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2009.11.20|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年11月20日)

外務大臣会見記録(平成21年11月20日(金曜日)16時27分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
 (1)欧州理事会議長の選出
 (2)2010年APECの日本開催
○米軍再編成
○拉致問題
○米高官の訪朝

冒頭発言
(1)欧州理事会議長の選出

(外務大臣)本日は私(大臣)からご報告すべき点は二点であります。一点はEUの欧州理事会議長が選出されました。欧州理事会議長にファン=ロンパイ現ベルギー首相、外務・安全保障政策上級代表としてキャサリン・アシュトン現貿易担当欧州委員(英国)が選出されたということであります。日・EUの関係は非常に重要でありますので、新しく選出されたこの二人の皆さんとしっかり協力しながら、日・EUの関係をさらに深めて行きたいと思っております。

(2)2010年APECの日本開催

(外務大臣)もう一点は今朝の閣議に関わる話ですが、今朝の閣議において私の方からAPEC閣僚会議及び首脳会議並びに関連会合の開催についてということで、来年の我が国が議長国を務めるAPEC会議、或いは関連会議について各省庁におかれてもご協力をお願いしたいということを申し上げ、経済産業大臣からも同趣旨の発言がありました。そして、その上で官房長官の方から本日、内閣総理大臣決定によって官房長官を議長とする日本APEC準備会議を内閣に設置したところである、というお話で一年後のAPEC日本開催に向けて様々な準備が始まるということであります。私(大臣)の方からは、この関連で閣僚懇の場で、APECも20年を迎えるということで、今後のAPECの新たな目標、そしてより意義の深いものにするための様々な議論も併せて行っていきたいと、それから来年は日本が議長国で、再来年は米国が議長国というこの2年間で、太平洋をまたいだAPECという組織をより意味のあるものにするために日米間でも協議をしていきたい、こういうことを発言したところでございます。

米軍再編成
(琉球新報 仲井間記者)普天間飛行場の移設問題についてお伺い致します。大臣はかねてから時間がないので県外を探すのは難しいと、時間をかけることで普天間の危険性をより放置することになるということで、「早急に」ということをずっと仰っていますが、飛行場をかかえる宜野湾市の市長は、かねてから普天間飛行場の危険性除去というものと、移設先探しというものは絡めないでほしいと、別々に分けて検討してほしいということをずっと仰っているのですが、大臣としては普天間の危険性除去と移設先探しを分けて考えるというお考えはあるかないかということと、その理由もあわせてお聞かせいただけますでしょうか。

(外務大臣)(宜野湾)市長は、普天間飛行場の廃止、撤去ということを仰っているのではないでしょうか。ですから、移設というお考えはないのではないかと思います。そこで食い違いがそもそもあるということではないかと思います。

(共同通信 上西川原記者)続けて普天間(基地移設)問題です。北澤防衛大臣は今朝の会見で、ワーキング・グループに関して、「防衛省の案を官邸と官房長官と外務省に提出した」という発言をされていますが、外務省としてはこれに対して、対案というか外務省案を作られるのかどうか。内容として、嘉手納基地の訓練移転縮小とか、地位協定の環境情報挿入とか、いろいろと言われていますが、これについてどのようにお考えでしょうか。

(外務大臣)まず、北澤大臣が公の場でどういう発言をされたのでしょうか。

(共同通信 上西川原記者)記者の質問に対して「我々が今の時点で考えられる最良の方法を外務省、それから官房長官に提示した。」

(外務大臣)私(大臣)から閣議のときに、最近の報道で少し気になるところがあったので、防衛大臣に「報道にあるようなことを言われたのですか」と確認しましたところ、「そういったことは言っていない」と言われましたので、直接、私(大臣)の方で確認しないと、今のお話に対してコメントができないという状況です。昨日も総理もいろいろと仰ったのですが、本日の報道でも、私(大臣)の参議院外交防衛委員会での発言が一部で引用されていましたが、聞いておられた方はよくお分かりだと思われますが、「ここで言い方を気を付けないと、何か私(大臣)が特定の方向を持っているように書かれかねない」とこのように断った上で、質問者が「論理的に可能性はないのか」と繰り返し聞かれましたので、「論理的に可能性がないとは言えない」と、「しかし、それが、私(大臣)が一定の方向性を持っていると書かれないように気を付けなければいけないと、そのように受け取ってほしくない」と、そのように重ね重ね断った上で答弁を致しましたが、それがまた「私(大臣)が現行案通りの決着の可能性について言及した」とか、そういうように一部報道されました。ですから、そういうようにして、明らかに意図と違うような、答弁と異なるような、そういう記事になるということですと、私(大臣)も「ここで誰がこういう発言をしましたが、」と言われても、それが本当にご本人の発言がどうだったのかということをきちんと確認しないと、申し訳ないですが、コメントをなかなかしにくい状況です。総理も「岡田外務大臣が参議院外交委員会で現行案通りの決着の可能性について言及したが、総理はどうですか」みたいな質問で、総理はいろいろと答えられたと思いますが、もう少しやはりメディアとして、正確に「誰がどう言ったか」ということを伝えた上で聞いていただかないと、私(大臣)は少し、いかがなものかと思っております。

(共同通信 上西川原記者)私は今、正確に伝えたつもりですので、大臣が確認してコメントをお願いします。

(外務大臣)確認したいと思います。

(朝日新聞 内田記者)普天間飛行場の関係ですが、ワーキング・グループの方に普天間飛行場の移設に伴う沖縄の負担軽減策のようなものを外務省として提出するお考えは、今のところございますか。

(外務大臣)このワーキング・グループの中で何を議論するかということですが、私(大臣)も先日、沖縄に行きまして、嘉手納町長や知事からも様々なお話を頂きました。現在の沖縄の負担、重荷を背負っている状況について、ご意見を頂きました。そういうことについて「何とかしなければいけない」と私もそういう思いで改めて確認させて頂きましたので、折角日米が集まっている訳ですから、そういったことについても、その場を利用して申し上げていくと、物を言っていくということは、私(大臣)は必要だと思っております。

(NHK 別府記者)沖縄の負担軽減の(外務省の)案をワーキング・グループに出すということでしょうか、出さないということでしょうか。それと、総理の方に出すということでしょうか、出さないということなのでしょうか。確認をお願いします。

(外務大臣)まだ、そこのところは何も決めておりません。出す、出さない、当然そういった議論になると思いますが、何かきちんとした形で出すのか、出さないのかということについては決めておりません。

(フリーランス 岩上氏)先日、嘉手納基地統合案に関してご質問させて頂いたのですが、それに関連して、嘉手納基地統合案を強く主張されている国民新党の政調会長である下地幹郎議員に昨日お会いして、いろいろ詳しくお話を伺ってまいりました。下地議員のお考えは、岡田外務大臣に直接膝詰めでお伝えしてあるということも仰られておりました。その上で三点ほどお聞きしたいのですが、先ず一点目、この嘉手納への統合というのは、必ずワンセット、沖縄の負担軽減とセットでなくてはならない、負担というのはつまりは航空機の離発着、これを外来機の訓練機に関して本土の関西空港であるとか、佐賀空港であるとか、静岡空港であるとか、どこかの空港ということは特定できませんけれども、こうした空港にも持っていって頂いて、嘉手納の負担を軽減すると、このセットでないと沖縄は納得しないだろうと。

(外務大臣)下地議員のお考えは聞いたことがありますが、私(大臣)の考えは下地議員と同じではありません。私(大臣)が申し上げていることは、今の騒音レベルを考えると、嘉手納が統合されたとして、その時の負担が今よりも減らないと、それは案にならない。そのことだけを申し上げております。

(フリーランス 岩上氏)そうしますと、そのレベルが下がるということで、訓練機の離発着の回数を本土の方の空港に持っていくということを、今お考えではないということでしょうか。

(外務大臣)私(大臣)が今申し上げたことは、私(大臣)が言っていることの全てです。

(フリーランス 岩上記者)そのことも含まれるのでしょうか。

(外務大臣)ですから、それが全てです。

(フリーランス 岩上氏)それに関連して、これは下地議員から聞いたことですが、大阪府の橋下知事が非公式な場ですけれども、もし、関空の方に米軍の(沖縄の)負担といいますか、それを持ってくるという話が正式に政府から申し込まれた場合は、検証・検討すると仰ったというのですが、この点について何かお聞きになっていること、お考え、話し合うというご予定はありますでしょうか。

(外務大臣)その発言は確認しておりません。

(NHK 禰津記者)嘉手納統合案に関連してですけれども、本日の午後の外務委員会で大臣は「嘉手納を統合するのを検証の対象にすべきだと考えた前提として、現在の騒音レベルが上がるようではだめだと、それを前提として、現在の嘉手納の基地機能を一部移すのが前提になり、そういうことが可能かどうかということも含めて検証しています」と仰っていましたが、これは嘉手納の基地機能を一部移すということに関して、今検証されているということではないでしょうか。

(外務大臣)そのことが可能かどうかを、検証しているということです。

(NHK 禰津記者)基地機能を一部移すということは、訓練を本土、または別の場所でやるということが可能かどうか今、検証されているということでしょうか。

(外務大臣)(すでに)私(大臣)が言った以上のことは申し上げておりません。

(共同通信 西野記者)嘉手納基地統合案について、大臣が言っておられることは変わってないと思うのですが、一方で日米のワーキング・グループや沖縄に行かれた時、今日の国会の議論でも、嘉手納統合案に関する、いろいろなこれまでの経緯であるとか、環境面、騒音の関係とか、否定的な立場は別として、否定的な意見はたくさんあったと思います。最初に「普天間の危険性を出来るだけ早く」という思いで言われた時と、それなりにいろいろな声を受け止められてきたと思うのですが、嘉手納案に関しては、嘉手納統合ということが可能かということの検証においては、結構最初に思っていた時よりも難しくなってきているという認識は今あるのでしょうか。それとも、全く最初の時と変わらないのでしょうか。

(外務大臣)もともと、簡単な話ではないという前提で議論しております。ただし検証の途中ですから、途中の感想を申し上げることはありません。

(日本インターネット新聞 田中記者)うち(日本インターネット新聞)はインターネットでカメラも入れてますから、大臣の話はそのままストレートに細大漏らさずに伝わりますので、ご安心してお答えください。辺野古の基地の問題ですが、グアムに相当な数が移れば、無理矢理、辺野古に基地を作らなくても、ある程度解決することも可能なのですが、大臣個人のお考えとしては、やはり選挙で公約したこともあることですし、辺野古にはできたら造りたくないとお考えでしょうか。

(外務大臣)今は、自分の好みを言う段階ではないというように思います。グアムに移転すればというお話ですが、それはどういう機能を移転するかということであって、やはりヘリの発着のための施設というのはどこかには要るということでありますので、それをすべてグアムに移すというのは、それはそう簡単な話ではないというように思います。ご存じのように8000人の海兵隊員はグアムに移転するということは日米間で合意をされているわけですが、主としてそれは本部機能を中心に移設をするということになっています。それ以上にさらに、例えばグアムに完全に移転するというようなことは、今までの経緯の中で日米間でも随分議論してきたことだと思いますが、そう簡単なことではないというように思います。

(読売新聞 川崎記者)再度普天間に戻りますが、本日沖縄県の仲井眞知事が記者会見で普天間のことに触れまして、来年1月の名護市長選で、もし移設反対派の候補が当選した場合は現行計画は極めて困難になるという認識を示されたわけですが、大臣も名護市民にこの是非を委ねるような形に、その前に結論を政府が下さないで、名護市民に結論を委ねるようなことがあってはならないというような主旨のことを仰ったように聞いておりますが、改めてそういう名護市長選の前に政府として結論を下すべきかどうかということについての認識をお伺いいたします。

(外務大臣)最初に仰ったお話は、知事がどういうふうに表現されていたか私(大臣)は承知しませんが、選挙の結果によって困難になるとかならないとか、そういう点について私がコメントするのは適切ではないと思います。選挙ではA候補、B候補があって、A候補が勝ったら普天間移設がうまくいかないとか行くとか言うことは、ある意味で選挙に予断を与えることになりますので、私(大臣)はそういう言い方はすべきではないというように思います。ただ、私(大臣)が沖縄で申し上げたことは、本来国のレベルで判断すべきことを名護の市民の皆さんに判断を強いるというのは、これは適切ではないということです。したがって、市長選が行われる前に国として決断をし、結論を出した方が私(大臣)は良いと思うと、こういうように申し上げたところです。

(J-CASTニュース 亀松記者)普天間問題ですが、嘉手納(基地)統合案について、11月2日の予算委員会で下地議員が自身の案を提示しながら質問した時があるのですが、その時に大臣が「嘉手納(基地統合)案は何度も日米双方から提案されたということは、それなりに可能性もあると考えている」と仰っています。日本側からだけではなく、米国側からも提案があったということで、具体的には2005年に提案があった訳ですが、そのことは嘉手納(基地)統合案にとってプラス材料と考えていらっしゃるかというのが一点と、あとは何故その時に日本側はそれを飲めなかったのかにつき、どうお考えでしょうか。

(外務大臣)当時のことは本当のところはよく分かりません。ただ、嘉手納(基地統合)案についての大きな問題の一つは、これ以上負担が増えるのではないかという地元の反対、もう一つはやはり運用上の難しさ、この二つだと思います。運用上の難しさについては、確かに難しいという主張は分かりますけれども、しかし、それが受忍できないような程度のものなのかどうかということは検証の必要があります。本当に受忍できないようなものであれば、客観的に分かる訳ですから、米国側から果たして提案しただろうか、これが私(大臣)の疑問の一つであります。地元の問題というのは、依然として残ります。これは米国側が提案したこととは関係なく、地元の反対ということは、それはそれでクリアしなくてはいけないということになると思います。

(J-CASTニュース 亀松記者)米国から提案があったということが、2006年以前ではありますが、今回ひとつのプラス材料というか、強調材料になるとお考えでしょうか。

(外務大臣)検証を必要とする点の一つです。

拉致問題
(フリーランス 上杉氏)本日は記者クラブの問題ではなくて、拉致問題についてお伺いします。昨日、日付としては本日ですが、国連総会第3委員会で、北朝鮮の人権問題に対する非難決議(北朝鮮人権状況決議)が採択されました。これを受けて、改めて大臣の拉致問題に対する方針をお聞かせ願えますか。

(外務大臣)拉致問題に対する方針は、基本的に前政権と変わっておりません。拉致の問題はもちろん、これは人道上、人権の問題であります。そして、この拉致の問題と核の問題とミサイルの問題、それを全体として解決した上で、日朝の国交の正常化というものを目指していくと基本的にそう考えております。

(フリーランス 上杉氏)国連総会第3委員会の決議に対するコメントをいただけますか。

(外務大臣)今、手元に国連決議の資料を持って参りませんでしたが、改めて北朝鮮の人権状況について、指摘がなされたというように思います。その中にはもちろん、拉致の問題も含めてということであります。拉致の問題、或いは北朝鮮における拉致の問題以外の今北朝鮮で生活している北朝鮮の人たちの状況も含めて、非常に人権侵害が現に行われているという状況にあるということをしっかりと是正していくということは、日本にとっても重要なことだと思っております。

米高官の訪朝
(共同通信 斎藤記者)米朝、北朝鮮の関係でお伺いします。ボズワース特使の訪朝日程がまとまりました。オバマ大統領が話されました。今回のその米朝協議の受け止めと、米朝協議が始まることによって、日朝協議を考えるステージにいくのかいかないのか、現時点での見通し及び考えをお示し下さい。

(外務大臣)米朝協議、実際に12月8日にボスワース特別代表が訪朝されることで、何らかの進展があることを期待したいと思います。ただ、北朝鮮の今までの様々な交渉を見ておりますと、そう簡単に道が開けるという感じは、今まではありませんでしたので、何らかの進展を期待しつつ、しかし過剰な期待は禁物であるというように思っております。




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