外務大臣会見記録(平成22年2月23日)
外務大臣会見記録(平成22年2月23日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)豪州訪問について
(2)閣議後のぶら下がり取材中止について
○大臣の豪州訪問
○調査捕鯨
○核軍縮・不拡散(核兵器廃絶への取り組み)
○核軍縮・不拡散(核の抑止力と核軍縮)
○高校の無償化
○各省庁の顧問・参与人数
○米軍再編問題
○長崎県知事選挙
○六者協議再開の目途
○沖縄の人の思い
○日米安全保障(米軍の存在による抑止力)
○国会審議(自民党による予算委員会の欠席)
冒頭発言
(1)豪州訪問について
【岡田大臣】私(大臣)から2つ申し上げます。1つは、先日の豪州出張であります。既に発表されている訳でありますが、1つは日豪外相共同ステートメント「核(兵器)のない世界に向けて」というものを合意して出すことができました。オバマ大統領のプラハ演説に始まる「核兵器のない世界」に向けた、その努力、世界の努力を後押しする、そういう合意文書になったのではないかと思っております。今後、その他の国の外相とも話をして、そういった場を広げていきたいと考えております。本年は核セキュリティ・サミットや、NPT再検討会議が開かれますが、そういった重要な会議への対応だけではなくて、できれば年後半に「核(兵器)のない世界」に向けて、より力強い一歩を進めるための国際会議を日本がひとつの中心になって、開催をしたいと考えているところでございます。いずれにしても、豪州以外の各国の外相とも、ぜひ対話を通じて、核兵器、当面は核のリスクのより少ない世界を目指して、しっかりと議論していきたいと思っております。
もう1つは、もちろんFTAとか様々な議論をやったわけですけれども、残念ながら捕鯨の問題が中心になりました。これはお互いしっかりと、二国間関係に及ぼす影響が深刻なものにならないようにお互い配慮しながら、捕鯨の問題は捕鯨の問題として議論していくことだと思っております。かなり立場が違いますので困難な面がありますけれども、二国間で、或いはIWCの場で議論をしていくということです。もちろん、訴訟にということであれば、それは1つの解決の仕方でありますので、そうなった場合には堂々と、国際的な法廷の場で日本の主張をしていきたいと考えております。
今回、ラッド首相とはかなり長時間議論ができましたし、スミス外相ともいい議論ができたと思っております。ただ少し残念だったのは、もともと外相との意見交換は90分しか時間を取っていなくて、エレベーターに私(大臣)たちが閉じこめられて、20分ぐらい会談の時間が減ってしまいました。それはアクシデントですから止むを得ませんが、そういう意味で、外相との会談が実際には1時間程度しかできなかったということ、あるいは記者の皆さんに対して、記者会見の場でも質問2問ということで限られた時間になり、その2問も捕鯨に関するものでしたので、全体の成果をきちんとお話しすることができなかったことは、やや残念に思っているところでございます。
(2)閣議後のぶら下がり取材中止について
【大臣】もう1つは先般ここで議論したことですが、閣議後のぶら下がりに関して、私(大臣)は「ぶら下がりで会見拒否だというのは、それは違う」と申し上げ、そして、「実質的にはほとんど意味のないぶら下がりを週2回開くことになってしまいかねない」ということと、「必要があれば弾力的にぶら下がりはやります」ということを申し上げて説明をいたしました。それにもかかわらず何社か、私(大臣)の知っている限りでは読売新聞と琉球新報の2社ですが、「会見拒否」と改めて書かれました。これは、私(大臣)は非常に遺憾、私(大臣)自身大変残念なことだと思っています。一応私(大臣)なりの「弾力的に応じる」ということを申し上げて、ご理解をいただいたと思っておりますので、それを改めて拒否だというのであれば、もう1回きちんと話し合いをしなければならないと思っております。したがって、閣議後のぶら下がりはしばらく、ほとんど意味のないものですが、やれというなら私(大臣)はやります。ただし、「弾力的にぶら下がり」という話も、もう1回きちんと議論させていただくと。パッケージですから、本当にそれでいいのかどうかということを、霞クラブ(記者クラブ)の皆さんの中で話し合っていただきたいと思っております。その話し合いがつくまでの間は、ぶら下がりは引き続き、私(大臣)は意味がないと思いますが、皆さんは意味があるというのであれば、やらせていただきたいと思っております。
目次へ戻る
大臣の豪州訪問
【共同通信 斎藤記者】オーストラリアについて補足でお伺いしたいと思います。オーストラリアでは、今お話があったとおり、捕鯨に多くの時間を割かれたということですが、実際本来の狙いとしていた安全保障協力、もう1つは、オーストラリア、特にラッド首相は、いわゆる東アジア共同体構想の別バージョンであるアジア太平洋構想、米国も入る、オーストラリアも入るという構想を持っている訳ですが、その点について何かご紹介できる話があれば教えていただければと思います。
【大臣】安全保障については、まず、ACSAの議論を3月から始めるということは確認をいたしました。それから、日程は未定ですが、今年の前半に2+2を東京において開催するということを確認して、2+2においてACSAの進捗状況、もちろんそれまでに実務的に終わっていれば決めるということになりますが、それは2+2の時期にもよると思いますし、少し時間がかかる可能性が高いと思いますけれども、いずれにしても、その場でACSAの業務も行うということも確認をされたところです。ACSAといっても、日米のACSAとは性格が異なるものであって、地震や自然災害のときの救助の問題を中心にするACSAということになる訳であります。これは是非まとめたいと思います。
共同体構想は、ラッド首相とは1時間以上、非常にいい議論ができたと思いますが、ラッド首相からこの話を今回持ち出された記憶は私(大臣)はないので、たぶん話をしていないと思います。前回日本に来られたときには少し首脳との間で話が出て、私(大臣)が申し上げたのは、ASEANに対して配慮が必要ではないかということ、それから、既存の共同体といいますか、話をするための枠組みであるAPEC。APECというのは、日豪でスタートさせたものですから、このAPECをどう活かしていくかという発想で議論をしたほうがいいのではないかということも、前回ラッド首相が日本に来られたときに私(大臣)は申し上げたのですが、今回は特に具体的に議論はしておりません。
目次へ戻る
調査捕鯨
【NHK 禰津記者】調査捕鯨の問題でお伺いします。1つは、ニュージーランドのキー首相が記者会見で、「日本が調査捕鯨をやめなければ、オーストラリア同様に国際司法裁判所に提訴する」といったような発言をされていることについてのお受け止めと、IWCの国際捕鯨委員会の方で、調査捕鯨は捕獲できる鯨の数を大幅に減らした上で、IWCの管理の下で行うという議長提案を作ったという件に関して、その2点について、今後日本としてどのように対応していくのか、そのことについてお伺いできますでしょうか。
【大臣】後者の話は、私(大臣)は把握をしておりません。正式に提案があったとは思っておりません。今までIWCでいろんな議論を、我が国も含めて行っていることは事実ですが、それは外には出しておりませんので、それ以上のことは今申し上げるつもりはございません。それから、ニュージーランドのキー首相の発言は、私(大臣)が承知している限り、今言われたこととはだいぶ違うと思っております。キー首相が言われたのは、「我々が先行するのは外交的な解決を模索することである。もしも外交的解決に失敗し、かつ、唯一の選択肢が提訴である場合には、その時点でニュージーランドとして豪州の立場に同調するか否かを検討することになるだろう。裁判は解決までに長時間を要するものである。外交的な解決を図る方が裁判よりも速やかな方法である。」というのが、私(大臣)の承知しているキー首相の発言でありまして、豪州と同じように提訴するという趣旨のものとはかなり違うと理解しております。
【読売新聞 川崎記者】オーストラリアは先般の日豪外相会談でもお話があったように、「日本に対して調査捕鯨の段階的中止を求める。それを受け入れなければ提訴する」と言っている訳ですが、オーストラリアの段階的中止という要求に対して、日本政府としてはっきり、「それは受け入れられない」と現時点で言えることなのかどうか、その辺をもう一度確認いたします。
【大臣】豪州の首相も必ずしも明確ではありません。「南氷洋における」ということで、全体ではないとも受け取れますが、そこもはっきりしませんし、それから、「最終的には廃止、単に減らしていくだけではなくて」というようにも受け取れますので、簡単にコメントしない方がいいと思います。静かにしっかり議論していこうというのが日本の基本的スタンスでありますので、メディアを通じてお互い批判合戦のようにならない方がいいと思います。ただ、日本としての捕鯨についての正当性というもの、調査捕鯨も制度上認められたものであり、そもそも捕鯨というのは日本の伝統的なひとつの食の文化でもあります。そういったことを、種の保全のために制限するという論理立てであればわかりますけれども、そうではないものについて制限することについては、十分納得できるだけの説明を私(大臣)はいただいていないと思っております。そういうことをきちんと主張していくことは、大事だと思っております。
目次へ戻る
核軍縮・不拡散(核兵器廃絶への取り組み)
【週刊金曜日 伊田記者】核廃絶への取り組みですが、それに向けて努力をされるという意欲については高く評価した上で、それと併せた通常兵器、つまり、核兵器を削減するのはもちろん望ましいのですが、核兵器だけを削減していくと通常兵器のバランスが崩れる可能性があると。以前の米ソのブッシュ・ゴルバチョフのときの核縮減交渉は、併せて通常兵器の削減も視野に入れてやっていたと思いますが、その辺りについてはいかがでしょうか。
【大臣】なかなか難しい話です。特に東西対立の時代ではなくて、いろんな脅威がある訳ですから、米露だけでいろんな話ができるという時代ではもうないと思います。それからもう1つは、今回の米露は戦略核で、戦術核の話をこれからしなければいけないのです。それ以外に通常兵器もあります。非常に問題は錯綜していますが、影響力の大きさから言うと、核というのは人を殺傷する力が通常兵器とはかなり違いますので、私(大臣)はまず、戦略核に関する米ロの話し合いがきちんとまとまり、そして、次のステップとして、これは2つありますが、1つは、戦術核についての米ロの話し合い。これは非常に困難が予想されますが、これをきちんと進めていくこと。あとは、米ロという二大国だけではなくて、中国、フランス、イギリス、あるいはその他の国々も含めて、インド、パキスタンなど、そういった国々全体での核軍縮、そういうところに進まなければいけないということだと思っております。私(大臣)は、通常兵器と切り離して議論しないと、問題が複雑化すればするほどまとまりにくくなるという面があるのではないかと思います。もちろん通常兵器に関しても、先のクラスター爆弾の禁止でありますとか、地雷禁止とか、そういう形で特に非人道的なものについて制限をしていくことが必要であることは論を待たないと思います。
【共同通信 井上記者】戦術核の分野に入るものですが、米国が核トマホークの退役を決めたということで、大臣は昨年12月のクリントン米国務長官への書簡で、「トマホークが退役する場合は拡大抑止への影響、及びそれをどう補っていくのか説明してほしい」と仰っていましたが、米国からはこれまでどういった説明が来ているのか、大臣の受け止めにいてお聞きしたいと思います。
【大臣】私(大臣)が手紙の中で言ったことはそれだけではなくて、「個別の兵器について、やめる、やめないということを日本は言う立場にありません」ということを申し上げました。それがあの手紙の主たる狙いですので、そのことをまず申し上げた上で、トマホークについてのお尋ねですけれども、今、私(大臣)は特にコメントすることはございません。米国が通知をしてきたという報道もありますが、私(大臣)からは、確かに最近日米協議、核拡大抑止に関する日米協議を行ったところでありますけれども、その協議の具体的内容についてはお話をしないという約束のもとで行われておりますので、コメントはございません。
目次へ戻る
核軍縮・不拡散(核の抑止力と核軍縮)
【共同通信 西野記者】核の抑止力と核軍縮の話は、東アジアの今、大臣が思考されている核軍縮、日豪の間で進めていこうと今年がそういった契機になるのではないかという思いは思いとして受け止めた上で、日本が米国の核抑止力の下にあるというのも事実ということで一見すると矛盾するかのように見えるのですが、ここをどのように整理して核軍縮を進めていくのか、或いは核抑止をきちんと担保していくのか、その辺りのことを大臣は今のところどのように整理をしておられるのかということを是非お聞きしたいと思います。
【大臣】1月13日のハワイにおけるクリントン米国務長官との議論でもそのことは話題になってお互い合意をしましたが、要するに「この二つの問題はバランスの問題であって、二律背反ではない。どこにそのバランスをどのようにとっていくかということは具体的に議論しないと一般論で答えが出る問題ではない」というように長官と私(大臣)の意見が完全に一致をしました。それでは「具体的にどこに」ということになるといろいろな議論があると思いますが、それは具体的に議論していかないと一般論では結論がでない問題だと思っています。もう一つは、そこの拡大抑止と核軍縮の話だけではなく、不拡散という話もあります。不拡散を確保するために軍縮を進めなければいけないという話が本来はある訳ですから。
【共同通信 西野記者】バランスの問題で難しいということは分かるのですが、例えば先ほど話題に上った戦術核の扱いというところではいろいろと話していけることもあるのかなと、今米国が核戦力の見直しを進めているという状況の中で、ある程度方向性を決めてやっていかないと、どちらが優先されるのか等、今後、議論がスタートしていく中で方向性が見えないので、どのようなところで議論していくのかということをもう少しお話し願えないでしょうか。
【大臣】ご質問の趣旨がよく分からないのですが、日米間で意見交換は不断にしております。これから、戦略核レベルの話から次に戦術核ということになってきますと、米露の戦術核の不均衡という問題もありますし、それから中国の核の問題もありますので、話がより具体的になっていくと思います。戦略核の議論を米露でやっている間には、日本がそれに対して深く関与するということは、今までもありませんでしたし、必ずしも必要がなかったのかも知れませんが、その次のステップになってくると、やはり日本自身が核政策、核軍縮というものに対してより関与していかなければいけないと思います。どちらかというと今まで米国の核戦略に対して日本が深く関与してきたということはあまりなかったのではないかと私(大臣)は思います。もう少し日米間でも、そういった核を巡る様々な問題について、より我々も情報を得て、そして意見交換をしっかりできるような仕組みを構築していかなければいけないと思っております。今そういう方向で様々な議論をしているということです。
【共同通信 井上記者】関連して日豪の共同声明にも言及された、「消極的安全保障」と「唯一の目的」という二つの考え方ですが、今米国が近くNPR、核態勢の見直しをまとめるであろうという見通しの中、日本としてこの二つのアイデアについて米国の核態勢の見直しの中に取り込まれていくべきだと、そのように期待されているかどうかをお聞かせ下さい。
【大臣】基本的にNPRは米国政府の中での議論を経て打ち出されるものですから、どれがどうすべきだという議論をこういうところで声高に言うべき問題ではないと思っております。
【共同通信 西野記者】大臣が冒頭発言の中で、核セキュリティ・サミット、それからNPTの見直し、最近の会議等、併せて日本が中心となって核に関する会議を開きたいということでしたが、先ほど大臣は「日本がより積極的に関与していくべきだ」と「これまで以上に関与していくべきだ」というように言及されましたが、そういった文脈の中で日本で会議を新たに開くということを考えておられるということでしょうか。
【大臣】「関与すべきだ」というのは日米間の議論の話を主として致しました。私(大臣)は今年一年、「核なき世界」に向かって一歩を踏み出すことができるかどうか、非常に重要な一年だと思っております。ご存知のようにしばらく前まではむしろ拡散が進み、軍縮の気運はなかなかないという状況だった訳ですが、それがかなり変わってきているというのは事実です。それをより確実なものにするために、(今年の)前半は既存の核セキュリティ・サミット、そしてNPT検討会議という大きな会議がありますので、これを成功裏に導いていくことは非常に大事なことだと思います。ただ、そこで終わってしまうのではなくて、それ以降も「核なき世界に向かっての歩み」をきちんと作り上げていくために、私(大臣)は関係国が集まってきちんと議論が出来る場が必要ではないかと、まだアイデアの段階でどのような国が集まって、どのような議論をすべきかということを検討している途上にありますので、あまり詳しくは申し上げられませんが、今年前半の5月で終わってしまうということではなく、後半に是非この気運を繋げていきたいと、この気運を本物にしたいと思っております。
目次へ戻る
高校の無償化
【朝日新聞 東岡記者】高校の無償化についてお尋ねいたします。朝鮮学校を除外するかどうかについて、中井国家公安委員長は「除外すべきだ」とのスタンスのようですが、川端文科大臣は今日の会見では「外交については考慮しない」という考えを表明されました。岡田大臣としてのこの問題についてのお考えをお聞かせください。
【大臣】今議論しているところですので、あまり個々に大臣が申し上げないほうがいいと思います。そうすると、皆さんはまた「意見がそれぞれ違っている」というようにお書きになるかもしれません。閣内でしっかり議論して結論を出す問題だと思います。
目次へ戻る
各省庁の顧問・参与人数
【読売新聞 川崎記者】話は変わりますが、本日閣議決定された「質問主意書の答弁書」で、各省庁の顧問・参与の数というものを見ると、外務省は顧問6人、参与34人の計40人と、他省に比べて突出して多いのですが、それだけの人数を置いている必要性と、今後その人数を削減するかどうか、そういうことについて大臣のお考えをお伺いします。
【大臣】その中に有給でやっている場合と、そうでない場合があるのではないかというように思います。前政権の時代からの部分が非常に多いと思いますが、それぞれについて必要性があって任命されているものでありますので、不断の見直しは必要であると思います。
目次へ戻る
米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】普天間の問題ですが、今朝の閣議後の会見で、福島社民党党首が「拙速にならないように」というご発言をされていたようなのですが、社民党の中で「5月末までの決定というのもなかなか難しいのではないか」と、「先送りもまた改めて」という話も出てたりするようなのですが、そのような声については改めて大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】基本的には検討委員会で議論しているところですので、あまり私(大臣)が個別に言わない方がいいというように思います。ただ、亀井大臣と福島大臣が出ておられる基本政策閣僚会議、私(大臣)もその時は出席しましたが、そこの場で「5月(末)までに」ということは確認されておりますので、福島大臣もそこに出ておられたわけですから、私(大臣)はそこで確認されたことは重いというように思います。
【NHK 禰津記者】関連質問で、「5月(末)までに」ということですが、北澤大臣が「2月末までに検討委員会の移設案を集積してもらわないと、米国との交渉、地元との交渉が残り3ヶ月と迫っていることを考えると厳しい」というような発言をされているかと思うのですが、大臣は米国と交渉されている中で、スケジュール観などについて、どのように受け止められているのか、その辺りについてお聞かせください。
【大臣】簡単に交渉できる問題ではありません。時間がある程度、必要です。そういう意味ではなるべく早くと思いますが、しかし、基本的に検討委員会で平野官房長官を中心にご苦労されている訳ですから、外野で自由に発言しているというような形というのはあまり好ましくないと思います。必要があれば、私(大臣)なりの意見や考え方を官房長官に直接申し上げているところであります。
【琉球新報 滝本記者】今の件に関しまして、平野官房長官が委員長で検討委員会を進めておられますけれども、次に委員から移設の案が出て、官房長官のお話だと、それを引き取って政府の中で検討して、その実現可能性があるのかどうかということを検証していくというような方向で議論が進むのかなという趣旨でお話をお伺いしたりしているのですけれども、その部分を踏まえた上で、地元との折衝とか、あるいは対米ということになるのですけれども、その窓口は以前大臣がやはり対米交渉というのは外務省がなさるんだというようなお話をされていたと思いますが、その部分での今後のスケジュールという意味では、まだお話というのは来ていないと思うのですけれども、それが来れば来月にも始めていかれるということになるのでしょうか。チャンネルは、どのチャンネルでどういうようになっていくのでしょうか。
【大臣】米国政府との交渉は外務省で行います。タイミングその他については、今申し上げることはありません。ただ緊密に官房長官とはコミュニケーションを図っておりますので、それ以上のことは申し上げません。
目次へ戻る
長崎県知事選挙
【テレビ朝日 新堀記者】長崎県知事選挙について、本日、前原国交大臣に対しての閣議後の会見の質問で、「今回の敗北は知事選挙ですけれども、1つの判断材料に政治とカネがあったと思う」と仰って、「それを総理も幹事長もお認めになっている。どうしたら7月の参院選挙に勝てるのか、勝つための方策をこの二人にはしっかりと考えてもらわなくてはいけない」と仰っていましたけれども、これについて岡田大臣のご感想、ご意見をお聞かせ下さい。
【大臣】特にコメントしません。今後参議院選挙に向かって、参議院においてしっかりと勝利できるようにしなければいけないというように思いますが、今回の長崎の知事選をきっかけに私(大臣)が何か申し上げることは特にございません。
目次へ戻る
六者協議再開の目途
【共同通信 斉藤記者】北朝鮮情勢についてお伺いします。ボズワース特別代表、まもなく北京、ソウル、東京とアジア各国を歴訪します。狙いについては、最近の中朝での共産党幹部の王家瑞氏の話を聞いてくるのではないかというように報じられております。それで既に六者協議が開かれなくなってから相当の年月が経ちます。一方で、僅かながら中朝の往来、また幾つか関係国の動きなんかも少しずつですが、あります。現状を大臣はどうご覧になりますでしょうか。六者協議再開に向けての動きが現実的に少しずつ起きてきているのか、それともまだそこまで来ていないのか、その辺の感触をお聞かせ下さい。
【大臣】前回ボズワース特別代表が言われたことですが、やはりここは忍耐を持って、対応することが重要だというように思います。様々な制裁も行っている訳でありますので、そういったものの成果が出てきているというように思いますし、北朝鮮側には「無条件に六者協議に戻らない限り、道はないんだ」ということをそれぞれの関係国が、日本も含めて伝えている訳ですので、そういう情勢の中で北朝鮮側がどう判断するかという問題だと思っております。時間が経つことで決して彼らにとって有利な状況は作り出せないということを認識したときに六者協議の開催ということに繋がってくるのだと思います。
目次へ戻る
沖縄の人の思い
【週刊金曜日 伊田記者】沖縄の人の思いについて少しお聞きしたいと思います。日韓外相会談等の報告があった2月12日(金曜日)の記者会見で、大臣は「害を与えた側は忘れがちであるけれども、被害を受けた方はなかなか忘れない」という旨の発言がありました。これはもっとも大事な示唆だと思います。沖縄の方々に対しても、琉球処分という形で日本と一緒になり、そのあと唯一の地上戦である沖縄戦を経験し、そのあと現在も基地負担があると。こういう状況に置かれている沖縄の方々の心情について、大臣の思いをお聞かせ願えればと思います。
【大臣】もちろん、琉球と呼ばれた頃、日本との交流はいろいろとあったと思います。「琉日戦争一六〇九」という表題の本を読んでいるところですが、それを読みますと、薩摩による琉球に対する攻撃、以前からいろいろな交流があったということがよく分かります。そういう中で、今仰ったようなことがあり、そして、琉球という独立国から日本の支配下に置かれて、そして戦争下においても戦場になったということです。そういうことに対して、我々同じ日本人として、非常に厳しい状況下に置かれた沖縄の皆さんに対する思いを常に忘れてはならないと思います。現在もそういった多大なる基地の負担、日本全体としては米軍の存在によって受益しているというか、さまざまな日本の安全がそれによって保たれており、そしてアジア太平洋地域の平和と安定に非常に資している訳ですが、その基地の多くは沖縄にあるということで、沖縄に大きな負担がかかっているということです。私(大臣)は、大事なことは、外交演説でも申し上げましたが、やはり「日本の安全が米軍の存在によって守られている」ということをきちんと国民に伝えることが重要だと思います。それと同時に「その負担は誰が負っているのか」ということを伝えることにもなる訳です。なぜか安全というものが自然に保たれているような認識が日本人の中にあるとしたら、それは違うということであり、もっと発信していかなければいけないと思っております。
目次へ戻る
日米安全保障(米軍の存在による抑止力)
【NHK 別府記者】今、抑止力の話も出ましたのでお伺いします。米軍の存在によって日本の安全が守られているということから、海兵隊の抑止力も日本国内にあるべきだというお話をされていたと思うのですが、整理の質問で恐縮なのですが、何の脅威から我々はその抑止力によって守られているのか、或いは、もっと分かり易くこの抑止力というものを理解しようと思うと、「これがあるからこれだけ得していて、これが無いことによって我々の危険というのが、どれだけ高まるのか」という分かり易い例があれば、お願いいたします。
【大臣】なかなか定量的には言えない問題だと思います。それから、「何の脅威に」というのは、脅威ということを声高に言うのがよいのかどうかという問題が当然あります。ただ、日本をとりまく環境を見れば、朝鮮半島には核を保有しミサイルを持つ国が存在しているということは厳然たる事実でありますし、そして中国の軍事力というものは、年々高まっていると、能力が上がっているということも事実であります。その他、アジア太平洋地域というのは非常に経済的にもこれから成長していくことが期待されますが、そのことが安全保障環境にどのような影響を与えるかというのは、それは楽観・悲観の見方は色々あると思いますが、念頭に置いておかなければならない問題であるということは事実です。そういう環境の中で「日本だけでそういった問題に対応できるのか」と言えば、憲法9条もあり、日本自身の持っている、いわゆる防衛力には一定の限界があります。攻撃的なミサイルも空母も持たない国ですから。したがって、米軍が、矛と盾であれば、日本を盾とすると、矛の役割を果たしてくれていると。実際にそれを使うかどうかという以前に、そういうもの(抑止力)が存在するということによって紛争の発生が抑止されているという意味は非常に大きいと思います。もちろん、そういう軍事的な問題だけではなく、例えば災害や、そういう場合にも私(大臣)は海兵隊は実績もありますし、日本に対しても周辺の国々に対しても大きな役割が期待できると思っております。
目次へ戻る
国会審議(自民党による予算委員会の欠席)
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読いたします。国会審議についてです。22日(月曜日)、自民党が小沢幹事長や鳩山首相の元秘書らの国会招致に与党が応じないとして予算委員会を欠席いたしました。民主党は自民党の要求を受け入れない方針のようですが、一閣僚として現在のこの状況に対するお考え、さらにはこのまま自民党が審議拒否を続けた場合、どのように対応していくべきか等ご見解をお願いいたします。
【大臣】国対(国会対策)の方針は国対(国会対策委員会)で決めますので、私(大臣)があまり個人的な見解を言わない方がいいと思います。こういう問題で言えば、それぞれの人は必ず意見が違いますから、また「閣内不統一」とか、そのように言われてしまうと思います。ただ、こういう審議、本日もこれから国会に出席をして共産党の委員の質問に答えるわけですので、国会自身は動いており、ただ自民党が欠席しているということです。我々(民主党)もそういった欠席戦術というのはよく採ったわけですが、なるべくこういう経済もそれから外交も様々な課題がある中ですから、是非出てきて審議していただきたいと思っております。一日も早い復帰を。