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2010.09.10|記者会見

外務大臣会見記録(平成22年9月10日)

外務大臣会見記録(平成22年9月10日(金曜日)16時30分~ 於:本省会見室)

○冒頭発言
(1)国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)への国際平和協力隊の派遣について
(2)尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案について
○尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案
○米軍再編問題
○竹島問題(防衛白書の公表)
○沖縄政策協議会の開催
○日本振興銀行の破たん
○外務大臣就任1年目の評価
○離島の国有化計画
○鈴木宗男議員の上告棄却
○日米地位協定の改定

冒頭発言
(1)国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)への国際平和協力隊の派遣について

【岡田大臣】それでは、私(大臣)からは2点。
 第一点は、本日の閣議で東ティモールの国際平和協力法に基づくUNMITへの軍事連絡要員として、自衛官2名を派遣することに関して、私(大臣)からも発言をいたしました。
 東ティモールの平和と安定は、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要です。こうした観点から我が国は、同国独立前から自衛隊、文民警察、選挙監視団の派遣や総額250億円以上の経済協力の実施など、同国の国造りに積極的に貢献してきており、同国関係者からも高く評価されています。
 今回、UNMITへ軍事連絡要員を派遣することは、同国の国づくりへのさらなる貢献になるとともに、我が国の平和構築分野での貢献に関する国際社会の評価を一層高めるものとなります。今後とも我が国は国際社会と協力し、東ティモールの平和と安定に向けて、積極的に取り組んでいく所存であります。こういう趣旨の発言を行ったところであります。

(2)尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案について

【大臣】もう一点は、尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案に関しまして、7日に発生した尖閣諸島周辺我が国領海内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案につきましては、これまでも我が方より本件事案の発生は極めて遺憾であること、また、再発防止のための中国漁船への指導・監督の徹底を累次強く申し入れてきたところであります。こうした中で、中国国内において我が国巡視船が中国漁船に衝突させたとの報道がなされておりますが、これは事実に反します。巡視船の損傷を見れば明らかであります。そういった報道がなされていることは極めて遺憾であります。我が国としては事態をこれ以上エスカレートすることは望んでおらず、中国が冷静かつ慎重に対応することを求めたいと考えております。

尖閣諸島周辺領域内における我が国巡視船と中国漁船の接触事案
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】2004年に7名の中国の活動家が尖閣諸島に上陸しました。あの時はすぐ釈放されたのですけれども、今度は送検されました。どうしてなのかというと、やはり民主党政権は尖閣諸島問題に対して民主党はより強硬という感じがあります。これについて大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

【大臣】この問題は政権がどうのこうのということではありません。法に照らして粛々と必要な措置をとっていくということです。

【日経新聞 山内記者】本日ですが、揚潔チ外相が丹羽大使を呼び出されて抗議されたということがありますけれども、これについて大臣のお考えと、何かこれに対する対応があれば教えてください。

【大臣】大使が外相に呼ばれてということは承知しております。我が方の考え方は先ほど申し上げましたように、そもそも我が国巡視船が中国漁船に追突させたという報道も含めて、事実に反することであるし、我が国領海内における公務執行の事実があったので、法に基づいて粛々と対応しているということであります。
 そういう観点からすると、そういった、外相が大使を呼ばれたということは、我々の判断からすると遺憾なことだと思いますが、それはそれとして我が国としては冷静に対応したいと考えています。

米軍再編問題
【共同通信 比嘉記者】普天間飛行場の移設問題に関連して伺います。
大臣は昨日の国会の委員会で、飛行経路について自民党政権時代に説明してきた台形型の飛行経路と、米側の認識との違いについて述べられたのと、オスプレイの配備の可能性にも触れられて、それによっても飛行経路が変わるかもしれないというお話をされましたが、そもそも確認ですけれども、飛行経路が日本と米国で異なってくるというのは、オスプレイが配備される可能性があるから異なってくるのでしょうか。それともオスプレイが配備されなくても日米では違いがあるのでしょうか。

【大臣】事実関係ははっきりしないのですが、オスプレイの問題だけではないと思います。日本としては台形で日米が共通の認識だと考えていたわけですが、必ずしも米国はそうではないということであります。そのことに加えてオスプレイの配備ということになれば、また新しい要素も加わりますから、更に変わってくることになると思います。

【共同通信 比嘉記者】日本側が台形と説明してきていたのに対して、米側が別の認識を示しているという違いというのは、どこから生まれているのでしょうか。

【大臣】そこは実は余りはっきりいたしません。日本側としては、やはり住民への影響が最小限であるようにということで、ぎりぎりの線引きを行ったと思われます。これは旧政権の自民党、あるいは自公政権の時代でありますので、詳細は私(大臣)も承知していないのですけれども、米国側がより安全を見て、運用上の必要性ということで、違う考え方を持っていたのかなと思います。
 ただ、一旦合意したという話も聞いておりますので、その辺の詳細は、実はよくわからないというのが率直なところです。それを詰めてみても、恐らく双方の言い分が違う以上、ひとつの答えにはならないのかなと思っております。そういう日米の認識が違うということも含めて、きちんと国民に正直に申し上げて、そして米国側の運用上の必要性と、それから新しいオスプレイを配備するということであれば、そのことも加味し、同時にまだ住民への影響が極力少ないと。どういう線引きになるのかというのは、これから飛行経路について両国で話し合い、そして合意ができたところできちんと国民に説明することが重要だと思っております。
 オスプレイが配備される可能性があるにもかかわらず、国が言ってこないからないのだとか、そういう言い方は、私(大臣)は望ましくないと考えております。

【琉球新報 滝本記者】今のオスプレイの件に関連して、国防総省の報道官の方が、日本に配備する計画で、日本側にも伝えてあるという発表というか、オンで話をされていましたけれども、日本側が連絡を受けていらっしゃるのか。受けているとすれば、何年からどこに配備するのかというお話になっているのかということをお伺いしたいです。

【大臣】まだ私(大臣)は承知しておりません。ただ、私(大臣)がその前からオスプレイの配備の可能性ということを申し上げているのは、米軍が次第にヘリをオスプレイに置き換えているという事実を見れば、日本においてもそうなる可能性が高いということで申し上げてまいりました。
 今回のご指摘の発言については、どういうようにそれをとらえるべきかということですが、国防省のモレル報道官も、いつ、どこに、どのように配備するかは今後決定される事項であると発言しておりますので、どういう形で、恐らく具体的なことは言っていない。配備される可能性、あるいは配備されるということをどこかのレベルで言われたと思いますが、詳細は私(大臣)も承知しておりません。

【時事通信 水島記者】オスプレイについては、開発段階で事故が相次いだということで、特に沖縄では安全性への懸念というのが強いと思うのですが、大臣が把握していらっしゃる範囲で、オスプレイの安全性の問題というのはどのようなものなのでしょうか。

【大臣】それもこれから配備をされるということであれば、議論になるのだろうと思います。しかし、開発された当初は、事故が数多く起きたということは承知しておりますが、最近そういうように安全性に問題があるとは、必ずしも承知をしておりません。そもそも安全性に非常に問題があるのであれば、それほど積極的に配備されることはないだろうと思いますが、実際に配備をされるということが正式に決まるということであれば、そういうことについてもよく確認をしてみたいと思います。

【時事通信 高橋記者】大臣は昨日の委員会でも、今の会見でも、オスプレイ問題は旧政権の対応について、言ってこないからないというのはよくないと。このオスプレイの問題は、密約の問題と違って、リアルタイムの問題でして、つまり民主党政権にとっても1年になっていますし、5月の合意の後に専門家協議というものをまさにして、リアルタイムの問題なわけです。ですから、民主党政権が米国に対してどうなっているのだと問いただして、そして地元にも(説明)する責任が既にあると思うのですけれども、現政権の責任についてはどうお考えですか。

【大臣】私(大臣)が申し上げたのは、オスプレイについて問題になったときに、そういう対応をしてきたことはよくないと申し上げたわけで、今の民主党政権になって、同じような対応をしているわけではありません。オスプレイについて、米国が言ってこないから、それはないのだという言い方はしていないはずであります。
 それ以上のことは、本日の報道官の話にもありますが、どのレベルで、どのぐらい煮詰まった話なのかということは、よく聞いてみたいと思います。しかし、常識で見て、可能性は高いということは、私(大臣)そう思いますし、そういうように申し上げているわけでございます。

【朝日新聞 鶴岡記者】オスプレイの、最初の質問の飛行ルートについての確認ですけれども、8月末までの専門家検討では、飛行ルートについて、オスプレイの配備も米国から伝えられて協議をしていたのでしょうか。あるいは通常のヘリに限定した飛行ルートだけを協議していたのでしょうか。

【大臣】私(大臣)は専門家会合の詳細を承知しているわけではありませんが、米国の述べた飛行ルート、つまり台形ではないということの理由の一つにオスプレイの話が、その可能性があったというように聞いております。それが明示的に、そのことが触れられたかどうかというのは必ずしもはっきりしておりません。かつ、それだけではないと。米国の台形ではない飛行ルートというものは、オスプレイの話だけではないというように聞いております。
 つまり、これは運用上、どこまで余地を取るかという話と、それから、住民への影響を最小限にするかという、その中での線引きの話でありますので、米国側としては運用上の余地をなるべく確保したいということで、今までの台形ではない案を、従来からそう主張していたのかもしれませんが、今回、日本の台形案で合意していないという言い方で言ってきたというように考えるべきであると思います。

【琉球新報 滝本記者】先ほどの大臣のご発言で、高橋さんの質問での、民主党政権になってからの責任という議論の中で、民主党政権の中でそういう議論にならなかったから、オスプレイが問題にならなかったから、そもそも浮上していなかったんだという趣旨の話でお伺いしましたけれども、ただ、沖縄の方では、このオスプレイの配備については、環境アセスの中にそもそもオスプレイの記載がないということで、ずっと、この環境アセスが欠陥ではないかということの指摘が民主党政権になってからもずっと続いてきていて、そういう声があったことは、大臣がそこをご承知ないと言われればそれまでかもしれませんが、その問題点の指摘はずっと沖縄側から上がっていたはずではあるのですけれども、そこの部分を踏まえても、民主党政権の中でそもそもオスプレイが問題になっていないというご認識でいらっしゃるのでしょうか。

【大臣】具体的な環境アセスというのは辺野古沖の合意された案についての環境アセスの話でありますから、そこをそもそもどうするかということをこの1年間、議論してきたわけですから、日米で旧政権時代に合意した辺野古沖への移設でいいということであれば、それについて何か説明する必要はあると思いますけれども、そもそも、そこの議論をしているときに、それを前提にしたオスプレイの飛行ルートの話をする、あるいはオスプレイが入ってきたらまた変わるとか、変わらないとか、そういう議論はする余地がなかったと言うべきであると私(大臣)は思います。

竹島問題(防衛白書の公表)
【AP通信 湯浅記者】竹島問題ですけれども、本日の防衛白書の竹島の明記のことについて、先ほど韓国の政府が強い遺感と、日本政府に対する明記の撤回を要求したことについて、大臣の見解を教えていただけますでしょうか。

【大臣】これは従来と同じ表現であります。竹島については、日本国政府としては、従来の日本の領有権については主張しているわけで、しかも表現は昨年と何ら変わっていないわけですから、それ以上のことは申し上げようがないです。我が国固有の領土であるということは、従来から白書に書いているところでございます。

沖縄政策協議会の開催
【琉球新報 滝本記者】本日、沖縄政策協議会が午前中に開かれましたけれども、その中で、普天間移設については、当面協議しないと、現時点では協議しないというようなスタンスの中で始まっていますけれども、こちらは沖縄振興ということを中心に話していくということが示されていますけれども、その基地負担の軽減という部会が新たに設けられて、その中で、普天間の現状の危険性除去ということも話し合われていくのかなとも思うのですけれども、その延長には、やはり日本政府としては、危険性の除去というのは、代替施設の建設によって危険性除去を図るというスタンスでやる流れの中では、やはり普天間移設ということも今後政策協議会の中で話をして、沖縄の理解を求めていくというスタンスになるのかなと思うのですけれども、その辺は大臣はどのようにお考えでしょうか。

【大臣】私(大臣)の考えは特にございません。官房長官が発表されたとおりです。

日本振興銀行の破たん
【時事通信 高橋記者】本日、日本振興銀行が破たんいたしまして、これについて、小泉政権時代の小泉・竹中路線の弊害ではないかというような見方も出ておるようですけれども、外務大臣としてというよりも、元民主党の代表経験者として、かつて小泉政権と対峙されたご経験から、どのように見ていらっしゃるのかというのをお聞きしたいと思います。

【大臣】なかなか難しいご質問ですけれども、ただ、銀行が破たんしたというのは、やはり経営の問題、あるいは銀行そのものの制度設計というか、そういうものもあったかもしれませんが、小泉路線、あるいは小泉・竹中路線なるものが一体何なのかということにもよると思いますが、それに直接結び付けるだけの根拠は、私(大臣)は持ち合わせておりません。もちろん、竹中氏と非常に近かった人物が、事実上の創始者であり、経営にもタッチしていたわけですけれども、そのことをもって小泉・竹中路線の間違いであるとまでは言うつもりは、私(大臣)は特にございません。

外務大臣就任1年目の評価
【毎日新聞 西岡記者】民主党政権になって、間もなく1年が過ぎようとしていますが、この1年間を振り返りになられて、外務大臣としての自己評価というものをお聞かせ願えないでしょうか。

【大臣】私(大臣)なりにやれることは精いっぱいやってきたと思います。いろいろなことに取り組んでまいりましたけれども、これ以上やれと言われても、多分私(大臣)の能力では精一杯やってきたと思っております。外務省の皆さんも一生懸命にサポートしていただいたし、ぎくしゃくすることはしょっちゅうですけれども、しかし、全体として見れば、全員野球で外交に取り組んでくることができたのではないかと思っております。

離島の国有化計画
【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】日本政府は2011年3月までに25の離島を国有化する計画があります。これは日本外務省に関係しているかどうかわからないのですけれど、関係があれば尖閣諸島も含めて25の離島について、私の知る限り尖閣諸島は今、埼玉県の栗原氏の個人の財産ですけれど、他の国有化したい離島は、地方自治体の財産ですか、個人の財産ですか、答えていただきませんか。

【大臣】私(大臣)は承知しておりません。それは事実関係ですから、私(大臣)ではなくて事務方に聞いていただければと思います。国土交通省に聞いていただければ、はっきりすると思います。

【グローバル・チャイニーズ・プレス チャン記者】これは国土交通省に関係しているのですか。この問題について、どちらの省庁に照会すればいいですか。

【大臣】もちろん、政府全体ですが、考え方としては国土交通省だと私(大臣)は理解しておりますが。

鈴木宗男議員の上告棄却
【週刊金曜日 伊田記者】鈴木宗男衆議院外務委員長が、最高裁で上告の棄却の決定がでたことについて、外交上どのような影響があるかについてお聞きしたいと思います。棄却という決定が出た一方で、本日、厚生労働省の元局長の村木さんに対する無罪判決に象徴されるように、かなり検察の無理な調書重視の推理ありきの取り調べがあったのではないかと、それは鈴木さんにもあてはまるのではないかというような報道も見られます。ご本人によると、ロシアの知人等からもだいぶ激励の電話等がかかってきているというようにも伺っていますけれども、この一件が外交上どのような影響があるのかということについて、岡田大臣のお考えをお聞かせ下さい。

【大臣】鈴木さんは委員長として今まで活躍して来られましたし、委員長の立場ということも含めて、かなり頻繁に海外に出ておられましたので、そういう意味では外交上の影響がないわけではございません。ただ、最高裁において一つの判断が下されたということであれば、それは当然尊重されるべきであると考えております。昨日も申し上げましたけれども、その可能性があるという方を公職と言いますか、外務委員会の委員長にしたということは、私(大臣)も賛成した一人でありますが、やはり残念なことであったと、国会の権威という観点からみても、それは本来避けるべきことであったというように思っております。村木さんについては、無罪の判決が出たことは非常に喜ばしいことだと思います。私(大臣)も知らない人ではありませんし。これからどうなるかわかりませんが、何故そういった無理な捜査が行われたのかということについては私(大臣)も非常に関心を持っているところでございます。

日米地位協定の改定
【週刊金曜日 伊田記者】そういった無理な取り調べが行われる可能性があるということ、つまり、日本の捜査のあり方、この辺りに対する諸外国、特に米国からの見方が日米地位協定などの改定を妨げる要因になっているというようなお考えはありますでしょうか。つまり、日本側の捜査権の話ですけれども、そういうようにすぐに日本側に身柄を渡すと無理な捜査が行われてしまうのではないかというような懸念が米国側にあることによって、日米地位協定の改定が遅れているのではないかという見方に対しては、どのようにお考えでしょうか。

【大臣】そういう見方は初めて聞きましたけれども、私(大臣)は基本的に司法というのはきちんと機能していると思います。もちろん、検察に行き過ぎがあることもありますが、最終的には判決という形で裁判所の判断で是正されると考えておりますので、今の日本の司法制度に対して、私(大臣)は基本的に信頼を置いているということを申し上げておきたいと思います。ただ、検察のいろいろな取り調べの中で行き過ぎがあるとすれば、それは可視化ということの必要性、これは民主党としてはそのことを主張しているわけです、そのことをより強く認識させるものであると思っています。




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