トピックス

2010.06.01|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年6月1日)

外務大臣会見記録(平成22年6月1日(火)15:37~ 於:本省会見室)

○冒頭発言-イラン・モッタキ外相の訪日について
○イラン・モッタキ外相の訪日
○ガザ支援船拿捕
○政局(米軍再編問題)
○韓国哨戒艦沈没の事案
○NPT運用再検討会議

冒頭発言ーイラン・モッタキ外相の訪日について
【岡田大臣】私(大臣)からもう一点、昨日、イランのモッタキ外務大臣が急遽日本に来られまして、会談を行いました。2時間強、食事を挟みながらの議論ということになった訳ですが、モッタキ外務大臣とは、モッタキ外務大臣もお話になったと思いますが、この間、特に低濃縮ウランを国外に搬出をして、そして、医療用に加工して戻すというアイデアについて、日本も何らかの役割が果たせないかということで、イラン側とかなり緊密に議論をしていた時期もございます。やがて、それは日本の手を離れて、トルコやブラジルとイランの間の話し合いということになった訳ですが、それが「テヘラン合意」という形でまとまったということです。その機会に是非そのことについて、日本にも更に協力してもらいたいということです」。同時に、国連安保理における制裁の話がかなり佳境に入ってきたということもあったと思います。そういったことについて、是非話をしたいということでありますので、私(大臣)の方でお受けをしたところでございます。
 モッタキ外務大臣からは、テヘラン合意ができた、そして、モッタキ外務大臣によれば、それは米国も関与していたということです。したがって、この合意ができた以上、イランに対する制裁というものは必要がなくなったというお話でございます。そういったことは、前からそういう話は聞いていたわけですけれども、日本側としては、テヘラン合意ができたことは評価をするし、それは是非信頼醸成措置の一環としてやってもらいたいと、しかし、そのことと制裁の話というのは違う話であると、現に今、20%の濃縮活動というものを行っている。そういったことについて、直ちにそれをストップして、そして、私(大臣)からは何とかして制裁というものをしなくていいように、大きな政治決断をイランの側でしてもらいたいと、それがイランの国、或いはイランの国民に対して必要なことではないかということを申し上げたところです。
 かなりやりとりはありましたけれども、私(大臣)から特に申し上げたことは、今回の低濃縮ウランをトルコに出して、そして加工するということであれば、なぜ20%濃縮ということが更に求められるのかということです。いろいろアイソトープ用の原料としては、それで当面足りるわけでありますし、将来の原子力発電のための備えというなら20%は必要ない訳であります。
 したがって、20%を続けるということの意味がわからない。それは国際社会に大きな疑惑を招いている。ですから、そういったことを直ちにやめるべきだと、そういうふうに私(大臣)からは申し上げたところであります。

イラン・モッタキ外相の訪日
【共同通信 西野記者】モッタキ外務大臣は、駐日大使も長く務めた知日派だと思うのですけれども、彼はテヘラン合意を説明して、日本の理解を得たいという意図で来日されたと。それに関しては、そうではないという日本の姿勢を示したということでいい訳ですね。

【大臣】テヘラン合意そのものは、我々は評価するのですが、だから制裁は必要ないという論理は成り立たないということを申し上げました。

【共同通信 西野記者】関連してですけれども、ということで、モッタキ大臣側は、20%濃縮は続けていくのだということを明らかにされたということでよろしいのですか。

【大臣】これからどういう展開になるか、制裁の議論もかなり煮詰まってまいりましたので、それをそのまま受けるのかどうかというのは、わかりません。我々はそうならないことを期待したいと思います。現時点においては、20%濃縮というのは、国家としての権利であるという主張であります。しかし、今回いろいろ申し上げたことについて、またイランに帰って、議論をしっかりとすることを期待したいと思っております。

【フリーランス 岩上氏】テヘラン合意は評価するけれども、制裁は解除しないといいますか、制裁の解除とはまた別の議論であるということを大臣が仰ったときに、モッタキ外務大臣の反応といいますか、どのような受けとめ方をしていたか、これについてお聞かせいただけますでしょうか。

【大臣】制裁を解除しないというよりは、今、新たな追加的な制裁の議論を安保理でしている。その追加的な制裁の必要性はなくなったということをモッタキ外相は言われた訳であります。
 日本とイランというのは、長い友好の歴史もございます。そういう意味で、日本に期待するところもあったのだと思いますが、やはりここはどう考えても、イランが核兵器を持とうとしているという疑惑もある中で、ひたすら20%濃縮を続けるということは、その疑惑を更に深くするものでありますので、私(大臣)からはかなりはっきりと申し上げました。がっかりされたかもしれませんけれども。

【フリーランス 岩上氏】相手方は何と仰ったのですか。

【大臣】相手方が何を言ったかは、私(大臣)は申し上げません。

【NHK 別府記者】イランの追加制裁についてですが、既に3つの安保理決議が挙がっていまして、制裁は少しずつ高まっていますが、イラン側は行動を特に変えず、むしろ進んでいるということで、制裁そのものが、たとえ今回あっても意味があるのかという議論はあると思いますが、その点についてのご見解と、一方でイスラエルは、核保有が公然の秘密とされていますが、そちらについては、全くこの制裁という議論はありませんが、その2つの中で日本としての立ち位置、どのように整合性を取られるのでしょうか。

【大臣】まず、イランの方は、意味があるからこそ、これだけ議論をしてきたし、そして、イランも何とかしたいと思って、かなり活発に外交を展開していると思います。安保理での議論もかなり煮詰まってきておりますので、これは常任理事国レベルでは、ほぼ固まってきて、これから安保理全体での議論という段階にあります。私(大臣)は、イランが全く、むしろ20%濃縮というのを突然始めたり、疑惑を深める方向に行っていますので、ここは毅然とした対応が求められていると思います。
 イスラエルの件は、イスラエルの核というものがどうなのか、あるのかないのかということも含めて、イスラエルは国としてはっきりしておりません。しかし、核を持つということが、本来、NPT上は認められていない訳でありますので、持っているということになれば、そのことに対して、日本政府としても、それをそのまま放置するわけにはいかない。核を放棄してNPTに加入するということを今までも求めてきているところであります。

【毎日新聞 吉永記者】先ほど、日本も同様の提案をしたことがあると仰っていましたけれども、それは具体的に言うと、どういうような提案で、なぜそれがなくなったのかということと、イランのモッタキ外相がトルコとブラジルとの合意に触れて、日本もその合意に同じような提案をしたから参加して欲しかったと言っていたのですが、どうして日本は参加しなかったのかという点を教えていただけますか。

【大臣】具体的な中身を細かく申し上げるつもりはございません。ただ、ある時点で、これが結局全体の制裁の議論を遅らせるために使われる可能性というものが出てまいりましたので、しかも、20%濃縮ということを止めずにどんどん進めるという中で、この議論には乗れないと判断したものであります。

ガザ支援船拿捕
【NHK 禰津記者】イランに絡めて中東の関係なのですけれども、パレスチナのガザ地区で人道支援物資を届けようとした市民団体がイスラエル軍に拿捕されたという問題が31日に起こったみたいですが、これに関して、国連の安保理で今、緊急の会合が開かれているということで、日本として、これに対してどういう対応を取るのか、その辺、大臣の考えをお伺いできますでしょうか。

【大臣】まず、これは事実関係を明確にしなければならないと思います。イスラエル側の関与ということは、かなりはっきりしているわけですが、その間の経緯、そういうものをはっきりと把握した上で、もちろん、多くの人命が失われた訳であります。一方は軍であり、一方は市民であります。そういう中で、人命が失われたということは、これは極めて遺憾だと思っております。あとは、もう少し事実関係を見極めたいと考えております。
  この件は、鈴木中東アフリカ局長がイスラエル大使を外務省に呼びまして、外務報道官の既に発表したメッセージを伝達するとともに、事態が速やかに収拾されることへの期待を表明したということであります。

政局(米軍再編問題)
【共同通信 西野記者】政局についてお伺いいたします。「国民の信頼がなければ外交がうまくいかない」という大臣の趣旨に沿った質問だと理解しておりますので、正面から答えていただきたいと思います。民主党の中には参院選がこのままだと戦えないと、内閣支持率の低迷等を受けて悲鳴のような声が上がっています。本日、常任幹事会が開かれて輿石会長に対応を一任するという事態になっています。このような参院選前に党内で首相の交代を求めるような動きが出ていることについて、どのようにお考えになりますか。

【大臣】それぞれ、個々の候補者、議員には思いがあると思います。そして、民主党の支持が低迷している、端的に言えば逆風であるということも私(大臣)も感じております。ただ、それを、トップを変えれば済むと考えるのは私(大臣)は違うと思います。そして、民主党の今までの歴史を見ると、そういう時に何かトップを変えることで乗り切ろうということが、特に選挙が近くなると、そういう声が出がちでありますが、私(大臣)はそういうことも含めて国民は見ていると思います。総選挙の前に麻生総理に対して、いろいろな意見が自民党内で出ました。そして、麻生総理の求心力といいますか、支持が更に失われたと思います。ですから、そういったことは慎重になされるべきだと思います。

【朝日新聞 鵜飼記者】今回の民主党内からもそういった声が出てくるきっかけというのが普天間の決着というのがあって、それに対して社民党の福島党首が反対をされて、罷免をされたということを受けて、こういう事態になっているのかと思いますが、鳩山政権の対応として、これまで何か誤ってきたこと、間違ってきたことというのは、大臣の目から見て、何かあったのでしょうか。

【大臣】もちろん、試行錯誤ですから、今から見て「こうすれば良かった」ということは当然あると思います。ただ、ことの本質が、今は普天間ということですが、私(大臣)は普天間だけではないと思います。いろいろなことが重なってこうなっていると思います。けれども、当面は普天間の問題が最大のテーマになっていることは事実です。この問題は結局「日米合意」というものをどう考えるかという話ですので、普天間の辺野古近辺への移設ということを盛り込んだ日米合意に対して、それは受け入れられないという社民党が連立を離れたというのは残念ですが、それ以外に選択肢がなかったと言えるかと思います。ですから、今、民主党のなかでいろいろ批判をされている方は、そこをどう考えるかということが同時に問われると思います。私(大臣)は日米合意というものを尊重するというのは内閣の方針であり、同時に民主党の議員であれば、そのことを前提に議論するべきだと思います。

【フリーランス 岩上氏】今のご質問に関連してお尋ねしたいと思います。本日の朝、亀井大臣の会見に出てまいりまして、この普天間問題の決着のあり方、それから、それを受けて社民党の離脱について、どのようにお考えかとお聞きしたところ、「これは県外、国外をこれからも目指していく。INGだ、つまり現在進行形のことであって、それを決してあきらめていない」というようなお答えでした。内閣として、これは辺野古周辺で決着をみたのだという、これまでの岡田大臣のお答えと大分距離感がかけ離れているような気もいたします。社民党に対しても好意的な評価の仕方もしておりました。両大臣とも非常に尊敬する大臣でもありますが、見解が随分離れているようにも思われます。この閣内の違いというものをご説明願えないでしょうか。

【大臣】亀井大臣が言っておられるのは、かなり先の話としてそういう可能性について言われたのだと思いますが、それと当面の普天間の危険性除去のために辺野古に持っていくということは、必ずしも矛盾しないかもしれません。基地全体として、中長期的に減らしていくというのは、沖縄の負担を減らしていくということで、それは当然のことです。私(大臣)は安全保障の問題で玉虫色の決着は非常に難しいと思っております。ここで、それで何とかしのいだとしても、やがてすぐにまた同じような問題になる訳で、社民党の福島党首に対して、平野官房長官も含めていろいろ説明、説得はしてきたと思いますが、やはり「国外でなければだめだ」というお考えであれば、残念ながら意見の一致をみることはできないということです。

【フリーランス 岩上氏】亀井大臣の言葉を引用させていたきますと、「辺野古ということで、話が一つまとまってはいるけれども、これは沖縄県民の理解、それと同意がなければできるものではない。仮に県民が強く反対するようなことがあれば、これは実行できるものではない」と、どちらかというと現在の非常に強い県民の反対、その高揚、辺野古への決定以降、ますます逆に盛り上がっているような、反対の意識を踏まえた上で、実現は難しいのではないかというような見解を述べられました。この点についていかがお考えでしょうか。

【大臣】大変な困難を伴うことは事実です。しかし、「だからできません」と言って放置をすれば普天間の危険性、現状というのは維持されるということですから、それがあってはならないことであります。ですから、内閣を挙げて、沖縄県民の皆さんに理解をいただくように、真摯に説明をしていくことが政府の姿勢であります。それから、同時にこの問題はいわば国内政局のような側面も持っていますが、やはり日本の安全保障環境ということを考えた時に、私(大臣)はやや違和感といいますか、今の議論だけであっていいはずはないと思います。今行っている議論は必要ですけれども、しかし、同時に日本の国民の安全を守る責任が政府にある訳でありまして、いつまでもあやふやなまま先送りをし続けるということが、日米同盟にどう影響を及ぼすかということも、しっかりと考えなければならない。それが、政府の責任であると思っております。

【フリーランス 上出氏】私も亀井大臣の会見に出ておりましたが、かなり強い口調ではっきりと「沖縄と国民が納得しないと、この問題は解決するはずはないのだ」明確に言いました。今の岡田大臣の話ですと、どんなことがあってもこの問題は辺野古で、解決してしまうということでしょうか。それ以外の解決方法はないのでしょうか。

【大臣】沖縄県民の皆様に理解していただかなくては、これは実現しないことは事実です。ですから、理解していただくように真摯な努力が求められるということです。それができないという前提にたてば、これは全く先がなくなってしまうと言いますか、現状固定ということになりますので、そういった対応は政府としてはとれないということであります。

【琉球新報 滝本記者】今の県民の意識というか、認識について、週末に弊社琉球新報と毎日新聞の方で、県民の方の世論調査をさせていただいて、ご存知かと思いますが、辺野古移設に反対が84%と、昨年の10月から11月にかけて行った同様の調査から17ポイントも上昇して、更に「県内はノー、辺野古はノー」だという県民世論が強まったということが言え、更に内閣支持率も8%という一桁、日米安保を維持することを支持するかということについては7%という数字になって半分に減っているのですが、辺野古反対の数字がこれだけになっているということの受け止めと、安保の支持、それは大臣がずっと仰っておられますが、更にこういう対応が、安保への不信ということにもつながっているということも、少なくとも沖縄の中では非常にそうなって、「米軍駐留を支える安保条約の根幹も揺るがしかねない」ということになっている状況について、いかがかとお伺いします。

【大臣】厳しい数字だと思います。ですから、きちんと説明してご理解を頂かなければならないということであります。厳しいから安保をやめるかということにはならない訳でありまして、責任ある政治、国民の生命財産をしっかり守る、地域の平和と安定のために役割を果たすということであれば、そのことをきちんと冷静に説明していかなければならないと思っております。

【NHK 梶原記者】今回の日米合意というのは、評価はもう少し時間がたたないと冷静な評価はないのかな思いますが、一方で今回の日米合意というのが結果的に沖縄県民の怒りをかって、そして、社民党の離脱を引き起こし、そして、鳩山政権が続けられるかどうかというところまで追い込まれている訳ですけれども、こうした日米合意を取りまとめた大臣ご自身の手法なり責任というか、そのあたりのご所見はありますでしょうか。

【大臣】日米合意は関係閣僚が総理大臣の下に集まって、逐次、方針について確認をしながら進めてきたものです。もし、こういう合意がなければ、それは全く先々の見通しがつかない状態になっていた訳で、総理もそれによって厳しい批判を浴びる、支持率は一時的に下がるということを覚悟されながら、しかし、やはりここは政治の責任として、そして、普天間の危険性をしっかり除去しなければいけないという観点で、覚悟を持って行ったことです。私(大臣)も同じです。

【世界日報 山本記者】政府はこれまで、日米安保の観点から、或いは安全保障上の観点から、日米政府合意が重要なんだと、沖縄の民意はこれから変えてでも何とかしなければいけないと仰っておられるのですが、沖縄県で行なわれた集会とか、話が古くなって恐縮ですが、9万人集会とかあって、その報道が主催者発表だけで9万人という形で大きく報道されて、その後、航空写真である警備会社が分析した結果、1万1500人程度であって、それもはっきりした数字は分からないにしても、もしそれがある程度の信憑性があるとするならば、7倍もの数字を出して9万人集会ということで主催者発表だけで報道されて、一部週刊誌とか読売新聞もコラムを出しているのですが、政府としては、この段階にきて沖縄の辺野古と決めるのであれば、そういう報道とか、そういう事実の動きの中で何らかのステイトメントなり、言いにくい雰囲気があったにせよ、今からそれほど挽回されるつもりがあるのであれば、その段階で何かお考えを表明されるとか、今の段階でもの点についてどうお考えかお聞きできますでしょうか。

【大臣】これは主催者の側が発表されれば、そういう主催者が発表された数字であるということで、政府がそれに対して、実は違うということは私(大臣)は言うべき話ではないと思います。もちろん、メディアの中でそういう議論は当然あっていいと私(大臣)は思いますが、政府が言う話ではないと思っております。

【TBS 樋口記者】先程、NHKの梶原さんが聞かれたことの関連ですが、これまでの普天間を振り返ったときの手法という話でしたが、官僚との関係ということについてお聞きしたいと思います。金曜日の総理の会見では、「外務省や防衛省の現場での蓄積が十分生かされたのか」、或いは「政治主導の政策決定について官庁との関係について反省すべき点はあるか」という質問に対して、総理は、情報の漏えいということをあげられました。つまり、「防衛省、外務省の官僚の皆様の知恵も頂いてきた」ということでした。一方で「大人数でいろいろ作業をする中で、途中の段階で情報が漏れてしまうということがありました」ということでした。「もっと皆さんを信頼させる度量の深さ、広さというものが、総理自身に、或いは閣僚に求められているのではないか」と言われたのですが、大臣も8カ月間官僚との関係を振り返って、同じような課題をお感じになっていますか。もし、違えば、違う点をお聞かせ下さい。

【大臣】今回のこの合意に至る作業を、外務省の職員は本当によくやってくれたと思います。厳しい交渉でしたが、土日返上でやってくれたと思っています。情報の漏えいというのは、また別の話で、どこで漏れたのか、今回も総理が沖縄に行かれるその日の朝刊にいろいろな情報がいっぺんに出た訳です。これは誰かが漏らしていないと、1紙だけならともかく、多くのメディアに出ない訳であります。中身は不正確でありました。特に、環境影響評価のところなどは間違った情報でした。従って、これは、少なくとも外務省から漏れたものでは絶対ないということは、はっきりしている訳であります。誰がどのように漏らしたか分かりませんが、今、私(大臣)は非常に遺憾なことだったと思っております。総理が行かれる日ですから。

【共同通信 井上記者】本日の参議院外交防衛委員会で、訓練移転のところで、徳之島について、これは訓練の移転だけではないと、訓練移転だけというようには考えていないと長官が言われて、大臣も米軍の活動ということに言及されましたが、徳之島に移転されるものとして、訓練の移転以外の米軍の活動というものは、どういったものが考えられるのか、説明いただけるでしょうか。

【大臣】それは別に今何か決まっている訳ではありません。ただ、「訓練移転」というよりは、少し幅の広い「活動」という表現が日米合意の中で使われているということを、私(大臣)は指摘をした訳でございます。

【共同通信 井上記者】「訓練移転よりもう少し幅の広い米軍の活動」というのは、訓練移転以外の何らかの活動というものがある訳ですか。これはどういったものが考えられるのでしょうか。

【大臣】それは何か特定したものではありません。そこに書かれた通りです。

韓国哨戒艦沈没の事案
【毎日新聞 西岡記者】哨戒艦沈没事件についてお伺いします。韓国の調査が明らかになる前に、大臣は「北朝鮮の関与が調査結果として明らかになれば、直ちに六者協議を開くということにはならない」と発言されていました。一方で、先日の日中韓サミット共同プレスリリースを見ますと、「六者会合のプロセスを通じ、協力して努力を継続する」と書かれておりまして、いわゆる、朝鮮半島の非核化に向けた北朝鮮との対話の推進というものが強調されています。昨日の日中首脳会談でも、哨戒艦事件と六者協議についての話し合いがされたと聞きます。そこで、昨日の会談で日本側は六者協議の開催に関して、どのような主張をされたのか、内容をご紹介いただければと思います。

【大臣】私(大臣)が記憶しているところでは、会談では六者協議に対する言及というものはなかったのではないかと思います。もうすでに、それは日中韓(首脳会議)でやっていたということもあったと思いますが、私(大臣)が六者協議について、何か両首脳が議論したという記憶はございません。

【共同 斎藤記者】先程の毎日の西岡さんの質問に絡むのですけれども、哨戒艦です。日中韓、日中に大臣も同席されたわけですけれども、中国からどれだけ、韓国が今準備をしている国連安全保障理事会の問題提起、どれだけ距離を縮められることができるか、協力を獲得できるかが大きな焦点だったと思うのですが、そうした中で昨日は少人数会合の中で議論をされて、しかも中国側の要請で、(会合)中の中国側の発言については紹介しないでほしいという話があったとブリーフで聞いておりまして、それは了解しておりますが、日中首脳会談の成果として中国が何を言ったかは別にして、前進がみられたのか、中国の全体の態度として、若干、柔軟姿勢が伺われたのかどうか、その辺の認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】そういったことを含めてこれは外に言わないというのが約束だというように思います。私(大臣)の雰囲気を申し上げますと、私の記憶に間違いなければ、少人数会合で40分ぐらい話されたと思います。鳩山総理と温家宝首相の二人だけで話をされまして、私(大臣)は横で聞いていたわけですが、それぞれ主張は違います。主張は違いますけれども、なんとかこの問題をきちんと解決しなければいけないという思いが非常に両首脳間にあって、意見は違うけれども、私(大臣)は非常にいい会談だったと思います。これからの話し合いのスタートになり得る会談だというように受け止めております。ちょっと具体的なことは申し上げられませんが。
 それから、日中会談全体も私(大臣)はこれは自分の発言ですから申し上げていいと思うのですが、普通は首脳間で発言するわけで、外務大臣は発言しないのですが、最後に温家宝首相に、「今回のガス田の話も含めて、全体に実りある会談だったし、日本国民に対して良いメッセージを出された。非常に評価できる」ということを私(大臣)は会談の最後に申し上げところであります。非常にいい会談だったと率直に思います。何かと比較しているわけではありませんが。

NPT運用再検討会議
【中国新聞 岡田記者】先週閉幕したNPT再検討会議についてお伺いしますが、最終文書で核兵器禁止条約の交渉開始という文言が盛り込まれていますが、政府はこれまで否定的な見解でしたが、最終合意文書に盛り込まれたことを受けて、今後どういう対応があり得るのかというのと、あと争点のなかで、核兵器の廃絶に向けた工程表作りというのが、だいぶ争点になって、最終段階では後退してしまったのですが、この点について政府は今後どう考えていらっしゃるのかということをお聞かせください。

【大臣】工程表はあそこに書かれたとおりでありまして、詳細なものについては核保有国が首を縦に振らなかったという中でああいう表現になっているということであります。それは少し残念なことではありますけれども、核を持っている国と持っていない国との妥協、全体の妥協の中でのやりとりの結果であります。核兵器禁止条約についても、核を持っていない国々の中で、より明快な主張を展開されたところもありますけれども、妥協の結果、現在の表現になっているということであります。これから国連の場でそれぞれについて、合意ができたということですから、それをベースに話が進んでいくものだというように思いますが、何をどういうプライオリティーをつけてやっていくかということはもう少しよく話してみないといけないというように思っております。





TOP