平成23年9月26日 第178回国会 衆議院予算委員会「マニフェストの中間検証、与野党協力、外交などについて」
平成23年9月26日(月曜日)
○岡田(克)委員 野田総理、国連における演説、そして主要国の首脳との会談、御苦労さまでした。
大変重要な課題を抱えた局面であります。震災復興、そして原発、社会保障・税一体改革、あるいは日本の競争力の底上げ、そういった課題にぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。
一方で、そういう中で、いろいろなことをどんどん進めていかなければいけない。しかし、残念ながら、参議院において我々は多数がないという、いわゆる衆参ねじれの現状にございます。
こういう中で、どうやって物事を前に進めていくのか。この衆参ねじれの中での、参議院において多数を持てない中での、野党に理解を得て政権運営を行うその基本姿勢について、総理のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
○野田内閣総理大臣 過去にも国会がねじれたことがありました。そして、今もこのねじれという状況がありますし、当面続くだろうというふうに思います。
そうした中で、やはり国益を考えて、先ほど御指摘いただいた、震災からの復旧復興を初めとするさまざまな問題について胸襟を開いて与野党が議論をしていくということが大事だと思います。
そのための前提となるのは、まず政府・与党で意見を集約して、しっかりと考え方をまとめた上で、正心誠意という言葉を所信表明でも使わせていただきましたけれども、その上で与野党協議を正心誠意行わせていただいて、そして結論を出して、政治を前に進めるということが基本中の基本だろうと思います。
特に昨今は、岡田さんが幹事長のころに三党の合意書、確認書を交わしています。そういうものを踏まえた対応を丁寧にやって履行していくということも肝要である、忘れてはならないというふうに思っております。
○岡田(克)委員 やや質問を先取りしてお答えになったわけですが、その八月九日の三党幹事長間の確認書、ここにおいて、復興のための第三次補正予算、平成二十三年度税制改正法案、それから復興債の償還財源の基本的内容や償還ルール、そういったことについて各党で検討を進めるということを確認いたしました。
この三党合意を基本に据えて、今後、三次補正予算が組まれるべきだというふうに考えておりますが、もう一度総理の基本的なお考え方を聞きたいと思います。
○野田内閣総理大臣 御記憶だと思うんですけれども、八月二十九日に民主党の代表選挙がございました。最初の五人の候補者の演説のときには、なぜかちょっとドジョウばかりがピックアップされていますけれども、決選投票の五分間の私のごあいさつは、財政再建に取り組むという、基本的には課題を先送りしないという姿勢と、それから三党合意を明確に守るということ、この二つのことを申し上げて、決選投票で勝たせていただきました。ということは、三党合意を遵守するということは極めて重要であると私は思っています。
その後、国会の中で首班指名選挙があって、組閣をする前に、自民党の谷垣総裁、そして公明党の山口代表のもとにごあいさつに参りまして、三党合意は守るということ、私を信頼してくださいというお話をさせていただきました。
ということで、御指摘のあった第三次補正に向けて、税制改正を含めて、あるいはこれからの復興の財源の話を含めて、三党の合意形成をこれからしっかりやっていく、三党合意を踏まえながら対応していくということを基本姿勢として改めて申し上げたいと思います。
○岡田(克)委員 この衆参ねじれという状況、これは総理もおっしゃったように、しばらく続く。しばらく続くという意味は、例えば総選挙がやがて行われる、しかし、もし参議院選挙より前に総選挙が行われたとしても、そしてそこで仮に政権交代が再度行われたとしても、ねじれの状況は変わらない。つまり、参議院における議席数というのは、我々民主党会派が百六議席、しかし、自公両党会派で百二議席ということですから、どちらが政権についたとしても参議院において多数は得ていない、そういう状況でございます。
そういう中で、どうやってこれを乗り切ったらいいか。いろいろそれこそ知恵を出していかないと政治は前に進まない。野党には今まで復旧復興の問題を中心にさまざま御協力をいただいてまいりましたけれども、しかし、やはり根本的なところで、もう少し仕組みとして考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
私は、ことしの一月に幹事長として各党にお願いいたしましたのは、両院協議会のあり方の問題であります。
これは、総理にというよりは党代表にという立場でお聞きすることになりますが、その両院協議会について、まず三分の二で決めるということになっております。これは国会法九十二条であります。これを、そうではなくて過半数で決めるということにすべきではないか。そしてもう一つは、両院協議会の協議委員の構成の問題であります。現在は、例えば、衆議院であれば全員民主党会派の委員、参議院においては自民党会派の委員ということになっております。そうではなくて、やはりそれは両院において、議席数の配分に応じて構成を考えるべきではないか。
そういうふうにしたからといって、すべての問題がクリアできるわけではありませんが、そういうふうに両院協議会をいわばきちんと議論して動き得る状況にして、その上で、ある意味では党議拘束も解いて、両院協議会にまさしく見識のある人を選んで、もちろん今の委員が見識がないと言うつもりは全くありませんが、しかし、そこで党をある程度離れて、しっかりと胸襟を開いて議論していく、そういう知恵が議会として出ないものかというふうに思うわけでございます。
これは各党間で話し合うべき問題ではありますが、総理についても、ぜひこの点についてお考えを聞かせていただければと思います。
○野田内閣総理大臣 一月十八日に、当時、岡田幹事長が御尽力をされてまとめられました「今後の国会運営のあり方に関する提案 政策を実現し国民の期待に応える「熟議の国会」のために」というものを、私も文書を拝見させていただいておりますし、その中での両院協議会のあり方の見直しというのは、これは一つのあるべき方向性、国会改革のあるべき一つの方向性だと思います。党の代表として、政党間の協議を進めていただいて、成案を得るように御努力をいただければ大変ありがたいと思います。
一方で、制度論は制度論としてあると思いますが、当面、例えば第三次補正等々の議論をしていく際には、まず、さっき申し上げたとおり、まさに政府・与党で考え方をまとめた上で、野党の皆さんと真摯な協議をしていって成案を得るということが大事だというふうに思います。
そのためにも、幹事長、政調会長、国対委員長等で、そのレベルでの対話も必要だと思いますが、何よりもやはり予算委員会というのは大きな舞台であります。筆頭理事につかれた岡田克也筆頭理事におかれましては、こういう予算の現場においても、そういう対話をしっかりやっていただければ大変ありがたいというふうに思います。
○岡田(克)委員 それでは、次に参ります。
ちょっと順番を変えます。マニフェストについて議論したいと思っておりましたが、順番を少し変えさせていただいて、総理、ニューヨークでオバマ大統領と会談をされました。その際、いろいろなことが当然議論になったと思いますが、沖縄基地問題、普天間の問題について、どういう議論がなされたのか、従来と違う議論があったのか、そういったことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○野田内閣総理大臣 オバマ大統領との会談は、基本的には、震災においてトモダチ作戦を初め大変なアメリカの御協力をいただいたことを感謝を申し上げて、その上で、私自身は日米同盟は日本外交の基軸であるという信念を持っていたけれども、それが揺らぎのないものになったということを申し上げました。そうした日米関係のいわゆる重要性については、これは安全保障、経済あるいは人的交流を含めてしっかり深化をさせていこうということで認識が一致をしたんです。
具体の問題をいろいろ議論いたしました。その具体の問題の中で、大事なテーマだったのが普天間の問題でございます。普天間の問題、移設も含めての在沖米軍の再編については、昨年の日米合意にのっとってお互いに協力をしながらやっていこうということで、その際には沖縄の負担軽減等々をしっかりやっていかなければいけないということを、そしてそのためには、沖縄の皆様にしっかりと私どもが説明をし、御理解を得ていく努力をしていかなければならない、そういう決意を申し上げました。それに対して、オバマ大統領は、進展を期待するという趣旨の御発言がございましたというのが概要でございます。
○岡田(克)委員 私も、当時、外務大臣としてこの普天間の基地の問題にかかわり、責任を感じているわけであります。そして、五月に日米合意を結びました。この日米合意をぜひ前に進めていただきたいというふうに思っております。
そういう中で、総理も言われたように、やはり沖縄の皆さんの理解を得る努力ということは非常に大事なことだと思います。その一つとして、ことしの二月に、民主党の沖縄協議会として、私は座長を務めさせていただきましたが、当時の前原外務大臣と北澤防衛大臣に対して、負担軽減に関する提言をしております。ここで三つのことを言っているんですが、第一に、航空機の騒音規制の問題であります。
この航空機の騒音規制につきましては、一九九六年三月の日米合同委員会におきまして、平日夜二十二時から翌朝六時までの飛行活動は、米軍の運用上、所要のため必要なものに制限されるということで合意をしております。しかし、いろいろ沖縄の皆さんの声を聞きますと、なかなかこれが守られていないんじゃないか。つまり、夜の十時から朝の六時までの離発着がかなりあるということでございます。
もちろん、運用上必要なものについては例外として認めておりますが、制限時間における、つまり、十時から六時までどのぐらいの離発着があるのか、そしてそれは本当に運用上必要なものなのかどうか、そういったことについてもう少し日米間できちんと話をすべきである、こういうふうに思うわけですけれども、この点について、二月に申し入れた以降、政府においてどういう検討をされたのか、今、現状どうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○一川国務大臣 では、お答えさせていただきます。
今ほど岡田委員の方から指摘された問題は、防衛省も昨年の一月から、こういった問題にしっかりと取り組もうということで、現地に航空機のそういう観測の装置を設置しながら飛行の状況を調査してまいりました。
現時点ではその結果を最終的にしっかりと取りまとめて地元に説明する状況にはまだなっていないということを聞きまして、私は、もう既に昨年からことしの三月にかけての調査を終えておるわけですから、いろいろな分析等は当然あるわけでございますが、早く整理をしてしっかりと地元に説明をする、説明をした中で地元からまたいろいろな要望なり疑問点が出てくれば、それに誠意を持ってこたえていくということで、早急に地元の関係者の皆さん方に説明できるような状況に持ち込みたいということで、今、指示をしておるところでございます。
以上です。
○岡田(克)委員 私は外相時代に嘉手納基地を訪問した際に、基地の責任者からは、嘉手納飛行場に所属する航空機は夜の十時から朝の六時までの間は飛行していない、しかし、外から来るそういった航空機については例外はある、こういうお話でありました。
外から来るものについて、もちろんやむを得ない場合はあると思いますが、それはまさしく、例えば海外から飛行してくる場合は、出発の時間を調整すればこの時間内に着陸することは可能なはずであります。どうしてもそれができない場合というのは、それは例外を認めることにやぶさかではありませんが、本当にそれが必要なのかどうか、どこまで徹底しているのかということについては、私は疑問が残るように思っております。
そういうことについても日米間でしっかりと協議をする、そのことを約束していただけますか。
○一川国務大臣 沖縄協議会の座長を務められてこられたということで、沖縄の実態は十分御承知なわけでございますが、今ほどのお話は大変大事なことでございますので、調査した結果をしっかりと整理する中で、今ほどのようなことで沖縄の県民、地域の住民に大変心配をかけるということがあるとすれば、それはしっかりとまた米軍側と協議を持ちたいというふうに考えております。
○岡田(克)委員 このことに加えて、回転翼機、ヘリコプターの場周経路についても、地元は十分に納得をしていないという問題もあります。
そして、オスプレーですね。オスプレーの配備について、これが従来のヘリコプターと比べてより安全で、一般的により静かで、相当に能力が高いという説明を米国防省はしておりますが、沖縄の方は、知事初めいろいろな不安感を表明されております。
こういったことはきちんとデータで説明するということが大事だと思うんですね。騒音とか安全性について、もう少し沖縄の人々が納得できるような説明、客観的な説明をしていただきたいと思いますが、それについていかがでしょうか。
○一川国務大臣 お答えさせていただきます。
今のオスプレーの問題も今大変重要な課題になってきておるわけでございまして、この問題についても、先般、北澤前防衛大臣の折に、沖縄県の方にオスプレーに切りかえていくということについて説明に入った折に、その後、県知事の方から二十九項目にわたってのいろいろな質問が出されてまいりました。これをしっかりと受けとめて、技術的、専門的にそれを整理して、この九月の一日に防衛省の事務次官から沖縄知事の方に説明に参りました。
ただしかし、その説明の結果については十分まだ納得していただいておりませんので、引き続きその疑問点については十分誠意を持ってやりとりしていきたいというふうに考えて、何とかこの問題も沖縄の皆さん方の心配のない形になるように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○岡田(克)委員 沖縄関連で最後ですけれども、一括交付金の話があります。
一括交付金を沖縄に設けるということについては政府もお認めいただいたというふうに理解をしておりますが、問題は中身であります。本当の意味での一括交付金なのかどうかということが非常に重要で、実は七月八日に協議会から政府に対してこの一括交付金について申し入れをしておりますが、その中では、一つは、沖縄への補助金、交付金を原則廃止して、使途を限定しない自由度の高い交付金として交付するということでございます。
そこにもう一つ加えてあって、概算要求段階で、各省庁別ではなく内閣府が一括して要求し、予算計上するとともに、交付金の交付に当たっても各省庁への移しかえは行わず、内閣府が直接交付する、こういった意味での非常に完成度の高い一括交付金にすべきである、こういうふうに我々は政府に対して申し入れをしたわけでありますが、概算要求において、まさしくこういうこととして一括交付金が取り扱われることになるんでしょうか。
○川端国務大臣 お答えいたします。
御指摘のように、岡田委員が民主党の沖縄協議会という形で七月八日に、今の御趣旨の、沖縄振興一括交付金と、内閣府において一括して予算要求するべしという御提言をいただきました。同趣旨で、八月十一日に民主党の沖縄政策プロジェクトチームからもいただきました。そういう議論も踏まえながら、そして、沖縄の現地の皆さんともいろいろ意見交換する中で議論を進めてまいりました。
先日閣議決定した概算要求基準においては、御案内だと思いますが、沖縄振興予算については、一括交付金に関する地元の要望を十分踏まえ、予算編成過程において検討することということであります。概算要求時点では事項要求という形で、額、中身に関しては、今おっしゃったように額の話と中身の話とありますが、そういう形では、これからの引き続きの検討課題ということでは御趣旨のそのままにはなっておりませんが、意向は、この概算要求でも、沖縄の御要望はまさに言っておられるとおりでありますので、それをしっかり踏まえてより具体化をしていきたいということで、実は、けさ八時から、官房長官のもとで、沖縄県知事、それから市長会の那覇市長、町村会の南風原町長においでいただいた振興部会を開きまして、ここで、今言われたような経過を取りまとめた中で基本方針を示させていただきました。
そこにおいては、より自由度の高い沖縄一括交付金を創設すること、これはお約束をする。そして、具体的な制度設計については、予算編成過程において、全国ベースの制度設計もございますので、これを踏まえながら、国の責務としての沖縄振興のあり方を勘案しつつ検討することということで、地元の御意見もよく伺いつつ真摯に対応してまいりたいと思っております。
○岡田(克)委員 この間、内閣がかわりましたので、十分議論する時間がなかったということはわかりますけれども、やはりこれは、沖縄は地続きでほかの県とつながっているわけではないし、まさしく一括交付金をモデルとして前に進めていくために非常にいいのではないか、そういうふうに思います。それから、沖縄の歴史もあります。そういったことを考えれば、ぜひこの問題について積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それでは、マニフェストについて幾つかお聞きしたいと思います。
まず、先ほどの民主、自民、公明の三党の確認書において、歳出の見直しについて合意をしております。その中で、高速道路の無料化については平成二十四年度予算概算要求において計上しない。もう一つ、高校無償化及び農業戸別所得補償の平成二十四年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。ですから、政策効果をまず検証する、その結果、必要性が生ずれば見直しを検討する、こういうことになっているわけで、大事なことは、まず政策効果の検証であります。
現時点において、この高校無償化、それから農業戸別所得補償制度、政策効果について文科大臣、農水大臣にお聞きしたいと思いますが、現在の検証結果、あるいは今後、来年度に向けてどういう検証を行っていこうとしているのか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
○中川国務大臣 現在、鋭意その検証に入っているところでありますが、第一には、これは言うに及ばず、被災地における家計急変世帯、これが相当出ておりまして、それに対して高校生等の就学機会をこの無償化というのが確保していく、その基本になってきているということ、これはあります。さらに、低所得世帯の私立高校生等に対する就学支援金とそれから授業料減免とを合わせた支援、これが多くの都道府県において高校無償化開始前と同水準よりも相当手厚くなってきておるということ。それから、制度を導入した平成二十二年度の、経済的理由による高等学校の中退者数、これが前年度に比べて三六%減少をしてきております。
これが今手短にお話ができることでありますが、さらにこの検証を重ねていきまして、その効果に基づいて、どう改革していくかということに入っていきたいというふうに思っております。
○鹿野国務大臣 農業者戸別所得補償制度につきましては、今年度の加入件数が、七月末の時点でございますけれども、昨年度を上回る加入数ということになっておりまして、また、いろいろなアンケート調査におきましても、続けてほしい、こういう声が大きいということも調査の結果として出ておるわけでありまして、地方公共団体の方からもこれを継続してほしいという要請が出ておるということも承知をいたしております。
しかし、そういう中で、今、岡田前幹事長からのお話のとおりに、政策効果を検証する、こういうことでございますので、農林水産省といたしましては、今後の三党協議に際しまして、いわゆる加入状況あるいは支払い実績等の客観的なデータというふうなものをきちっと整理をしてお示しをして、そして三党におきましてもいろいろと御検証していただく、そういうことに対して誠実に対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○岡田(克)委員 見直しをするべきか、あるいはする必要がないかということの前提になる検証でありますので、各政府の中でもしっかりやっていただきたいというふうに思います。
それから、確認書の中で、歳出の見直し全般についても誠実に対処するということを確認いたしました。
党として、八月二十六日にマニフェストの中間検証というものをいたしまして結果を発表しておりますが、その中でも述べているわけですが、例えば、歳出の見直しの中で、公共事業の大幅削減については、二〇一〇年度、一一年度それぞれ一・五兆円削減という、今までの政権であれば考えられないような実績を残したわけでございます。それから、埋蔵金の活用につきましては、二年間で約九兆円と、これもマニフェストでお約束した額をほぼ満たすような、そういった埋蔵金の活用もしております。
しかし、率直に申し上げて、補助金や人件費の削減については、この二年間経過する中で、まだまだ不十分であるということが言えると思います。
人件費につきましては、今法案を提出しておりますが、基本的に八%を削減するということで半分近くまではいくわけですが、やはりこれから給与体系そのものも変えていかないと、一方で、定年延長ということで、たくさんの方が途中退職せずに役所に残るということが想定されますので、給与体系の変更も必要だし、それから全体の人数を減らすという意味では、やはり採用を引き続き抑えていかないと、これは人数としてはふえてしまうということになります。
こういったことについて基本的にどういうふうにお考えなのか、政府の見解を聞かせていただきたいと思います。
○安住国務大臣 今御指摘のありましたように、補助金と人件費の問題、特に補助金につきましては、社会保障関係とそして地方財政関係で八〇%を超えるという非常に硬直した状態にあります。それに文教関係を入れれば、ほぼ一〇〇%の補助金はそれで満たされるわけですから、逆に言えば、聖域なく、そこに対して、補助金の一つ一つを、これは蓮舫大臣と連携をしながらやはり見直していくということが経費の削減になっていくのではないかな、新たな行革の柱というのはここら辺をターゲットにしなければならないだろうと思っております。
それから、人件費につきましては、岡田幹事長、そして私も国対委員長でございましたが、給与法を出させていただきました。これは、マイナス八%の削減ということで、平年にしますと二千九百億円程度の削減ということになっていきます。非常に公務員の皆さん、大変よく働いてもいただいておりますけれども、しかし、こういう時代の中で、あるべき制度も考えなければならないし、天下り等をやめていく、そういう中で、国民の生活等を総合的に勘案すれば、やはり継続案件となっておりますこの衆議院での法案をまず可決していただいた後に、しっかりした制度設計というものをしていきたいというふうに考えております。
○岡田(克)委員 補助金につきましては、今財務大臣からいろいろ御説明がありましたが、それは前からわかっていたことであります。ですから、率直に申し上げて、やはりここは、我々がマニフェストをつくるときに見通しがやや過大であったということは認めざるを得ないというふうに思うわけですね。
マニフェストの中間検証の中でも、マニフェストができた後の事情の変更、例えば、衆参ねじれになって、野党の賛同がなければ法案一つ通らない、そういう事態になっていることとか、あるいは東日本大震災が起きて予算の再配分を考えなければいけなくなったこと、そういうことと並んで、マニフェスト作成時に政策の必要性や実現可能性について検討、検証が不十分であったものがある、こういうふうに指摘をさせていただきました。
この点はやはり我々真摯な反省が必要だというふうに考えておりますが、総理、どういうふうにお考えでしょうか。
○野田内閣総理大臣 基本的には、マニフェストで国民とお約束したことは誠実に履行していかなければならないと思いますが、御指摘があったとおり、中間検証の中で、さまざまな理由によってそれがストレートに実現できない状況がありました。その上で、いろいろと列挙してありましたけれども、我々の見通しの甘さがあったことは事実であり、例えば財源に関する問題、社会保障の自然増とか入れていなかったですよね、ということも含めて、これは真摯に反省をし、深くおわびしなければいけないというふうに思っております。
○岡田(克)委員 いろいろ厳しいことを申し上げましたが、他方で、我々、マニフェストでお約束して、実現していることもたくさんあるんですね。そのことを少し具体的に各大臣にお聞きしたいというふうに思っております。
例えば、十年ぶりに診療報酬をプラス改定しました。私は、プラスにしたことそのものを評価するというよりも、やはり中身のめり張りをつけたこと、そこは高く評価されるべきではないかというふうに思います。
例えば、数年前を思い出していただければわかるとおり、医療について、緊急医療あるいは小児科や産婦人科不足の問題ということがメディアでも連日のように報道されておりました。そういう問題がなくなったというわけではありませんが、やはり事態は改善に向かっているのではないか、それはこの診療報酬の改定というのが大きな効果を発揮しているというふうに私は思うわけでございます。
こういったことについて、厚労大臣に、現状、効果のほどをお話しいただきたいと思います。
○小宮山国務大臣 おっしゃるように、平成二十二年度の診療報酬改定で、十年ぶりにプラス改定を行いました。その中で、改定のめり張りといたしまして、救急や手術後の患者への高度な集中治療、リスクの高いお産を行う妊産婦の入院、リスクの高い新生児に対する集中治療、病院で実施している難しい手術、こうしたものを高く評価するなど、救急、産科、小児科、外科に手厚く配慮をいたしました。このことによって、今御質問にありましたように、国民が必要とする医療が受けられる第一歩になったと考えております。
そして、医療現場からも、重症患者の受け入れを充実させることができたということや医療崩壊に歯どめをかける第一歩となったなどの評価をいただいているところでございます。
○岡田(克)委員 雇用保険の適用拡大それから求職者支援制度の創設、こういったことについて、どういうねらいを持って行われたのか、そして具体的な効果をどのように考えておられるか、引き続いてお答えいただきたいと思います。
○小宮山国務大臣 雇用保険につきましては、平成二十二年に雇用保険法を改正いたしまして、適用基準を六カ月雇用見込みから三十一日以上雇用見込みに拡大をいたしました。この拡大によりまして、非常に厳しい雇用失業情勢のもとで、非正規労働者に対するセーフティーネット機能をより強化できたというふうに考えています。その効果としては、およそ二百二十一万人の方が新たに雇用保険に加入をしたと試算しております。
また、求職者支援制度は、雇用保険を受給できない方々が、生活保護に一度に陥ることなく、第二のセーフティーネットとして安定した就職ができるようにするための仕組みでございまして、十月一日から実施をすることにしています。この求職者支援制度を活用することによりまして、今増加を続けている非正規労働者あるいは長期失業者の方を中心に早期の就職を実現できるように、しっかりと第二のセーフティーネットをつくってまいりたいと思っています。
○岡田(克)委員 この求職者支援制度も、今までの雇用保険そして生活保護、いわばその間を埋めるものであって、これは大変な制度的な改革だと思うんですね。そういったことをやはり政権交代して実現できたということは、我々はもっともっと語らなければいけないわけですが、政府においてもしっかりPRをしていただきたい。せっかく制度をつくってもそれが周知されなければ意味がありませんから、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
もう一つ厚労大臣にお聞きしたいと思いますが、生活保護における母子加算の復活それから父子家庭の児童扶養手当支給について、その必要性、そして成果についてお聞きしたいと思います。
○小宮山国務大臣 生活保護の母子加算につきましては、子供に貧困の連鎖をしないようにしていくためにも、やはり教育の機会をしっかり確保する必要があるということで、三党の連立合意書を踏まえまして、平成二十一年十二月に復活をさせました。
平成二十二年六月には、全国の被保護母子世帯の世帯主に対しまして、母子加算復活前の平成二十一年六月ごろと比較をした母子加算の使途などについてアンケート調査を実施いたしました。その結果、母子加算の復活によって出費がふえた項目、複数回答ですが、子供の衣服代が五五%、子供の教育費が五〇%、子供の学校行事に関する費用五〇%などの回答がありまして、子供の生活水準を上げるためにこれはかなり役立っているというふうに考えています。
また、一人親家庭、子育てと生計を一人で担わなきゃいけないという中で、父子家庭に対する支援が非常に足りなかったということもございまして、政権交代後、父子家庭でも母子家庭と同様にしっかり支援をしなければいけないということから、児童扶養手当の支給対象といたしまして、生活の安定、自立を促進して、父子家庭の子供の福祉にも資するようにしたところです。平成二十二年八月から改正法が適用されまして、父子家庭の受給者数が平成二十三年五月末現在でおよそ五万六千人となっています。
こうした政策をしっかりとこの政権といたしましては実現をして、どういう状況の子供であってもしっかりと支援が行き届くように、さらに力を入れてやっていきたいというふうに思っております。
○岡田(克)委員 もう一つ、これは文科大臣ですが、小学校一年生ということではありますが、三十五人学級を決定いたしました。そのねらい、それから今後の拡充についてお話しいただきたいと思います。
○中川国務大臣 まず、一年生から三十五人学級が始まったわけですが、これを順次六年生まで、あるいはまた中学校までということで広げていきたいということであります。
ねらいについては、実はその効果として、全国連合小学校長会がアンケート調査をしておりまして、どういう効果が出てきているかということでありますが、担任の教員は、きめ細かい指導の充実ができている、あるいは学習意欲の向上だとか授業の活性化など、学習指導全般に効果があって、とりわけ、個別指導の充実や提出物の丁寧な添削、評価について効果が大きいと言っております。
それから、生活指導面での効果もあらわれておりまして、家庭との緊密な連携、問題行動の減少など全般に効果があって、とりわけ、きめ細かい指導の充実や教員と児童の関係緊密化に効果が大きい。
また、保護者も、先生がきめ細かいことに対応し始めている、あるいは子供がクラスになじむなど、さまざまな評価が出てきております。
これは、人数を減らすということだけじゃなくて、それをどう活用して教育効果をもたらしていくかということ、これも大事なことだと思いますので、引き続き、これについては充実をさせていきたいというふうに思っています。
○岡田(克)委員 いろいろ今、具体的に御説明いただきましたが、こういったものはまさしく、一言で言えば、子供や子育てに対する支援、そこに重点を移していこうということであって、先ほど申し上げましたように、公共事業を毎年一・五兆削減して、その財源をこういったことに振り向けていったということだと思います。それはまさしく民主党がマニフェストの中でお約束した基本的な考え方であって、そういうことについてはしっかりやっているということを、まずテレビを見ている国民の皆さんにも御理解いただきたいと思います。
もう一つ、NPOの寄附優遇税制の大幅拡充について、これもなかなか、まだPR不足じゃないかというふうに私は思うんですが、そのことについて、政策のねらい、あるいは効果についてお話をいただきたいと思います。
○蓮舫国務大臣 御指摘の問いでございますけれども、さきの通常国会におきまして、平成二十三年度分離税制改正法及び改正特定非営利活動促進法が成立をいたしました。
これによりまして、認定NPO法人等に対する寄附金を税額控除の対象とすることなどの制度改正が行われました。これまでは所得税上の所得控除だけだったんですが、それにかえまして、税額控除を選択することもできるようになりました。税額の軽減率が上がることにつながります。
寄附税制が拡充をするということは、これまで資金面でなかなか活動が大変だった認定NPO等が、寄附によってその活動が後押しをされますので、結果として認定NPO等の活動が広がり、新しい公共につながっていく、これがねらいだと考えております。
○岡田(克)委員 まさしく民主党の考え方、新しい公共の具体的な政策的な裏づけだと思いますが、余りこれも知れ渡っていないという感じがするんですね。だから、もっともっとこれは、我々もPRしなければいけませんが、政府としてのPRもしっかりやってもらいたい。
我々、まだ野党時代の癖が抜けなくて、何かそういった政策PRは党がするものだと思ったりして、しかし、与党になると政府にお任せするのか、その辺の仕切りもはっきりしないので、遠慮せずにそれぞれが決めたことについてはもっともっと説明をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
もう一点、これはちょっと辛口になりますが、外交文書の公開について、私、外務大臣のときに新たなルール設定をいたしました。最近ちょっとおくれているように思うんですが、この点について外務大臣の御見解を問いたいと思います。
○玄葉国務大臣 ただいまおっしゃった外交文書の公開につきましては、今御自分でもおっしゃっていただきましたが、岡田外務大臣時代に、三十年以上経過した文書について、公開すべき文書について公開をするということを決めたもの、そして、既に約一千五百冊以上の文書が公開をされているというふうに聞きました。
きのう、私、国連の一連の会議から帰ってきまして、最近進んでいない、そういう話について聞きましたので、どうしてかという話を問うたところ、いろいろなテクニカルな話を言っていました。それは、三・一一の問題あるいはマイクロフィルムの問題、さまざま言っておりましたけれども、私の方からけさ、この問題について、作業を加速化させるようにということで強く指示をしたところでございます。
○岡田(克)委員 これは、人がかわるといつの間にかもとに戻ってしまうということにならないように、十分気をつけていただきたいと思います。
平成二十二年の六月から十二月までの半年間で千五百公開をいたしました。これは、可能なものを公開するというよりも、原則公開なんです。どうしても国益上だめなものについては、それはさらに先送りは可能ですけれども、基本的に公開するということなんですね。そして、半年で千五百やりました。
当時から、三十年たったもの、公開すべきものについては、これは二万件ありますので、これを三、四年でこの在庫を一掃しようという話をしていたわけです。ということは、四年でやるとしても、年間五千件ずつ公開していかないといけないということになるわけで、最初の半年で千五百というのは、それには満たないわけですが、年間三千件ペースということではあるわけですね。
しかし、平成二十三年度になってどれだけ公開されましたか。ゼロですよ。それは三・一一大震災があったとかいろいろな理由はつくでしょうけれども、本当にそういったことでいいのかどうかということは、大臣、政務三役を中心にしっかり議論していただいて、こういう情報公開というのは役所が嫌うものですから、ほっておくとなかなか進まなくなってしまいますので、政治的リーダーシップを発揮していただき、まずこの在庫を全部一掃する、それから、毎年毎年また新しく三十年たつものが出てきますから、そういったものについてしっかり公開していくということをお約束いただきたいと思います。
○玄葉国務大臣 まさに、おっしゃったところがあると思うんです。本人は言ってほしくないかもしれませんが、これは岡田外務大臣のいわば実績、成果のうちの一つだというふうに思っていまして、これを着実にやっていく。
確かに、大臣がどんどんかわるとそのままになるという性格というのはあると思うんですね。ですから、先ほど申し上げたように、作業を加速化させるようにということを強く指示をしましたので、しっかり政務三役でリーダーシップをとっていきたいというふうに考えております。
○岡田(克)委員 もう一つ、子ども手当。
これは、いろいろ党がつくったビラなどで誤解を招きかねない表現があったりして申しわけなかったと思いますが、ただ、単に児童手当に戻るということではないんですね。
つまり、法形式としては児童手当法の改正でやるということは合意をしております。しかし、中身は今までの児童手当とは全く異なるものである。原則五千円から一万円に、そして中学生に対しても支給をする。それからもう一つは、控除をやめて手当へということで、いろいろメディアも報道しますが、児童手当に戻る、こう言われると、単に従来の児童手当に戻るかのような印象を与えかねませんが、そうではなくて、従来の児童手当とは内容的には全く異なるものが今我々が合意している子供に対する手当である、そういうふうに考えております。
そのことについて、ぜひ厚労大臣のお話を聞かせていただきたいと思います。
○小宮山国務大臣 おっしゃるとおりだというふうに思います。
今いろいろと声が出ていますけれども、三党合意の中にも、恒久法である子ども手当法に乗せる形で、これから三党できちんと検討をするということなので、これまで続いて支給をしてまいりました子ども手当は、額が変わることから事実上これは廃止をされる。ただ、理念を含めて、子供全体を支援するということ、控除から手当ということ、これも検討項目には入っておりますけれども、ここは変わっていないということです。
所得制限も、一部にいろいろな状況でかけざるを得ないということになっていますが、所得制限をかける世帯に対しても、財政的支援としての、財政的措置としての一定額を支給する、あるいは税制的措置としての税額控除を行うなど、すべての子供にしっかりと対応をするという意味などから、今までの子ども手当ではありませんが、従来の児童手当でもない。
ですから、子供に対する手当をこれから三党でまたしっかりと御議論をいただくということだというふうに考えております。
○岡田(克)委員 このマニフェストについて、もう一つ。
このマニフェストについて、先ほど言いましたように、状況が変わったことによって中身を変えざるを得ない部分はあるということでありますが、やはり二〇〇九年マニフェストの基本的考え方、これは私はしっかりと維持していく必要がある、それは何ら変えるということではないというふうに思っております。
例えば、国民の生活が第一、それからチルドレンファースト、つまり子供、子育てを重点的に支援する、人への重点投資、こういう我々の二〇〇九年マニフェストに貫かれた基本的考え方というものは、これはしっかりと維持し前に進めていく、そういう中で、現実との調整の中で変えなきゃいけないものが具体的なものとしては出てくる、こういうふうにマニフェスト検証委員会の報告の中では結論づけさせていただきました。
基本的にそういう考え方でいいのかどうか、総理の御見解を聞きたいと思います。
○野田内閣総理大臣 マニフェスト、まさに国民とのお約束をしたわけでありますので、それを誠実に履行するということが基本中の基本であります。
その基本中の基本の中で、状況変化はいろいろあります。それは、中間検証に出ているようないろいろな要因があったと思いますが、岡田さん御指摘のとおり、国民の生活が第一、あるいはチルドレンファースト、あるいは人への投資、これは大事な理念だと思いますので、いろいろな現実に向き合いながら対応はあるかと思いますが、その理念がしっかり貫徹できるように、これからもぎりぎりの努力をしていかなければいけないというふうに思います。
○岡田(克)委員 これから、少なくとも二年後には総選挙もございます。それに向けて新たなマニフェストもつくらなければいけない。そのときには、今回の基本的理念は維持しながら、しかし、我々は野党であったということもあって、必ずしも十分な検証、検討を行わないまま具体的政策を書いてしまったところもありますから、そういうところについてはもう一度しっかり見直しをして、そしてより信頼度の高いマニフェストをつくっていくべきだ、そのことを申し上げておきたいと思います。
次に、総理の所信表明に基づいて幾つか、残された問題についてお聞きをしたいと思います。
政治改革です。政治改革につきましては、総理は、憲法違反の状態となっている一票の格差是正の問題を挙げられました。
最高裁の判決は、私は二つのことを語っているというふうに思います。一つは、各都道府県に一議席をまず配分するということは、憲法上の合理性が今やないということを言っております。そしてもう一つは、格差を二倍以内にする。
この二つのことは、憲法解釈についてやはり最高裁がはっきりと考え方を示した以上、この二つは大前提として議論をせざるを得ないというふうに思いますが、そういう理解で同じかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○野田内閣総理大臣 私は、最高裁の指摘というのは重く受けとめなければいけないというふうに思っておりまして、今、岡田さんから御指摘をいただいた一票の格差の是正の問題、各県一議席別枠配分制度などについての指摘については、これをどうするかということをまさに解決するということが喫緊の課題だというふうに思っております。
○岡田(克)委員 ただ、これも党の中で検討した結果ではあるんですが、これをもし機械的に当てはめるということになって、都道府県一議席配分を全部やめて、二倍以内ということでゼロから議論すると、恐らく二十一増二十一減ということになって、かなり多くの都道府県において議席の配分が変わる。したがって、小選挙区ベースになると、さらにそれが広がるということになります。もちろん、それができれば一つの理想かもしれませんが、現実を考えれば、一挙にそこまで、二十一増二十一減にいくのではなくて、やはり激変緩和的な考え方も要るんじゃないか。
基本的には二回、十年で一回国勢調査をやりますから、二回の国勢調査、二十年ぐらいの中でこの二つの要請を完全に満たすところまで持っていく。しかし、そこに少し猶予を置くべきではないか、そういうふうにも思うわけで、党としてはそういう集約をさせていただいたんですが、基本的にそういう考え方は共通でしょうか。
○野田内閣総理大臣 我が党の考え方、石井一先生の案、あるいは平岡秀夫法務大臣の案、こういうものをベースにして我が党の意見を集約されたというふうに承知をしています。
それを踏まえて、これは選挙制度にかかわることでありますので、各党もさまざまな御意見があると思います。党の意見を踏まえて、そして各党と真摯な協議をしながら成案を得ていく御努力を党としてぜひお願いしたいというふうに思います。
○岡田(克)委員 所信表明の中で、総理は、選挙制度のあり方について、与野党で真剣な議論がなされることを期待するという表現を使われました。あえて選挙制度という表現をお使いになった意味、つまり、単なる定数是正ではなくて、制度そのものを大きく変えるということも念頭に置いておられるんでしょうか。
○野田内閣総理大臣 一票の格差の是正と、そして議員定数の問題を含めて議論をしていくということなんですが、その際に、さっき申し上げた各県一議席別枠配分など、現行制度をどうするかという議論もありますので、そういうことを包含的に含めて選挙制度という言葉を使わせていただいております。
○岡田(克)委員 政党によっては、この際、選挙制度を大きく変えることも考えるべきじゃないか、そういう指摘もございます。
私は、今の小選挙区比例並立制というものを二十年前に一生懸命につくった一人ではあります。しかし、そういったさまざまな提案についても胸襟を開いて議論をしていく。次の選挙に間に合うかどうかというと、これは非常に難しいと思いますが、しかし、もう少し中長期的な視点で議論していくということは、これは一つ大事なことではないかというふうに思いますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○野田内閣総理大臣 私も九三年初当選でしたので、岡田さんと同じように、現行制度を導入するためには、非常に志を持って、パッションを持って対応した一人でございますが、選挙制度については、その後、いろいろと見直しをしなければいけない点、改善すべき点も出てきていると思います。それらについては、各党が本当に胸襟を開いて、まさに民主主義の根幹にかかわるテーマでございますので、丁寧な議論をしていくべきだろうというふうに思います。
○岡田(克)委員 終わります。