夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年2月23日号
政府は17日午前、消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革大綱」を閣議決定した。野党には、「素案」の段階で何とか協議に応じていただきたかったが、法案作成には相当の時間がかかる。「3月末の法案提出」というスケジュールに合わせて、閣議決定することにした。
引き続き、野党には協議を求めていく。国民生活に直結する「社会保障」と「税」の問題だけに、問題点があれば、中身は手直ししていくつもりだ。野党から建設的なご提案があれば、ぜひ積極的に受け入れていきたい。
ある野党幹部は当初、与野党協議に応じない理由について「閣議決定していない」と語っていたが、閣議決定後は「法案になってない」と変わった。世論調査でも「与野党協議をすべきだ」という声は7割を超えている。社会保障制度を持続可能なものとし、日本の財政を立て直すためにも、どうか国民の期待に応えていただきたい。
こうしたなか、一体改革の必要性について説明する全国キャラバン(「明日(あした)の安心」対話集会)が18日、スタートした。関係閣僚が手分けをして全国各地を回るもので、私は長野県を訪ねた。同県は1人当たり医療費が全国で3番目に低く、医療先進県として広く知られている。
会場入りする前に、地域密着医療の先駆けとされる佐久総合病院(同県佐久市)を視察した。
同病院は古くから、在宅医療すなわち医師や看護師が地域を訪問する形での地域密着医療を続けてきた。地域の長寿率は高く、自宅で最期を迎える方が多い。一方で、ドクターヘリを持つ拠点病院として、高度医療や救急医療にも対応している。
同病院の取り組みは、『医(いや)す者として』というドキュメンタリー映画にもなっている。現場の方々の話を聞き、社会保障制度や医療のヒントになる点がたくさんあった。
さて、長野市での対話集会には、200人近い方々にご参加いただいた。私の説明を受けて15人の方が意見表明や質問をしてくださった。中には小学5年生の女の子もいた。
もっと行政改革や政治改革を徹底すべきといった厳しい意見も確かにあった。しかし、多くは提案型のものだった。「最低年金7万円では少なすぎる」という年配の方の意見や、「消費税を15%とか20%に上げるべきだ」という若い人の意見もあった。全体としては、内容のあるいい議論がなされたと思う。同様の対話集会は、私の地元で20年間続けてきたが、場所が変わっても、いい議論がなされることは同じだった。
日本社会の少子高齢化が進むなか、国民の方々も「社会保障制度を維持するには、ある程度の消費税増税は仕方ない」と認識し始めている。改めて、きちんと説明すれば理解していただけると感じた。野田佳彦首相も私もこの方針はブレない。今後も、真正面から国民の方々に説明していきたいと思う。