外務大臣会見記録(平成22年4月13日)
外務大臣会見記録(平成22年4月13日(火曜日)15時00分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)日・EU(欧州連合)定期首脳協議について
(2)いわゆる「密約」問題に関する調査について
(3)ニューヨーク訪問について
○国連安全保障理事会公開討論
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○ナルィシュキン・ロシア大統領府長官との会談
○日中首脳会談(東シナ海ガス田開発)
○中国の艦船・沖縄近海航行事案
○米軍再編問題
○日・EU定期首脳協議
○米国の核政策
○内閣支持率
○解振華・中国国家発展改革委員副主任との会談
○タイでの邦人ジャーナリスト死亡
○その他
冒頭発言
(1)日・EU(欧州連合)定期首脳協議について
【岡田大臣】日・EU(欧州連合)定期首脳協議について、4月28日(水曜日)、第19回日・EU定期首脳協議が東京において開催されます。協議には、日本側は鳩山総理が、EU側はファン=ロンパイ欧州理事会議長、バローゾ欧州委員長が出席する予定です。この協議は、リスボン条約発効後の新体制になって初めての日・EU定期首脳協議であり、基本的価値を共有し、国際社会の諸課題の解決を主導すべき日・EU双方の首脳が、政治・経済関係、気候変動や核軍縮を含めた諸課題について、幅広く意見交換を行う予定です。
(2)いわゆる「密約」問題に関する調査について
【大臣】第2点ですが、本日の閣議において、「密約」問題に関連する質問主意書に対する答弁書について、閣議決定いたしました。
一件は、いわゆる砂川事件に関する地裁判決に係る日米間のやり取りに関する関連文書の存否についてです。本日閣議決定した答弁書で答弁しているとおり、今回のいわゆる「密約」問題に関する調査において徹底的な調査を行うまで関連文書が発見されず、これまで本件に係る情報公開請求に対し不存在と回答してきたことは、遺憾であると考えています。その旨を答弁書の中で記載したところです。
他の二件は、1960年の日米安保条約改定時における核持込み及び1972年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに関する「密約」に関して、前政権時に作成された答弁書に関する、元総理大臣や元外務大臣等の責任についての質問です。この件については、これらの方々ご自身が自らの意思で説明されることはともかく、これらの方々に対し、政府として何らかの対応をとる必要があるとは考えていませんというように答弁したところです。
(3)ニューヨーク訪問について
【大臣】3点目は私(大臣)のニューヨーク訪問について、4月15日(木曜日)から18日(日曜日)まで、米国ニューヨークを訪問します。15日の夜からということですが、16日(金曜日)午前(現地時間)に開催される「紛争後の平和構築」をテーマとする国連安全保障理事会(安保理)公開討論において、議長を務めることになりました。この公開討論には、潘基文国連事務総長、ザルマイ・ラスール・アフガニスタン外相等が出席する予定です。また、ザルマイ・ラスール・アフガニスタン外相、スヴェン・アルカライ・ボスニア・ヘルツェゴビナ外相、その他の皆さんとの会談も行う予定です。
国連安全保障理事会公開討論
【NHK 禰津記者】大臣が3点目に仰られました国連安保理の出席ですけれども、改めて日本の外務大臣として出席するのは初めてということですが、その狙いと意義について、また会談にはアフガニスタンの外相も出席されるということですけれども、これまで日本がアフガニスタンに行ってきた民生支援等の経験をどのように生かして、こういう議論をやっていきたいのか、その辺りをお伺いできますでしょうか。
【大臣】ご存じのとおり、安保理の理事国は順番に月交代で議長を務めることになっておりまして、多くの安保理議長国は自国の推進する外交テーマについて、閣僚が議長を務める安保理テーマ別公開討論を行っております。我が国としては、外務大臣が議長を務める安保理テーマ別公開討論は初めてであります。非常に重要なテーマである平和構築の問題について、まさにアフガニスタンは現に行っている途上にある訳でありますが、ボスニア・ヘルツェゴビナその他、紛争に関わった国々の関係者の意見も踏まえながら、より良い紛争後の平和構築のあり方について議論したいと考えております。
いわゆる「密約」問題に関する調査
【フリーランス 上出氏】「密約」問題の判決についてです。この判決は、3大紙も1面で取り上げられ、国民にとっては、有意義な歴史的な判決だと私は思います。原告の一人も政府の嘘を正すのはメディアの責任であると言っております。ここには国民は参加できません。聞くことができない国民の立場から質問させて頂きます。この判決は、本来、国民の知る権利や情報開示にとって、画期的な判決であり、これは本来であれば、民主党が財産として、これからいろいろな問題に対応していくひとつの手がかりになると思います。他方、金曜日の発言で控訴の可能性もあるという、外務官僚に取り込まれたような発言を聞いて、正直、私はがっかりしました。本来、国民と共有して、画期的な判決を有効に使っていく、前向きに使っていくという考えはございませんでしょうか。
【大臣】私(大臣)は、この判決について、就任以来行われた徹底的な調査の結果というものが判決文の中には盛り込まれておりません。外務省として、国側からは、10月に行われた第3回口頭弁論以降、外務省において調査中である旨説明を行ってまいりました。特に12月1日に行われた第4回口頭弁論においては、有識者委員会が検証中であり、調査結果の公表後、主張を立証したい旨説明いたしましたが、裁判長から、裁判所としては調査結果を待つ気はないとして、これまでの主張を踏まえて、最終準備書面を提出するよう指示があり、本年2月11日に口頭弁論の終結が決定されたものであります。私(大臣)は、財務省も調査を徹底されたと思いますが、今までにない体制で徹底的に調査したにもかかわらず、このことの結果を踏まえずに判決が出されたということに対し、なぜそうなったのかということ、疑問を禁じ得ない訳であります。ですから、原告の皆さんの情報公開にかける思いというものは、私(大臣)も共有できる部分はかなりありますが、これだけ徹底した調査の結果について織り込まずに判決を出すということに対しては、私(大臣)も少し法律を学んだ者ですが、なぜこうなったのだろうかという気がしてならないところです。そして、判決文は、文書の公開を命ずるものであります。徹底的に調査をして、(文書が)ないことを確信しております。ないものについて、公開を求められても、それは答を見いだせない訳であります。今後、この判決をどうするかということは政府の中で議論したいと思いますが、この判決を受け入れるということは、ないものを出すということになって、それは不可能を強いられることになるということであります。
【フリーランス 岩上氏】先日の判決及びその記者会見があったのが金曜日。土曜日に横須賀に行かれまして、その時にもご質問させて頂きました。その当日、土曜日の夕方、判決を受けての報告会を兼ねた、西山太吉元毎日新聞記者の講演会がありまして、講演会、並びにその後の懇親会の場でも、西山さんと夜中近くまで話し込み、いろいろなお話を伺いました。ニコニコ動画の七尾さんの真似をする訳では決してないのですが、この場に来れない西山さんに代わって、岡田大臣にお聞きしたいことがあります。西山さんのお考えでは、「今回、岡田外相は最初に有識者委員会という場所を設置したが、その中身に立ち入って指揮を行わなかった。これは失敗ではないか。つまり、調査の陣頭指揮に立たなかったことによって、外務官僚及びその外務官僚と非常に親しい関係にある学者たちの思惑どおりになってしまったのではないか。これに対して、菅財務大臣は、同じく密約問題に関して調査を行っているが、陣頭指揮を取っている。直接、官僚に政務三役として命令を下し、調査の逐一に命令を下して、むしろ、政府が今まで駄目だったのだったら駄目だったということを明確にする形で調査を行っており、この対比は著しいものである」ということでした。言葉はもう少し激しいものでしたが、今、柔らかくしてお伝えしています。これについて、お答いただけないでしょうか。
【大臣】財務省の調査については、私(大臣)はコメントする立場にございません。ただ、何も出てこなかったというのは事実であります。我々の調査の結果、たくさんの文書が公開されました。その中にはその後、3月9日に出したものが、最近になって発表されたと新聞の1面トップを飾るような文書もかなり含まれているということです。それはやはり、今まで例にない探し方をしたからでありまして、専従の15人の職員が徹底的に外務省内全体を探したということであります。私(大臣)も逐次報告を受けておりましたので、別に指示をしなかった訳ではございません。そもそも法律に基づいて事務次官に指示をした訳であります。これは罰則担保です。そういう中で、これだけのものが出てきたということです。私(大臣)は今までに見られなかった徹底的な調査であり、その結果について、何か問題があるというのはよく理解できないところであります。これは国民の皆さんに申し上げたいと思いますが、外務省は徹底的に調査をいたしました。一人ひとりの職員も本気になってやった訳で、そしてその結果として、かなりの文書が出てきた訳ですから、もちろん不足しているものはあります。それがなぜなかったのかという議論は残りますが、しかし、今までにない文書が出てきて、それをホームページで全部出しているという、今までに全く政府としては見られなかったことをやっておりますので、そのことについて、正当に評価をしていただきたい。国民の皆様にお願いしたいと思います。
【フリーランス 岩上氏】同じく西山さんとお話した上でのご質問とさせていただきます。今回の判決の中で、おそらく大臣は精査してお読みになられたと思います。確かに政権交代してから、調査を大臣が徹底して行われたというところは、評価するにしても、この判決そのものが、今までのこれまでの政府のあり方に対して、国民の知る権利をないがしろにしてきた。その情報を公開するという意義というものを謳ったものであって、これは、民主党政権全体、岡田大臣だけではなくて、民主党政権、或いは民主党が高く旗を掲げていたものに反するものではないと、おそらくこの判決のどこにも不服はないのではないかと西山さんは仰っておりました。最後は、今言ったような手続き論はあるかもしれませんが、この判決を否定して控訴することがあったならば、民主党政権は崩壊するであろうというところまで仰っていましたが、こうしたご意見に対してどのようにお考えになりますでしょうか。
【大臣】いろいろな意見はあるのだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、外務省における9月以降の徹底した調査について、それを盛り込まずに判断をしているというのは何故なのか、私(大臣)は率直に疑問に思います。それをきちんと評価した上で、それでも足りないということならば、議論はあるでしょうけれども、そういった今までにない調査について、それを全く横において、結論先にありきというようになっていることについては、私(大臣)は外務大臣としてだけではなくて、少し法律を学んだ者として、疑問に思っております。
【週刊金曜日 伊田記者】本日決定された質問主意書でこういう文面があります。「元毎日新聞記者の西山太吉氏は、当時密約の存在を明らかにしようとし、政府から情報を取ろうとした結果、職を追われ、大きな社会的打撃を被っている。右につき、岡田大臣としてはどのような見解を有しているか」という質問に対して、本日決定された答弁書が事実関係だけに終わっているような気がします。具体的には「ご指摘の西山氏については、沖縄返還交渉を巡る取材にあたって、国家公務員による秘密漏示をそそのかし、その取材行為が正当な取材活動の範囲を逸脱するものであるとして、有罪とされ、判決が確定して現在に至っていると承知している」ということでした。これは事実関係だけに絞っているような気がするのですけれども、大臣個人として、西山さんに対する思いとかそういうものがありましたら、教えてください。
【大臣】前も申し上げましたが、記者として能力をお持ちでありながら、この事件をきっかけに第一線を退かれたことは、これは惜しいことだと思います。ただ、同時に、最高裁判決で指摘をされたような取材方法についての妥当性ということの議論は残ると思います。ここは、最高裁の判決として確定している訳であります。それ以外のところは、私(大臣)は、西山さんには西山さんのお考えがあるのだと思いますが、どうして外務省で行った徹底的な調査というものをコメントされないのか、少し分かりません。それから、先ほど、私(大臣)がその調査にあたって、全然任せきりだったということでしたが、それはとんでもない事実誤認であります。
【フリーランス 上出氏】今のに関連してですが、そういう訴訟指揮のお立場は分かるのですが、それだけで国民にメッセージをすることはあまりにも寂しいのではないでしょうか。本来、民主党が求めていた方向と判決は同じです。どこかで誰かが前向きなメッセージを出してくれることを期待しているのですが、枝野さんが少しそのようなことを言っていますが、この判決の意義等について、鳩山首相を含めて民主党としての「官主導から政府主導に」ということにも一致する判決に対し、どこかでメッセージを出してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
【大臣】ですから、ここの判決にいろいろと書かれていますが、有識者による調査というのは、聞き取りも含めてかなりやった訳です。今までにないことをやっている訳で、そういう意味で、判決が言っていることと方向は一緒なのですが、しかし、我々は当事者ですから、国ですから、国として考えたときに、「どうしてこのような判決になるのだろうか」と、まさしく判決が言っているような様々なことをやった結果ということについて、視野の外において判決文が書かれているということについて、釈然としないと思っております。もちろん、原告の皆さんの多くが情報公開を更に進めなければいけないという思いでやっておられることは、私(大臣)は理解しておりますし、その思いというのは、共有しておりますけれども、この判決そのものについては、どうも釈然としないというところです。
【東京新聞 佐藤記者】今、「文書がなぜなくなったのかという議論は残る」と仰いまましたけれども、裁判で指摘された文書がなぜなかったかということについて、追加的に調査されるお考えはおありますでしょうか。
【大臣】それは随分昔の話でありまして、そのことについて、まず、なかったということは事実であります。そのことについて、判決は「ある」という前提で出せと言っておられる訳ですから、今のご質問の趣旨がよく分かりませんが、判決は「ある」と言っている訳ですから、それに対して、我々は「ない」と言うしかないということであります。
【週刊金曜日 伊田記者】外交文書の欠落問題に対する調査委員会で、藤崎大使だけでなく、谷内氏を調査対象に含める考えはあるかという質問に対して、報告書及び参考人に対する質疑等を精査した上で関係者からの聞き取り等を実施し、速やかに公表したいと考えているというように、谷内氏を含めるかについて明言を避けているのですが、この点については如何でしょうか。
【大臣】調査結果は調査が終わり次第速やかに発表したいと思いますが、どの範囲で調査を行うかということは事前には申し上げません。
【朝日新聞 鶴岡記者】冒頭ご発言の砂川事件について伺います。既に米国の公文書等では、最高裁に飛び越えて上告する、いわゆる跳躍上告について大使から圧力があったと指摘されていますが、今外務省としてはこの上告の圧力があったということまでは認めていないのでしょうか。
【大臣】この件も、今回の密約調査の中で資料が出てきた話です。そして、それは資料をご覧いただければ分かりますように、大使と外務大臣だったと思いますが、その意見交換が行われているということですが、その中身については、そういった仰るような趣旨のものではなかったということはお読みいただければお分かり頂けるのではないかと思います。外務省には、それ以外の資料はございません。大使が最高裁長官と会ったのではないかと言われている訳ですが、もちろん外務省にはそういう資料は存在しえない訳ですので、もしあるとしたら、まさしくそれは法務省なり最高裁ということになるのであろうと思います。
【琉球新報 仲井間記者】本日の委員会でもやり取りがあったと思いますが、裁判権放棄に関する文書も一連の密約の調査の中で出てきたということですが、これは密約と指摘する声もありますが、大臣はどのように受け止めているかということと、このような文書が見つかったということ、このような日米間での合意と言うか協議があったことについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。
【大臣】この文書も今回の密約調査の中で出てきたものです。これだけたくさんのものが出てきたということの一例だと思います。そういうものを全部横においた判決に、未だに私(大臣)は納得できない訳ですが、それはともかくとして、本日国会でも申し上げましたように、そのものが出てきたのではなく、言われていたその文書に言及した、そういう文書が出てきたということです。そういった文書が出てまいりましたので、そういった文書そのものがあるのではないかということは、推定されうる訳ですが、実際にそういうものがあったのかどうかということは、現時点では分かりません。本日の国会でも議論になりましたが、今後30年超の資料について原則公開ということで、どんどん出して参ります。ただ数多くの資料がありますから、どれから優先順位をつけて公開していくかということ、多数の人員を要します。そういった体制を作らなければなりません。そういう体制を組んだ上で、何から公開していくかということについて考える際に今回のことというのは、当時の地位協定や行政協定についての関連文書を優先順位をおいて公開していくということの一つの根拠になるのかなと思っております。ただ、他にもこれこそ早く公開すべきだという声はたくさんありますので、優先順位をどうするかということについても、私(大臣)が本部長を務めます省内に作った会議で考えていきたいと思っております。
【フリーランス 岩上氏】「ない」と仰られている文書が本当に「ない」ことを証明するのは、「たいへん難しい」というのは大臣の仰るとおりだろうと思います。いわゆる、「ないものをない」と証明するというのは、悪魔の証明等と言われる範疇に入るのだろうと思いますが、しかし、「ない」というものを証明するのではなく、「あったけれどもなくなってしまった。なくなったのは廃棄したからだ。組織的にいつ誰が廃棄したから、廃棄したからなくなってしまった。したがって今存在しない」ということを証明することは可能であって、つまりは文書の組織的な廃棄、これは非常に犯罪的なことであろうと思いますが、外務官僚が行ったことを明確にして、その責任の所在を明らかにすることはできるのではないかと思います。裁判所の趣旨まで私がくみ上げるのではないのですが、そういったことを明確にするということを求めているのではなかろうかというようにも思いますし、国民はそういうことを望んでいるだろうと思うのですが、大臣のお考えをお聞かせ下さい。
【大臣】これが果たしてあったのか、なかったのかということも議論になる問題です。米国には確かにサインをしたものがあって、吉野文六さんがこれは確かに自分がサインをしたとお認めになりました。それが一部だったのか、二部作ってお互いシェアしたのかということははっきりしない訳です。米国にとって有利な文書ですから、米国が吉野さんにサインをさせて自分たちが確保したという場合もありうるし、或いは二部作ってお互いシェアしたということも考えられます。しかし、そのこともはっきりしない訳ですから、それがあったという前提で考えるというのは、一つの仮定をおくということになると思います。いずれにしてもはっきりしていることは、今外務省の中には「ない」ということです。先程も申し上げましたが、15人の職員が誠心誠意、必死になって探して出てこない訳ですから、私(大臣)はその探した職員を信用しておりますし、彼らが本気でやったということをよく分かっておりますので、自信を持って「ない」ということは申し上げられます。
【週刊金曜日 伊田記者】密約問題に関して、「なかった」という答弁、質問主意書を前政権は繰り返してきました。閣僚は国民に対して真実を述べるというのはある意味業務だと思います、外務官僚がそういうものがないということで業務妨害、偽計業務妨害にあたるのではないかという見方について如何でしょうか。
【大臣】今回、きちんと徹底的に探した結果出てきたものについて、当時探したけれども出てこなかったというのは、私(大臣)は、それを分かっていて隠したということとは質が違うと思いますので、仰るような組み立て方は無理があるのではないかと思います。
ナルィシュキン・ロシア大統領府長官との会談
【北海道新聞 島田記者】この会見の後にロシアの大統領府長官と会談されると思うのですけれども、その点について質問させてもらいます。大臣から会談の中でテーマにしたい話題があるかということがまず1点と、その中で北方領土問題などに触れるお考えはあるかという、この2点についてお願いします。
【大臣】領土問題についても議論になるかと思いますが、私(大臣)がモスクワお会いしたときも議論になっております。同時にこれは日露間全般について、車の両輪、経済と政治、全体について意見交換をしたいと思っております。
日中首脳会談(東シナ海ガス田開発)
【共通通信 斎藤記者】ワシントンで総理が中国の胡錦涛国家主席と会談をしました。この中身について、ある程度報告を受けているということを前提にお伺いしたいのですが、東シナ海ガス田問題で、総理は中国側に対して速やかに共同開発の前提として必要な条約締結に向けた交渉を急ぐべきだという認識を伝えたと聞いております。説明では、かなり強く求めたとも聞いております。これに対して胡錦濤主席は、一定程度理解を示しながらも、依然として環境づくりが必要だという趣旨のことを発言したと言われています。このやりとり、これまでの日中間の東シナ海ガス田協議の枠にとどまるやりとりだったのか、それともある程度、今までの外相会談等々で積み上げてきた議論からもう一歩先に進むような成果があったのかどうか、この点について大臣のご意見をお伺いしたいと思います。
【大臣】私(大臣)はまだ詳しく報告を受けておりませんので、なかなかお答えは難しいのですが、首脳間でこの問題の重要性というのを相互に認識し合ったということは非常によかったと思います。個別具体的といいますか、中身の話は外務大臣レベルで更に行っていくことではないかと思っております。
中国の艦船・沖縄近海航行事案
【共通通信 斎藤記者】中国関連でお伺いします。先ほど防衛省は、公海上の話なのですが、中国の艦船が沖縄本島と宮古島の間を航行していたという発表をしました。事実関係について、今後外交ルートを通じて確認する考えがあるかどうか、あるいはしたかどうか。それと今回の航行について、国際法上あるいは何らかの二国間の規定等々に照らして問題があるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】事実関係をもう一回教えていただけますか。
【共通通信 斎藤記者】それでは、正確に申し上げます。統幕が本日、次のように発表しました。4月10日午後8時ごろ、海上自衛隊の「すずなみ」が沖縄本島の西南西約140キロメートルの南西諸島を東シナ海から太平洋に向けて進む中国海軍の艦船、合計10隻を確認した。これらの艦艇は、4月11日、沖縄南方海域において洋上補給を行ったことが確認されている。これは統幕の発表資料です。これについての所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】それだけでは領海を通過したのかどうかという基本的なこともよくわかりませんから、コメントはできません。事実関係をよく確認した上でコメントしたいと思います。
【日経新聞 山内記者】防衛省側が会見で、外務省外交ルートを通じて事実関係を確認したとしていますが、大臣の方は把握されていますでしょうか。
【大臣】私(大臣)はまだ把握しておりません。
【テレビ朝日 吉野記者】今の案件ですが、防衛省が発表した事実というのは、沖縄と宮古島の間を艦船10隻が通過したということです。それらが通過するときに、日本の船の近くを、距離にして90メートル、高さ30メートルのところを中国側のヘリコプターが通過し、船にとってみるとその距離は非常に近かったということでした。これについて外交当局を通じて中国側と確認しているということですが、その事実関係についてお伺いします。
【大臣】私(大臣)はまだ把握しておりません。事実関係を確認するということであれば、大臣まで上がってこないということも当然あると思います。
米軍再編問題
【NHK 別府記者】普天間問題についてですが、鳩山総理大臣とオバマ大統領が非公式に意見交換をした件で、総理の方から5月決着について協力を求めたというお話を総理がされていますが、どのような報告がどれぐらい詳細に入っているかわかりませんが、この非公式な意見交換について大臣から見て満足いく結果だったと受け止めていますか。
【大臣】満足いくかどうかということの価値判断、基準は何かということにもよるのですが、皆さんから見てどうかということはあると思います。私(大臣)は以前から、ここで突っ込んだ議論にはならないが、触れることにはなるだろうということを申し上げておりました。そういうラインに沿って総理は言われたと考えております。
【フリーランス 小山氏】テレビなどを見ていると、大臣と米国大使が基地の選定に当たっているというような印象を受けるのですが、通常こういう場合は、米側は大使でなくて在沖縄米海兵隊司令官とその制服組、日本側からは防衛省の内局と制服組。特に専門家のパイロットを入れて交渉しないと、選定が技術的に非常に細かい問題が多くありますので、例えばオスプリーのヘリコプターの駐機場は直径何メートル以上なければならないかとか、タンクの貯蔵場とかいろいろと専門家でないと分からないことはうんとある訳です。ですから、大変失礼な言い方ですが、大臣と米国大使では、オスプリーのヘリコプターは見たことがないと思うのですが、そういうお二方が幾ら協議をやってもいい結果は出てこないと思うのですが。
【大臣】ですから、それは具体的なことは持ち帰って、ルース駐日大使も相談をしながら答えを持ち帰ってくるといったことで、今、進んでおります。
【日本テレビ 山見記者】岡田大臣とルース駐日大使が金曜日に会談を行ったということでしたけれども、今、現時点で普天間の交渉がやや滞っているような印象を受けますが、大臣のお立場から、この問題で米側に対してアプローチとして日本側は何が足りないのか、沖縄側に対してまだ何ができていないのか、移設先の地元に対しても何ができていないのか、この辺についてご意見をください。
【大臣】非常に漠然としたご質問ですから、答えるのが簡単ではないと思いますが、日米間、地元、それぞれについて働きかけを行っているということであります。
【フリーランス 小山氏】辺野古の住民は米国の基地建設を支持しているわけですけれども、それに対して大臣が反対している理由というのはどういうことなのでしょうか。
【大臣】個別のことについては、私(大臣)は申し上げません。今仰ったことも事実かどうかということも議論のわかれるところだと思います。
【フリーランス 小山氏】少なくとも米側はそういう認識をしております。それが間違いでしたら大臣の方が米側にご説明されるといいと思うのですが。
【大臣】私(大臣)が反対しているかどうかということも含めて、私(大臣)はコメントをいたしません。今、政府として全体で取り組んでいる、関係5閣僚で取り組んでいるということだけ申し上げておきたいと思います。
【週刊金曜日 伊田記者】普天間移設問題で金曜日、土曜日と私は沖縄に行ってまいりました。こちらで予想してした以上に沖縄の県民の怒りといいますか、失望が高まっているように感じました。やはり沖縄県民の感情を重視する必要があると思うのですが、大臣は沖縄大使からどのぐらいの頻度でそういった県民感情について、報告を受けていますか。その報告についてどのようなご感想をお持ちになられていますか。
【大臣】沖縄大使は必要に応じて連絡を取っておりますけれども、毎日のように報告が来るということではございません。沖縄の方々の感情というものは非常に重要だと思いますので、沖縄負担軽減という鳩山総理の思いがしっかりと伝わるように、更に努力をしていかなければいけないと思っています。
【琉球新報 仲井間記者】普天間の件に関して、本日のお昼に社民党と国民新党が協議をもって、これから日本政府と米国の交渉が本格化することを受けて、社民党と国民新党として在京米国大使館に行って、日本との交渉に臨む際の米側の考え方の説明を求めていこうと合意したようなのですが、連立を組むこの2党がこのような独自のというか、米側へのアプローチをされることを、大臣としてはどのように受け止めていますでしょうか。
【大臣】それぞれ政党ですから、それが政党としての正式な意思決定であれば、そういうこともやむを得ないと私(大臣)は思います。
【共同通信 西野記者】日本でいうと本日の午前中の日米の非公式な会談、意見交換では、突っ込んだ議論にはならないと言われているのは事実だと思うのですが、ただ、もう4月になり、5月末までということになると、突っ込んだ意見交換をしなければならない時期でもあり、地元に対してもいろいろな説明をしなければいけないのではないかという判断も、いろいろなところで出てきていると思います。対米交渉の窓口は、今、ルース駐日大使とやっているということですが、大臣は時間の感覚についてはどのようにお考えで、その認識に基づいてどのように進めていこうと考えていますか。
【大臣】なるべく急いだ方がいいとは思っております。ですから、金曜日に会いましたし、かなり頻繁に今までもやっております。これからも同様であります。
【フリーランス 岩上氏】普天間関連でご質問させていただきます。18、000人の海兵隊員が沖縄に駐留しているというこの数字は、本当に正しいのかという質問主意書が鈴木宗男さんから3月の時点で出されておりまして、4月2日に政府から回答がありました。これは平成18年に額賀長官の時代に政府が回答したものであるということを、この18、000人の根拠としております。これに対して4月8日、これは毎日新聞ですけれども、エルドリッジ次長が沖縄等米軍基地問題議員懇談会の川内議員とお会いした際に、この数字の根拠を質したところ、「それは米側が出した数字ではなくて日本側が言い出した数字であって、我々の責任ではない」ということです。つまり、米側が言っているこの政府統計書の中には一部そういう説明があったとあるくだりをエルドリッジ次長自身が否定しているという展開になっているようです。これは沖縄等米軍基地問題議員懇談会のメンバーから直接お話を伺って確認も取りました。18、000人という数字が合っていないということであれば、これは常駐とローテーションで回っている数字もありますし、正確な数字を把握しない限り移転のプログラムといいますか、ロードマップというのは正しいものを描くことができないのではないか。この点を把握してからもう一度きちんとした交渉をするべきではないか。これも懇談会の主張に重なるところではありますけれども、こうした疑問提示について、お考えとご説明をお願いしたいと思います。
【大臣】今のお話は、どういう会話が日米間でなされたのかということは伝聞でありますので、私(大臣)はそのことについて直接把握はしておりません。ただ、勿論18、000人というのは現有の人数ではなく、枠としての人数であることは間違いありません。その時々によって、他のところにたくさん行っていれば、現在はそんなにいないということは当然あり得る訳ですが、言わば定員のような形で最大限これだけというのが、18、000という数字だと私(大臣)は理解しております。それがもしそうではないという疑いがあるのであれば、それは確認をする必要があると思っております。川内議員は武正副大臣とたしか会う予定になっていると思いますので、その様子もよく武正副大臣から聞いてもらいたいと思っています。
【共同通信 西野記者】先ほどお伺いしたことと関連しますけれども、なるべく急がなければならないといったご認識だったと思います。大臣がルース駐日大使に幾つかお願いをしたこともあるということですが、具体的なことは別として、どのようなことについて日本側から米側に投げているのかというのは、言える部分はありますか。
【大臣】話の中身は言わないことになっています。これは約束です。
【NHK 別府記者】先ほどの関連なのですが、今日の鳩山総理とオバマ大統領の非公式の意見交換ですが、日本側としては5月末決着に向けての協力をお願いするやりとり。それに対しての米国側の反応が、日本のお願いが伝わったなと感じられるものだったのか。つまり、働きかけは成功だったかどうかと受け止めていらっしゃるかどうか教えてください。
【大臣】それは総理が、オバマ大統領がどう言ったかということは言わないと仰っていますので、私(大臣)からコメントすることはございません。
日・EU定期首脳協議
【朝日新聞 五十嵐記者】大臣が冒頭仰った、日・EU定期首脳協議についてお伺いします。大臣は先日の国会の答弁で、日・EUのEPAについて前進させたいということで、今度の協議で政府間の共同研究を立ち上げたいと仰いました。ただ一方で、EU側は日本とのEPAに余りうまみがないということで、余り積極的ではないと理解しています。そうした状況の中で、共同研究は実際合意できそうかという見通しと、あとはそういったEU側の消極的な姿勢を積極的にするために、日本としてどのような戦略があるかということについてお伺いしたいと思います。
【大臣】共同研究を今回立ち上げることができるかどうかというのは、我々はそうしたいと思いますが、相手のあることですから、率直に言ってわかりません。勿論、彼らが主張していること、例えば非関税障壁の問題でありますとか、そういったことについて、日本側としてどういう提案ができるかということも、いろいろと準備をしているところであります。なお、今、外交努力を行っているところでありまして、共同研究の立ち上げに向けて、EU側に働きかけを行っているところであります。
米国の核政策
【ニコニコ動画 七尾】視聴者の質問を代読いたします。先月のことになるのですが、NPRについてです。先月29日、米国防総省にて大臣が、ミラ副次官からNPRについての説明を1時間にわたって受けたとの報道がございました。この背景にあるのは、これまで核の傘に守られてきた日本が、トマホークの廃棄を含めた米国の新方針によって抱くであろう不安に対して配慮したとの理解でよろしいでしょうか。つまり、これは米国政府が議会に出す国内向けの文書を他国に事前に示すのは異例との報道もありまして、このいきさつについて教えていただければと思います。
【大臣】会談の中身については、私(大臣)から詳しく申し上げる立場にはございません。さまざまな議論をしております。その中には、「消極的安全保証」とか、あるいは「唯一目的」とか、そういったことについての意見交換ということも含まれております。
内閣支持率
【NHK 禰津記者】鳩山政権の内閣支持率についてお伺いしたいのですけれども、各社の世論調査では、政権発足当初7割以上あったものが、今月では2~3割台にまで低迷しておりますけれども、これについて、普天間基地の移設問題がなかなか決着しないことや、政治とカネの問題などが絡んでいるのではないかという指摘もありますが、大臣のお受け止めとしてどのように認識されているのか、お伺いできますでしょうか。
【大臣】国民の皆様のそういう厳しいご意見というものは、謙虚に耳を傾けなければならないと思います。大事なことは、各大臣がそれぞれの職責をしっかりと果たすということだと私(大臣)は思っております。
解振華・中国国家発展改革委員副主任との会談
【時事通信 鈴木記者】先ほどの中国の解振華さんとの意見交換なのですけれども、意見が一致した点、なかなかすれ違ってしまった点、COP16に向けて、もし展望のようなものが開けましたということがあったら、その内容をお願いします。
【大臣】何度も議論をしている人ですから、率直に意見交換を行いました。その中身についてお話するのは適当ではないと思います。これから福山副大臣とも食事をはさんで、杉山審議官ともお話をいたしますので、その皮切りとして、昨年のCOP15も含めて、やや率直に意見を申し上げさせていただきました。
タイでの邦人ジャーナリスト死亡
【ロイター通信 イザベル記者】この間のバンコクでの事件について、何かタイ政府などから新しい情報は入っていますでしょうか。
【大臣】まず、村本博之さんがお亡くなりになったことに対して、心からご冥福をお祈りしたいと思います。そして、村本さんのご家族は、4月11日にバンコクへ渡航されて、12日の午前にご遺体との対面を済まされた後、同日深夜、バンコクを出発し、本13日の午前にご帰国されたと聞いております。また、村本氏のご遺体は、12日午前、タイ政府による司法解剖が行われた後、本日午前、バンコクを出発して、本日の午後、日本に到着する予定であると承知しております。外務省としては、在タイ日本国大使館を通じ、現地当局からの情報収集に努めるとともに、ご家族への連絡やバンコク滞在中の支援を含め、邦人保護の観点から、必要かつ可能な支援を行ったところであります。今後、警察も必要な捜査を行うと承知をしております。具体的な捜査内容等、詳細については承知しておりませんが、タイ政府に対しても、事実関係の解明を、タイ政府はそれに努めるということを表明しておりますが、しっかりと事実関係の解明をタイ政府が行うよう、外務省としても関心をもって見守りたいと思います。外交的な努力をしたいと思っています。
その他
【フリーランス 大川氏】このたび、ニューヨークでアフガニスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争後の平和構築のお話をされるということなのですが、前回お話しました国境なき医師団に続く国境なき病院ということで、大臣は非常に税金がかかってしまうのではないかというご懸念があったのですが、私はちゃんと新潟の地震のときの現場も行っているのですが、老々船などを改造するだけで非常に安く改造でき、なおかつ、いざというときに飛行機の離発着もできる改造ができると造船技術者の方からもお伺いしておりますし、財団からも寄附を募ることもできますので、税金の問題もクリアーになるかと思います。今、イラクのお医者さんが日本に来て医療を学んでいるのですが、病院船が平時の間は紛争地域であったり、紛争後の構築場所に行けば、お医者さんが何人もどどっと来て研修を受けたりとか、技術を学ぶことが病院船の中では可能だと思います。日本の技術をもってすれば、大臣は船が行くのに時間がかかるとおっしゃったのですが、ヨーロッパでは確かに病院船があって、機動力は落ちています。ですが、日本の技術をもってすれば、高速艇とか、そういったご提案を日本から発信されるお気持ちはありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
【大臣】ひとつのご提案ですから、少し外務省の中でも議論をしてみてもいいと思いますが、私(大臣)は余り積極的には残念ながらなれません。