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2009.10.23|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年10月23日)

外務大臣会見記録(平成21年10月23日(金曜日)17時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)閣僚の資産公開
(2)政務三役会議
(3)核不拡散・核軍縮に関する国際委員会
○米軍再編問題
○PKO五原則の見直し
○天皇陛下のお言葉
○閣僚の資産公開
○日米関係
○対北朝鮮政策
○外国人参政権

冒頭発言
(1)閣僚の資産公開

(外務大臣)私(大臣)からは三点申し上げます。第一点は、今日、国務大臣の資産公開を家族も含めてさせていただきました。この点につきましては、ご質問があれば後程お答えしたいと思います。

(2)政務三役会議

(外務大臣)それから第二に、政務三役会議についての報告です。私(大臣)の方から、閣議、緊急雇用対策会議の報告をいたしました。それから、武正副大臣の方から、前回も私が申し上げたと思いますが、在勤手当の精査について、在外公館課、会計課、人事課の3課からなるプロジェクトチームを立ち上げ、武正副大臣と吉良政務官が中心となって作業をするということの報告がありました。そして吉良政務官から外務省所管公益法人の精査についても報告があり、所管する241法人について、補助金支出の契約関係にある36法人を中心に、11月半ばを目途に作業をするとの報告がありました。なお、内閣官房専門調査員、つまり民主党の元政調職員ですが、1名が外務省担当ということで机をおくことになりました。

(3)核不拡散・核軍縮に関する国際委員会

(外務大臣)それから、三点目ですが、今朝、川口参議院議員とともに、総理をお訪ねをして、そして川口さんとオーストラリアのエバンズさんとが中心となって検討してまいりました、いわゆる川口・エバンズ委員会の最終報告書について総理に御説明を、川口さんからしていただきました。中身は川口さん自身が記者会見でお話になっていますので、皆さんもよくご存じのことだとは思いますが、私(大臣)はこの中で、特に2025年に向けて、核保有国の核弾頭総数を2000以下に削減すること、そして2025年に向けて、核の先制不使用のコミットメントを検証可能な形でそれぞれの核保有国が行うことを決めたことは、非常に評価できると思います。そして前の段階として、短期的行動計画、2012年までの中では、核兵器の目的を核兵器使用の抑止のみに限定する宣言をすべての当該国に要請すること、そして、NPT非核兵器保有国に対する消極的安全保障の供与。つまりNPT非核兵器保有国に対しては核を使用しないということを、核保有国が約束をする。ここでは安保理決議によって法的拘束力を付与すると書いてある訳ですが、これは具体的な核廃絶に向けた手順をかなり明確に書いたもので、私は評価できると思っています。もちろん、これは政府ではなくて、第三者委員会で、ある意味で政府よりも二歩三歩先を行くものでありますから、こういった報告書を踏まえて、政府としてどういった政策をとっていくかということはこれからよく議論をしていきたいと思っております。

米軍再編問題
(毎日新聞 須藤記者)改めて確認の意味でお尋ねしたい。普天間の件ですが、大臣ご自身は年内の結論が望ましいと発言されていまして、北沢防衛相もできれば年内に結論を出すことを目指したいと仰られています。一方、総理は、来年の1月の名護市長選等を例示しながら、必ずしも年内ということは明言されていません。内閣不一致という訳ではないですが、総理、外相及び防衛省の違いを米国や国内に対して、時期の問題ではあるのですが、そもそも違いがあるのないのか、そのあたりの説明をして頂きたいのですが。

(外務大臣)違いがあるとは思っておりませんが、いろいろ聞かれるとそういう答えをしている中で、表現が違う場合が出てくるのかもしれません。いずれにしてもこの問題は北沢大臣と外務大臣である私が一義的には責任を負いますから、二人でよく意思疎通をしながらしっかりと対応して行きたいと考えております。

(共同通信 斉藤記者)先程、鳩山総理のぶら下がりがありまして、その場で、鳩山総理は時間的な問題はあるが、だからと言って、オバマ大統領の11月の訪日にどうしても間に合わせるという考え方は持っていないという趣旨の発言を繰り返し繰り返し、強調されています。この点について岡田大臣は支持されるか、或いは違う考えがあるか説明して頂きたいと思います。

(外務大臣)私(大臣)は、総理の発言に何か支持するとかしないとかいう性格のものではないと思います。ただ、オバマ大統領の訪日が11月であり、時間が余りありません。沖縄県民の皆さんにある程度、納得頂くような答えを見つけていくとすれば、常識的に考えて、オバマ大統領訪日時に「これでいきます」という答えがあるというのは、私(大臣))は少し理解に苦しみます。民主主義国家である以上、私(大臣)は、当然のことだと思います。

(共同通信 西野記者)予算編成の時期が念頭にあるというのは、大臣もずっとこの間、指摘されてきたと思います。予算編成の時期までに一定の最終的な方向性を見つけたいという考え方に変わりはないでしょうか。

(外務大臣)一義的な責任を負う立場の私(大臣)としては、できるだけそうしたいと思っています。

(時事通信 水島記者)ゲイツ長官の訪日を受けて、米国のメディアで日米関係を懸念する論調が非常に強まっていると思うのですが、外交を所管される大臣として、こういう状況をどのように受け止めていらっしゃいますか。

(外務大臣)いろいろな意見があるのは当然ですが、そのうちどれを取り上げるかということでもあると思います。私(大臣)もこの間、ルース大使ともお話をしましたし、それから先ほどマレン統合参謀本部議長ともお話を致しましたけれども、それぞれじっくりお話をする中で(日米関係について)何か意見の齟齬があるとか、重大な問題があるというふうには認識しておりません。私(大臣)が申し上げておりますのは、我々は長年野党として、普天間の問題については反対をしてきたと、そして、我々は選挙で国民に支持されて政権を担うようになった。したがって、その国民が、特に沖縄の皆さんが、ある程度納得できるような状況を作り出すということは、我々にとって責任であるということを申し上げている訳で、何かそのことが米側に理解されていないとか、そういうことは私(大臣)はないと考えております。あまり過剰反応する必要はないと思っています。

(TBS 樋口記者)今週、ゲイツ長官が来日した際に、現在の合意案が唯一の今実行可能な案であるということと同時に、早期に決断するように求めてきた訳です。一方で大臣は今しがたも、そして、その後のTV出演等でも合意があるのはお分かりになっているけれども、選挙があった訳で、合意があるからすぐ決めて下さいというのはなかなか難しいというふうに反論されています。民主党はずっと「対等な日米関係」ということを訴えてこられましたが、これがその考えに沿ったものなのかどうか、その関係をご説明下さい。

(外務大臣)その考え方に沿ったものかどうかということは、「対等な日米関係」をどう定義するかという問題ですから、私(大臣)はそういうご質問にはお答えしません。但し、お互いに民主主義国家として、政権が変われば、政策が変わるということは当然ある訳だし、そして、ある意味で考え方の継続性ということも、ある意味では当然のことですから、現時点で前政権で合意していることだから、そのまま全部受け入れるというところに無理があるということは、米側も十分分かっていると思います。だから、お互い検証しようということになっている訳です。私(大臣)は当然のことだと思っております。

(琉球新報 仲井間記者)昨日、大臣が出演されたテレビ番組で「辺野古に代わる移転先について、これから移転先を探すことはあり得ない。これまで日米間で検討されてきたいくつかのプランの中で辺野古に代わるものはないかというアプローチだ。」という発言されています。大臣の認識を伺いたいのですが、日米間でこれまで検討されてきたプランには、沖縄県以外、つまり、県外または海外の移転先も含まれているとのご認識でしょうか。

(外務大臣)色々な検討はされたと思いますが、私(大臣)の知る限り、それは沖縄の中の問題です。ですから今、普天間の現状を考えて、あまり時間をかけるわけにはいかないと私(大臣)は思います。時間をかければかけるほど、普天間における危険は持続する訳です。そういうことを考えると、私(大臣)は、事実上、県外というのは選択肢として考えられない状況であると思っています。

(琉球新報 仲井間記者)確認ですが、普天間の移設問題については、辺野古、または沖縄県内の他の場所での解決策を今後模索していくということでしょうか。

(外務大臣)これは内閣の見解ではありません。私(大臣)としてはそう思っています。

(AFP通信社 伊藤記者)先ほど表敬を受けられたマレン米統合参謀本部議長ですけれども、先方からどのようなメッセージがあり、大臣からはどのようにお答えになったのか少しご紹介いただけませんでしょうか。

(外務大臣)会談の中身、特に相手に発言については、私(大臣)は言わないことにしております。ざくっと申し上げますと、日米同盟の重要さということをお互い確認し合い、そういう中で現下の問題をお互いの信頼関係に基づいて、しっかりと乗り越えていく必要があると。そういう中で、普天間の問題も出ましたし、インド洋の問題も少し出ました。後は核の問題、密約の問題、先制不使用に関わる問題、そしてアフガニスタン・パキスタン(の問題)。私(大臣)の方からそれに加えて、イラクの状況なども話題にさせて頂きました。会談としては、かなり弾んだ会談だったと思います。

(産経新聞 笠原記者)普天間の話をもう一度確認したいのですが、県外という選択肢はなかなか難しいというようなお話なのですが、今後政府間の調整にあたって、外務省及び外務大臣として、官邸及び防衛大臣等とそういう見解で調整に入りたいというお考えなのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)自身はまず仰られた認識でおりますし、なるべくそういう認識を共有化したいと思っています。

(読売新聞 中山記者)外務大臣は、嘉手納統合案については、どのように評価されていますでしょうか。

(外務大臣)これは一つの案だと思います。より詳細を詰めなければいけませんが、時間的に早いという意味では、現在のキャンプ・シュワブ沖よりも、早い可能性もあります。そいういう意味で一つの案だと思いますが、ただ、米側からは、難しいということも聞いておりますので、より詳細にそういう説明も聞いていきたいと考えております。

(読売新聞 中山記者)時間的に早いというのは、実現する時間が早いということでしょうか。

(外務大臣)既存の滑走路がある訳ですから、そういう意味では一から造るというものではありません。そういう意味では時間的には余りかからないというメリットはあると思います。

(朝日新聞 鵜飼記者)普天間の関連ですが、現在の辺野古の案には問題があるというふうに依然として大臣はお考えになっているのでしょうか。例えば、米国の国防総省の高官が沖合への50メートル程度の移動であれば認めるということも仰っていますけれども、これも選択肢の一つというように考えていらっしゃるのでしょうか。

(外務大臣)どれがダメかということを頭から決めるつもりはありません。ただ、さまざまな問題がキャンプ・シュワブ沖、たとえ50メートル程度ずらしたとしても、ある意味では埋め立てのボリュームが更に大きくなる可能性がある訳ですから、メリット・デメリットがあるのだろうと思います。その中で何が一番良いのかということを考えていかなければいけない。嘉手納統合案の問題は米国側の指摘は、とにかくあまりにも忙しくなりすぎると、つまり、既存の空軍機とヘリコプター、特に有事の際に対応できないのではないかというご指摘もあります。その辺も検証する必要があります。それから、地元の市長、町長が反対してるという問題もあります。どれが絶対良いとか悪いという状態ではなくて、よりどちらがマシかという判断だと思います。放置しておけば、現在の普天間の状況は続きますので、そのような意味では、私(大臣)はあまり時間をかけるべきではないと思っています。

(西日本新聞 齋田記者)県内での移設という話になりますと、当然連立を組む社民党との関係が出てくるかと思いますが、その辺りの対応というのはどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)そのようなことも含めて、まだこの案だと決めた訳ではありませんけれど、連立与党ともよく相談していかなければいけません。ただ、県外ということになると、現在の普天間の固定化に繋がりかねないという問題もあるということは事実だと思います。そういうことも踏まえて考えていかなければいけないと思います。

(NHK 祢津記者)普天間の件で二点お伺いしたいのですが、先ほど大臣が仰られた県外への移設が難しいというお考えは、既に何らかの形で米国側にお伝えしているのでしょうか。もう一つは、一部報道で米国訪問することをご検討されているというのがありましたが、これについてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

(外務大臣)既に伝えているかは別にして、ここで言ってしまえば伝わります。ですから、時間の問題だということです。時間をかけるべきではないことは、繰り返し米国側、ゲイツ長官にも言いましたし、ルース駐日大使にもマレン統合参謀本部議長にも申し上げました。米国に行くという話は、何かそういう報道があったようですが、今そういうことを考えている訳ではありません。国会も開会中ですから、なかなかそういう隙間を見つけることは難しいというのが現状です。

(ブルームバーグ 廣川記者)昨日のテレビに出演した際に、ゲイツ長官について、「ゲイツ長官は強く言うことが役割だ」という発言をされているんですが、これは米国政府内でゲイツ長官は強硬論を言うけれども、実は妥協する余地があるというようなメッセージを米国政府から得ているのか、そういった根拠があるのでしょうか。

(外務大臣)具体的にそういうことがあるわけではありません。米国が、日米が合意した案をそれをそのままやるように言ってそれで終わるような日米関係ではないと思いますので、やはりそこに何らかのネゴシエーション(協議)があるということは当然だと思います。

(読売新聞 中山記者)普天間問題ですが、県外が難しいということになりますと従来の民主党の主張と、例えば「沖縄ビジョン2008」との整合性が問われることになると思いますが、この方針転換をするにあたって、どうして方針転換をするのか説明責任が問われると思いますが、どのような判断があったのでしょうか。

(外務大臣)沖縄ビジョンでは確かに「県外・国外」と書きました。しかし、マニフェストにはこの表現は使っておりません。勿論、使っていないから、それを否定したのかというとそういうことではありません。しかし、表現が変わっているということは、それなりの方向性も秘められているということであります。できれば、沖縄の負担を減らしたいとの思いでやっている訳ですから、県外というのがベターだと思います。しかし、時間をかけていい問題ではなくて、限られた時間の中で解決していかなくてはならない。そうでない限り、普天間の危険な状況が持続するということを考えた時に、沖縄の負担を減らすという趣旨からいっても、これから一から議論しなくてはならない県外ということではなくて、いままで議論されてきたいくつかのプランというのは全て沖縄に関わるものでありますから、その中で議論していくということが結果的に沖縄の負担を減らすことにつながると、つまり普天間が続かないという意味において、そう思っています。

(朝日新聞 鵜飼記者)先程の大臣のお答えの中で、キャンプ・シュワブ沖と嘉手納の二つに触れられた上で、よりどちらがマシかという判断であると仰いましたが、この二つの案に最終的に絞られてきていると、年内に方向性を出すにはこの二つの内のどちらかだということなのでしょうか。

(外務大臣)そこまではっきりとは言っていません。私(大臣)の頭の中ではこれに近いのですが、それはそれぞれ、いくつかのアイディアをお持ちの方もいらっしゃいますから、それに尽きるものでは必ずしもないと思います。

(琉球新報 仲井間記者)マニフェストには書いていないが、県外・国外(移設)を目指す気持ちは変わらないと大臣に就任されて仰ってきたと思いますが、その言葉に沖縄県民は期待を持っていたのは事実だと思います。今回、県外という選択肢はない状況だと先程仰いましたが、気持ちが変わったのはいつなのでしょうか。そして、なぜなのでしょうか。

(外務大臣)今でも気持ちは変わりません。そして、今まで申し上げてきたことは、大事なことは沖縄の負担を減らすことですと申し上げてきました。沖縄の負担を減らすという観点から見た時、さすがに時間が増えることは負担を減らすことにはならないと考えています。

(琉球新報 仲井間記者)気持ちと政策は別ということで理解してよろしいでしょうか。

(外務大臣)県外・国外という気持ちの根本にあるのは、沖縄の負担を減らしたいということです。現時点で考えられる沖縄の負担を減らす道というのは、県外で一から議論して、何年も何年も普天間の現状を固定することではなくて、今までに検討されたいくつかの案を、私(大臣)は嘉手納への統合だと思っていますが、また他にも意見があるかもしれませんが、その可能性を検討することしか残された道はないと思っています。

PKO五原則の見直し
(日本インターネット新聞 田中記者)大臣が21日にご発言されたPKO五原則の見直し検討ですが、私も紛争地域に取材へ行く機会が多いので、大臣のご提案には賛成です。確かに、米国に頼らず自前の情報を取るには、ある程度自衛隊を出さなければいけないと思います。ですが、社民党との関係、日本国憲法との関係からいくと結構難しいところがあって、その辺りの大臣の中長期的な展望と本気度をお聞かせください。

(外務大臣)憲法の枠内というのは当然のことであります。その中で何ができるかということを検討しなければなりません。勿論その過程で、まだ検討はこれからなので、ある程度まとまってくれば社民党、国民新党の皆さんとも協議をしなければいけないことは当然です。

(日本インターネット新聞 田中記者)PKOの五原則、どれをいじっても憲法と抵触してくるのですが。

(外務大臣)そのように断言できるかどうか、分かりません。

(朝日新聞 五十嵐記者)先程のPKOの関係ですが、日本の参加が少ない理由として、PKO5原則が問題なのではなくて、それ以前に防衛省の対応であるとか、そういうところに問題があるという指摘もあります。実際、スーダンには5原則の範囲内で行けると思いますが、実際には2人しか行っていないという問題もあります。この点について、大臣はPKOが日本から出ていない理由を5原則に問題があると考えているのか、それ以外のところに問題があると考えているのでしょうか。

(外務大臣)率直に言って、双方だと思います。

(朝日新聞 五十嵐記者)双方というと、その5原則以外に、例えばどのようなことでしょうか。

(外務大臣)理由はわかりませんが、どうしてこんなに少ないのだろうと誰しも思うのではないのでしょうか。もっともっと日本は貢献できるはずだと思います。

天皇陛下のお言葉
(朝日新聞 五十嵐記者)今朝の閣議の後の閣僚懇談会の中で大臣が天皇陛下の国会開会式でのお言葉について「天皇陛下の思いがもう少し入った形になるように工夫できないか」と発言をされたということですけれども、この発言の真意についてもう少しご説明いただきたい。あとこの発言に対してですね、例えば参議院の西岡武夫参議院運営委員長は批判をされております。こういった批判についてどのようにお答えになるのかについてお聞かせ下さい。

(外務大臣)批判については、どういう理由で批判されているのか、私(大臣)は承知をしておりませんので、特にコメントは控えたいと思います。朝、申し上げたことと同じですが、天皇陛下の国会開会式にあたってのご挨拶というのは国事行為ではありませんが、それに準ずる行為であります。従って、内閣の助言と承認が必要ということだろうと思います。従って、我々は内閣の一員ですから、助言と承認をする立場にある訳ですが、今までの開会式の挨拶をみると殆ど同じ事が繰り返されている。これはやはり、準国事行為であるということで、あまり政治的にならないようにという配慮が行き過ぎた結果、同じ言葉を繰り返すことになってしまっているのではないかと思います。そしてそれはある意味では内閣の責任です。もっと陛下の思いが伝わるような挨拶が内閣の助言と承認をもとに、本来工夫されるべきではないかと思っております。つまり、我々が責任を負っているわけですから、助言と承認という、そういう中で、同じような挨拶が繰り返されているとすれば、それはある意味での官僚的対応になってしまっていると、私(大臣)は思っています。もう少し自由度があっていいと思っています。

(フリーランス 畠山記者)国会開会式での天皇陛下のお言葉について伺いますが、助言と承認について何か具体的なイメージをお持ちでの発言だったのでしょうか。

(外務大臣)国事行為に準ずることであり、どうしても無難に対応しようという、ある意味での官僚的な発想から、同じ表現が毎年ほぼ続いてしまうことになっているのではないかと。開会式で陛下のご挨拶を聞かせていただいて、あれだけの時間もかけ、わざわざ国会までお出かけ頂いているにもかかわらず、同じ挨拶を毎回のように繰り返しているということは、率直に言って、私は陛下に対して申し訳ないという気持ちがいたします。従って、我々が内閣の一員になった以上、もう少し陛下の思いがでるようなご挨拶をお願いしてもいいのではないかと思っているところです。

(フリーランス 畠山記者)陛下の思いというのは、どのような思いでしょうか。

(外務大臣)普段の陛下や皇后陛下のご挨拶は、非常に国民の気持ちを打つご挨拶をされておられます。もちろん、国事行為に準ずる行為ですから、全く普段のご挨拶と同じではないのですけれども、しかし、「それにしても・・・」という感じが私はしております。毎年毎年の開会式の陛下のご挨拶を比べていただければ、私(大臣)は多くの方がそう思われるのではないかと思います。

(フリーランス 畠山記者)ブラッシュ・アップされてきたから、今の形に落ち着いているというお考えはございませんか。

(外務大臣)同じ挨拶を毎年するということが、本当に陛下の気持ちに沿ったものなのかどうかということを考えるべきだと私(大臣)は思います。一定の限界があることは、もちろん、そうです。

(読売新聞 川崎記者)今の関連でお伺いします。西岡参議院運営委員長が批判されたということなのですが、運営委員長は記者会見で批判について具体的にこう言っています。「陛下の開会式の言葉のスタイル、お言葉自体については、政治的にあれこれ言うことはあってはならないことだ。政治的中立の立場からすれば、陛下のお言葉というのは、政治の側がどうこうあってほしいと言うのは、軽々な話ではない。」そういう意味で批判をされたわけですが、これについての大臣のご意見はいかがでしょうか。

(外務大臣)もちろん、国事行為に準ずる行為ですから、一定の制約があることは事実です。しかし、制約があるということと、同じ言葉を繰り返すこととは、私(大臣)は違うというように思います。具体的にこういうふうに言うべきだと私(大臣)は言ったのではありません。もう少し陛下の気持ちや思いが伝えられるような表現というものを、内閣の助言と承認で工夫できないかということを申し上げている訳です。もちろん、陛下のご意思として、従来と同じような挨拶をお続けになるというのであれば、それは陛下のご判断ですが、それがそうかということも良く分かりませんので、助言と承認という責任が我々にある以上、我々がもう少し考えていいのではないかと考えております。

(毎日新聞 野口記者)関連なのですが、これまで同じような挨拶を続けてきた原因は、宮内庁の役人の方に態様があるのか、それともそれを毎回毎回承認してきた歴代の内閣にあるのか、どちらにあるとお考えでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)はそれを知る立場にありません。

(読売新聞 石川記者)天皇陛下のお言葉の件ですが、準国事行為として内閣の助言と承認が必要なものと仰いましたけれども、天皇陛下のお言葉というのは閣議決定をされているものと聞いているのですが、閣議決定の際に内閣の助言と承認という形で何か変更、若しくは改訂みたいなものを求められるお考えでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)は、今回の国会について言ったのではなくて、(臨時)国会も始まりますから、いつも気になっていたことですので、閣僚懇談会で発言をさせていただいた訳です。出てきたものを閣議の場で助言と承認ということではなくて、やはり、基本的には内閣に出てきたものはそれに対して、余程の事がない限りそのまま承認するということが普通だと思いますが、その前段階として、どのくらい自由度を持ってお言葉を作るかと、そこの心構えの問題だと思います。それが、少し狭くなりすぎてはいないか、あまりにも安全、無難に流れる。そのことが結果的に陛下のご意思と離れてしまっているのではないかと、想像ですが、もしそのようなことがあれば直した方が良いと思っております。

(読売新聞 石川記者)今、逆に想像というお話が出ましたけれども、事前にそういった問題意識を持っているということは、宮内庁の側には何か伝えてらっしゃったのでしょうか。

(外務大臣)宮内庁に問題があるのか、それとも、内閣の側にあるのかもよく分かりませんので、それは私(大臣)が問題提起をさせて頂いて、後は官房長官のところで少しご検討頂ければ良いと思います。

閣僚の資産公開
(朝日新聞 梅沢記者)閣僚の資産公開で二つほどお伺いしたいと思います。できる範囲でお答え下さい。住宅ローンが4586万円公開されておりますが、これは新宿の市ヶ谷にご購入されたマンションに伴う住宅ローンで良いのかが一点目。二点目については、三人のお子様の預金に関することですが、大臣ご自身は預金がなしというふうになっているのですけれども、お子様は三人合わせて4700万円ほど公開されております。お子様は中学生から大学生となっておりまして貯金額が多いかなという気持ちがあるのと、ご自身に預金がなくて、お子様には預金をさせているというところに、何か主義とか、考え方が父親としてあるのであればお話を頂けないかと思います。

(外務大臣)先ず、私自身の預金は、三重県四日市市のマンションを購入したことで、全て無くなりました。そして、東京の自宅を購入する際に住宅ローンを4586万円、もともとは5000万円でしたが、多少返済をいたしまして、こういう数字に、確か12月末でしたか、資産公開の期限に合わせるとこういう数字だということです。子供の預金が多いことは、別に何か立派な考え方に基づくものではなく、これは子供の祖母からの法律の範囲内での贈与であり、その蓄積です。私(大臣)が(贈与)したものではありません。

(朝日新聞 梅沢記者)東京の自宅というのは、マンションとは別にあるのでしょうか。

(外務大臣)マンションです。

(日経新聞 山本記者)閣僚の資産公開について尋ねします。今回公開されたご自身の資産の全般的なご感想と、制度についてどのようなご感想をお持ちなのかお聞かせください。

(外務大臣)資産公開制度は必要だと考えています。ただ、どうしても資産の水準に関心が行きやすい、資産公開制度の意味というのは、そういった公職に就いている間に理由のつかない資産を増やすことをチェックするためにある訳で、そもそも資産の流用がどうかというのは、本来、個人に関わる問題で、それ(水準)のみを強調して多いとか少ないとか、そこに光が当たるのは、私(大臣)はちょっと違和感を感じます。やはり、閣僚になった時に資産を公開して、終わった時にどう変わったかをきちんと検証されるべきだというふうに思っています。

(日経新聞 山本記者)ご自身の資産について公開されましたが、どのように感じますか。

(外務大臣)どうですかね。平均的な議員よりは多いと思います。借金も多いですけど。

(読売新聞 川崎記者)制度的なことについて、例えば、他の閣僚の方は、今回この制度で普通預金が対象になっていないので、結局、普通預金が沢山あっても定期預金がゼロだとゼロとカウントされてしまうと、そういうところに問題点があるのではないかということを具体的に仰っていて、福島瑞穂議員はそういうふうに仰っているのですが、この制度の問題点、改善すべき点があるかについては、大臣はいかがお考えでしょうか。

(外務大臣)資産公開制度は、閣僚のものというよりも議員の資産公開制度もできて時間が経っており、今回、いろいろと資産のあり方も変わってきていますので、もう少し現実にあわせてしっかりと中身を把握できるような、そういうことを考えたら良いのではないかと思います。

日米関係
(共同通信 西野記者)現段階で日米関係のことですが、オバマ大統領の訪日までにあらゆるチャネルを使って、日本側の立場、米国側の考え方をお互いに理解するために情報交換なり、或いは会談することは必要な状況だと考えておられますか。それともゲイツ長官が来られてある程度の線が見えたので、特に必要はないというでしょうか。それから最後に弊社は自信をもって書きましたけど、(11月中旬の大臣の)訪米について一度も検討されたことはない、頭に浮かんだことはないのでしょうか。

(外務大臣)現時点ではそういうものはないと申し上げている訳です。機会があれば、なるべくコミュニケーションをとっていった方が誤解が少ないというのは当然のことだと思います。

(共同通信 西野記者)この会見の段階では(訪米はない)ということですか。

(外務大臣)そうです。

(ロイター シーグ記者)普天間についてですが、今の状況が続けば、オバマ大統領の訪日が失敗に終わって、日米同盟にかなりのダメージを与えるという見方が現在あると思いますが、そうならないようにするには何が大切なのでしょうか。

(外務大臣)そういう見方があるというのは承知しておりませんが、いずれにしても、ニューヨークで培われた鳩山総理とオバマ大統領の信頼関係を更に深めるような訪日になってもらいたいと考えています。

対北朝鮮政策
(朝日新聞 東岡記者)北朝鮮問題について二点お尋ねします。貨物検査特別措置法案ですが、一転して今回の臨時国会に提出するとの方向のようです。ただ、自衛隊の関与をなくす方向のようですが、この点についてどのようにお考えになるのかというの第一点。あとは中井拉致担当大臣が訪韓し、氏の日本への招致を検討しているようですが、この点について大臣としてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)前者の話は、まだ最終的に出すことになったと確認しておりません。法案の中身も協議を受けておりませんので、今の段階でコメントするのは控えたいと思います。実質的に内容は変わらないというように理解しております。
 それから、後者の話は、まだ中井大臣からの話も聞いておりませんので、今、軽々にコメントすることは控えたいと思います。

外国人参政権
(読売新聞 村尾記者)外国人の方に参政権を付与する法案のことですが、公明党が臨時国会への法案提出を検討されているようですが、昨日、政府民主党首脳会議で、公明党が出すなら、政府与党としても対応を決めなければいけないのではないかとのやり取りがあったやに伺っているのですが、大臣は党の議連の会長もなさっているということで、改めてこの法案の提出に対するご見解をお聞きしたい。

(外務大臣)昨日、どういう議論があったか私(大臣)は承知しておりません。議連というのは、私自身が今、大臣になったことによって、恐らく休眠状態になっていると思っています。法案をどうするかは、内閣と党が判断することですので、私(大臣)からあまり感想を申し上げるべきではないと思っています。これはなかなか難しい問題だと思います。




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