夕刊フジコラム「ズバリ直球」10年5月13日号
米軍普天間飛行場の移設問題が、連日メディアで報じられている。この問題には、在日米軍基地の75%が集中する沖縄県の負担を軽減しながら、在日米軍の抑止力を維持するという、ある意味、二律背反したことを実現しなければならない難しさがある。
鳩山由紀夫首相は就任以来、「沖縄県民の思いに応えたい」という強い気持ちでこの問題に取り組み、現実との狭間で苦しんでこられた。国民の皆さんにも、どうか最近の日本を取り巻く厳しい状況を理解してほしい。
韓国海軍の哨戒艦が3月下旬、黄海の南北境界付近で沈没し、乗組員46人が亡くなった。同国の李明博大統領は「事故ではない」と明言している。また、先月8日と21日、東シナ海と沖縄南方を航行中だった海上自衛隊の護衛艦に、中国海軍艦艇の艦載ヘリコプターが異常接近する事態が発生している。
在日米軍は、日本および東アジアの平和と安定のために重要な役割を果たしている。普天間問題は「日本にとっても在日米軍の抑止力は必要だ」という冷静な視点で議論しなければならない。
さて、私はGW中、5泊8日(機中2泊)の日程で、南アフリカとタンザニアを訪問してきた。
南アはアフリカのリーダー国であり、インド、ブラジルなどと並ぶ有力新興国の一つである。同国ではズマ大統領を表敬訪問し、マシャバネ外相と会談。重要なパートナーとして戦略的な協力関係を強化することで一致した。
タンザニアでは、日本がアフリカの経済発展を支援するための「第4回アフリカ開発会議」(TICADⅣ)のフォローアップ会合に出席した。私は会合で「日本は約束したことは必ず守る。政権が代わって、支援の姿勢が強くなることはあっても、弱くなることはない」と説明してきた。
アフリカは、気候変動の被害を最も受ける地域といえる。次のCOP16、そして南アが議長国となるCOP17に向けて、アフリカ53カ国と協力して行動していきたい。また、日本が主張している国連の安保理改革についても、今後とも理解と協力を求めたい。
今回の出張では、住友化学の蚊帳工場(タンザニア)など現場視察もいくつか行った。この工場は6千人の雇用を生んでいて、殺虫成分を練り込んだ蚊帳によって、マラリアによる死亡率が半減した国がいくつもある。
今週月曜日、サッカーW杯南ア大会に出場する日本代表メンバー23人が発表された。私は南ア訪問の際、決勝戦が行われるサッカーシティー・スタジアムを視察した。マシャバネ外相が「また南アに来てください」と言うので、両国のユニフォームを交換しながら、「日本代表が決勝戦まで進んだら必ず来ますよ」と答えた。ぜひ、岡田ジャパンには頑張ってほしい。