夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年1月27日号
いよいよ、通常国会が開幕した。会期は6月22日までの150日間。日本にとって極めて重要な国会となる。菅直人首相が24日に行った施政方針演説では、内閣として目指すべき「国づくりの理念」が明確に語られていた。
最初が、平成の開国だ。経済を開くことは世界と繁栄を共有する最善の手段である。菅首相は、包括的な経済連携協定を進めるとともに、農林漁業の再生にも乗り出す決意を述べていた。また、成長と雇用創出につなげるため、新成長戦略の工程表を着実に実施するとした。
そして、最小不幸社会の実現。一人ひとりの不幸を放置したままでは日本社会が前進することはできない。厳しい状況にある新卒者の雇用を支援するとともに、医療や介護、子育てや環境の分野での雇用を創出していく。雇用保険を受給できない人のために、職業訓練を受けることを条件に、生活支援のための給付を行う求職者支援制度も創設する。
社会保障改革も具体的だった。少子高齢化や景気低迷などで財源確保に限界が生じている。「このままでは持続可能ではない」として、社会保障制度の抜本的改革の理念も提示していた。
日本はここ10年、20年、閉塞状況に陥っている。今こそ、国を開いて世界の活力を受け入れ、同時に、国民の安心安全を守らなければならない。困難な国会ではあるが、菅首相の演説には、国民の立場に立って、覚悟を持って突き進む強い決意がみなぎっていた。
こうした国づくりを進めるために、菅首相は14日に内閣改造・党役員人事を断行した。
与謝野馨氏を「税と社会保障の一体改革」を所管する経済財政担当相にしたことには、賛否両論がある。菅首相は批判を承知で「この人でなければ」と任命した。私も与謝野氏とじっくり話したが、「一身を投げ打って、これまでの蓄積を国民のために活かしたい」という覚悟が伝わってきた。ぜひ、協力して思いを成し遂げたい。
民主党役員人事では、私は幹事長に留任し、代表代行には前官房長官の仙谷由人氏。幹事長代理には藤村修氏。国対委員長には安住淳氏という、気心が知れた布陣となった。一部メディアが「うまく行かない」「ゴタゴタする」などと観測記事を書いていたが、全役員には「日本の正念場だ」という強い共通認識がある。100%協力して、菅首相を支えていきたい。
衆参ねじれの国会は簡単ではない。仮に、予算案が「衆院の優越」で成立したとしても、予算関連法案は野党の協力がなければ成立できない。国民生活に悪影響を与えないためにも、丁寧な国会運営を心がけ、必要ならば法案修正も行い、年度内成立を目指したい。
ぜひ、野党の方々とは、いい議論をしていきたい。「国民のため」「国家のため」という視点で、協力していただければありがたい。