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2010.05.07|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年5月7日)

外務大臣会見記録(平成22年5月7日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)南アフリカ及びタンザニアへの出張報告について
(2)ミャンマー情勢について
(3)NPT運用検討会議について
○東シナ海における中国船による調査活動の活発化
○米軍再編問題
○北朝鮮情勢
○経済再生に向けた緊急提言
○ハーグ条約
○いわゆる「密約」問題に関する調査
○東シナ海のガス田開発
○メキシコ湾の原油流出事故
○ミャンマー情勢(NLDの解党)
○国際平和協力法に基づくスーダンへの自衛隊部隊派遣

冒頭発言
(1)南アフリカ及びタンザニアへの出張報告について

【岡田大臣】まず、私(大臣)自身のアフリカ出張の件ですが、28日から5月5日にかけて、南アフリカとタンザニアを訪問いたしました。内容はご案内のとおりでありますが、まず、南アというのは、日本が抱える、例えば安保理改革、或いは気候変動、そういった問題で非常に重要なポジションにあるということを改めて認識をいたしました。
 安保理改革は、アフリカとどう対話していくかということが非常に重要であるということは、前回のG4の経緯を見ても明らかであります。そういう中でアフリカのリーダー国としての南アフリカ、アフリカは全体として常任理事国2つということを主張していますが、アフリカの中ではさまざまな話し合いもあるとも聞いております。アフリカと対話していく中で、南アというのはリーダー国として非常に重要な位置付けを持っていると思っております。
 それから、気候変動については、メキシコで今年行われるCOP16に続いて、COP17は南アフリカで行われるということであります。最も気候変動の影響を受けるのがアフリカの国々でありますので、ここと如何に対話していくかということが1つの公的枠組みというものを作っていく上で非常に重要であると考えております。そういう意味でも、やはり南アとの対話ということは極めて重要であると考えております。
 タンザニアで行われたTICADⅣにつきましては、私(大臣)は、これは年に1回のペースで開いておりますが、外務大臣が行くべき会議であると改めて思いました。アフリカを支援する集大成がTICADでありますので、1993年から始めて、今、TICADⅣというフレーズになっている訳ですけれども、やはり年に1回きちんとフォローアップして、進捗状況をお互い話し合うという極めて重要な会議であります。
 閣僚だけでも、今回も30を超える国から閣僚が集まってくれました。こういう会議に外務大臣が出るということは、可能な限りそうするべきだと思った次第であります。併せて、9か国の外相、AU副委員長との個別会談もそれぞれ30分ほど時間をとって行いまして、これも短時間に非常に有益な意見交換ができたと考えております。
 例えば、中国などは、外務大臣は1月に必ずアフリカを訪問すると、それに加えて国家主席や首相や、或いは副主席やいろんな方が入れかわり立ち代りアフリカを訪問しております。別にたくさん行くからいいということではありませんが、少なくとも外務大臣も年に1度はアフリカに行くということは、ある意味でルール化した方がいいのではないかと思った次第であります。
 繰り返しになりますが、この気候変動の問題、常任理事国入りの問題でアフリカというのは極めて重要です。そのための話し合いを二国間会談でも、常に私(大臣)は、温暖化の問題と安保理改革の話を持ち出しましたので、ある意味では基礎工事のような、将来の布石を打つことにはなったのではないかと思っております。そのほか、現場もかなり見させていただいて、非常に有益な1週間だったと思っております。

(2)ミャンマー情勢について

【岡田大臣】2点目、ミャンマーでありますが、6日にNLD(国民民主連盟)の総選挙参加のための政党登録が行われなかったということで、自動的にNLDが解党ということになったことは非常に残念なことであります。我々の開かれた公正な選挙ということの実現に向けて、今後ともミャンマー政府に働きかけをしていきたいと、アウン・サン・スー・チー女史やNLDとの対話の促進というものを求めていきたいと思います。
 米国のキャンベル国務次官補も近々ミャンマーを訪れると聞いておりまして、ここはよく連携をとりながら、最終的に開かれた公正な選挙と評価できるだけのものを求めて、周辺国とも協力し、米国とも意思疎通をよくしながら努力を続けていきたいと考えております。

(3)NPT運用検討会議について

【岡田大臣】NPT運用検討会議、福山副大臣に出ていただき、演説をしていただきました。今後、具体的な文書化に向けての交渉が始まってまいります。前回のような、何もまとまらないということではなくて、しっかりと文書化されるように、日本としても、今までも日豪のメッセージを出したり、いろいろ努力をしておりますが、まずは現場でしっかりと外務省の職員の皆さんに頑張っていただきたいと思っております。
なお、必要があれば、私(大臣)自身が現場に行くということも、必要に応じてそれは考えなければならないかもしれません。そういうことも含めて、とにかく日本として、きちんとまとまった成果が出るように、努力を注力したいと考えております。

東シナ海における中国船による調査活動の活発化
【共同通信 斎藤記者】中国が東シナ海で活動を活発化させている一連の問題についてお伺いします。中国海軍の艦艇10隻が、先月、日本近海を航行して、その際、2度にわたってヘリが護衛艦に接近する問題が起きた訳ですが、これを受けて大臣は、中国側に懸念を表明したということは、私どもも認識しております。ところが、それから間もない今月3日、今度は国家海洋局の海洋調査船が海上保安庁の測量船を追跡し、海洋調査が一時中断するという事態になった訳です。これについても、大臣、そしてまた各政府関係者が中国に対して抗議をするという措置を取った訳ですが、中国側はそれに対して、「活動は完全に正当で合法だ」と反論していると聞いております。中国がこうした対応をとるのはどうしてなのか。そして、これをどう受け止めるべきなのか。そして、再発防止に向けて、どのような実効性ある措置が取れるとお考えでしょうか。お願いします。

【大臣】昨日も、私(大臣)は大使を呼んで厳重な抗議をした訳ですが、それに対して、その場で今、仰ったような答えは別にありませんでした。ですから、今、仰った答えを、私(大臣)は直接確認しておりません。これからどうするかということは、よく話し合うということが非常に重要だと思います。こういったことが繰り返されないために、ハイレベルでしっかりと話をしていくということだと思います。

【共同通信 斎藤記者】関連でお伺いしますが、昨日の外務省の発表資料によれば、岡田大臣は、日本の主権的権利が損なわれた、妨害行為だということで抗議をされたと、このようにあったと思います。ここで分かり易く、大臣が仰られた「損なわれた主権的権利」というものはどういうものなのか。今回の件が日本の国益をどのような形で損なっているのか、できればかみ砕いて、分かり易くご説明いただきたいと思います。

【大臣】中間線の東側ですから、日本の主張する排他的経済水域の範囲の中で日本が調査を行うということに対して、それを妨害するということは、日本の主権に対する侵害と言われても仕方がないことだと、私(大臣)は思います。

米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】普天間の件で、4日、総理が沖縄に行かれて、いろいろと政府の考えということを示されまして、いろいろと地元で反対の声も受けられました。その中でやはり「抑止力」ということが昨今言われていますが、その部分で大臣の認識を確認したいと思います。総理は、海兵隊の抑止力について、政権を取られて勉強をされる中で以前の認識と変わってきたというお話でした。「パッケージとして、沖縄に存在している米軍全体の中での海兵隊の役割を考えたときに、連携し、抑止力が維持できるという思いに至った」と最後のぶら下がりで仰っられていました。以前、岡田大臣にお伺いしたとき、「海兵隊の抑止力というのは、必ずしも沖縄にはなくてもいいのかもしれない」と仰られたと記憶しています。総理は、沖縄になぜいなければいけないのかというと、沖縄の米軍の全体、海、空を併せて、それのトータルの軍事バランスとして必要であるから、沖縄に置かなければいけない。だから、沖縄から離せないのだと仰られるのですが、その部分、私が認識している岡田大臣の以前の海兵隊抑止力論と少しずれがあるのかなと思ったりもするのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】総理がどのように言われたのか、私(大臣)は詳細を承知しておりませんので、その解釈をここでするつもりはありません。私(大臣)が申し上げたのは、沖縄という言い方はしないと、「日本に」というように申し上げた訳で、それは沖縄の負担軽減のために、基地の移設を議論しているときに、何か沖縄になければいけないということをあまり言うべきではないという私(大臣)の判断の中で、少なくとも「日本に」と申し上げた訳で、沖縄になくていいと言った訳では必ずしもありません。

【フリーランス 大川氏】私は海洋技術並びに造船技術の現場を取材しておりまして、沖縄の普天間基地移設問題で、やはりいつかは米軍が撤退するかと思うので、メガフロートという方法で、日本の新技術、優秀な技術を使って、メガフロートで4,000m級の基地をつくり、朝鮮有事には佐世保に移動し、そして、台湾有事の場合は沖縄の方に戻るという、要するに米軍が撤退した後のことも考えて、メガフロートという技術で基地を構築するというお考えはありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】あまり個別の話はしない方がいいと思います。今、何か具体的なことを総理も含めて申し上げている訳ではありませんので、そういう中でメガフロートとかがいいとか悪いとか、そういう話は私(大臣)は避けるべきだと思います。

【毎日新聞 野口記者】選挙のとき、総理の「最低でも県外に」といった発言がありましたが、先日4日に沖縄に行ったときはそうではなくて、抑止力の観点から「海兵隊は沖縄に必要だ」という認識を総理が示されましたが、そういった総理の海兵隊の抑止力を認識したという発言について、そういった変化したことについての大臣の評価はいかがでしょうか。

【大臣】総理の発言を評価するほど私(大臣)は偉くないので、特にそれについてコメントは申し上げません。ただ、率直なところを総理が仰ったのだと思います。

【共同通信 井上記者】先ほどの沖縄の海兵隊の部分なのですが、「沖縄になくていいと言ったのではない」と仰いましたが、これは沖縄に海兵隊が必要だとお考えになっていると捉えてよろしいでしょうか。

【大臣】今、まさしく政府の中で議論をしているところですから、私(大臣)の個人的意見を言わない方がいいと思って、慎重に言葉を選んで申し上げているところであります。ただ、私(大臣)がこの場で以前に申し上げたときに、「県外というのはあり得ないと思う」ということを申し上げた。そこににじみ出ているものは、お感じいただいていることだと思います。

【琉球新報 滝本記者】今、大臣が仰られたことが少し理解できなかったのですが、県外というのは難しいと以前に仰られたことで大臣の言いたいお気持ちというのは察することができるだろうというように仰られたのですね。ごめんなさい、その確認ではないのですが、ということは、詳細は今、立ち入りは避けるというふうなお話でしたけれども、なぜ沖縄になければならないのかということの議論で、総理とのお話し合いの中で、外務省として抑止力、或いは海兵隊の存在意義等ということについて、意見交換もされて、総理に外務省としての、或いは大臣としてのお考えをお伝えになられたり、そういうディスカッションはされてこられたという理解でよろしいでしょうか。

【大臣】そういうディスカッションをずっとしております。

【琉球新報 滝本記者】抑止力についても。

【大臣】はい。

【フリーランス 上出氏】国民の立場から見ると、新政権は当然、米国と真正面から向き合って、自民党とは違うものを出してくれると思っていたと思うのです。ところが、残念ながら、鳩山総理は今更ながら、「抑止力について、私も認識が浅かった」ということを言っておられる。このことについて、本当にきちんとした形で、5月末と限らなくても、多くの国民、特に沖縄県民は、新政権として何かの新しいメリットを出してほしいと、まだ米国の言いなりで、そういう状況を何とか脱したいと思っているのですが、その辺のご認識は個別にはあまりということですが、岡田大臣の率直なご認識をお聞かせいただきたいと思います。
国民向けにです。

【大臣】米国の言いなりとは全く思っておりません。そして、沖縄の負担を軽減するために、この間、総理も大変な努力を傾けておられますし、今もそのために努力しているとお考えいただきたいと思います。

【毎日新聞 野口記者】総理と仲井真知事の会談の中で、負担軽減について、仲井真知事が事件や騒音の減少だったり、日米地位協定の見直しだったりをやってほしいということを求めて、総理は負担軽減についてパッケージで解決したいということを仰っておりました。今、日米で実務者協議をやっておりますが、これは普天間の移設先についての具体的な詰めをやっているのと同時に、こういった負担軽減、地位協定だったり、騒音とか事件、事故をどうやってなくすかという負担軽減についても実務者協議の中では並行して議論はしているのでしょうか。

【大臣】具体的なことは申し上げられませんが、そういったことも含めて議論をしております。

【NHK 梶原記者】閣議後の会見で、亀井大臣ですけれども、「辺野古の海に戻ってくるというのはあり得ないではないか」という話をされています。福島大臣についても、「県内移設には反対だ」という声で、個別のこういう案について閣内から反対の声が上がるということで、閣内が混乱しているという印象を与えかねないと思うのですけれども、こうした状況について大臣はどのようにご認識されておられますか。

【大臣】もう少し、沖縄、或いは米国との話し合いが進み、そして1つの案として概ねまとまったところで、そういった連立与党との話ということは当然必要になると思います。まだ、そういう前の段階と認識していただきたいと思います。

【共同通信 比嘉記者】負担軽減の話ですけれども、総理は昨日も5月末までに解決すると仰っているのですが、5月末の時点で、沖縄の県民に対してどのような負担軽減をするので、これで納得をしてほしいというような具体的に形が見えるような負担軽減の案というのが示されるのでしょうか。

【大臣】当然そういうものは示されるということでないと、県民の皆さんのご理解をいただけないと思います。

【琉球新報 滝本記者】私自身混乱していて、多分、行ったり来たりの質問で申し訳ありません。また抑止力なのですが、沖縄でなければいけないのか、沖縄でなくてもいいという議論について、結局、今、総理のお話では、昨日は沖縄に残すと、沖縄にも負担を引き続きお願いしたいと仰られました。戻ってくるということについて、最低でも県外ということを全部出せなかったということは、やはり総理のお考えとして今ある訳です。なぜ、総理が言われた全部県外に出すということができなかったのかということについては、軍事的に海兵隊が沖縄にいなければいけないのかということなのか、それとも政治的に沖縄の外に出すことができなかったのか、つまり外の受け入れるところを探すことができなかったということから来ることなのか、その辺についてはいかがでしょうか。

【大臣】私(大臣)はいずれもだと思います。やはり沖縄の場所的な有意性といいますか、そういうものはやはりあると考えます。同時に移すということになると訓練所も含めて、まとめて移すということになると、今、それを受け入れるという自治体は、残念ながらないということです。その両面があると思います。

【NHK 梶原記者】5月末の決着の件ですが、社民党ですけれども、今月末の決着というものにこだわれば、修正案かそれを僅かに変更した案で決着する可能性が高まるということで、今月末の決着というものにこだわるべきではないということで、政府与党内で働きかけを強めていくという方針のようですけれども、こうしたことについてどのようにお考えになりますか。

【大臣】ただ、総理は5月末と仰っている訳ですから、それは内閣としては5月末、これを目指してやるということだと思います。

【共同通信 井上記者】総理が15日にも再び沖縄を訪問されるということで、平野官房長官はその時点で、移設案について提案が当然あるということを仰ったのですが、そうすると、それまでに連立与党との合意、それと、米国とのある程度の合意というものをした上で、その案を15日にも沖縄にもっていかれるということになるのでしょうか。

【大臣】まず、15日ということは確認しておりません。再度行かれるということは聞いておりますが、日にちまでは、私(大臣)は確認しておりませんので、それを留保した上で、先ほど説明したとおりです。ですから、米国、そして沖縄を始め、地元、その見通しが立ったところで連立与党に諮るということを、先ほどご説明したとおりであります。

【毎日新聞 野口記者】今、官邸の方で徳之島の3町長が来て総理と会談しております。まだ、どういう結果になっているかというのは連絡が入っていないのですけれども、いずれの町長も移設には反対している状況なのですけれども、どういった会談を、今、大臣として期待しておられますか。

【大臣】ちょっと愚問じゃないですか。今やっているので、終わったところでわかる訳ですから、あまりここでコメントしない方がいいと思いますけど。

北朝鮮情勢
【毎日新聞 西岡記者】北朝鮮情勢についてご質問します。金正日総書記が胡錦濤国家主席と会談を開いて、その中で六者会合について、関係各国とともに六者会合再開に有利な条件を作り出していきたいと表明しました。この発言に対する評価並びに中朝首脳会談を受けた日本側の今後の対応、更に、北朝鮮外交に対する大臣ご自身のお考えを改めてお聞かせいただければと思います。

【大臣】1回で1問ということですので、1問だけお答えしたいと思いますが、確かに今仰ったようなことは明らかにされております。六者会合について言及があったということは、私(大臣)はよかったと思います。ただ、現実に今、六者会合について前に進める状況かと言えば、それはやはり眼下の問題、つまり、韓国船の問題が明確にならないと、なかなか進める状況ではないと、客観的にそのように認識しております。

【共同通信 斎藤記者】補足の質問になりますが、韓国艦船の沈没事故の調査結果がまだ出ていないという状況の下で金正日総書記が北京を訪問し、中朝首脳会談を開いたという文脈だと理解しております。韓国国内では、もちろん結果は出ていませんが、ご案内のとおりで、北朝鮮関与説、これは国会の議論で政府は認めていませんが、国会の議論、或いはメディアの報道、北朝鮮関与についていろいろと取りざたされている訳で、李明博政権もかなり厳しい決断を迫られるというような見方もある訳です。こうした中で、金正日総書記が北京に行ったと、このタイミングで中国が北朝鮮を受け入れるということが、六者協議、或いは北東アジアの平和と安全に、本当に寄与するのかどうか。あるいはこのタイミングで中朝会談を開くということが、タイミングとしてどうなのかと、その辺の見方について、もし何かございましたら、大臣の率直なご見解を聞きたいと思います。

【大臣】中朝でどういう話し合いが、この韓国船の沈没に関して行なわれたのか、或いはそもそも行われなかったのか、そこは分かりませんので、軽々にコメントすることは控えたいと思いますが、こういうタイミングですから、韓国の中にさまざまな声が上がっているということは承知しております。そして、私(大臣)として、そういう声が上がるということは理解できることだと思っております。

【時事通信 水島記者】先ほど、韓国船の問題が明確にならないと六者協議を進める状況ではないと仰いましたが、これは恐らく韓国政府も同様の認識だと思うのですけれども、日米韓でこういうような認識で一致していると理解してよろしいのでしょうか。

【大臣】どういうやりとりをしているかということは申し上げられませんが、間もなく結果が出るのだと思います。その結果如何によっては、六者協議の話どころではないということにもなると思いますので、そういう意味で申し上げたところでございます。

経済再生に向けた緊急提言
【読売新聞 川崎記者】本日の読売新聞の朝刊で経済に関する提言というのを掲載させていただきました。特に外務省関係のところで申し上げますと、原子力発電所や新幹線などの海外インフラの受注、激しい国際競争のためには、公的金融や貿易保険の活用を含めた官民一体の新たな通商戦略を作るべきだと、或いはアジア各国とのEPA交渉を急ぐべきであるとか、そのほか、外務省以外のところでも企業の国際競争力の強化のためには、法人の実効税率を20%台にすべきである、もしくは日本経済全体のこととしまして、デフレ脱却に公共投資というのが必要であると、コンクリートも必要であるという提言もさせていただいているのですが、これにつきまして大臣のご見解があれば、お伺いできればと思います。

【大臣】EPAは、インドとのEPAについては、かなり進展が見られると私(大臣)は思いますし、先般のEUとの関係もかなり外交力を使って個別に説明をした結果、必ずしも十分ではありませんが、将来の協定交渉につながることが可能なお膳立てはできたと思っております。政権が代わって大きく変わったことの1つは、EPA全体の進展状況だと私(大臣)は思います。今までの政権の中で滞っていた、いろいろな交渉が動き出しているということは言えると思います。そういった動きを更に加速化させていきたいと考えております。原子力発電所や、或いは水プロジェクトでありますとか、新幹線とか、この連休中も閣僚が先頭に立ってさまざまな動きがありました。私(大臣)も南アフリカで原子力協定の締結交渉に入るということについて合意をしたところであります。それから、地上波デジタル、日本・ブラジル方式について、南米にはかなり広がってまいりましたが、アフリカにもその可能性はないかということで、南アフリカとも話をしたところであります。そういったことを、もう少しシステム化してやっていくということは非常に重要で、内閣として体制を整えるべきだと考えております。ただ、少し気を付けなければいけないのは、官民一体はいいのですが、やはり民間がリスクをある程度取ってやっていくということでないと、全部政府が負う訳にはいきません。或いは韓国で60年間、UAEの原発について保障したという話も流れております。真意は私(大臣)には分かりませんが。ベトナムでは、ロシアは、潜水艦とのパッケージで売り込んだという説もあります。そういうことは、日本はできない訳ですし、最終的にあまり無理をし過ぎると、最終的には納税者の全部負担になってくる話でありますので、そこのけじめというものをどうやって付けていくのかということも併せて考えていかないと、そのときの政権にとっては、これはいい話であっても、20年、30年と長い目で見たときに、国民が大きな負担を背負うということになってはいけない訳ですので、そういったところのバランスを取りながらやっていかなければいけないと思います。国際的にも、あまりそういう売り込み合戦になって、その結果、安全性が損なわれたり、或いはダンピング合戦になってもいけないので、ある程度の私(大臣)はルールというものが求められるのではないかと思っているところであります。

【読売新聞 川崎記者】読売新聞の経済に関する提言の件ですが、非常に多岐に亘っていますので、全体として大臣にご覧頂けたかどうかということもありますが、大臣として提言は評価できる内容なのかどうかということについて、コメントがあればお聞かせ願えれば幸いです。

【大臣】内容は多岐に亘っておりますので、個別に言うのは適当ではないと思いますが、いろいろなメディアがそれぞれそういった具体的な提案をお出しになるということは素晴らしいことだと、評価できることだと思っています。メディア同士でお互い提言を出して、それぞれについて議論しあうということも、私(大臣)はいろいろな政策論を組み立てていく上で大いなるプラスになると思っております。同時に世論にいろいろなことを理解していただくにあたって、具体的な政策を提言されるということは読者には伝わりますから、私(大臣)は、日本の政策を理解してもらう上でも背景理解という意味で非常に有用なことであると思っております。

ハーグ条約
【ジャパンタイムス 伊藤記者】ハーグ条約についてお伺いします。5日、米国の議会に日本がハーグ条約に早期加盟すること等を求める決議案が提出されました。この受け止めをお伺いできますでしょうか。

【大臣】決議案が出たということは承知しておりますが、議会のことですから、それに直接コメントすることは致しませんが、日本としては現実に今ある問題について、各国の大使館と協力しながら、問題の解決に向けて努力を行っているところです。それから、ハーグ条約そのものについても、その締結の可能性を真剣に検討しているという状況です。

【ジャパンタイムス 伊藤記者】この問題は、米国の議会でもかなり話題になっている問題なのですが、大臣は、日米関係について、この問題が影響するとお考えでしょうか。

【大臣】非常にこの問題が重要であるということは、私(大臣)は認識しております。クリントン米国務長官からも何度か提起をされたこともあります。だからこそ、今、真剣に検討を行っているということです。
そして、日本の母親や父親からも、自分の子供が連れ去られたという話も聞いておりますので、そういう意味で両面、日本としてある訳で、私(大臣)としては、早くハーグ条約の締結に向けて検討を急ぐべきだと考えております。ただ、いろいろな日本の司法制度との関わりもあります。かなり根本的な議論が必要になってまいりますので、そういったことを法務省等と連携しながらしっかりと話し合いを進めていきたいと思っております。

いわゆる「密約」問題に関する調査
【日経新聞 山内記者】密約問題に関連して、文書の破棄疑惑についてお伺いします。調査委員会の立ち上げから約1ヶ月が経ちます。東郷元条約局長が資料などを引き継いだ相手としては谷内前次官の他に、藤崎駐米大使の名前を挙げられていますが、この聞き取り調査が終わったのかどうか、状況についてお伺いできればと思います。

【大臣】個別のことを申し上げるべきではないと思います。と言っても、新聞にいろいろ出たりするので、困ってしまうのですが、必要な調査は現在精力的に行っているところです。

【日経新聞 山内記者】この調査の公表の目処について、改めてお伺いしたいのですが。

【大臣】これがなかなか難しくて、まだパズルが上手く合わない、つながってこない状態です。とはいえ、あまり時間をかける訳にはいきませんので、精力的に作業を行っているところです。

東シナ海のガス田開発
【共同通信 斎藤記者】東シナ海のガス田開発の件ですが、先日、局長級協議が北京で行われたと聞いております。予てから大臣がハイレベルで議論しようというような話の延長線上で行われた協議だと理解しております。現時点では、進捗状況ですが、なかなか難しいという話も聞いておりますが、大臣、率直に今の状況をどのように受け止められているのか、そして、今最大の課題が何でどうクリアすべきか、ご見解をお伺いしたいと思います。

【大臣】局長級協議が始まったばかりですので、しっかりと局長間で議論してもらいたいと思います。この問題はなかなか正しく報じていただけないことも多いのですが、2つの問題がある訳です。白樺(春暁)、これは日本企業が、中国が開発しているそれに対して出資をするという話で、共同開発ではありません。そこがよく混同されているのです。北部については共同開発ということです。この2つの話があって、それぞれについて進めていこうとすれば、具体的な手続きのためのルールが必要ですから、そういうことについて早く話し合えるようにしなければいけないということです。まだ、残念ながら、入口で議論している状況だということであります。ただ、首脳間で合意したことですから、是非、私(大臣)としては、早くこの問題を前に進めたいと思っております。中国の温家宝首相もお見えになる訳ですから、或いは日中韓の首脳会談の中でも、バイの会談も行われると思いますので、なるべくそれまでに方向付けをすべきではないかと思っているところであります。ただ、相手のある話ですので、今まで随分時間もかかっていますから、なかなか動かない部分があることも事実です。

【共同通信 斎藤記者】今の大臣のお話はよく分かるのですが、正確にいえば、中国国内法に基づいて、日本企業が白樺の開発への出資をすることを、中国が歓迎するという内容だったと思います。それを、我々日本側のメディアは、狭義の共同開発というか、広い意味で一緒に開発をするという意味で報道してきたというのが経緯ではないかと思います。中国側はこれを「協力開発」と呼んでいるようですが、そこはそんなにこちらとしては、敏感に反応してなかったということかと思います。今の話ですと、日本の世論の受け止めが、かなり協議に影を投げかけているということでした。つまり、日本側の報道が、日本側の世論が、日本側の我々メディアの報道ぶり、理解の仕方が、巡り巡って中国側の世論に何らかの影響を与えて、そうした一連の状況がその協議の進展にマイナスな影響を与えているというような理解を中国側がしている、或いは、懸念しているということなのでしょうか。

【大臣】そこまで詳しく中国側が説明している訳ではないので、あまり想像でものを言わない方がいいと思います。ただ、やはり首脳間の合意の中で、「共同開発」と「出資」というものは明確に書き分けられているので、私(大臣)は、それを大きく括って「共同開発」だというのは、乱暴な言い方で、正確にきちんと国民に伝えるべきだと思っています。私(大臣)はここで言うのは3回目か4回目になると思いますが、2つがあるということを常に申し上げている訳であります。そういうことを報道していただければ、有り難いと思います。

メキシコ湾の原油流出事故
【ニコニコ動画 七尾記者】ルイジアナ州で起きたメキシコ湾での原油流出事故についてお伺いします。原油が流出した海域は東京都の面積の5倍近くに達しているとも報じられ、同様のケースでは史上最悪の被害となる可能性があるとも言われております。オバマ米大統領は声明で「責任はBPにあり、対策の費用もBPが払う」と述べられてはいますが、外交面から環境の復元など、そういったことを見据えた技術協力の申し出などを行うお考えやご予定等はございますでしょうか。

【大臣】現在、具体的なことは特に考えておりません。まずは(流出を)止めなければいけないですね。そこのところは今、企業と米国政府が全力を挙げて取り組んでいます。オバマ大統領も現場まで行かれて演説もされている訳なので、そこは日本としては見守っているということだと思います。しかし、同時に何か日本で出来ることがあれば、例えば資材の供与等、或いはそういった技術が特に日本が優れているかどうか別にして、何かできることがあれば日本として支援したいという思いはあります。今のところ具体的な動きにはなっておりません。何れにしても、非常に大きな災害で、こういうことがアラスカのタンカー座礁以来で規模はそれよりもかなり大きいということで、海洋開発というのもかなり拡がってきましたので、そういったことについて、二重三重のロックをかけるということが必要なのではないか思います。そういう話し合いが国際的にも行われるべきではないかと私(大臣)は感じております。

ミャンマー情勢(NLDの解党)
【読売新聞 川崎記者】ミャンマーの件ですが、NLD(国民民主連盟)の解党が決まってしまったという状況の中で、大臣が仰った「開かれた公正な選挙に向けて今後とも働きかける」というのは具体的にどのような働きかけが可能であるのか、日本政府として何ができるのか、そこの辺りをもう少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。

【大臣】これは非常に悩ましいところです。そう打つ手がたくさんある訳ではないと、省内でも様々な議論をしておりますが、しかし、NLD(国民民主連盟)が解党したとしても、新たな政党ができるかもしれません。そういう動きも一部あるというようにも聞いております。それから、NLD(国民民主連盟)以外にその他の政党もない訳ではないという中で、ミャンマー政府には「今のままでは公正で開かれた選挙とはとても言えない」ということを我々は強調している訳ですが、考え方を変えるといいますか、開かれた公正な選挙が実現できるように、ミャンマー政府がそういう認識を持つように、様々に働きかけていくことだと思っております。ASEANの国々にもそれぞれ外交ルートで考え方を聞いたり、情報収集はかなり今進めております。キャンベル米国務次官補とも意見交換をして、なるべく共同歩調で前に進めていきたいと思っているところです。画期的な手がある訳ではないので、今のミャンマー政府が考え方を変えることを働きかけていくということが、唯一の道だろうと思います。

【読売新聞 川崎記者】補足ですが、このNLD解党を決めたことの一つに、代表である、アウン・サン・スー・チーさんの決断があったということだと思いますが、アウン・サン・スー・チーさんがこの総選挙に参加できるのかどうかが非常に不透明な状況にあると思いますが、逆にミャンマー政府だけではなくてアウン・サン・スー・チーさん側の方にも、何らかの形で、例えば新しい政党を作るなり何なりして総選挙に参加しても良いじゃないか等、そのような働きかけなどは考えられるのかどうかということについてお聞きします。

【大臣】我々が確認したところによると、アウン・サン・スー・チー女史は今のままでは選挙に参加できないというようにミャンマー政府は言っている訳です。もちろん選挙の時期によって変わる可能性はあります。我々としては、そういうことも含めてミャンマー政府に働きかけをしなければならないと思っておりますし、ご質問にお答えしますと、アウン・サン・スー・チー女史、或いはNLD側にも選挙に何らかの形で参加をしていくということについて、我々としての見解を伝えたいというように思っております。

【フリーランス 上出氏】20年前に私はアウン・サン・スー・チー女史が勝利した時の取材をした立場からですが、日本はこれまで、建設的関与ということを言っておられまして、米国とは違う立場をとった。今回は歩調を合わせてやっていくということですが、内政干渉という問題があるかと思います、軍事政権のやっていることに対しては世界的に怒りが起きているのですが、その辺りのアウン・サン・スー・チーさんへの具体的な働きかけも含めて、日本政府としてどこまでができることなのか、岡田大臣ご自身の認識としてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】先ず、米国との関係ですが、米国の政策はオバマ政権になって変わった訳です。関与政策というように、従来のようなとにかく制裁一辺倒ではなくて、関与していこうということになり、だからこそ、キャンベル米国務次官補がミャンマーを訪問した訳です。つまり、その結果として米国と日本の政策は、ほぼ同じ歩調がとれるようになったということです。どこまでできるかということは、もちろん主権国家でありますので、限界はありますが、我々は経済援助をしないとか、或いは本来する気はあるのだけれども簡単に再開できない等、そういったことはできますし、加えて公平公正な選挙というものがないと、国際社会として受け入れができなくなるというようなことは、説得するということですが、そういうことは当然可能になると思います。私(大臣)も外相と1月にFEALACで日本にお見えになった時に議論したときには、大分前向きの印象を受けました。日本でASEAN首脳会議が行われた時の相手側首相との会見はかなり堅かったのですが、1月の外相会談はかなりお互い理解しあえたと思っておりましたので、今回のこの決定はたいへん残念に思っております。ただ、話し合いの余地が全くない訳ではないと思っております。

国際平和協力法に基づくスーダンへの自衛隊部隊派遣
【時事通信 水島記者】スーダンPKOについてお伺いします。外務、防衛と内閣府で調査団を送ることになるようですが、実際に部隊を派遣する可能性についてと、今こういうことを検討する意義について大臣のお考えをお願いします。

【大臣】担当者が7日から出張予定ということですが、あまり発表しないことになっていたのに、どうしてこういうことが出てしまうのか分からないのですが、現地をよく調査をして、どういうニーズがあるのかということの把握をするという目的で行く訳です。その報告を聞いて、政府としてどうすべきかということを判断していきたいと思います。一般論として言えば、PKO活動については積極的に関わっていくべきだと思っております。候補はこれだけではありません。他にもいくつかありますので、その中で日本が行くのにどこが相応しいかということを判断していきたいと思っているところです。




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