外務大臣会見記録(平成22年7月30日)
外務大臣会見記録(平成22年7月30日(金曜日)15時35分~ 於:本省会見室)
○冒頭発言
(1)臨時国会召集
(2)スリランカ・ピーリス外務大臣及びラージャパクサ経済開発大臣との会談
(3)対スーダン緊急無償資金協力
○米軍再編問題
○北方領土問題
○スリランカ北部地域への入域制限の廃止
○広島における平和祈念式典
○竹島問題
○民主党代表選挙
○イラン情勢
○ねじれ国会
(1)臨時国会召集
【岡田大臣】まず、先ほど天皇陛下のご臨席をいただき、国会開会式が行われました。今回は短い期間ではありますが、参議院選挙によって参議院の構成が変わった後の初めての国会であるということで、しっかりと気を引き締めて頑張りたいと思います。外交案件は幸いにして全会一致ということが、条約案などの審議で多いわけでありますが、丁寧に、そして与野党での話し合いということをしっかりと行っていく中で、充実した国会審議を経た上でさまざまな条約案や法案が可決されることを期待したいと思います。私(大臣)の方もできる限り、与党だけではなくて、野党の皆さんに対しても、さまざまな説明など時間を割いて丁寧に進めていきたいと考えているところです。
(2)スリランカ・ピーリス外務大臣及びラージャパクサ経済開発大臣との会談
【大臣】2番目ですが、昨日、スリランカのピーリス外相、それから、ラージャパクサ経済開発相と会談を行いました。全体で2時間強ありましたので、いろいろな話し合いができたわけでありますが、私(大臣)からは、内戦末期になされたとされる人権侵害の問題について、まずどのように対応していくかということについて、かなり意見交換を突っ込んでやりとりを行いました。その過程で問題になったのは、国連のパネルといいますか、一時期、国連との対立状況もありましたので、そこのところについて、彼らが自分自身の努力としてやろうとしていることと、それに対して国連事務総長の下の3人の専門家といいますか、パネルがどういう役割を果たすのかということについて、意見交換を行ったところであります。この件に関して、もう一つは、最後まで紛争地であった北部へなかなかメディアとかNGOが入りにくいということについても意見交換をいたしました。その前に2人はジャパン・プラットフォームとも意見交換をしておられたということですが、ジャパン・プラットフォームに属するようなNGOであれば、そういう制限はしないということでありましたので、そういう意味では多くの日本のNGOは入ることができるのかなと思いますが、そういったNGOの力も是非活用して、国内避難民の生活の保証といいますか、改善といったことにしっかりと取組んでもらいたいということを申し上げました。
メディアに関しても、もちろん日本のメディアも含めて、既に入っているメディアもありますが、より改善を求めたいということで、両大臣の方から日本のメディアを含む外国メディアについて、多くの取材の機会を与えることについてよりオープンにやりたいということでありました。とはいえ、許可制ではありますが、その許可に当たって、いろいろな条件を付けることなく対応するということについて、両大臣は非常に前向きな対応をされましたので、また皆さんの中でスリランカの北部の現状について実際に取材をするということをしていただければ、そのメディアを通じて国民にも現状が正しく伝わるということです。どういう現状かということは、私(大臣)は申し上げませんが、私(大臣)からは、そういったことで国民がきちんと理解をするということが現状を理解し、本当に事態が改善しており、例えば、国内避難民の数がこれだけ減ったとか、生活がこれだけ安定したということは、言葉で語ってもなかなかわからないわけで、現実にそういったことがメディアを通じて伝えられれば、我々としても本格的な援助がし易いということを申し上げたところであります。もし、皆さんの方でそういうご希望があって、そしてスリランカ政府との間の話し合いが上手くいかないということであれば、外務省としても働きかけをしっかりと行っていきたいと思っております。
(3)対スーダン緊急無償資金協力
【大臣】3番目はスーダンへの緊急無償の問題で、本日の閣議で発言をいたしました。来年1月に行われる予定の住民投票の実施を支援するために、UNDPを通じて約817万ドル、7億6800万円の緊急無償資金協力を行うこととしたということでございます。この住民投票は皆さんご案内のように、2005年の包括和平合意の履行の最終段階に当たるものであります。その重要性にかんがみて、円滑な住民投票、公正かつ円滑な実施を支援するためのものでございます。本日の閣議で、そのことについて発言をさせていただきました。
米軍再編問題
【琉球新報 滝本記者】昨日、沖縄の普天間の飛行場をめぐる爆音訴訟というものの控訴審判決が出まして、そちらの中で一審では認めていなかった低周波という、ヘリコプター特有の低周波の健康被害の認容も盛り込まれました。従来、危険性の除去ということで一刻も早い移設完了ということですけれども、現状にある危険性、あるいは騒音被害ということに、普天間の危険性除去ということの文脈で、今、まずしなければいけないということがやはり直近にあるのではないのかなと思います。そういうことについて、現状、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】判決が出たことは重く受け止めなければいけないと思います。そして、そういう騒音の被害というものを軽減するために、米軍と、米側との話し合いについてもしっかりと行っていきたいと思います。日米合意の中にも騒音の軽減ということも含まれております。しっかりと米国政府側と話し合いを行っていきたい。日米合同委員会もありますが、そこで前進しない、十分でないものについては、私(大臣)のレベルでもしっかりと話をしていきたいと思っております。判決が出ましたので、改めてこれを機会に、どこかの機会でルース大使とも話し合ってみたいと思っております。
【TBS 樋口記者】普天間関連でお聞きします。繰り返しこの場でも質問に出ているように、8月末までの専門家の協議を終えて、その後、2+2ということは既に決まっていて、ずっとこれからも普天間問題についての日米との、あるいは国内での調整が続くと思いますけれども、そこにおける11月の知事選の位置づけを大臣はどのようにとらえていらっしゃいますか。
【大臣】日米合意の中に何か知事選のことが書いてあるわけではありませんし、前提にしているわけではありません。日米の話し合いは話し合いとして、しっかりと決められた8月末、それから2+2は速やかに行われるように努力していきたいと思います。
【琉球新報 滝本記者】普天間関連で今、質問が出たことにも関連するのですが、地元の沖縄の理解を得るべくということを常に大臣も仰っておられて、いよいよ福山官房副長官が沖縄に来月にも行かれて、沖縄との対話スタートかというような報道もあります。沖縄との対話ということが8月末の日米合意までにスタートすべきということになっているのかどうかということと、沖縄との対話はどのように進めていくべきだと大臣はお思いになりますでしょうか。
【大臣】特に負担を緩和するための、日米合意の中にも出てくるさまざまな項目について、沖縄の意見もよく聞かなければなりません。先ほどの騒音の問題もその一つでありますが、そういうことについて、今でもワーキング・グループというのですか、ワーキング・チームでしたか、そういったレベルでの話し合う場はありますけれども、もう少しきちんと、そういった沖縄の声を受け止める場ができないものかと思っておりますので、今、政府の中でいろいろ議論を行っているところです。
【琉球新報 滝本記者】確認です。今おっしゃられたワーキング・チームというものは、大臣、どのことを指しておられるのでしょうか。沖縄県知事と政府とが参加してやる協議会とかという意味でしょうか。
【大臣】知事レベルではなくて、部長レベルのものです。
【琉球新報 滝本記者】地元も参加しているものですか。
【大臣】はい。沖縄で行っているものです。
【琉球新報 滝本記者】普天間の件ですか。
【大臣】普天間というより、沖縄の基地全体の問題についてです。
【琉球新報 滝本記者】それは外務省も入ってのワーキング・チームのことですか。
【大臣】そうです。
【琉球新報 滝本記者】わかりました。ありがとうございます。
【NHK 市原記者】専門家の協議が8月末まで進められている中で、来週には審議官級の協議も行われるということが伝えられていますけれども、このタイミングでの審議官協議では、どのようなことに重点を置いて話し合われることを期待されていますか。
【大臣】そういう中身の、途中の問題はお答えできませんので、8月末を目指してしっかりと議論していきたいと思います。8月末までには、位置とか工法とか、そこに書かれたとおりですが、そういったことについて議論を、前回は課長レベルで、今回は審議官クラスで行っているところです。
北方領土問題
【北海道新聞 島田記者】北方領土に関してお願いします。先日、一部報道で、択捉島に日本人がロシアのビザを取得して、商用で択捉島に渡航したという話がありまして、実は私、その社長に取材をしたところ、その事実を認めた上で、他にも多くの、例えば水産加工技術の指導とか、魚の買いつけなどで行っているビジネスマンが日本から沢山行っているというお話をされていました。現実的に、そういう日本人がかなり行っているようなのですけれども、その点を大臣はどのような形で把握しているかということが一点。あと、これはやはりロシア側の実効支配を強めることにもなりかねないと思うのですが、こういう点について調査などをする考えなどはおありかということをお願いします。
【大臣】まず、そういう報道があったことは承知しております。そして、それが事実であれば極めて遺憾。当該日本企業に対して厳重に抗議をする必要があると考えております。同時に、事業の関与の即時中止を求めたいと思っております。外務省としても連絡を取ろうと努力しておりますが、なかなかつかまらないというのが本日の昼頃までの現状であります。すなわち、当該業務の具体的内容、それから、対応などを見ますと、あたかも北方領土に対するロシア連邦の管轄下を前提としたかのごときものがあるとすれば、これは北方領土に関する我が国の立場と相入れないということであります。我が国国民がロシア連邦の出入国手続に従うことを始めとして、ロシア連邦の不法占拠の下で我が国国民が北方四島へ入域することは、あたかもロシアの領土であるがごとく入域することになるということで、これは平成元年9月19日の閣議了解に反するものということでございます。
【北海道新聞 島田記者】その当該の方の調査は、今、確認中ということですけれども、具体的に調査などをされたり、するべきだというお考えなどはありますでしょうか。
【大臣】事実をよく把握する必要があると思います。ですから、他にもあるという情報があるのであれば、その実態について調べてみる必要があるということです。少なくとも注意喚起をしっかりと行う、つまり、閣議了解というものがあって、それに反するということを十分に周知徹底する必要があると思います。
スリランカ北部地域への入域制限の廃止
【日本インターネット新聞 田中記者】大臣が冒頭に仰られましたスリランカの日本メディア、許可制でなく入れるようにする。
【大臣】いや、許可制だけれども、そのときにいろいろな条件を付けて、事実上、入れないということはないようにするということです。
【日本インターネット新聞 田中記者】ということですが、私、このスリランカの北部地域、過去2度ほど入って、民宿のようなところに泊まりながら、ずっとタミルの方々の生活を見て歩いたので、今度、もし入れるようであれば、どこがどう変わって、国内避難民がどうなっているとか、元に戻れなくなっているのか、一目瞭然わかるのですが、問題は、検問所を通るときに、いろいろ言っても、現場でいろいろへっちゃくれをつけられて、通してもらえないこととかがあるのですが、そうならないように、事前に大使館ルートで調整していただけるとか、何らかジャーナリストが入る場合、バックアップみたいなことはしてくださるのでしょうか。
【大臣】すべてのジャーナリストということなのかどうかです。相手側もいろいろな考え方があると思いますが、昨日の話し合いで日本のメディアについてはということで、両大臣は言っておられましたので、大使館としても努力したいと思います。
【日本インターネット新聞 田中記者】では、日本インターネット新聞社が入りたいといった場合はどうなりますでしょうか。
【大臣】ですから、すべてのということでは必ずしもないかもしれませんが、しかし、ここに出ている田中さんであれば、しっかり活動できるようにバックアップします。
【日本インターネット新聞 田中記者】ありがとうございます。
広島における平和祈念式典
【毎日新聞 西岡記者】広島の祈念式典に潘基文国連事務総長や、ルース米国大使が参加されることについて、核軍縮や核不拡散を重点課題に掲げられる大臣としては、これをどのように評価なさるのか、そこをお聞かせください。
【大臣】それは大変歓迎すべきことであると思います。同時に、潘基文事務総長は、式典においてご発言もあると私(大臣)は承知しておりますが、そこで是非、率直に語っていただきたいということを期待しております。ルース大使も、米国大使として初めてこういう形で、いろいろな議論が米国政府の中にもあるかもしれませんが、そういう中でご出席いただくことは大変嬉しいことであります。
【中国新聞 岡田記者】関連して、今回、ルース大使が初めて米国代表としていらっしゃるということで、被爆地が求めているオバマ大統領の被爆地訪問について、いい影響があるのかどうかというのをお聞かせいただけますか。
【大臣】これは、基本的に日本が決めることではなくて米国政府がお決めになることなので、あまり日本政府、あるいは外務大臣である私(大臣)がそれに対してコメントするのはどうかと思います。まず、大きな第一歩が記されるわけですから、大使が来られるということで、その次のステップについて、我々も静かに期待をしたいと思います。しかし、最終的に決めるのは米国側であるということだと思います。
【毎日新聞 吉永記者】今の広島の関連ですけれども、大臣は今度、国連総会の時期に、非核国の外相などが集まって会議を開きたいと、日本などがある程度主導権を取っていく形で進めたいと(いうことですが)、今回の潘基文国連事務総長とか、もしくはルース大使が、米英仏という今まで参加しなかった国々が来たということは、どのような影響があるというか、効果があると思いますか。
【大臣】まず、国連を代表して潘基文事務総長が来られるということですから、国連の核廃絶に向けての取組み、核軍縮・不拡散といったことについて非常に追い風になると思っております。もちろん、潘基文事務総長は、もともと核の問題に熱心に今までも取り組んでこられましたので、そのことがより世界中に伝わるということは、世界全体の核軍縮・不拡散の動きを後押しするものであると思っております。フランスや米国の代表が来ていただくということも、これは核を自ら持っている、持っていないにかかわらず、やはり「核なき世界を目指す」というのは、世界共通の課題であるということを表していると思っております。
竹島問題
【フリーランス 安積氏】竹島問題についてお伺いします。韓国では簿班海洋公安庁が外国人大学生を対象に独島一日名誉灯台長体験ツアーのようなものを実施しているそうです。これは韓国が竹島を実効支配しているということを海外にアピールする一策だと思うのですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【大臣】竹島を巡るさまざまな問題については、従来から日本の考え方を伝えているところであります。それ以上、具体的なことは、私(大臣)はこの場で申し上げるつもりはありませんが、日本政府の主張というものはしっかりと伝えております。
【フリーランス 安積氏】先ほども具体的に仰らないということでしたけれども、国会の方でも質問主意書を出しても具体的な返答が政府の答弁で返って来てないということですけれども、国民にとっては、日本国政府がいつ、どのように韓国に対して竹島の領有を主張しているのかということは非常に関心事であるとは思うのですが、これについて公開されるというおつもりはあるのでしょうか。
【大臣】外交交渉の詳細について、いちいちは語らないということは今の野党が与党の時から行ってきたことであります。
【共同通信 斎藤記者】今の件で確認ですが、民主党が野党時代だったときから当時の自民党与党がやってきたという趣旨でご発言されたのでしょうか。そのくくりでお伺いしたいのですが、例えば、北方領土は我が国固有の領土であるが争いのある領土として、これまで大臣もぶら下がりであるとか、ブリーフであるとか、ときにはラブロフ・ロシア外相とのやりとりで、直接的な表現は避けながらも相当正確に趣旨をご説明されてきたことを、私自身も同行していましたから、よく記憶しています。やはり、竹島の扱いについては若干違うようにも受け止められるのですが、大臣ご本人としては北方領土、竹島いずれも同等に扱っている、同等に発表するときは発表し、同等に発表しないときは発表しないという位置づけで対応されているのでしょうか。
【大臣】基本的には同じ次元の問題だと考えますが、あとは具体的な場合に則して考えていかなければいけないということです。先ほどの北方領土の、日本人があたかもロシアの領土であることを前提にしたかのような手続きを経て入るということは、これは日本人自身の行動の問題ですから、そのことに対して、これは閣議了解に反すると我々は申し上げるわけです。それは状況によって対応が変わるということです。
【共同通信 斎藤記者】防衛白書の発表時期を政府が先送りしたと報道された件について、菅総理自らもコメントされていますので、これは一つの決着と言えるのかもしれませんが、大臣ご自身は今回の件について、何が原因であって、それに対してご自身どう考えられているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
【大臣】この点は既に官房長官も会見でお話になっていますので、それに尽きると考えております。それに加えることは特にございません。
民主党代表選挙
【NHK 石井記者】昨日、民主党の両院総会が行われました。執行部批判等いろいろ出たかと思いますが、菅総理大臣は次の代表選にも出られるということを事実上表明されましたが、代表選に関して「選挙になるべきだ」という意見もありますが、岡田大臣はどうあるべきだと思いますか、また、大臣ご自身は立候補するお考えはありますでしょうか。
【大臣】代表選という仕組みがある訳ですから、それをどうあるべきかということを言うべきではないと思います。自然体で行われるということだと思います。候補者が他にも出てくれば選挙になるし、それがいけないということではないと思います。多くの党員サポーターもいらっしゃる訳ですから、我々がやるべきだとか、やるべきでないと、そういうことを言う立場にはございません。私(大臣)がどうするかということは、既に昨日のテレビ(収録)でも申し上げたとおりです。それに加えることはございません。
【日本テレビ 野口記者】先程、昨日テレビでご発言されたと仰いましたが、もう一度この場で代表選に関してどういったお考えなのかということをお聞かせ願いたいというのがまず一つ。そして、菅総理が出馬を表明されました。その菅総理の支持にも絡んでくるお話しになると思いますが、菅総理をもし支持されるのであれば、その理由も含めてお願いいたします。
【大臣】私(大臣)が申し上げたことは、総理大臣がそう短期間に代わるということは、日本の国益を損なうということで、やはり、ある程度長くやることが必要であるということを申し上げたところです。
イラン情勢
【共同通信 斎藤記者】EUが独自の対イラン追加経済制裁をまとめて、既に発表しました。米国は米国で既に独自でやっておりますが、日本も今、安全保障理事会の内容に基づいて作業を進めていると理解をしております。日本としては、米国、EUそれぞれが、それぞれのメニューを出してくる中で、どういう形で、どういうバランスをとるのか、そして今後の対イラン関係をどう進めていくのか、これについてお願いします。
【大臣】追加的な措置については、現在作業中です。EU側も実際に実行に移されるのは多少時間がまだかかると理解しています。そういったEUや米国の措置について正確に把握をしながら、日本としてどういったことが取り得るのか、これはもちろん国内の企業、あるいは個人にも影響があり得る問題ですから、そういうことを総合判断しながら、そう時間をかけずに日本の対応というものを明らかにしたいと考えております。
【日経BP社 森記者】日本の石油会社は原油の取引について、円の決済を認める方向にシフトしているようですが、その点はどのように評価をされていますか。実際に対応する場合に円の決済を認めないということも検討されているのでしょうか。
【大臣】対応の中身は発表の時に説明申し上げたいと思います。
【共同通信 西野記者】イランのモッタキ外相とは、岡田大臣は就任されてから何度もお会いになられて。
【大臣】4回ですかね。
【共同通信 西野記者】私どももモッタキさんという人のことを知ったかのような気になっているのですが。さて、直近にお会いした時に、いわゆるウラン濃縮の20%濃縮の関係で、いろいろな前提をつけながらもブラジルとトルコの仲介案みたいなものについて前向きなことは言っていたのでしょうか。実は外電で、「20%濃縮はやめてもいい」というようなことを示唆し、米側も話し合いに前向きなコメントをしている状況なので、改めてお聞きしたいと思います。
【大臣】その外電をまだ私(大臣)は承知しておりませんけれど、この前カブールでモッタキ外相と会いまして、話しの中身はあまり従来、前回と変わらなかった訳ですが、ブラジル、トルコと合意したテヘラン合意の実施については、私(大臣)は、それはもちろんいろいろな前提がつきますが、そういった国際社会の理解を得ながら進めてもらいたいと申し上げました。それに対して否定的な反応はありませんでした。ですから、イランは基本的にそれを進めるという気持ちを未だにきちんと持っているというように私(大臣)は理解をしております。そして、もう一つは、それがきちんとできるのなら、20% 濃縮するということは必要がないではないかという形で、「医療用の濃縮されて加工されたものが手に入る訳ですから」というように申し上げた訳ですが、そこは残念ながら、今言われたような、そういうものはやめるとか、それを示唆するとか、そういう発言は、私(大臣)に対してはありませんでした。
【NHK 市原記者】米国の国務省がイランと北朝鮮への制裁強化に向けた連携を呼びかけるために、日本と韓国へそれぞれ担当の特別顧問と財務省の次官補代理を送るということを発表しましたけれども、この呼びかけに対しては日本としてはどのように対応するお考えでしょうか。
【大臣】日本としては、北朝鮮には追加措置をやる余地が少ないのですが、そういう中で既に追加措置を発表しております。イランに対しては、先程申し上げたように今、検討しているところです。米国政府ともよくコミュニケーションをとって、お互い連絡をよくしながら、協力しながら進めていくというのが日本政府の基本的なポジションです。
ねじれ国会
【東京新聞 竹内記者】冒頭ご発言になりましたように、本日臨時国会が招集されまして、再びねじれ国会になりました。ねじれの解消法として、仙谷官房長官からも言及がありましたし、自民党の一部からも出ているのですが、「大連立」ということが最近よく話題には上ります。「大連立」というものについて、一般論で結構ですので、大臣のお考えを改めてお聞かせ願いたいと思います。
【大臣】これは軽々しく言う話ではないと思います。具体的にそういう話し合いがなされているというように私(大臣)は全く承知しておりませんし、可能性があるというようにも承知しておりませんので、仮定の質問にあまり答えるのはいかがなものかと思います。いずれにしても、国会を少し動かしてみて、そういう中でお互い話し合いで前に進めることができるのか、できないのか、できない時にではどうするのかというのはいくつかの選択肢があると思いますが、そういうことは総理を中心に党の方でよく考えていくということだと思います。私(大臣)も必要があれば総理や幹事長に意見を申し上げることはあるかも知れませんが、こういう場であまりフラットにお話しすることではないと思っています。