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2012.05.17|夕刊フジ

夕刊フジコラム「ズバリ直球」12年5月16日号

 東京スカイツリーを中核とする「東京スカイツリータウン」の開業式典が14日、地上350メートルの展望台で行われた。私も、政府を代表して、前田武志国交相や石原慎太郎都知事、テレビ各局の社長らとともに、出席した。

 私はあいさつで、「小学生時代に東京タワーが完成した。社会科の教科書で『世界一のタワーを、日本は非常に短い工期で作った』というのを見て、子供ながらに誇らしく感じた。当時は地方(三重県四日市市)に住んでいたが、いつか必ず行ってみたいと思った。スカイツリーは日本の素晴しい技術の結集だ。東日本大震災という国難を乗り越えて完成したツリーが、国民1人ひとり、とりわけ子供たちに希望を与え続ける存在であることを心から期待している」と語った。

 展望台を一周りしながら、眼下に広がる景色をながめた。本当に圧倒された。残念ながら富士山は見えなかったが、国会議事堂は見えた。近くに隅田川が流れていたこともあるのか、「東京は川が多いな」と感じた。タワー周辺には、下町の雰囲気がまだ残っていたが、これから大きく変わっていくだろう。

 さて、「社会保障と税の一体改革」関連法案が9日から3日間、衆院本会議で審議された。衆参ねじれのなか、法案は与党単独では成立しない。野田佳彦首相は連日答弁に立ったが、自公両党などに協議に応じるよう、ていねいに呼びかけていたのが印象的だった。

 関連7法案を審議する特別委員会は設置されているが、いつからスタートするかは与野党間で議論をしている。野党もいろいろと主張があるのはわかるが、とにかく1日も早く委員会審議に入ってほしい。我々もベストの法案を出している自信と自負はあるが、具体的議論のなかで論点が煮詰まってくれば、話し合いの余地も出てくるだろう。誠意を持って対応したいと思う。

 日本の社会保障制度を持続可能なものにして、財政の危機的状況を回避するためには、何としても今国会で一体改革関連法案を成立させなければならない。「デフレを克服してから」「経済成長すれば…」などといって先送りできればいいが、そんな時間的余裕はない。次世代のためにも、与野党の立場を超えて充実した議論を行い、一体改革を何とか実現したい。

 最後に、GW後半のバングラデシュ、スリランカ訪問について、触れたい。

日本とバングラデシュは、今年で国交を結んで40年になる。ハシナ首相らと会談し、日本の進出企業に対する電力・エネルギー供給などの環境整備をお願いした。大変な親日国であり、人々は勤勉で、民主主義も機能している。1人あたりのGDP(国内総生産)は年642米ドル(約5万1000円)で後発開発途上国の1つだが、最近は、NTTドコモやユニクロの関連工場も進出しており、ブラジルやインドに続く「ネクスト11」として注目を集めている国だ。

 スリランカとは、国交樹立60周年にあたる。やはり、親日国として有名で、ラージャパクサ大統領らと有意義な会談ができた。2009年に30年に及ぶ内戦が終結した北部地域では、日本のNGOも活動している。NGOの支援で、牛1頭を飼育しながら3人の子供を育てている未亡人が、「もっと牛を増やしたい。将来は牧場主になりたい」と語っていたのが印象的だった。

 スリランカでは、世界遺産の「仏歯寺」も訪ね、高僧に願掛けの白いひもを手首に巻いていただいた。今年は、ブッダが悟りを開いて2600年にあたり、同国訪問時には、日本の盆踊りにも似たお祭りが盛大に開かれていた。仏教国という親近感のなか、高僧に巻いてもらった白いひもを眺めながら、帰国後の改革法案成立を強く心に誓った。




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