副総理としての定例記者会見(平成24年1月24日)
岡田副総理記者会見要旨 平成24年1月24日
(平成24年1月24日(火) 17:04~17:27 於:合同庁舎4号館4階408会議室)
1.発言要旨
では、私からは2点。
第1点は、今日の閣議で国家戦略会議の設置規定が改正されて、私が副議長として参加するということになりました。副議長は、官房長官と国家戦略担当大臣と既に2人おられますので、3人目に名前を連ねたということでございます。
私もあまり守備範囲を広げないようにしようとは思っているんですが、国家戦略会議は重要政策の司令塔としての役割を担っておりますので、総理を補佐する立場から会議に参加をして、そういった重要課題の検討に貢献してまいりたいというふうに考えております。
その外、今日は少し時間を見て諸会議、どれに出てどれに出ないかということを大体見当をつけました。勿論、全閣僚参加というのは、これは参加しなきゃいけないわけですが、そうでないものについて、あまり手を広げ過ぎないように、メリハリをつけながら判断をさせていただいたということであります。最終的には官房長官と協議をして決めさせていただきたいというふうに考えております。
もう一点は、原子力災害対策本部の議事内容の記録が作成されていなかった問題についてであります。もう既に、この件は枝野経産大臣も記者会見で認めて一定の見解を示されておりますが、私は公文書管理を担当する大臣でありますので、その立場で申し上げたいと思います。
基本的に公文書というのは、後にそれが情報公開の対象になり、後から行政を検証するためのものでもあり、民主主義の根幹を支える基本的なインフラであるというふうに考えております。そういう観点から見ますと、今回の原子力災害対策のような極めて重要な事案について、説明責任がより強く求められているにも関わらず、そういった本部の意思決定の過程、あるいは実績が把握できる文書が今日まで作成されていなかったということは、担当大臣として誠に遺憾であるというふうに考えております。
枝野経済産業大臣の指示の下で、原子力安全・保安院で関係省庁と協議しつつ、法律に基づいて意思決定の過程、実績が把握できる文書の整理をするということでありますが、その作業は可能な限り迅速に行っていただきたいというふうに考えております。
そして、今後同じようなことが繰り返されないために、私としては閣議の場で各閣僚に対して公文書管理法の趣旨を徹底し、今回のようなことがあった場合に、あった場合にというのは災害など重要な事項については意思決定の過程、実績が把握できる文書が作成されるように徹底したいというふうに考えております。
また、内閣府の松元次官に対しても、事務レベルでも改めて各行政機関に対して公文書管理の周知徹底を行うように指示をしたところでございます。
それから、今回、原子力に関してこういうことが明らかになりましたが、この東日本大震災に関連する他の会議についても、同様の事案がないかどうかということも併せて検証しなければならないというふうに考えております。
まだ正式には調べてありませんが、同時期に行われていた緊急災害対策本部、これについても同様に議事録が作成されていない疑いが濃厚であります。そういったこともありますので、他にも幾つもの会議が政府の中で並行して開催されておりましたが、そういったことについて実情はどうだったのか、そして作成されていなければ、これから速やかに文書を、議事録というわけにはなかなかいかないと思いますが、先程言いました内容が分かる文書を作成するように、改めて指示を出さなければいけないと思っております。まずは、どうだったのかという検証作業をしっかり行っていく必要があるというふうに考えております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)朝日新聞の野上です。
今御紹介いただいた検証なんですけれども、どういった体制で検証を進められまして、これはどれぐらいの時期に結論を出そうというふうにお考えか、スケジュールをお知らせください。
(答)これは事実の確認ですから、そう時間がかかる話ではないと思います。会議もはっきりしているわけですから、それぞれ会議の事務局に当たる、本来であれば文書を作成する、そういう責任のあるところに対して確認をしたいというふうに思います。
そう時間がかかる話ではなくて数日で完了するのではないかと、作ったか作らないかという事実関係は、数日で完了するのではないかというふうに思っています。
(問)関連ですけれども、その上で例えば処分ですとか注意ですとか、そういったことというのはお考えなんでしょうか。
(答)事後的に作ることが認められないわけではありません。それから、極めて厳しい状況の中での会議であったということも事実です。したがって、よく状況を把握しないといけませんが、直ちにそれが処分とか、そういったことでの話でもないというふうに思います。ただ、同じことが繰り返されないようにしっかりと事実関係を明らかにし、そして改めて注意を喚起しなければいけないというふうに考えております。
(問)朝日新聞、伊藤と申します。
一体改革に関連してお伺いしたいんですが、今日、内閣府が示された「経済財政の中長期試算」で、財政健全化の黒字化を目標としている2020年度も、なお16兆円あまりの赤字が残るという試算が出ておりますけれども、ここの部分の解消、つまり財政健全化の達成のためにはどういうことが必要だというふうにお考えでしょうか。
(答)まずは2015年消費税10%、社会保障・税一体改革、これを確実にやるということが最も重要なことであります。
しかし、にも関わらず、それで十分とは言えないわけですから、それは2015年、10%ということが、めどがついたところでどうするかということをしっかりと決めていかなければいけないと。もちろんそのときの、昨日テレビで申し上げたんですが、まず経済情勢がどうなっているかということで、かなり変わってまいります。名目成長率がどのぐらい見込めるか、それに伴って税収というのが変わってまいります。それから、一方で行政改革と、不断の行政改革というものがどのぐらい効果を上げているかということもあります。
ですから、今、一定の数字は出ているわけですけれども、これは大きな仮定を置いた上での数字ですから、現実がどうかということは、もう少し近づいていかないと分かりませんので、今大事なことは先程言いました、まず今、目の前にある社会保障・税一体改革をしっかりやり切ることだというふうに考えています。
(問)今のことで確認ですが、そうしますと財政健全化目標を達成するための増税なり歳出削減ということと、これまでも御発言されている新しい年金制度をつくる等とすれば、ある程度の財源が要るという、その二つを両方、10%の後に検討するということでよろしいですか。
(答)これももう少し議論を深めなければいけないと思うんです。年金制度も、一部のメディアの皆さんは、10%じゃ足らないということを強調されますが、勿論、足らないわけですが、しかし今の年金制度でも足らないんですね。足らない程度は違うわけですけれども、そういう意味ではそれをどうするかという問題は残るわけであります。
他方で、今の年金制度では、一方で無年金者がある程度発生をすると、新しい制度にしますと最低保障年金ということで、基本的に今の想定では7万円だけは全ての人に行き渡るということになるわけです。
ということは、そこに生活保護を受給する、受ける方が今の制度では今後とも増えることが予想されるわけですが、最低保障年金ということになると、その部分は減るということになります。
そういうことをトータルの判断をしていかないと、どのぐらい税金がより多くかかるのかどうなのかということは、必ずしも明らかではありません。そういうことは我々前提で議論しているんですが、今日の昼のテレビなども見てますと、そういうことはあまり分からないまま、大変だ、大変だと言って議論しているという、そういう傾向もありますので、そこは是非もう少し理解した上で、皆さんも報道していただくと、国民にも誤解がないのではないかというふうに思っております。
(問)産経新聞の桑原と申します。
今お話しになった最低保障年金についてですが、野党のほうが全体像を示せと言っていますけれども、提示する際には最低保障年金の範囲によって、財源の規模が違うと思いますけれども、例えば複数、四つとか五つとか、そういう複数にして出すのか、それとも一つかっちり決めてしまって出すのか、どのように考えていらっしゃいますか。
(答)これは基本的に党でお決めになる話なんですね。政府の問題ではなくて、ですから私があまり決定的なことを言うべきではないというふうに思っています。いろいろなケースはありますが、あまり沢山ケースを出し過ぎると、これはまた訳分からなくなりますので、常識的には幾つかに絞って、それと現行制度とどちらがいいかということを比較する、そのための材料として出すということになるんじゃないかと思います。
(問)フジテレビの清水といいます。
年金の抜本改革に関してなんですけれども、先程も財源については、消費税10%には含まれずに更なる増税が必要ということですけれども、年金抜本改革の財源として、増税以外に更なる年金保険料の引き上げというものも検討されるということなんでしょうか。
(答)先程御説明したように、今の制度でも財源は足らないんです。そのことをまず申し上げておきます。今の制度では、今のまま大丈夫で、追加的な財源は必要ないということではありませんので、そのことは重ねて申し上げておきたいと思います。
今日ちょっとフジテレビさんの番組の議事録を見てましたら、その辺が必ずしもかなり誤解されているのかなという感じがしないわけではありませんでした。
そこで、保険料というお話ですけれども、保険料というのもあるかもしれませんが、基本的に今議論している税金を使うのは、我々の仕組みでは最低保障年金なんですね。所得比例年金のほうは税金は使わないわけです。ですから、最低保障年金をどのぐらいの大きさにするかということで、税が決まってくるわけですが、保険料のほうは所得比例年金の制度設計に関わってくるということになります。ですから、そこで変わる保険料と現行制度の保険料というのは、単純には比較できないということになると思います。
(問)共同通信の蒔田ですけれども、今日の総理の施政方針演説についての御感想、特に福田元総理や麻生元総理の発言を引用したり、自公政権下でも取り組んできた方向なんだということを強調した、一体改革について、強調した内容だと思うんですが、その辺りの御所感をお願いします。
(答)全体として、演説は力強く分かり易いものだったというふうに思います。網羅的ではなくて、目的意識がはっきりした演説というふうに思います。
そういう中で、自民党政権時代の総理大臣の演説を引用されました。言われないと、野田総理が言ったことなのか、それとも元総理の皆さんが言われたことなのかというのが分からないですね。そういう意味では、置かれた状況は同じ、あるいはむしろ悪化しているという中で、政治がやるべきことは共通だということをよく示した結果になったというふうに思います。是非自民党の議員の皆さんも、国民の立場に立って今の状況を何とか変えていくということは共通ですので、そのことをしっかり踏まえて、有意義な国会での審議、あるいは協議、そういったことをお願いしたいと思います。
(問)テレビ朝日の平元です。お願いします。
行革についてお伺いしたいんですが、以前この会見で岡田副総理は行革推進法の後継になる法律が必要だということをおっしゃっていまして、これは素案に書かれている行政構造改革実行法案(仮称)のことだと思うんですけれども、これは具体的に現在副総理はどういったイメージのものがあるのか、ちょっと教えていただいてもいいでしょうか。
(答)まだ申し上げる段階にはありません。私の頭の中にはあるんですけれども、これを政府の中で共有しなければなりませんので、そして党とも協議しなければなりません。どちらが出すかということも含めて、しっかり党とも協議が必要です。ですから、あまり先走りして出すというのは、私は控えるべきだと思っております。
(問)それに関連してなんですが、今日も党のほうでは行革調査会が行われていますけれども、政府の中では一体どういう組織でこの法律について御議論を深めていこうというお考えでしょうか。
(答)これは私の下で、行政刷新会議の事務局もありますし、行政改革委員会もありますので、政府の中の関係者が集まって議論をしていると、ある程度まとまったところで、各省にも御相談しなければいけない、各大臣にということになるかと思います。作業は急いでおりますけれども、まだ就任して今まで何日ぐらいたつんですかね。外に言えるほど固まってはいないということです。
(問)すごく基本的なことかもしれないんですけれども、党のほうでも今議論されていて、政府のほうでも今同時に議論が進んでいて、どこかでそれをすり合わせるというお考えなんでしょうか。
(答)そうです。今日たまたま昼、中川正春さん、蓮舫さん、階さんと私の部屋に来ていただきまして、基本的には箱弁当を出して労をねぎらったと。つまり特会、独法、まとまりましたので、短い時間ですけれども、食事をともにして、いろいろ意見交換しましたが、その中でも法律のことも当然話題になっております。意思疎通をよくしながら、どこかでこれは調整が必要になりますから、いいものをつくり上げていきたいと思います。
(問)読売新聞の足利と申します。
行革の法案に関連する質問なんですけれども、特会や独法のように、個別テーマを切り出して法案を提出するお考えはあるのかということをお伺いしたい。
(答)独法、特会は法律が出ます。これは個別テーマと言っても、かなり分厚いものになると思います。それを出した上で、独法などはその上でまた個別の法律がこれはこの国会というより、次の国会になると思いますが、必要になってくるものがあるということです。実はこれはかなり大作業なんですね。ですから、そういった特会、独法を今検討している法案の中でどう扱うか、あるいはこれはそちらで話しているので、除くのか、そういったことも含めて今議論中です。
(問)東京新聞の生島といいます。
冒頭にお話があった国家戦略会議の副議長ということなんですけれども、最初就任当時のお話だと、エネルギー関係は、エネルギー政策に関してはあまり手を広げたくないというようなお話だったと思うんですが、今回副議長になることによって、今年の夏にかけてのエネルギーの政策の見直しについては、岡田副総理はどのように関わっていかれるのでしょうか。
(答)これは国家戦略会議の副議長ということとは、ちょっと直接つながらない問題かというふうに思います。どこまでやるか、手を広げるかということは、ケース・バイ・ケースで考えていきたいというふうに思います。ただ、政権にとって非常に重要な話ということであれば、それはかみ方はいろいろありますけれども、少なくともきちんと情報は得ておかなければいけないということになると思います。全体の政局にも関係してくる可能性もありますから、ただ細かいところまで口を出すつもりはないと。それはそれぞれ担当大臣、そして官房長官や総理がおられるわけですから、官房長官や総理と同じようにかんでいると、私自身の本来の仕事が、本来の仕事というのは社会保障・税一体改革や行政改革がそれだけできなくなりますので、そこは自分なりに判断しながら進めていきたいと思います。
ただ、副総理として、緊急事態というか、危機管理といいますか、そういうものはしっかり押さえておかなければいけないというふうには思っています。これは総理が海外に行かれたり、あるいは何か職務が一時的に執行できないような事態になったときには、副総理がそれに代わるという場面は、法律上は予定されていますので、そういう意味では危機管理に関することは、しっかりとフォローしておく必要があるというふうに思っています。
(問)NHKの岡崎です。
一体改革を巡る与野党協議なんですけれども、年金改革の抜本改革を含む全体像を示すには、当然党内の手続も必要だと思うんですけれども、協議を得て大綱を作るというスケジュールが政府にあるわけで、そうした観点から、政府としてはどういったスケジュールで党内の議論とか、その全体像を示すスケジュール感をどういうふうに考えていらっしゃるか、お願いします。
(答)それは今申し上げる段階にありません。ただ、幹事長や政調会長とは意思疎通を良くして、進めていきたいというふうに考えています。実際に協議するのは党のほうですから、私のほうは政府のおっしゃった大綱とか法案というのは、これは政府のほうになりますから、それぞれが意思疎通をよくして、チームワークで物事を進めていかなければいけないというふうに考えています。
(問)朝日新聞の野上です。
先程一旦お話が出ました施政方針の関係なんですけれども、福田元総理、麻生元総理の施政方針を引かれまして、総理のお気持ちは分かる一方で、民主党としては、問責を出してきたお二人の元総理のものを引用するということで、若干ちょっと都合がいいのではないかなというような見方もできるかと思うんですけれども、意地悪な質問ですけれども、如何でしょうか。
(答)これは我々も野党の時代にやっていたことに対して、いろいろ反省はあるんですね。それは私個人の意見ということで考えていただければと思いますけれども、例えば外務大臣のときに海外に出ようとしたら、「あなたたちが野党のときに外務大臣を認めなかったじゃないか」と、こういうふうに言われたことがありますが、これでそれぞれが与党、野党を経験したわけですから、そろそろお互い国民の立場に立って、しっかり前に動かすということを考えなきゃいけないんじゃないかと。我々が将来また野党になったとしても、従来とは違う発想でやらなければいけないことも多いんじゃないかというふうに思っています。
(以上)