外務大臣会見記録(平成21年11月17日)
外務大臣会見記録(平成21年11月17日(火曜日)16時45分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)政務三役会議
(2)日中外相会談
(3)沖縄訪問
○米軍再編問題
○日中外相会談
○米中関係
○イエメンにおける邦人誘拐事件
○日露関係
○「密約」に関する調査
○アジアにおける地域協力
○核軍縮・不拡散
○その他
冒頭発言
(1)政務三役会議
(外務大臣)政務三役会議については特にご報告するようなことはございません。定例の省議とか明日の政策会議についての事務的打ち合わせを短時間で行ったところです。
(2)日中外相会談
(外務大臣)中国の外務大臣が19日から22日まで外務省賓客として訪日される予定でございます。19日には日中外相会談も予定しております。上海、或いは北京でかなり突っ込んだやりとりをさせていただきましたが、今回、訪日して頂くということで、もちろん、私(大臣)以外、関係者と幅広く会って頂こうと思っておりますが、日中間に関わる、或いはそれ以外の問題も含めて、さまざまに議論出来ることを楽しみにしております。
(3)沖縄訪問
(外務大臣)昨日、一昨日と沖縄に行って参りました。知事はじめ、関係者の皆さんと短い時間ではありましたが、有益な意見交換が出来たと考えております。どちらかというとお話を聞く機会にしたいと思って参りました。私(大臣)自身の意見も多少申し上げたところではありますが、また、機会を上手く作る事ができれば、再度、訪れたいと感じております。具体的な日程が今あるわけではありません。
米軍再編問題
(毎日新聞 須藤記者)普天間移設問題に関するワーキング・グループの性格付けについてお尋ねします。時期についてはこれからだとは思いますが、ワーキング・グループでいずれは結論を出すということですが、結論を出した場合、閣僚級とはいえ日米間におけることですので、その結論について、平野官房長官は総理が判断すると仰っているのですが、ワーキング・グループで出した結論を日本の政府内で、どのように位置づけてやって行くのか。つまり、そのワーキング・グループで出した結論を基本的に尊重してそのまま日本政府の基本的な結論としていくのか、それとも、やはりもう一度、総理が改めてそれも含めて判断し直すということなのか、そういった事も含めて位置づけを説明していただきたいと思います。
(外務大臣)議論の前提として、ワーキング・グループでは一体何を議論するのかということがまずあると思います。このことは、この場でもご説明した訳ですが、私(大臣)とルース駐日米大使との間で基本的に合意しております。中身は「日米の合意に至った経緯」の検証作業であります。従って、その検証作業について、それを行うということと、今、ご質問で考えておられるように、どこにするのか、しないのかとか、そういう話とは次元の違う話であります。あくまでも、ワーキング・グループで行うのは検証作業であるということです。
(朝日新聞 鵜飼記者)今の(ワーキング・グループの)関連ですが、大臣は午前中の(衆議院安全保障)委員会で最終的な結論が両国の外務・防衛の閣僚間で合意、確認をするということになると仰っているのですが、これは一定の方向性をワーキング・グループ検証結果の中に見い出していくということではないのですか。
(外務大臣)検証結果という意味です。その検証を踏まえた上で、担当の外務・防衛大臣として日米間でその検証結果を踏まえた上で、何らかのさらに一歩進めた結論というものを得て、各国にそれを報告するとか、そうことがないと今の時点で言う必要はありませんが、このワーキング・グループそのものがそこまで想定しているものではありません。
(毎日新聞 野口記者)ワーキング・グループについて、これまで、防衛省・外務省が個別に検証作業をやっていると思います。また、米国の司令官を呼んで、大臣は話を聞いていると思いますが、今回、共同でやるということで、これまで個別でやっている検証作業のどこの部分が足りないから、今回このような共同の検証作業をやるのかということを(ご説明)お願いいたします。
(外務大臣)そういうお話をすると、今までどういう検証をやってきたかという中身をお話しすることになります。従ってそのことを特に申し上げるつもりはございません。但し、事実関係だけ申し上げますと、米国の大使、司令官、あのときには、米国から(他の)人が来ていたと思いますが、その時には、防衛省と外務省が一緒に話を聞いています。ですから、それぞれ別々にやってきたというのは正しいご指摘ではありません。
(フリーランス 上杉氏)大臣は沖縄の方へ行かれまして、実際これまでご持論とは仰っていましたが、普天間の統合、嘉手納統合という考えを示されていましたが、米国の方では嘉手納への統合自体がそもそも海兵隊と空軍が一緒になること自体が有事の対応ができないという声もあるのですが、そのあたりへのご見解をお聞かせ願えますか。
(外務大臣)嘉手納統合というのは、一つの案として今検証の対象にしているということであります。私(大臣)は、その案でなければならないという主張をしているものではありません。過去、嘉手納統合というのは、何度か日米双方から提案されたことがあります。今日も(衆議院安全保障)委員会でも議論が出ましたが、運用上の問題として航空機とヘリコプターが同居するということはリスクが高いという意見もあります。確かにより慎重な運用を求められることは事実だと思いますが、それは決定的なものかどうかというのは、様々な意見もあるところだというように思います。それから海兵隊と空軍が同居できないというのは、それが決定的な理由かどうか、私(大臣)にはよく理解できない部分もありますので、そういうことも含めて検証の対象にしていくことになるだろうと思います。
(フリーランス 岩上氏)沖縄の基地問題ですが、沖縄県外移設という選択肢は、完全に消えてしまったのでしょうか。飛ばしの記事かも知れませんが、本日付の「日刊ゲンダイ」で、一つの候補ということなのでしょうけれども、(普天間の移設先として)関空を使ったらどうだというような話があって、それを政府部内でも実際にそうした検討がなされている指摘がありました。また、国民新党の下地議員がそうした御意見を国会で述べられたというお話もあります。関空というのは降ってわいたような話でありますけれども、国内の代替施設を沖縄県外で考える、検討するという選択肢はありえるのでしょうか。
(外務大臣)沖縄県外の可能性はないのかというご質問だと思いますが、それを排除しているわけではありません。私(大臣)がざっと見たところなかなか難しいなということでありましたが、それは私(大臣)の意見でありまして、北澤大臣がどうお考えなのか、或いは他にもお考えをお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。様々なご提案について、そのフィージビリティー(実現可能性)をワーキング・グループで一遍に直ちにやるというよりは、政府の中でまず検討してみるということはそれは当然あって然るべきだというように思います。ただ、どこについて検討するかどうかということの、具体的な地名については、これはこの場で申し上げることは差し控えたいというように思っています。
(琉球新報 仲井間記者)普天間のワーキング・グループについてお伺いしたいのですが、現在の日米合意に至った経緯について検証するということですが、検証の対象は現在の日米合意、所謂2006年の日米合意を指しているのか、それとも、そもそもこの議論は1995年から始まったと思うのですが、1995年から今までを検証の対象としているのか、検証の対象とする期間及び対象の物をもう一度説明いただけますか。
(外務大臣)基本的には今の日米合意に直接至った経緯ということになると思います。ただ、それ以前にも様々な提案がありましたが、そういった中でも、場合によっては、それを取り上げるということがあるかもしれません。それが有力な案になり得るということであれば、排除する必要はない訳ですから。
(共同通信 上西川原記者)普天間問題ですが、大臣はできれば年内、迅速に早期に決着と仰っていますが、嘉手納統合案については、今回沖縄に訪問されて、地元の3市町がかなりはっきりと拒否の姿勢を示されたのではないかと思われます。そういった中、嘉手納統合案をまだお持ちでしょうか。
(外務大臣)嘉手納町長をはじめ、3人の市長、町長の皆様と意見交換をさせて頂きました。騒音レベルが非常に高い、むしろ最近(騒音レベルが)上がっているとのご指摘を頂いた訳ですが、私(大臣)が嘉手納統合を考えるときには、今の騒音レベルを今より下げるということが大前提であるということは、何度も申し上げてきているところであります。そういったことが早期に出来るかどうかという点も含めて検証の対象になる問題だと思います。
(NHK 別府記者)本日の作業部会について質問ですが、日本側は今の説明等もありましたが、あくまでも「検証」だということですが、先日のサントリーホールでのオバマ大統領の演説を聞きますと、作業部会を通じて今ある日米合意を「implement」、「履行していく」ことを目指していくということで、位置づけに若干違いがあるのかと思うのですが、そのすり合わせはどのように達成していくのでしょうか。
(外務大臣)本日のワーキング・グループの冒頭で確認します。あくまでも基本は、私(大臣)とルース駐日米大使の間で合意した位置づけだと思います。
(J-CASTニュース 亀松記者)今とほとんど似たような質問になってしまいますが、オバマ大統領は共同会見とサントリーホールで、この作業グループの目的について、「implementation of the agreement」、つまり「合意の履行である」とはっきり2回言っているのですが、それは、つまり、大統領の認識が実態とずれているということでしょうか。
(外務大臣)記者会見と、それからサントリーホールにおける演説と、表現は違ったはずです。そして、オバマ大統領がその表現にどういう意味を込めたのかということは、推測しかできません。しかし、日米で合意したのは、私(大臣)とルース駐日米大使との間の合意であります。そのとき、ルース駐日米大使も言われましたが、この場でも私(大臣)は紹介しましたが、現在の案が唯一の案であるという認識は、米国は変わっていないが、検証はやろうということであります。それ以上の大統領の意図したところはどこにあるのかということは、先ほど申し上げましたとおり、本日の会合で確認したいと思っております。
(朝日新聞 鵜飼記者)作業グループのことでもう一つお伺いしたいのですが、スケジュール感について、大臣がシンガポールでクリントン国務長官とお会いになったときに「何週間もかけてやるものではない」ということを確か仰っていたと思うのですが、いつ頃までに目処を出したいと大臣の中でお考えなのでしょうか。
(外務大臣)「何週間もかけてやるものではないと」私(大臣)が言ったかどうか、申し訳ありません、いま記憶にございません。確認されたことは「出来るだけ早く」「迅速に」ということであります。数字は特に確認されておりません。
(フリーランス 上杉氏)作業グループについて、一つだけ確認させて下さい。ルース駐日大使と大臣で日米合意の検証をということで設置したグループですが、その範囲というものは普天間だけに留まるのでしょうか、それとも米軍の再編というか、その周りにも広がっていくというように捉えていいのでしょうか。
(外務大臣)日米合意というのは普天間だけではありません。グァムへの移転もあれば、その結果に伴う基地の返還もあります。トータルとしての日米合意です。
(フリーランス 上杉氏)日米同盟まで広がりますか。
(外務大臣)いや、具体的な日米合意です。新聞などを読んでいますと、少しここのところがきちんと理解されていないと思われる記事が散見されます。普天間の話だけと受け取っておられるのかなというところが散見されますので、それはそうではありません。日米合意について、それに至ったことについての検証であります。
(毎日新聞 須藤記者)閣僚級ということですが、実際には4人でやることは難しいということで、今回、米側はルース駐日米大使とグレグソン米国防次官補ということですが、そういうことにしたのは、おそらく手続きを早く進めたいということだと理解しているのですが、そういうことですか、また、これは要望ですが、今回重要な(会合で)形の上でも閣僚級ですので、これまでもそういうことがあったと思うのですが、終わった後に大臣が短くこの問題についてだけ、ぶら下がり(記者会見)とかをして頂きたいという二点です。
(外務大臣)閣僚級でありながら、本日はルース駐日米大使、グレグソン米国防次官補という組み合わせになったのは、ご指摘のように(日本の)両大臣がワシントンに行くにしても、或いは(米国の)両大臣が東京に来るにしても、それは頻繁に出来ることではありませんので、本日はこの組み合わせになったということです。閣僚級で作ったということですから、最終的な確認といいますか、一定の検証作業が終了した、或いは合意に達したという時には、閣僚級でそのことについては行ったということになるということです。本日の会議が終わった後については、私(大臣)は時間的にその余裕がありませんので、会議に出席した者から簡単なブリーフをさせて頂きたいと思います。
(読売新聞 川崎記者)作業部会(ワーキング・グループ)のスケジュール感について、出来るだけ早く迅速にということを繰り返していらっしゃいますが、大臣の念頭には年内で作業を終えて方向性を出したいという思いは変わらないということでよろしいでしょうか。
(外務大臣)言い方を気をつけないと、また(総理・閣僚の発言は)バラバラだというマスコミの餌食になってしまいます。最近少し、どれだけ率直にものを言うのかと考え直しているところです。従来から言ってきた私(大臣)の思いは変わりません。ただ、従来から申し上げておりますように、最終的には、鳩山総理はご自分が決めると仰っていますが、正式に言うと内閣で決めるということになると思います。従って、私(大臣)一人で決める訳ではありませんので、そういう意味で私(大臣)の思いは思いとして、内閣としていつまでに、ということは差し控えたいと思います。
(朝日新聞 内田記者)ワーキング・グループについてですが、大臣は以前、10日の会見で、検証の対象について「普天間の検証についてワーキング・グループを設置したのである。広く検討、議論する場ではない」と仰っているのですが、先程、日米合意全般というお話をされましたけれども、これは何か想定される対象が変わったということでしょうか。
(外務大臣)そのような不正確な言い方をしたかと思いますが、普天間だと言ったのは、要するに具体的な日米合意だということです。二つの話しがあって、混同されますので、そこを分かりやすく説明したつもりです。もう一つの「2+2」で日米安保50年を控えて、日米同盟を深めるという、そのような作業を行うという話が別途あるわけです。その話と今回の話は違う話です。そういう意味で普天間という分かりやすい表現を使いましたが、正確には日米合意ということです。その話ともう一つの日米同盟の50年を来年に控えて、それに向けて作業をすることとは別のことですという意味で前回申し上げました。
(朝日新聞 内田記者)関連ですが、今、仰った後者の方の(日米同盟)50年に向けて「2+2」でやると、これは改めて何か「2+2」という枠組みなのか、また違うものを目指して始めるということなのか、そこもご説明頂ければと思います。
(外務大臣)少し紛らわしいのですが、防衛・外務の両大臣、日米の大臣をヘッドにするような形で行われることになると思います。具体的にまだそのことについて、何か決めた訳ではありません。今、目の前にワーキング・グループがありますから、これがある程度見えて来ないと、そちらの方の作業には、なかなか移りにくいだろうと思っています。いろいろなことをやりだすと、まさしく混同しますので、一つ一つと思っております。
(NHK 別府記者)作業グループに関して、日米の認識のずれについての関連ですが、大臣は全権委任されたルース駐日米大使とあくまで合意していると、その直後にその国の大統領が全世界に中継されている演説の中で、これは合意を「implement」するための作業部会だという認識を示されたのをどのように受け止めましたでしょうか。
(外務大臣)大統領の意図がどこにあるか確認したいと、先程申し上げたとおりです。ルース駐日米大使との合意を踏まえて大統領が言っておられると私(大臣)は思っておりますが、英語の読み方といいますか、そういうことかもしれません。
(共同通信 西野記者)本日始まる検証の中で経緯を検証し何らかの合意もあるかもしれないということですが、そうなった場合は岡田大臣、北澤防衛大臣のスタンスが固まる、直接の担当者のお二人の方針が固まり、それから内閣の方針が固まるという段取りでよろしいでしょうか。
(外務大臣)具体的にどうなるか、同時並行的ということもあるかもしれませんし、今申し上げられません。個々に固まるというより、最後は内閣で決める訳です。
(毎日新聞 野口記者)ワーキング・グループの対象の範囲の確認ですが、日米合意は普天間だけではないということで、どこまで範囲を広げて、今回検証されるのかということを、もう一度お願いします。
(外務大臣)日米合意というのは普天間だけではなくて、グアムへの移転とか、それに伴う基地の縮小等、具体的な日米合意というのは紙になっている訳ですから、そこに至った検証を行うというのが基本です。先程のご質問のように、もっと前の様々な合意なり、議論があったではないかと、それについては必要に応じて取り替えることもあると理解をしております。
(J-CASTニュース 亀松記者)今大臣が仰った日米合意というのは、2006年5月1日に「再編実施のための日米のロードマップ」という名前で発表されているものでしょうか。
(外務大臣)基本的にはそういうものです。
日中外相会談
(共同通信 斎藤記者)日中外相会談が19日に行われるということで、その関連でお伺いしますが、習近平副主席の早期訪日を巡って、これまで日本・中国外交当局で議論されたという話を聞いております。この副主席訪日が、今回の外相会談の一つのテーマになりうるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
(外務大臣)習近平副主席の件は現時点では何も決まっておりません。テーマになるかどうかと言えば、テーマというか話題にはなると思いますけれども、もちろん、別にそのために来られるということではありません。
米中関係
(共同通信 斎藤記者)もう一問ですが、現在オバマ大統領が中国を訪問中で、米中首脳会談も行われました。米中の接近といったら良いのでしょうか、連携の強化といったら良いのでしょうか、非常に国際社会の注目を集めていると思いますが、大臣の目から見て、今回の米中首脳会談をどのように見えているか、この点について感想をお願いいたします。
(外務大臣)米国はもちろんですが、中国も経済的にも政治的にも大きな存在ですから、米国と中国がお互い理解を深めるということは、私(大臣)は世界にとっても日本にとっても良いことであると考えております。
イエメンにおける邦人誘拐事件
(NHK 禰津記者)中東のイエメンで邦人が誘拐されたという話が入っているかと思いますが、最新の情報について教えていただけますでしょうか。
(外務大臣)そういう事件があったということは事実で、現地において外務省の方も適切に対応をしているところであります。具体的な中身については、まだ最終的な解決に至っていませんので、コメントを差し控えたいと思います。
(共同通信 藤井記者)イエメンの日本人拉致事件について、最新の安否情報についてのコメントを差し控えるということでしたけれども、その理由について教えて下さい。
(外務大臣)誘拐事件ですから、本人の安否に関わる話ですので、そういう意味でコメントは差し控えさせて頂きます。最新の安否情報については、必要があれば事実関係を外務省としてご連絡をするということになります。
日露関係
(北海道新聞 佐藤記者)日露首脳会談についてお聞きします。先日、シンガポールで行われた会談で、鳩山総理の方から二島返還では理解できない旨の発言をされ、それを受けメドヴェージェフ大統領の方は、鳩山政権の間に前進を図らなければならないというお話はありましたが、具体案の提示はなかったというように聞いております。会談の中では大臣も早期の訪ロについてもまた改めてお話が出たようですけれども、今回の会談の成果について大臣のご見解をお願いします。
(外務大臣)首脳会談というのは、日露の首脳会談の中で領土問題だけを目指してやっているわけではありませんので、日露両国の首脳が会うということは様々な意味があるということだと思っております。領土問題については、もちろん今日まで解決してきていない訳ですから、簡単な問題ではないと思います。しかし、鳩山総理に対するロシア側の期待感も高いわけで、この機に解決に導きたいという意欲が垣間見れたことだけでも私(大臣)は意味のあることだったと思っております。
(北海道新聞 佐藤記者)大臣の訪ロについては、どうでしょうか。
(外務大臣)これは総理とよくご相談しなければなりませんが、機会を見て出来るだけ早く迅速に訪ロを検討したいと思います。
「密約」に関する調査
(共同通信 西野記者)日米の密約問題についてお伺いしたいと思います。就任の記者会見の時に2カ月間で結論を出したいというお話をされて、11月になれば、有識者会議を立ち上げて、いろいろと時代背景を含めて幅広く検証していく、反応をOBからの聞き取りも行いたいというお話をされたと思います。いろいろと懸案があって忙しいことは分かりますが、今のスケジュール感がどのようになっているのかを教えてください。
(外務大臣)正確に表現すべきだと思いますが、2カ月間で結論を出すという訳ではなくて、外務省の中で2カ月間かけて検証すると私(大臣)は申し上げたと思います。その検証作業は順調に進んでおります。そして、有識者会議を立ち上げるということについては、現在検討中であります。そう時間をおかずに有識者会議を立ち上げたいと今考えているところです。
アジアにおける地域協力
(ニコニコ動画 七尾記者)視聴者の代読をさせていただきます。米国が参加表明した環太平洋戦略経済連携協定、中国の進めるASEAN+3など、米中はそれぞれの枠組みの中でアジアにおける主導権の確保を考えているとの見方がありますが、日本はこのいずれかにコミットしていくのか、これとは別に東アジア共同体を中心にアジアでのリーダーシップを発揮していくのか、お考えをお聞かせ下さい。
(外務大臣)いろいろな構想があります。例えば、先日終わったAPECは、20年前にオーストラリアと日本が事実上立ち上げたものであります。もちろん、その中に米国も入っています。それから、ASEAN+3もあれば、東アジア共同体もあるということです。私(大臣)はいくつかのものが、それぞれ進んでいくということで良いし、どの部分についてどこの国が主導権を取るというようなことは、必ずしも考える必要はないと思います。ただ、先般、クリントン国務長官とシンガポールでお目にかかったときに、私(大臣)が申し上げたことは、APECというのは太平洋を跨いだ構想というか会議体でありますので、中南米も入っていますし、米国ももちろん入っている、アジアも入っているということで、来年は我々日本が議長国であり、再来年は米国が議長国ですから、両国でこのAPECについて、20年経って新しい目標をどのように設定し、どのように運営していくかということについてよく議論をしようと申し上げて、その方向性は確認されております。様々な構想がありますが、いずれについても日本としてはそれをきちんと活用しながら、目指すゴールをしっかりと実現していきたいと思います。
核軍縮・不拡散問題
(フリー 岩上記者)少し理念的な話ですが、オバマ大統領が提唱された「核のない世界の実現」ということと、日本政府が同調して共に歩みを進めようとしている件についてですが、「核のない世界」と「核の少ない世界」というのは、全く意味が違うものだと思います。「核のない世界」と表題がついていますけれども、現実の中身は米露間の核軍縮であったりとか、核不拡散とか、どちらかというと核を少なくしていくと、現実的に核を完全に一発もこの地球上からなくすという話ではなくて、より少なくしていこうという歩みでしかないように思われます。言葉遊びや、皮肉で申し上げているのではなくて、本当に核を完全に廃絶するということを現実的な目標として政治的に押し進めていこうとお考えで、米国と日本政府は協調して歩みを進めようと思っておられるのか、それともより核の少ない世界であるのか、few なのか nothingなのかについてお考えをお聞かせきださい。
(外務大臣)両首脳がどのようなお考えなのかについては、私(大臣)は想像するしかありませんが、何れにしても核のない社会を作るにしても、先ず核の少ない社会を作った上でないと、一度に核がなくなる訳ではありませんので、そのような意味で特に核を多く持っている米露間で如何に減らすかという議論を今行っていると思います。次のステップは、その他の中国、仏、英、或いはその他の核保有国を含めて、全体でどのくらいに絞っていくかという次のステップにやがて移っていくのだろうと期待しています。何れにしても一度になくなる訳ではありませんので、核のない世界という、ビジョンを描きながら、実際にはステップ・バイ・ステップでしっかりやっていくという以外に、私(大臣)はなくす方法はないと思います。
その他
(フリーランス 上杉氏)記者会見の運営の方式で、今日、下(東口玄関)にフリーランス等は集まって一緒に会見会場に入ったのですが、本日は、冒頭の大臣の言葉が聞けませんでした。というのも、全員揃わないと中に入れないので、自分が早く来てもちょっと遅刻になってしまいましたので、そのあたりも改善を是非お願いいたします。