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2010.09.03|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年9月3日)

外務大臣会見記録(平成22年9月3日(金曜日)13時50分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)対イラン国連安保理決議付随措置について
(2)北方領土への渡航について
(3)ドイツ訪問について
(4)日・カリコム外相会議について
○対イラン国連安保理決議付随措置
○民主党代表選挙
○児童の性的搾取と表現規制
○北方領土問題
○ロシアにおける「第二次世界大戦終結の日」
○中東和平交渉
○安全保障政策
○北朝鮮関連
○米軍再編問題(沖縄の負担軽減)
○日米関係

冒頭発言
(1)対イラン国連安保理決議付随措置について

【岡田大臣】まず、本日の閣議において閣議了解を得たわけですけれども、イランの核問題に関する安保理決議案第1929号の履行に関して、政府として、8月3日に閣議了解を得た措置に加え、安保理決議による要請等を踏まえ、安保理決議に付随する措置として、不拡散、金融、貿易、運輸、エネルギーの分野において諸般の措置を取ることといたしました。本日、閣議において、これに関連する閣議了解を行ったところであります。
 官房長官も既に記者会見で述べておりますので、内容については特にご質問があれば申し上げたいと思います。

(2)北方領土への渡航について

【大臣】2番目は、同じ閣議において、我が国企業関係者などによる北方領土への渡航について、ここでも問題になりましたが、複数そういう事例が確認されましたので、そのことについて平成元年の閣議了解を尊重して、北方領土への入域を自粛している他の我が国国民との関係でも問題であるということで、そして、北方領土の現状をあたかも追認したととられかねない行為であるということで、戦後65年以上にわたり、一貫して北方領土問題の解決を目指して努力してきた我が国国民の悲願に水を差す行為であるということで、閣議において私(大臣)から関係大臣に対して、北方領土問題に対する我が国の立場を十分に踏まえ、我が国の国民がロシアの出入域手続に従った北方領土への訪問を行わないよう周知徹底を図ることを要請するとともに、特にそのような訪問の計画を有する企業等が見られた場合には、当該訪問を助長するような事業協力を厳に慎むよう、政府として当該企業等に対する指導を行うように要請したところであります。
 また、本日、当省及び内閣府から、各府省及び各都道府県・政令指定都市に対し、改めて平成元年の閣議了解の趣旨の周知徹底を要請いたしました。この機会に、国民の皆様におかれては、北方領土問題に関する我が国の立場を踏まえ、そのような立場を害する形での北方四島への渡航は自粛されますよう、改めて要請いたします。

(3)ドイツ訪問について

【大臣】3番目は、私(大臣)のドイツ訪問に関して、9月6日の夜遅くから9月8日の昼過ぎまでの日程でドイツを訪問いたします。滞在は7日のみということで、ヴェスターヴェレ外相との間で二国間関係、特に国連において開催予定の少人数の核軍縮・不拡散に関する新しいグループに是非参加をしてもらいたいということで、それに関する話と安保理改革、以上の2点が中心ですが、日EU経済連携に関しても、よく意見交換をしていきたいと思います。
 そういったことを中心に、本年3回目の意見交換を行うということであります。そのほか、旧知のヴルフ大統領への表敬、ブリューデレ経済・技術相との会談などを予定しているところであります。
 来年は日独交流150周年ということで、両国の強固なパートナーシップを更に強化する考えであるということであります。

(4)日・カリコム外相会議について

【大臣】日・カリコムについては、もう既に報じられているところですが、2000年の第1回以来、10年ぶりに第2回の日・カリコム外相会議を開催いたしました。
 議論したのは、環境・気候変動や経済危機、ハイチ復興支援といった問題であります。
また、この機会に、この外相会議に参加をしたすべての外相と個別に会談を行い、各国との二国間関係、安保理改革、あるいは気候変動などの議題について、貴重な意見交換を行うことができたということであります。

対イラン国連安保理決議付随措置
【共同通信 比嘉記者】イランの追加制裁についてお伺いしたいのですが、今回閣議了解されましたのは、安保理決議に付随する措置ということなのですけれども、これは大臣がこれまで仰っていた、日本独自の追加制裁ということなのでしょうか。それとも、それはまた別にお考えなのでしょうか。

【大臣】正確に言うと、付随措置です。安保理決議に付随する措置として行ったというようにご理解いただいた方がいいと思います。

【共同通信 比嘉記者】そうしますと、日本独自の制裁というのは、また新たに考えられるのでしょうか。それとも、もうこれで終わりということでしょうか。

【大臣】この付随措置は、各国それぞれ濃淡はあるわけで、これでとりあえずのイランに対する措置というものは、それ以上のことを今、考えているわけではありません。

【共同通信 土谷記者】イランの制裁についてですけれども、今回の制裁が日イラン関係に与える影響があるのかないのか、また今回の制裁に配慮した点があるのかどうか、その辺を教えて下さい。

【大臣】イランがどういうふうに考えるかということは分かりません。これから我々が閣議で決めたばかりですから。ただ、国際社会が一致をして国連決議に基づいて行うことでありますので、イランにはそのことを真剣に受け止めていただいて核開発疑惑というものに対して疑念を払拭する努力をしてもらいたいというように思います。これは長くイランとの関係を築き上げてきた日本としての、友人としてのイランに対する期待、希望でもあります。

【日経新聞 山内記者】今のイランの制裁についてですけれども、今回の制裁にはエネルギー関連の新規投資の抑制なども盛り込まれていると思います。これについて過去にアザデガン油田のような例もありまして、日本企業が制裁措置で自粛している間に中国の企業に遅れをとってしまうのではないかという懸念も当然ながら出ています。これについての大臣のお考えをお願いします。

【大臣】今回は安保理で決めた措置に付随するものでありますので、特定の国だけが、そのことによって利益を得ないようにということは、我々も問題提起をし、そういったことも踏まえながら、この安保理の決議ができているというように考えております。

民主党代表選挙
【フリーランス 岩上氏】代表選に関連してご質問させていただきたいと思います。
 菅総理、小沢前幹事長、両候補とも政策を発表いたしました。おととい共同会見、昨日は討論会も行われまして、両者の所信というのが明らかになったところで、岡田大臣としては、菅総理を支持するということは表明されておりますけれども、政策としては、どちらの候補にご自身は共感する、あるいは賛成できるところがあるのか。その中身に分け入ってお話し願えないかと思うのですが、よろしくお願いします。

【大臣】外務大臣としての立場で見ると、余り外交関係は大きな議論にはなっていないと思います。ただ、普天間をめぐる沖縄の基地の問題に対して、もちろん菅総理は5月の日米合意を尊重してやっていくという、従来からの政府のポジションを述べておられるわけでありますが、小沢さんの方は、沖縄と米国が合意できる案ということで言われましたけれども、具体的に何かあるわけではないと昨日述べられましたので、考え方としては、当然それは沖縄にも理解を得て我々は進めようとしているので、米国と沖縄が双方受入れ可能な案という考え方で、今、進めているわけであります。
 日米合意についても、それを白紙にするとかそういうことではないと小沢さんは仰いましたので、普天間移転については実質的には余り差がないのかなと思います。多分、余り変わらないのだろうなと思っております。
 私(大臣)としては、今政府が日米合意を取りつけて、沖縄にこれから理解を得ていくという、それ以上のことというのは、少なくとも私(大臣)の能力の限りではあり得ませんので、ほかにもっといいのがあれば是非教えていただきたいと思っています。
 本日、(小沢前幹事長は)沖縄の海兵隊の話をされたと聞いております。ニュアンスの問題はありますけれども、実戦部隊は必要ないと言われたと。その前提として今2,000人しか沖縄にいない。これは事実誤認でして、今でも約1万人の海兵隊は沖縄におります。ですから、事実をきちんと押さえて発言された方が誤解がないのではないかと思っております。
 我々は沖縄の海兵隊を抑止力として必要であると考えておりますが、グアムに移るのではないかというお話もありますので、グアムに移るのは司令部系統の部隊が中心で、実戦部隊は引き続き沖縄に残るというのが日米の合意であります。
 それが必要ないということであれば、抑止力との関係でどういうように説明されるのかというところは個人的にはといいますか、外務大臣として関心のあるところです。

【フリーランス 岩上氏】小沢さんの発言の中で日米従属関係ではなく、対等な関係であるべきだというような趣旨のことを仰られております。これは現状認識なのか、それともそうあるべきだということを仰っているのか若干わからないところもありますけれども、この日米関係そのものは現在どういう関係にあるのかという認識について、岡田大臣からも一言教えていただけないでしょうか。

【大臣】1年以上前のことは、旧政権時代のことは私(大臣)はわかりませんが、現状において従属だとか対等でないというのは事実に反すると。少なくとも私(大臣)の実感とは全く違うということははっきり申し上げられると思います。

【琉球新報 滝本記者】代表選に関連しての菅首相の発言で、沖縄の理解を得るためにはグアム移転や北部訓練場など負担軽減があるのですけれども、そのグアム移転も優先的に実施できないかという発言が昨日の討論会でもあったと思うのですけれども、従来、普天間移設、代替施設の移設完了後というような形のパッケージ一括実施ということになっていたと思うのですけれども、菅総理の言い方だと、普天間の移設等の進捗とは別にしても、グアムを優先的に沖縄の理解のために進めるというようなことにも受け取られかねないかなと思うのですが、そのことについては従来の姿勢から1歩踏み込んだ形になっているのでしょうか。

【大臣】私(大臣)、そこのところは直接発言を聞いておりませんので、よくわかりませんが、一方で、それは普天間のことと、普天間でいろいろものが進まないときに、とにかく負担軽減を先にやっていくという意味ではわかりますけれども、相手のある話ですから、それが相手が飲み得る話なのかどうかということと、結果的にそのことは普天間の移転を遅らしてしまうということになりかねないということもよく気をつけておかなければいけない問題だと思います。つまり、現状固定ということになってしまうということは困るわけですから。

【琉球新報 滝本記者】今の同様の質問に対して北澤防衛大臣は日米合意そのものはパッケージであるのだから今すぐどうこうということは難しいのだけれども、代替施設がある程度担保されたら優先的に議論できるかどうかということは、そういうことが議論があっても不思議ではないという言い方をされたのですけれども、つまり、全くまだ今のところ膠着状態で進まない中では難しいけれども、ある程度めどがついたらそういうことを先にどうなのかということを対米に働きかけるということの可能性に触れたと受け取ったのですが、その点について外務大臣としてはどういうようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう考え方はよく理解できます。

児童の性的搾取と表現規制
【週刊金曜日 伊田記者】以前から持ち越しになっていたことについてお聞きしたいと思います。ネット等で初めて見られる方もいらっしゃるので初めから述べさせていただきます。2008年11月にブラジルの都市リオデジャネイロにおいて開催された第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議において、外務省はステートメントとしてこういうふうに発言されております。
日本語の仮訳の方ではこういう表現になっております。「漫画、アニメ、ゲーム等ではしばしば児童を対象とした性描写が見られます。これは現実には存在しないコンピュータ等でつくられた児童が対象ではありますが、児童を性の対象とする風潮を助長するという深刻な問題を生じさせるものであります。」
ここは英語の原文の方では「it surely raises serious problems」。仮訳の方には入っていないと思われます「surely」という言葉が入っていまして、確実に性的な風潮を助長すると外務省の方で2008年に述べられておりますけれども、この科学的根拠についてお教えください。

【大臣】科学的根拠といいますか、児童そのものの場合と、そういった漫画とかアニメという場合で直接の被害者というのは児童そのものの場合と比べて存在しないという違いは確かにあります。ただ、そういった児童ポルノという意識を蔓延させるという効果においては、実際のものであっても、あるいは漫画、アニメといったものであっても、それは変わらないということだと思います。したがって、そういった状況を助長しないという意味においては、そういったものについても含めて、議論の対象にしていくという考え方を述べたものであります。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほど岡田大臣は、「実際に児童ポルノと漫画といった創作物の間で、助長するという効果があることは変わらないということだと思います」と、
私が聞いているのは、変わらないという科学的な根拠については、例えば社会学者の宮台真司さんなんかは、この100年間社会学でそういう調査をしてきた。ところが、もともとそういった趣向がある人間に引き金を引くようなことはあり得るけれども、それを助長することはついに証明できていない。それから、最近の研究ではそういったものがあることで、実際の犯罪にいかないで代替措置としてそれで満足してしまい、そういったものを禁止した国の方がかえって犯罪率が上がるというデータも出ております。
つまりお聞きしたいのは、確かに私はこういった表現はひどいという表現物はあると思いますが、それが確かに助長するのだという科学的な根拠について、お教えください。

【大臣】そこは学者の中でさまざまな議論があると思いますので、ここでそういった科学的根拠について証明しろと言われても、それはなかなか簡単なことではありません。
 しかし、実物だからだめでアニメーションだからいいというのは、私(大臣)個人的には非常に考えにくいことだと思っております。違う意見もあると思いますが、しかもこれは表現の自由に関わる話ではありますけれども、私(大臣)にはその違いが大きくあるとは思いません。

【週刊金曜日 伊田記者】来年の概算要求の中で、経済産業省がクール・ジャパンを売り出すのだということで、そういう漫画、アニメの振興についてかなり積極的に日本政府としても取り組むというような姿勢を示しております。そういったものと今回のこういった規制が、全く矛盾しているのではないかとも思いますけれども、大臣としてはいかがでしょうか。

【大臣】矛盾しているとは思いません。それは物事の中身によって一般に言うアニメとか漫画というものを、国際的にPRしていくということと、その中身がいかなるものであってもいいということは、それは違うと思います。

【AP通信 鈴木記者】漫画、アニメにおける児童を対象とした性描写についてですが、「アニメだからいいとは個人的には考えにくいと思う」というご発言がありましたが、それでは、大臣は、こういった描写はよくない、反対である、禁止すべきであるという個人的なお考えをお持ちなのでしょうか。

【大臣】そういうことは、私(大臣)は何も語っておりません。それは、まさしくこれから議論していく話であります。ただ、被害者が直接いない、いるの違いはもちろんありますが、しかしアニメや漫画の描写も、特に最近はいろいろな技術の発展によって、本物か、あるいは人工的につくり出されたものなのかということの差もほとんどなくなってきておりますので、そこできちんと分けるという考え方は、私(大臣)はよく納得できないのです。それが社会的に及ぼす影響という観点から見たら同じではないかと、あるいはかなり近いのではないかと、そういう気が私(大臣)はしています。

北方領土問題
【時事通信 高橋記者】北方領土に関する今朝の閣議に関連してお伺いしますけれども、現在元島民のビザなし渡航というのは一定の枠組みなんかがありますが、衆院の外務委員長の鈴木宗男さん辺りから、もっとこの枠組みを拡大するというか、閣議決定自体を見直してはどうかという意見も出ていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

【大臣】閣議決定を見直すというのは、見直す中身にもよりますが、北方領土があたかもロシアの一部であると誤解されかねない、あるいはそういうふうに次第に意識が変わることになりかねないような措置については、それは断固として日本国政府としては認められないという姿勢は変わりません。もちろん委員長のお話も私(大臣)は承知しておりますし、省内でも改めて議論いたしましたが、それは変えるべきではないと外務省としては決定したところであります。

【北海道新聞 島田記者】本日の閣議で閣議了解の周知徹底をというお話をされたと伺っておるのですけれども、ちょっと私が取材して会った中の人は、また行くという話をしていたり、周知徹底するという中で、現状では罰則規定などない中では、なかなか現状の閣議了解に限界があるのかなという気もするのですが、周知徹底以外に何か具体的に渡航しないように求めるような方策を新たに考えていらっしゃるのか、それとも新たにこれから提案するようなことは決定されていますでしょうか。

【大臣】法律でもって規制しているわけではないという限界はあります。ただ、政府として改めてはっきりと見解を述べたわけで、しかもそれは国民の悲願である北方領土返還にある意味では反する行為であるということを申し上げました。そういうことは繰り返し強調していきたいと思っています。

【週刊金曜日 伊田記者】先ほどの閣議決定の絡みですけれども、言い方は悪いかもしれませんが、20年以上前のロシアの方からも経済的援助がほとんどなくて、かなり貧しいとか厳しい状態に置かれていた北方四島と、現在の各国からいろいろな投資とかが入って豊かななりつつある中で、日本だけがそういうことをしないと、島民の気持ちがますます日本から離れていくおそれがあるのではないかと思います。
 もちろん大臣が言われるように、ロシアの一部であるということを追認するような、助長するようなことは現に慎まなければならないのですけれども、北方四島の早期返還を考えたときに、島民の気持ち、現に住まれているロシアの方々の気持ちを懐柔するとか、日本にいかに近づけていくかということも必要ではないかと思いますが、その点について閣議決定をもう少し、つまり20年という時が経った中で、それが本当に北方四島の早期返還につながるのかということについて、大臣のお考えをお聞かせください。

【大臣】島民との交流事業というものは行っております。それはこれからもしっかりとやっていきたいと思います。しかし、ロシア側の主張をある意味では暗黙に認めかねないような措置については、これは断固たる態度をとらなければならないと考えているところです。もしこれで日本がほかの国がやっているからということであれば、それは自ら日本の領土であることを、ある意味ではあきらめたかとも受け止められかねないと私(大臣)は思います。

【フリーランス 上出氏】鈴木宗男さんが北海道倶楽部という社団法人で講演しまして、ご自分も含めてこういうことでできていることに対してのご所見なのですが、まず解決するために1956年の共同宣言、細川政権下の東京宣言、森政権下でのイルクーツク宣言、これを基礎にする以外に道はないということを強調していまして、2島返還後の国後、択捉については日露の共同管理も視野に入れてよいということを言っていまして、菅首相になってからロシアは余りにも原理主義的にやっているのでがっかりしていると、これは鳩山首相が力を入れていたので、今後も対露外交は前の首相に任せた方がいいのではないかと言っているのですが、現状のご認識とこういった見解に対してどういう状況と見ているのか、よろしくお願いします。

【大臣】鈴木先生がご持論をお持ちのことはよく承知しております。ただ、政権交代後、鳩山政権、菅政権、日本国政府の考え方は一貫しております。鳩山政権から菅政権になって変わったというようなことは全くございません。

ロシアにおける「第二次世界大戦終結の日」
【フリーランス 安積氏】北方領土に関係しまして、9月2日の第二次世界大戦終結の日についてお伺いいたします。
 この日、ロシアの連邦会議のミナロフ議長が、日本の北方領土の日、これは2月7日なのですけれども、この存在及び日本の地図で北方四島がロシア領から除外されている点について、歴史と現状の直接的な歪曲だと批判したとの報道がありました。大臣は7月の会見でこの日の法制化について、今後のロシア側の対応を注視していくとお答えになりましたが、この上院議員の言動についてどのようにお受け止めになっていますか。及びこれについて何か対応されるおつもりはありますでしょうか。

【大臣】いろんな発言があるというふうには承知しておりますけれども、日本政府の従来からの基本的考え方と相容れないものであります。

【フリーランス 岩上氏】日本では8月15日が終戦の日とされておりますけれども、最近のロシアでは日本が降伏文書に正式に調印した日、ミズーリ号上で調印した日、9月2日でしたか、を真の終戦の日だと強調する傾向にあると伺っています。これはおそらくは15日以降に更に進撃を続けた旧ソ連軍の軍事行動、その後の占領を正当化するという目的もあるのだろうと思いますが、どちらが真のポツダム宣言受諾、そして終戦の日として正しい日になるのか、大臣のご見解をお聞きしたいと思います。

【大臣】日本国政府としては、8月15日が戦争をもって終わった日であるというようにしているわけであります。ただ、この場で、以前申し上げましたが、考え方としては正式に調印した日という考え方も私(大臣)は論理的に成り立ち得ると思います。

【フリーランス 岩上氏】15日以降のソ連軍の侵攻というのは是認しうる、そういう論理的な考え方もあり得るということなのでしょうか。

【大臣】それはもうはっきりと無条件降伏、つまり白旗を掲げたわけですから、それに対する攻撃ということは、それはあり得ないというように考えております。

中東和平交渉
【テレビ朝日 花村記者】イスラエルとパレスチナの平和交渉、およそ1年9か月ぶりですか、ようやく再開しましたけれども、やはり大分難しそうな様子で、1年以内の合意を目指すということですが、どのようにごらんになっていますか。

【大臣】具体的なそういった交渉がなされるということについては評価をしたいと思います。直接交渉も開始されたということですから、そのことは歓迎したいと思います。
 ただ、非常に難しい交渉を今までも何度も何度も試みられていたわけであります。交渉当事者であるイスラエルとパレスチナのそれぞれの置かれた状況も必ずしも簡単なものではない。そういう中で、あえて両国指導者が交渉を始められたことを評価するとともに、是非その困難を乗り越えて合意に達してもらいたいと思っております。今後、政府としても、そのために努力を行っていきたいと思います。

安全保障政策
【フリーランス 岩上氏】28日、菅首相の私的諮問機関である新しい安全保障を考える懇談会だったと思いますけれども、それが報告書を出しました。これは以前にもご質問させていただきましたけれども、その時点では、まだリークであると、報告書が出てからお話しするということを大臣は仰られていましたので、内容が明らかになったところで、この報告書の内容、非核三原則の見直し、核の持ち込みの是認への提言とか、武器輸出三原則の見直し、それから防衛省がずっと根本的な理念として持っていた基盤的防衛力の整備という話、これも見直すという話があります。ここに盛り込まれている内容、この報告書が、そのまま政府の方針ではないことは重々承知しておりますけれども、どの点が共感できるものであり、どの点が相容れないものなのか、中身に分けて是非ご見解をお示しいただけたらありがたいと思います。

【大臣】この報告書が報告された場で、私(大臣)は、これは1つの参考ですねと確認をして、そういうことであると、1つの参考として、学識経験者の皆さんを中心にご議論をいただいた、ですから、それは参考ではありますけれども、それにとらわれるものではないということであります。
 個々のことについて、今、私(大臣)がここで申し上げるのは、いかがかと思いますが、この議論を始めるときに、私(大臣)は、最初の第1回だけ各大臣が参加したのですが、そのときに私(大臣)が申し上げたことは、「基盤的防衛力構想という考え方はよくわからない」と、私(大臣)自身もそういう質問を前々回の大綱のときに、そういう議論を国会でもしているのですが、「現状維持だけを目指したような、そういうふうにも見える。そういうことについてはよく議論してもらいたい」と申し上げた経緯がありますので、基盤的防衛力構想について、今回それをやめるというように結論づけられたことは、私(大臣)の方向性と一致しているとに思っております。
 それ以外のことは、それぞれよく、これは関係閣僚間で議論してみる必要があると、問題提起としてはいいと思いますが、しかし、それがもう少し広い目で見たときに、日本政府として取り得べき話なのかどうかということについて、私(大臣)はかなり疑問を持っております。

【フリーランス 岩上氏】個々の内容には余り触れたくないというお話でしたが、せめて核の持ち込みを見直すという点に関してのご見解は、これまでも触れられてきたことでもありますし、改めて大臣のご見解、ここの点についてお聞きしたいと思います。

【大臣】日本政府の考え方は、非核三原則は堅持するということです。ただ、この場でも何回か申し上げておりますが、国の存亡が関わるような、そういう場合の対応については、そのときの政府が最終的に判断すると、そこまで将来のことまでは縛るべきではないだろうというのが、私(大臣)の考え方であり、国会でも何度も答弁してきているわけであります。

北朝鮮関連
【日本テレビ 野口記者】北朝鮮に関してですけれども、今月の上旬に北朝鮮の労働党の代表者会が行われるという情報がいくつかのソースで報道されております。9月の4日、ないしは6日の辺りのどこかで始まるのではないかと韓国の報道ではされていて、その辺りの情報を政府としてつかんでいるのかということと、代表者会をどれくらいの注意を持ってご覧になっているかということをお願いします。

【岡田大臣】その会議の内容についてはコメント致しません。もちろん、そこで何が決まるかまだ分かりませんから、決まった内容によっては、非常に注目すべきことになるかもしれません。

米軍再編問題(沖縄の負担軽減)
【琉球新報 滝本記者】沖縄の負担軽減という文脈で少しお伺いします。従来負担軽減をどうするのかということをお伺いしてきましたけれども、かつて8月末までが普天間の専門家の議論のリミットでありましたけれども、それが終えてから新たな負担軽減についての議論も提起したいということを以前大臣も仰っておられました。これは具体的にどういうようなスケジュールで、どういうような場で、次の2+2のような場で言うのか、あるいは何をどういうように提起されるおつもり、お考えなのかということをお伺いしたいのですが。

【大臣】沖縄との関連で言えば、今まで日米合意の中で決めた負担軽減の問題。その中には騒音とかそういったことの軽減というものも含まれる訳ですけれども、それからいろいろな事件事故に関するものとか、かなり幅広いものがあります。そういったことについて日米間で2+2+ですぐに話を直接するということよりは、実務レベルでしっかり話を前に進めるということが沖縄の皆さんの理解を得るためにも重要なことであると、そういうように認識をしております。これで1つに落ち着きましたので、そちらの方に重点を移してしっかりと議論をしていきたいと考えております。

【琉球新報 滝本記者】それに関連しまして、そこの中で、地位協定についても5月末の部分にもあったわけですけれども、地位協定についてその枠組みの中で話をされるのかといういうこと、その話の枠組みというのは、いつまでに何か結論を得るというようなスケジュール的な部分としてどういうようにお考えか。

【大臣】地位協定の中でも特に環境に関する部分についてまず議論をするということで、まず何らかのが合意を目指すと、それが形としては地位協定の見直しになるのか、あるいは違う形を取るのかということはこれはまだオープンで何も決まってないのですけれども、いずれにしても環境に関してきちんと現状と比べて前進できるように是非議論したいと、それは日米合意の中にもそういったことが書いてあるわけですから、しっかりとやりたいというように考えております。

【琉球新報 滝本記者】タイムリミットといったことについては。

【大臣】タイムリミットは特にありませんが、そういったものについて目に見える形がやはり沖縄の理解を得るためには必要なことだというように思います。全体を前に進めるために必要なことだというように考えておりますし、米国側もそのことはよく認識をしていると私(大臣)は思っております。

日米関係
【フリーランス 上出氏】岩上さんの質問の時に「日米対等でないというのは事実に反する」というように、確かおっしゃったと思うのですが。

【大臣】私(大臣)の実感とは違いますね。

【フリーランス 上出氏】それで、今回の沖縄の普天間交渉でも多くの国民、あるいは亀井元大臣も含めて、対等でないから引きざるを得なかった、あるいは外務省も米国の言いなりになっているなどという言葉が出て、国民の中にはたいへんそういう意識が強いと思うのです。それに対して「対等」という意味はどういうことなのだということを、もう一度説明していただけますでしょうか。

【大臣】私(大臣)が「対等」と言ったわけではないので、もちろん、民主党が「対等な」と書いたことは事実ですが、「対等」というのは同じではないということをまず申し上げたいと思います。同じ権利義務を負うことではないと、よくここでも申し上げましたが、男女対等という時に、男女は全く同じでなければいけない等ということは明らかにあり得ないわけで、それぞれの役割があって、そしてトータルとしてみてイーブンであるということだと思います。日本というのは、米軍がもちろんここにあるわけですけれども、その彼等はもし日本が危機的状態になった時に身を賭して日本を守る責任を負っている人たちですから、そこの部分に対して十分な敬意を払うというのは、私(大臣)は当然のことだと、それをもって対等でない等ということは私(大臣)には理解しがたいことであります。




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