民主党幹事長としての記者会見(3月22日)
岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年3月22日(火)16時00分~16時30分
編集・発行/民主党幹事長室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
○「東北地方太平洋沖地震災害復旧・復興検討委員会」の設置について
〇産経新聞の報道について
○各党間での協議について
■質疑
○復旧・復興検討委員会について
○国会審議について
○自民党への入閣要請について
○閣僚の増員について
○統一地方選挙について
○仙谷代表代行について
○補正予算について
○子ども手当のつなぎ法案について
○原子力行政の見直しについて
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■冒頭発言
○「東北地方太平洋沖地震災害復旧・復興検討委員会」の設置について
【幹事長】今日は党内の諸会議がありましたが、東北地方太平洋沖地震の対応につき
まして、先ほどの常任幹事会で「東北地方太平洋沖地震災害復旧・復興検討委員会」
の設置について承認されましたので、ご報告申し上げます。
今まで対策本部が当初の対応から始まって被災者支援のところまで重点的に行って
まいりました。今後の復旧・復興については、別途、先ほど言いました委員会を設け
て、そこで集中的に行うということであります。この委員会のもとに4つのチームを
設けることにしておりまして、役割としてまず立法、必要な法律をつくる。それから
補正予算をつくる。補正予算はまずは第1次ということになりますが、もう少し先も
見込んで歳出の見直しを行う。それから復興ビジョンをつくる。この4つのチームを
それぞれ動かしていきたいと考えているところであります。
もちろん、現時点で最も重要なことは被災者の支援であります。まだそちらが十分
行き渡っていないことは十分認識しながら、1つ先の復旧・復興についても今日から
取り組んでいくということです。明日、この委員会の第1回を開催したいと考えてい
るところであります。
〇産経新聞の報道について
【幹事長】この震災関係でいろいろな活動をしておりますが、今日の産経新聞に事実
に反する記事が出ましたので、そのことは正式に抗議を申し上げたいと考えておりま
す。私が発言していない発言を、伝聞という形であれ記載をしたということは、本来
は発言者にきちんと確認するという当然行うべきことをやらずに記事にしたことに対
して抗議をするとともに、党として、もし十分な対応がなければ対抗措置をとらざる
を得ないことも申し上げておきたいと思います。
○各党間での協議について
【幹事長】今日から参議院で予算委員会が再開されました。予算委員会の議論、それ
から今日もこれから行われますが各党・政府震災対策合同会議の実務者会合、いろい
ろな場で議論が行われているところであります。この実務者会合、それからその上の
合同会議、いずれも今までは、各党の意見をそれぞれ政府に対して言う、そして政府
がそれに対して答えるという、そういったことが中心になっておりましたが、そろそ
ろ各党間で議論をして、対策といいますか政策といいますか、そういうものを政府に
対して提言していく、そういう段階に入ってきたのかなと思っております。そういう
ことも含めて今後検討していきたいと考えております。
いずれにしても年度末を控えて予算関連法案、ほとんどのものはめどがついたわけ
ですが、子ども手当法案及び特例公債法案につきまして、なお各党間での協議を進め
ていきたいと考えているところであります。
■質疑
○復旧・復興検討委員会について
【読売新聞・中島記者】この委員会の「歳出見直し検討チーム」は、歳出の見直しを
するとなるとマニフェストの検証という部分にもかかってくると思うが、先にできて
いるマニフェストの検証委員会とどうリンクしていくのか。
【幹事長】マニフェスト検証委員会の議論よりは少し先行させて、そちらのチームの
議論を行いたいと考えております。歳出の見直し、歳出検討というときに、それはマ
ニフェストに書かれたものだけではありません。全体を見直していくことが必要にな
ります。自民党は、子ども手当、高速道路の無料化、高等学校授業料の無償化、そし
て(農家の)戸別所得補償、この4つを特に言うわけですが、それ以外にも例えば公
務員人件費をどう考えるのか、その前提として議員歳費とか、そういったものをどう
考えるのかということも当然議論の対象になりますし、公共事業予算とかそういった
ことも考えなくてはならないかもしれない。幅広く検討しなければならないと思って
おります。
高速道路の問題は党の中で議論してもらっていますが、いつかも申し上げたかもし
れませんが、無料化の実験に関しては1200億円ほどの予算があります。この全体
を見送るか、それとも私は東北地方の実験だけはきちんとやったほうがいいのではな
いかとも思っております。金額でいうと全体の2~3割であります。そういったこと
を最終的に党の中で意思決定しなければならないと思っております。
2兆円の問題につきましては、今年から新たにスタートすることにしておりました
平日の2000円というものについては見送る方向で、休日の1000円ということ
については、これも見送るという議論もありますが、今はそれを現にやっているわけ
ですから、少しそれを続けながら、次の本格的な補正までの間に休日1000円の扱
いをどうするか。自民党のほうは、これは継続すべきだと言っているかと思います
が、これをどうするか。それからその他の割引も夜間とかいろいろやっております。
それぞれ経緯があってでき上がっているものですが、そういうことについて全体、必
要性をきちんと見直す、その必要があると思います。
「見直す必要がある」というのは、やめるということではありません。きちんと検
証して、何を優先的に残していくのか、あるいはやめていくのかという議論をしなけ
ればならないと思っております。
【NHK・広内記者】それぞれのチームの座長が決まっていれば教えていただきたい
のと、また「復興ビジョン」というのはどのようなイメージか。
【幹事長】座長が決まっているのは法制の部分だけ。中川(正春)さんが担当してお
ります。
「復興ビジョン」というのは、単純に被災して機能しなくなったものをもとに戻す
ということではなくて、やはりもう少し大きな絵を描いて、新しい日本の、東北地方
をつくっていくということだと思います。日本全体の先行モデルになるような地域づ
くりができればと考えておりまして、そのためにきちんとビジョンを描いて、ほっと
くと各省庁が勝手にまたもとに戻すための予算を計上してしまうかもしれませんが、
もう少し大局観に立って地域づくりを、整合性を持って進めていく、そのためのビ
ジョンをつくるということです。
【世界日報・山本記者】特別立法検討チームの関連で、国家非常事態法というか、今
回も原発の瓦れき除去に自衛隊が戦車を送るとか、そういう移動について、緊急を要
する場合でも、今の平時の法律だと信号待ちをしたり重量制限があるところは通れな
いやに聞いている。この検討チームでは、再度こういうことがあった場合には非常事
態法的な形で緊急的にそういうことを強化するなり、そうしたことについても検討す
るのか。
【幹事長】戦車を使うのは非常に限られた条件のもとで、放射能との関係でそういう
ものを使うということであって、一般道を戦車が走っていくというものではありませ
んので、それが何か新しい法制につながるとか、そういうことではないと私は思いま
す。
【時事通信・近藤記者】特別立法検討チームについて、さきに政調のもとに設置され
た「復旧・復興特別立法チーム」との位置づけの違いは何か。
【幹事長】同じです。
○国会審議について
【共同通信・中久木記者】特例公債法案に関して、自民党の脇(雅史)参議院国対委
員長などが、子ども手当や高速道路無料化などの予算を凍結すれば賛成する意向を示
している。今後、どうやって野党に協力を求めていくお考えか。
【幹事長】子ども手当を凍結する、全額凍結して児童手当に1000億円乗せるとい
うのが自民党の組み替え提案で、これはおよそ受け入れられないものだと思います。
もう既に扶養控除など所得税の増税をしていることを考えても、少し考えれば、これ
は相当無理があるご提案だと思います。もう少し自民党のほうが現実的になれば、い
ろいろ議論の余地は出てくると。まあ今は「とにかく4Kは全部やめろ」みたいな話
ですから、それは具体的な提案であるように見えて、実はそういうものではないと考
えております。ですから、それは自民党の対応次第とお考えいただければと思いま
す。
今日の社説を見ても、自民党案を丸のみしろ、という社説もありましたが、子ども
手当の問題も含めてですけれども、それは自民党以外の政党は、例えば子ども手当に
ついて、もちろんそれが「児童手当」か「子ども手当」か、名前の問題はあるにし
ろ、5000円に戻していいと考えている党もあれば、そうではないという考え方の
党もあるわけで、自民党がすべてという前提に立てば別ですが、各党のことも考えて
いくということになれば、そういうご提案は簡単には受けられないことは申し上げて
おかなければいけないと思います。
○自民党への入閣要請について
【朝日新聞・南記者】今日の役員会や常任幹事会では、先週末に総理が谷垣総裁に入
閣を打診した経緯についての報告や意見交換はあったのか。
【幹事長】私が常任幹事会において、そういったことがあったことを報告いたしまし
た。若干の常任幹事会のメンバーから質問がありました。詳細は私、ここで答えるつ
もりはありませんが、その提案というのを自民党が断ったと。「その後どうなったの
か」という質問が出ましたので、私からは「自民党は現時点では断った」と。「現時
点とはどういう意味か」と言われましたので、「それ以上の意味はないけれども、し
かし、提案としては、総理が言われた以上、それは残っていると一般には受け取られ
ているのではないか」と、そう申し上げました。
【毎日新聞・野口記者】自民党はマニフェストの主要政策の見直しを求めている。そ
ういった自民党に入閣を求めるということは、今後マニフェストの見直しについて、
民主党が自民党としっかりと議論していく用意があることを前提としたものと考えて
いいか。
【幹事長】マニフェストというよりも、こういう非常事態ですから、歳出全体につい
ての見直しは、私は必要なことであると思っております。マニフェストの、民主党が
つくった部分だけ見直すということではなくて、根っこからやはり見直していかなけ
ればいけないと思います。
先ほどの高速道路の問題でも、例えば日曜1000円と。これをどうするかという
ことは別に結論を持っているわけではありませんが、それは見直さないけれども平日
2000円は見直すとか、そういう議論ではなくて、やはりきちんと全体を見直して
いくことが重要ではないかと。見直した結果、変わらないということになるかもしれ
ませんが、視点としては歳出全体について見直していくことが必要ではないかと思っ
ております。
【NHK・広内記者】(入閣要請は)先ほど幹事長は「提案としては残っている」
と。そうすると断念したわけではなくて、今後も模索し続けていくということなの
か。
【幹事長】それは状況がどうなるかによって。現時点では自民党ははっきりと役員会
にかけてお断りになったわけですから、そういう事実は残りますが、しかし、こうい
う非常事態だから野党の協力も得たいと、そういう中で総理が言われたことですか
ら、そういった事実は残るということだと思います。
【朝日新聞・南記者】そもそも自民党と民主党で09年の総選挙において2大政党で
争った、その党首を入閣で迎え入れることの是非については、幹事長としては現時点
でどのようにお考えか。
【幹事長】こういう大変な、日本の歴史始まって以来と言っていい危機的な出来事が
あったという状況の中で、そういう可能性はあるのかなとは思います。あとはやはり
総理のリーダーシップの中で決まっていくことではないかと思っております。
○閣僚の増員について
【フジテレビ・高田記者】今日の常任幹事会の中で、閣僚数を増やすという政府・民
主党の提案についてやりとりはどういったものがあったか。
【幹事長】私から経緯はご報告いたしましたが、特に質問はありませんでした。
【共同通信・中久木記者】復興への体制づくりは急務だと思うが、法整備あるいは人
選へのスケジュール感があったら教えていただきたい。
【幹事長】これは本来閣法でありますので、内閣のほうで準備して、われわれは今の
内閣、官邸はじめ大変忙しいので、それをサポートすると、こういうものでありま
す。したがって、よく内閣のほうで考え方をまずきちんと確立してもらいたいと。そ
れを待って各党と具体的な折衝に入りたいと思っています。石原幹事長のほうからは
「協力する」というご発言も公式にいただいておりますので、よく自民党とも相談し
ながら、各党に働きかけをしていきたいと考えております。
○統一地方選挙について
【TOKYO MX・田野辺記者】東京都知事選への石原都知事の4選出馬と東国原
氏の出馬表明について、党としてどうごらんになっているか。
【幹事長】今、党本部の推薦を求めておられる候補者はおりませんし、石原さんにし
てもその他の候補者にしても政党の推薦は受けないという方針だと聞いておりますの
で、特にコメントはありません。都連も基本的には方向性は明確にしない方針だと聞
いておりますが、都議会民主党がどう考えるかと。その結論を待って、都連としての
方向性が出るのではないかと思います。いずれにしても党本部としては、推薦依頼は
来ておりませんので、推薦か公認しか党本部にとっては関与の仕方はありませんか
ら、いずれもないということであれば、これは党本部として何か方向性を出すという
ことはありません。
【共同通信・中久木記者】震災が起きて政府・与党が対応に追われている中で、統一
選に対してどういう戦略で臨むのか。告示日を控えて閣僚あるいは党役員はなかなか
現地に行けないと思うが、現地入りする予定はあるのか。
【幹事長】これは地元の要望があれば、党役員としては考えなければいけないと思い
ますが、閣僚は現時点では応援に行かない、そういう考え方だと承っております。こ
れはいつまでの方針なのかということは私、確認しておりません。こういう状況です
から、そう簡単に閣僚が東京を離れるというのはできないということではないかと思
います。
ただ、今日も少し話題になったのですが、他党、野党はそれなりに役員が候補者の
応援に入ったりしておりますので、やはりこういう事態への対応は大事ですが、少な
くとも総支部長は自らの支部はしっかりと活動を行っていく必要があると。自ら出し
ている都道府県議員や市町村会議員に対してしっかりサポートする、そういう責任は
あると考えております。
それ以上、党本部としてどうかかわるかということは、これからの各県連の要望を
待って考えたいと思っております。
【朝日新聞・南記者】東京都知事選について民主党としては独自候補の擁立が望まし
いというスタンスで臨まれていたと思うし、今までの選挙においては石原知事に対す
る対立の政策を掲げてきたが、今回独自候補を立てられなかったという現実につい
て、どのように受け止めておいでか。
【幹事長】残念なことですが、こういう大きな災害があったときに何を優先すべきか
と、そういう判断の問題でもあると思います。
○仙谷代表代行について
【フジテレビ・高田記者】今日の常任幹事会にも仙谷代表代行が出席されていたが、
官房副長官に就任して、このまま代表代行を続けていく方針か。
【幹事長】ええ、そう考えております。もちろん、政府の官房副長官としての仕事
と、党代表代行としての仕事が混線しないように、そこは明確にしながら進めていか
なければならないと思っています。
○補正予算について
【ロイター通信・梶本記者】「復旧・復興検討委員会」に補正予算検討チームが設置
されたが、被害の全容がまだ見えない中で時期尚早と思うが、補正の考え方につい
て、規模あるいはスケジュール感等、考え方をお聞きしたい。
【幹事長】補正予算の議論は、具体的にはこれからです。まずは本予算の成立を期す
ということであります。ただ、間もなく本予算は成立いたしますので、少し勉強は始
めなければいけないと考えております。補正予算の考え方というのは、これから議論
することですが、本格的な復興予算は少し先になると考えております。
したがって当面、今年度は残された予備費を使い、4月1日から来年度予算の予備
費及び経済危機対応予備費1兆1000億円を使うわけですが、瓦れきの除去とか、
あるいは仮設住宅の建設とか、いくつかの項目で予算的に手当てする必要が出てくる
と思います。そういうことを中心に、比較的使い勝手のいい形での予算計上を次の補
正予算では目指すことになるのではないかと思います。「使い勝手がいい」という意
味は、どういう需要が出てくるかまだわかりませんので、少し自由度を持って予算を
組む必要があるのではないかと考えております。
【ロイター通信・梶本記者】ということは、イメージとしては、まず緊急に必要なも
のを予備費で対応して、その後、小規模の補正が出てきて、またその後さらに追加で
補正が出てくるという、つまり何段階かに分けた補正だという理解でよろしいか。
【幹事長】われわれ4月から5月にかけて1次補正をと現時点では考えております
が、その段階ではまだ具体的な、「こういう対策にいくら」と、特に復興に関する予
算の計上ができるはずもありません。したがって、先ほど申し上げたような当面の対
策に重点を置いた補正になると。もう少し時間がたって復興の方向性がある程度出て
まいりますと、そういう本格的な補正予算を組むという2段階に少なくともなるので
はないかと思っています。
○子ども手当のつなぎ法案について
【読売新聞・中島記者】子ども手当のつなぎ法案は、現時点では成立の見通しが立っ
ていないと思うが、野党の協力を得ていく際に、つなぎが切れた後に、子ども手当の
どの点を譲歩できるかということを示す必要が出てくるかと思うが、近くそういった
ことを示すお考えはあるか。
【幹事長】「こういうことなら賛成できる」というような見通しがあれば、そういう
議論も出てくるかもしれません。しかし、少なくとも自民党は子ども手当を全面撤回
しろと言っているわけです。そして児童手当にして1000億乗せろと。これは先ほ
ど言いましたように扶養控除などを廃止したその事実を全く無視していると思います
し、それから社会全体で子育てを支援するという考え方は、われわれ非常に重要だと
思っておりますので、全面撤回という議論にはなかなか乗れないということです。も
う少し自民党のほうも現実的になれば、いろいろな議論の余地は出てくるだろうと
思っています。
○原子力行政の見直しについて
【朝日新聞・南記者】原発の事故が福島で非常に拡大している。これを受けて、今ま
での原子力行政の見直しが必要になるかどうか、幹事長としてのご見解をいただきた
い。特に地球温暖化との絡みで、今、原子力(発電)はそれなりの位置づけをされて
きたこととの関連でも見解をいただければ。
【幹事長】そういった議論はまだ早いと思います。やはりこういう当面何とかして現
状を乗り越えなければいけないという、そこに全力を挙げているときに、あまりそう
いう議論は早急にあわててするというよりは、現状をまず落ち着かせて、そのうえで
冷静になって議論したほうがいいと考えています。