夕刊フジコラム(10年6月10日号)
鳩山由紀夫前首相の辞任は残念だった。いろいろと批判はあったが、歴史的な政権交代を果たし、さまざまな困難の中で重責を果たしてこられた。「政治を変える」という志は道半ばだ。私自身、十分に支えられなかったことを大変申し訳なく思っている。
今回の民主党代表選で、私は菅直人さんを応援した。選挙の焦点は、次の2つだと私は考えていた。
第1に、「権力の二重構造」。首相は内閣のトップであると同時に、党のトップでもあるべきだ。民主主義の原則からいっても、これまでの内閣と党の「権力の二重構造」は決して望ましい状態ではなかった。
第2は、「民主党らしさ」。私自身、多くの方々から「最近、民主党らしさが無くなった」という感想を聞かされていた。その象徴が「政治とカネ」の問題。この問題にケリを付けられなかったことで、内閣・政党支持率も低下し、支持者も減少していた。
この2つの問題について、菅さんもきちんと取り組むことを約束してくれたので、私は精一杯、菅さんを応援した。報道機関の世論調査で、6割以上の方に「菅新首相に期待する」と答えていただいている。政権交代時の期待感が蘇ってきたようだ。
政権の新たな顔ぶれにも好感が持たれている。
官房長官となった仙谷由人さんは力量のある政治家だ。私が党代表時代には、政調会長として支えてくれた。ぜひ、大官房長官として頑張ってほしい。枝野幸男さんの幹事長抜擢には驚いた人もいたのではないか。彼は政策に詳しく、弁も立つ。民主党結党から5年間、私と枝野さんの二人三脚で政策づくりに全力を注いだ。今度は選挙で先頭に立って頑張ってほしい。
このほか、政調会長となった玄葉光一郎さんや、選対委員長となった安住淳さんなども、適材適所の配置といえる。
《私も、再び外相を拝命した。これまで築き上げてきた各国外相らとの人脈、信頼関係などをもとに、さらに民主党らしい外交を続けていきたい。当面は、ウラン濃縮を続けるイランと、韓国哨戒艦撃沈事件を引き起こした北朝鮮が焦点だ。ともに、国連安全保障理事会で話し合われるが、しっかり対応していきたい。》
ともかく、「チーム菅」として、山積する問題に1つひとつ答えを出していかなければならない。そして、一致結束して夏の参院選に臨みたい。
今回の首相交代劇の一因には、連立政権の難しさがあった。安定した政権運営を続けるには、衆院だけでなく参院でも過半数を目指さなくてはならない。簡単なことではないが、日本のため、国民のために、全力を尽くしていきたい。
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