含めて要求に入れていくべきだろうというような方向になりました。そうするとかなり、当初予算ベースでは昨年と比べて膨れあがってしまいますので、その辺りをどうするかという問題もある訳ですが、分かりやすくという意味では当初予算に必要なものは計上していくという考え方でやろういうことに致しました。後は、国民に分かりやすいコスト削減の具体例等というものも入れていくべきではないかということも確認されました。
今夕刻、政務三役会議を引き続き行いまして、来年度予算についての詰めの作業をする予定です。
温家宝首相訪朝
(問)中国の温家宝首相が訪朝されて、北朝鮮の金正日総書記と会談をしました。その中で金正日総書記の方から、米朝協議の行方を見ながらという前提付きでありますが、六者協議を含めた多国間協議への復帰を考えるという発言がありました。これについてどのように分析されていますでしょうか。
(外務大臣)今迄、(北朝鮮は)六者協議に対して明らかに否定的な見解を述べていた中で、六者協議という言葉が明示されたことは歓迎すべきことだと思います。米朝協議が先行しますが、あくまでも六者協議の枠の中でということでありますので、早い機会に六者協議を開くことができるようになることを期待したいと思います。
(問)米朝協議の関連ですが、大臣も出席される北京での日中韓で当然日本側として詳細な報告をお聞かせ頂くということになるのでしょうか。また、その中での北朝鮮問題については、どのような話し合いをすべきだと考えていらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)情報としては、中国側からも事前によく中身を聞くということは当然あると思います。それを踏まえて日中韓の首脳会談、或いはバイの会談も行うことになると思います。しかも、温家宝首相は当事者ですから、かなり詳細な説明、そしてそれに基づいた今後についての議論を当然行うことになります。
(問)六者協議については、従来薮中事務次官が核兵器の廃棄に向けた取り組みを後戻りさせない、新しいアプローチが必要であるという考え方を述べておられました。これについては、中曽根前大臣も同様の見解を示されておられましたが、岡田大臣は六者協議の進め方の見直しについてどのように考えでしょうか。
(外務大臣)見直しというよりも、一つは中身の話だと理解をしますが、前提となる米朝協議がどのような展開になるかというのを見ないと現時点では何らかの具体的なことは言えないと思います。私としてはいろんな場で申し上げていますが、今まさしく北朝鮮の核が既成事実化するかどうかという大きな局面にあるので、非常にここは六者協議を通じて核の放棄というものを迫る大事な局面であると思っております。
(問)温家宝首相の訪朝に関して今回の成果をどのように評価され、そして中国に更に期待する具体的なことがあれば教えて下さい。
(外務大臣)温家宝首相が行かれて、米朝協議を前提に六者協議という具体的なことに金正日主席が言及されたことは、温家宝首相の訪朝がそれだけ意義があったということだと思います。それ以上のことは具体的に話を聞いた上で(考えることですので)、今返事をするのは早いかと思います。それ以上の情報は我々も持っていません。
(問)米朝協議ですが、常に「六者の枠の中で」と仰られていますが、これは具体的には米朝協議が行われた後、速やかに六者が行われる必要があるとか、どういった意味で「六者の枠内で」という言葉を使われているのでしょうか。
(外務大臣)米朝で話したとしても、基本的に重要なことは六者の中で決めるということです。六者は当事者ですから。
(問)朝鮮中央通信、あくまで朝鮮側報道ベースの話ですが、金正日の発言は、必ずしも六者協議を完全に前提とした上で米朝協議に応じるというニュアンスではなく、あくまでも多国間協議に前向きな姿勢を示したと。その一つに六者協議も含まれると。このように伝えたと理解しているのですが、ということは、六者協議というのはあくまでも一つの選択肢であって、それ以外の多国間協議も有り得ると文脈上は読めるのですが、日本政府として六カ国協議以外の枠組み、例えば米中朝であるとか、それ以外の枠組みで議論されることについて、どのように考えられますか。
(外務大臣)北朝鮮の報道は、いろんな国内的な配慮もあってなされているものですから、それを前提に議論しないほうがいいと思います。
(問)先程の「六者の枠内で」という話ですが、六者協議が再開されるまでに米朝が複数回に渡って協議するという展開も有り得ると思うのですが、日本政府としてはどこまでが許容範囲かと。
(外務大臣)大事なことは、米国との間に緊密な連携が行われ、その状況を日本政府がきちんと把握出来るということが大事だと思います。必要に応じてその間、米国に対しても米朝協議の進め方についても意見を言うこともあるかもしれません。
(問)中国政府から今の時点で公式・非公式で、温家宝首相の訪朝についての連絡は、ないということで宜しいでしょうか。
(外務大臣)通常は中国に、まず国内に報告した上で、必要に応じて日本に対しても何らかの説明があるものだと考えています。
(問)多国間協議ということですが、大臣の理解としては、それはすなわち六者協議の事を指していると読むのが正しいという見解なのでしょうか。
(外務大臣)「六者協議」という単語が出たというように聞いています。
(問)北京で中国の要人とお会いになるというお話でしたが、楊潔?外相は勿論ですが、戴秉国国務委員とか或いは李克強副首相との会談も調整されているのでしょうか。
(外務大臣)現時点では、まだ何も決まっておりません。
インド洋における補給支援活動
(問)インド洋の給油について防衛省の長島政務官が国会での事前承認をつけた上での延長もあるのではないかという考えを示していますが、それに対する(大臣の)お考えはどうでしょうか。
(外務大臣)私は、単純延長はないと言っています。
(問)単純延長はないという意味は、大臣はいろんな選択肢をポケットに入れておきたいという表現をされていたと思いますが、長島政務官の仰る事前承認もつけた上での延長も一つの選択肢としては有り得るということでしょうか。
(外務大臣)単純延長はありません。
(問)北沢防衛相が延長という選択肢は有り得ないと明言されていますが、政府のメッセージとしていろんなメッセージが出ていますが、これについてはどのようにお考えですか。
(外務大臣)政府のメッセージは、単純延長はないというものです。
(問)防衛省は、大臣としては延長はないと言いましたが。
(外務大臣)それは、現場に対して説明を聞かれて率直な感想を述べられたものと聞いています。これは選挙の最中から鳩山代表、そして私、幹事長は、単純延長はないという言い方で表現を統一しているつもりです。
(問)今の話は普天間の話では。現場で見られてという。
(外務大臣)そうかもしれません。
(問)今回は給油の話で、大臣が単純延長はないと政府として仰っているのは分かるのですけれど、政務官も訪米される予定があるように聞いていますが、これから話し合いをされる前の今の段階で、政府の一員たる大臣、或いは政務官が個別具体的な方法について言及されるという自体については、どのようにお考えになりますか。
(外務大臣)基本的には防衛省の中の話なので、北沢大臣と長島政務官との間でよく意見調整されたら如何かと思います。
(問)もう一点、給油の関係でお願いします。今日、連立与党の社民党党首でもある少子化担当相の福島大臣がいろいろ条件をつけても給油を延長することには反対であると仰っているのですが、つまり、与党内、それから閣内でこの問題で、不一致が今生じているのですが、この不一致をどのように解消して行かれるのかお伺いしたい。
(外務大臣)現時点でいろいろな意見がでることは、ある面やむを得ない部分もあると思います。ただ、三党で政策の合意をいたしましたが、その中に給油の話は入っておりません。一般的に書いているだけで、具体的に書いている訳ではありません。
(問)その関連なのですけれども、もうじきゲイツ米国防長官も来られる訳ですけれども、そうしますと閣内や与党内の意見調整というのは、スケジュール感としてはどれくらいでまとめられる予定でしょうか。
(外務大臣)なかなかこれは単独で論じられない話だと私は考えますので、全体の状況を見ながら考えて行くしかないということです。いつまでと切っているわけではありません。
(問)何か閣僚委員会というようなものを作っていくというか、何かそういう場を作るということはないのでしょうか。
(外務大臣)閣僚委員会は作っておりませんけれども、非公式に国土交通大臣、沖縄担当も含めて四者で先日意見交換をしたところです。そういう場で更に意見交換をしていきたいと考えております。
日米局長級協議
(問)梅本北米局長が防衛省の高見沢局長と共に訪米されていて、先方の国務・国防のカウンターパートとお会いになっていると思いますけれども、その訪米の目的、話し合いの内容というのはどういったことでしょうか。
(外務大臣)もちろん定期的に米側関係者と協議するということは従来からやってきたことであります。そのことに加えて今回、ここでもお話をしましたように過去の検証を行うということで、日米共になっておりますので、そういったことも含めて議論をしているものだと思っております。まだ、報告は聞いておりません。
日中韓首脳会議
(問)日中韓首脳会議についてお伺いします。具体的にどういったことがテーマになり、どのような会議にしていくべきだと大臣はお考えですか。それと当然、日中のバイ会談があると思いますが、これに対する抱負も合わせて聞かせてください。
(外務大臣)日中韓の首脳会議は、この前の外相会議を踏まえて行われるものですけれども、三国間の協力の進捗状況を上げてこれからの展望、併せて北朝鮮を含む地域状況についての意見交換が行われると考えております。それぞれのバイの会談については、まだ具体的に決めておりませんが、よりそういったことについて日中間、或いは日韓間で突っ込んだ意見交換が行われることになると思います。
「密約」問題に関する調査
(問)密約問題について、スクリーニングを今皆さん必死にやっていると思うのですけれども、中間報告というような形で報告を受けられる、それを国民に公表するということはあり得るのでしょうか。
(外務大臣)中間報告は受けるつもりでおりますけれども、結果を一般に明らかにするのは、一応結論が全部出揃った後でと思っております。
(問)関連ですけれども、密約問題については国会の方でもいろいろと取り上げれると思いますけれども、先日の政府答弁書ですと、調査中でそれを踏まえてというようなお答えでしたけれども、国会の方にはどのように事件の調査についてご説明されるおつもりでしょうか。
(外務大臣)現時点ではそれ以上説明できません。
(問)就任会見の時、密約調査命令をされたときに、現状の情報公開は不十分ではないかということで、新しいルールや運用について有識者に提言してもらうということを考えたいと仰られていますが、それについては具体的に着手されているのか。それとスケジュール感としては、どのような感じでしょうか。
(外務大臣)あの時に申し上げたかと思いますが、多少遅れる感じで、そういう有識者会議を立ち上げようと考えております。11月になってからだと思っています。そこではまず、現にある外交上の密約の問題について取り扱ってもらおうと思っておりますので、そういうものがひと通り終わった上で情報公開についてのルールの見直しと思っております。少し先になります。
来年度予算・補正予算の見直し
(問)補正予算の見直しについて、今日が一次の取りまとめということになっておりますが、外務省の分については、当初からどの程度の見直しがあるのか、そのあたりを具体的にどうなっていますでしょうか。
(外務大臣)これはまだ言っちゃいけないことになっていますので、総理に仙谷大臣の方から報告をされた後にお話ができることになると思います。
(問)改めて会見のような形でのお話を伺えるのでしょうか。
(外務大臣)まだそこまでは考えておりません。これは外務省として出した数字にすぎないわけで、そこから更に今後、査定というのでしょうか、深掘りがある可能性があるということです。まだ、途中の段階です。
(問)何らかの形で途中の段階で最初ここまで外務省としては出したということを教えていただけますでしょうか。
(外務大臣)必要に応じて副大臣がぶら下がりか何かで対応することになるかと思います。
英語力
(問)柔らかい話題ですけれども、英語力についてお話をお伺いしたいのですが、9月28日に更新されたブログの中で、日米首脳会談等のページの中で、もう少し英語力をつけなければいけないとお話になっているのですが、外相は英国留学もされていて英語が堪能ではないかと思われますが、どのようなところでそのようなことをお感じになられたかという点と、今実際に英語力をつけるために実践されていることはあるのでしょうか。
(外務大臣)忙しくてあんまりできないのですが、なるべくテープは聞くように心がけようと思っております。英語力の必要性を感じたのは、会議では私は通訳を使うべきだと思いますが、日米豪が終わった後、クリントン米国務長官とスミス豪外相が二人で立ち話をしていたので、私も行ったのですけれども、そういうときに会話にもっとうまく入れるといいなと思いました。