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2012.05.07|夕刊フジ

夕刊フジ 岡田克也副総理 GW特別号インタビュー(12年5月6日)

――小沢氏に無罪判決が出た

「個人的にはよかったと思う。ただ、副総理という立場では、裁判の内容についてのコメントは控える」

――前田武志国交相と田中直紀防衛相への問責決議が可決については?

「国会でもさまざまな指摘があったが、辞任すべき決定的なことがあったとは思わない。しかし、あれだけ面白おかしく報道されると…。とにかく、2人には職責を果たしていただきたい。衆院、参院ともに、2人が関係する委員会以外は普通に審議している。次第に落ち着いてくると期待している」

――野田内閣の最優先課題である「消費税増税」だが、世論調査ではおおむね「賛成」40%、「反対」50%だ

「世論調査で単純に『増税に賛成か、反対か?』と聞くと、『反対』と答える人が多いだろう。ただ、『社会保障制度を維持するためには、増税は避けられないと考えるか?』と聞くと、多くの方が『避けられない』と答える。ほぼ毎週末、全国各地で『社会保障と税の一体改革』の必要性を説明する対話集会を開催しているが、きちんと説明すると『何が何でも反対』という人は少ない」

――増税反対派は「経済成長すれば税収は増える」と主張している

「確かに、デフレからは脱却しなければならない。だが、過去20年間を振り返って、経済が順調に成長した時期は限られている。たとえ経済成長したとしても、物価が上昇すればその分歳出は増加する。金利が上がり、国債費(国の借金返済)が増える可能性もある。『経済成長すれば~』といって改革を先送りすれば、日本の財政は持たなくなる。そんな余裕はない。社会保障制度への不安から、経済がさらに悪化しかねない。決断し、実行することが求められている」

――実行しなければどうなるのか

「将来財政的な破綻がないと断言はできない。その場合には、欧州各国のように、国債金利が急騰し、国の資金調達ができなくなる。国際的な支援を得るために、ギリシャでは、年金が2割カットされた。それもギリシャ政府が決めるのではなく、EUやIMF(国際通貨基金)に対応策を強いられてだ。日本がそうなったとき、国際社会は果たして日本のような経済大国を支援することができるのだろうか。そして、最もダメージを受けるのは、社会的に弱い立場の人たちだ」

――身を切る改革はどうなっている

「かなり進んでいる。先般も国家公務員の新規採用を56%カットし、中央省庁の定期刊行物を3割(4億円)削減した。しかし、いずれもメディアからは批判を受けた。改革を実行すると『総論賛成、各論反対』が多いが、できることは何でもやっていく。『あれか、これか』ではなく、『あれも、これも』だ」

――原発再稼働問題も深刻だ

「再稼働に不安を感じている人が多いのはよく分かる。政府としては、安全に関する科学的根拠をきちんと示して、ていねいに説明しなければならない。ただ、電力不足は国民生活に直結する問題であり、経済や雇用に与える影響も計り知れない。決して政局や選挙にからめて論ずるべきではなく、国民の方々の理解を得ながら、冷静に判断すべき問題だ」

――野田内閣の支持率低下が止まらない

「社会保障と税の一体改革、震災復興、原発対応など、厳しい決断に直面している。ただ、これらの大半は突然出てきた問題ではなく、過去20年、30年のツケが回ってきたものだ。野田首相も私も、支持率がある程度下がるのは覚悟の上だ。ブレない野田首相の姿勢を評価する声もある」

――ただ、民主党内は一致結束していない

「難しい問題だけに、さまざまな意見があるのは理解する。ただ、党として決めたことは、しっかり守ることが重要だ。消費税は昨年末と3月末に徹底的に議論した。野田首相は『政治生命をかける』とまで明言している。党所属議員は支えてほしい。全国幹事長会議でも、そういう意見が多かったと聞いている」

――左のページの、谷垣総裁にメッセージは

「谷垣さんは古いタイプの政治家とは違う。信頼できる人だ。ぜひ、民主党か自民党かという発想ではなく、何のために国会議員になったのかという原点に立ってご判断いただきたい。党派を超えて取り組むべき国家的問題が山積している。野田首相も私も、1つひとつ乗り越えていく。これは政治家としての使命だと思う。谷垣さんにも、ぜひご協力いただきたい」

――次期衆院選の時期は?

「野田首相が決めることだ。間違いなく、ベストのタイミングで解散するだろう。それが今年なのか、来年なのかは分からない」

――民主党は選挙で何を訴えるのか

「やるべき改革を実行して、国民の方々に『政治はこれだけのことができる』と示す。そのうえで、実績を掲げて戦うことになるだろう」

――GWの予定は

「前半は、野田首相が訪米で不在だったので、副総理として東京にいた。後半は、バングラデシュとスリランカを訪問する。いずれも重要な親日国であり、国交樹立40周年と60周年の節目にあたる。最近、総理や閣僚が訪問していないこともあり、副総理として、両国の首相や大統領らと未来に向けた会談をしてきたい」




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