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2010.06.25|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年6月25日)

外務大臣会見記録(平成22年6月25日(金曜日)15時00分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)サッカー・ワールドカップについて
(2)日印原子力協定締結について
○核軍縮・不拡散
○日印原子力協定締結
○米軍再編問題
○日印原子力協定と地球温暖化対策
○豪ラッド首相の辞任
○日本の選挙とインターネット利用
○北朝鮮による航行禁止区域設定
○G8・G20サミット同行
○ADIZ防空識別圏の線引きの見直し
○ODA(国連パレスチナ難民救済事業機関のUNRWAへの拠出)
○日米関係
○その他

冒頭発言
(1)サッカー・ワールドカップについて

【岡田大臣】私(大臣)からは2点です。
ワールドカップ、デンマークに快勝して非常によかったと思います。私(大臣)が南アフリカに行ったときに、マシャバネ外務大臣に決勝戦のときには南アに行きますと伝えたのですが、それが現実のものになれば素晴らしいことだと思っております。いずれにしてもこの間の3試合を見ておりましても、非常にいい戦いをしておりますし、昨日などは3点取ったわけですから、非常に今後に期待が持てると思っております。どうせ聞かれるでしょうから申し上げますが、試合は私(大臣)は寝てしまったので見ておりません。朝、テレビで確認をしたところです。

(2)日印原子力協定締結について

【大臣】もう一点は日印原子力協定に関して、28日及び29日に東京において日インド原子力協定交渉を開始するということで、第1回交渉を今の日程で行うことを予定しております。インドとの原子力協定については非常に難しい問題、簡単にはなかなか答えが出ない問題でありますが、慎重な検討を行ってきた結果、原子力協定締結に向けて交渉を開始することを決めたところであります。そもそも2008年9月に原子力供給国グループ(NSG)において、インドに対して一連の約束と行動を前提条件にして、原子力の平和的利用協力を例外として認めることになりました。NSGはもちろん全会一致であり、日本政府もこれに賛成をしたわけであります。これはもちろんインドはNPTに加盟していないということでありますので、そういう問題はありますし、将来の不拡散ということを考えたときに、それに対する影響も当然考えられるわけではありますが、しかし逆にNPTの全く外にいるということよりは、国際的な核不拡散体制に関与させ、一定の範囲で不拡散分野で責任ある行動をとらせるという意味では、国際的な核不拡散体制に取り込む契機になるという判断もあり、行われたものであります。我が国はこの例外化の決定後もインドの行動を注視してまいりましたが、その後もインドの約束を着実に行動に移していることを確認した上で、今回の決定になったわけであります。併せて気候変動・地球温暖化対策とか、インドという国と日本との二国間関係、そして我が国のエネルギー・産業政策などの観点といったこともあわせて考えて、この決定に至ったものであります。もちろん協定交渉を進めるに際しても、核不拡散の視点に十分配慮していくことが重要であって、インドに対し引き続き核不拡散についての一層の取り組みを求めていく考えであります。

核軍縮・不拡散
【NHK 禰津記者】核軍縮と不拡散の関係でお伺いしたいのですが、先日、大臣は新聞のインタビューに対して、今年9月に国連総会の場を利用して外相級の会合を開きたいというお考えを示されていたと思うのですけれども、かねてからそういったお考えを示されていると思うのですが、改めてその意義やねらいについて、またはお考えについてお伺いできますでしょうか。

【大臣】まだこれは正式には決めておりませんので、確たることはまだ申し上げられません。各国外相といろいろ相談をしているところであります。ただ、ざくっと言わせていただくと、NPT運用検討会議が行われましたが、その後も核兵器のない世界に向けた継続的な取り組みというのは必要であるという中で、日本として、こういった取り組みの中でリーダーシップをしっかり発揮したいと考えております。そういう観点から、9月の国連総会のマージンで外相レベルの会合を開催することを検討しておりまして、いくつかの国の外務大臣と具体的内容について相談を行っているところであります。もう少し具体化に時間がかかるかと思います。

日印原子力協定締結
【時事通信 水島記者】核不拡散ということで日印の話ですけれども、インドはNPTの枠外で核兵器も保有しているわけですが、日本の場合は被爆感情というものもあると思うのですけれども、今、大臣にるるご説明いただきましたが、国内の被爆感情向けに、改めてインドと原子力協定を結ぶ必要性というのをご説明いただけますでしょうか。

【大臣】被爆感情という観点からのご質問ですが、もちろん日本は唯一の被爆国であります。同時に、だからこそということもありますけれども、やはり核の不拡散を実現していかなくてはなりませんし、将来的には「核なき世界」ということを目指して、軍縮も含めてしっかりと対応していくということは、私(大臣)は日本にとって重要な政策であると考えております。
  ただ、先ほどいろいろ申し上げましたように、インドはNPTに加盟していないわけであります。核実験を行ったときには日本も制裁を行ったわけであります。そういう形でNPTの枠外に放置しておくということがいいのか、不十分ではありますけれども、一定の枠内に関与させていくことがいいのか、そのことについて国際社会の中でいろいろな議論が行われ、NSGで全会一致で後者の選択を行ったわけであります。
  もちろん日本の中ではその際にさまざまな議論がありました。そこで方向性が固まったときに、日本だけが原子力協力を行わないのも1つの選択肢だと思いますが、ほとんどそれは大勢に影響がないといいますか、日本にとってはもちろん影響はあるわけですけれども、この不拡散、或いは「核なき世界」を目指すといった観点から言うと、インドに関する取扱いの流れはできましたので、日本だけがそれと違う判断を行うということは困難になってきたということであります。
 他方で、先ほど言いました積極的な理由もありますので、総合判断して、非常に苦しい判断ではありますが、原子力協定締結を目指すということにしたところであります。

【朝日新聞 鵜飼記者】この日印の原子力協定ですけれども、タイムスケジュールみたいなものは既に思い描いてらっしゃるのでしょうか。

【大臣】これからですので、特にそういったものがあるわけではありません。ただ、中身次第でもありますけれども、作る以上、しっかりと議論して、迅速に締結を目指したいと考えております。

【朝日新聞 鵜飼記者】この原子力協定のところで、不拡散の視点に十分考慮していくというようなご発言がありましたけれども、これは具体的にはどういったことを担保していかなければいけないとお考えでしょうか。

【大臣】不拡散というか、1つは、核実験ということについてどう考えていくかという問題があるかと思います。そういったことについて、今後の話し合いの中でしっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしていきたいと思っています。

米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】一部報道で、普天間移設について、今度の参院選の投開票が終わるまでは、日本の案、日本の考え方を米国側に提示しないように菅総理が外務当局に指示していたという報道がありますけれども、その辺の事実関係についてお伺いします。

【大臣】特にそういうようには認識しておりません。そういう明示的な指示があったとは受け止めておりません。ただ、この問題は非常に複雑な問題でありますので、かつ、重要な問題でありますので、政権が変わりましたので内閣の中で意思疎通をよくして、慎重に今後の方針について議論しなければならないということであります。

【琉球新報 滝本記者】県内への移設という方針について地元への理解ということを求めていかなければいけないということを常々皆さん仰っておられますけれども、昨日の沖縄県議会の方で、県知事が県議会の答弁では従来の厳しいという見解を繰り返されて、その後、記者団に対して県内への移設というのは不可能に近いのだという、かなり強い、我々の受けとめでは更に今までよりもまた踏み込んだような言い方で表現されて、厳しい情勢というのを重ねて表明されておられますけれども、その中で繰り返し負担軽減を示しながらと仰っておられますけれども、具体的に今後どういうように理解を求めていくということの道筋については、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】理解を求めるための努力というのはあらゆる手段といいますか、あらゆるルートといいますか、知事だけではなくて沖縄県民の皆さんに直接そういったことをしっかりと理解していただくための努力をしていくということだと思います。具体的に何かというのはそう簡単ではありませんが、あらゆることを考えて、そうでないとなかなか理解を得るということは私(大臣)は無理だと思いますので、しっかりと努力していく必要があると思います。

【フリーランス 畠山氏】先ほど沖縄県民の皆さんに、直接理解していただくためのあらゆる努力をしていくということでしたけれども、今回の参議院選挙に沖縄で民主党独自の候補を立てていないわけですけれども、あらゆる機会にということであれば、沖縄で民主党独自の候補を立てることも理解を求める1つの方法だとはお感じになられませんでしょうか。

【大臣】候補者を立てるとすれば、政府、内閣の方針に沿った候補者を立てることになりますが、そういったことは現実には困難な状況にあると考えております。
 政府、内閣の方針に反した候補者を立てるということは、党としてはとるべきことではないと考えて、今回は候補者を見送ったところであります。

【日本インターネット新聞 田中記者】ライシャワー駐日大使時代にCIA東京支局長だったジョージ・パッカード教授が昨日講演されて私も聞きに行ったのですが、パッカード教授はもう普天間は閉鎖すべきだと言っている人なのです。普天間の問題というのは米国の政権内部の問題であると彼は言うわけです。そこら辺を踏まえて、もう少し機が熟すのを待つという、オバマ大統領が軍産複合体を完全に抑えきれないだろうけれども、ある程度のところまでいくまで待つとか、そこら辺の下工作をやるとかという気の長い戦略的な計画はないのでしょうか。

【大臣】ご質問の前提が、パッカード氏の言われることが正しいと私(大臣)は必ずしもそれを確信するだけの根拠はございませんので、特に質問にはお答えにくい、できないと思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほど沖縄選挙区での民主党候補者なしということについての関連なのですが、一方で、比例区の方で沖縄出身の喜納沖縄県連の代表が出ておられて党も公認されておられる中で、喜納氏は「県外・国外」という、つまり政府の方針に反した主張をされて戦っておられると思うのですけれども、それは先ほど大臣が仰られた政府の方針に反した候補者を立てるべきではないので選挙区では立てなかったというお話でしたけれども、喜納氏が党の公認で「県外・国外」を唱えて比例区で出ておられるという状況については、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】喜納候補がどういう主張をしているかというのは、私(大臣)は詳細には承知しておりません。従って、ここでお答えすることはできません。いずれにしても、党の公認というのは、党が決めることでありますので、外務大臣の立場でこれ以上踏み込んだことは申し上げるべきではないと思います。あとは有権者の皆さんがご判断されることではないかと思っております。

日印原子力協定と地球温暖化対策
【フリーランス 横田氏】日インド原子力協定のお話に戻させていただきたいのですけれども、先ほど、地球温暖化対策のお話を大臣は少しなさっていらっしゃいました。それから、この文書の中にも「関係省庁の関係者が」という言葉がございます。ということは、原発などの技術移転みたいなものを将来的に考えていらっしゃって、25%削減の中にそれを組み込んでいくということも考えているのかということをお聞きしたいのです。

【大臣】日本の25%とは切り離して考えていただいた方がいいと思います。それが直、日本の25%に関係するわけではありません。ただ、地球温暖化問題を進める上で、BRICsと言われる、これから経済成長を遂げ、したがって、温暖化ガスの排出が増えていくと考えられる国々の排出をどうやって少なくするかということは非常に重要なテーマですので、インドについてもそういうことが言えます。ですから、インドで原子力発電というものが広がるということは、温暖化問題の観点からは歓迎すべきことだということになります。現にインド政府は、原子力発電について、非常に積極的な導入計画を持っておりますし、日本のメーカーがこれからどうするかということは、これからの議論ですけれども、他国のメーカーが関与しているものについても、日本の技術が必要とされる部分もあるわけで、そういったことも考慮の1つになっているということであります。

豪ラッド首相の辞任
【朝日新聞 鵜飼記者】オーストラリアのラッド首相が、こちらから見ていると、割と突然のように辞任されたようにお見受けするのですけれども、これまでオーストラリアとの間では、核問題などで協力を進めたりされてきましたが、日本の政策にとって、何か今回のことというのは影響があるのでしょうか。

【大臣】まず、ラッド首相が辞任されたことは、非常に残念だと思います。日本にも何度かお見えになって、地球温暖化の問題を始め、捕鯨の問題では意見は合わなかったのですが、全体として日豪関係というものが非常に緊密化しました。それはラッド首相の功績も非常に大きかったと思います。今後、ギラード新首相の下で、こういった路線が引き続き維持され、更に強化されることを期待したいと思います。
 鳩山総理が突然お辞めになったときには、非常に驚きましたが、日本だけではないのかなと。ちょっと驚きの目で私(大臣)は、ラッド首相の辞任劇を見ております。
 この前、オーストラリアに行きましたときにも、1時間以上にわたって、率直に意見交換を行うことができましたし、私(大臣)自身、非常に興味を持っていた政治家、指導者でありますので、残念に思っております。

日本の選挙とインターネット利用
【フリーランス 畠山氏】海外の政治家と会談される機会が多い岡田大臣にお伺いします。世界から見た日本の選挙とインターネット利用のことについて伺いたいのですけれども、現在、参議院選の真っただ中ですが、先の国会でネット選挙の一部解禁を認める法律が通らなかったため、ホームページやブログ等での、政治活動ができなくなっております。本日の会見もニコニコ生放送が中継しておるようですけれども、選挙中の対応として、コメントの表示などを自粛しているそうです。例えば米国ですと、オバマ大統領が誕生した背景に、ツイッターですとか、インターネット献金というのが非常に大きな力を発揮したわけですけれども、日本では有権者にとって一番情報が必要だと思われる選挙期間中にインターネットの利用ができない。あと、選挙に立候補する際の供託金についても、米国、フランス、ドイツ、イタリアなどには供託金の制度がなくて、イギリスの場合でも9万円ぐらい。日本の場合は選挙区で300万円、比例で600万円とかなり高いために、新しい人材がなかなか参入できないのではないかということも言われております。海外の政治家の方々とお話をするときに、こうした日本の選挙制度というのが話題に上ったことというのはございますでしょうか。

【大臣】海外の政治家というか、この前、ルース駐日米大使と昼食をともにしたときにも、この話は出ました。供託金の話は、議論は両論あると思います。税金も関わるわけですから、誰でも出られるということはいいことではありますが、本当に当選を目指して立たれる人ばかりなのかという議論は、当然あり得ると思います。ただ、日本の公職選挙法そのものは非常に規制が多くて、インターネットの利用の話もそうですが、例えば個別訪問は認めないと。なぜかといえば、個別訪問すれば買収の可能性があるとか、とにかく選挙活動というものを非常に国民に対していろんな考え方を伝え、そして選択をしてもらうという機会としてではなくて、何か頭から不正が行われるという、政治家に対する見方、或いは有権者に対する見下したような考え方に基づいてつくられているような気が非常にするわけであります。そういったものは、基本的に大きく変えていく必要があるというように、私(大臣)は持論として持っております。

【フリーランス 上出氏】今、岡田さんが踏み込んで言っていただいたので、私もそれに関心があるのですけれども、個別訪問の選挙違反がもともとの昔の眼目で、多くの政治家がこれについて、やはりもっとオープンにやっていいのではないかと、特にインターネット時代、これについてはいろんなことが言われているのですが、今、そこまで言われたというのは、持論だとは言いましたけれども、民主党の中で具体的にこの選挙法について、そういう議論が起きたり、具体的な見通しとか、ある程度の感触、手ごたえなどがあるのかどうか。特にインターネットという新しいメディアができた。その時代に合わせた対応ということで、何かございましたら、お伺いしたいと思います。

【大臣】これはたしか超党派で21臨調だったと思いますが、そういう場でかなり議論がなされて、我が党ですと、当時、野田財務大臣や玄場さんが中心になって議論に参加していたと思います。そういう超党派での共通認識もありますので、是非実現に向けて、そういう中で今回、インターネットの法案も出てきたと思いますが、私(大臣)としてはもう少し広げて、さまざまな規制を取っ払うということを行うべきではないかと思っています。

【フリーランス 上出氏】菅総理も同じような考えですか。

【大臣】基本的には同じだと思いますけれども、直接は聞いたことがありません。

【フリーランス 畠山氏】先ほど、ルース駐日米大使とお会いしたときもその話が出たということでしたけれども、私も海外の選挙をいろいろと取材しておりまして、イラクの人ですとか、台湾の人ですとか、そういった方から、日本はインターネットが選挙が使えないという話をすると、そんなに日本は遅れているのかというふうに言われることが非常に多いのですけれども、そのことは外交的に見て、日本はインターネットに対して、そんなに世間の認知度が低いのかと思われることは、外交面でプラスにはなるとお考えでしょうか。

【大臣】そこまで余り議論をしたことはないのでわかりません。インターネットはもちろんそうですが、選挙運動に対する基本的な考え方の問題でもあると思います。自由化すれば、それを悪用する人がいるのではないかという発想ではなくて、選挙運動というのは、国民に伝えるための重要な機会であると、そしてその伝わったことを基本にして選んでいただくということです。ですから、不正が行われることは望ましくないので、その歯止めは必要ですが、基本的には自由に伝えることができるという仕組みにすべきだと考えております。

北朝鮮による航行禁止区域設定
【フリーランス 安積氏】北朝鮮が27日まで、黄海の北西4か所で航行禁止区域を設定したとの報道がありました。日本政府はこれについて、どのように見ていらっしゃるのでしょうか。

【大臣】天安号事件以降、北朝鮮はさまざまなことを発信しております。そのことについて、我々は注意深く、そのことを見ているわけでありますが、国連安保理における議論というものを牽制するためのという観点もあるかと思います。ただ、だからと言って、言っているだけだとは考えずに、いろいろなことが起こり得るということは想定しながら、きちんと対応できる体制を日本政府としても取っているところであります。
  だからこそ、この前も閣僚が集まって、意思疎通をしっかりと、共通認識を持ったということです。

【共同通信 斎藤記者】まさに今の関連ですが、大臣はいわゆる北朝鮮の天安号以降に出してきたメッセージについて、必ずしも言っているだけだとは考えないで、場合によれば、起こり得るということも想定しというお話が今ございましたが、そうだとすると、これは完全に我が国の安全を脅かす事態です。こうしたことについて、政府として十分に考えて取り組みを進めなければいけないということに理論的になると思いますが、そのための準備というものはしっかり進んでいるのか。こうした、いわゆる安全の問題、有事の問題は、軽々に外に話せる問題でないということはよくわかっていますが、実際に大臣はこれまでの閣内での議論を通じて、しっかりと安全を担保するだけの議論と共通認識が閣内で図れているとお感じなのかどうか。この点についての認識をお伺いしたいと思います。

【大臣】北朝鮮が何らかの反応をするとして、それは直接日本に関わる場合とそうでない場合もあります。それはいろいろなケースが考えられるわけであります。ですから、私(大臣)が申し上げたことは、常に国家である以上、最悪の事態というものを考えて、そういう事態に対応できるように準備をしておくということは非常に重要だと申し上げているわけで、それ以上のことを具体的に申し上げるつもりはございません。ただ、私(大臣)に関して申し上げると、先ほども外務省の事務当局に対して、これから選挙運動などで全国を私(大臣)自身も動くことになりますが、いざというときに、直ちに東京に戻れる体制というものについて、お願いをしているところであります。

G8・G20サミット同行
【共同通信 比嘉記者】大臣は今夜、カナダに向けて、ご出発ですけれども。

【大臣】4時からです。

【共同通信 比嘉記者】失礼しました。前回の会見でも出たのですが、今回、外相の会談がないのに総理に同行されるねらいとメリット、効果というものを改めて教えてください。

【大臣】外相の会談はもちろんありませんし、G8・G20に外相が同席をするということはありません。基本的には首脳でありますし、G20であれば財務大臣もということですが、外務大臣の出番はありません。ただ、この間、バイの会談がその合間を利用して行われるわけで、もちろん、カナダとかそういった会談はもう既に行われているのか、そういうタイミングだと思いますが、明日以降、日露、日中、日韓、日米と4つの会談が今、予定されておりまして、それぞれ非常に重要な会談でありますので、特に私(大臣)自身が総理を補佐するということが必要ではないかと判断したところです。今回初めてだということもあります。

ADIZ防空識別圏の線引きの見直し
【琉球新報 滝本記者】昨日、防衛省の方で発表がありましたけれども、与那国島の方のADIZ防空識別圏の線引きの見直しがありまして、本日からということなのですけれども、外務省が台湾交流協会を通じて、台湾側に通知も5月末にされていらっしゃると思うのですが、日本側の今回のADIZの引き直しという見直しがあったわけですけれども、一方で、台湾側の防空識別圏も接してあったと思うのですが、向こう側が、その分同じように引っ込めて見直すということは聞いていないのですけれども、外務省が台湾側に話をしたときに、向こうの反応なり、それは困るという声明も出ていますけれども、向こう側の反応、或いは向こうがスクランブルをかけてこないのかという懸念に対する担保はどのように取られているのかということをお伺いしたい。

【大臣】今回の防空識別圏の見直しは、沖縄県民及び与那国町民の方々が安心して生活できるようにすることにしたものであります。与那国島周辺の領空について、我が国として従来より、防空識別圏外の区域も含めて、航空機の識別を意識しておりますので、今回の見直しは、自衛隊の行動範囲などに変更を必ずしも生じさせるものではございません。いずれにしても、これは日本自身の判断でありまして、それ以上でもそれ以下でもないということを日本としては行ったというように認識をしております。

【琉球新報 滝本記者】日本側の変更ということでの日本側の判断ということは十分理解しているつもりなのですが、先ほど私がお伺いしたかったのは、台湾側へ通知もされて、そのことについて、台湾側がどういうリアクションを示していたのか、賛成、反対というか、賛否という話ではないのですが、それについてのリアクションがどうなのかということと、日本側の民航(機)が与那国に行くときに、台湾側のADIZを超えることによって、台湾側からスクランブルが来る可能性がある。過去に1回あったこともあるということについては、日本側のADIZを引くということではなくて、台湾側のADIZがどういうふうになるのかということの問題だと思うのですが、そこについては、どのようにお考えかと思います。

【大臣】その点については、台湾当局が一義的には判断するということであります。今回は、日本側の防空識別圏について、日本側が判断して線引きを行ったというものであります。

ODA(国連パレスチナ難民救済事業機関のUNRWAへの拠出)
【共同通信 斎藤記者】ODAの関係でお伺いしたいのですが、今月末に、パレスチナの国連パレスチナ難民救済事業機関のUNRWAの事務局長が日本に来られて、いろんな方に会うということですが、事務局長は来る前に、日本メディアに対して、今、UNRWAの財政難は非常に厳しいと、非常に各国の拠出も減っていて、なおかつ、今、ガザ地区における状況というのは、もうご案内のとおりだということで、日本の拠出に期待しているという趣旨のことを仰られています。一方、日本も非常に財政状況が今までにない状況で、ODAも年々削減されてきているわけですが、そうした中で、例えばTICADでは学資とかに付けていると、それからアフガニスタン50億ドル支援もあって、これも戦略的な見地からしっかりやっているわけなのですが、どうしてもUNRWAの拠出を見ると、これは明らかに減っています。ここは戦略的判断で仕方がないという部分はあるかもしれませんけれども、もう少し増やしたらいいのではないかという声も関係者から出ております。その点、どうなのでしょうか、アフリカ、TICAD、そしてパレスチナ、この外から見ると、どうしても温度差があるように見えるのですけれども、この点についてのご説明と、今後のパレスチナ拠出についてのお考えをお伺いしたいと思います。

【大臣】UNRWAの活動というのは、私(大臣)も以前にキャンプを訪れて、小学校とか、そこに居住される方々の生活を見る機会もありました。非常に長期間にわたって、非常に厳しい環境の中で生活をしておられるわけですから、それに対して、何とか手を差し伸べたいという気持ちは私(大臣)もあります。
 その辺は、よく日本におみえになったときに議論してみたいと思います。非常に長期間にわたって、かなりの額が出ているということも事実です。ですから、もう少し効率的なやり方がないのかどうかということも議論してみなければいけないと思います。私(大臣)は、TICADでもそうでしたし、ハイチのときもそうでしたし、この前のアフガニスタンについてもそうですけれども、やはり日本国民の税金である以上、それをしっかりと効率的に使ってもらいたいと、不正とか、そういうことがあってはならないということは常に申し上げてきておりますが、日本の援助について、それが有効に、効率的に使われるということは非常に重要なことで、そのことと、そうはいっても、非常に今、厳しい状況にあることも事実ですから、そういったことについてどう考えるのか、よく話し合ってみたいと思っています。

日米関係
【フリーランス 上出氏】6月22日、9党首の討論会が日本記者クラブ主催でありまして、それを拝聴しまして、その中でいろいろな議論で、特に日米安保を巡る問題が出ました。日頃から言っている「日米対等」ということなのですけれども、いろいろな議論で社民党の福島さんは「鳩山さんが日米対等と言っていたけれども、結局自民党のような状況に戻ってしまった」と、ということは福島さんは対等でないという認識だと思います。もちろん共産党あたりもきっちりそういうことは言っていますが。一般論としては、国連では小さな国であっても大きな国でも対等です。そういう意味では「対等」という言葉は聞こえは良いのですけれども、岡田外相が日頃言っている「日米対等」という時に何をポイントにして対等かそうではないのか、日米安保に関してやはりいろいろな制約があって、裁判権がないとかいう問題も含めて、これまでやはり日本は目下の同盟者だということが言われてきたのですけれども、今の現実の選挙もあるのですが、対等というのは何が一番大事な点で、具体的に日本の状況はどうなのかというのをもう一度改めて説明していただけませんでしょうか。

【大臣】私(大臣)も外務大臣になって改めて実感をしておりますけれども、米国もやはり日本のいろいろな協力がなければ、このアジア太平洋地域において、或いはよりグローバルな問題でもなかなか単独ではやれないということは沢山あります。ですから、私(大臣)とクリントン国務長官が会った過去5回を振り返っても、例えばイランの問題とか北朝鮮の問題とか、或いは地球温暖化の問題とかそういったことが主要な議論の課題になっている訳であります。報道の方は普天間に集中しがちでありますけれども、時間的にいっても内容的にいってもそういった問題について真剣に議論しているということです。例えば、イランの問題一つとっても日本の協力がなければ国連安保理での決議というものもスムーズにできたかということは分かりませんし。そういう意味でお互いが協力しあってやっていくという意味で、私(大臣)は、あえて「対等」という言葉は私(大臣)はあまり好きではないのですけれども、「対等」という言葉をことさらに言うと対等でないことを前提にしているようですから、ごく自然な形でお互い協力し合っているというように思います。なお、福島さんがどういう意味で仰っているのか分かりませんが。政権に入られたのですけれども、入る前と入った後で全く変わりませんでした。それは非常に残念なことだと思います。

【フリーランス 上出氏】少ししつこいようですけれども、大臣は「対等」という言葉が好きでないと、それは対等でないからだということですが、厳密に見て本当に日米は対等だと思ってられるのですか。制空権とか当然制限されていて、核の傘に守られているとか,安保条約そのものが現実には米国が主役という部分がどうしてもあるわけですから、それでも対等ということが言えるのでしょうか。

【大臣】「対等」ということとそれから「同じ」ということは違うわけですね。まずそのことははっきり申し上げておきたいと思います。良く私(大臣)が例に出すのですが、夫婦対等というのは夫婦の役割が全く同じということでは必ずしもありません。それぞれ補完し合っているというのも対等の一つの形であります。 日米安保条約というのは米国には日本を守る義務があるということであります。日本はそれに対して、まず基地を提供しているということですが、米国にとっては同時にこのアジア太平洋地域において米軍の存在とプレゼンスというものを確保できるという意味で大きなメリットもあるわけであります。兵士を日本に置くということになった時に彼らなりの論理であればそれは兵士を守るための様々な仕組みということを主権国家としては当然考える訳で、我々日本も自衛隊を海外に出すときにその自衛隊を守るための仕組みというものを当然思考するわけであります。それが合理的に説明できる範囲のものであるのか、或いはそれを超えているのかと、あるいは時代的にかつてはそれはやむを得なかったかもしれないが今やそれは行き過ぎではないかとかいう議論は不断に行っていくべきだと思いますが、日本人と全く同じ扱いを受けていないので、だから対等でないというのは私(大臣)は少し行き過ぎた議論だというように思います。やはりどこで線を引くのかということは常にしっかり議論しなければなりませんが,全く同じであるという必要は必ずしも、これは一般論として申し上げますが、それが対等ということではないということであります。

【琉球新報 滝本記者】「米国にとってのアジア太平洋地域でのプレゼンスを確保できる、米国にとってのメリットもある」と仰られましたが、その意味で西太平洋地域というところを見ただけでも、米軍のプレゼンスを考えた場合に、韓国もそうですが、日本にかなりの数が集中している、更にその中で沖縄に集中しているという状況があります。常に日本側から見た場合、日本の防衛、東アジアの平和と安定ということですが、米側から見たら、日米安保条約で責務を負っている日本の防衛ということもある一方で、アジア太平洋、或いは更に中東も睨んだ自らの展開の戦略においての拠点という位置付けがあるということだと思うのですが、その意味で言うと「沖縄でなければならないのか」という議論にしたいのですが、沖縄でなければならないという米側の論理からすると、そうでなくてもいいということに、つまり、太平洋全体なり、広く太平洋の中での米軍のプレゼンスを考える場合、「沖縄でなければならない」ということには必ずしもならないのではないのかなと思うのですが、つまり、日本側から見たのではなく、米側の方から見ると沖縄でなくてもいいのではないかという論が立たないのかどうかと(思うのですが)。

【大臣】日本はその中でも、特に重要な同盟国でありますので、日本の安全ということと切り離して、アジア太平洋における平和と安定という観点だけで論じることはできない問題だと思います。それから、沖縄の戦略的な場所的重要性ということもあると思います。他にこれだけの訓練地も含めたボリュームのあるものをゼロから造っていくということが、どれだけ可能なのか、これは日本の中の移転の問題にも関係する訳でありますから、そういったことを全体に考えて、今、それをどこかに持っていくということは非常に考えにくいことだと私(大臣)は残念ながら、そのように思っております。

【琉球新報 滝本記者】東アジア全体、或いはアジア全体でアジアの平和と安定を考えていくという意味で言うと、先程仰られた「日本と米国の強固な同盟関係」というのがあるということは認識しておりますが、アジア全体でどのようにアジアの安全保障なりを考えていこうかという、それはスパンがもう少し長いのかも知れませんが、そういうテーブルで話し会うことによって沖縄に集中させない、或いは日本に集中させないということのありようも模索することは可能ではないのかなと思うのですが、そのような模索をしようというお考えはないのでしょうか。

【大臣】それが直ちに結実するということではないと思います。長い目で見たときに、いろいろな国が、シンガポールとかインドとか、米国のプレゼンスというものをある程度引き受けるという形ができつつあると思いますが、今、日本が引き受けているようなそういったボリュームのものを、他の国が受け入れるということが将来的に起こりうるのかどうかというのは、現時点ではそういったことを満たすことは難しいと思います。将来的にそういうものが絶対ないと言うつもりは必ずしもありませんが。

【琉球新報 滝本記者】それを模索する日本としての意志というか。

【大臣】だからといって、今の基地問題をそれで解決するということではないと思います。そのように思ってしまったら、結局普天間がいつまでも固定化するということになりますので、これはこれできちんと解決していかなければいけないと思います。そういう観点で日米合意というものもできているということです。

その他
【伊勢新聞 中森記者】最近、「岡田語り」という本を出版されたと思うのですが、それの狙いとアピールポイントを教えていただきたいと思います。

【大臣】多くは、今まで私(大臣)のブログでお話しをしてきたことを本の形にしたということです。それに加えてということであります。ブログを見ていただく方というのは継続的にかなりの数いらっしゃるのですが、本の形にすることでそれが更に裾野が広がればということです。私(大臣)なりの考え方、どのような思いで外務大臣をやり、或いは政治家をやっているかということが、少しでも理解をされればと思っております。



【朝日新聞 鵜飼記者】本日配信の(大臣の)メルマガで、少しお太りになられたので「午後10時以降アイスクリームを食べるのをやめる」という宣言をなされております。大臣が夜な夜なアイスクリームを食べている姿というのは若干想像しにくいのですが、いつ頃からのご習慣で、どれくらいの頻度で召し上がっているのでしょうか。

【大臣】毎日一個ずつ食べていましたが、いつからといわれると、少し難しいです。かなり長いかと思います。昨日もちゃんと我慢しました、1時ごろ迄は起きていましたが。アイスクリームだけではなくて、10時以降はものを食べないようにしようというように、基本的にはしております。アイスクリームもなるべくカロリーの少ないものということで、最近は高級アイスクリーム的なものは控えています。非常に好きなアイスクリームは「白くま」というアイスクリームです。九州のローカルメーカーのものですが、近くに売っていまして、それが食べられないことは非常に残念です。昼間なら食べていいのかなと思っています。

【朝日新聞 鵜飼記者】これから夏にかけて、アイスクリームをもっと食べたくなる季節だと思うのですが、誓いを守り通されるご自信というものはお持ちでしょうか。

【大臣】氷ならカロリーがないので、かけるものによるのですが、氷をどんどん食べたいと思います。9時59分なら食べても良い訳ですし。




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