外務大臣会見記録(平成22年3月23日)
外務大臣会見記録(平成22年3月23日(火曜日)17時15分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)ハイチ訪問について
(2)NPT運用検討会議について
○NPT運用検討会議
○東シナ海の油ガス田(白樺)
○米軍再編問題
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○非核三原則
○日韓歴史共同研究
○沖縄での米兵による事故
○消極的安全保証
○文化外交(マンガの性描写規制)
○その他(議員バッジ)
冒頭発言
(1)ハイチ訪問について
【岡田大臣】私(大臣)からは2点。第1点は、ハイチへの出張報告ということでございます。金曜日の夜に立ちまして、月曜日の夕方に帰って参りました。内容は皆さんご案内のとおりであります。実際に現地を見ますと、ほとんど人間が住んでいる家がないなということで、被災の非常に厳しい状況が伝わってまいりました。そういう中で、自衛隊の皆さんは非常に元気にしっかりと活動しておられて、地元からの評価も高いということがよくわかりました。ミュレ国連事務総長特別代表代行、そして、プレヴァル大統領、ベルリーヴ首相、あるいは外相との会談を行いましたけれども、ハイチ側からは、今までの7,000万ドルの支援に対する感謝の言葉と、そして更なる支援の要請がございました。私(大臣)からは、月末に予定されているG8外相会合、あるいはハイチ支援国会議で積み増しを検討したいと申し上げますとともに、これは日本国民の税金なので、本当にハイチの国民のためにしっかり使って頂きたいと申し上げたところであります。その他、NGOとの懇談、それから日本の4つのNGOそれぞれがしっかりと活動しておられる様子もよくわかりました。それから、病院や被災民のテント村などを訪れて、若干の言葉も交わしたところでございます。以上がハイチの問題です。これから月末のG8外相会合、あるいはハイチ支援国会議に、実際に自分の目で見た経験を生かしていきたいと考えております。
(2)NPT運用検討会議について
【大臣】もう1つは、NPT運用検討会議に向けた軍縮不拡散の新しいパッケージの提出ということで、23日に日本国政府とオーストラリア政府は国連事務局に対して、2010年NPT運用検討会議に向けた実践的核軍縮及び不拡散措置の新しいパッケージを5月のNPT運用検討会議の作業文書として提出をいたしました。このパッケージは、2月21日の日豪外相会談で発出した日豪外相共同ステートメント「核兵器のない世界に向けて」において、両外相が追求していくことを確認したものであります。その時点でもかなり煮詰まりつつあった訳ですが、その後の調整を経て、今回提出ということになったものでございます。今後は他のパートナー国とも協議を行いつつ、このパッケージがNPT運用検討会議の最終文書に反映されるよう、全力を尽くしていきたいと考えているところでございます。
NPT運用検討会議
【共同通信 井上記者】ただいま配られた新しいパッケージについてお尋ねします。この中で、消極的安全保証の強化ということが謳われていますが、このことについて大臣は今まで、米国とも議論しながら軍縮等について議論していくと仰っていましたが、この点について、米国もこの案について賛同を得られる見込みがあるのか。それと、日豪共同声明にあった唯一の目的という考え方は、今回の新しいパッケージには入っていないようですが、その理由についてお聞かせください。
【大臣】基本的にこの文書は、NPT運用検討会議に向けたペーパーであります。より現実的な案として考えていかなければならないということで、今、ご指摘のあったような、日豪外相の合意文書との違いが出てきているとお考えいただければ結構かと思います。米国がこれに対してどういう考え方を取るかということは、非公式にはいろいろな意見交換をしておりますけれども、何か米国の見解が出ているということではございません。それはこれからの問題であります。
【共同通信 西野記者】パッケージの4.ですけれども、この中で、消極的安全保証をできるだけ早期に供与する前提として、「NPTを遵守している非核兵器国に対して」ということですが、「NPT遵守」ということで言えば、北朝鮮などはここには含まれてこないと読むことはできるでしょうか。それから、3.ですけれども、「すべての核兵器について、核兵器を増加させないこと、削減することを早期にコミットする」ということですが、「コミットしない」ということで言えば、中国が念頭にすぐ上がるのですが、そういう見方をしても差し支えないでしょうか。
【大臣】4.のところで述べておりますNPTを守っている非核兵器国に対して、現状では、北朝鮮がこれに含まれないことは明らかであります。それから、3.のところは、特定の国を名指ししたものではありませんが、核兵器をこれから削減すること、または、少なくとも増加させないことということで、どの国に対してもこのことを求めるということでございます。
東シナ海の油ガス田(白樺)
【朝日新聞 倉重記者】東シナ海のガス田協議について質問します。先週、大臣が官邸の方に行かれて、その際にエネルギー庁長官と同席だったと思うのですが、今どういう状況で議論が進んでいるのかといった、中国との関係も含めて、現状のお話をお願いします。
【大臣】直嶋大臣も入られて、総理、官房長官に現状のご説明をしたということであります。事態が膠着状態にある中で、何とか前に進めたいということで様々な説明を行いました。その前提として、ここでも何度も申し上げていることですが、日中間の合意というのは2つあって、これは正しく報道されないことが多い訳ですけれども、1つは白樺、(中国名で)春暁です。ここについては、中国側のプロジェクトに、中国の法律に基づいて、日本が出資をするという話。そして、北部の開発は共同開発。これは峻別されています。そのことも含めて説明をさせていただきました。今後の対処方針については、この場で述べるのは適当ではないと思いますので、控えさせて頂きたいと思います。ただ、やはり日中間にいくつかの問題が存在しておりますが、そういうものを早く解決していかなければいけないといった視点で総理にもお話をさせて頂いたところでございます。
【朝日新聞 倉重記者】先週のその時期に総理に説明をする必要性が生じたのは、何か中国側とのやり取りの中で、緊急に検討するような事態が生じたのでしょうか。
【大臣】特にそういうことはございません。たまたまそういう時期になったということであります。
米軍再編問題
【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いします。このあと各関係閣僚が集まって普天間問題に対する話し合いが行われるかと思いますけれども、3月末までに政府案をまとめるという期限がある中で、対米(交渉)の責任者として、本日の関係閣僚会議にどのように臨もうと考えられていたのか、そのお考えについてお伺いします。
【大臣】3月末までにまとめるのかどうかというのは、私(大臣)は認識をしておりませんので、何ともお答えできないですが、ただ、集約をしていかなければいけない時期であることは間違いありませんので、よく話をしてみたいと思っております。
【琉球新報 滝本記者】今、大臣がまさに仰られたように、何かカチッと決まったものを作るのかどうかは別にして、考え方を集約されていくということに、本日の協議を踏まえても、なるのかなと思いますが、その辺の考えを、月末に訪米されてあちらの国防長官との会合の機会がおありかと思うのですが、その会合でのお話振りというのは、本日の会議を踏まえて、日本側の考え方、進捗状況などを改めて説明されることになるのでしょうか。
【大臣】これはよく分かりません。日本側の進展状況次第だと思います。もちろん、求められればその時点における進展状況をご説明できると思いますが、私(大臣)が月末、誰に会うかということは、まだ明確には決まっておりませんけれども、米国政府の要人と会うことになったときに、この話というよりは、むしろ、例えばイランの話とか、ハイチの話とか、まず、そういうものがしっかりと話し合われるテーマではないかと思っております。
いわゆる「密約」問題に関する調査
【週刊金曜日 伊田記者】国民に対する説明責任を巡って、岡田大臣が積極的な姿勢を外務官僚との間で綱引きされていることに敬意を表しております。その1つは、先週の火曜日の外務委員会の答弁における守秘義務のことが1つ。それから、先週の金曜日の夕方ですが、午前中の参考人質疑で東郷メモの存在が明らかになったときに、金曜日にすぐ開示されたことです。ところがその一方で、ややもするとこれはとても難しいことだと思いますけれども、官僚の戦術に大臣自身が流されてしまう危険性があるのではないかというのを踏まえてお聞きします。東郷メモを公開しなかった理由として、金曜日の会見で、「非公開を前提で受け取った」と発言されましたけれども、私が東郷さんにお聞きした範囲では、「そういう前提は一切なかった」ということでした。それから、有識者の聞き取りに対して渡したのだけれども、同席していたノートテイカーが欲しいと言ったので、これは参考人質疑で述べられておりますけれども、欲しいというので渡したと、いわゆる外務省の求めに応じて渡したということになると思います。ここで外務省の責任というものが生じてくると思うのですが、「非公開前提で受け取った」と金曜日に発言された根拠についてお教えください。
【大臣】有識者委員会でのヒヤリングというのは、東郷元局長に限らず、十数人に行っております。行った名前は報告書の最後に書いてあります。その時に、いちいち引用しないということでヒヤリングをしております。従って、そこで資料を提出されたのは、たぶん東郷元局長だけではないかと私(大臣)は思いますが、ちょっと分かりません。いずれにしても、資料はお渡しいただきましたが、それは公表していいと明示的に言われた訳ではありませんので、そういう意味で、有識者委員会及び外務省が受け取ったものだと私(大臣)は理解をしておりました。従って、公開をしなかった訳ですけれども、国会の参考人質疑の中で、「これは国民や外務省に手渡したつもりである」と元局長が仰いましたので、そういうことなら、これは公開可能だと考え、念のためにご本人に確認をした上で公開したものでございます。
【週刊金曜日 伊田記者】大臣自身は、東郷メモというのは事前に目を通されていたのでしょうか。それから、東郷さん自身が公開にしてくれ、非公開にしてくれと言ったのに関わらず、最終的に国民への説明責任を果たすという意味で、大臣が公開すべきだと判断すれば公開する。それは最終的に大臣がジャッジメントと言いますか、そこの鍵を握るべきではないかと思いますけれども、そこはいかがでしょう。
【大臣】メモは当然見ておりました。ただ、非公開前提と私(大臣)は理解をしておりましたので、基本的に、公開をするということは予定しておりませんでした。東郷さん以外の方々との個々のやり取りも公表していない訳です。私(大臣)はそれと同列だと考えておりました。
【週刊金曜日 伊田記者】もう一言だけお聞きします。結果的に、もしこの東郷メモというものが外務省の中に保管されていたら、これは当然、今回の調査でマル秘が解かれて公開されていた可能性があると思います。それから、各種の報道を見ても、文書リストというのは第一級の資料的価値を持つものであるという判断をされていた訳ですけれども、繰り返しですけれども、最終的に判断されるのは大臣が、つまり、政治主導で国民に選ばれた政治家として判断していくべきものだと思いますけれども、そこの判断は今でも正しいとお考えでしょうか。
【大臣】基本的に、これは有識者委員会の中でヒヤリングを行ったものです。ですから、その扱いも一義的には有識者委員会が持つべきだと思います。もちろん、有識者委員会が「公表してはいかん」と言った訳ではありません。ただ、全体の判断から、個別のやり取りについては表に出さないで報告書を作ると、報告書を作る際のバックグラウンドにすると、私(大臣)は理解しておりましたので、それを尊重していた訳でございます。
【NHK 別府記者】関連しまして、先週の段階で東郷さんの参考人質疑の中で、谷内さんの名前であるとか、藤崎さんの名前を出されていましたが、調査というか、確認というか、作業の現状、或いは現段階の見通し、大臣もハイチに行かれていましたのでお戻りになってからかなと思っていますが、どのように進んでいくと理解したらいいでしょうか。
【大臣】ハイチから帰ってきて、本日は一日、国会ですので、なかなか物事を決める時間がないのですが、先週も少し申し上げましたように、やはり、これは外部の人も入った第三者的な委員会を作り、それはむしろ第三者に任せるということではなくて、今回の場合、外務省の中の話でありますので、外務大臣、或いは副大臣が中に入った、そして、第三者と一緒になったような委員会を作って、そこで話を聞いたり調べたりすることが必要かと思っております。ただ、何を調べるのかということについては、この場でも申し上げましたが、情報公開法施行前に文書を大量に廃棄したのではないかという話については、まだ噂の域を出ませんので、そういう噂だけで、しかも、その噂があるのは外務省だけの話では恐らくない中で、そういうところに今広げるのではなくて、東郷さんのお話に関連して、彼もそれは噂話として伝えられた訳ですけれども、そうではない方の赤いファイルの話について、事実関係を確認したいと思っております。
【毎日新聞 野口記者】今の大臣のお答えの中で、新たな第三者の委員会を作るということで、北岡座長が中心になった委員会とは別で、大臣が本部長をしている本部とはまた別で、東郷さんのファイルを調べるための委員会を新たに作るということでよろしいでしょうか。
【大臣】そのとおりです。ただ、あまり大げさなものではなくて、数人規模のもので十分だと思います。別に議論する訳ではありませんので、いろいろお話を聞く際にいろいろな立場の人がいた方がいいという観点で、数人規模のものを作りたいと考えております。
【共同通信 西野記者】大臣は東郷メモを拝見されておられたということを今仰った訳ですけれども、一方で、外務省の調査は昨年11月段階で終わっていました。東郷メモの中には、参考人質疑でも明らかになったように、「8つの重要な文書がなくなっている」と東郷さんは言われました。東郷メモと外務省調査の間にはいくつかの違いがある訳ですけれども、大臣はメモを見られた時に、外務省に対して追加調査、あるいは「これはもうないのか」ということについて、話は、或いは指示はされたのでしょうか。
【大臣】外務省の調査は徹底したものであります。その違いというものは確かにある訳ですが、外務省にその調査がまだ残っているとは全く考えておりません。
非核三原則
【毎日新聞 野口記者】非核三原則についてですが、本日、長崎市長が首相官邸に行ったり、昼間には大臣とも直接お会いになったと思うのですが、非核三原則の法制化をして欲しいという要請をして回ってますが、大臣は元々、法制化には難しいというお考えを会見でも述べていますけれども、それを長崎市長にも直接お伝えになったのでしょうか。
【大臣】お話しました。少なくとも2つの点をきちんとしないと法制化ということは難しいと申し上げました。
【西日本新聞 斎田記者】確認ですけれども、2つの点というところを改めて教えてください。
【大臣】この場でも申し上げましたが、第1点は「無害通航」との関係です。これは従来の政府解釈では無害通航に当たらないというのが政府の解釈だと理解しております。ただ、いろいろな国の意見を見ますと、そうではない意見もかなり有力であります。例えば、当時の米国とソ連だったか、ロシアだったか忘れましたが、従ってそこは国際法的にクリアできるかどうかという問題が一つあります。法制化ということでなければ、これは日本政府の考え方として通るのだと思いますが、法制化するということになると、より厳密な検討が必要になるということであります。それから、もう1点は、どうやって実効性を担保していくかということでありまして、本日も参議院予算委員会で、山本委員から質問が出ました。聞かれるから、私(大臣)は「自民党時代にはどう考えていたのか」と聞いたのですが、お答えがありませんでした。これも、もちろん宣言的に言うだけなら、それなりの意味はあると、日本政府の考え方が分かって、それを尊重するということも、或いは考えてもいいのかもしれませんが、やはり法律ということになりますと、そういったことについてもう少しきちんとした議論が必要になってくるのではないかというように思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】世界情勢が刻々と変化しておりますけれども、非核三原則をそのまま堅持されるということは、現在もしくは直近の国際情勢において、非核三原則を堅持したままで日本の安全保障上問題がないという考えでよろしいでしょうか。
【大臣】1991年の米国の核政策の転換によって、日本の主張する非核三原則で基本的に問題がないというように考えております。従って、非核三原則の堅持ということを我々は申し上げている訳であります。将来の仮定の話というのは、本日も国会で申し上げましたが、これは、要は仮定の話でありますから、その時にその時の政府が判断する、今からそこまでは縛れないだろうという趣旨で申し上げているところであります。
日韓歴史共同研究
【共同通信 斎藤記者】日韓の有識者が第二期の(日韓)歴史共同研究の報告書を間もなくまとめ、公表すると聞いております。こうした日韓間の共同研究、日韓の歴史問題にどのような影響を与えるか、どのような意義をもたらすのか、そして大臣として、日本と韓国の間でこうして大きく歴史認識が異なる中で、隣国同士として、どこまで共通の歴史観を持つべきで、どこまでお互いの認識を、教科書もそうでしょう、あるいは政府見解もそうでしょう、摺り合わせていくべきとお考えなのか、ご見解があればお伺いしたいと思います。
【大臣】歴史というのは非常に多様な見方が可能ですから、一つの事実について完全に一本化するというのは私(大臣)は非常に困難なことだと思います。それは国と国との関係だけではなくて、歴史家一人一人に歴史観があるというのが現実だと思います。ですから、多様な見方があります。しかし、お互いに意見交換をする中で、少しでもその差というものが埋まっていけば、それは素晴らしいことであると思います。今、非常に日韓間の歴史に対するものの見方に開きがあるというお話でしたが、それは必ずしも全てについてそうであるということではないと私(大臣)は思います。近現代史ということになるとかなりシビアな意見の違いというものがあると思いますが、それ以前ですと、もちろん意見の違いはいろいろありますが、しかし共通する部分もあると思います。そういう共通する部分が議論することによって増えていけば、それだけ相互の認識というものが近づく訳ですから、そういう意味で歴史共同研究というのは私(大臣)は意味のあることだと思っております。
沖縄での米兵による事故
【琉球新報 滝本記者】米軍関係の事件とか事故というものが頻発しておりまして、飲酒運転がらみの逮捕事案であるとか、車両の進入事案等いろいろありまして、在沖縄の米軍のトップが内部調査というか、事件防止策に向けた内部調査を指示したというリリースがありました。外務省として発生時期に個別にはいろいろ再発防止なり、綱紀粛正なりを申し入れたりしていると思いますが、(このような事故が)相次いでいるという事態について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】前回の16日の名護市における追突逃走事件、これに引き続いて21日にはうるま市において米軍人が飲酒運転をし、タクシーに追突、逃走する事件が発生いたしました。今のご指摘のように続けざまに起きておりまして、たいへん憂慮しているところです。そういったことに対して、機会を捉えて米国側にも我々の懸念というものをお伝えしております。17日の事件についても地位協定室長から米国大使館の安保課長に対して、18日に行われた日米合同委員会において日本側から米側に対して申し入れを行ったところです。米側からは22日に在沖縄4軍調整官のロブリング中将から樽井沖縄担当大使に対して、「最近の一連の事件について心からお詫びをする。このようなことが二度と起こらないように徹底すべく、自分から指示を改めて出した。綱紀粛正についてきちんと対処することを約束する」旨伝達があったところです。このような事件は今後是非起こらないようにしてもらいたいと考えております。
消極的安全保証
【朝日新聞 高橋記者】今日の予算委員会の集中審議で鳩山首相が「消極的安全保証について法制化を求めていきたい」というようなご発言をされているのですけれども、これについて、確か岡田大臣はそのような事は過去に仰ったことはなかったと思うのですけれども、どのように(考えられますか)。
【大臣】「法制化」ということを総理が言われたとは、私の記憶には残っていないのですけれども。ただ、「安保理などで拘束力のある形の決議を」というように言われたかと思いますが、それは方向性としては私(大臣)は望ましい方向性だと思います。現在の常任理事国、核を持つ5つの国は、それぞれ消極的安全保証について基本的には賛同していると私(大臣)は思います。しかし、いろいろ条件も付いたりしております。それから、例えば北朝鮮など「核兵器を現に持っている」と自ら主張している国もあります。もちろんインド、パキスタンもあります。ですから、消極的安全保証ということであれば、そういう国の扱いをどうするのかということもありますし、方向性は私(大臣)は正しいとは思いますが、そう簡単にできるものではないということです。更に議論をしっかり重ねていかなくてはならないと、まだその途上にあるというように思っているところです。
文化外交(マンガの性描写規制)
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読します。文化外交との関連から質問いたします。マンガやアニメなどのキャラクターの性描写の規制に関する、東京都の青少年健全育成条例改正案というものがあります。外務省におかれましては、大臣を委員長とします「国際漫画賞」やマンガを通じたパブリック・ディプロマシーの推進に大きな影響を及ぼすものと考えられるのですが、こうした表現の自由の規制に関する動きについて、ご所見をお願いできたらと思います。
【大臣】これはなかなか難しい問題ですけれども、ただ、子どもが目にする物に対して表現の自由という名の下に、何があってもいいということでは私(大臣)はないと思います。大変微妙で難しい問題だと思いますけれども、本来は自主的にそういうものについて規制が行われるということが望ましいと思いますが、それで済まないということになれば、様々な事柄について検討せざるを得ないかもしれない問題だと思います。子供の手に届くところに野放図に、そういったものがあるということに対して、もう少し関心を高めるべきだというようには思っています。
その他(議員バッジ)
【フリーランス 上杉氏】ツイッター利用者からの質問を代読します。岡田大臣は、(会見の)壇上に立たれている時に、必ず議員バッジを外すのですが、それは何か意味があるのでしょうか。
【大臣】本日は外し忘れていたので、ここで外しました。国会から帰ってくると付けておりますので、忘れて付けたままにしているのですが。基本的に私(大臣)は初当選以来、1、2年は議員バッジを地元に帰っても一生懸命に付けて、支持者の皆さんの期待に応えていたのですけれども、やはり、これは国会に入るための印であるというように考えて、国会及び議員会館以外はバッジを付けないということを、17、8年間ずっとやってきております。テレビに出たりとかそういう時も含めて、基本的にはバッジはしておりません。外国に行っても(バッジを)される方もいらっしゃいますけれども、少し我々の感覚とは違うなという感じはします。