夕刊フジコラム「ズバリ直球」11年9月15日号
野田佳彦内閣の滑り出しは上々だ。報道各社の世論調査による支持率は60~70%。野田首相の低姿勢な対応、分かりやすく率直な発言が好感されているようだ。民主党代表選で野田氏を応援した私も嬉しく思っている。
新内閣が取り組むべき仕事はハッキリしている。東日本大震災からの被災地復興、円高・経済対策、将来を見据えての社会保障制度改革とその財源確保などだ。こういった大きなテーマに、野田首相らしく真正面から挑んでほしい。
今回の組閣では、一緒に仕事をしてきた仲間が多く主要閣僚に抜擢された。
安住淳財務相は初入閣で、いろいろと勉強すべきこともあるだろう。ただ、フットワークがとてもいいので、新しいタイプの財務相になることを期待している。玄葉光一郎外相も目玉人事だ。この1年で外相は3人も替わっている。日本の外交プレゼンスを高めるためにも、腰を据えて長く務めてほしい。中川正春文科相は同副大臣経験者で、高校無償化や小学1年生35人学級など政権交代後の教育改革をよく理解している。人材育成は日本の将来を左右する。ぜひ、頑張ってほしい。
鉢呂吉雄前経産相も非常に親しい議員だが、彼の辞任は残念だった。
確かに、「死の町」という言葉は不適切といえる。ただ、前後のやり取りを聞くと、鉢呂氏としては、被災者や被災地の現状を心から案じて、「何とかしなければ」という思いから出たものだと分かる。もう1つは、オフレコ懇談での発言だが、必ずしも事実関係は定かでない。責任感が強い人だけに、自ら辞表を出したのだろうが、本当に残念だ。
ともかく、野田内閣の閣僚はフレッシュな人が多い。知名度は低いかもしれないが、自信を持って大きな課題に取り組み、結果を出してほしい。
私は、予算委員会筆頭理事になった。「官房長官に」という話があったのは事実だが、官邸は首相中心で行くべきで、官房長官はあくまで女房役に徹するべきだ。昔から「野田氏を首相にしたい」と公言してきた藤村修長官は最適任だと思う。
2009年の政権交代前に私は党幹事長に就任し、政権交代後は外相、そして再び幹事長となった。約2年半、非常に忙しい日々を送ってきた。これからは、党執行部や閣僚という立場を離れて、野田内閣を外野から全力で支えたい。
先週末もドイツを訪問し、旧知のヴルフ大統領の呼びかけで国際会議に出席してきた。2人で朝食をとりながら、国際情勢や経済問題など、いろんなことを話し合ってきた。幹事長時代は海外にも行けなかっただけに、新鮮だった。
民主党には、さまざまな人材が育ちつつある。国民の方々には、もう一度、チャンスを与えて見守ってほしい。私は自由度を持って、少し広い世界で、日本のために政治活動をしていきたい。