外務大臣会見記録(平成21年10月2日)
外務大臣会見記録(平成21年10月2日(金曜日)11時56分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言-政務三役会議
○四大臣会議
○米軍再編問題
○スタインバーグ米国務副長官の訪日
○来年度予算の概算要求等
○子の親権問題(福岡での逮捕・拘留事案)
○韓国の対北朝鮮政策
○日メコン外相会議
○「密約」問題に関する調査
○外務省記者クラブ
○インド洋の給油補給活動
○鳩山総理のIOC総会出席
○西スマトラ州パダン沖地震災害
○日中韓首脳会議
冒頭発言-政務三役会議
(外務大臣)本日の政務三役会議について報告します。本日の政務三役会議で私からは前回の閣議の報告を行い、副大臣からは副大臣会議で出された各省政策会議について、どのように実施をしていくかについて報告がありました。例えば役所の建物の中で開くということでしたが、外務省の場合は時間的にも、例えば国会開会中であれば従来の民主党の部門会の時間は8時から開催していた訳で、外務省をその時間に開けて、しかも、議員だけならまだしもスタッフも建物の中に入るとなれば、セキュリティ上の問題もあり、チェックしていくことになると大変です。とりあえず第一回は議員会館の会議室で、従来と同じになりますが、そこで開くということで決定させていただきました。日程もほぼ決定しまして、第一回は私の国連総会への出席とか、日中韓外相会議への出席、本日からの日メコン外相会議への出席も含めて、そういうことで私も出席させて頂くことにいたしました。
また、各副大臣、政務官の出張日程の調整についても話し合いをしました。一方で来年度予算案の概算要求の再提出が10月15日までとなっておりますので、それまでの間、可能な限り副大臣や政務官は外遊せずに予算の見直し作業を重点的にやっていくということで、調整をさせて頂いたところです。そして、来年度予算案の見直し作業ですが、今週、副大臣、政務官は、外務省の事務当局から様々な説明を聴取しておりまして、それを踏まえて来週私が帰国したところで、精力的に見直し作業を進めていこうということです。
四大臣会議
(問)午前中、官邸で四大臣が集まって話されたと思いますが、一つは結論があるなら、その内容を教えて頂きたい。それに関連して同じことですが、普天間基地の移設問題は期限が迫っていて、今後今日やったような形で政府内での進め方、スケジュールについて、手順も含めてどうやっていくのかということのお考えがあれば教えて頂きたいと思います。
(外務大臣)四大臣、一部の副大臣、政務官が出席しましたが、政治家だけで情報交換というべきか、意見交換をいたしました。北沢大臣からは先般沖縄に行かれたことの状況の報告があり、私からは一連の米国側との意見交換の状況等を話をしました。これは正式な会議ではありませんが、必要に応じて非公式な意見交換会を当面続けていこうということにしました。
(問)スケジュールの話はどうですか。
(外務大臣)必要に応じて意見交換をしていこうとしたところです。
(問)外務省、防衛省共に普天間の移設計画について、何故こうなったのか検証作業を始めるということですが、この件については今日の会議で何か取り上げられたのでしょうか。
(外務大臣)当然、今進めているところです。
(問)今回の会議で正式に見直し作業に着手したということでしょうか。
(外務大臣)勿論、既にオン・ゴーイングとお考えいただければ良いと思います。見直しということではなくて、政権もその間に代わっている訳ですから、何故現在のプランになったのかについての検証作業をしようということです。
(問)今朝の会議で、大臣はどのような意見を述べられたのかをご紹介いただきたいのと、検証作業ですけれども枠組みであるとか、結論を出す目処は今のところ、どうお考えでしょうか。
(外務大臣)本日、私が申し上げたことは、日米間で意見交換をした概要を申し上げました。検証作業は急ぐ話ではありますけれど、特にいつまでと決めている訳ではありません。
(問)普天間基地の移設に関して、北沢防衛大臣は県外移設は難しいという考え方をこれまで示してこられた訳ですけれども、本日の意見交換の中で各担当大臣の間で意見の違い、見解の相違はありましたでしょうか。
(外務大臣)特にありません。北沢大臣の発言は、北沢大臣ご自身の意見をそのまま申し上げると「様々なところに行って意見交換をした、その意見について状況がよくわかる」ということをそれぞれ言ったわけで、決して自分の意見が矛盾している訳ではないし、何か一定の方向を示しているというよりは、その場での自分の率直な感想を述べただけだということです。
米軍再編問題
(問)辺野古に決まった経緯ですけれども、20世紀に決まったという部分もありますし、この前のロード・マップ合意でV字型滑走路が決まったということもあります。そもそもキャンプシュワッブ沖に決まったところから検証していくということでしょうか。
(外務大臣)基本的に現在のプランになった経緯を調べるということです。
(問)それはロード・マップ合意になった経緯を調べるということでしょうか。
(外務大臣)そこは特に限定はしていません。
(問)普天間の話ですが、国と自治体とが共に参加して協議する場として「普天間協議会」というのがあるのですが、一部報道では廃止するという話も出ているようですが、大臣のご見解と地元との協議のあり方についてどうお考えですか。
(外務大臣)廃止するという報道がありますが、政府としてそういうことを何ら触れた訳ではありません。報道については、私は不可解なものだと思っています。
(問)今月下旬にゲイツ米国防長官が来日されますけれども、それまでにという目処をお考えでしょうか。
(外務大臣)具体的に期限を切って決めた訳ではありません。
(問)在日米軍の関係で過去の検証ということがありましたが、米国側も米軍を世界にどう配置していけばいいかということについては、日々検討していると思います。決して米国の姿勢というのは不動なものではなくて、動じないものに日本がどう合わせていくかということではなく、相手も変わっていくという面もあるかと思いますが、この間、大臣の米国側との接触の中で、日本側が米軍基地を移設していく協議とか話し合いや持ちかけをする中で、米国側の姿勢もこう変わってきているのではないか、或いは、こういう方向に動き出している兆しがあって、それが我が方にとって得なのではないかという印象を持たれた先方の変化というのをどう感じていますか。
(外務大臣)現時点では特にありません。私も過去の検証作業が必要であるということを言っているだけで、それ以上踏み込んでいる訳ではありません。見直せとかそういうことを言っている訳ではまだありません。まず事実をきちんと検証しようということですので、そういう踏み込んだ議論にはまだなっておりません。
(問)検証作業のイメージがよく分からないのですが、過去に携わった防衛省や外務省の職員の方とか、地元の沖縄の自治体の方々等に事情を聞くということも入るのでしょうか。
(外務大臣)事情を聞くというか、地元というより、これを意志決定した時のどういうメリット・デメリットがこのプランにはあって、つまり、最後に残った今の案が、どういうところが評価されてこうなったのかということ自身について、私も承知している訳ではありませんので、当時の携わった方を含めて、或いは資料で残っているものが当然ある訳ですから、検証してみようということです。
(問)事情を聞くということもある。
(外務大臣)事情を聞くということも場合によってはあるかもしれません。
(問)今日の午前中の米軍再編見直しの件ですが、先ほど北沢大臣のお話の紹介のところで、普天間の県内・県外移設のところで意見の相違はないというお話しだったのですが、その点について、相違がないということは何かの意見で一致しているということでしょうか。
(外務大臣)こうすべきだという意見を今日はお互いに開陳した訳ではありませんから、そういう意味での違いは出てこなかったということです。そういう結論を持っている訳ではありません。
(問)普天間の問題について、(10月)15日の概算要求が迫っていますが、15日までに何らかの政府としての方針が決められるとお考えなのでしょうか。それとも、15日は差し迫っているので、15日には拘らない、どちらをお考えでしょうか。
(外務大臣)15日までに普天間の問題について最終決着をするということは極めて厳しい状況だと思います。予算の話というのは国会に提出するまでの間に最終決着すればいい訳ですから。
(問)12月までにということでしょうか。
(外務大臣)はい。もっと言えば別な言い方もあると思います。
スタインバーグ米国務副長官の訪日
(問)昨日、スタインバーグ米国務副長官とお会いになられましたが、会談の内容についても今日の会議でご報告されたのでしょうか。また、昨日の会談の中で米軍再編について「今後、日米で事務的に再協議をやりましょう」という話が出たのかをお願いします。
(外務大臣)スタインバーグ米国務副長官は、この米軍再編問題に関与してきた訳ではないという印象を私は受けました。特に突っ込んだやりとりをした訳ではありません。
来年度予算の概算要求等
(問)概算要求の話ですが、今後10月15日に予算要求が締め切られ、その後ゲイツ国防長官の来日、11月になりますとオバマ大統領の来日ですけれども、目処としては一定の方向性はどの時期で示されるのでしょうか。
(外務大臣)なるべく速やかにと思っています。特に期限を切っている訳ではありません。
(問)概算要求の見直しと合わせてということでしょうか。
(外務大臣)別にそんなことはありません。概算要求の見直しはすぐですから、そういうふうに決めている訳ではありません。
(問)本年度の補正予算の見直しについてですが、今日の政務三役会議で話があったのか。予算はどれくらいになったのか。大臣からどのような指示があったのか、教えてください。
(外務大臣)外務省としての案は作成してあります。ただ、これは政府の方で各省がそれぞれ出さないようにということであります。我々の案としてはあります。これを今度政府全体で当然検討して政府全体の案として提出するということになると思います。
(問)概算要求見直しの中で大臣から具体的にどのような指示を出されたのでしょうか。
(外務大臣)こういったことは、申し上げない方が良いと思いますが、極力まだ執行していないものについては見直しをするようにと指示を出してあります。
子の親権問題(福岡での逮捕・拘留事案)
(問)福岡の柳川の米国人男性が日本人女性と結婚をしていて、子供を日本へ連れ帰ったのを連れ戻しに行こうとして逮捕されたという事件があって、米国でかなり報道されているのですが、どうも両国の制度の違いから問題が起きているようなのですれども、それについて、外務省としては、外交問題かどうかも含めて対応されるおつもりはありますか。
(外務大臣)個別の問題に外務省が乗り出してということは今考えていません。ただ制度論として、この問題をどう考えるべきかということは、きちんと議論しなければならないと思います。現時点では外国人男性と結婚した日本女性が離婚して子供を日本に連れて帰るということが欧米で問題視されているということですが、逆のケースも当然起こり得る訳で、そういうことを考えれば日本自身も含めて、この問題にどう対応すべきかということをきちんと結論づける必要があるだろうと思います。
(問)では、その男性にはとりあえずは国内法に準じて対応するということになりますか。その男性の行為をですね。
(外務大臣)それは外務省が個別の案件について何か口を挟むようなことでは、基本的にないだろうと思います。
韓国の対北朝鮮政策
(問)六カ国協議についてお伺いします。韓国の李明博大統領が提唱されているグランドバーゲン構想についての大臣のお考えと、北朝鮮がこれを拒否する構えを見せていることについてのご感想をお願いします。
(外務大臣)個別の外国政府のやり方について私がコメントすることは控えた方が良いだろうと思っています。
日メコン外相会議
(問)日メコン外相会議についてお伺いします。メコン流域をめぐっては、非常に中国も積極的に経済協力開発に乗り出しています。以前は日本と中国の間で主導権争いをしているという見方が、世論や有識者の間でも出ていました。そうした中で、メコン開発を中国や韓国、他の国と連携してやっていくお考えはあるかどうか、そしてまた今回の外相会議で、大臣としてはどういった日本の立場を打ち出していきたいとお考えなのか、その点についてお伺いします。
(外務大臣)これは相手のある話、相手という意味は当事国の意向を無視して、或いは日中でこうやりましょうという話ではないと思います。当事国とよく意見交換をして、そして当事国の意見を聞きながらプランを作っていくということだと基本的にそう思っています。今回はそういう機会だと考えています。
(問)日メコンの会議の話ですけれども、参加国にミャンマーが入っておりますが、今回鳩山政権とミャンマーとの初めての正式の場になりますけれども、米国もミャンマーによる介入政策を打ち出す中、大臣としてはどのようなメッセージをミャンマーに対してお考えでしょうか。
(外務大臣)まだ、ミャンマーの外相とバイで会談できるかどうか最終的なセットは、昨日の夜の段階では決まっていなかったのですが、是非機会を作って、そしてミャンマーに日本の考え方をしっかりと伝えたいと思います。従来の日本の取り組みについて米国も含めて様々な意見もありましたけれども、認識としては米国の考え方が日本の対応に近づいてきたなという認識を持っております。
(問)岡田大臣から見てメコン流域関係国は、日本にとってどういう国々なのか、どういう重要性があるのか、大臣のご見解をお願いします。
(外務大臣)一つはASEANという括りで見ると、やはりASEANというのは重要な存在です。過去10年くらい、日本にプレゼンスが小さくなってきたという率直な感想を持っています。そういう中で、日本は期待されている訳ですから、もう一回しっかりと役割を果たしていきたい。ASEANの中でも特に今回のメコン流域は、ラオスありミャンマーもありということで、ASEANの中で経済格差があるとすれば、まだこれから発展を必要としている地域がこの地域にある訳で、日本としての果たすべき役割は非常に多いと思います。私はアジア内需ということを前から申し上げていますが、ベトナムも含めて、ラオス、カンボジア、ミャンマーは少し現状では違いますが、こういった国々にインフラ整備を含めて日本のかなりの役割が果たせるし、そのことが日本自身の成長にも繋がることだと思っています。
(問)最近日本のプレゼンスが小さくなってきたという印象をお持ちだというお話しでしたが、もしそうであるならば、その理由はどこにあるとお考えでしょうか。
(外務大臣)一つはやはり取り組みが遅れたということではないでしょうか。条約加入もかなり時間がかかりましたし、それから日中間で様々な緊張関係があったということがこの地域への働きかけを弱くした部分もあったと思います。そもそも関心が薄かったというか、政府全体としては関心が薄い訳ではないのですが、米国の方ばかりを向いていれば良いという総理もいましたから、そういうことも影響したのかもしれません。私は非常に惜しいことだと思います。これからしっかりやっていきたいと思います。
「密約」問題に関する調査
(問)「密約」問題の調査についてですが、前回の会見の時に、翌日チームに対して改めて私の考えを伝えたいとおっしゃっていましたが、実際どのように伝えられたのかということと、また、スタッフの方から、資料が3千冊以上と膨大ですので、スケジュール的に無理であるとか、そのような要望というか不満とかはありましたでしょうか。
(外務大臣)そういうのはございません。私も先般、全員に集まって頂いて、とにかくしっかり検証して事実を徹底的に洗い直してもらいたいということを個別にお願いしたところです。この密約問題がいかに外交の手足を縛る結果になっているかということ、国民の信頼感を取り戻すためにしっかりやってもらいたいということを申し上げました。
外務省記者クラブ
(問)前回の会見で質問した件ですが、外務省の省内にある記者クラブ、外務省記者会の部屋の賃貸契約はされているのかということと、外務省側で何か金銭的な負担をされているのかということを伺いたいと思います。
(外務大臣)そういった賃貸契約はございません。
(問)無償で提供されていると。
(外務大臣)そうです。
(問)その理由というのは。
(外務大臣)これは昭和33年の旧大蔵省官財局長の通達がございます。常時取材に当たる記者に対する活動拠点としての記者室及び最低限の取材活動の設備を提供しているということに対しては、昭和33年の旧大蔵省官財局長の通達「国の事務、事業の遂行のため、国が当該施設を提供する」対象の一つに新聞記者室を挙げ、庁舎の目的外使用に当たらないという判断をしていますので、それを踏まえたものです。
(問)見直すお考えは。
(外務大臣)現時点ではありません。
(問)財務省の通達が記者クラブに対してということなので、霞クラブと書いてある訳ではありませんので、例えば別の私達が記者クラブを作った場合は他の部屋を使わせて頂ける可能性もあるということですか。
(外務大臣)常時取材活動をするという実体があるかどうかという問題と、いろいろと複数が出てきた時に様々な混乱を生じますので、むしろそういう場合には現存のものに入って頂くことの可能性とかがまず追及されるべきではないかと思っています。
(問)要望なのですが、記者会見が毎回同じ時間であれば私達も外からやって来て、その時間に来ればよいのですが、急に会見があるとか待機していなければいけないといった場合、おそらくクラブ外の人間が非常に会見に出ることが難しくなっているという状況もありますので、そういう時に例えば少し待機する可能性とか考えて頂けると助かります。
(外務大臣)なるべく時間は早めに通知するようにしたいと思います。
インド洋の給油補給活動
(問)インド洋の補給活動ですが、先日大臣はテレビ番組で、「基本的に延長はしないが、絶対ノーとは言っていない」と話されていましたけれども、撤収方針をですね、確か与党の幹事長級会談で、口頭で撤収方針が確認されているのではないかと思います。また、この発言に対して福島党首や北沢防衛相の方から「延長しないということでやっていくべきではないか」という発言も出ていますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
(外務大臣)選挙の最中には、単純延長はしないという言い方で統一しています。それ以上でもそれ以下でもありません。マニフェストに延長しないと明記した訳ではありません。
(問)補給活動の話ですが、先日、夜のニュース番組で「基本的にはやらないが、絶対ノーということではない」と仰って聞き方によっては延長に含みを残したような、延長の可能性が少しあがってきたのかなと受け止められますが、何か変化はあるのでしょうか。
(外務大臣)選挙の後に変わったということはありません。選挙の時から申し上げている通り、単純延長はしなということです。
鳩山総理のIOC総会出席
(問)本日お忙しい中、鳩山総理はIOC総会に出られてオバマさんと直接対決するということもあるようですけれども、出発前に何か鳩山総理とお話をされたかということと、何かこの件に関して大臣のコメントを頂けないでしょうか。
(外務大臣)総理と話したことは特にありません。総理も大変な激務の中で時間を割いて行かれるのは大変だと思いますが、東京オリンピックを実現するために是非頑張って頂きたいと思います。
西スマトラ州パダン沖地震災害
(問)スマトラの地震の関係で、邦人の安否についていろいろと情報があるのですが、現段階で大臣の方で把握されていることはどういったことでしょうか。
(外務大臣)私のところにはまだ、邦人の安否についての報告は上がってきておりません。
日中韓首脳会議
(問)来週の日中韓首脳会議ですが、外相としての関わりはどのようにありますか。
(外務大臣)一応、出席の方向で考えています。
(問)ソウル、北京とも。
(外務大臣)いや、日中韓の首脳会議に出席の方向です。それ以外の事は何も決めていません。