夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年2月10日号
愛知県知事選と名古屋市長選は、大変厳しい戦いだった。民主党幹事長として、選挙結果を真摯に受け止めている。
こうなった背景は、大きく2つ考えられる。
第1は、名古屋市議会が長年、民主党をはじめ、自民党も公明党も与党という体制で、有権者の方々から見て分かりにくかった。そこにメスを入れたのが、「市議会議員は優遇されている」「報酬を半減させる」などと訴えた河村たかし市長だった。
第2は、やはり減税だ。国だけでなく、地方自治体も財政問題は深刻なのだが、河村氏のアピールはそうした現実を吹き飛ばした。
もちろん、こういった2つの背景に加えて、国政の閉塞感、既存の政党に対する失望感があったことも否めない。
今回の有権者の方々の判断は尊重したい。わが党が完敗したのは間違いない。ただ、この選挙の評価は、郵政選挙がそうだったように、しばらく時間が経過してから下されることだろう。
さて、わが党の小沢一郎元代表が先月末、政治資金規正法違反罪で強制起訴された。予想されていたとはいえ、残念というしかない。7日の党役員会では、「党の結論に時間をかけるべきではない」「役員会の議論を踏まえて幹事長一任」ということを確認した。
私は8日、菅直人首相と会談し、この問題について報告し、首相の意見を伺った。近く、党として最終的な方向性を出したいと考えている。
こうした中、大相撲の八百長問題が国民的関心事となっている。以前、週刊誌などが疑惑を指摘した際は、「(八百長など)あって欲しくない」と思っていた。しかし今回、携帯電話のメールという具体的な証拠が示された。極めて深刻な問題というしかない。
私は小中学生のころ、家に帰るとテレビで大相撲中継を見るのが好きだった。身体を鍛え上げた力士たちが見せる、一瞬の技の切れ味に唸ったものだ。当時、故郷・三重県出身の力士が多かったこともあり、土俵上での一番一番に手に汗握ったことを覚えている。
八百長問題を受けて、大相撲再生の最前線に立つのは、日本相撲協会の放駒理事長だ。大関・魁傑時代、誠実な土俵態度と豪快な取り組みをよく覚えている。放駒理事長は「ウミを全部出し切るまでは、土俵の上で相撲を見せられない」と問題の徹底解明を表明している。
この難局を乗り越えるには奇策はない。放駒理事長のこうした姿勢に、暗闇の中に一筋の光を見た気がした。