トピックス

2011.02.07|記者会見

民主党幹事長としての記者会見(2月7日)

岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年2月7日(月)16時17分~17時12分
編集・発行/民主党幹事長室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2011/20110207okada.asx
http://www.ustream.tv/channel/dpj-channel
************************************************************
■冒頭発言
○愛知県知事選挙、名古屋市長選挙の結果について
○小沢元代表の元秘書の初公判について
○米ロ新戦略兵器削減条約の発効について
○本日の役員会について

■質疑
○本日の役員会について
○愛知県知事選挙、名古屋市長選挙の結果について
○内閣支持率の低下について
○「北方領土の日」について
○予算関連法案に対する他党の対応について
************************************************************

■冒頭発言

○愛知県知事選挙、名古屋市長選挙の結果について

【幹事長】まず、昨日の愛知の知事選挙、それから名古屋の市長選挙についてです。
大変民主党にとって厳しい結果になりました。事前の調査等で予想されていたことと
はいえ、候補者の皆さんにも大変頑張っていただいたわけですが、残念なことであ
り、ご支持いただいた皆さんには申し訳ないことだと考えております。
今回の選挙戦を振り返って、いくつかの原因があると思っております。一つは、や
はり有権者の議会を見る目、あるいは議会と首長のあり方に対して一つの問題提起が
なされたと思います。ともすれば議会と市長ないし知事というものが、今回の場合は
名古屋市長選挙ですから市長ですが、オール与党態勢で長く来てしまったこと。そし
て、市長は河村さんに代わったわけですが、議会は相変わらず各党がそれぞれ与党と
して振る舞ってきたことに対する有権者の皆さんの不満といいますか、そういったこ
とが蓄積してきたと。そういう中に河村さんという新しい市長が誕生して、そこに切
り込んだことが有権者の皆さんから支持されたということだと思います。それが河村
さんのキャラクターもあって、よりおもしろおかしく報じられたことで、何と言いま
すか、幅広い支持に結びついたということかと思います。
われわれ国会もそうですが、地方議会において民主党の存在感も次第に高くなって
きておりますので、そういう中で二元代表制、首長に対するチェック機能とか、ある
いは議会自身の自己改革努力とか、そういったことがより有権者から求められている
ということではないかと私は思っております。そういったことも含めて、しっかりと
した対応が今後求められると思っております。
もう一つは、中央における政治に対する失望感、あるいは閉塞感。自民党はダメだ
と思って民主党政権にしてみたが、民主党もあまり変わり映えしないと。そういった
思いの中で、今までにない新しいスタイルに対して非常に支持が集まったのではない
かと思います。この選挙結果は有権者の判断ですから尊重されなければならないと基
本的には考えております。
ただ、私も2005年の総選挙の経験者であります。あのときに「郵政民営化是か非
か」が唯一の争点となり、そしてそのこと、要するに「郵政民営化すればすべてがよ
くなる」という小泉総理の主張に対して、多くの有権者が高くこれを支持したわけで
あります。民主党の投票者総数も増えたわけですけれども、その前の選挙と比べれ
ば、それをはるかに上回る、今まで投票に行かなかった方々も含めて投票に行くこと
で、自民党が圧勝したわけであります。あれからまだ時間がそんなにたっているわけ
でありませんが、郵政民営化に対する国民のあのときの思いはだいぶ冷めてしまった
ような気がいたします。何のためにあのときあれだけ熱狂して、あれだけの唯一の争
点で選挙したのかということについて、うまく説明できないという見方もあります。
いずれにしても今回の愛知、名古屋の選挙が、将来振り返ったときにどう評価され
るのか、私はまだその評価を最終的にするには少し時間が必要だと思っております。

○小沢元代表の元秘書の初公判について

【幹事長】小沢元代表の元秘書の3人の方の初公判が行われました。このことについ
ては、これから裁判が始まりますし、事実関係において非常に争いのあるところであ
りますので、私から具体的な中身についてはコメントするつもりは現時点ではありま
せん。
ただ、3名の元秘書、中には現衆議院議員も含めてでありますが、逮捕・起訴に
至ったことは大変残念なことであり、事実関係が裁判を通じてきちんと解明されるこ
とを期待したいと思っております。

○米ロ新戦略兵器削減条約の発効について

【幹事長】3番目に、少し毛色は変わりますが、新戦略兵器削減条約の発効について
一言。これは念願の戦略核兵器の米ロ間の話し合いが行われ、合意がされ、それが発
効したということで、「核なき世界」に向かって非常に大きな一歩だと考えておりま
す。次のステージはおそらく戦術核についての議論、そこは米国、ロシアだけではな
くて、イギリス、フランス、そして中国、そういった国々が話し合いのテーブルに着
いて、議論が行われていく必要があると思っております。
中国の核については外相時代にずいぶんいろいろ議論をいたしました。物議も醸し
ましたが、やはり核を増やしている国の一つでありますので、少なくとも5つの主要
核保有国の中では唯一、核を増やしている国でありますので、そういった動きから核
をともに減らしていく、そういった話し合いがなされ、合意され、実現していくこと
を強く期待したいと思っております。

○本日の役員会について

【幹事長】最後に、先ほど役員会を開催いたしまして、小沢元代表の問題について議
論いたしました。前回に引き続いてということであります。お配りした資料は、その
ときに配られた資料ということで、後でご覧いただきたいと思いますが、これは恥を
さらすような話でありますが、「資料1」は、わが党の所属国会議員で、刑事事犯等
容疑で逮捕・起訴された場合の過去の事例についてであります。山本譲司さん、佐藤
観樹さん、小林憲司さん、西村真悟さん、そして石川知裕さんということでありま
す。それぞれ党としてどういう対応をとってきたかということが整理されておりま
す。もちろん、今回の場合には強制起訴ということで、通常の起訴とは異なるという
議論はあり得るわけで、そういうことも含めて役員会において様々議論が行われたと
ころであります。
「資料2」のほうは、秘書の逮捕・起訴の場合の主な事例についてでありまして、
わが党としては2つ。1つは、鹿野道彦さんの事例、それから最近の鳩山由紀夫さ
ん、首相のときでありますが、そのときの事例があります。その他には(自民党の)
加藤紘一さんや井上参議院議長の事例があるということであります。これは強制起訴
には関係のない、通常の起訴の場合ということであります。
こういったことも参考にしつつ、今日1時間強、議論を行いました。共通の認識と
しては、時間をかけるべきことではないと。これは党で決められる話でありまして、
国会における説明のように他党とかそういったこととは関係がなく、党だけで決めら
れることでありますので、時間をかけるべきことではないということはほぼ共通の認
識であります。
今日の議論の中身、詳細は申し上げませんが、基本的に今日の議論を踏まえて、幹
事長に一任することになりました。一任の内容については、今日の議論をもう一度よ
く私なりに整理して、そして、それを踏まえて私なりの考え方をまとめてみたいと思
います。そのうえで、本来役員会に出席すべきであった菅総理が今日は出席されてお
りませんので、おそらく明日、総理のところをお訪ねをして、最終的に総理のご意向
も踏まえ、方向性を出すことになるかと思います。
そういったことを踏まえて、最後はもう一回役員会で決めることになると思います
が、いずれにしましても役員会では発議するだけでありますので、最終決定は常任幹
事会と、こういうことになるわけであります。
私からは以上です。

■質疑

○本日の役員会について

【フジテレビ・橋本記者】役員会での小沢さんについての話し合いだが、今日の話し
合いを前提に幹事長に一任されたということだが、小沢さんの処分または措置、そし
て国会での説明について、両方とも一任されたと認識してよろしいか。

【幹事長】国会での説明は、今日は議論しておりません。議論の中で出ましたけれど
も、今日の議論は、そういった国会での説明について議論するという趣旨ではありま
せんでした。

【朝日新聞・南記者】一任の中身は、処分・措置をすべきかすべきでないかというこ
となのか、それともさらに踏み込んで、どのような処分・措置をすべきかも含めた一
任ということになるのか。

【幹事長】今おっしゃった後のほうです。

【NHK・広内記者】お答えの「後のほうです」というのは、処分をすべきかすべき
でないかは、今日、共通認識は得られたのか。

【幹事長】一任いただいた中身というのは、処分・措置をすべきかすべきでないかと
いうことも含め、あるいはその中で、すべきだとすればどういうことをすべきかも含
めて全体を議論いたしまして、ほぼ全員の方が意見を述べられました。そういった議
論の大勢を踏まえて、私に一任されたということであります。

【日経新聞・恩地記者】議論の大勢は、何らかの処分・措置が必要だという方向性な
のか。今日の時点で「まだ処分すべきでない」という意見もあったのか。

【幹事長】様々な意見が出ました。ただ、その中身についてここで申し上げるべきで
はないと思います。菅総理にきちんとご報告して、最終的に総理のご判断を待ちたい
と考えております。

【フリーランス・宮崎記者】明日、常任幹事会はあるのか。

【幹事長】いや、明日はありません。

【フリーランス・宮崎記者】では明日、代表に会われて、次の常幹で正式決定という
ことでいいか。

【幹事長】手続的に言いますと、役員会でもう一度確認が必要だと思います。一任さ
れたこととはいえ「こうなりました」と報告はしなければいけません。ただ、それは
決定ではなくて発議なんですね。役員会は発議をして、常幹で決めると。そして、常
幹は、案件によっては倫理委員会の意見も聞くと。こういう形になっておりますの
で、そういう手続はこれからまだ必要だということです。

【読売新聞・中島記者】今後のスケジュールだが、総理の意見を踏まえたうえで、来
週月曜日の役員会で発議して、火曜日の常任幹事会で議論を始めたいという意向なの
か。

【幹事長】日程のことは今申し上げません。総理にご相談したうえで、その先のこと
を決めていきたいと思っています。ただ、今日の共通認識で、あまり時間をかけるべ
きではないということは多くの方の共通認識だったと思います。

【朝日新聞・南記者】あまり時間をかけるべきではないということで、できれば今週
中にももう一度役員会を開いて、役員会としての方向性を出したいというお考えか。

【幹事長】詳細は先ほど申し上げましたように、明日、総理に私なりの判断を含めて
ご報告し、総理の最終的なご判断、そのときに出るかどうかはまだわかりませんが、
それを待ってその後のことについてご相談しなければいけない、あるいは決めなけれ
ばいけないと思います。現時点では何も決まっておりません。

【読売新聞・中島記者】今日の役員会では、一任に対して反対する意見はなかったの
か。

【幹事長】一任については、反対はありません。

【北海道新聞・舟崎記者】今日の役員会で岡田幹事長に一任を受けた、あとは役員会
では報告されるだけだと先ほどおっしゃったが、結局、処分を含めた内容を決めるの
は、あとは岡田幹事長と菅総理の2人で判断するという理解でよろしいか。

【幹事長】まず、発議であるということを申し上げなければなりません。決めるのは
常任幹事会であります。役員会としてどういう発議をするかということについて、総
理のご意向も伺って決めるということです。

【時事通信・近藤記者】処分・措置を決める過程で、小沢さん本人の意向をまた伺う
予定はあるか。

【幹事長】そういう意見は今日も出ました。そういうことも含めて、総理にご報告し
たいと思います。
これ以上は言いませんので。だんだん中身が出てきてしまいますので(笑)。

○愛知県知事選挙、名古屋市長選挙の結果について

【中部日本放送・横地記者】幹事長は選挙中4回にわたって地元入りもされた。幹事
長としての今回の選挙に対する責任についてはどうお考えか。

【幹事長】有権者に十分に伝えることができなかったという意味では、私は反省して
おりますし、責任を感じております。

【毎日新聞・野口記者】、知事選で御園さんは自民党推薦の候補にも敗れて3位に甘
んじた。民主党の組織が比較的強い愛知県でもこういったことが起きたことは、統一
地方選に与える影響はかなり大きいと思う。自民党にも敗れたことについて、どのよ
うにお感じか。

【幹事長】民主党の支持者の多くが、民主党の候補者以外に投票したことは事実で
す。そこのところについて、十分な説明ができなかったという部分はあると思いま
す。
同時に、今回の選挙は非常に、ある種特別な環境というか雰囲気というか、先ほど
言いました2005年の選挙に近いものがあったと思います。そういう中で十分伝えるこ
とができなかったことは大変残念に思います。

【毎日新聞・野口記者】質問の趣旨は、特殊な雰囲気だったというのはわかったが、
その中で自民党にも敗れてしまったことについて民主党としてどのように受け止める
かというところを伺いたい。

【幹事長】その理由が何であったのかは、今後の分析を待ちたいと思います。

【フリーランス・安積記者】これまで地方選で民主党が負けたときは、「地方の選挙
であって国政は関係ない」というご答弁が幹事長はじめ他の幹部の方からあった。今
回の選挙は、先ほどもおっしゃった「ごく特殊な事例であって、かつ地方の事例であ
る」とお考えか。

【幹事長】地方の事例というよりは、何と言いますか、先ほど言いましたように、一
つは、従来の議会と首長の関係に対する有権者の批判・不満、それを十分に取り上げ
られなかったことがあります。
しかし、もう一つはやっぱり中央の政界における閉塞感、そういったことが自民党
でも民主党でもない第3の候補に投票が行ったということで、そういう意味ではこれ
は中央の政局が影響したことは言わざるを得ないと思います。

【日刊ゲンダイ・小塚記者】特別な雰囲気で特別な例だと。今回の愛知の選挙は、河
村さんというキャラクターの立った方がいた特殊な例という認識か。4月にある統一
地方選で、同じように自民・民主ではない地域政党とかみんなの党などに票が流れる
可能性があると思うが、今回の結果は統一地方選への影響はない、違うという認識な
のか。選挙としては全く特殊だと。

【幹事長】いや、先ほど言いましたように、中央でのそういった閉塞状況の中で起き
ていることですから、それが、影響が他にはないと言うつもりはありません。
同時に、これはあまり健全なことではないと私は受け止めております。ワンイ
シューで一刀両断に切って捨てるような、そういう選挙でもあったわけですから。も
う少し政策論がきちんと行われる、そういう選挙が行われなかったことは残念だし、
それだけ事態が悪化しているというか、閉塞感が高まっているという意味では深刻に
受け止めなければいけないと思っています。

【フリーランス・安積記者】先ほど「中央の政局が関連した」とおっしゃったが、そ
れは具体的に小沢さんの問題なのか、また小沢さん以外にも、例えば菅さんのリー
ダーシップの不在とか、様々なことが週刊誌で言われているが、それを総合的に含め
てということか。

【幹事長】週刊誌もいろいろですので、何が週刊誌に書いてあるかというのは、それ
はおそらく週刊誌によって違うと思いますが。何といいますか、民主党政権に代わっ
たけれども、それに対する期待外れというか、もっとやってもらいたいと言うべき
か、そういう部分も当然あると思います。
小沢元代表の件についてなかなか結論が出ないと。実は結論が出ないわけではなく
て、この処分・措置の話は、議論を始めたのは強制起訴の後ですから、そう時間が
経っているわけではありませんが、何かグズグズしていると。そういうことも原因の
一つとしてあるかと思います。ただ、定量的には分析は非常に難しいので、一般論と
して申し上げておきたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】政策面だが、河村さんは「市民税」という言い方をする
が、住民税の10%引き下げと。長年、日本の自治体では課税自主権は認められてきて
いない。住民税を引き上げるとか引き下げるとかは本来できなかった。河村さんが総
務委員のときに、市町村合併特例法で、住民税の均等割を合併自治体同士ですり合わ
せるときに引き下げができた事例があると。そういう立法趣旨の隙間を河村さんが衆
議院議員時代に気づいて、それを名古屋市長としてやられようとしたのが2年前の選
挙だと思う。それは私の解釈だが。結局、条例が通っていないから第1号ではなく
なってしまったが、課税自主権が欲しいという自治体の首長の声に、中央の与党の幹
事長として名古屋に行って、「このままじゃ名古屋がダメになりますよ」と言うとこ
ろで反発を買った可能性はないか。

【幹事長】課税自主権は、私は必要だと思いますし、現にかなりできることはありま
す。しかしなかなかそれをおやりにならない首長もたくさんいらっしゃる。特に増税
となると非常に慎重になってしまうと。やはり地方自治であれば、そういうことも正
面から訴えていく首長が、市町村長や都道府県知事が、出てくるべきだと考えており
ます。
今回のことは、減税をするということですね。ですから、課税自主権を行使するこ
とを批判したのではなくて、こういう財政状況の中で減税することの妥当性を私は論
じたわけであります。しかも、それは多くの方にとっては実は減税になっていない事
実も申し上げたわけであります。

【中日新聞・関口記者】昨夜、石井選対委員長はぶら下がり(取材)で、「河村劇場
が見事に演出された」という評価をされている。今回有権者は、劇場型の選挙だとい
う認識を持っていたのか持っていなかったのか、幹事長のご認識はいかがか。

【幹事長】「劇場型選挙」の定義いかんにもよりますが、やはり、中日ドラゴンズの
野球帽を斜めにかぶって自転車に乗る姿をマスコミに前面に打ち出させていた。ずっ
と自転車に乗っていたのかどうかは、わかりませんが、そういった姿を強調して有権
者に訴えたということは(他に)あまりないと私は思います。それから言葉遣いと
か、議会などを叩いてそこにターゲットを絞って選挙をやる。そもそも市長選それ自
身が本当にあの段階で行われるべきであったかどうかについても、私は議論がかなり
あると思います。しかし、そういう声がかき消されたところに、やはり劇場型政治た
るゆえんがあったのかなと思います。

【日刊ゲンダイ・小塚記者】河村さんは一昨年に初めて市長選に出たときもドラゴン
ズの帽子をかぶって、あの言葉遣いで、自転車に乗っていたと思う。そのときには、
確かに「河村劇場」で市民は支持したと思う。それでもう一度選挙をやって、もう一
度(市民は)支持したと。そこは初めて出てきた「劇場」とは違うのではないか。

【幹事長】この2年間、かなりその「劇場」は続いてきたわけで、連日のように少な
くとも中京圏ではニュースになっていたわけですから、その継続だったと思います。
これが2年後、あるいは4年後どうなるかというのは、そのときになってみないとわ
からないと。
ただ、先ほど言いました2005年のあの熱狂の選挙が行われた後、郵政民営化につい
て国民の熱意があの2005年の状況のままか、あるいは2005年の選挙で言われた「郵政
民営化すればすべてがよくなる」といったことについて、今、多くの人が同じ気持ち
でいるかというと、私はそうではないと思います。ワンイシューでかき立てて民意を
問う選挙、私はあまりいいやり方ではないということを小泉さんのときにも申し上げ
ましたが、今もそう考えております。

【中日新聞・関口記者】劇場型であることを有権者が認識しながら、それでも河村さ
ん、大村さんに入れてしまうところに問題点があるのかなと。中央の民主党の深刻さ
をより危機感として持つべきではないかと思うが、幹事長、いかがか。

【幹事長】人間の心理というのは振れるときには大きくそちらに傾くことはあります
ので、今から考えれば、それはいかんともしがたかったのかもしれません。ただ私と
しては、やはり選択肢をきちんと示すという意味で、しかも石田さんの熱意もありま
したから、市長候補に出したと。県連から上がってきたので、それを承認して出しま
した。出した以上は責任を持ってしっかりと応援するということで、期間中4回、時
間を割いて名古屋、愛知に行ったということです。

【伊勢新聞・中森記者】この愛知と名古屋の首長選の結果は、まだ擁立を決めていな
い三重県知事選への候補者擁立への影響があるのか。

【幹事長】三重県の状況は、私は例えば三重県議会というのは、今日もネットに載っ
ておりましたが、47都道府県の議会の中では最も改革が進んでいるという評価を受け
ておりますし、現に条例を出したりいろいろな議論をしたり、そういう意味では有権
者もかなりそういったことをわかっておりますので、私は劇場型に大きく流されるこ
とはなく、しっかりとした判断が、その判断がどちらの結果になるかは別にして、
しっかりとした判断がなされると期待しております。

【テレビ朝日・平元記者】先ほどの答えで、この愛知の選挙の結果、中央での閉塞状
況の中で起きたことだと……。

【幹事長】それも一つの原因ですね。

【テレビ朝日・平元記者】一つの原因としておっしゃったが、この中央での閉塞状況
を打破するために、幹事長、何か考えをお持ちか。

【幹事長】政権としてやるべきことをしっかりやっていくことに尽きると思います。
そして、そのことが伝わるようにすることだと思います。

【北海道新聞・舟崎記者】民主党は野党時代、当時の自民党政権に対して「直近の民
意」ということを盛んに言われていた。昨年7月の参議院選以降、北海道5区の補選
もそうだが、地方選でかなりの惨敗を喫している中で、実際に民主党に対して直近の
民意があるのか非常に疑問だと思う。それを4年間の任期の前にもう一回問わないと
いけないという気持ちはおありか。

【幹事長】まず民主党政権がスタートしてから、以前申し上げたと思いますが、地方
選挙でいい結果はあまり出ておりません。菅政権になってからというより、それ以前
からです。残された任期の間に、しっかりとわれわれがお約束したことについて実行
していく中で、有権者・国民の皆さんの信頼をかち得たいと考えております。

【フリーランス・安積記者】2005年の郵政選挙のときは、幹事長は「熱気があった」
とおっしゃった。先日の愛知県知事選、市長選も「劇場型」という位置づけだ。で
は、2009年の衆議院選、政権交代を叫んで政権交代を実現したあの選挙はそういった
部類に入るのか。

【幹事長】2009年のときも熱気はありましたし、一種のなだれ現象が起きたことは事
実だと思いますね。それは小選挙区制度に起因している部分もかなりあると思いま
す。
逆に去年の参議院選について言いますと、もちろん民主党は敗北したわけですが、
確かに最後の1週間ぐらい、なんとなく崩れていくような、そういう手ごたえがあり
ましたが、ただ、あの参議院選挙自身を見ると、票数でいうと実は民主党のほうが多
いんですね。それが1人区と大都市部における複数選挙区とのバランスの問題であっ
たり、あるいは一票の重さの問題であったり、そういうことによって、本来きちんと
した制度であればわれわれが勝っていたかもしれない。少なくとも票数では多かった
ということであります。もちろん今の仕組みを前提にしての選挙ですから、その結果
はわれわれ重んじなければいけないと思いますが、去年の選挙は、そう大きく負けた
という感じは、私はなかったのです。

【中部日本放送・横地記者】2年前の市長選でも「帽子と自転車」があったというお
話もあった。ただ、前回の市長選挙は民主党の推薦として戦っていた。今回は地元の
市議団あるいは県連からの要請があって石田さんということになったと思うが、当然
その中にはこちらとしての判断もあったと思う。こういう枠組みで、前回は民主党推
薦、今回は対決姿勢という中で、幹事長としては今どういうふうにこの選挙をとらえ
られているのか。ご判断も含めて、いかがか。

【幹事長】ちょっと質問の趣旨がよくわかりません。

【中部日本放送・横地記者】今回の石田さんとの対決の構図で、前回は民主党推薦と
して候補者・河村さんということだったのが、こういう枠組みの戦いになった。これ
について幹事長の責任というのはいかがか。

【幹事長】それは結果論でありまして、河村さんは自ら党もつくられ、民主党を強く
批判された。途中からそうなったわけですから、それに対してわれわれの考え方をき
ちんと示すことが必要であったと思います。

【読売新聞・中島記者】先ほど敗因の分析の中で、民主党に対する期待外れの部分も
あったのではないかという話だったが、マニフェストとの関連で伺いたいが、マニ
フェストで約束したことを全部実行できていないから期待外れだと思われているの
か、それとも参議院選で敗北したにもかかわらず、現実的なマニフェストの修正がで
きていないことに対する期待外れだと思われるのか、どちらか。

【幹事長】それは新聞社によって見解が違いますよね。読売的に言うと、それは早く
変えなければいけないと、こういうことになるのでしょうが(笑)、そこはなかなか
一方に決めつけることはできないと思います。それから、 変えるときにはきちんと
説明が必要であることは言うまでもありません。
したがって、これは夏ぐらいまでかけてしっかり党内議論をしたうえで、変えるべき
ものは変える。しかし、それはきちんと説明するということだと思います。現時点で
は変えないからということもあるかもしれませんが、やはりマニフェストに示したい
ろいろなこと、あるいはもっと言うと、政権が代わればガラっと物事が変わるという
期待感、それまでの閉塞感の裏返しとしての期待感、それが十分に満たされていない
と、こういうことではないかと思います。

【日本テレビ・福井記者】岡田幹事長ご自身は何回も現地に入り応援されてきた。他
の国会議員に対しても、「ぜひ現地に一度入って」と呼びかけておいでだった。国会
議員のバックアップ態勢として十分だったか。一丸となって戦えたと評価されている
か。

【幹事長】愛知県連の議員の皆さんはじめ多くの議員が必死になって戦っていただい
たと思います。こういった予算委員会の最中にもかかわらず、おそらく半数以上の議
員が愛知入りをしていただいたと思いますし、電話かけ等も含めれば全面的に応援し
ていただいたと思っております。ただ、私、誰が応援に入った、あるいは入らなかっ
たのかはまだデータを見ておりませんので、それはこれからよく検証したいと思って
います。

【毎日新聞・野口記者】昨日の岩手県の陸前高田市長選で民主党の推薦候補が敗れ
た。小沢一郎元代表が直接選挙区に入って支援したが、「民主党王国」の岩手県でも
なかなか民主党が勝てない。かなり地方選に向けて深刻な状況だというご認識はおあ
りか。

【幹事長】それぞれの選挙、個別にはいろいろな事情がありますので、一つの事例を
とらえて何かコメントすることは適当ではないと思います。
私も私の選挙区で、これ4年前ですから今よりは状況が違ったと思いますが、そこ
で町長選挙で自民党の立てた若い候補者に手痛い敗北を喫した経験があります。今は
非常に仲よくやっておりますが。だから、それはいろいろな状況の中で起こることで
すので、一概に一つひとつのことについて何かもっともらしく理屈をつけるつもりは
ありません。

【時事通信・近藤記者】先ほど敗因の一つとして中央の政治の閉塞感をおっしゃった
が、それも含めて地域政党が存在感を示した選挙だったと思う。地域政党という動き
について、一過性のものであると思うか、これから広がりを持つようになっていくと
思うか、お考えをお聞かせください。

【幹事長】それはわかりません。ですから、われわれがどれだけしっかり結果を出し
ていけるかと。もちろん、ねじれ(国会)ですから非常に難しいところでもあるんで
すが、しかし、われわれが与党としてどれだけの結果を出すかということにも関わっ
ていると思います。

【フリーランス・安積記者】愛知県の選挙について電話がけをした事務所数カ所に聞
いたところ、反応は極めていい、好意的なレスポンスがあったと。それを含めて、こ
ういう厳しい結果が出たことについてはどう思われるか。

【幹事長】よくわかりませんね。私の事務所でも電話かけをしておりますので、見る
と、まあ半々くらいの感じなんですね。ですから今回の結果とはだいぶ違う。事務所
のスタッフがかけたりしておりますので、素人がかけているわけではない。だからそ
れなりの、○×△はいい加減につけているわけではないはずですが、必ずしもそう結
果が出ていない。つまり今回の選挙結果と違うものになっているのは、これも分析し
ないといけない点だと思います。

【中日新聞・関口記者】三重県の知事選では一部で高橋千秋参議院議員を擁立しよう
という動きがあるようだ。現職国会議員の擁立を、幹事長は容認するのか、それとも
従来どおり認めない方針なのか。

【幹事長】基本的には望ましくないと考えております。ただ、県連でまずどういう判
断をするかを、幹事長としては待たなければいけないというところもあります。

【フリーランス・宮崎記者】昨日は北九州市長選もあったが、4年前と違って国政与
党ということもあったのか相乗りで北橋健治さんが圧勝した。名古屋なんかも前回は
国政野党だったが、2年前は「税金で食うとるやつは役人、名古屋市の職員」。2年
経って今回は「税金で食うとるやつは名古屋市の市議会議員」。見事な論理のすりか
えで、さすが河村さんだと思うが、そういった意味で今度、達増さんなんかはもう推
薦が出ているが、松沢成文さん、上田清司さんと、どんどん改選を迎える方がいる
が、「国会に帰ってきて与党で民主党を助けてほしいな」というお気持ちはないか。

【幹事長】それは個々の判断ですので、私があまり言わないほうがいいと思います。
多くの同志が途中で首長選挙、知事だけではなくて市町村長も含めて、出ておられま
す。そういう人たちに会って話をすると懐かしく思いますし、力量のある人たちだっ
たわけですから、力を貸してもらいたいという気持ちになることもありますが、それ
はご本人の判断ですので、あまり個別には言わないほうがいいと思っております。

○内閣支持率の低下について

【TBS・細谷記者】この週末に行ったJNNの世論調査で、内閣の支持率がマイナ
ス7ポイント、21.3%になっている。改造から特に大きな過失というか大きな失敗が
見られない中で7ポイント下がった原因は何だとお考えか。

【幹事長】それはむしろ調査をされたほうが聞いておられるのではないかと思います
ので、教えていただきたいと思います。ただ、上がったり下がったりですから、あま
り気にせずに、しっかりやるべきことをやっていけばいいと思っています。

○「北方領土の日」について

【時事通信・近藤記者】今日は「北方領土の日」だが、これまでの政府の北方領土問
題に関する対応についての評価と、今後どのような対応を望むか。

【幹事長】この問題がずっと解決していないことは大変遺憾なことだと思います。日
本の主張は正当性のあるものだと考えておりますが、いずれにしてもこれは交渉であ
りますので、しっかりと両国が信頼関係を築いたうえで、その信頼関係に基づいて交
渉に入らなければいけないと。なかなか、毎年総理が代わるという中で、本格的な交
渉にも入れないというのがここ数年間の、小泉さん以降の状況ではなかったのかと
思っております。
私も一昨年の12月にロシアに参りまして、ラブロフ外相とかなり長い時間交渉い
たしました。お互い原則論から始まって、しかし最終的には「そういう原則論はある
けれども、お互い解決しなければいけないね」という、そこまで行ったんですが、も
うそれで、その後もう一回会談がありましたが、本格的な交渉までは至っていないわ
けであります。それは1年だと無理だと思います。そういう意味でも菅総理には長く
やっていただいて、そのもとでしっかりとした、こういう中長期の、時間が必要な問
題について解決していただきたいと思っております。

【フリーランス・安積記者】本日の式典で、前原外相が北方領土について、10日か
らモスクワに行かれる予定だが、「政治生命を賭ける」とおっしゃった。これについ
て、前外相としてどうお考えか。

【幹事長】それは前原大臣の決意を示すもので、どういう意味合いでおっしゃったか
ということは、それは私わかりません。伝聞ですから。それぐらいの決意をもって挑
まれることは非常にすばらしいことだと思います。
私も外相として1年やって、2年目に何をやるべきかを省内で議論しながら整理し
たときに、やはり事実上進展しなかった問題が基本的に2つあると。1つは北方領土
の問題であり、もう1つは北朝鮮、特に拉致の問題。この問題2つについて、構想力
を持って2年目は取り組みたい、という話をしていたわけですが、その直後に代わっ
てしまいましたので。前原大臣には、しっかりとこういう問題に取り組んでいただけ
ることを期待したいと思います。

○予算関連法案に対する他党の対応について

【朝日新聞・南記者】予算関連法案の関係で伺いたいが、子ども手当法案に対して
は、週末の討論番組でも公明党の幹部がかなり厳しい反応というか、このままでは賛
成できないという意見を表明されていた。また愛知県知事選などとも関連するが、直
近の民意を民主党がなかなか得られていないことに対して、協力できないという姿勢
が公明党で強まっている。この現状をどのように受け止められているか。

【幹事長】いろいろな議論があると思いますけれども、あまり固定的に考える必要は
ないと思います。公明党のご意見、確かに厳しいものがありますが、しかし、子ども
手当というのは公明党が推進してこられた児童手当の充実の延長線上にあるとも言え
るわけで、大きな方向性としては、私は違っていないのではないかと思います。いろ
いろな議論があれば、手直しをすることも含めてやぶさかではありませんし、何より
もこの法律が通らないことになれば、子ども手当も児童手当も支給できない事態にな
りかねませんので、そこは子を持つ若いお父さんお母さんの立場、あるいは子どもの
立場に立って、ぜひこれは公明党だけではなくて、他の野党も含めて、ご協力いただ
きたいと思っております。

【フリーランス・宮崎記者】参議院は過半数が121と考えると、自民党と公明党とみ
んなの党は最近よく共闘しているが、これで113、副議長を入れて114。実は野党側も
過半数のめどは立っていない。社民党、国民新党、たちあがれ日本と改革の統一会派
があるが、共産党の6議席が法案によっては賛成に回るのではとないかと思うが、い
かが思われるか。

【幹事長】それはわかりません。案件によりけりだと思いますが、基本的に予算関連
法案はなかなか難しい問題があるのではないかと思います。先々のことをあまり固定
的に言わないほうがいいと思いますので、あらゆる可能性を追求したいと思います
が、客観的にはなかなか大変なことだなとは思います。
これで例えば仮に総選挙をやって政権が代わったとしても、やはりねじれは続くわ
けで、今の自公が衆議院で過半数を仮に取ったとしても、参議院においては厳しい状
況に陥ることは事実で、やはりここはどの党が政権を取ったとしても、衆院と参院で
多数派が違うという事態で国の政治が動かなくなることは当然予想されることなの
で、私の提案いたしました両院協議会のあり方とか、そういったことも含めて、しっ
かりとした国民の立場に立った議論が、今求められていると思っています。
そういう議論をしないと、どんどん有権者の皆さん、国民の皆さんが、この国会に
おける議論、あるいは政党に対して関心をなくすというか信頼感をなくしてしまう、
今そういう状況が起こりつつあるのではないかと思っています。名古屋の選挙の結果
というのは、これは民主党だけではなくて自民党にとっても深刻な事態で、お互いそ
ういったことについては共通の認識を持って対応していかなければいけないと思って
います。




TOP