外務大臣会見記録(平成22年2月12日)
外務大臣会見記録(平成22年2月12日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)大臣の韓国訪問について
○日韓関係(日韓外相会談等)
○外国人地方参政権
○米軍再編問題
○報償費
○米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
○日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
○竹島問題
○ODAのあり方に関する検討会
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
○QDR(4年ごとの国防計画の見直し)
○文化外交
○公務用ワインの管理
○その他
冒頭発言
(1)大臣の韓国訪問について
【大臣】私(大臣)からは昨日の韓国訪問について、既にいろいろ報じられているところではありますが、実質的にはわずか1日という限られた時間ですが、外交通商相、そして非常にお忙しい中、大統領、首相、統一部長官にお目に掛かり、その他経済界の古い友人等にもお目に掛かる機会があり、併せて韓国語を学ぶ日本の学生とも意見交換する機会がありましたので、非常に充実したものであったと考えております。
中身については既に報じられておりますけれども、今年1年は日韓併合100周年ということで、センシティブな年であるという共通認識の下で、しっかりとこの1年を協力してやっていこうということが外相間で確認できたと思っております。そして、日韓EPAの話とか、様々な具体的な問題についても意見交換を前向きにすることができたと思っております。特に私(大臣)は、大統領と久し振りにお会いをして、大統領になられてからは直接お話をするのが初めてだったのですが、アッバース議長や(他国の)首脳が二人おられる中で、時間を割いていただいて30分程意見交換できたことは大変有益だったと思います。大統領は大変エネルギッシュに前向きなお話をされましたけれども、日韓EPAについても是非議論を再開することについて、非常に前向きな姿勢を示されました。
それから、非常に印象に残っておりますのは、「リーダーたるもの、もちろん国民の意見にしっかり耳を傾けなければいけないけれども、それだけでは物事は決められなくなる。決断すべきときはきちんと決断しなければならない」ということを言われました。一時期は支持率が20%程度に落ち込んだ中で、最近は50%近くまで支持率が上がってきておられると思いますが、まさしく自らの経験を踏まえて言われた発言だと思いますので、大変参考になったといいますか、非常に印象深い発言だったと思います。
冒頭に戻りますが、いずれにしても今年1年、シャトル外交ということであれば、大統領がどこかの時点で日本にお見えになりますし、日中韓首脳会談が行われますので、総理も韓国に行かれる機会も当然あります。G20もありますし、APECもあるということでありますので、何回か行き来が首脳間でもあるという中で、これからの日韓関係の100年を見据えて、いいスタートを切りたいと考えているところでございます。
日韓関係(日韓外相会談等)
【時事通信 水島記者】日韓関係ですけれども、昨日の外相会談後の会見で大臣は、「日韓併合について、民族の誇りを傷つける出来事だった」と、かなり踏み込んだ発言をされましたが、その狙いと、そういう表現をされた大臣の心情について説明していただけますでしょうか。
【大臣】私(大臣)は「国を奪い、そして、民族の誇りを深く傷つけることであった」と申し上げたわけであります。これは当事者の身になればすぐわかることですが、例えば日本が同じような立場になれば、少なくとも私(大臣)は、私(大臣)自身の日本人としての誇りを深く傷つけられたと感じると思いますし、日本という国が他のある国に併合されて、なくなってしまうということは耐え難いことです。身を置き換えてみれば、多くの日本人の皆さんにも、私(大臣)の言ったことに共感していただけるのではないかと思います。私(大臣)がよく使う言葉に、「害を与えた方は忘れがちだけれども、被害を受けた方はなかなか忘れられない」と、まさしくこの日韓の問題について被害者となった朝鮮半島の人々、韓国だけではないですが、朝鮮半島の人々の立場に立って、受けた影響というものを忘れてはならないと私(大臣)は思います。私(大臣)の発言は日本に向けてもメッセージを発したつもりであります。相手の立場に立って考えみれば、よく理解できることではないかということであります。
【NHK 別府記者】朝鮮半島情勢ですが、北京で今、中朝間の外交接触が行われていますが、中国政府からどのような公式・非公式に何か連絡があるのかということと、あと、今回の中朝接触の意義をどのように見ていらっしゃるかお願いします。
【大臣】特に中身をお話しする立場にはありません。ただ、何か注目すべき話というようには、現時点で受け止めておりません。
【共同通信 西野記者】日韓関係についてですけれども、直接、昨日の会談で大きく取り上げられてはいないと思いますけれども、韓国側は歴史問題に関していろいろな論点を持っていると思いますが、日本政府は1965年の日韓条約で、いわゆる請求権については終わっているという認識が政府方針だと考えています。今後1年間でいろいろな話があると思いますが、そういった過去の問題は解決済みであるという日本政府のこれまでの立場には、変更はないのでしょうか。
【大臣】基本的には変わりません。法的な問題としてはそこで解決を、お互いが納得づくで解決をしたということであります。
外国人地方参政権
【産経新聞 赤地記者】日韓の外相会談の話題になった地方参政権付与法案の関係ですけれども、韓国側からは期待が表明されたと思いますが、今後政府内でどのように取り組んでいかれるのか、大臣の法案への賛否も含めてお聞かせください。
【大臣】賛否は、内閣で決めた時点で、その決めた方針に従うということで、あまり個別の意見を申し上げない方がいいと思います。閣僚ですので、そこは慎重に申し上げたいと思います。私(大臣)の基本的な考え方は今までの中で申し上げているところでありますけれども、閣僚になった以上は内閣の方針に従うということであります。これから、党と内閣と調整をしなければなりません。「内閣と」と言うときに、与党間での調整も必要になります。そういったことを、全体をこれから議論していくということになるのだろうと思います。現時点ではまだ固まっていないということです。「現在、検討中である」ということを韓国においても説明してまいりました。
【テレビ東京 柳川記者】検討中ということですけれども、日本国民にとって検討している先がどのようなメリットがあり、どのようなデメリットがあると想定した上で、その検討というのはしていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】それは、これまで進めてこられた党及び、担当は総務省でありますので、総務大臣にお聞きいただいた方がいいと思います。私(大臣)は直接この法案について責任を持つ立場ではありませんので、外務大臣の立場で特にお話をすることはありません。
【フリーランス 安積氏】先日、全国都道府県議長会で、参政権についての意見交換が行われました。この中で民主党を代表して今野東さんが発言された内容で「帰化には5年間の居住と、まともであることが要件である」とおっしゃいましたが、政府と与党は政策的には一致しているということでございますけれども、「帰化には5年間の居住とまともであることが要件である」ということは、「参政権の付与については、まともであることは要件とならない」ということになると思うのですが、この考え方についていかがお考えですか。
【大臣】論理的に少し質問の趣旨が分かりません。
【フリーランス 安積氏】5年間の居住と、まともであることが要件であるけれども、参政権については、その要件ではなくて10年間の居住であることだけが要件であるという発言でした。
【大臣】参政権について10年の居住という話は私(大臣)は初めて聞く話ですし、少し仰っていることがよく分からないのですが、国籍を取る取らないということと、参政権ということは質的に違うことですから、その二つの要件だけを比較して、そこだけが違うと仰っている意味が私(大臣)には理解が良くできません。
米軍再編問題
【NHK 禰津記者】普天間問題についてお伺いします。昨日、検討委員会のメンバーがグアムに視察に行っていましたが、この中で、サイパンの地元の知事が受け入れに前向きな姿勢を示したということについて、まずご見解をお伺いしたいのと、これを受けて社民党の福島さんが、党としても検討したいというようなことを考えていますが、これついてのご見解もお願いします。
【大臣】具体的に「どこが」という話は検討委員会で行われていることですので、今、私(大臣)が、どこがいいとか悪いとかそういうことは避けるべきだと思っています。そういうことでずっとやってまいりましたので、特にそのことにコメントはいたしません。ただ、サイパンの知事は、「米国政府の全面的なバックアップがあって」ということで言われたと思いますので、自らが全面的に引き受けるという趣旨ではなかったのではないかと思っております。
【テレビ朝日 新堀記者】普天間に関する基地問題検討委員会は、来週そろそろ与党内の案が出てくるということですが、その後の政府内、政府と与党の間の議論の進め方、どのようなことを考えていらっしゃるのかを教えていただけますでしょうか。
【大臣】基本的には、官房長官が検討委員会を責任を持ってやっておられますので、官房長官のお考えは当然あると思います。そのお考えも伺いながら、閣内でいろいろ相談してまいりたいと思います。現時点では何も決まっておりません。
【琉球新報 滝本記者】グアムへの視察の件で、先程テニアンのお話がありましたけれども、グアムの州知事は、今ある日米合意以上に(海兵隊の移転が)増えるということは受け入れ難いとの難色を示した回答をされているようです。これに対する受け止めをお伺いできればと思います。
【大臣】そのことも含めて、今、個別のことは私(大臣)が言わない方がいいと思いますので、検討委員会で検討されている途上にありますので、コメントすることは控えたいと思います。
報償費
【共同通信 土屋記者】外務省の報償費上納問題についてお伺いします。慣行があったということは、本日の閣議決定でも、答弁書でも認めておられましたけれども、いつからいつまでそういう慣行があったのかという事実を、外務省として把握しているのか。それから、総理が「ある程度までは調べてもいいのではないか」ということを、資料がないということを前提にして調べてもいいという考え方を示しておられましたけれども、その点についてどう思われるか教えてください。
【大臣】それは前回も出たと思いますが、総理も考え方を官房長官と相談して、その考え方を今言われていないと思います。いずれにしてもそれは官邸の中の話ですから、総理がそう言われるということですと、それは官房長官とよくご相談になる話だと思います。しかし、総理はそういった今お話のようなことは言っておられないと、私(大臣)は理解しております。上納というか、外務省の報償費を外交用務ということで使っていたということに関しては、詳細については、私(大臣)は報償費という性格もありますし、かなり昔の話でもありますので、事実関係がはっきりしないところもありますので語るべきではないと思っております。ただ、そういうものがあったという事実は、事実は事実として明確に申し上げた方がいいという判断をして、あのような質問主意書の答弁になったわけであります。
【共同通信 西野記者】事実を事実としてお認めになったことは、政権交代の成果であると評価できると思いますが、そこだけで、大臣は「詳細は報償費という性格もある」ということで、それ以上のお答えを避けているような気がします。例えば、どうしてそういったへんてこな仕組みになっていたのか、あるいは全体の額としてはどれぐらいだったのかということは、用途を示していなくても説明できるのではないかという気がします。なぜもう少し踏み込もうとしないのか、ほかに何か理由があるのであれば教えていただきたいと思います。
【大臣】例えば「どうしてそうなっていたか」ということは、当時の官房長官なり外務大臣でないと分からない話です。私(大臣)が当時の外務大臣や官房長官に聞くと、そのようには思っておりません。
【共同通信 土屋記者】気になるところは、1993年に細川政権が誕生したとき、鳩山総理が官房副長官として官邸の中にいたわけですけれども、そのときも、例えば「外務省の上納が行われていたかどうか」というところについては気になるところであると思うので、どのように認識しておられるかお伺いしたいのですが。
【大臣】それだけ過去に遡りますと私(大臣)は分かりませんし、調べてわかるかどうかというのは、外務省ではわかりません。
米国におけるトヨタ自動車のリコール問題
【マガジンX 島田記者】車の話でトヨタの問題ですけれども、メーカーとしての対応をどう考えているのかについて、関連して、米国の市場もいろいろとございますけれども、その辺りの感想をお伺いしたいと思っています。
【大臣】いろいろなことが言えると思いますが、大臣ですので、私(大臣)自身の感想を言うべきではないと思います。具体的なことについては、担当の国交大臣なり、経産大臣が、それぞれご発言になっているのではないかと思います。米国もいろいろな発言もあったりして、行き過ぎている部分もあるかもしれませんけれども、しかし、それぞれの政府の人間や、あるいは政治家が自らの見識に基づいて言っておられるわけですから、一つひとつについて何かコメントをすることはやめた方がいいと思います。
【マガジンX 島田記者】先ほど「経産大臣と国交大臣とも」と仰っていましたが、各省庁と連携して米国と何か調整するという方針も、全く今のところはないということでしょうか。
【大臣】基本的には、これは個別の企業の話です。もちろん、政府としてバックアップできることがあればやりたいと思いますが、今、政府ベースで何かやるということは私(大臣)は念頭にありません。もちろん、担当のそれぞれの大臣からそういう提案があれば、外務大臣として出来ることはしっかりとやっていきたいと思います。
日本漁船に対するロシア国境警備局による銃撃事案
【読売新聞 川崎記者】ロシア国境警備隊による漁船銃撃事案の関係ですが、ご承知のとおり、この漁船2隻の船長2人が衛星を利用した位置の装置の電源を切っていたということで海上保安部に逮捕されておりますが、これについての大臣のご見解と、これに関連しまして、ロシア側は、今後もこのようなロシア側が言う領海侵犯のようなことがあった場合には、銃撃を辞さないというようなことを報道を通じて言っているようですが、この2点について大臣のご見解をお願いします。
【大臣】まず、銃撃ということは人の命に係わる話で、そのことについて我々は抗議をしたところであります。そのことについては変わりません。お互いがきちんと約束をした、そういう地域を超えて漁船が活動していたとすれば、これはもちろん問題ですが、現時点では「機械を止めた」ということについて逮捕され、現在取り調べ中であります。起訴するかどうかはまだ現時点では分かりません。そういう状況でありますので、これ以上のコメントは現時点では控えたいと思います。ただ、事実関係がはっきりすれば、何か申し上げることはあると思います。
竹島問題
【読売新聞 石川記者】竹島の関係で、海洋科学基地が韓国によって建設されているということが亀井亜紀子議員から質問主意書が出ていたと思いますが、それに対する答弁書が本日、外務省から出ていると思います。「そういった報道があることは把握しているけれども、個別の外交問題については応えられない」という答弁書だったと思うのですが、報道ベースではなく、実際にこういった行為があるということを外務省として把握されているのかということと、これに対する抗議等はされているのか。また、昨日の外相会談や大統領との表敬では、こういった話は触れられることはあったのでしょうか。
【大臣】ありません。触れておりません。
【読売新聞 石川記者】報道ベースではなくて、実際にこうした行為があるということは把握されているのかどうか。
【大臣】私(大臣)は答弁を見たのが少し前なので、記憶が薄いので調べて報告します。
ODAのあり方に関する検討会
【共同通信 西野記者】ODAの見直しに関するタスク・フォースなのですが、どのような現状になっているのか、把握されている範囲でお話し下さい。
【大臣】動き出したところですから、まだ現時点でご報告するようなことは特にありません。時期が来ればお話したいと思います。
いわゆる「密約」問題に関する調査
【琉球新報 滝本記者】16日に沖縄密約の裁判が結審の見込みということですが、国側が前回、前々回、吉野文六さんが証言されたことについての反論として、「証言については推測も含まれている」というような内容の反論というか、国側の見解を出される予定との一部報道もありますが、前回の吉野さんの証言に対する国側の姿勢について、改めてお伺いしたいと思います。
【大臣】まだ、それは私(大臣)は確認しておりません。
調査捕鯨(シー・シェパードによる妨害行為)
【NHK 禰津記者】南極海でまた日本の調査捕鯨船とシ-・シェパードとの衝突があり、日本の船員が三名、薬品をぶつけられて怪我人が出ているということですが、改めてこれに関してどのような外交的な措置をとるのかということと、前回アディ・ギル号と調査捕鯨船がぶつかった後の記者会見で、大臣は「今後、こういったことが続くようであれば抗議だけでなく、関係国と協議する必要がある」と仰っていたと思いますが、これで(衝突事案が)三回くらい続いているかと思いますが、どのような対応をとられるおつもりなのか、お考えをお聞かせください。
【大臣】非常に懸念をしております。今回の二隻、一隻はオランダ船籍、もう一隻はトーゴ船籍と理解をしておりますが、二隻の船舶が我が国の調査団に付きまとい、様々な妨害行為を行ったと。酪酸の入った瓶が第二昭南丸に投げ込まれ、船体に当たり瓶が割れ酪酸が飛び散り、船員三名の顔にかかったということです。視力には異常はないけれども、顔に痛みがあるということで、これは放置できませんので、外務省としては、在オランダ大使館の公使からオランダ外務省の運輸課長に申し入れを行ったところです。その後もこういった行為が続いておりますので、本日の午後、本省の漁業室長が在京のオランダ大使館の公使に来訪を求め、申し入れを行う予定です。水産庁の方もいろいろご検討されているということです。
【読売新聞 川崎記者】このように何回も同じようなことが繰り返されており、その度に外務省としては抗議をしているということだと思うのですが、抗議をしても、ある意味、一行に埒が明かない状態が続いているように見受けられます。今後、例えば、役人のレベルではなくて政務レベルで強く抗議をするとか、或いは何か具体的な、先ほどの質問にもありましたように、関係国と協議するとか、そいういうことは近々には考えていらっしゃらないのでしょうか。
【大臣】これはトーゴとオランダと申し上げましたが、それは船籍があるということなのです。そこに高いレベルで抗議をして、それで問題が解決するかどうかという見通しの問題もあります。こういう状況が続くことは極めて遺憾ですので、何らかの対応を考えたいと思いますが、どこに対してどのようにものを言うべきかということを、現在検討しているところです。
QDR(4年ごとの国防計画の見直し)
【琉球新報 滝本記者】今月初めに出ました米国のQDRについて、(QDRが)出た直後の時にはまだ精読されていないということでしたが、その後、時間も一定程度経ったので、ご覧頂けたかなと思っています。その中でグアムの位置づけについて、米国の戦略の中でのグアムの位置づけが改めて書かれて強調されていると思いますが、その部分を大臣としてどのように読み解いているかということをお聞かせください。
【大臣】現にいろいろな工事が進んでいて、方針について確認といいますか、別にそれで新しい方針が出た訳ではなくて、現在の方針を確認したというように受け止めております。ただ、知事も言われているように、どこまで集積ができるのかということについて、地元の意見もいろいろあるのだろうと思っています。
文化外交
【フリーランス 島田氏】フリーランスとしてお伺いします。以前のブログで飯倉公館のお話について、「大使等にお食事の説明するのも文化外交の一つだ」と書かれていましたが、以前の私の質問で「文化外交は重要だから、この先もやっていきたい」と仰っていましたが、具体的にどういう方向で、省内の職員の方々に、具体的な方針をどうしたいというようなことを。
【大臣】飯倉(公館)の話ですか。
【フリーランス 島田氏】飯倉公館の話ではなくて、それを広げて、文化外交というものをどのように進めていこうと、何かチームを作ったりとか、具体的にやろうとしている方向性というものがあればお伺いします。
【大臣】外務省として、例えば、日本の文化、この前はマンガについて賞を作り、世界各国から作品を募ったりとか、そういうことをやっています。私(大臣)があそこ(ブログ)で申し上げたのは、「日本の食事というのも日本を理解していただく上で非常にいいツールなので、そういうものを活用していきたい」という趣旨で申し上げたところであります。昨日も韓国で、夜は機内食だったのですが、韓国の食事が出るかと期待した(ところ出なかったので)少し期待外れだったのですけれども、昼は外交通商省の公邸で、韓国は公邸があるのですが、昼飯を食べながらということで、韓国料理が出て、非常に良かったです。そういうことも、国に対する印象をかなり変えるといいますか、良い影響を及ぼすということだと思います。飯倉公館で食事をしながら議論するというのは、私(大臣)は非常に良いことだと思いますし、そういう時に色々な工夫も凝らしたらいいのではないかと思います。昨日少し言っていたのは、飯倉(公館)ではなくて官邸ですが、なぜか日本食の後にケーキが出てくることがあって、習近平中国国家副主席の時にはモンブランが出てきました。理由はよく分かりませんが、最後(のデザート)にケーキが出るのではなくて、やっぱり最後は和菓子が出てくるとか、日本茶が出てくるとか、和食でやったなら最後までそれ(和食)で締めたほうがいいのではないかという話を少ししていたところでした。
公務用ワインの管理
【週刊金曜日 伊田記者】飯倉公館のワインリストについてお伺いします。前政権の時ですが、情報公開でワインリストを請求したら、「そういうものはない」という判断でした。質問主意書の答弁書では「適切に管理している」と、膨大なワインをワインリストなしに「適切に管理している」という答弁があったのですが、政権も交代した訳ですから、飯倉公館にあれだけワインがあるということの是非と、ワインリストもなしに「適切に管理している」ということがあり得るかということについて、お考えをお聞かせ下さい。
【大臣】(伊田さんは)まだ(会見に)ご出席ではなかったかもしれませんが、一度ここで問題になったかと思います。確か鈴木宗男議員だったかの質問主意書がありまして、「何本あるのか」という質問に対して、記憶が明確ではありませんが、「7千本」と答えたかと思います。そして、「年間千本位使う」と、「少し在庫をスリム化する」というような趣旨の答弁書を作成した記憶があります。そういう方針で、課題になっている在庫を減らしていくということです。よく議論するのですが、せっかく日本に来ていただいたなら、同じワインを出すにしても日本のワインを出すなど、私(大臣)はお酒を飲みませんから分かりませんが、日本のワインのレベルもかなり高いということですので、そういう工夫をしてもいいのではないかと思います。ある外務省のOBの方から「ワインというのは出た時が一番安いんだ。時間が経てば経つほど価値が上がるので、在庫にしておくことはそれは意味があることなのだ」と言われましたが、世の中の感覚から言うとやはり、役所がそのようなものをたくさん持つというのは、私(大臣)の感覚にも合いませんので、「(在庫を)減らす」ということにしたいと思います。そういう方針を決めたところです。
【週刊金曜日 伊田記者】私も安い間に買っておいて貯めておくというのは悪いことではないと思いますが、7千本にも上るワインをリストも無しに全部覚えているのかということです。それについてはいかがでしょうか。
【大臣】私(大臣)はワインを飲みませんので、そういうリストが容易に作れるものであるのかどうか分かりませんが、それだけのものをリスト化すれば、かなり手間暇がかかるのは間違いないと思います。その手間暇をかけるだけの価値があるかどうかという問題だと思います。
その他
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者からの質問を代読いたします。岡田大臣の政治家としてのお人柄を表すエピソードとして、贈り物は一切もらわない主義であるという記事を以前お見かけしました。政権与党となり大臣になられて、一段と国民の注目が集まる中、2月14日のバレンタイン・デーのチョコレートは受け取って頂けますかという質問です。
【大臣】それは駄目ですね。私(大臣)の手に来るまでに事務所で断ってしまいますので、手に入ることはありません。後でこっそり誰が持ってきたか教えてくれと言っても、それすら教えてもらえませんので。