民主党幹事長としての記者会見(4月28日)
岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年4月28日(木)16時01分~16時49分
編集・発行/民主党幹事長室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
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■冒頭発言
○第1次補正予算と関連法案の審議について
○日韓図書協定について
■質疑
○補正予算と関連法案について
○復興財源について
○憲法改正の議論について
○自民党との合意文書について
○沖縄訪問について
○「総調和の会」等の動きについて
○地方選挙の延期について
○鈴木三重県知事との面談について
○「新しい公共」について
○選挙制度改革について
○マニフェスト検証委員会の見通しについて
○自然エネルギーを軸とする復興構想について
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■冒頭発言
○第1次補正予算と関連法案の審議について
【幹事長】これから第1次補正予算の審議が始まります。調整にはいろいろな課題も
ありましたが、そういったことを乗り越え、野党の皆さんのご協力もいただきなが
ら、審議入りすることができたことは非常にうれしく思っております。
つくるまでに時間がかかっている、遅いとか、阪神・淡路大震災と比べてどうだ、
ということも言われましたが、もちろん状況は違うわけで、阪神・淡路のときには年
度末でお金がない中で、急いでつくらざるを得なかった。今回の場合には予備費で当
面必要なお金を手当てしながら、関係者のヒアリングなども行い、あるいは各党・政
府の実務者会合などで各党からもいろいろなご意見をいただいて、そういうものを踏
まえて、この4兆円強という規模の大きな補正予算ができたわけであります。
先ほど代議士会でも申し上げましたが、今朝も全漁連(全国漁業協同組合連合会)
の会長とお話をしたとき、「いろいろな要望を本当によく取り入れてもらった」とい
う感謝の言葉を述べられました。確かに1回の補正で年間の漁業予算を上回るような
手当てがされているわけですから、そういう意味で今申し上げた言葉が出てくるのも
わかるわけであります。例えば、船を失った漁民の皆さんの当面の仕事を確保するた
め、瓦れきの除去に日当を払って漁業組合の構成員の皆さんにやっていただくことも
その中に書かれております。
そもそも私が岩手に行ったときに、「湾内の瓦れきの除去は、どの役所がどういう
仕組みでやるのか」という質問が出たほど、実ははっきりしていなかったわけです
が、これを水産庁の予算の中でやると。しかも、それは漁業組合加入の漁民の皆さん
の日々の収入につながる形でやるということで決着したわけであります。
これは1つの例ですが、そういう形で関係者の皆さんのご意見を聞きながら、仮設
住宅や瓦れきの除去などの必要な予算を、かなり思い切って必要な額を盛り込んだ、
そういう補正予算であります。後は早くこれを成立させて、そして実施していくこと
が当面極めて重要だと思っております。
もちろんその後、様々な課題が残されております。特例公債法案は通っておりませ
んし、それから今回使います2.5兆円の年金財源についても、その裏付けになる法
律について、まだ野党の皆さんのご理解が得られているわけではありません。そう
いった問題、あるいは子ども手当をはじめとする様々な政策の見直し、そして税制、
そういったことについて1次補正が成立後、直ちにまた議論していかなければいけな
いと考えております。
あわせて、復興基本法の問題があります。今日も官邸で総理も交えて基本法の問題
を中心に議論をいたしましたが、あまり時間を置かずに出したいという官邸・政府の
意向もありますので、その考え方に沿った形で各党との調整もできるだけこなしなが
ら、しっかりしたものを出していきたいと考えております。
以上が補正や関連法案の審議についての問題であります。
○日韓図書協定について
【幹事長】先ほど衆議院本会議で日韓図書協定の採決が行われ、衆議院を通過するこ
とになりました。ちょうど1年ほど前、私が外務大臣として取り組んでいた問題で、
いろいろな議論が政府の中にも、正直言ってありました。あるいは外務省の中にもあ
りました。そういう中で、やはりこれは日韓(併合)100年という区切りの年に、
きちんとした対応をすべきだということで、引き渡しの範囲を決めて、おそらく韓国
側もこれだけ多くのものが引き渡されることはある意味では予想していなかったので
はないかと思いますが、この際しっかりとした対応をしようということで、政治主導
で取り組ませていただきました。今回、衆議院を通過したことは大変うれしいことで
あります。
ただ、自民党が反対に回ったことは大変残念なことで、日韓関係の重要さを考えれ
ば、これは気持ちよく賛成していただきたかったと思います。本当に残念なことだ
と。従来の自民党の幹部の皆さんの発言とも必ずしも整合性がない対応であったこと
は、申し上げなければならないと思っております。
いずれにしても、これからの日韓関係100年の1つのステップになったのではな
いか。もちろん、まだ参議院は残されておりますが、そう考えているところでありま
す。
■質疑
○補正予算と関連法案について
【毎日新聞・野口記者】亀井静香国民新党代表は「復興実施本部」の実現をまだ目指
しているが、基本法を早く成立させないと体制がなかなか整わない。今日、亀井代表
と岡田幹事長が会談されて、野党と実施本部に向けての調整のめどはついたという感
触か。亀井代表の野党との調整を幹事長はいつまでお待ちになるお考えか。
【幹事長】まず、亀井代表のこれまでの努力に対して感謝申し上げたいと思います。
大変困難な課題に時間を割いて、正面から取り組んでいただいたわけであります。た
だ、まだ具体的に、それではそれに参加をしようというところまでは行っておりませ
ん。残された日々、さらに亀井代表に頑張っていただくとともに、私もしっかりその
実現に向けて努力をしたいと思っています。
【朝日新聞・南記者】亀井さんの言う実施本部だが、今日亀井代表と大島自民党副総
裁がお会いになったときには、連休明けに結論を持ち越した。政府・与党の方針とし
ては、連休明けまで回答を待つことは可能なのか。
【幹事長】今日も亀井代表に、なるべく早く話を詰めていただきたいとお願いしてま
いりました。
【産経新聞・宮下記者】基本法に関しては、実施本部以外にも、政調のほうで自民党
と共同提案できないかと模索されているが、この中で、将来的に「復興庁」、名称は
別として独立官庁をつくるという2段階論もある。これについてのご見解と見通しに
ついて伺いたい。
【幹事長】われわれ及び政府が考えておりますのは、(復興施策を)企画・立案し調
整する、そういう「復興庁」、名前はどうなるにせよ、そういう役所を考えていると
いうことです。
ただ自民党からは、実際に実施もすべきである、そういう官庁にすべきであるとい
うご提案があるということであります。実施をするということの意味ですが、例えば
直轄事業であれば公共事業も自分でやると。国土交通省とか農水省とかそういうとこ
ろの地方支分部局ではなくて、その新しい役所が全部やり切るという発想でありま
す。それぞれメリット・デメリットはあります。
そもそも、復興構想を考える際に、これは東北3県に限ったものにするのか、東北
6県全体にするのかという問題、あるいはもう少し、茨城や青森の一部なども含めて
被災地全体にするのか。その実施の中身も、復興だけやるのか、それとも根っこから
やるのか。つまり地方支分部局が持っている権限について、その地理的範囲の中では
全部やり切ることにするのか、復興だけ担当するのか。いろいろな議論があり得ま
す。その辺の議論をきちんと整理しないと、なかなか決着できない問題ではないかと
考えております。
したがって、そういったことは少し時間をかけて議論せざるを得ないと思っており
ますので、今、私ができるとかできないとか言うべきではない。よく協議をしながら
考えていくべき問題。つまり、今回の大震災からの復興をどういう体制でやることが
最もいい結果につながるか、そういう視点でまさしく政策論として議論しなければい
けないことだと思っています。
【テレビ朝日・平元記者】幹事長は亀井さんの交渉をまだ待たれる姿勢を表明された
と思うが、基本法の提出はいつごろというイメージか。
【幹事長】(5月)2日というのは1つの目安になっております。「目安」というの
は、政府としてはそう考えておられるということです。幹事長としては、その政府の
考え方を最大限尊重しながらやっていかなければいけないと。しかし一方で、亀井先
生は大変困難な課題に直面しておられますから、それをどう調和させていくかという
ところに幹事長としての大変さがあるということです。
【テレビ朝日・平元記者】亀井さんと大島さんは「ゴールデンウイーク明け」と言っ
ておられる中で、幹事長が「2日を目安」とおっしゃったことは、亀井さんと大島さ
んの結論を待たない可能性もあるということか。
【幹事長】「目安」と言ったのは、私が目安と言っているのではなくて、政府として
はそう考えておられるということです。「連休明け」がどういうことで出てきたの
か。連休の間はどうして議論できないのかということも、よく聞いておりませんの
で。一方で2日という目安が政府から示されており、他方で大島さんと亀井さんの間
で連休明けという合意があると伝えられているわけですから、今後どうやってその溝
を埋めるのかということをいろいろ模索しているところです。
【産経新聞・宮下記者】2日を目安に政府が出すということで、今、民主党でも法案
を考えておられると思うが、先ほど「時間をかけて対策について考えるべきだ」と。
その法案の中で、一定期間後にそういった体制を見直すとか、具体的に盛り込まれる
お考えはあるか。
【幹事長】それは法案が閣議決定されたときに決まる話でありますので、今はあまり
いろいろなことを言わないほうがいいと思いますが、自民党の言っておられることが
全く問題外だと言うつもりはありません。いろいろ協議していく価値のある問題だと
思っています。
○復興財源について
【共同通信・中久木記者】幹事長は国債償還のためには増税はいずれ必要という考え
だと思うが、昨日、民主党の1回生議員が集まって「増税なき復興」、増税ありきの
復興財源論議に反対する集会を開いた。党税制改正PTの座長である小沢鋭仁さん
も、同じように(増税に)反対の意見を述べられた。こういう党内の意見をどう受け
止めているか。
【幹事長】この問題を扱う場はこれから決まりますので、そこで大いに議論されたら
いいと思います。
ただ、もちろん増税というのは、すぐ増税するということではありませんから。国
債を発行して時間をかけて償還する、そのために増税が必要である、こういう話で、
この復興のためにすぐ増税するという意味ではないことは申し上げておきます。つま
り「国債の発行か、増税か」という選択の話ではないということですね。
それから国債を発行するに際して、まずは歳出を見直すことは当然のことであっ
て、われわれも、子ども手当も見直します、高速道路の料金割引ももう一回きちんと
根っこから議論します、ODAも今回500億円削減となりましたが、これだってさ
らに議論を深めなければいけない、公務員の人件費についても議論の対象にします
と。それから「埋蔵金」とか、さまざまな見直しについても全部しっかりやる。そう
いう作業は城島さん(政調会長代理)が座長を務める「歳出見直し検討チーム」の中
でやっていただきたいと思っています。今日もそういうことを指示したところです。
そういうことをまずやって、それでも足らざるところについて、やはり国債で賄わざ
るを得ない部分は残ると。つまり、かなりの規模になると思っていますので、いくら
そういったことで、今の予算を見直したところで限界がある。そうしたところは国債
でやらざるを得ない。
しかし、その国債を発行するときに、今の日本の状況から見て、やはり何らかの担
保は要る。既に国債の格付けのさらに引き下げの可能性が示されている。そういうこ
とをやはりきちんと党の中で議論して、もし最終的に税を担保にしないでやるとした
ら、それはどういうやり方でやるのかということもあわせて議論していかないと、例
えば対策の規模を圧縮するのか、それとも国債を発行しなくても歳出の見直しの中で
多額のお金がそこから出てくるのか、そういうことも含めてきちんと議論すればいい
ということだと思います。
【日経新聞・恩地記者】財源の一つとして「埋蔵金」の活用とおっしゃる方が与野党
にいる。外為特会とか国債整理基金特会から数十兆出るという話もあるが、一方で慎
重論もある。幹事長としては、「埋蔵金」から財源を出す余地はあるとお考えか。
【幹事長】既に今年度予算の中で、外為特会からの繰り入れはやっているわけです
ね。ですから、それ以上にやるという場合に、それがどういう形で可能なのかはしっ
かりと示される必要があると思います。利息分だけではなくて、元本にあたる部分に
まで手をつけることが可能なのかどうか。それは結局、借金をすることとどこが違う
のかということですね。
国債整理基金特会は、よりそのことは言えるわけで、本来国債の償還に充てるため
に定率で繰り入れられたお金ですから、それを違う用途に使うことになれば、じゃあ
定率繰り入れはもうしないのか。しなかったときは確かにありますが、今これだけ大
きな国債の残額を抱えている中で、定率繰り入れしないのだということをメッセージ
として発することがどういうリスクを伴うのかは、しっかり考えていかなければいけ
ないと思います。結局それは、本来、国債を返すためのお金を使うだけですから、あ
る意味では国債を発行するのと変わらないと私は思っています。
【フジテレビ・橋本記者】S&P(スタンダード&プアーズ)の国債の格付けの見通
しが「ネガティブ(弱含み)」になった。そういった評価が今後の国債発行の議論に
何かしら影響を与えるか。
【幹事長】それは当然でしょう。国債の評価が下がることは、与党議員として、ある
いは政府として、それを避けたいというのは当たり前のことだと思います。そうでな
いと、金利が上がったり、あるいはそれが社債その他にも影響してきて、いろいろな
産業活動にも影響を及ぼしかねないことは、これは誰にでもわかることだと思うんで
すね。
【朝日新聞・南記者】1次補正の財源確保法案について、自民党も賛成の方向で調整
を始めた。このことの受け止めと、自民党と賛成にあたって合意文書を交わす予定は
あるか。
【幹事長】財源確保法案については、自民党はじめ各党にお願いを、働きかけをして
まいりましたので、もし賛成ということであればそれは大変ありがたいことだと思い
ます。ただ、最終的な意思決定はまだなされていないのではないかと思いますので、
それ以上のコメントはいたしません。
何らかの合意文書といいますか、それは賛成・反対ということもあるのですが、や
はり今後の全体の運営の中で、基本的な考え方はできればまとめておいたほうがいい
と考えております。これからいろいろなことをやらなければいけませんので、税のつ
なぎ法も6月末で切れてしまうわけで、その後どうするかという問題もありますし、
税制改革、法人税の引き下げも含めてどうするのかという議論も行わなければなりま
せん。環境税とか、所得税、相続税の増税もそこには含まれております。子ども手当
をどうするかもあります。いろいろなことをスピーディーに合意していかなければい
けませんので、補正予算が通るということは、その次なる合意を目指しての議論のス
タートになると考えております。
【フリーランス・横田記者】「埋蔵金」の関連で、電力会社が積み立てた約3兆円を
東電の賠償に充てるべきではないかという指摘が出ている。結果的に国民負担を減ら
すことになると思うが、これについてどうお考えか
【幹事長】電力会社が積み立てたものは電力会社のお金ですから、税金ではないと思
いますので、それをそのまま東電の賠償に充てることが法律上あるいは株主の利益と
いう観点から成り立つことなのかどうかは、きちんと検証しなければいけないと思い
ます。
○憲法改正の議論について
【朝日新聞・有馬記者】民主党内は憲法調査会が2007年以降設置されていない状
況が続いている。一方で衆参の憲法審査会は設置されたが動いていない。憲法改正の
議論については今後どう進めていくお考えか。
【幹事長】憲法改正については非常に重要な問題であると考えています。ただ、今こ
れだけの大震災が起きて、そこに全力投球しておりますので、国会の中も含めて、
今、憲法改正論議に多くのエネルギーを注ぐ状況ではないと考えております。
【朝日新聞・有馬記者】大震災を契機にして自民党内に、憲法に緊急事態条項を入れ
て、緊急時の内閣の権限強化や国民の権利制限を位置づけようとする動きが出てい
る。幹事長は緊急事態条項の必要性についてはどのように考えておいでか。
【幹事長】まず、党内でそういう議論はしておりませんので、全く私の個人的意見に
なりますが、今回の大震災が契機であるというのであれば、今回の大震災で、どこ
で、どういう不都合があったのかということがきちんと検証されることが前提だと思
います。単に「大震災が起こったから、直ちに人権制限も含む緊急事態に関する条項
が要る」とは必ずしもならないと私は思います。
【朝日新聞・有馬記者】今、復興、被災者の生活再建を進めているが、憲法の理念を
こういった施策にどう反映していくのか。
【幹事長】それは、憲法の理念といっても一様ではありませんので、どういう答えを
期待しておられるかわかりませんが、答えにくい問題だと思います。
ただ、当然、基本的人権の尊重は憲法の大きな柱でありますので、そういったこと
について、例えば被災地で生活しておられる皆さんは最低限のその保障すらない状態
ですから、少しでも早く、例えば仮設住宅をつくってそこにお移りいただくために全
力を挙げなければいけない。昨日の総理の発言もそういう思いから出たことだと思い
ますが、そういうことをはじめ、やるべきことはたくさんあると思います。
○自民党との合意文書について
【読売新聞・石川記者】先ほどの質問で、財源確保法案に自民党が賛成することにつ
いての合意文書を交わすということだが、特例公債法案も賛成を前提に合意文書を交
わすという一部報道もある。玄葉政調会長などは、補正と特例公債を切り離すという
発言をされている。その合意文書は何を前提としたものか。
【幹事長】先ほどお答えしたと思います。何かを前提にしたものではありません。
○沖縄訪問について
【新月通信・ペン記者】日米合意は約1年前だが、現段階で沖縄県の政治家は県知
事、各議員、名護市長、宜野湾市長、みんな日米合意に反対している状態だと私は認
識している。この認識は正しいか。
【幹事長】それは「政治家」ということの定義の問題にもかかわりますので、私が
「全員が反対している」と断言はできません。それだけの情報は持ち合わせておりま
せん。しかし、ほとんどの沖縄の政治家あるいは県民の中に、日米合意に対して厳し
い見方があることは事実だと思います。
【毎日新聞・野口記者】普天間の移設問題がなかなか進んでいない。鳩山政権では基
地の問題だけが突出したことで失敗したように見える。幹事長は来週また沖縄を訪問
されるが、今回は基地の問題だけではなくて、沖縄の振興と基地の問題をうまくリン
クさせながら沖縄の理解を得ていく方針で取り組んでいくお考えか。
【幹事長】私は前から申し上げておりますが、なぜ沖縄に行くのか。「沖縄の声に耳
を傾ける」ことに尽きると思います。それ以上に、基地の問題とか振興とかいろいろ
あると思いますが、何かそういうことに目的を持ってやっているのではなくて、沖縄
をよく知り、沖縄の声に耳を傾けることが非常に重要ですので、そのために私は沖縄
に定期的に行くことにしているわけです。
【新月通信・ペン記者】日米合意以来の政策について不明な点がある。今の民主党の
政策に、最後に沖縄県民が「ノー」と言ったらどうするのか。沖縄県民にはこの問題
に対して「ノー」と言う権利があるか。
【幹事長】今の政府の立場は、この日米合意、これは私が外務大臣として責任を持っ
てアメリカと交渉して合意文書をつくり上げたものですが、しかし、簡単にこれが沖
縄の皆さんに理解されるとは思ってこなかったわけだし、今もそうは思っていないわ
けです。少し丁寧に、時間をかけながら、理解を得ていくことしかないと思います。
それ以上のことを今、私、何か言うつもりはありません。
○「総調和の会」の動き等について
【NHK・広内記者】先日、党内の「総調和の会」で、山岡副代表らが両院議員総会
の開催を求めて幹事長のところにもいらっしゃった。こうした党内の動きをどうごら
んになっているか、この総会の要請についてどのように対応するお考えか。
【幹事長】私、総会の要請はちょっと承知しておりませんので、わかりません。
ただ、この前も申し上げたかもしれませんが、山岡副代表がお見えになりましたの
で、「総調和の会」の趣意書を見ると、菅政権を代えなければいけないと。菅政権を
代えることで公明党と連立を目指すという趣旨のことが書いてあると。そういう何か
政局的な話であれば、やはりそれは今のこの時点で、復旧・復興に全力を挙げて政府
がやっているときに、党内政局のようなことをやることは適切ではないのではない
か、と申し上げたところであります。
それから「菅政権を代えれば公明党と連立できる」とか、何か具体的な根拠がある
のかどうかですね。私の感覚とは違うので、例えば山岡さんが総理になったら公明党
と連立政権ができるとは、私は考えておりませんので、ちょっとよくわからない話だ
なとは思っております。
【フリーランス・安積記者】昨日「一一(ピンピン)会」という1年生議員中心の会
合で、今の復興対策について不満があり、自分たちも何かしら肩書きを持って復興に
寄与したいという意見があって、石井一議員から「わかった」と。幹事長には、新人
議員との懇談会でこういった具体的な要望はあったか。それについて受け入れたこと
はあるか。
【幹事長】まず、政府の肩書というのはなかなかそう簡単ではありません。法律上、
実質的な意味を持った肩書であれば、国会議員がなることについて様々な制約が課せ
られております。
ただ、復興に積極的にかかわることは非常に大事なことで、それは別に肩書の問題
ではないと思います。今度の連休も、今日、代議士会で渡辺周国民運動委員長が言い
ましたように、各被災地のそれぞれの具体的な、被災者の皆さんが集まっておられる
ところを訪ねて、いろいろ声を直接聞いてきてくださいとお願いしております。今、
50数名の方が、当選1回生ですが、手を挙げていただいて、2人で1チームになり
ますが、25チームが4ヵ所行けば、それで100ヵ所の声が伝わります。私は「後
で報告をそれぞれお願いしたい」と言っているわけですが、そういう形で積極的にか
かわっていただければいいわけです。
あるいは今、(民主党関係者と)名乗ってはいませんが、民主党の国会議員が秘書
の皆さんはじめスタッフとともに、毎週バスを民主党が出して、被災地で泥かきとか
いろいろなボランティア活動をやっております。これは名乗っておりませんので、あ
まり知られておりませんが、実際に現地の被災された皆さんからは感謝の言葉も寄せ
られております。いろいろなことでチャンスはありますので、そういうことに積極的
にかかわっていただければいいことではないかと私は思います。
○地方選挙の延期について
【朝日新聞・南記者】今日の政治改革推進本部役員会で、政府が考えている(地方選
延期の)法案についての審議を行ったと思うが、最大で1年延期するという政府の考
え方について、幹事長としてどのように思われるか。野党側からは、地方選を延期す
ることは総理の解散権を縛るものではないか、という意見が出ているが、国政選挙を
縛ることにつながるものなのか。
【幹事長】国政選挙を縛るものではありません。ただ1年というのは、非常に長いこ
とは事実ですね。国民の「選ぶ権利」を制限することにつながりかねないわけです。
そういう意味で、本当に選挙人名簿がそろわないとか、あるいはどれだけ努力して
も、選挙にかかわる職員をきちんと確保できないとか、そういう状況の中で初めて延
期が認められるわけで、それは例外中の例外であると。本来任期4年で選んだつもり
の議員が、5年以上やることになれば、それはやはり新しく出ようと思っている人か
ら見れば、自分たちのそういったチャンスが失われるわけだし、選んだ側から見て
も、4年のつもりで選んでいるのに、なぜ重要な復興にかかわるときに選挙を経ない
議員が、「経ない」という意味は4年を超えてですね、そういう議員がやっているの
か、という議論もあるわけです。
今日、総務省の選挙部長が来て説明しましたが、私、そのときにも申し上げまし
た。「これは内閣の中できちんと決まったことなのか」と。返事はありませんでし
た。つまり、内閣の中でも1年ということで意思統一されているわけではない段階で
の今日の説明であります。私が申し上げたことも含めて、なお政府の中で調整がなさ
れるものだと考えております。
○鈴木三重県知事との面談について
【伊勢新聞・中森記者】昨日、鈴木知事と面談されたが、その印象と、鈴木県政への
期待や注文があれば伺いたい。
【幹事長】お会いしたときに申し上げたとおりです。県民に選ばれた知事ですから、
存分に頑張っていただきたいと思います。県の職員も非常にポテンシャルのある人た
ちなので、その力を最大限引き出して、いい県政をやってもらいたいと。知事からは
「三重県議会は47都道府県議会の中で改革の最も進んだ県議会なので、協力しなが
らやりたい」というお話もありました。まさしくそれはおっしゃるとおりですので、
二元代表制、一定の緊張感を持ちながら、しかし、しっかり議論を行って三重県を
引っ張っていってもらいたいと考えています。
○「新しい公共」について
【世界日報・山本記者】昨日の民主党BBLで、「新しい公共」という概念について
議論があった。保守側からは「既成の官僚・政治機構に対して、住民運動を通して市
民ネットワーク主導で政治を変えていく」という警戒感がある。幹事長は「新しい公
共」をどのようなものとしてとらえているか。
【幹事長】「新しい公共」の中身は様々ですが、基本的にこれは民主党の非常に大事
な価値だと思っております。
○東電の原発事故損害賠償について
【TBS・細谷記者】原子力損害賠償法に定められている免責規定を適用するかどう
かという議論について、幹事長の意見をお聞きしたい。
【幹事長】これは、一つはやはり法解釈の問題だと思います。当然、訴訟その他も考
えられますので、条文に則してしっかりと考えなければいけない問題であると思いま
す。それ以上、条文の解釈に関して私は個人的にコメントいたしませんが、基本的
に、最終的には政府がしっかりと、被害を受けた方々に向き合わなければならないこ
とは言うまでもありません。あとは東電と政府がどのように責任を分担するかという
話で、これは法律の趣旨にのっとって、よく政府の中で議論すべき話だと考えており
ます。
○選挙制度改革について
【読売新聞・石川記者】選挙制度改革については前回の会見でも質問が出て、法改正
が必要なので野党との協議が必要だと。今後、与党としてどのように進めていくの
か。野党との協議はいつごろ設けるおつもりか。
【幹事長】これは時間をかけるわけにはいかない問題ですが、同時に、非常に大きな
問題です。参議院もそうですし、衆議院も、基数配分そのものが法の下の平等の考え
方から見て合理性がないという趣旨のこの前の最高裁判決が出ていますので、その判
決は尊重しながら、どういう答えがあるのか、党の中でも、そして各党間でも議論し
なければなりません。各党の中であまり議論が進んでいないようにも思います。ぜひ
各党にも議論していただきながら、どこかで各党間で協議しなければいけないと思っ
ております。現時点ではやはり補正予算を通したり、この震災の問題にかなり私のエ
ネルギーは注がれておりますので、それがもう少し見えてきたところで考えなければ
いけないと思います。
○マニフェスト検証委員会の見通しについて
【フジテレビ・橋本記者】今後復旧に向けてマニフェストにさわる部分も議論になる
かと思うが、マニフェストの検証委員会はいつごろ開かれるか。
【幹事長】2次補正に向けていろいろな議論を行わなければなりません。したがっ
て、その議論をある程度やりながら、マニフェスト検証委員会を動かしていくことに
なると思います。2つとも一緒にやるのは非常に混乱を招きますので、急がなければ
ならない実際の2次補正に向けての検討、これをまずやったうえで、マニフェストの
検証は、根本の考え方まで含めた検証になると思いますので、単に数字の、金額の問
題だけではなくて、それは2次補正の議論を踏まえたうえで、行っていくべきだと考
えています。
ただ、これもあまり時間をかけるわけにはいかない問題で、党として、次の選挙に
向けて新たな公約を考えていく作業につながるものでありますので、やることは本当
にいっぱいあるなと思っております。
○自然エネルギーを軸とする復興構想について
【フリーランス・横田記者】玄葉大臣は福島県の復興について自然エネルギーを軸に
した復興を提案している。その一方で原発事故賠償スキームの政府原案は、電力会社
の地域独占体制を前提とした、発電と送電の分離が事実上不可能になっているという
批判が出ている。自然エネルギーの普及には発電と送電の分離が不可欠だという指摘
が出ているが、この点について政府に対して見直すべきだとおっしゃるつもりはある
か。
【幹事長】今おっしゃった「政府案」というのは、まとまったとは私は理解していな
いのですが。したがって、今コメントするのは適切ではないと思います。
【フリーランス・横田記者】一部報道では、そういう案があると。
【幹事長】報道をどこまで信用するか。いろいろな憶測記事もたくさんありますの
で、私、それをいちいち前提にコメントはいたしません。
自然エネルギーは非常に重要なことで、これから新しい東北を考える際に、やはり
風力とかバイオマスとか、そういった新たなエネルギーを重要なものとして、一本の
柱として位置づけて考えていくべきだと、個人的にはそう思っておりますし、そう申
し上げているところであります。