外務大臣会見記録(平成21年12月22日)
外務大臣会見記録(平成21年12月22日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言-政務三役会議
○米軍再編問題
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○カンボジア政府によるウイグル族難民の強制送還
○米露核軍縮交渉
○世論調査(内閣支持率)
○その他(エコカー)
冒頭発言-政務三役会議
【岡田大臣】私(大臣)からは本日は特に最初に申し上げることはありません。政務三役会議(のこと)だけ少し報告しておきたいと思います。色々ありますが、福山副大臣がCOP15から戻りまして、その現場の状況の報告がありました。その上で、やはりこれから、基本的にはCOP16に向けて、今回のことを踏まえて、より外交的な努力というものが求められる、ある意味では日本の外交資源のかなりのものを使って、これから(COP)16に向けて、様々な準備をしていかなければならないという話、或いは共通の認識に至ったという話です。もちろん、今回行かれた鳩山総理はじめ、日本の代表団は非常にいい仕事をしたという評価の上での話です。
米軍再編問題
【朝日新聞 内田記者】米国のクリントン国務長官が藤崎駐米大使を国務省に呼んで、日米関係について話をするという異例の出来事がありましたけれども、クリントン国務長官からはどのような話があったのでしょうか。
【大臣】議論の詳細をお話しする立場にはございません。ただ、クリントン国務長官から日米問題の重要さ、そして沖縄の基地問題の重要さについてお話があったというように認識をしております。特に何か新しい話があったというようには認識をしておりません。
【琉球新報 滝本記者】今の話に関連しまして、沖縄の基地問題の重要性についてお話があったというように大臣はおっしゃられましたけれども、何がどういうように重要だということでのお話だったのでしょうか。
【大臣】私(大臣)はそういった個々の中身をお話しする立場にはございません。ただ従来、米国政府が述べてきていますことは、普天間の移転に関して、日米合意案というものが重要であるというのが米国側の一貫した主張でありますので、同様な話があったのではないかというように申し上げたいと思います。私(大臣)は断定をすべきではないと思います。
【毎日新聞 須藤記者】今の関係で、個別の話ではなくて全体の話をお聞きしたいのですが、コペンハーゲンで総理はクリントン国務長官との晩餐会の席で、かなり長い時間、色々とお話をされたと総理自身が仰ったのですけど、その時におそらく総理は我々(記者)に「クリントン国務長官の理解を得られた」と広い意味で言われたと思うのですが、そのあとすぐにクリントン国務長官が駐米大使を呼んで、もう一度、米国側の意図はこういうことだと伝えています。どうも個別のやりとりの中身というよりは、日本と米国との間で、いちいち細かいことのコミュニケーションがどうも上手くとれてないのではないかという印象を受けるのですけれども、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか。
【大臣】コミュニケーションがとれていないというような判断をした理由がよく分からなかったのですが。
【毎日新聞 須藤記者】総理とクリントン国務長官は話された直後に、再び話をしたクリントン国務長官が大雪の中、駐米大使を呼んで念押しをしています。おそらく、クリントン国務長官は総理が「米国から理解が得られた」と記者団に話したことについて、「そうではない」と。日米関係の重要性ということは理解しているが、普天間の新しい移転先を容認した訳ではないということを強調したかったのではないかと思われるのですけれども、そのあたりの細かい意思疎通がどうも出来てないのではないかと思います。食い違いが感じられるのですが、そういうことをお尋ねしています。
【大臣】仮定に基づくお話ですから、どういう前提でその仮定が出てきたのかもよく分かりませんので、コメントのしようがありません。
【フリーランス 岩上氏】自民党の長谷川参議院議員が離党しました。自民党の議員が離党するのは、参議院議員ではこれで二人目です。これは、数は少ないですけれども、政局に大きな影響を与えるものであろうかと思います。とりわけ、外交問題で三党合意で、ある意味縛られている状態にあるこの普天間問題についても、どこかで大きな決断をする際、数の問題が影響を与えるのではないかと思いますが、この件についてお考えをお聞かせください。
【大臣】どういう経緯で自民党を離党されたのかというのは、私(大臣)は詳細に承知しておりません。また、及ぼす影響ということについても、あまり安易なコメントはしないほうがいいと思います。ただ、今仰った中で「三党合意に縛られている」と言われましたが、三党合意をご覧頂ければ分かりますように、かなり抽象的な話でありますので、「縛られている」という意味がよく分かりません。かなり大きな幅を持った表現になっていると(思います)。私(大臣)は交渉の当事者でありましたので、色々な具体的な話がある中で、あのような表現に落ち着いたということだけは申し上げておきたいと思います。
【西日本新聞 斎田記者】確認ですが、クリントン国務長官と藤崎駐米大使の会談で、大臣は、「詳細を話す立場にない」というように仰られましたけれども、大使の方から会談の内容についての報告は受けてらっしゃるのですか。
【大臣】もちろん受けています。
【西日本新聞 斎田記者】そうするとその上で、内容についてはご存知だけれども、詳細についてはここでは申し上げられないということでしょうか。
【大臣】それぞれの信頼関係に基づいて、外交、それぞれの国のハイレベルの人間が意見を交わしたことについて、個別具体的にお話しをするということの方がむしろ異例だと思います。
【朝日新聞 倉重記者】今の質問に少し追加ですが、会談の詳しい中身は立場上仰られないということですけれども、我々第三者から見て、米国は非常な寒波で交通状態が非常に麻痺している中で、あえて大使を呼んで、その直前でコペンハーゲンで総理が晩餐会で(クリントン国務長官と)隣同士で、「基地の話に触れて理解を頂いた」と記者団に語っている直後に、改めてクリントン国務長官から大使を呼びつけたと、呼ぶというのは、やはりどう考えても異例、極めて異例だと思うのですが、この米国側の対応について、どのように受け止めてらっしゃいますでしょうか。
【大臣】クリントン国務長官は大使を呼びつけたのではなくて、呼んだのですが、これは鳩山総理とクリントン国務長官がたまたま晩餐会で隣り合わせになって会話を交わしたことと関係があるのかどうかということも、これは一定の想定です。私(大臣)はそれが関係があるのかどうかもよく分かりません。ただ、恐らく長官としては、アメリカの受け止めについて、「受け止め」という意味は、今回の(日本)政府の決定、決定というのは公式には「三党でよく協議していこう」ということではありますけれども、その受け止めに対して、何らかの米国側としてのそれに対する受け止めを伝えておきたいということであったと思います。
【朝日新聞 倉重記者】これを受けて、大臣から改めて説明をされるという機会は、特に予定されていませんでしょうか。
【大臣】私(大臣)の判断する限り、そのことについて説明を求められているとか必要だというようには捉えておりません。
【共同通信 上西川記者】関連ですが、今言われた政府方針の実質的な内容がなかなか公に発表されませんが、クリントン国務長官、一連の米国側の対応を受けて、日本政府としてもこれからどうしていくのかという部分について、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】この前少しお話ししましたように、私(大臣)は事実上、基本政策委員会の場で三党の間で合意が出来たというように考えておりますので、それをどういうタイミングで出していくかということは官房長官に委ねられていると考えております。
【日本テレビ 小栗記者】先程のクリントン米国務長官と藤崎駐米大使の話に戻りますが、このタイミングでわざわざ国務長官が藤崎大使を呼んだということは、当然敢えてそういう場を設ける必要があったというようにクリントン長官側が判断したと思うのですが、基本問題政策委員会の決定を受けての反応だったということでしょうか。改めてもうこれについての反応はないということでしょうか。
【大臣】米国のことですから私(大臣)が勝手に決める訳にはいかないですが、基本的に日本の政府の考え方について今回米国政府としての受け止め方を話したということだと思います。日米間での意思疎通ということは、私(大臣)とルース大使の間でもかなり綿密に行っておりますので、そのことも踏まえての反応だったと思います。
【北海道新聞 佐藤記者】引き続き政府方針について、公にするのが官房長官の判断ということですが、今回の藤崎大使とクリントン長官とのやりとりを受けて、この固まった政府方針を変えるお考えはおありでしょうか。
【大臣】特にないです。公にするのは官房長官の判断というのは、「(三党間の合意を)いつ公にするのか」は官房長官の判断ということです。
【読売新聞 川崎記者】普天間基地問題の関連ですが、今回、クリントン長国務官から藤崎駐米大使へ伝えられた内容についての詳細は明かせないということですが、大臣ご自身の認識として、今回こういうタイミングで、我々から見ると、客観的に見ても異例と思えるべきタイミングで、長官が大使を呼んで米側の考えを伝えたと。そして、今の現状認識としまして、大臣は以前「日米関係が揺らいでいる」と仰っいましたが、揺らいでいる状況からさらにそれが継続しているというお考えなのか、ご懸念に思っておられるのか、その辺りについてご認識を伺いします。
【大臣】別にこれで問題が解決したわけではありませんので、そういう意味では、なお細心の注意を要するというように思っております。ただ、今回、藤崎大使が国務省に呼ばれた事自身が今まで以上に心配しなければいけない事態かと言うとそういうようには全く思っておりません。最終的に、米政府の今回の日本の方針に対する受け止め方というものについては、大使を通じて明らかにするか、あるいは私(大臣)とクリントン長官が電話なりで話をするか(ということになると思います)。何らかの形で、米政府の考え方が伝えられるものだと思っておりましたので、想定の範囲内のことであります。
【フリーランス 岩上氏】基本政策閣僚委員会の方で三党で協議していくと、これだけが決まったということが発表されました。そうなれば当然、社民党と国民新党の意向というものは無視することは出来ないということだと思うのですが、その一角である国民新党の下地政調議長が沖縄で「外務省、日本政府はとにかく交渉を続けるべきだ」と25日という日にちを出しているのですが、
【大臣】18日ではなくて。
【フリーランス 岩上氏】25日ということを。
【大臣】一週間延びたのですね。
【フリーランス 岩上氏】この辺りは、実は講演録の中身全部を把握していないのでわからないのですが、もしかしたら米国がクリスマス休暇に入る前にとにかくぎりぎりまで粘って交渉するべきだというような趣旨かもしれません。少しでもこうした米との交渉を前へ前へ進めていくべきだという考えについて、外相としてどのようにお考えになるかお聞かせください。
【大臣】三党でその前の基本政策閣僚委員会で方針は確認をいたしました。その中身は今、私(大臣)の口からお出しするわけにはいきません。これは約束ですから。その方針に沿って粛々とやっていくと。下地議員もその場にはおられたはずですから、当然、その考え方には賛同されているはずであると思います。
【NHK 別府記者】藤崎駐米大使から寄せられているクリントン国務長官の政府方針に対する反応であるとか、これまで米から得られている反応で、大臣は以前、日米関係に対する懸念といったことも言及されていましたが、それは高まるようなことになっていますか、それとも高まる必要はないとの受け止めでしょうか。
【大臣】想定の範囲内です。もちろん、楽観している訳ではありませんが、非常に重要な問題だと思いますので、しっかりと対応しなければいけないと思います。何か大使と長官が会った結果として、想定外の新しい事態になっているとは全く思っておりません。ちなみに、昨日の夜、(藤崎)大使から電話をもらいまして、(国務長官に)会うにあたってのいろいろな点についてアドバイスを求められたので、私(大臣)なりの考え方も申し上げておきました。それを踏まえて、大使に(国務長官に)会って頂いたということです。
【琉球新報 滝本記者】先程、大臣はクリントン長官の具体的な中身ではないのですが、普天間に関して、「日米合意案は重要だという米側の一貫したお立場」というお話ではないかというお話でした。それはその想定内というお話ですが、米側は「今の日米合意案で行くべきだ」というお立場ということは変わらずということは今もあると思いますが、一方、日本側としては「三党で協力してやっていこう」という話になっていると。また、そのベースにあることは、常々仰っておられる総理のお考えは「新たな移設先も含めてあらゆる選択肢を考える」ということ、つまり「現行案と違う方向も模索して考えるべし」という方向で協議をしていこうということになった理解します。そうなるとやはり、米との立場、その方向性が違う方向を向いたままになっていると思うのですが、その部分は三党で協議していくという日本国内の話と、ワーキング・グループの目的は別途付与されるのかどうかですが、米国との交渉は、どのように進めていくお考えかお聞かせ下さい。
【大臣】米側の負担の軽減ということは、現在の日米合意を前提にしての話ですから、そういう意味では、今のままではワーキング・グループを早急に動かすということにはならないと思います。以前も申し上げたと思いますが、それ以外にワーキング・グループに別の役割を負わすのであれば、それは話が違ってきますが、今の状況で、米側としては、考え方を変えていない訳ですから、そして、今の案でいくという前提で様々な負担軽減策ということを言っておりますから、ワーキング・グループが早急に動くと考えにくいと思います。
【共同通信 西野記者】先ほどのお答えの中で「楽観はしていない」「しっかり対応していかなければならない」と、外交の責任者としてのお言葉だと思いますが、そのしっかり対応する中身について、どのようなことをお考えでしょうか。
【大臣】今、非常に話しにくい状況です。三党でどのような合意をしたのかということは公式に発表されておりませんが、「新しい候補地について検討する」と総理が仰っておりますので、そういったことについて迅速に対応を進めていかなければならないということだと思います。
【読売新聞 川崎記者】今回の普天間基地問題についての大臣の先ほどからのお言葉で、「細心の注意を払わなければいけない」や「楽観視していない」という、ある意味現状の厳しい認識を示されたと思います。そうしますと、先ほど大臣が、日米関係について「若干揺らいでいる」と仰った時と、想定の範囲内とはいえ「日米関係は揺らいでいる」という現状認識は変わっていないという大臣のご認識ということでしょうか。
【大臣】揺らぎ方にはいろいろあると思いますが、十分注意をして進めていかなければならない状況であると思います。
【ドイツテレビ 西里記者】普天間基地の問題は、沖縄の負担を軽くするということと、対等な日米関係という二つの問題、角度があると思います。個別の問題というよりも日米関係ということで、自民党時代は特に海外からは「属国」という言われ方もされていた訳ですが、そのような意味で対等な日米関係を築く一つの表れ方というように解釈するのは間違いでしょうか。
【大臣】普天間基地の問題というのは、沖縄の負担を軽減するということと、我が国の抑止力というものをどのように維持していくかという問題だと思います。対等の日米関係というのは、切り口が違う問題だと思います。この問題が対等な日米関係につながるどうかということは非常にお答えしにくいです。私(大臣)はあまり、そのような視点でみたことはありません。
【日本テレビ 小栗記者】確認ですが、先ほど鳩山総理も言っておられるとおり「新しい候補地について検討する」と(大臣は)仰いました。新しい候補地を検討した結果、それが見つからなかった時に、沖縄では県外への期待感が高まっていますが、また辺野古に戻るという選択肢、可能性というのは残されていると見てよろしいでしょうか。
【大臣】今、総理が決意を示された訳ですから、そういったご質問に先取りしてお答えしない方がいいと思います。しかも、もっと良い案があるというように、他の与党も仰っている訳ですから、その可能性を徹底的に追求してみることが、今求められていることだと思います。その結果を先取りして、その先の話をするということは、今は避けたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】先ほどの私の質問に対してのお話ですが、「今の案で負担軽減策というのは、今の合意案をやった上で」ということだと米側の姿勢で仰らたと思いますが、その仰られる時の負担軽減策というのは2006年の日米合意のロード・マップの中にあるパッケージとされたグアムへの移転も沖縄にとっては負担軽減策、更には本島中南部の基地の返還も負担軽減策ですが、これとは別のロード・マップの中の負担軽減策とは別の案(負担軽減策)がワーキング・グループで「この日米合意案を了承するならば、この負担軽減策を示せる」ということが米側から提示されているという意味でしょうか。
【大臣】議論の対象にはなり得るという話だった訳です。例えば、訓練場所を変える等、いくつかのことが考えられると思いますが、そういったものは米側は「基本的に今の日米合意案が前提の話である」というスタンスです。中身は詳しく申し上げません。私(大臣)はそこは必ずそうなのかどうかというのは議論の余地はあるのではないかと思っております。ワーキング・グループを動かして、例えば普天間基地の現在の騒音、或いは訓練中の問題とか、一部の移転の問題などは、今の日米合意案を前提にしなくても、今の危険を除去するという意味においても、考え得ることではないかと思います。嘉手納基地の騒音も同様です。そういうことはそういうこととして、切り離して話してみたい気がしますが、日米間で一呼吸おいた上でそういう提起をしていきたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】まだ、提起はされていらっしゃらないのでしょうか。
【大臣】もう少し固まった上で言った方が良いでしょう。
【共同通信 上西川原記者】来年は日米安保条約50年で1月19日署名だったと思いますが、大臣は「普天間という目の前のものが片付かないと、この議論をなかなか進められない」という話でしたが、今の段階で分かっている話では数ヶ月かけて新しい候補地を探していくという流れにありますけれども、その間、この話は一切前に進まないとお考えでしょうか。
【大臣】できれば動かしたいというように思いますが、相手がある話ですから、一呼吸置きながらよく話をしてみたいと思います。ある程度並行してやらないと、その間全く話ができないということになりますので、できれば並行して動かすことができないかどうか交渉してみたいという気持ちはあります。しかし、まだ少し、今すぐということではないかなという気がします。
【フリーランス 岩上氏】先程、大臣は「三党の合意で方針は既に決まっているけれども、発表するのをもう少し待って欲しい」と仰っております。他方、米国とは緊密な連絡を取ったり、話し合いを続けています。ルース駐日米大使とも話を続けていると仰っています。内閣で決められた方針なり、方向性なりを米国側には既に伝えたのでしょうか。それとも国民に対してだけ待って欲しいということなのか、米国側に対しても、方針とか方向性も含めて米国側に伝えずに待って欲しいと言っている状況なのでしょうか。
【大臣】基本的な方向性については、これだけコミュニケーションを取っている訳ですから、米国側に伝わっていると考えています。
【フリーランス 岩上氏】そうしますと、国民の側だけが待たされているというような状況ですか。そして、いつになったら、それについて明らかにされるのでしょうか。
【大臣】それは官房長官に聞いて下さい。
いわゆる「密約」問題に関する調査
【読売新聞 宮井記者】密約の調査に関連して、読売新聞の取材で沖縄返還時の核の持ち込みの密約が佐藤栄作元首相の遺族の家に保管されていることがわかったのですが、この事実、我々の報道を踏まえて今後その紙について調査をされる予定があるのかということと、今後の調査にどのような影響を与えるとお考えかお聞かせください。
【大臣】その報道は最近のものですか。本日の夕刊ですか。私(大臣)はまだ承知しておりません。どのように取り扱うかは、今はこの密約の問題は外務省の手をいわば離れて検証委員会に移っておりますので、北岡先生はじめ検証委員会のメンバーの先生方がどう考えられるかという問題だと思っております。私(大臣)から特にそのことについて予断を持って申し上げるべきではないと思います。
カンボジア政府によるウイグル族難民の強制送還
【日本インターネット新聞 田中記者】話はカンボジアの方に飛んで恐縮ですが、先週の土曜日19日に、カンボジア政府が中国から亡命してきているウイグル族20人を中国に強制送還する事件がありまして、これはカンボジアと中国の問題だと言ってしまえばそれまでですが、日本政府は、国連の人道理事会でカンボジア人権決議の主要国になっています。それと1992年のUNTACの時から、私も現場に行っていましたが、ODAを通してカンボジアと長いつきあいがありますが、日本政府としてこの人権問題について何かアクションを起こさないのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】今回20名のウイグル族が本国に強制送還されたという件に関しては、そういった措置によって、このウイグル族の皆さんが、生命や安全の危険にさらされる可能性があり、難民条約の精神に照らして、かつ人道的見地から今回の措置が適切であったとは言い難く遺憾である旨をカンボジア政府には日本政府として伝えたところでありますし、懸念を表明したところであります。
米露核軍縮交渉
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読させて頂きます。本日は、米露の核軍縮交渉についてです。12月5日に失効した「第一次戦略兵器削減条約START1」の後継条約について、コペンハーゲンで18日、オバマ大統領とメドベージェフ大統領の米露両大統領の間で会談がありましたが、合意には至らなかったそうです。それぞれ思惑があると思いますが、核なき世界の実現に向けて、日本として出来るこ
とということはあるのでしょうか。
【大臣】私(大臣)はそんなに悲観的ではありません。米露間で一定の合意がやがて出来るだろうと考えております。そしてその上で、米露間で一定数まで減らした後は、他の核保有国も含めて、つまり、英、仏、中国も含めて、もちろんそこには核保有国でないとはっきりしていない国も含めて、地球全体でどのくらいかということは、次のステップです。その辺りまでは、しっかり道筋を描きながら進めていくことが非常に重要だと思っております。オバマ大統領も「核なき世界を目指す」と言われましたし、ロシアの方も含めて、私(大臣)は、それぞれの計算の仕方とか、お互い少しでも多くという気持ちはあるにしろ、まとまるところにまとまるだろうと楽観的に考えております。また、そうでなければいけないと思います。
世論調査(内閣支持率)
【朝日新聞 倉重記者】先週末、各社世論調査をしました。朝日新聞で申しますと、内閣支持率48%と5割を切り、(各社共)大体5割前後の結果が出ております。これに対して、政権交代をして非常に国民の期待が高い中で、支持率下落ということについての受け止めをお願いします。
【大臣】難しいですね。野党時代に民主党の支持率が高めに出ていたメディアほど今回低めになっているような気がしますが、これをどのように理解したら良いのかというのは、もう少し専門的な分析も必要だと思います。何れにしても、今の数字に一喜一憂するのではなく、国民の皆さんの期待に応えるという意味でも、我々の課せられた仕事をしっかりやっていくということに尽きると思います。外交についても、内政についても、やるべきことをしっかりやっていくということ、その姿を見ていただいていく中で、更に支持していただくということを期待したいと思います。
その他(エコカー)
【マガジンX 島田記者】外務省の公用車のいわゆるエコカーの台数の割合を教えて下さい。
【大臣】私(大臣)は知りません。そういう事実関係は事前に聞いておいて頂いた方がいいです。なるべく増やしたいと思いますが、買い替えのときにそういったものを増やすように考えていくべきだと思います。ただ、エコカーと言われる中にも、ずいぶん排気量が多くてハイブリッドが付いているというものもありますから、その辺は常識的な線で考えていかないと、やたら高いものでもいけないと思います。
【マガジンX 島田記者】低排気量の車であれば、ハイブリッド車やEV車でなくても考えているということでしょうか。
【大臣】一つは価格の問題があると思います。ハイブリッド車でも、例えば3500CCとか4000CC近い巨大なエンジンでハイブリッドというものがあります。そういうものは、本当は、私(大臣)は、公用車としては適切でないと思います。ですから、単にハイブリッドであるとか、エコカーだからというだけで選ぶのではなくて、そもそもCO2の排出量がどれだけかという基準で考えていくべきだと、基本的にはそう思っています。ただ、私(大臣)も今、結構大きな車に乗っておりますが、これは大臣車ですから、買い替えのときにはいろいろと意見も言いたいと思いますが、それを今「替えろ」ということも無駄な話ですので、現在、自ら納得させて乗っているということです。
【マガジンX 島田記者】いずれ、納得したい方向にもっていきたいと。
【大臣】そうです。