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2009.12.25|記者会見

外務大臣会見記録(平成21年12月25日)

外務大臣会見記録(平成21年12月25日(金曜日)14時40分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言-クリントン米国務長官との電話会談について
○日米関係(クリントン米国務長官との電話会談等)
○民主党政権発足後100日
○高校の新学習指導要領
○ロシア訪問
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○献金疑惑
○日印関係
○その他(インターネットの活用)

冒頭発言-クリントン米国務長官との電話会談について
【大臣】私(大臣)からは一点だけ。昨晩、クリスマスイブでしたが、クリントン米国務長官と電話でお話を致しました。日米安保50周年を来年に控えて、日米間の安全保障を巡る様々な問題について意見交換を行いました。その中には、普天間の移転の問題も含まれております。引き続き緊密に協議していくということで一致を致しました。普天間の問題では、従来の政府の方針を改めて説明しました。もちろん、今までもルース駐米大使を通じて、米国政府には日本政府の考え方を連絡し、意思疎通を行ってきたところでありますが、改めて電話でカウンターパートである長官に直接説明を致しました。それ以上のやりとりにつきましては、本日、皆様に詳細にお話するべきではないというように思いますので、この点につきましては、以上にさせて頂きたいというように考えております。

日米関係(クリントン米国務長官との電話会談等)
【テレビ朝日 新堀記者】クリントン米国務長官との電話なのですけれど、これは大臣の方から申し入れたものなのでしょうか。藤崎駐米大使とまだ今週お話になったばかりかと思うのですが。

【大臣】どちらがというのは、必ずしもはっきりしません。お互いが必要だと認識をしたから成立したと思います。実は、かなり早い段階から、「一度電話で」話をすることとなっておりましたが、クリントン米国務長官がCOP15でデンマークに行かれまして、十数時間、首脳会議に同席されて、時間が取れないということもありまして、昨日になってようやく実現したものであります。

【共同通信 西野記者】この案件については、日本政府の方針というのは、「平野官房長官が中心になって」ということだった思うのですが、平野官房長官は5月までといった数字を出しておられるのですが、そういった官房長官の考え方というものは、議題には上ったのでしょうか。

【大臣】官房長官の考え方というよりも、日本国政府として意志決定をしたことについてお話をしました。

【沖縄タイムズ 吉田記者】詳細には言えないということだったのですが、クリントン米国務長官の反応は、大雑把にどういう感じの反応だったかということだけでも紹介いただけないでしょうか。

【大臣】先程もお話をしましたように、この件についてはルース駐米大使を通じてやり取りをして参りましたが、その反応と同じです。想定の範囲内の反応でした。

【朝日新聞 内田記者】その電話会談なのですが、政府として意志決定したことについてお話をしたということですが、もう少し、どういう意志決定について大臣からお話されたのか、出来る限りお聞かせ頂きたいのですが。また、何時頃に何分間位お話をされたのでしょうか。

【大臣】時間は確か、夜の10時半位だったと思います。同時通訳が入って、時間にして20分位だったのではないかと思います。それから中身については、何度かここで申し上げておりますように、官房長官がお話することになっておりますので、私(大臣)から事前に申し上げるのはいかがかというように思います。各大臣が集まった時に、官房長官が明らかにすると決めたことでありますので、むしろ官房長官に聞いて頂きたいと思います。

【共同通信 上西川原記者】日米の電話外相会談に戻ります。先程、「政府方針はまだ官房長官が発表していないので」ということでしたが、「5月まで」というところはオンで話されていると思うのですが、その点については伝えられたかどうかというのは確認出来ますでしょうか。また、この日米外相会談はかなり大きな関心事項でして、これも普通であれば(会談が)終わって速やかに報道発表がなされたと思うのですが、今回タイムラグが生じたのはなぜでしょうか。

【大臣】タイムラグというのは。

【共同通信 上西川原記者】要するに、昨日の夜の段階で発表が無かったのはなぜなのかなと。

【大臣】具体的な中身をきちんとご説明した方がいいと考えて、この場でお話をさせて頂いている訳です。それから、中身については先程言いましたように、官房長官がお話をするという約束になっております。政府として決めたことは、私(大臣)は伝えてありますけれども、どういうことを伝えたかということは、官房長官がお話しになることが伝えた中身であるというようにご理解頂きたいと思います。

【毎日新聞 須藤記者】先ほど大臣は、クリントン米国務長官と電話会談をした理由について「直接説明したほうがいい」と仰られたのですが、大臣と総理はルース米駐日大使と直接お話をされている訳ですし、総理もコペンハーゲンでクリントン米国務長官とお話をされています。それでも尚かつ、もう一度直接話したいと考えられたのは、この間大臣が会見で何度も仰っている「日米関係に注意を払わなければいけない」等のようなことを踏まえて、繰り返し相手と直接話しをした方がいいという認識からもう一度会談をされたのでしょうか。今回の電話会談は大臣の方から申し込まれたという認識でいいのかどうかという確認をお願いします。

【大臣】そこはやや微妙です。先ほど申しましたように、双方が必要だと考えたから電話会談が実現したと思います。今仰ったコペンハーゲンにおける総理とクリントン米国務長官との若干の意見交換というのは、たまたまそういったことが起きたということであって、そのことと今回の電話会談というのは別ものだとお考えいただければいいと思います。

【琉球新報 滝本記者】クリントン米国務長官との電話会談で、幅広い日米安保50周年や普天間基地の移設問題も含めてというお話でしたが、以前お伺いした部分で「普天間の移設とは別に危険性の除去について考えることを提起してみたい」というお話がありましたが、昨日の電話会談で、その関連の現状の普天間の危険性除去、騒音の問題、安全性の問題について大臣の方から言及ございましたでしょうか。

【大臣】昨日の段階では、私(大臣)からは特に言及しておりません。もう少し「フェイス ツー フェイス」でしっかりと話しをしないと、なかなか電話で話して、簡単に答えが返ってくる問題ではないと思っています。

【読売新聞 村尾記者】大臣は以前「年内に決着しなければ、日米同盟は危機的な状況に陥る可能性がある」と仰っていましたが、いよいよ年も押し迫ってきましたけれども、昨日の電話会談を受けて、そういった危機的状況はある程度回避されたとお考えなのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は「年内に」と言ってまいりましたのは、場所を含めて年内に決めるというように必ずしも言ってきた訳ではありません。このように思っていた時期もありましたけれども、この会見の議事録をご覧いただければ分かりますが、ある時期から「年内に方針を決める」と言ってきたつもりです。その方針は、もう既に決まった訳です。昨日、クリントン米国務長官に改めて説明を致しましたが、ルース米駐日大使を通じて聞いていた反応と同じ反応で、そういう意味では想定の範囲内であるということです。中身は特に申し上げるべきではないと思います。

【NHK 禰津記者】今の日米関係全体についてお伺いします。100日という節目の日ということもありまして、これまでの会見で「今の日米関係が揺らいでいる、危機的な状況を感じている」ということを仰っていましたが、改めて今の日米関係の現状についてのご認識と、来年は日米安保50周年の節目の年ですが、日米同盟、日米関係をどのようにして立て直して行きたいか、その道筋についてお願いします。

【大臣】なるべくコミュニケーションをとりながら、信頼関係を構築していかなければならないと考えております。日米安保50年ということでありますが、最初に私(大臣)がクリントン米国務長官とニューヨークでお会いした時に「30年、50年と日米同盟が持続可能で、そして、より深化したものに、深まったものになるように努力したい」と申し上げましたが、改めてそういう気持ちでしっかりと取り組んで行きたいと考えております。同時に普天間基地の移設問題については、きちんと解決をしていくことが重要だと思っています。

【NHK 禰津記者】今の日米関係のご認識については如何でしょうか。

【大臣】厳しい状況であることは変わらないと思います。しかし、それが破綻するような状況にはないと思っています。

【日刊ゲンダイ 細田記者】今週月曜日の話に戻って恐縮ですが、クリントン米国務長官が藤崎駐米大使を呼んだというけんですが、22日の国務省のクローリー国務次官補の会見で「呼んだのか」という質問に対して「藤崎駐米大使は“STOP BY”立ち寄ったのである」要するに「藤崎大使の方が来た」とコメントしていますが、事実に食い違いがあると思いますが、事実はどうなっているのでしょうか。

【大臣】先ず、呼ばれもしないのに突然行ったというのは考えらません。外交について、それなりに経験のある方なら誰もが分かることだと思います。突然、大使が外務省にやって来て「(大臣に)会わせろ」と言って「分かりました」と言って大臣が会うというのは非現実的であります。藤崎駐米大使は呼ばれもしないのに、何もないのに行ったということは100%ありえないと思います。では、どちらが先に声をかけたのかということは、私(大臣)はそんなに大事な話ではないと思いますが、お互い必要だと思ったから合意が成立して会見になった訳です。私(大臣)が承知しているところでは、報道官のその発言は正確ではないと、米国政府の正式な見解ではありませんが、そのような発言は承知をしております。

【朝日新聞 内田記者】クリントン米国務長官との電話会談に関連してですが、日米同盟の深化に向けた日米間の協議を大臣は「出来れば動かしたい」と言うように仰っておられましたが、クリントン長官には具体的に提案されたのでしょうか。また、これから協議を始める見通しというのはついたのでしょうか。

【大臣】先程申し上げましたように、詳しい中身の話について、私(大臣)は申し上げません。

【沖縄タイムス 吉田記者】日米の普天間に関するワーキング・グループですが、クリントン米国務長官との電話会談なり他の場所なりで、今までは現行案を検証する場だったのですが、協議継続するために、例えば役割を変えて続けていこうとか、そういう話は今出ていますでしょうか。

【大臣】これも込み入った話であります。ですから、電話で私(大臣)と長官が話してそこで「わかりました」というものではないだろうと思います。ですから、今日はこの問題は取り上げておりません。少し腰を据えてじっくり話していかないとうまくいかないだろうというように思います。建前で言えば、「それは目的が違うのですから必要ありません」というように言われかねない問題です。ただ私(大臣)としては、普天間から辺野古への移転ということを前提としなくても、今現にある普天間基地や嘉手納基地の騒音や危険の問題を除去するということは、「それはそういう問題と切り離してでも」というようなことなので、是非話し合いを行いたいと思っております。そういうことをしっかりと説得力を持って説明していきたいと考えているところです。

【沖縄タイムス 吉田記者】そういう話も伝えられたということですか。

【大臣】いや、ですから昨日の電話でそれはやってすぐ結論が出る問題ではありませんので、少し時間をかけてしっかりとお話をしなければいけないというように思います。ただ、普天間に関する現行のプランを先送りにすると、他に探すということを決めたばかりですから、そういう状況の中でそういった話を持ち出しても必ずしも良い結果を得られないであろうと私(大臣)は判断しております。

【共同通信 西野記者】(普天間に関する)政府方針なのですが、クリントン米国務長官と電話会談をされ、御説明なさったということで理解しております。一方で、官房長官が発表するので(大臣からは)発表できないというようなことを仰っておられますが、どうも米側には政府方針は伝わるのですが、一部報道ベースで出てるものはあるのですが、政府としてはこういうようにすると正式に発表されていないというのが大臣の見解だと認識しています。そうしますと、外交の責任者として国民にわかりやすい外交を進めるということであれば、官房長官に例えば政府方針についてしっかり発表して欲しいというように働きかけるというようなことでないと、どうもすっきりしないというか、私どももどう聞いていいのか分かりません。そこで、官房長官がお話になっていることについてこれが政府方針なのかそうでないのかということも含めて、分からない部分があるので、それをどう整理していけば良いかをお願いいたします。

【大臣】官房長官も予算を始め色々と課題が多くてお忙しいのではないかというように想像しています。きちんとした形で決めたことを述べられた方が良いと、また述べられるべきであるということを私(大臣)から何度も伝えております。

【共同通信 西野記者】それがまだできていないということでしょうか。

【大臣】それは官房長官に聞いてください。

【琉球新報 滝本記者】普天間移設問題に戻りますが、クリントン米国務長官との会談では、突っ込んだお話ではなかったということですが、現状の普天間の危険性除去について、普天間の移設とは辺野古への移設を前提にしなくても、追求できるのではないかというお話ですが、前回の会見でもお伺いしてそのようにお答え頂きました。沖縄に12月初旬に訪問された頃の大臣の仰られ方では「やはり日米合意が前提としてあるので、負担軽減を別個にやることは難しい」ということでした。まさに宜野湾の伊波市長が「危険性除去ということは、移設とは別にやってほしい」と仰っていることにも関連し、(大臣が)「日米合意を踏まえた上でやるということが、前提にある」ということを仰っていて、そのお気持ちが変わられたようにも受け取るのですが、その変わられたきっかけというか、何故そのようにお考えを変えられたのかということをお聞かせください。

【大臣】気持ちは全く変わっておりません。私(大臣)は沖縄の負担の軽減、危険性や騒音の除去ということは、非常に重要な問題だと思っております。ただ、相手のある話ですから、米側からすれば、約束が果たされないというように「一部だけ『やってくれ』と或いは『協議してくれ』というのは違うのではないか」ということです。これも当然の反応です。そういう中でそういう当然の反応でありますが、私(大臣)自身の思いを少しでも実現するために、もちろん、それは私(大臣)の思いだけではなくて、沖縄の皆さん、全国の多くの人の思いだと思いますが、危険性や騒音の除去ということについて、なんとか米国を説得して協議が始められないかと考えている訳です。どうなるか分かりません。相手のある話ですから、話し合いに応じるかどうか分かりません。慎重にしっかりと進めたいと思います。

【琉球新報 滝本記者】以前には、協議にも入ろうという部分が少なくとも私には見えなかったのですが、それが、入ろうというお気持ちになられたきっかけというものはございますか。

【大臣】ですから、当時はそれより前にしっかり結論を出すと。出せば、もちろん、そいういう話は順調に進む訳ですから。しかし、今や政府としては、違う意思決定をした訳です。

【琉球新報 滝本記者】政府方針が変わった訳でそうなっているということですか。

【大臣】私(大臣)はいつも政府方針に基づいて活動しております。

民主党政権発足後100日
【毎日新聞 野口記者】大臣は、就任後の最初の会見で、「100日間で目途をつけたい問題」として、この米軍の基地問題と、アフガン・パキスタン支援と、気候変動の問題を挙げたと思うのですが、本日が100日ということで、この基地の問題は結論が年内に出なかったのですが、改めてこの3ヶ月間を振り返っての感想をお願いします。

【大臣】普天間基地の移転の問題に関しては、方針は決まりましたけれども、どこに移設するかということについては決まらず、先送りされております。そういう意味では、大変残念なことだと思いますが、現状を見るとやむを得ない決断であったというように思います。それ以外の答えはなかったと思います。気候変動(の問題)は、COP15、必ずしも満足すべきことではないとは思いますが、そういう意味では次の1月の末までに、そしてCOP16までにということで、完全に100点満点ではありませんが、日本としては日本の考え方を示し、そして、EUや米国と一つのチームを組んで行動出来、日本もそれなりにリーダーシップを発揮することが出来たという意味では良かったと考えております。アフガニスタンについては、これからということが多い訳ですが、5年間で最大50億ドルという枠組みが出来て、これから中身をいかに織り込んでいくのかということが非常に重要になってくると思います。「100日間で」と言ったのは、すべて100%解決するというように思って申し上げた訳ではもちろんありません。そういう意味では、まずまずかなと思っております。

【共同通信 上西川原記者】民主党の政策の大きな柱の一つに、政府に100人(の国会議員を)入れるということだったと思うのですが、外務省では現時点でも一人の政務官の空席が続いていますが、それは、たくさん入れればいいという話ではないという判断なのか。今後は、また方針が変わって定員が増えるかもしれませんが、今後についてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】機会があれば、増員したいと思っています。ただ、スタートのときに埋められなかったものですから、いい機会を捉えてそういったことを考えたいと思います。今、政務三役は手いっぱいです。

【共同通信 上西川原記者】もっと多い方がいいと思いますか。

【大臣】多い方がいいと思います。ただ、仕事がかなりありますので、やはり選挙の心配がある人は外務省には向かないと思います。

高校の新学習指導要領
【朝日新聞 東岡記者】本日公表されました高校の学習指導要領の解説書についてお尋ねします。昨年中学校の解説書が公表された際は、竹島が明記されて韓国側が反発して大使が帰国するという事態に陥りました。今回は「中学校の学習を踏まえ」という表現で、竹島は明記されていません。今回の表記を踏まえて大臣は、日韓関係に与える影響についてどのようにお考えでしょうか。

【大臣】韓国側のメディアの反応を見ますと、色々な意見がそこに出て参ります。私(大臣)は、今回のことは文部科学省が判断をされたことでありますので、そのことについて、もちろん、そのプロセスで相談を受けたことはありますが、基本的にはこのように決めましたというご連絡を頂いたことでありますので、この点について今の段階でコメントをしないほうがいいと思います。

ロシア訪問
【北海道新聞 佐藤記者】大臣は27日(日曜日)からロシアを訪問されますが、以前委員会での答弁でロシア訪問について「是非にとは思っているけれども、日米の懸案事項もある」と仰っていました。結局年も押し迫った中でのロシア訪問になりますが、その日米の懸案事項である普天間基地移設問題について最終的な決着ができず、先ほどもお話がありましたとおり、「その同盟関係については揺らいでいる、厳しい状況である」というお話もありました。大臣は日米間のこうした状況がロシア、或いは他の国と日本との外交に影響を与えるという可能性はあるかどうか、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】日米間は、先ほども申し上げましたように方針は決定しました。後はその方針に沿って、しっかりと候補地を探すという作業が当面求められている訳です。方針が決まったという意味では一区切りついたという状況にあるかと思います。日米同盟というのは、非常に私(大臣)は日米外交にとっても基軸となるべき非常に重要な関係だと思っておりますので、そこがより安定し、深いものになるということが日本にとって望ましいことだと考えております。

【NHK 梶原記者】昨日大臣はインターファクス通信のインタビューを受けられ、北方領土問題について「この問題は果てしなく続けていこうとするロシア側の姿勢に不信感を日本国民が抱いている」という発言をしたという報道がありましたが、実際にロシア側の姿勢について、どのようにお考えになっていて、今度の日露外相会談にどのような姿勢で臨もうとしているのか、その辺りを改めて説明をお願いできますでしょうか。

【大臣】基本的に今までの政府の姿勢と私(大臣)は違っていると思わないのですが、四島の帰属の問題をきちんと解決するということは、平和条約を結ぶということが日露関係の正常化につながるということです。そこがクリアできないといつまでも平和条約を持たないという変則的な関係が続くと言わざるを得ないと思います。国民的にもそのような状況で、ロシアとの関係を深めていくことに支持が集まるというようにも考えられないと思っています。したがって、ロシア側には四島の帰属問題について、しっかりと誠意を持って交渉を行い、答えを出すということに努力していただき、もちろん我々も努力しなければいけないと思っています。

【北海道新聞 佐藤記者】日ロ外相会談についてもう一度お聞きします。会談では今後の政治対話についてもテーマになると聞いておりますけれども、鳩山総理のロシア訪問について現時点での大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】今具体的なプランがあるわけではありません。国会も始まりますし、それから具体的にはやはりこの領土の問題、四島の帰属の問題について日ロ間である程度方向性が出た方が実りある首脳会談になるというように思っております。当面は色々な場で両首脳が会う機会がありますから、そういう場で話をしていくということになるのではないかと思っております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【読売新聞 村尾記者】密約に関してですが、先日沖縄返還交渉の時の佐藤(元)総理、ニクソン(元)大統領の核持ち込みを巡る密約の文書がご遺族のお宅から見つかったと報じられましたが、まずご感想を伺いたいのと、今後有識者委員会に委ねられると仰ってましたが、有識者委員会の扱いについてどのようなことが望ましいか、もしお考えがあればお聞かせください。

【大臣】有識者委員会は基本的に北岡座長を始め、専門家の皆さんが集まっておられますので、私(大臣)は色々口を挟むのではなくて、その判断に委ねたいというように考えております。沖縄返還時の核の持ち込みに関する密約、これは4つの密約のうちの一つですが、私(大臣)はその具体的な証拠が出てくるというのは一番難しいだろうというように想像しておりました。米国側も情報公開をしていない訳ですし、果たしてそのようなものがあったのかどうかということも、若泉さんの著書には出てきますけれども、私(大臣)は本を読んだ限りでは書かれていることのかなりの部分は恐らく本当だと当時は思いましたが、しかし決定的な証拠はない。そのもっとも表に出にくいものがこういう形で出てきたことは驚きであり、私(大臣)は、これは外務大臣という立場からは離れるのですが、非常にわくわくした、そういう気持ちでございます。佐藤元総理のご遺族もよく決断して出していただいたと、やはり歴史に忠実であろうというお気持ちで出していただき非常に感謝したいと思います。

【朝日新聞 東岡記者】先程、質問に出ました核の持ち込みを巡る文書が見付かった件ですが、この文書には、日本の総理大臣と米国の大統領の署名がある訳ですが、文書は現在でも有効だと大臣はお考えでしょうか、或いは、無効だとお考えでしょうか。

【大臣】そういう中身の話は、検証委員会で検証して頂いているので、私(大臣)が先取りして言うべきではないと考えております。

献金疑惑
【ニコニコ動画 七尾記者】昨日行われた鳩山首相の記者会見に関してですが、昨日総理が元秘書が在宅起訴されたことを受けまして夕方釈明の記者会見を行いました。場所も官邸ではなく一人の政治家として行った訳ですけれども、大臣自身はこの件につきましてどう思われましたでしょうか。

【大臣】官邸を使わずにホテルで(会見が)行われたのは一つの見識であります。つまり、鳩山由紀夫衆議院議員として行われたことに関して、鳩山由起夫個人としてお答えになったということ、或いは政治家鳩山由紀夫としてお答えになったということであって、総理大臣ということとは切り離して対応されたということは賢明であったと思っています。中身は鳩山総理ご自身が語っておられます。我々としてはそれに付け加えることは特にないのですが、あとは国民の皆様に政権交代、鳩山政権ということに対して大きなご期待をいただいて参りましたので、しっかりと仕事をしてその期待に応えていく、そのことしか私(大臣)にしかないというように思っております。

日印関係
【ニコニコ動画 七尾記者】今後の日本とインドの関係の在り方についてです。27日からの鳩山首相のインドへの訪問は正式に決定していないとのことですが、日印安全保障協力宣言から一年が過ぎまして、今後日本とインド、或いはこれに米国も含めた協力関係をどのように深化させていきたいお考えでしょうか。

【大臣】鳩山総理の日程はまだ決まっておりません。従って、そのことを前提としてということではなくて今のお話にお答えするとすれば、インドは将来発展するアジアの中でもさらなる経済成長が期待され、人口もやがて中国を抜いて世界一になるということも予定されている非常に重要な存在であるというように思います。加えてインドでは民主主義というものが機能しているということも重要な点だと思います。インドと日本がしっかりと協力関係を築いていくということは日本自身にとっても、そしてアジア全体にとっても非常に有益なことであると考えております。米国も価値観を同じくする存在ですから、単に日印だけでなくて、米国も含めた協力関係を築いていくということも重要なことだと考えております。

その他(インターネットの活用)
【J-CASTニュース 亀松記者】インターネットの活用についてお伺いします。インターネットで今非常に流行っているサービスでツイッターというブログのようなものがあります。鳩山首相はそのツイッターを始めることを検討しています。岡田外相も動画付きのブログを頻繁に更新されていますし、今この会見も「ニコニコ動画」等で中継されてもいます。また改めて、そのようなネットサービスの活用であるとか、ネットメディアへの情報発信ということについて、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。

【大臣】直接全体を伝えることはできるという意味では私(大臣)は非常に重要だと思います。つまり、編集や加工ではなく、全体を伝えることができるという意味では大変重要なツールであると思います。ツイッターがどうか等、そのような話しはそれぞれ個人がお決めになる訳ですから、私(大臣)はあまり小まめではないものですから、週二回くらい動画で配信して、それを文章にしてブログへというのが、私(大臣)の今の状況から見ると限界だと思っています。

【J-CASTニュース 亀松記者】当面ツイッターというのはない感じでしょうか。

【大臣】考えておりません。




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