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2009.10.27|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年10月27日)

外務大臣会見記録(平成21年10月27日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)EPA・WTO推進本部の設置
(2)政務三役会議
○EPA・WTO推進本部
○核セキュリティ・サミットの開催
○インド洋給油問題
○米軍再編問題
○長井健司氏の遺品に関する報道
○吉野文六元局長の証人尋問
○「密約」問題に関する調査
○天皇陛下のお言葉
○日露次官級協議
○日韓歴史認識
○その他

冒頭発言
(1)EPA・WTO推進本部の設置

(外務大臣)まず、私(大臣)の方から2点です。第1点は、EPA・WTO推進本部を省内に設置をしたというご報告です。経済連携協定WPA交渉、WTOド-ハ・ラウンド交渉について、政治主導で物事を動かしていくために、省内にEPA・WTO推進本部を設置することに致しました。第一回会合を本日開催する予定であります。いろいろな話を聞いておりましても、どちらかというと具体的な問題を各省庁あるいは各部局の担当者レベルで積み上げて問題を解決していくという手法が採られていますが、そういう手法を100%否定するつもりはありませんけれども、やはり政治主導でやっていかないと前には進まない。特に日本のEPAやFTAに対する取り組みの遅れをいうものは、非常に目立つ訳でありますので、省内でまずそういう組織を創ることを決定いたしました。
 併せて今日、閣僚懇で、閣僚懇の中身を話してはいけないと言われているのですが、こういうことを、言わないと何も言えないものですから、その場合には本来こういう問題は、4省庁で進めてきた訳です。外務省と財務省、それから農林水産省と経済産業省、この4大臣からなる閣僚委員会を設置して、具体的な運営はこれから話し合いますが、月に一回程度集まって、進捗状況をお互い検証していこうと、いうようなお話をさせて頂きました。その上でこのことについて、異論は出ておりませんので、近々そういったことを官房長官に申し入れて、委員会を設置したいというように考えております。

(2)政務三役会議

(外務大臣)第2点目は、本日の政務三役会議のご報告ということですが、細かいことは除きまして、西村政務官が、パリに出張いたしまして、国際連帯税についての国際会議に出席をして参りました。国際連帯税というのは、民主党の従来からの主張でもあり、これを何に使うかということは別途ある訳ですけれども、今日もNGOの皆さんと温暖化の問題を議論いたしましたが、温暖化の問題に使うべきだといった意見もあります。あるいはODA、途上国の貧困の問題に使うという意見もあります。その辺も含めてのことになりますが、国際連帯税について、既に税調には提議をしてありますが、これは、外務省としての重点事項としてしっかりとやっていこうと、確認をさせて頂いたところでございます。

EPA・WTO推進本部
(朝日新聞 東岡記者)EPA・WTO推進本部についてお尋ねします。このEPA・WTO推進本部では、民主党のマニフェストに掲げていた日米のFTAについて議論するのかどうかという点と、先程、大臣が仰られていたように、日本はEPAが非常に遅れています。その原因について、よく農林水産物が障害になっている等といわれていますが、大臣はこの遅れの原因についてどのように分析されておりますでしょうか。

(外務大臣)本部で何を議論するかということは、これから本部を設置した後のことですけれども、当面議論すべきは、すでに現在交渉が始まっていて遅延しているものについて交渉を前進させるための議論を行っていきたいというように思います。もちろん将来的に戦略的に日本としてEPAのどこに重点をおいて絡んでいくことが望ましいのかというようなことも課題としてあると思いますけれども、今すぐそういう議論をするという予定はございません。遅れている理由はいろいろあると思います。どこがというよりも、私(大臣)はやはり、前の交渉のスタイルがどうしても積み上げ方式になって、そして現場の担当者になれば、EPAを進めることの意義というよりは、やはり目の前の利害関係にとらわれがちでEPAを進めることが日本の国益に叶うというメッセ-ジが十分に共有されていなかったことが原因でないかと思います。もうすでにEPAを締結している例があるのにその近くの国で、またゼロベ-スで議論するということは、私(大臣)はあってはならない事だと思いますし、もちろん「真実は細部に宿る」という言葉がありますから、細部も大事なのですが、大きなEPAを推進するという基本的な方向性が十分に浸透するように進めていきたいというように思います。

核セキュリティ・サミットの開催
(毎日新聞 須藤記者)今日、核安全保障局のダガスティ-ノ局長が来られて、オバマ大統領が来年2月に開くといっている核サミットの件について、我々に対して日本で12月に開きますと仰ったのですが、(同会議を)開くという前提で日本で開くことについて位置づけや目指すところをお答えいただければと思います。

(外務大臣)何を開くのですか。

(毎日新聞 須藤記者)核セキュリティ・サミットを来年2月にワシントンで開くことになっていると思うのですが、その準備会合を本年12月に日本で開くということです。

(外務大臣)その話は、私(大臣)は初めて聞きましたけれども、いずれにしても準備会合ですから、そのこととサミットそのものの位置づけは全く違うと私(大臣)は思います。

インド洋給油問題
(時事通信 水島記者)今日、北沢防衛大臣がインド洋の給油を行っている補給艦をソマリアの海賊対策に転用することを検討していると表明されたのですが、本件は政府内でどの程度、具体的に検討されているのかということと、ソマリアの海賊対策は国際貢献という意味もありますが、日本の船舶を守るというのが主目的であるのに、このようなことが国際的にどの程度評価されるかということについて、大臣はどうお考えになっているのでしょうか。

(外務大臣)後半は私(大臣)は理解できなかったのですが、どういう意味ですか。

(時事通信 水島記者)アフガニスタンで、米は支援の上積みを求めていると思いますが、それに代わるものとしてソマリアに転用するということは何か意味があるのかということです。

(外務大臣)(アフガン支援に)代わるものという位置づけは特にないと思います。インド洋への補給艦の問題とソマリア沖の問題は別の問題と理解しています。国際的に評価されるかどうかということについては、日本の艦船に補給する訳ではありませんので、それは現在でも既にやっていることですから、おそらくいろいろな国に補給することを想定して、防衛大臣は考えておられているのだろうと思います。国際貢献として、一つのあり方であると思いますし、私(大臣)自身もそういう検討を防衛省で行っていると承知しておりますが、まだそれが法律改正その他も必要になることだと思いますし、現実のニ-ズとか必要性についてまとまった説明を受けておりませんので、私(大臣)自身がコメントすることは控えたいと、話は承知をしております。


米軍再編問題
(毎日新聞 須藤記者)普天間の問題ですが、先日、岡田大臣は、県内移設が望ましいと仰ったと思いますが、それとの関係で鳩山総理が衆院選中に沖縄で県外移設、最低でも県外移設と言及していますが、そうなりますと沖縄も含めて国民に対してどういうふうにそのことを説明されるのかお聞きしたい。

(外務大臣)マニフェストには県外とか国外という表現はないですが、発言としては当時の鳩山代表の発言があるということは、私(大臣)も十分に認識をしております。もちろん選挙期間中の発言は100%実現しなければならないのかと言えば、多くの国民の皆さんが「必ずしもそうではない」というふうにお答えになると思います。
 いずれにしても、重要なことは、我々は、沖縄の負担をなるべく軽減したいという思いで今やっている訳ですから、我々の努力をこれから更にしっかりやることで、最終的に多くの沖縄の皆さんのご理解、納得を得ていくことだと思います。併せてこの問題を先週申し上げたときにも強調した訳ですが、移転が遅れていいのかというと、それは現在の普天間の状況が続くことになる訳で、それをなんとかしたいということが議論のスタ-トですから、いたずらにそれが遅れるようなゼロベ-スでの検討というのは、私(大臣)は避けるべきだと先週申し上げたところであります。

(TBS 樋口記者)再び普天間についてお聞きしたいのですが、先週金曜日に大臣は記者会見で、県外というのは事実上、選択肢として考えられないというふうに仰ったのですが、何故金曜日のタイミングで仰ったのか、例えばこれまで米政府とともに、過去の色々な今の合意に至った経緯を検証されてきたわけで、そういうものを受けてのものなのか、或いは来日時にゲイツ国防長官は北沢大臣との会見で普天間がなくなったらグァム移転もなくなるし、兵力削減もなくなると、そういったことを対外的な発言以外で、大臣として米側の決意をメッセージとして受け取ったからなのか、どうして金曜日のタイミングだったのかをお聞きしたいと思います。

(外務大臣)別に理由はありません。ただ、かねがね考えてきて、今具体的に県外で、ここが可能性があるということがある訳ではありません。そういう中で、白紙でこれから議論するということであっては、これでは時間がかかることは間違いありません。それから、過去に検証したものを今再度検証しているということは、かなり前からご説明してきました。勘のいい人なら、その時に県外はないということを、すでにお気づきになっていたのではないかと思っております。間接的に実はそういうことは言ってきた訳です。ただ、明らかに県外はないという私(大臣)の考え方をたまたま申し上げたのが金曜日だということです。大臣になってから、色々な可能性を自分なりに頭の整理をしてきて、そして過去に検討されたプランというものを一つ一つ見ていく中で、県外というのは、時間が、例えば長期間、3年とか5年とかを与えられるのであれば別ですけれども、限られた時間の中で答えを出さなければいけないとすれば、限られた時間の中で答えを出さなければいけないという理由は、日米の合意があるということと、もう一つは沖縄の普天間の問題を早く解決しなければいけない、それが沖縄のためでもあるという観点から見れば、県外はないということです。あのタイミングでやはり申し上げるべきだと思いました。あまり引き延ばすことは良くないというように考えました。

(TBS 樋口記者)関連なのですが、今のお話ですと、過去の色々な経緯ですとか、過去に検討されたものですとか、そういうものをいろいろと検討されたと仰いましたけれども、米側からのメッセージというのは何か影響はあったのでしょうか。

(外務大臣)米国のゲイツ国防長官が色々とお話になりましたが、それは私(大臣)の想定内のお話でした。

(日本テレビ 小栗記者)引き続き、普天間についてお伺いします。今日、北沢防衛大臣が閣議後に現在の日米合意をそのまま履行したとしても、民主党がこれまで言っていたような県外・国外を目指すというその方針に変わりない、整合性があるというふうに仰っていたのですけれども、岡田大臣も同じようにお考えでしょうか。

(外務大臣)これは、なかなか難しい話だと思います。数年前ならそういうことは言えたと思います。岩国に移すとか、グアムに移すとか、そういうことが決まった段階で一部は県外、一部は国外ということが実現したと言えると思います。ただ、我々が色々言ってきたことは、そういう現在のパッケージがきちんと出来て、発表された後も言ってきておりますので、そういう意味では論理的に言うと、ちょっと苦しいところがあるかなというように思っております。北沢さんが仰りたかったことは、県外・国外と言ってきたが、今のパッケージの中にも、グァム移転とか或いは岩国その他に移転するといった中身が含まれていることを思い出してくださいという趣旨で仰ったのだと思います。

(共同通信 上西川原記者)普天間を引き続きお願いします。今大臣の仰られてた、「普天間を一刻も早く移設しなければいけない。そのために県内移設だ。」という、この論理というのは、実は自民党政権がずっと言ってきたことではないかと思います。1995年以降、ずっと県外を求める声を沖縄等から出ても、県内という自民党政権が一貫して言ってきたのが、普天間の危険状況だったと思うのですけれど、そうすると今回、民主党政権になって、同じ論理で県内移設ということになると、沖縄の人たちにとって、政権交代した意味をどのように受け止めればいいのかというところが非常に気になるのですけれども、その点についてはどうでしょうか。

(外務大臣)それは全然違う訳で、白紙で議論する場合と、すでに合意があってその上で短い期間で答えを出さなければいけないというのは、全く違う状況だというように思います。白紙で議論できるなら我々だって県外で議論したいです。だけど、ここまで来ている話ですから、それは白紙で議論していた数年前の状況とは全く違うということです。

(共同通信 上西川原記者)先週、嘉手納(基地への統合)ということも言われましたけれども、これももうずっと議論されている話で、地元の三市町の拒否の姿勢が頑なであり、更に米も明確に拒否している。先ほど大臣は、これまでの発言を聞けば、勘の良い人ならば、県外はもうないということは分かっていたのではないかと言っていましたけれども、そういう話を想定すると、勘が良いか悪いかは別にして、(普天間基地を移設する先としては、)もう(キャンプ・シュワブのある)辺野古しかないのではないかと言う声も出ているのですけれども、その点についてはどうでしょうか。

(外務大臣)それもあるから今検証している訳です。北沢大臣も検証が終わったと、防衛省は言われるので、それなら、私(大臣)は、防衛省からも是非、話を聞かせていただきたいと言うふうに思うのですが、私(大臣)はまだ検証をしている、外務省としては(その検証の)最中ですし、米側からも意見を聞きたいというふうに思っている訳です。嘉手納(基地への統合)はあり得ないというのは、地元の反対というのは一つの大きな要素だということに間違いありません。しかし、その他のことについては、私(大臣)は必ずしも納得をしておりません。ですから、そういうことをもう少し詰めたい。例えば、緊急時において非常に運用が難しくなるという主張がありますけれども、本当にそうなのかということは、もう少し具体的に議論しなければならないというように思っておりますし、海兵隊と空軍は一緒に同居することはいかがかという話もありますけれども、それはどこまで受認できない話なのか、ヘリコプターと飛行機が同居するのはいかがかという話もありますが、しかし、そういう前例はありますから、もう少しその辺をきちんと詰めたいということが、私(大臣)の思いです。もしその辺をお詰めになったのであれば、教えていただきたい。

(毎日新聞 野口記者)また普天間ですが、先週の金曜日に大臣のお考えとして嘉手納統合ということを仰った訳ですけども、そういう考えを表明したということで、今週になって時間が経った訳ですが、嘉手納基地への統合に向けて政府内で考えをまとめるように今動いてらっしゃるのかどうかと、地元の説得を進めているのかどうか。また、嘉手納基地への統合という考えはいつぐらいから大臣の考えとして進めていこうとお考えになったのか。お願いします。

(外務大臣)いつからかという質問にはお答えする必要はないと思いますが、中身は今検証している最中です。私(大臣)なりに、行けるというふうに思えば、今はまだ候補に過ぎませんから、検証している最中ですから、嘉手納(基地への統合)の方がいいと考えれば、政府の中で働きかけをしていきたいと思います。そういう意味で、前回、「私(大臣)の考えでは」と申し上げたところです。

(中国新聞 荒木記者)普天間の関連ですが、米軍再編には普天間以外にも、神奈川県厚木基地にあります空母艦載機部隊を山口県の岩国基地に移転させるという計画も入っておりまして、それには地元にはまだ根強い反対があります。民主党のマニフェストとか、連立政党の合意には見直しの方向と書いてありますが、岩国基地への移転についても見直しの方向になるのでしょうか。

(外務大臣)岩国基地の問題は、先般、平岡代議士がお見えになって、大分お話も聞かせていただきました。私(大臣)も、以前から岩国の現場も見た経験もありますし、いろいろなそういった基地の集約の問題が、どこまで市民にきちんと説明した上でやっているのかということを私(大臣)は非常に疑問に思います。岩国の場合には、市役所の建設途中であるにもかかわらず、突然補助金が断ち切られて、言わば、賛成しなければお金は出ないよと、市役所の建設費は出ないよと、いうやり方がなされた訳で、そういう意味では、日米で合意はしたものの、地元に対する説明とか説得とか、そういうことがなされないまま放置されて、我々政権が交代した後、そういったことについて、今汗をかいているという状況です。岩国については、今すぐという予定はありませんが、最終的にはきちんと説明をして、ある程度ご納得を頂くということは当然必要だと思います。

(中国新聞 荒木記者)沖縄の後に検証するという意味ですか。

(外務大臣)後にと言うつもりはありませんけども、申し訳ないですが、今はそこまでなかなか手が回っていないというのが実態です。

(共同通信社 西野記者)先程、米側からも意見を聞きたいと、それから、具体的に議論をしなければならないというふうに大臣は仰いました。どういった機会に米側と、こういったかなり詰めた話、米軍の運用に関わるような話ですし、これは電話でやるような話ではないと思うのですが、どういった形でやるのでしょうか。

(外務大臣)すでに局長クラスではそういうことはある程度やっているのですが、もう少しレベルを上げるということも考えられると思います。いつどうやってということは、お答えする必要はないと思います。

(共同通信社 西野記者)もう一点、逆に、岩国の件について説明、納得がなされていないということだったのですが、例えば県外移設に関してですが、勘のいい人うんぬんという話もありましたけども、やはり選挙で掲げたことについてできないこともあるというのは、それはあると思うのですが、それであれば、何故できなくなったのかということをきちんと説明するということがセットになっていると思うのです。そういったことを沖縄の方々にすると、大臣自ら政治活動を行うというお考えはあるのでしょうか。

(外務大臣)最終的な答えが決まる段階ではそういうことは必要になるでしょう。ただ今、抽象的に県外はないのですと言っても、そこで終わってしまいますから、最終的にこういうプランでいきたいと思うと言うときに、沖縄の皆様のある程度の納得が必要だということは、それは当然必要だと思っております。

(NHK 別府記者)今検証中だということは理解しています。その上で、この段階ですでにこの問題について見直しの方向で臨んだのだ、あるいは臨んでいるのかという認識で大臣はお持ちなのでしょうか、また、嘉手納基地への統合は一つの考え方として出てきているということですが、沖縄の人の負担の軽減という視点で見た場合に、辺野古案よりどういった点でメリットがあるというふうに今の時点でお考えでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)は、「見直し」という言葉は使っておりません。「検証」です。検証作業を行っているということです。嘉手納はなぜだめだったのか、そのことを検証して、そしてその上で嘉手納は案になるのかならないのかということをきちんとつめたいと、私(大臣)は、嘉手納は案になると考えていますが、それはより詳細な検証が必要であるというのが私(大臣)の先程の説明です。それから、どういうメリットがあるかということは、これもこれから検証していく訳ですが、少なくとも沖縄にある2つの大きな基地が1つになるということは、私(大臣)は大きなメリットだと思います。今の案ですと、2つの基地が固定化することになりかねないという問題があると思います。

(テレビ朝日 川村記者)今の普天間のことに関連して、かつて小泉政権のときにブッシュ政権の方から、嘉手納の統合案を日本側に提起してきたことが、非公式にせよあって、そのときに二度ほど米側は嘉手納でもいいよということを防衛当局と話し合っているという記録があるわけですが、そのことをかなり含めて、今大臣が仰っていることは、局長クラスでつめていると、米側もこういうことを過去に言ってきているではないかと、それについてきちんとつめたいということは、米の経緯もすでに検証した上でこれから交渉しようということでよろしいでしょうか。

(外務大臣)かつてどちらが言っていたかということは闇の中で、別に書いたものがあるわけではないと思います。ただ、嘉手納統合ということが議論されたことがあるということは事実です。しかし、そのときはそれよりも今の案がいいということになって、そして、今の案が具体化してきた。その辺も、私(大臣)としては検証したいと思います。現在の案であっても、最初は沖合に浮かすという案だったと思います。それから丘の上に作るという案もありました。私(大臣)自身まだよくわからない、納得できないところもあります。当時中心になってやっておられた方は政治レベルを別にすると、防衛省で長く次官をやられた方ですから、彼自身に聞くべきかどうかはわかりませんが、どうも私(大臣)は流れがまだしっかりとは把握できておりませんので、もし北沢大臣が防衛省の方で、かつての検証をきちんとしたということがあれば、そういうことも含めて是非聞かせていただきたいと思っております。

(読売新聞 村尾記者)普天間の関連ですけども、キャンプ・シュワブ沿岸部か嘉手納統合案か、ほぼ2つに大臣は絞り込まれていると思われるのですが、お聞きしている限りでは、嘉手納の方に前向きではないかと推察されるのですが、検証作業が終わった結果、嘉手納案がだめだった過去の理由や地元の反対にご納得されるのであれば現行のキャンプ・シュアブ案はやむなしということもあり得るという認識でよろしいでしょうか。

(外務大臣)そういうご質問に不用意に答えると、「外務大臣容認」と見出しに書かれてしまいますので、今のご質問にはお答えしません。

(テレビ朝日 新堀記者)オバマ大統領の来日が来月近づいておりまして、外務大臣としては、例えばクリントン国務長官と事前にもう一度会われるとか、何か普天間の関係での調整を事前にされるというご予定は一切ないと考えてよろしいのでしょうか。

(外務大臣)今仰ったのはクリントン国務長官との間でという意味ですか。現時点では何か予定しているということはありません。

(テレビ朝日 新堀記者)まだ日にちがあるということで、可能性もありうるのでしょうか。

(外務大臣)それは、わかりません。先般、どこか(のメディア)が報道されて、断られたとか、そのように書かれたところもあるのですが、相手もたいへん忙しく世界中を回っておりますので、日程が合わなければ会えない訳ですから、そういうこともあるかと思います。決まった段階で、もしそういうことが決まれば、お話したいと思います。現時点では私(大臣)は何も聞いておりません。私(大臣)も予算委員会とか国会を控えておりますので、なかなか隙間はそうはないというのが現実です。

(琉球新報 仲井間記者)普天間の質問で申し訳ないのですが、先日金曜日の会見で、県外移設は難しいと仰った時に、これまで日米間で検討されてきた案の中から移設先を考えると、今検証の最中で、これまで日米間で検討されてきた案というのは、そこには県外移設というような案はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。大臣が把握しているものとしてはどのような内容なのでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)が把握している限りは、もちろん岩国とかそういうものはあったとしても、全体を特に今の普天間基地を県外にという案は、私(大臣)はなかったと記憶しています。

(琉球新報 仲井間記者)私どもの取材では北海道や九州に移転するという話も検討されていたというものが、日米双方の交渉担当者への取材で明らかになっているのですが、既に報道もされていますけれども、そのような情報は把握されていないということでしょうか。

(外務大臣)それは、かなり具体性をもって検討されたものではないと私(大臣)は理解しております。

(読売新聞 石川記者)本日、北沢(防衛)大臣が鳩山総理とオバマ大統領が会われる際にはどういったメッセージを鳩山総理が出すかについて、閣内で統一的な方針を出した方がいいということを仰っていますが、北沢大臣は本日、現案を容認するような発言をされていて、一方、岡田大臣はまだ現在納得できる検証ができていないということで検証されている訳ですが、オバマ大統領の来日までほとんど2週間くらいしかありませんが、それまでの期間に検証を終えて、統一的な閣内の方向性を出せるようにしたいとお考えでしょうか。

(外務大臣)この件は私(大臣)自身、何度か申し上げてきたと思いますが、オバマ大統領訪日時に現案でいくとか、或いは違う案でいくとか、そういう結論を出せるような状況ではないということを米国側にも言ってきておりますし、現に沖縄の皆さんに対して、どの案でいくにしろ、きちんと説明をして、ある程度御理解をいただく必要がある訳ですから、それだけの時間的な余裕はないと思います。オバマ大統領訪日時にどういうテーマで議論するかということは、これから議論していかなければなりませんが、ある程度の概略は外務大臣として総理と少しお話を始めさせていただいております。北沢大臣の御発言を十分に理解していないところがありますが、普天間の話が議論になってその答えが出るというのは普通は考えにくいことだと思います。


長井健司氏の遺品に関する報道
(朝日新聞 五十嵐記者)ミャンマーで2年前に、反政府デモを取材中に射殺された長井健司さんの遺品を写したとみられる写真が報道されています。こういう写真が出るということは、遺品がまだ存在するという蓋然性が高くなったということだと思えるのですが、これをもってミャンマー側に日メコンの首脳会議の際に首脳会談などもあると思うのですが、更に強く返還を求めるというご意向があるのかということと、写真を取り寄せるなどして、この信憑性を検証したり、調査したりするお考えはあるのかということをお聞かせ下さい。

(外務大臣)長井カメラマンの問題は、私(大臣)も日メコン外相会議の際に行われたバイの会談の折りにかなり相手方に対して厳しく申し上げた訳ですが、なかなか具体的な答えとしては返ってこないという状況でした。これから日メコン首脳会議もありますので、そういうところでも、特にバイ会談が実現した場合に話題になる可能性はあります。ただ、ここは私(大臣)としてはあまり断定的に言いたくないと。言えば、バイの会談そのものが流れてしまうリスクもありますから、申し訳ないけれども、そこはもう少し柔らかい言い方に敢えてさせていただきたいと思います。見つかった写真について、私(大臣)が聞くところによると、あれは返された遺品の範囲のものであると。ですから、(長井カメラマンの死亡現場で)無くなったとされるビデオカメラと、その写真に写っているビデオカメラは製造元が違い、既に一部カメラやビデオカメラは返ってきており、(写真に写っているのは)その時に返ってきた時のビデオカメラの写真と思われると聞いております。もし、その情報が確かではないという何か証拠があれば更に調べる必要があると思いますが、私(大臣)はそのように聞いております。


吉野文六元局長の証人尋問
(テレビ東京 柳川記者)現在東京地裁で係争中の、沖縄返還を巡る密約問題の訴訟で、外務省として吉野文六元局長の証人尋問を認める許可を出したということですが、そちらの許可を出した理由と、その証人尋問にあたって吉野元局長にどのような証言の姿勢を求めているのか、期待するのかということをお聞かせ願えますか。

(外務大臣)どういう姿勢で行うかということは、ある意味では吉野元局長ご自身の問題だと思います。外務省としてできることは、本来守秘義務のかかるものについて、それを解除するということだろうと思います。裁判で現に争われ、事実関係について吉野元局長の意見を聞きたいということですから、その範囲においてご協力下さいと、裁判に出ていただくことについては我々はやめろというつもりはありませんということです。中身については、我々がこうしろ、ああしろという話ではないと思います。


「密約」問題に関する調査
(Jキャストニュース 亀松記者)密約の調査命令についてお伺いします。調査命令を出してから一ヶ月半が経とうとしていますが、11月末目途に調査報告を上げるようにというお話だったかと思いますが、現時点で中間報告のようなものは受けられているのでしょうか。もし、受けられているとしたら、その内容はどのようなものでしょうか。

(外務大臣)必要に応じて報告は受けております。内容は中間段階でお話しすることはありません。


天皇陛下のお言葉
(読売新聞 川崎記者)開会式での天皇陛下のお言葉の話ですが、開会式では今回も恐らく大臣が毎回繰り返しで申し訳ないというような内容の挨拶になってしまったと思われますが、岡田大臣の発言に対して与野党からいろいろな反応があったということと、鳩山総理もタイ訪問中に記者団に対して「岡田大臣の発言は適切でなかった」ということも言われていますが、それに関して大臣のお考えと今後も引き続き大臣として改善を求められていくのかどうか、その姿勢についてお伺いします。

(外務大臣)まずいろいろと誤解があると思います。私(大臣)が陛下に対して何かものを申したように誤解されている方が結構たくさんいらっしゃいます。もちろん、そういうことではなくて、お言葉というのは国事行為ではありませんが、それに準ずる公的行為として、本来、内閣官房で案を作り、閣議でそれを承認するという性格のものであります。勿論、その間、宮内庁には当然協議をしていると思います。そういう事実関係の中で、私(大臣)はその原案作りを内閣官房がやり、閣議で了承する訳ですから、我々は閣僚ですから、非常に責任がある訳ですけれども、ほぼ同じ言葉がずっと毎年繰り返されることについて、私(大臣)は陛下に対して申し訳ないという気持ちが非常にあります。もちろん、それが陛下のご意思であれば構わない訳ですが、国事行為に準ずる行為ですから、政治的な匂いがしてはいけないという大きな制約があるのを十分に分かった上で、それにしても、毎回毎回とは言わずとも、内閣官房で案を作るときに、もう少し違う表現というものが少なくとも案として検討されてもいいのではないかというように申し上げた訳であります。

(読売新聞 川崎記者)総理から適切でなかったというコメントが記者団に対してあった訳ですが、この件に関して、総理と大臣の間でお話になられたのか、或いは総理から何らかの言葉があったのかを教えてください。

(外務大臣)多くの誤解を招いた訳ですから、そういう仕組みが十分に共有のものになっておりませんので、まるで私(大臣)が陛下のお言葉に異を唱えたように受け取られたと、そのように誤解されたということに対して、総理にご迷惑をかけたと思っておりますので、総理のコメントは閣僚として真摯に受け止めなければならないと思っています。


日露次官級協議
(共同通信 斎藤記者)本日、日露次官級協議が行われましたが、これは今世紀になって初めての次官級協議だということですが、平和条約等、いろいろと課題がある訳ですが、今後の対ロシアについて、今日の会議を踏まえて、どのような展開を考えておられますか。

(外務大臣)本日の会議で何が主たるテーマになったのかの報告をまだ聞いておりません。先般ニューヨークで行われた日露首脳会談で様々な議論がなされました。そういう中で、恐らくお聞きになりたいのは北方四島の帰属の問題だと思いますが、これについては大臣レベルでも議論するというか、場合によってはそういうことになると思いますので、ロシア側がどういった反応をしたのかを見極めたいと、つまり議論に値するだけの議論があったのかないのか、そもそも北方四島の帰属についてテーマになったのかを含めて確認したいと思います。


日韓歴史認識
(共同通信 斎藤記者)日韓の歴史認識問題です。今年は初代総理の伊藤博文が暗殺されて100年ということで暗殺した側の安重根氏をあらためて称える式典が韓国で開かれました。また、北朝鮮も北朝鮮メディアを通じて北朝鮮の立場から、旧日本帝国への思いを新たにし、歴史問題を反省しない日本への抗議の意志を示すという趣旨の談話も出ています。現在、外務大臣を務められる岡田大臣の立場から改めて、この100年前の事件は歴史的にどういう意味があったのか、そして日本人としてここから何を学んで何を考えればいいのかについてお話をお伺いしたいと思います。

(外務大臣)ご質問にきちんとお答えするのは難しいと思います。私(大臣)の感想を述べればいい話ではなく、外務大臣としてお答えするということであれば、それはそう簡単に一言で片付けられる問題ではないと思います。最近、私(大臣)はアフガニスタンやインドネシアへの機中で「李朝崩壊」という本ををかなり興味深く読まさせていただきました。やはり歴史を語る時にそれぞれの立場によって、ものの見方が全く異なる訳で、今仰った伊藤博文殺害についても日本で考えられている、或いは多くの(日本)人が受け止めている見方と韓国や北朝鮮で見られていることは全く違うということです。どこが真実であったかというのは、私(大臣)は歴史家ではありませんので、確信を持ってこうだということは避けたいと思っています。

その他
(ニコニコ動画 七尾記者)質問用のマイクをご用意していただいて、記者の皆さんにも使っていただいて、視聴者の方へのご高配感謝致します。本日は、視聴者から事前に電子メールで募集させていただいた質問を、ニコニコ動画の方で代読させていただいて質問とさせて頂きます。
 「大臣は野党の時代の早くから、自らのサイト内で動画配信をされてきたということですが、ニュース、報道という点においてテレビとネットの大きな違いはどういったものだとお考えになられますか。」

(外務大臣)私(大臣)自身が配信をしてきたことは、私(大臣)の主張を多くの方に知って頂くため。他の媒体を通すと必ずしも私(大臣)の本意と違う伝えられ方をすることがありますけれども、映像ですとそれがそのままということになりますから、非常にそういう意味で非常に有り難い。政治家にとっては自分の考え方をより広く発信するための非常にいい手段だと思っています。

(ニコニコ動画 七尾記者)大臣ご自身は、インターネットをどのように使われていますか。

(外務大臣)自分のホームページを見るくらいです。なかなか時間もありませんので。




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