外務大臣会見記録(平成22年6月4日)
外務大臣会見記録(平成22年6月4日(金曜日)14時50分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)鳩山首相の辞任について
(2)APEC貿易担当大臣会合について
(3)女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースによる提言について
(4)外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表について
○外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表
○内政
○記者会見のオープン化
○民主党代表選
○米軍再編問題
○外務大臣の職務
○少数民族問題への対応
○その他(メディアの変化)
冒頭発言
(1)鳩山首相の辞任について
【岡田大臣】私(大臣)からは、冒頭4点申し上げます。まずは、これはご質問もあると思いますが、鳩山総理の突然の辞任ということでございます。今後、どういうタイミングで総理大臣としての親任式がなされ、そして組閣がなされるかということは、現時点では明らかでございません。いずれにしてもそういった手続が進むまでの間は、引き続きそれぞれの大臣として努めなければならないと考えております。私(大臣)からも閣議での発言は言わないことになっておりますが、例えば朝鮮半島情勢など非常にある意味で緊張した状態にありますので、何がいつ起こってもきちんと対応できるように、次の内閣がスタートするまではしっかりと対応しなければならないと思っております。
したがって、この内閣で何をどうしたかという感想を述べるのはやや早いと思います。大臣によっては花束贈呈とか、いろいろことをやられた大臣もいらっしゃるようですが、それは従来はそうだったのかもしれませんけれども、やはり政治主導ということであれば、次のトップが決まるまではしっかり責任を果たすというのが私(大臣)は当然のことであると思っております。
就任後15回の海外出張で20か国を訪問したということでございます。なるべく現場を見ようということで、現場主義ということでやってまいりました。そういう中で、普天間基地の移設問題について、いろいろ反省すべきところはございますが、最終的に日米合意ということに至ったことについては、最低限の責任を果たすことができたと思っております。ただ、前にも申し上げましたが、これはスタートであって、これから沖縄の皆さんの理解を得るという非常に重要なことが残されているわけで、そういう意味では当初から考えた完全なる5月末の決着ということとは程遠い状況にあることは事実で、大変残念に、そして申し訳なく思っております。
アフガニスタン・パキスタンについての5年間で最大50億ドルというところをまとめたことも1つの思い出といいますか、私(大臣)なりの成果だろうと思います。これをどう使うかの議論というのはこれから本格化していくわけで、6月にカブール会議も予定されております。そういったところを待たずして、鳩山内閣が終わったということは非常に心残りではあります。
そのほか、核軍縮・不拡散、気候変動についても、かなり各外務大臣と議論を重ねてまいりましたが、ようやく日本の核政策についての方向性が出つつある状況でございます。そういう中で内閣が終了するということは、これも非常に心残りということでございます。
日中、日韓についても、先般の温家宝首相の訪日の際に、それまで粘り強くやってまいりました食の安全や東シナ海の問題について、中国側から一定の答えが準備されたわけで、もちろん、それが順調にこれから進んでいくかどうかというのはこれからでありますが、粘り強くやってきたことの成果が出つつあるということは大変喜ばしいことだと思います。しかし、これもまた今後しっかりとやっていかなければいけないことがたくさんあります。
そのほか、密約問題をきっかけにした文書の公開、管理体制の強化とか、これからご説明をいたしますが、女性職員の勤務環境の改善、あるいはNGOを始めをとする外部の声を施策に反映することなど、いろいろな試みに取り組むことができたと思っております。
いずれにしましても、総理大臣や外務大臣が短い期間で交代をするということは、日本の国益にとって大変問題があると思いますが、これはほかの理由によって鳩山総理が退陣され、鳩山内閣が終わるわけでありますから、ある意味ではこれは言ってみても仕方がないということかと思います。
(2)APEC貿易担当大臣会合について
【大臣】さて、もう一つは、APECの貿易担当大臣会合であります。明日と明後日とございます。我が国は2010年日本APECの議長として主催する最初の大臣会合で、11月に横浜で開催される首脳・閣僚会議へとつながる重要な会合でございます。APECの参加は21か国・地域から貿易担当の閣僚またはその代理が参加する予定で、我が国からも、私(大臣)と直嶋大臣が、大臣である限り出席をし、議長を務めるということになります。
今回の会議においては、多角的自由貿易体制の指示、2010年ボゴール目標達成評価、APECの優先事項や今後のAPECの在り方について議論を行う予定でございます。
(3)女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースによる提言について
【大臣】女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースによる提言。本日は事実上最後の閣議でありましたが、私(大臣)の方から閣僚懇において説明をさせていただきました。3月の下旬、私(大臣)の指示によって外務省内に女性職員の勤務環境改善のためのタスクフォースを設置し、西村政務官を中心に、女性職員、或いは男性職員であっても今まで子育てのための休暇を取った経験のある人、そういった方々に集まっていただいて、そして議論を行ってまいりました。そのタスクフォースによる提言がまとまったものでございます。
提言は、生活と仕事の調和を重視した職場環境の実現が、女性職員を取り巻く勤務環境改善に不可欠であるという考え方に立って、さまざまな改善策を掲げております。中でも、10の改善策というのは、特に高い優先度を持って取り組むべき施策として要望のあったものであります。これは別に女性職員に限らず、男性職員の勤務環境改善にも資するものであり、ひいては、外務省全体の組織力向上につながるものであります。
外務省としては、すべての改善策の着実な実施に向け努力してまいりますが、改善策の中には外務省だけではできないものもあるということで、政府が一体となって取り組む必要があるということで、今日、閣僚懇談会において説明をさせていただきました。
国会への対応というのも、そもそも外務大臣にはたくさんの関係委員会があるということもあって、徹夜に近い状態で職員は作業を強いられるわけで、もう少し国会質問の通告時間の厳守について、各党・各会派に検討をお願いしていきたいと考えております。
いずれにしても、外務省として全体のパワーアップをしていくために、女性職員の仕事をする上での環境を改善するということは、極めて重要なことだと思っております。
なお、ここに10(の施策)が書いてありますが、私(大臣)はこの中でも特にフレックスタイム制の導入とか、こういったことは一遍にはできません。しかし、試行的にでもやってみて、その効果を見定めてはどうかと。そのことによってかなり多くの問題が改善すると思っております。
外務省独自でできるものも実は結構ございますので、そういうものは更にしっかりと努力をしていかなければならないと思っております。
(4)外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表について
【大臣】もう一つだけ、外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表でございます。お手元に配付がされたと思いますが、この調査報告書を公表することといたしました。実はもう少し時間をかけたかった部分もありますが、大臣が代わってしまうということになりますと、また一からということになりますので、今日公表させていただくということで、昨日から突貫作業で最後の詰めを行っていたところであります。
本件調査委員会は、4月6日外交文書の欠落問題について、その事実関係を調査、確認するために設置したものであって、メンバーは私(大臣)と武正副大臣、東京大学の宇賀克也教授、筑波大学の波多野澄雄教授の4名であります。
調査の対象は3つで、第1に東郷元条約局長の赤ファイル及びメモについて、そして、第2に情報公開法施行前の外務省における組織的意図的な文書廃棄について、そして、第3に吉野・スナイダー「議論の要約」など沖縄返還密約に関する文書について、であります。
こうした問題について、この3か月間、外務省の事務次官経験者、条約局長、北米局長経験者を中心に、約15名から聞き取り調査を行いました。
調査報告のポイントを簡潔に申し上げます。
まず、赤ファイルについては、東郷氏本人以外に知る者がなく、その存在を確認することはできませんでした。ただ、資料の形態や分離は別として、東郷氏から後任の谷内氏に対して、条約局長室内の資料は引き継がれたということは確認されました。条約局長が保有する文書は、写しが大半であるということで、その写しを廃棄することが妥当かどうかは別にして、そのこと自身が直ちに違法であるということは言えません。他方で東郷氏によると、赤ファイルの中には原義も一部含まれていたということでありますので、仮に原義が廃棄または紛失してしまったとすれば、これは極めて遺憾なことであります。
第2に、情報公開法施行前の文書廃棄について申し上げます。
外務省を含む霞が関全体で、情報公開法施行前に組織的に文書整理が行われ、例えば決済未了の文書、草稿段階の文書、或いは写しなどが相当量廃棄されたことは事実であります。それは法施行前に文書整理を行うということ自身が問題であるとは考えておりません。他方、本来保存すべき重要文書の組織的、意図的な廃棄が行われたかどうかが問題になるわけですけれども、そういった試みを示唆するような証言文書は、今回の調査の結果、確認はされませんでした。ただ、一連の文書整理の中で意図的かどうかは別にして、不用意な文書廃棄が行われ、いわゆる密約関連文書を含む重要文書が失われた可能性は排除できないということでございます。
最後に「討議の記録」についてです。
調査の結果、議論の要約は当初から原義が日本にあったのか、必ずしも明らかではない。つまり、原義は1部でアメリカが持ち帰ったのか、それとも2部つくったのかということ自身が明確ではございません。それから、写しは恐らく取ったのだと思われますが、しかしそれがどこで保管されたのかということも定かではございません。保管中に失われたとすれば、保管が適切になされなかったことは問題であります。しかし、写しを保管しなかったこと、あるいはどこかで廃棄したこと自身が違法であるということは言えません。これは一般的な資料の話ではなくて、当時の報道により、当初から密約問題として注目をされていたわけでありますから、そういう意味では、たとえ写しであったとしても、それを適切に保存しなかったということ自身は、大きな問題であると言えると思います。
なお、東京地裁の1審判決において、外務省の徹底調査の結果に触れることなく、外務省が「議論の要約」を保有していると推認しておりますが、そういった徹底調査をしたという事実、そして外務省の調査結果について、どう判断したのかということは、判決の中に示されておりません。
いずれにしましても、外交文書を失うことは歴史を失うことであるという重い教訓とともに、本調査委員会の報告が今後の文書化に対しての強化、改善の一助となれば幸いであります。
外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書の公表
【フリーランス 上杉氏】今、発表された調査報告書についてお尋ねします。2つ目の情報公開法施行前の文書廃棄について、これに関して今、意図的ではないといいながらも、重要な文書が廃棄された可能性は否定できないと仰いましたが、その廃棄を行った外務官僚の方は、まだ一部現職であったりするのですが、そういう方に対しての処分ということは考えていらっしゃるのでしょうか。
【大臣】まず、ここで書いてあることは、たくさんの文書がございます。それについて、情報公開法施行前に、それを整理するということは、どこの省庁も行ったことであって、そのこと自身は問題ではございません。むしろ、コピーがあちこちにあったりすると、情報公開請求をされたときに、それをいちいちどこにあるか確認しなければならないわけで、それをきちんと整理して、ナンバリングして、そういう請求にきちんと対応できるようにする。その段階でダブっているものを廃棄するとか、あるいは本来、途中段階のものとか、つまり正式な文書でないものを、あるいは手持ちの自分が書いたものとか、そういうものを整理するということは、違法なことでも何でもありませんし、とがめられるべきものではないということであります。
ただ、そういった中に紛れて、重要な文書が廃棄されたという可能性について、全面的には排除できないということでございます。それはだれがどのように行ったかということは、全く特定されておりません。したがって、処分とか、そういったことにはつながっていないというのが今回の調査結果でございます。
【週刊金曜日 伊田記者】この調査報告書を見る限り、つまり東郷氏とのいろいろな発言があったけれども、外務省の方で聞くと確認できないと。その段階で終わっておりまして、通常の調査であれば、例えば述べているような、担当した人がわからない、確認できないということについて、更に東郷さんにもう一度聞くとか、そういった手続きを踏むべきではなかろうかと思うのですけれども、最初に大臣が言われた「もう少し時間をかけたかった」というのは、そういうことを指しているわけでしょうか。つまり、こういった証言があったけれども、外務省側で聞くと、そういう確認はできなかったという段階にまだとどまっているような気がするのですけれども、その辺り、時間をかけたかったというのは、どういったことをされたかったと認識すればよろしいでしょうか。
【大臣】まず、東郷氏は雑誌に書かれた。それから、衆議院外務委員会でお話になっている。外務省の密約調査でも既にお話になっているということでございます。それをまたこの調査においてもお呼びして、お話を聞いた。正式にお呼びしてお話を聞いたのは1回ですが、補充的に全体をまとめた上でお話を更に確認的に聞いております。そして、ここに書かれたような結果であったということでございます。
これ以上に当初の言い分が違っているときに、それを何の物証もない中で解明するということは、事実上極めて困難だと思っています。これは多少時間があと1週間、2週間あったからといって、結果は変わらないと思います。赤ファイルそのものを承知している方が、ご本人以外いらっしゃらないということであります。
【週刊金曜日 伊田記者】もう少し時間的なことをお願いします。
【大臣】実は昨日の夜から先ほどまでかけて、私(大臣)は文書にもう一回手を入れておりましたので、本当はもう少し落ち着いた環境の中でやりたかったと思っております。思わぬミスがなければいいなと願っております。
【琉球新報 滝本記者】まず、この報告書なのですけれども、この報告書は調査委員会の報告書ということなのですが、外務省としての見解ということで、大臣も委員長としてお見えなので、そういうことかなということの位置づけの確認と、スナイダー・吉野文六さんの文章の件で、先ほど大臣は、「写しは恐らく取ったのであろうと思われるが」と冒頭に仰られましたけれども、その文章の内容ということ自体は、日米間で当時確認されたことなのだという認識に立っておられるという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】2つのことを聞かれると私(大臣)は忘れてしまうのですが、まずこの報告書は正確に申し上げますと、当事者である宇賀先生の了解はまだ取っていないのです。連絡は取れておりません。したがって、そういう意味では、まだ若干変わり得る。概ねは、こう見ていただいていいのですが、若干変わり得る可能性があることは、先に申し上げなければいけないのを忘れておりました。そういう状況で、メールなどで連絡を取っておりますけれども、波多野先生からは了解をいただきましたが、そういう状況でございます。
今のお話ですけれども、どうも吉野さんのお話を聞きましても、「日本側もコピーを取ったと思うが、日本側にとって必要ない文書なので、適当に保存処分をしたと思う」というのが東京地裁の口頭弁論における証言でございます。密約の有識者委員会のインタビューにおいては、「アメリカ局の一課にいた者が原本をコピーしたと思うが、日本には何の意味もないものなので、捨てたか焼いたかがあるかもしれない。私にはわからない」ということでございます。
本調査委員会による聞き取りでも、ここに書きましたように、「イニシャルを署名した議論の要約などの原本が1部であれば、その原本は米国のみが保有しており、日本側に原本は存在しないことになる。また、2部であれば、日米双方が原本を保有したものと考えられる。この点について、実は記憶は定かでない」ということでございます。ですから、そこはよくわからない。そもそも原本は1部だったのか2部だったのかということ。1部であれば日本側にはコピーしかないということ、或いはコピーを取ったかどうかについても、ご本人は実はどうも記憶はあやふやところがあるということでございます。
【琉球新報 滝本記者】報告書の中身についての大臣の認識、つまり400万ドルの肩代わりの確認が日米でなされたという前提の認識でいらっしゃるのかということをお伺いしたかったのですが。
【大臣】そこの認識は、私(大臣)は外務省の調査報告と同じであります。
【読売新聞 宮井記者】調査報告書を見ますと、事務次官経験者など15名に聞き取りを行うということですけれども、名前が出てくるのが谷内さんと藤崎さんだけですが、前の有識者委員会の密約の調査報告では、聞き取りの対象の名前が出たと思いますけれども、今回はなぜ出ていないのかということと、問題がなければ、今、誰から聞いたかを教えていただけますか。
【大臣】前回は、それは構わないということだったのですが、今回は中身がある意味では機微にわたるところもあるということで、了解を得ておりませんので、出すには至らなかったということであります。谷内さんのほか、名前の出ている人は文脈から言って、名前がないと意味が通じないということで、特にこちらから求めて、ご了解いただいたところでございます。
【フリーランス 岩上氏】文書廃棄についてですが、先ほど大臣は重要文書が紛れ込んだというような表現でご説明されました。「誰がどのようにその廃棄が行われた、特定できない」ということでした。けれども、これは作為的に行われた可能性はないということなのでしょうか。
どのような行為でも作為か不作為かでは、その評価は非常に大きく変わってきてしまいますし、また作為的に何らかの違法とは言えなくても、由々しき行為を行った者が不作為を装うということも合理的に疑い得ることでもあります。その点について、不作為というようにやや甘く評価しているようにも見受けられるのですけれども、この点を厳しく追及されたかどうか、調査されたかどうか、ここの点を確認させていただきたいと思います。
【大臣】調査は厳しくしております。ただ、確認はできなかったと、作為的にという話は全くどなたからも聞かれなかったということであります。それ以上になると推測になります。ですから、そのことは「わからない」と言うしかないわけであります。
もう一つは、コピーの処分の問題はなかなか難しいわけで、普通は原義が保存の対象になるわけであります。原義がちゃんと残っていればコピーを処分することは問題ないわけであります。例えば私(大臣)の手元にもいろいろなコピーがございます。大臣が代わるときは、恐らく全部、私(大臣)はシュレッダーにかけようと思っていますけれども、決裁文書であれば、原義がちゃんと残っているという前提で、そういうことをするわけです。
しかし、実は原義はもうないかもしれない。そういうことをいちいちすり合わせて、必ずしも細かくはできないわけで、その辺のあいまいさの中で重要なもののコピーが処分されてしまったということは、それは当然考えられることであります。作為的にそれをやったかどうかは、先ほど言いましたように、確認はされておりません。可能性がないと言っているわけではありません。確認はされていないということでございます。
あとは原義が大事なものがないということもあるわけで、それはやはり今までの文書の管理体制の甘さといったことに起因するということです。その背景にあるのは、そういった資料を保存し、将来、公開するということに対して、余り重視してこなかった。私(大臣)の見解で言うと、いろいろな役所がありますが、外務省は他の省庁に比べて、まだ資料の保存はいい方だと思います。しかし、それにしても日ごろの忙しさに紛れてしまって、資料の整理、保存に対して、どうしても関心が薄くなる。異動になったら時間もないので、そのまま適当にそこで捨ててしまったり、或いは後任者が中身の差を付けずに、そのまま引き継ぐということはよく行われてきたことで、そういった考え方そのものを変えていかないといけないと思っております。そういうことに基づいて、先般の文書公開の新たな体制、これは意識改革も含めて、そのことを決めさせていただいたところであります。
【フリーランス 岩上氏】新しい文書公開の文書の保存の在り方と公開の在り方のルールを定められると。今、大臣が仰られたように、もう日常的に恐らく職員の上から下まで、忙しさに紛れて文書の重要度というものを余り精査せずに軽く扱うといいますか、処分してしまうことが日常に横行しているのであれば、それを変えていくことは大変なことであろうかと思いますけれども、この新たにつくられたルール体制によって、そうしたことが完全に一新されて、間違いなく重要な文書、その原義などがきちんと保存されていくということが行われるようになるのでしょうか。その辺の見通しをお願いします。
【大臣】これは情報公開法施行後、霞が関全体としても変わってきたと思いますし、外務省に関しては、それに加えて先般の外交記録公開・文書管理対策本部の決定に基づいて、よりそのことは明確になったと思います。今まではどちらかというと、個人技です。個人に保存を委ねていたということです。それを組織的にきちんと保存するという形に変えたということで、基本的に環境は整ったと思います。あとは個人の意識の問題です。それをしっかり研修などを通じて、変えていかなければいけないと思います。
【フリーランス 上杉氏】先ほど大臣が、「外交文書を失うことは歴史を失うことだ」と仰いましたが、まさしくそのとおりだと思います。一旦失われた文書、これはもう回復することは非常に難しいと、外交文書一般についてはいえるのですが、ただ、幸か不幸か、密約に関しては、相手国の米国には、文書は英語として残っております。当然ながら米側の資料として残っているのですが、その米側の資料を使って回復する、言わば日本の文書も回復するということをやることは可能なのでしょうか。あるいはそういう方法というのを考えていらっしゃるのかどうか、ちょっとお伺いしたいのですが。
【大臣】それは、米側の文書というのが、同じものが2つあるというケースと、それから米側の連絡文書とか、公電とか、そういうものがあるというケースとあります。例えば大平・ライシャワー会談について、ライシャワー大使が本国に打った公電なども、それが全部正しいというように考えるのか、そこはそこで若干の符牒があったり、あるいは理解の違いがあるというように考えるということがありますから、それをそのまま日本に持ってくることは、私(大臣)はできないと、立場の違いもあって、解釈の違いもあると思います。
共通の文書は、日本にはなくて、米国にあるというケースはあります。しかし、それは日本にない以上、研究者の皆さんは、それが米国に当然あることはわかっているわけですから、あとは研究者の皆さんの、私(大臣)は仕事になるのだろうと思います。そのことをどう解釈していくかということです。
【フリーランス 上杉氏】外務省としては、そういう形の現状回復は行わないということですか。
【大臣】一旦失われたものを海外から持ってくるというのは、それはあくまでも参考にすぎないわけでありますから、それをもって文書本体であるというように断じることは、それは非常に難しいと思います。
【琉球新報 滝本記者】吉野文六さんとスナイダーさんの「議論の要約」の件についてですけれども、先ほどお伺いすると、さっきの外部有識者委員会の報告なり、外務省の報告の見解どおりだと仰られましたけれども、文書の存在、中身、内容の認識についてということでしたけれども。
【大臣】ですから、私(大臣)は3つ申し上げたのです。裁判における証言と、それから我々のもともとの調査の結果と、今回の調査と3つあるのです。それについてだけ申し上げたわけです。
【琉球新報 滝本記者】それで、裁判の判決に関連してでもあるのですけれども、その判決の中には、徹底調査したことがどういうふうに判断に組み込まれたのかということが、判決の中で述べられていないと、言及されていないというお話がありましたけれども、そもそも判決の要旨というか、趣旨というのは、なぜ外務省の中にないのかということを外務省自身が説明すべきだという趣旨で、1つ大きな柱としてあったと思います。その意味でいうと、調査していないのだということは、ずっと大臣は仰っておられるので、それは理解するのですが、では、なぜないのかということが、まさに今回の調査の1つの究明すべきことであったのかなと思うのですけれども、その意味で、原義がない、明らかかどうかはわからないとか、写しは取ったにせよと、仮の話で進めていくしかないのですけれども、結局、なぜなかったのかということの判決の問には、どのようにお答になるおつもりでしょう。
【大臣】判決がなぜなかったのか、外務省で説明しろというように言っているとは、私(大臣)は思わないのですが。きちんと調査をやりなさいというように言っていると、私(大臣)は理解しております。その調査というのは、かなり綿密な調査を我々はやったわけです。そして、ヒアリングもしました。そのことが全く触れられていないので、判決が、それをどう思っているのかというのは我々にはわからないわけです。私(大臣)は非常に奇妙なことだと思います。少し待てば公表されたわけですから。
しかし、それにしても、若干それに今回の調査で付加的に、更にまた新たな人にお話を聞いて、そして、やはりそれ以上のものは出てこなかったということであります。
【週刊金曜日 伊田記者】文書の公開ということで、若干関連して質問させていただきます。国家公務員倫理法によって5,000円以上の飲食もしくはそういう報酬を得た公務員は、贈与等報告書を出さなければいけなくなっているのですけれども、それの閲覧が3万円以上に限定されています。これは、実質上は、高い講演とか、原稿をある程度一定以上の枚数を書いたものしか、実質的に閲覧できないというように現状ではなっているのですけれども、もともと国家公務員倫理法が制定された経緯でいうと、接待とか、そういうことが社会的に問題化されて、贈与等報告書を出すということになったと思います。3万円以上しか閲覧できないということであれば、ほとんどそういう問題視されたような接待も入ってこないと思います。これは、法の問題ですけれども、そういった国民に対する説明責任を重視されている大臣としては、そういう公開、閲覧の基準を下げるというお考えはありますでしょうか。
【大臣】私(大臣)も去りゆく大臣かもしれませんので、余りいろいろなことを言わない方がいいと思いますが、少なくとも役所の中に、そういった報告がなされているわけで、そういう意味で、きちんと内部的なチェックができるということになっております。
そのことと、公開して世の中にさらすことで、更にチェックをするというのは、基準は必ずしも私(大臣)は同じであると、そのことが必要であると思っておりません。
内政
【NHK 別府記者】話題は変わりまして、菅新首相の件ですが、特に普天間問題について、日米合意をまとめられたお立場から、この点を是非ということはどのような期待とメッセージでしょうか。
【大臣】日米合意というのは閣議で決めたものでありますので、内閣で決めたものでありますので、もちろん、それは尊重されると、内閣が代わっても取扱いに変化はないということは、当然であると考えております。あとは、その日米合意を実現していくというのは、沖縄の皆さんに対する説明、理解ということでありますので、新たな内閣においてもそれは全力を挙げて努力してもらいたいと考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】大臣は大臣である限りは責任を持ってというお話でありましたけれども、今回で最後の会見になるのか、あるいは再任されるのかで大分聞くことが変わってくるのですけれども、再任の可能性というのはあるのでしょうか。
【大臣】それは私(大臣)に聞かれてもわかりません。
【朝日新聞 鵜飼記者】ご意向としては再任を希望されるのか、党の方に戻ってお仕事をされたりとか、そういったご希望はあるのでしょうか。
【大臣】私(大臣)は何も希望はありません。もちろん、やりかけの仕事は多いので、日本の国益ということを考えたときに、余り頻繁に総理や外務大臣が代わることは望ましくないということは一般論として言えると思います。ただ、これは正しく人事権というのは、総理がお持ちのことなので、私(大臣)自身が何かそのことについてコメントすることはございません。
記者会見のオープン化
【フリーランス 岩上氏】大臣が就任されて、この記者会見をオープン化されたことに対しては大変な、すばらしい功績だったのではないか、私は敬意と感謝を持っております。ですが、非常に残念なことに、こうしたオープン化の試みが、他の大臣、他の省庁に思うほど波及しなかった。8か月間の間、ぽつぽつと開かれてはいきましたけれども、当初にばっと思い切って開かれた岡田大臣と亀井大臣のオープン化への熱意というのは突出していて、後の大臣がそこまでならなかったことを大変残念に思っております。
もし、菅さんを首相とする新内閣が発足することで、こうした傾向が変わり、もっとオープン化が進むような時代になるか、また、そういうことに関して、これからどういうお立場であれ、働きかけをされていくおつもりがあるか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】ちょっと私(大臣)、ほかの役所のことは余り正確には認識していないのですが、かなり広がったと私(大臣)は認識していたのですが、違うのでしょうか。
【フリーランス 岩上氏】環境省ですけれども、一般会見という名前で開かれても1週間に1回、そして15分という本当に短い時間で設定されて、それで3週間を連続で、毎週、毎週お休みを続けているというような状態。例えばこれは1つの例です。
ですから、実際に開かれたと言っても、これだけきちんとした会見、時間をちゃんと取っていただいて、何の質問でも堂々と答えていただけるという姿勢を見せ続けたという点では、岡田大臣、それから亀井大臣は突出していたなと、私はさまざまな会見にできるだけ出席した上で、そういうような感想を持っているわけですけれども、十二分には開かれていないというのが現状であろうと思います。
【大臣】これも、新総理の考え方です。そこにかかっている部分もあると思いますので、私(大臣)の立場から何か言うべきではないと思います。民主党はずっとオープン化ということを言ってきたわけで、今や党の方は完全にオープン化されていると思います。ときどきすっぽかしはあるかもしれませんが、そういう意味で、なるべくそれが広がることが望ましいと私(大臣)は考えております。
【フリーランス 畠山氏】記者会見のオープン化について関連でお伺いします。本日岡田さんは、菅直人さんの出陣式ににこやかな顔でご出席されておりましたけれども、その菅さんですけれども、財務大臣時代に財務省内の会見室で開いた記者会見というのが二回ほどしかありませんで、ほとんど官邸や国会内、いわば、記者クラブの記者さんたちだけに向けてやられてこられたのですが、今回代表選挙で菅さんの支持を早々と打ち出して、実際、菅さんが代表になったわけですけれども、その菅さんに対して、その情報公開の姿勢について何か岡田大臣からご提言をされる御予定というのはございますでしょうか。
【大臣】特に予定しておりません。たぶん菅さんが官邸でやられたのは財務大臣としてのお立場ともう一つ経済担当大臣としてのお立場があって、後者であればそれは官邸ということです。官邸でやる方が気持ちいいというのはあったかもしれませんが。そこは私(大臣)から何とも申し上げられませんですね。ただ、オープン化というのは一つの民主党政権のスタイルとしてかなり、そのスピードは遅いかもしれませんが、定着してきたと思いますので、そういったことがさらに拡大していくことは望ましいことだというように思います。
【フリ-ランス 上杉氏】記者会見のオープン化について関連で質問というか御礼を申し上げます。今日もしかして最後の大臣会見になるかもしれないので。菅さん何考えているかわからないので。
【大臣】かもしれません。
【フリ-ランス 上杉氏】その意味で昨年の9月29日に開けていただいて、FCCJ、それから、雑誌、ネットの記者、フリーランスも含めてこのような機会をずっと与えていただいたことには感謝を申し上げます。先ほど岡田大臣はずっとこの任期中の総括みたいなことをされましたが、記者会見のオープン化はちょっと抜けていたので、改めてこれでご苦労されたこと、それからあえて閣議後に一言も発せずに、ここまで戻ってきていただいて、そこで初めて言葉を発するというような目に見える形の苦労もあったのですが、見えない部分での苦労、そういうことを改めて教えていただけますでしょうか。あと良かったということもあれば。
【大臣】別に苦労はありません。確かに忙しい中で、ちょっと時間を場合によっては1時間を超えるような時間を確保するというのはなかなか難しかったので、そこはそういうことは確かにあったのですけれども。それからいろいろ発言がフルに引用されるのではなくて、長い発言であればあるほどで、部分的になってしまいますので、そういうことを考えて短く答えるということを途中から心がけるようにしたわけです。ただ短く答えるとあまり親切でないということもあって、その辺の難しさというものはあったと思います。ただ、こういう会見で皆さんからご質問やご意見をいただいて答えるというのは私(大臣)にとりましていい機会でしたので、ストレス発散とまで言うとちょっと言い過ぎかと思いますが。やはり外に向かって発信していくというのは非常に重要でありますので、私は非常にありがたかったなというように思っております。
民主党代表選
【朝日新聞 鵜飼記者】もともと新首相の質問から始まったと思いますが、その関連でお伺いしたいのですけれども。今朝の代表選、改めて確認させていただきたいのですが、どなたに投票されたのかとその支持の理由をもう一度お話し願いますでしょうか。
【大臣】これは、前回ぶら下がりで申し上げたことにつきております。私(大臣)は当然菅直人さんの推薦人でありますし、菅さんが決意をして出ていただくということでありますので、私(大臣)は喜んで応援させて頂きました。やはり民主党らしさというものを菅さん筆頭にこの政権が出していくということが非常に大事だと思っております。それは政策面でもそうですし、党の運営面でもそうです。この前申し上げましたが、やはり、内閣総理大臣というのは政府に対しての最高権力者であると共に党に対しても代表として最高権力を持つ訳ですから、それが二元化するというのは本来ないわけです。そういったことについて、しっかりとやって頂きたいというように思います。あとは全員野球といいますか、この民主党の国会議員、或いは民主党所属の地方議員も含めた関係者がそれぞれががしっかりと力を発揮できるような、そういう総理であってもらいたいというように思います。
【伊勢新聞 中森記者】代表選の菅さんと対抗馬の樽床さんの票差についてどのように受け止められましたか教えてください。
【大臣】まあ、これは結果ですから私(大臣)がそれに何かコメントをすべきでないと思いますが。菅さんが当選できるように全力を短い期間ですが尽くしたつもりです。
【ニコニコ動画 七尾記者】視聴者の質問を代読します。ニコニコ動画をはじめとする記者会見を長い間見ていて、総理大臣には岡田さんが良いと思っておりました。できれば出馬して欲しかったのですが、なぜ出馬しなかったのですか。また、今後、機会がありましたら、出馬はされるのでしょうか。
【大臣】なかなか難しい質問ですが、目の前のことで言えば、やはり新しい政治をやっていこうという時に、中で候補者が何人も出るということは望ましくないと思いました。私(大臣)は菅さんが出馬するという決断をして頂いたのであればサポートすると以前から決めていたところであります。違う視点で言いますと、外務大臣を9ヶ月ですか、8ヶ月ですかやってきて、やはり自分自身もう少しいろいろな経験をしたいというように思いました。閣僚としての蓄積が何年かあって初めて総理大臣としてのリーダーシップが発揮できるのではないかというように実感をしたところであります。それから、外務大臣は忙しすぎて蓄積をする機会があまりなくて、外交以外のことについて、しばらく関心があまりいってなかったということもあります。そういった全体の中で、私(大臣)としては今回は出馬するということは想定しておりませんでした。
米軍再編問題
【沖縄タイムス 吉田記者】昨日の代表選の立候補の会見で、菅代表が会場に声明を配られましてその中で普天間の移設について、「日米合意を踏まえつつ、沖縄の負担軽減を実現したい」という趣旨のことを書いていました。沖縄県側は、この踏まえ方を注目しているところだと思いますが、新総理の下で地元と政府との間で、対話のメカニズムを何らか築く必要があるとお考えでしょうか。
【大臣】それは、内閣としては当然ですね。総理が直接なのかどうかというのは、それは総理がご判断になることで、私(大臣)が言うべきことではないと思います。今まで、歴史を振り返れば、官房長官か防衛大臣が沖縄との対話の窓口になっっていたということです。もちろん、基地の問題は外務大臣ということもあった訳ですが。「これから、日米合意についての理解をいただくために、内閣を挙げて取り組まなければならない」と私(大臣)は申し上げている訳ですが、そのためにきちんとした体制を組まなければならないと思います。
【沖縄タイムス 吉田記者】関連ですが、共同声明の積み残しの宿題で8月末までに、代替施設の位置とか工法等を決めるという話があるのですが、大臣の考え方として地元との対話の枠組みを作る時に、8月末に合わせて相談するような考え方なのか、それとも、そこまでは日米でやって、それ以降に条件を詰めていく対話の仕方がいいか、どのようにお考えでしょうか。
【大臣】これも、新総理の下で関係大臣がきちんと議論して決めるべき話です、それも、あまり先送りせずに、8月末というのはすぐですから、早々に決めなければいけない問題だと思います。沖縄との対話は必要ですから、それが全くないまま、日米だけで、場所や工法を決めるということは考えにくい訳ですが、より本格的には、政府としてきちんと案を固めて沖縄側に理解を頂くということだと考えれば、完全に沖縄側の合意がないと前に進まないということではなくて、それはもう少し2+2の閣僚会議というタイミングもありますし、8月末までに完全に沖縄側の理解がないと前に進めないかというと、それはそういうことではないだろうと思います。もう少し時間をかけて、じっくりとご理解いただく努力をしなければいけないと思っております。
【琉球新報 滝本記者】冒頭、大臣は「普天間移設問題について、いろいろと反省すべきところはあるが、」と仰ったのですが、これは具体的に、どのようなことについて反省すべき点がおありなのでしょうか。
【大臣】これだけ沖縄の皆さんから不信感を持たれた訳ですから、当然反省すべきことはたくさんあると思います。やり方とか、(話の)持っていき方、もう少し、いろいろなやり方があったのだろうと思います。期待感を非常に高めてしまったということもあります。
【琉球新報 滝本記者】それは、大臣ご自身のやり方も含めてでしょうか。
【大臣】もちろん、そうです。私(大臣)はあまり期待感を高めなかった、逆だったかもしれませんが、いずれにしろ、こういうことになったことについては私(大臣)もその責任を感じております。
外務大臣の職務
【朝日新聞 高橋記者】実際に外務大臣になられて8ヶ月ということで、野党時代にいろいろと考えられていたことと、実際に政権の中に入って外交交渉をやられる立場になられて、そのギャップ等について、どのようにお感じになられたかを教えて頂けますでしょうか。
【大臣】その点は、実はあまり感じておりません。もちろんスピード感というか、ある程度段階を踏まなくてはいけないということは、いろいろございます。例えば、核の問題もそうです。非核地帯条約や先制不使用、この問題はすぐには実現できなくて、その前に核の役割の低減とか、或いは北朝鮮の核の問題を解決するということがないと、非核地帯条約というのは現実性がない訳ですから、そういうステップを踏んでいかなくてはいけないというのはありますが、私(大臣)自身の考え方が何か変わったとか、そういうことはほとんごございません。後は、大きな外務省という組織ですから、その組織を動かして、そして問題を解決していくということ、そのための慣れと言いますか、やり方と言いますか、或いは仕組みを変えなくてはいけないところもあります。そういったことについて、現時点でようやく大体軌道に乗ってきたかなということです。
今回の中国側の東シナ海とか、海上のコミュニケーションをとるということとか、温家宝首相が言われたいくつかの点については、粘り強く、時にはしつこいと思われるくらいやってきたことの一つの成果ではないかと思っております。先送りせずに、いろんなことをしっかりと問題解決をやっていくということが、私(大臣)は外相レベルでは非常に重要なことだと思います。首脳になると、もう少し未来志向で、あまり具体的な問題というよりは全体の枠組作りが大事だと思いますが、外務大臣というのは、時には摩擦が起きても、そういう具体的な問題をしっかりと解決していくということが重要だと思います。
少数民族問題への対応
【週刊金曜日 伊田記者】会見のオープン化については、今年に入ってからは日本雑誌協会という枠を外されて、週刊金曜日も出席できるようになったことについて、改めて感謝し、敬意を表したいと思います。その上で、週刊金曜日に執筆されているジャーナリストの質問ですけれども、少数民族問題についてです。
鳩山政権は、アイヌも含めて少数民族に対する目配りについて、かなり細やかにやられてこられたと思いますが、シリアについてです。今年、クルド人社会が3月21日に、これは新年のお祭りにあたるそうですけれども、ダマスカスの日本大使館に出向きまして、是非その新年のお祭りに来て頂きたいというような招待を差し上げたらしいのですが、カミシリという街のお祭りだそうです。とても対応が冷たかったとそのジャーナリストが言っておりました。実際に英国とかスウェーデンの外交官は、その祭りに出席したそうなのですが、日本大使館員からの出席はなかったそうです。こういったことについて、どのようにお考えかお聞かせ下さい。
【大臣】事実関係を確認しないと簡単にはお話できないと思います。それから、後は、大使館の陣容といいますか、欧米の国々がシリアに持っているスタッフの数とか、そういったものと在シリア日本大使館とかなり違うだろうと想像できますので、一概になかなか申し上げにくいと思います。しかし、「非常に冷たい」という印象を持たれたとしたら、それは残念なことです。
その他(メディアの変化)
【フリーランス 岩上氏】オープン化に関して、最後に質問させて頂きます。先ほどオープン化に関する質問のお答えの中で、記者会見の中でしゃべった言葉が部分的につままれてしまう、意図したことと違った報じ方がされてしまうという趣旨のお答えをされました。しかし、インターネットの発達によって、お話しされていることが全て視聴者にダイレクトに届くというような情報環境が実現して参りました。政権交代という政治的な変化と、それから情報環境の変化という社会的な変化、技術的な変化の波が、ちょうど同じ時期に、大きく重なり合ったような気もします。ツイッターとかユーストリームとか、そういったものも出現してきましたし、政治とメディアの両方の変化の重なり合いについて、ちょうど交点に大臣は立っていらっしゃいますけれども、こうしたメディアの変化は、何を変えていくか、或いはこの8ヶ月間、大臣はどのようにその変化を実感としてお感じになられたのか、その点ざっとでも良いですから、感想としてお聞かせいただけたら良いなと思います。
【大臣】私(大臣)もほとんど波に乗り遅れている人間ですから、あまり言うことができないのですけど、最初に仰った点は、私(大臣)自身も自分のブログで、週2回載せることにしています。ですから、あまりにも私(大臣)の考えていることと違う報道がなされた場合には、例えば、事実に反するとか、私(大臣)はこういうように言ったんだということを言うことにしております。そういった場が手軽に確保されるようになったということは、私(大臣)は全体の報道の質を上げる結果になっているんじゃないかと思います。後は、私(大臣)自身も、ほとんどツイッターをやる原口大臣みたいな感じではありませんが、ブログで週2回吹き込むのがせいぜいでありますので、後は、外務大臣は海外に行くことが多いので、海外で新聞が読めるようなiPadでも買おうかなと思っていたら、こういうことに、内閣改造になりましたということですね。