夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年2月9日号
予算委員会の真剣な審議が連日続いている。東日本大震災の復興策を盛った4次補正予算案と、野田政権の最重要課題である「社会保障と税の一体改革」が焦点だ。 こうしたなか、新年金制度の「財政試算」の公表問題がメディアで取り沙汰された。政府・民主党で慎重に検討した結果、前原誠司政調会長に一任となった。
問題の試算は、党内の一部議員が非公式に行ったものだ。当時、私は幹事長だったが報告も受けていない。非公式であるうえ、報道が過熱して「すぐ消費税が上がる」「税率17%」といった不正確な情報が広まった。 このため、政府・民主党では「当面、公表を見合わせよう」と判断したが、時間も経って少し落ち着いてきたことを踏まえ、政調会長一任としたものだ。近日中に公表されるだろう。
決して隠していたわけではない。年金問題は、国民生活に直結する関心事だ。どうか、メディアの方々は冷静かつ正確に事実を伝えてほしい。
原子力災害対策本部など震災関連会議の記録文書が未作成だったことは、信じられないことで、おわびしなければならない。
昨年4月施行の公文書管理法では、重要な会議の意思決定や経緯を記した文書の作成が義務づけられている。大震災や原発事故で多忙だったとはいえ、大災害にどう対処したかを記録することは、歴史的責任でもある。先週、第三者の有識者からなる公文書管理委員会に出席し、原因の調査・分析と再発防止策の検討を要請した。 このほか、私は現在、「社会保障と税の一体改革」に真正面から取り組んでいる。近く、他の閣僚や党幹部とともに全国を回り、一体改革の必要性を訴えていく。
世論調査などを見ると、国民の方々も「社会保障制度を維持するためには消費税増税も仕方ない」と理解されている。ただ、「今は…」とか「政治改革や行政改革をやってから」という意見が多い。
一体改革と「行政・政治改革」は車の両輪であり、並行して実行する。特に、行政改革は私の担当であり、しっかりと責任を果たしていく。
野田佳彦首相を本部長、私が本部長代理を務める行政改革実行本部も立ち上げた。独立行政法人(独法)や特別会計(特会)の見直しは前進しており、今後、法案の形で国会に出していく。道路特会を含む社会資本整備特会を廃止するなど、かなりの独法や特会の整備をした。
具体的な削減額はこれからだが、被災地復興などの必要な仕事はしながら、独法に対する監督権限や内部監査の強化などで、無駄遣いができない仕組みをつくっていく。改革を前に進めていきたい。