副総理としての定例記者会見(平成24年3月27日)
岡田副総理記者会見要旨 平成24年3月27日
(平成24年3月27日(火) 17:05~17:28 於:合同庁舎4号館4階408会議室)
1.発言要旨
私からは、まず社会保障・税一体改革に関する党内論議も日にちを重ねてまいりまして、今日、相当詰めの議論が行われているというふうに期待を持っております。今まで私も参加できませんので、聞くしかないわけですが、かなり厳しい議論もなされておりますが、しかし全体として非常にいい議論が行われているというふうに思っております。消費税を5%引き上げるという大変国民に御負担をお願いする話でありますので、真剣な議論がなされるのは、ある意味当然のことでありまして、今日までの関係者の皆さん、政調会長始め、まとめる立場の皆さん、そして御意見をいただく皆さんに対して感謝申し上げたいと思います。
そろそろ取りまとめの段階かなというふうに思いますが、それは私が決めることではありませんので、本日、有益な議論が行われることを期待しているところであります。
それから、今日は4大臣会合を開きまして、北朝鮮の問題について、官房長官、防衛大臣、外務大臣とともに認識を共有いたしました。
勿論、北朝鮮が断念をするということが望まれるわけで、そのために外交的努力を重ねるべき、総理も韓国で様々意見交換もし、認識を共有するために御努力されたということでありますが、なお、そういった外交的努力が求められるというふうに思います。しかし、同時に現実に発射された場合の対応をしっかりと間違いのない対応をするための準備を行っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
さて、今、住宅金融支援機構についての議論が行われました。調査会において検討が進められまして、基本的な論点が取りまとめられたところでございます。これから、その論点を基にして、更に議論が重ねられていくことでありますが、今日は基本的に長期・固定の住宅ローンを相対的に低金利で提供する上で、機構の業務は有用であるという、その認識の基に、機構は証券化手法により市場より資金調達も行っているが、この手法に改善の余地はないか、機構のガバナンスについて、法人形態を含め改善の余地はないか、といった問題意識に立って御議論いただいたわけでございます。
具体的には、機構の証券化手法について、市場の育成、つまり機構だけではなくて、民間も含めて、その市場の育成、将来における事業の民間へのシフトに向けた証券発行形式の多様化や、より適切な審査基準・リスク管理などの在り方について、更に検討を深めるべきではないか。
それから、ガバナンス・組織論につきましては、組織形態として、行政法人、現在そうでありますが、それから特殊法人、特殊会社などを選択肢として検討すべきではないか、といったような基本的な論点整理をいただいたところでございます。
今後、市場の混乱やこれに伴う長期固定の住宅ローンの金利上昇などの事態を招かないよう、十分配慮をしつつ、夏に向けて論議を深めていただきたいと思っております。
最後に私のほうから今日申し上げたことは、夏ということになっているが、そんなに時間をかけずにまとまるのであれば、まとめていただきたいということと、いずれにしてもこの機構の最終的な組織の在り方として、最終決着をつけていただきたいということを改めて申し上げたところでございます。
私から以上です。
2.質疑応答
(問)【冒頭発言関係】
朝日新聞の三輪です。
北朝鮮の関係で、今、副総理がお話しされたので、1点お聞きしたいのですけれども、総理は核セキュリティサミットに出席したわけですけれども、昨日1日結局集中審議でずっと国会に出席され、それ以外のオバマ大統領や李明博大統領が会談している間、総理はなかなかそこには出席できなかったわけなのですけれども、お聞きしたいのは、ねじれ国会の中で総理の国会出席が多くて、外交に影響が出ているのではないかというふうに思うのですが、その辺お考えは如何でしょうか。
(答)ここは言い方は気をつけないと、またそのことが国会において審議を遅らせてしまうという結果になってはいけませんので、注意深く発言したいとは思いますが、総理御自身も予算委員会の場でですね、APECや東アジアサミットでの経験を踏まえて、オバマ大統領や李明博大統領がそういったこんなに忙しい経験はないと言われたのだけれども、自分は週末はそういう国際会議に出つつ、平日は国会にほとんど出ていたと、こういうことを言われましたね。
そして、リーダーを摩耗させると言いましたか、そういう仕組みになっているのではないかと、これはリーダーとしての質の問題以前の問題ではないかということを言われました。
私も認識は同じです。ですから、これはいろいろな経緯があり、我々も野党のときに様々なことを言ったり、やったりしておりますので、今がどうというつもりはございません。ただ、やはり選ばれた国のリーダーが存分に力を発揮できる、そういう仕組みというものをお互い考えていかないと、お国の不幸だというふうに思います。
(問)何か今具体的なお考えというのはありますか。
(答)これ以上言うとちょっと難しいのです。予算委員会が終わったら、また。
(問)共同通信の関といいます。
住宅金融支援機構の論点整理に関連して、最後、副総理が会合で最終的な組織の在り方として決着をつけて欲しいと申し上げたというお話ですけれども、もう一つのURも含めて、この間、議論については、かなり長期間なされていて、それでまだ何となく方向性が見えてない。ここで今回何としてもきちっとした決着をつけるべきだという趣旨での御発言と理解してよろしいのでしょうか。
(答)URと住宅機構はちょっと違うのですが、住宅機構の場合には最終的に今の姿、つまり行政法人という形で、これも独法という形でいくのか、特別の行政法人という形にするのかというところはあると思うのですね。
それから、特殊会社、つまり政府が100%出資の特殊会社にする。あるいはその他の特殊法人にする、という幾つか選択肢がある中で、落ち着き先がまだはっきりしてないわけですね。私は最終的にきちんと決めるべきではないかというふうに思っております。それ以上の何が望ましいかということは、まだ議論されておりませんので、何も何かの方向性を示唆するものではないのですが、非常に重要な役割を果たしている組織でありますので、いつまでも形態が、あるべき姿が安定しないと、決まっていないというのは、望ましいことではないというふうに思っています。
(問)NHKの岡崎です。
この住宅金融支援機構とURも含めて、これまでも例えば所管の国交省であったりとか、様々な調査会みたいなものが設けられて、そこで結論を出してきたと思うのですけれども、今回、岡田さんの下でやっているこの調査会二つですけれども、夏までに結論を出して、それをどのように実行たらしめるというか、実行力の担保を付与していこうというふうにお考えでしょうか。
(答)実行力を担保すると、それは法律を作ればそれが実行されたということではないでしょうか。
(問)二つとも法案を作って、国会に提出するという予定でしょうか。
(答)これは中身次第ですから、現時点では申し上げられません。URについても、いずれにしても、ある意味では先送りを続けてきたということだと思います。ですから、そこをきちっと議論して、着地点を見いだすということだと思います。
(問)朝日新聞の野上です。よろしくお願いします。
一体改革について1点お尋ねなのですけれども、副総理は以前は今回の大綱は素案の大綱ですけれども、党内の議論を踏まえてできてきたものであるので、基本的にはそのままの形で法案化するというようなお考えを示されていたかと思うのですけれども、党内の議論を踏まえた上でですね、今回の党内議論をいい議論というふうに評価されたのは、どういった点を注目して、いいというふうにおっしゃっているのでしょうか。
(答)ですから、消費税を引き上げるということについて、様々な経済との関係とか、行革との関係とか、あるいは影響を受ける人たちに対する措置とか、そういったことについて、議論が深まったことは非常にいいことだというふうに思います。
(問)党内の議論をお聞きになっている範囲で、大綱の段階からかなり変わったものになったという印象を持っていらっしゃるのか、あるいは基本的にはそのままの線でどうもいけそうだなという感じを持っていらっしゃるのか、如何でしょうか。
(答)これは決着がつかないと、現段階で私が先取りして言わないほうがいいというふうに思っております。
(問)フリーランス記者の上出です。
今の一体改革の問題で、何回か出ていると思うのですけれども、各紙にもちょっと出ております。この消費税は結局は前回の橋本政権のときに97年のときに、消費の冷え込みに大きな影響を与えたということが論議になったと思いますが、今回またそういう問題が浮上してきておりまして、いろいろな形で党内でも新聞報道でもされているのですけれども、岡田副総理自身は、はっきりした何か具体的な、私も調べてみたのですが、いろいろな意見があって、なかなかなつかみどころがない部分もありますが、はっきり影響がないと言い切れるのでしたら、それも含めて何か根拠を景気との関係で、消費税は問題ないのだという根拠をちょっとお示しいただけませんでしょうか。
(答)そういう議論も含めて、今、党の中で行われておりますので、閣僚である私が今の段階でコメントしないほうがいいというふうに思っております。
(問)共同通信の蒔田ですけれども、一体改革関連で、今、党内議論が行われていて、増税にやや慎重な姿勢を示す方との対立が深刻化しないように、丁寧に今議論が進められていると思うのですが、昨日の議論でも前原さんが今日終結されると明言されて、今日何としても決めることによって、こういった党内の対立が深刻化したり、分裂したりする恐れというか、そういう可能性について、どのようにお考えでしょうか。
(答)これだけ丁寧に時間をかけて議論してきております。むしろ皆さんからも時間がかかり過ぎているという御批判をかなりいただいていると思うのですね。熟議の民主主義といいますか、しっかりと議論をして、最終的には決着をすれば、それに対して結論が出れば、それに対してみんなが尊重するということに私はなるだろうと確信をしております。
(問)その関連でもう1点。こうやって党内議論で決まれば、法案採決時にまた議論が再燃するような恐れとか、心配というのは、特に考えてないでしょうか。
(答)そういったことを何か心配しているとか、そういう答えはありようがないと思いますけれども。
(問)【その他】
朝日新聞の三輪です。
国家公務員の新規採用の件なのですけれども、今月中に決めるということでしたので、30日の閣議の前か後に行革実行本部を開いて、そのときに決めるという御予定でしょうか。
(答)まだ日にちは決めておりません。最終調整を行っているところですから、その決着がどうなるかということで、各紙からいろいろ御批判も社説でいただいておりますが、そういった御意見は分かりますが、私としてはいろいろなことをちゃんとまずやって、それを待ってというのがどこかでよく聞くセリフで、それは同時並行してやっていかなければいけないことではないかというふうに思っております。必要があれば、ある程度政務レベルでもやっておりますが、必要があれば私も関与させていただいて、きちんと最終的にまとめたいというふうに思っております。
(問)どこかで閣僚同士で、そこに副総理も入った場を何か想定しているのですか、決着の前に。
(答)いや、そういうことは考えておりません。個別に、それは別に会わなくても話はできますし、必要があればそういう形で意見交換をしたいというふうに思っております。
(問)これまでも繰り返し同じような質問をしていて恐縮なのですけれども、削減する上でこういう観点で削減したいというような、個別ですね。例えば地方の出先機関があるようなところは減らしたいだとか、こういうところには影響がないように減らしたいとかと、そういう具体的な方針をちょっとまた改めてお聞かせいただきたいのですが。
(答)個別にはそれぞれ省庁に対して、こういうところはあまり深くは沢山は減らせないということとか、いろいろなことをそれは総務省のほうで個別にやってますので、そこは全く一律とか、そういう考え方には立っておりません。必要性を見極めつつ、しかし全体としては大幅に削減するということで、進めさせていただいているところでございます。
ただ、今回、社会保障・税一体改革ということで、そういう中で出てきている話でもありますので、関係省庁にはそれなりの御負担をいただくということも必要かと思っております。
(問)確認ですが、今月中に決めるということでは変わりないですか。
(答)そういう方針で今やっているところです。
(問)朝日新聞の野上です。
念のための確認ですけれども、関係省庁、つまり4大臣を出している一体改革の関係閣僚の省庁ということでしょうか。
(答)そういうところも含めて、しっかり対応していただきたいというふうに思っております。どういうことも成し遂げるのは難しいものです。総人件費抑制という総論は、メディアも含めて皆さんおっしゃいますが、個別にやっていくとなると、それぞれいろいろな意見が出てきます。そういうものを勿論しっかりと議論しながら乗り越えて、進めていかなければいけないというふうに思っています。
(問)フリーランス記者の上出です。 全く別の問題ですが、今日各紙に結構大きく出ておりましたが、仙台地方裁判所がですね、陸上自衛隊がイラク派遣の活動をしていてた人達の情報を集めて、反対運動や何かをしている人達の個人情報を収集したことは違法に当たるというような結論が出まして、これは初めて人格権というようなものが出てきました。
これは何回か私が質問させていただいた秘密保全法とか、あと一方同じく本国会で法案提出が一応予定されているという情報公開法の改正案、これとも絡んでくる問題だと思うのですが、何かこれについての受け止め方とか、反論とかも含めてございましたら、聞かせていただければと思います。
(答)裁判は最終的に確定したものではございませんので、そういう段階で私はあまり行政府がコメントしないほうがいいと、基本的にはそう考えております。
ただ、今までにない新しい視点で判決が出されましたので、そういう意味では注目していると。注目しているというのは、意味合いとしてはニュートラルですが。
(問)産経新聞の力武といいます。よろしくお願いします。
新規採用についてなのですけれども、これまでに各省との折衝の中で、何度かやりとりがあって、それで最終的な案というものもこれぐらいの数字にしようということを提示されているようですけれども、岡田副総理からは具体的に各省に対して、あるいは各大臣に対して、今の段階ではどういった御指示をなさっているのでしょうか。
(答)私は、総務省からはいろいろとお話をいただいて、相談しながら進めさせていただいています。勿論、権限はこれは総務大臣の権限ですが、各省庁はまだ基本的に私自身が気がついた幾つかを除けば、直接接触はしておりません。基本的には総務省がやっていただいていると、そういう段階ですね。
(問)重ねてすみません。一部報道で、09年度比で6割ぐらいの削減する方向で最終的にやろうというような調整に入ったというふうなものもあるのですが、そこら辺については如何でしょうか。
(答)今日、閣議、閣僚懇で川端大臣が言われましたが、ほぼ最終に近い案で各省庁に出しました。それがどういう数字であるかということは、特に申し上げるつもりはございません。
(問)少なくとも何かしらの数字は提示されたということで、よろしいのでしょうか。
(答)各省庁に対して、何度かそういった、こちらというか、総務省、あるいは私も含めて考える数字というのは提示してございます。ただ、まだ各省庁の考えとかなり開きがあるところもあります。大体そういう開きがなくなっている省庁もありますが、ばらばらですね、状況は。
(以上)