民主党幹事長としての記者会見(5月26日)
岡田克也幹事長/記者会見要旨
2011年5月26日(木)16時30分~17時01分
編集・発行/民主党幹事長室
★会見の模様を以下のURLで配信しています。
http://asx.pod.tv/dpj/free/2011/20110526okada.asx
http://www.ustream.tv/channel/dpj-channel
***********************************************************
■冒頭発言
○総理のサミット出席について
■質疑
○総理のサミット出席について
○内閣不信任案について
○超党派の議連について
○福島第一原子力発電所事故対応について
○内閣法改正案について
○ぶら下がり取材について
○鳩山前総理の発言について
***********************************************************
■冒頭発言
○総理のサミット出席について
【幹事長】総理が、サミット出席のためにフランスに行っておられます。こういう大
震災の後、しかも日本の復興についても議論がされるということでありますし、原子
力の問題も非常に大きなテーマでありますので、しっかり国益を踏まえて大活躍をし
ていただくことを期待したいと思います。
先ほどお電話をいただきまして、エネルギーの、特に太陽光発電についての演説の
中身についてご説明をいただきました。行く前にも聞いておりましたので、改めて今
電話をいただいてお聞きする必要もなかったのですが、あるいは事前に説明したこと
を忘れてしまわれたのか、あらためて幹事長に伝えておかないといけないと思われた
のか、1000万戸に対して設置することなどお話をいただきました。非常にお元気そう
で、大事な場面ですのでしっかりと対応していただきたいと思います。
私も1年前、カナダのサミットのときは、ちょうど総理が就任された直後で、外務
大臣として、普通は外務大臣と総理大臣が一緒の会議に出ることはないのですが、異
例でしたが私もカナダにお伴をして、サポートさせていただきました。サミットその
ものには出られないのですが、バイの会談がたくさんありましたので、そこに同席さ
せていただいてサポートさせていただいたわけであります。
あれからもう1年たったのか、あるいは、まだ1年かという感じ、いずれもありま
すが、日本の置かれた状況もかなり変わりました。そういう中でしっかりと日本の
リーダーとしてご活躍いただきたいと思っております。
■質疑
○総理のサミット出席について
【フジテレビ・橋本記者】菅総理はフランスに行かれて、サルコジ大統領はじめ各国
首脳と会談される。サルコジ大統領は、震災直後に、世界から一番早く日本に来てい
ただいた首脳だ。今回、菅総理が日本の首相としては4年ぶりにフランスを訪問した
が、今後の日仏関係をどのように考えられるか。お互い原子力に依存している国同士
ということもあるし、どのような2国間関係が形成されていくとお考えか。
【幹事長】フランスは、やはりEUにおけるリーダー国の1つでありますので、私も
外務大臣のときにフランスとの関係を、ドイツと並んで非常に重要なものだと感じて
おりました。残念ながらフランスに行く機会がないまま終わってしまいましたが、原
子力の問題に限らず、これから世界の問題、貧困の問題とか温暖化の問題とか、そう
いった大きなテーマを議論する際にドイツ、フランス、あるいは英国、そういった
国々としっかり連携をとっていくことは非常に大事だと思います。
一時、G20ということが非常に重視されたというか、もてはやされたわけですが、
もちろんG20、新興国を含めて大事ですが、基本的な価値観を同じくするG8の重
要性は全く変わっていないし、むしろ、これから経済危機とかそういうときにはG2
0が非常に重要ですが、もう少し政治的な課題を議論するときにはG8は極めて重要
で、その中でもアメリカと並んでEU、EUの中のフランス、非常に重要な関係を日
本としては築いていかないといけないと思います。
【フリーランス・宮崎記者】幹事長は外務大臣当時から、各国の首脳が交代すること
によって外交上非常に国益を損ねている、総理大臣や外務大臣は長く務めるべきだ、
とおっしゃっていた。今回のG8サミットは偶然、メンバーが全員昨年と一緒で、幹
事長が望んでいる日本の外交にちょっと近づいたのではないかと思うが、ご感想はい
かがか。
【幹事長】それは、たまたまということもあると思うんですね。来年は、といいます
か、リーダーがそれぞれ、選挙があったりして替わる可能性はあるんですね。誰が替
わるということは言いませんが、選挙があるという意味では、アメリカ、フランス、
ロシア。ドイツはどうでしたかね。そういう意味で大きくかわる可能性もあるという
ことであります。今年は選挙の前で、替わらないメンバーで、そういう意味では今の
メンバーになって2回目のサミットですから、より親密に、しっかりとお互い信頼関
係ができた中でのいい議論がなされることを期待したいと思います。
外相会議でもそうですが、やはりマルチの会議になるとどうしてもお互いの信頼関
係、人間関係ができた中でないと、なかなか突っ込んだ議論ができないということ
で、私は日本のリーダーも毎年のように替わることは、明らかに国益を損なっている
と思います。そういう意味でも、菅総理にはしっかりとやっていただきたいと思って
います。
○内閣不信任案について
【朝日新聞・南記者】谷垣自民党総裁は今日の記者会見で「内閣不信任案を提出する
のは野党の責務だ」と述べ、改めて不信任案提出に意欲を示した。党内にも同調する
ような動きが伝えられているが、野党が提出する不信任案に、民主党としてはどのよ
うに対抗していくお考えか。
【幹事長】内閣不信任案は、野党にとっては非常に悩ましい話であって、我々も野党
時代に、出さないわけにはいかない、しかし出す理由もなかなか難しい、というジレ
ンマに常に陥りますが、基本的には会期末までに必ず出すのが普通ですので、どこか
で当然、出てくると思っております。
ただ、こういう大きな震災のときですから、必ず出さなきゃいけないものでもない
ので、そこは野党のほうでもよく考えていただきたいと。別に出すことがだめだと言
うつもりはありませんが、それなりの正当性を持って出していただきたいと思ってお
ります。
党内で同調の動きがあるとは、私、必ずしも思っておりませんし、何度も申し上げ
ておりますが、内閣不信任案に賛成することは、党を出るということですので、そう
いう覚悟をもちろん持ったうえで行動されるべきことであると思っております。
【フリーランス・安積記者】党籍が民主党のまま内閣不信任案に賛成した場合は、除
名の対象になるのか。
【幹事長】仮定の話はしませんが、内閣不信任案に賛成することはむしろ自ら党を出
られることが当然で、それを覚悟しない不信任案賛成というのは、私は考えにくいこ
とだと思います。それでも党に留まるということになれば、当然、党として処分は考
えなければならなくなるということです。
あまりこういう話をしたくありません。民主党の所属議員はきちんと良識をわきま
えて、しかもこういう時期にそういう議論をすること自体が、国民の期待に反してい
ると、そのことは多くの方は十分おわかりだと思います。
【毎日新聞・野口記者】賛成する場合、離党覚悟は当然だが、賛否を明らかにしない
で欠席する戦術について、党内でもそういう意見が出ているが、同様の処分を執行部
としては考えるのか。
【幹事長】そういう「たられば」の議論はしないほうがいいと思うんですね。どうし
ても内閣不信任案の話、メディアにとっては“おいしい”話なのか、非常に好んで取
り上げられ、そして本人が言っていないことまで想像して膨らませてお書きになる傾
向が非常にあると思います。そういう政局をもてあそぶことを、政治家はもちろん
やってはいけませんが、メディアの皆さんも十分気をつけていただきたい。一国の総
理をどうするかという話です。
先ほど、毎年総理が替わることは国益を損なうと申し上げましたが、もちろん短期間
で辞める本人が一番悪いわけですが、しかし、そういう状況をつくり出す一部のメ
ディアもあることは事実だと思います。それは日本の国益、国民の利益を明らかに損
なっていると思います。
ご質問に答えるとすれば、それは同じことだと思います。
【共同通信・中久木記者】昨日、鳩山前総理が参議院議員の集会で、「これから皆さ
ん方の気持ちも整理が必要なときが来ようかと思う」という発言があった。内閣不信
任案に同調する党内の動きがある中でこういう発言をしたことは、鳩山氏も同調した
と受け取られかねない。メディアも多くはそう報じたと思うが、この発言について幹
事長はどう受け止めているか。
【幹事長】そういうふうにして膨らませることはいかがかと、私は申し上げているわ
けです。別に鳩山さんは「不信任案に賛成すべきだ」などということは、一言も言っ
ていないわけで、「覚悟を持って政治をやらなければいけない」というのは政治家と
して当然のことです。
先ほども(議員在職)25年のお祝いに鳩山事務所をお訪ねして、この20年、25
年の自民党時代からの政治改革をともにやってきたことについて2人で話をいたしま
した。お互い覚悟を持って、この間やってきたつもりです。鳩山さんもそういう思い
で言われたことを、なにか不信任案に、勝手に結びつけて言っている。そういうこと
は、私はいかがかと思います。自重していただきたいと思います。
【時事通信・近藤記者】膨らませるのはいかがかということだが、松木謙公前農林水
産政務官や、先日、離党届を持ってこられた横粂勝仁議員も含め、賛成を明言してい
る議員もおり、実際に同調を募る声や賛成する声もあることについて、党内のガバナ
ンスという点から幹事長はどのように見ておいでか。
【幹事長】松木さんのことは私、承知しておりません。聞いたことがありません。も
し、どこでどういう発言をしたかをきちんとつかんでおられるなら、教えていただき
たいと思います。
横粂さんは全くそういうことは言われておりません。私は横粂さんと話をしており
ます。彼は「不信任案が出た段階で総合的に判断する」と言っているだけで、不信任
案に賛成することを無条件で言っているわけではありません。これも「膨らませ」の
1つの例だと思います。
○超党派の議連について
【テレビ東京・大江アナ】最近、超党派での議連の立ち上げが相次いでいるが、こう
した動きをどうごらんになっているか。
【幹事長】いろいろな目的があるとは思いますが、私は基本的に歓迎です。私自身
も、超党派の勉強会は当選1回のときからやってまいりました。当選1回のときに、
自民党で、共産党以外の各党の当選1回生同士でつくった勉強会は執行部からすごく
にらまれましたし、途中で見つかったらつぶされるということで極秘でつくって、そ
れは10年近く続いたんですね。今の「21世紀臨調」なんかのもとになったもので
あります。
それから新進党時代とか、いろいろな時代にいろいろな超党派の勉強会をつくって、
また党内でも勉強会をつくって、それは私自身の財産になっておりますので、そうい
うことはむしろどんどんやっていくべきだと思っています。政治家としての幅を広げ
て、各党の良質な部分でお互いが意見交換していくのは、これからの健全な民主主
義、議会政治をつくっていくうえで私は大事なことだと思います。
○福島第一原子力発電所事故対応について
【フジテレビ・橋本記者】1号機への海水注入が一時中断したとされる問題で、先ほ
ど東京電力が会見し、実は現場の判断で中断されていなかったと。明らかになったこ
の事実について、幹事長の受け止めをお願いしたい。
【幹事長】何とも申し上げられないですね。私、そのことについて全く関与しており
ませんので、事実かどうかもわかりません。
ただ、菅総理も、国会答弁されておりますように、中断したことは全く承知してい
ないと言われたわけで、それは東電の判断の中で起きたことであると。注入を始めた
こと、それから中断したことですね。というふうに国会でも言われていたと思いま
す。
そういう中で、実は中断もしていなかった、という東電の話ですか? それはそれ
で「ああ、そうですか」と言うしかないですよね。
【朝日新聞・南記者】総理も国会答弁の中で「中断した事実は承知していなかった」
と。中断したと東電と政府が前回発表して、それに基づいて国会答弁もなされてい
た。その事実については幹事長としてはどのように受け止めていらっしゃるか。
【幹事長】「知らない」と言っているのですから、それ以上何かコメントのしようは
ありません。中断していたのを「知っていた」と言っていれば、それは問題ですが。
【朝日新聞・南記者】誤った情報に基づいた国会答弁がなされてしまったことについ
ては、どうお考えか。
【幹事長】本人は「知らない」と答えているわけですから。誤った事実に基づいて、
その上に立って何か発言しているわけではありませんから、何か問題だとは私は思い
ませんが。
【読売新聞・石川記者】この問題をめぐっては、菅総理の発言と斑目原子力委員長の
発言との間に齟齬があったり、政府の報告書が出ていたが、今日の東電の発表によっ
てその大もとの前提が間違っていたことになる。それについてはどうお考えになる
か。
【幹事長】東電が「中断していなかった」と言ったわけですね。「中断していない」
ということを前提に新たなことを言っているわけではありませんので、もともと知ら
なかったことについて、事実関係が違ったからといって、それは何かコメントのしよ
うがないと思います。
それから原子力安全委員長のご発言は、私もご本人と直接話していませんが、
「『ゼロではない』というのはゼロだ」と言われたとしたら、それはいかがなものか
と。「ゼロではない」というなら、それは「ゼロではない」ことであって、「ゼロと
同じだ」というのは、もしそう言われたとしたら、私は、それは一般の常識には反す
ることだと思います。
【フリーランス・宮崎記者】3月11日夕方に、総理がメッセージという形で発せら
れた言葉で、福島第1発電所に、津波の到達の前に、つまり地震が起きたときに何ら
かのトラブルが起きていた場合、3月11日夕方に総理が発した言葉は、結果論とし
ては間違っていたことになる可能性がある。この辺に関してどういった形で検証され
ていくのか。
【幹事長】どういう発言について言われているのですか。
【フリーランス・宮崎記者】すみません、手元に印刷してこなかったので申し訳ない
のですが、「心配はありません」という事実関係のところで総理が断定調でおっ
しゃっていた中で、今から振り返ると違うことがある。こういったことも含めて、ど
ういった形で検証していくお考えか。
【幹事長】ちょっと私、発言を承知しておりませんので。福島第1原発について、
「心配ありません」と言われたということですか。ちょっと私、記憶にありません
し、いずれにしても、ある程度情報が上がってくれば、それを前提に、総理大臣自ら
が、全部を細かく現場まで行って確認するわけにもいかないわけですから、ある程度
の情報については、それは事実と受け止めて物事を言わざるを得ないということで
す。それを全部、結果的に違ったからといって、そのことが重大なことであるという
ふうに断定はできないと思います。
いずれにしても、これは検証していくということですから、その結果を待てばいい
と思います。これだけの大きな事件ですから、100点満点ではあり得ないので、そ
れが合格点、60点、70点だったのか、あるいは20点、30点だったのかは検証
していけばいいことだと思います。
ただ、この前あるテレビ番組で評論家の立花(隆)さんが「東電に乗り込んだこと
など、とんでもないと思っていたが、後のいろいろな情報を聞くと、そうでもないと
判断される」という趣旨のことを言っておられました。正確な表現は忘れましたが。
内閣の中でも「菅直人だからこの難しい局面で決断ができた」という評価もあるとい
うことです。そういったことも含めて、これは検証して、そして正当にプラス・マイ
ナス評価すればいいと思っています。総理がすべて間違ったことをしていたかのよう
な報道は、私はいかがかと思っています。
【朝日新聞・南記者】今日、連合の中央執行委員会で、原子力政策を推進から凍結へ
と方針転換した。民主党にとってかなり有力な支援団体である連合の方針転換が党内
論議に与える影響について、どのようにお考えか。
【幹事長】私、詳細は承知しておりませんが、総理も「白紙で検討する」とおっ
しゃっているわけで、今動いているものを全部止めるとかいう話ではなくて、今後新
たに建設するものについて、立ち止まってよく考えてみるということではないかと私
は想像しております。それは政府の方針と変わらないと私は理解しますが。
それから朝日新聞の夕刊を見ると、それで自然エネルギーに舵を切るとか書いてお
られますが、前に申し上げましたが、原子力発電をどうするかという問題と、自然エ
ネルギーを推進するという問題は、二者択一ではありません。自然エネルギーは目
いっぱいやるべきだというのは、私の持論です。しかし、それで足らないから、その
分について今ある原子力については、ある程度それに頼っていかざるを得ないという
ことで、なにか自然エネルギーを目いっぱいやれば原子力はもうすべて要らないみた
いな、そういう印象は国民に与えないほうがいいと。きちんと説明すべきだと思って
います。
○内閣法改正案について
【時事通信・近藤記者】自民党が(閣僚)3人増について反対を決めたということだ
が、今後どのように野党の理解を得ていくおつもりか。最初に提唱されたときとは、
原発も震災も状況が変わってきているが、いまだ3人増が必要だとお考えか。
【幹事長】もちろん内閣として3人増ということで法案を出しているわけですから、
3人必要だと考えています。今後よく与野党で話し合いをして、お互い合意点を見出
すべきだと思います。ただ、これだけの震災が一挙に起きていて、地震、津波、原発
とあって、既存の枠内でやれということに本来無理があると。やはり増員は避けられ
ないと私は思います。
○ぶら下がり取材について
【中国新聞・荒木記者】かつて菅総理は夕方に「ぶら下がり」、記者団との質疑応答
をされていた。震災以降、多忙だったことも理由に挙げて、そういう取材がなくなっ
ている。総理が国民に対して自分の考えを説明していく場はどうあるべきと幹事長は
お考えか。
【幹事長】それは人によって違うと思います。ただ私は、ぶら下がりはあまり生産的
ではなかったと思います。質問する側も、大体事前に用意された質問を繰り返すとい
うことで、答弁に応じて二の矢、三の矢を継ぐという感じはあまりなかったし、あれ
が国民から見て、どのぐらい有益であったのかは、私は常々疑問に思ってまいりまし
た。
もちろん菅総理がどう考えるかは私、承知しませんので、今後どうなるかもわかり
ませんが、ある程度時間を確保して深い議論ができるような、あるいは国民に伝わる
ような、そういう会見を工夫すべきだと私は思っています。
○鳩山前総理の発言について
【毎日新聞・野口記者】鳩山さんは政権の原発対応を批判しており、不信任の話が出
ている中で政権批判をすることが憶測を呼んでいると思う。結党の中心人物であり、
総理大臣経験者でもある鳩山さんが、こういった発言を続けていくことについてどの
ようにお考えか。今日幹事長と鳩山さんは会談したそうだが、その点についてお互い
理解し合えたのか。
【幹事長】鳩山先生は、ご自身のいろいろなお考え、現状の危機的な状況を回避する
ために独自のプランもいろいろ考えておられて、そういう視点から提言されていると
思います。そういう「プランB」というか、政府にはない考え方を追求していただく
ことは、大変ありがたいことであると思います。
いろいろな発言を、メディアは必要以上に対立的に、あるいはおもしろおかしく報じ
る傾向があるのじゃないかと思います。私自身の経験に鑑みても、ですね。しかし、
国民はそういうことを別に望んでいないと考えています。「望んでいない」というの
は、一部メディアのそういう報道姿勢を望んでいない、ということです。