副総理としての定例記者会見(平成24年5月22日)
岡田副総理記者会見要旨 平成24年5月22日
(平成24年5月22日(火) 17:26~17:50 於:合同庁舎4号館1階108会議室)
1.発言要旨
私からは2点。第1点は、規制・制度改革委員会の問題です。
今まで行政刷新会議の下に、「規制・制度改革に関する分科会」という形で規制・制度改革の問題を議論する場を設けておりましたが、この度バージョンアップして、規制・制度改革を力強く進めるためにバージョンアップをするということにいたしました。
既に、この分科会の会長を務めていただいていた住友商事会長の岡さんには行政刷新会議のメンバーになっていただいたということは御報告したかと思いますが、それに加えて、規制・制度改革に関する分科会の名称を「規制・制度改革委員会」というふうに改めることにいたしました。そして、その下に農業分野の改革を集中的に検討する農業ワーキンググループを設置するということにしたところでございます。併せて、この新たな委員会の事務局について、行政刷新会議事務局と現在離れた場所にありますので、同じ庁舎内に集約をするということを決め、昨日から新たな執務室で業務を開始したところでございます。その関係で、皆さんにはこちらに会見の場所を変わっていただいたということでございます。
私は、成長戦略の一環として規制・制度改革は非常に重要だというふうに考えておりまして、既存の仕組みの中でも、先般の新エネルギーに関する規制改革については、かなり良いものができたというふうに思っておりますが、より農業分野、あるいは医療の分野、その他、今まで議論してきたものも含めて、しっかりと前に進めていくために体制整備を図ったところでございます。
それから、2番目ですが、公文書管理ガイドラインの改正案のパブリックコメント開始についてということで、既に先般開催された第18回の公文書管理委員会の取りまとめを受けて、本日、「行政文書の管理に関するガイドライン」の改正案を作成しパブリックコメントを開始したところでございます。
委員会で取りまとめていただいた御意見が政府内でしっかりと守られるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)【規制・制度改革関係】
朝日新聞の河口です。
規制・制度改革委員会についてお尋ねします。
まず、こちらの組織替えといいますか、バージョンアップとおっしゃっていましたが、具体的には、どう機能強化がなされているのかというのがちょっとはっきりしないので、そこを教えていただきたいのと、例えば、農業ですとか、医療ですとか、もし具体例、こういった規制改革が考えられるのではないかという具体例がもしありましたら教えていただければと思います。
(答)今のお話は、私の先程の説明を全く理解していただけなくて大変残念ですが、まず、委員会の名前を変えた。そして、そのトップを行政刷新会議のメンバーになっていただいた岡さんということで、行政刷新会議とのつながりを良くした。岡さんには、今までも随分よくやっていただいたのですが、ちょっと気の毒というか、刷新会議そのもののメンバーではなかったので、今回なっていただいた。それで発言力を強くしたということであります。
同時に、農業について新たにワーキンググループを作り、農業の問題について、専門に議論していただく場を作ったということでございます。今まで農業の問題については、農業生産法人の問題、あるいは農業委員会の在り方、あるいは農協に対する金融庁検査や公認会計士監査の実施、こういった問題について、閣議決定があり議論されてきておりますが、その閣議決定の中で、どこまでしっかりとした改革ができるかということについて、専門的に御議論いただこうというふうに思っております。
なお、規制改革は6月で一旦、次の新しいクールに入るわけですけれども、そういう中でも農業の問題は中心の問題の一つに据えてしっかりと御議論いただく、その助走でもある。そういうふうに御理解いただければと思います。
(問)フリーランスの宮崎信行です。
ちょっとなかなか見え難いので、三つ関係がどうなっているのかお伺いします。
一つ目は、ネームを見定めるとして、まず、新成長戦略改め日本再生戦略に何か反映されるのか。
二つ目は、デフレ脱却等の閣僚会議でしたか、そういった組織に、岡田さんは規制改革担当大臣として入られていると思いますが、それと関係があるのか。
三つ目は、農業、医療ということですが、TPPと関係があるのか教えてください。
(答)デフレの問題は、私は総理とともに初回に出席をして、1回り目は出るということにしておりますが、毎回出るわけではございません。
ただ、デフレ脱却、あるいは成長戦略、いずれも規制改革に密接に関係している問題であるというふうに考えております。ただ、それにとらわれずに規制改革として、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。何かの結論を取りまとめるのに併せて、そこで終わってしまう話ではなくて、私は今の民主党政権にとって非常に重要なテーマであるということをもう一回しっかりと位置付けしたいと、そういう思いでございます。
(問)TPPはどうですか。
(答)TPPに直接関係はありません。
しかし、今、日本の農業について、より生産性を高める。あるいは競争条件を整備すると、そういった問題意識で取り組んでいるところでございます。
(問)【公文書管理のガイドライン関係】
時事通信の中西です。
パブリックコメントを今日開始されて、6月8日までとなっていますけれども、その後のスケジュール感としては、内閣総理大臣決定が必要だと思いますが、これは6月中に行う予定というふうにお考えでしょうか。 (答)それは、パブリックコメントの結果次第でもありますが、なるべく急ぎたいというふうに考えております。
(問)【その他】
朝日新聞の伊藤です。
消費税の特別委員会、野党の審議が今日2日目でしたけれども、改めてこの2日間を通して、新たな論点というか、そういうものを何か見出せるものというのはございましたでしょうか。
(答)論点というのは、それは質疑をされる野党の皆さんから言われる話であって、こちらから言う話では必ずしもないというふうに思います。予算委員会で議論されたことが多いかと思いますが、しかし、各党それぞれ何と言いますかエース級を立てて御質問いただいておりますので、いい議論ができているのではないかというふうに思っております。
(問)その中で、マニフェストの検証といいますか、マニフェストに書いたことをやっていないのではないかという指摘が結構各党から出ていたと思うのですけれども、その中で、幹事長でいらしたときに中間検証をおやりになりましたというお話はされていますけれども、その中間検証というのが、やはり野党から見ると十分とは思っていないのかなというような質問が多かったように思われますけれども、その点、もう少し何かやる必要があるのかどうかを含めて御見解をお願いいたします。
(答)中間検証の中で、やるべきことは十分にやっているというふうに考えております。
(問)フリーランスの上出です。
消費税に関連しまして、既に報道されていますが、小沢一郎さんが首相と話し合う機会を設けたいというようなことを幹事長が言って、党の話になってしまうかもしれませんが、今の消費税の問題に限って言うと、小沢さんは反対されているわけですけれども、岡田副総理から見て、かみ合っていない部分とかみ合う部分、この話し合いのポイントというのをどういうふうに見ておられますでしょうか。
(答)ちょっと、申し訳ありません。せっかく特別委員会の話が出ましたので、そのことを中心にまず御質問いただいて、その上でと思いますが。
(問)フリーランスの宮崎です。
委員会審議で、一つ総論、感想的なことと、各論を一つずつお伺いします。
一つ目は、総論として自民党の各委員、エース級ですけれども、自民党というのは随分ばらばらな政党だなという印象が、この2日間の委員会でありました。如何お感じになりましたか。
(答)それぞれ見識を持った御質問をいただいたというふうに思っております。それ以上のことは申し上げません。
(問)それから、今日の自民党の田村さんの質問でありましたけれども、児童福祉法の24条の改正、これは今まで保育の最終的な責任というのは市町村にあったわけですけれども、これを改正するということで、実は、これはこの内閣府での政策形成過程、プロセスがかなり透明化されていましたので、市町村議員の間では、これはもう非常に今、話題が持ちきり、非常に有名な話ですね、この児童福祉法24条に関しては。なのですけれども、田村さんの質問では、内閣法制局長官の答弁を受ける形で、これによって、保育で市町村に最終責任が行かなくなるので、保育所あるいは総合こども園も含めてという意味でしょうけれども、市町村に対して国家賠償請求ができなくなることによって、事業主が倒産すれば、何か事故があった場合、保護者の方が、賠償先がなくなってしまうというふうな指摘がありました。これは結構、重要な指摘なのではないかなと思いますけれども、この保育の最終責任、例えば総合こども園も含めて、そういったところの最終責任はどこにあるとお考えになりますか。
(答)これは、もう一度、政府の中で確認しなければいけませんが、私も気になって、法制局長官にその後、確認をいたしましたが、昼休みのときにですね。法制局長官の答弁は、公立の保育所について答弁したと、こういうことでありますので、それは公立公設の保育所側について、最後、国賠法の対象になるというのは、これはいわば当たり前の話であって、現行法の下でも、そうではない保育所について国賠法の対象になるというのは、それは公務員が何か関与して過失があったり、そういう場合は別にすれば、一般的にはそれは事業所が最終的な責任を負うというのが普通の考え方ではないかというふうに思います。そういう意味で、やや誤解を招きやすい法制局長官の答弁だったのかなというふうに私は思っております。
なお、詳細は、よく政府の中で確認をする必要があるというふうに思っております。ですから、今もそうですから、それが変わるわけではないということですね。
(問)では、また改めてということにいたします。
(答)ですから、今日の委員会の結果として皆さんが報道されるとすると、それは、長官は公設のものについて国賠法の対象になっていると、今ですね。そういう答弁をしたというふうに理解をしていただければと思います。
(問)共同通信の蒔田ですけれども、昨日の委員会の答弁で、総理が後期高齢者医療制度の見直し法案について、提出、必ずしもありきではないような柔軟な姿勢を示したような答弁をされたと思うのですが、岡田副総理は今後、後期高齢者医療制度の見直し法案について、提出しない可能性もあるのかどうか、その辺については。
(答)昨日の総理の答弁は、従来から比べて何か踏み出したこと、違うことを言ったというふうには理解をしておりません。
(問)もう一点、歳入庁のほうについて。昨日の自民党の質問者の中では、歳入庁設置には消極的なような質問をされる方が多かったと思うのですけれども、安住財務大臣も、これまでの国税庁の実績とかを尊重したいということも言われていました。今後、今、歳入庁は政府でも検討中ですけれども、設置ありきではないということが有力になってくるような、そういった影響というのはあるのでしょうか。
(答)歳入庁の設置に関する責任者は私であります。私も答弁を昨日いたしましたが、党とよくコミュニケーションを良くしながら進めていきたいというふうに考えております。
今、歳入庁を設置しないという選択肢があるという言い方は、私はしておりません。三つの類型が示されたと。それをさらに、その中で出てくる論点というものをきちんと詰めていくという作業が今必要かというふうに思っております。
(問)NHKの岡崎です。
特別委員会、昨日、今日のを聞いていて、自民党のエース級の方々、それぞれ主張は違うわけですけれども、消費税の税率を上げる必要があるのだという大きな方向性はほぼ一致をしている方が多いなという印象を受けたのです。ただ一方で、社会保障の分野では最低保障年金とか後期高齢者とか、あるいはマニフェストの修正した部分を謝れとか、様々見解が違うところがありました。
今後、自民党の理解を得るという意味で、どういうところがポイントになっていくとお考えになっているか。あと担当大臣として、どういう役割を果たしたいというふうにお考えでしょうか。
(答)誠意を持って答弁していくということだと思います。
(問)伊勢新聞の中森です。
田村委員の質問でも、総合こども園、明確に賛成しかねるというふうに反対されていましたけれども、個別の話も含めてですけれども、これからどのように対応されるかというのを教えていただけますか。
(答)個別の話というよりも、総合こども園については各党間にいろいろな議論があります。元々は、今、認定こども園というのがあって、これは小渕大臣の頃、一度議論をしたわけですけれども、方向性はそれと同じものであります、総合こども園は。したがって、従来の自民党、公明党政権時代と全然違うことを言っているわけではなくて、同じ方向性のことを言っているというふうに思っております。
ただ、それぞれ各党の中にいろいろな意見があって、従来型の縦型、縦割り型の幼稚園、文部科学省、保育園、厚生労働省、そしてそれぞれ団体があると。そういう構造が良いと言う方も中にはいらっしゃるのかもしれません。やはり子どもの視点で物事は考えていかなくてはならないと、そういうふうに思っております。
(問)朝日新聞の河口です。
野田総理は、会期につきまして「日程がタイトなのはひしひしと感じている」と御答弁されておられました。消費税法案の成立のための延長というのを示唆する発言だと思いますが、平日があと20日、約20日ですね、しか会期末まで残っていない中、やはり延長をしてでも消費増税法案成立を図るべきだというふうにお考えになりますか。
(答)そういう御質問には答えられません。与えられた会期の中で成立させるというのが我々の使命だというふうに、現時点では申し上げておきたいと思います。
(問)フリーランスの上出です。
消費税を巡って一番ポイントになるのが、やはり小沢さんなどの動向ということで、その会談がセットされるというような話が出ておりますが、このかみ合うところ、実際に小沢さんも、基本的には長い方向では賛成だけれども、時期が悪いというようなことを強調されているのですけれども、今その辺をどう見ておられるのか。党の問題なのかもしれませんが、やはり大事な問題なので、かみ合う部分、かみ合わない部分、その辺のポイントは一体何か、国民に分かりやすく説明していただけますか。
(答)いや、それは分かりません。しかし、なぜ社会保障・税一体改革が必要なのか、なぜ今のタイミングなのかということについて、総理からは小沢元代表に誠意を持って御説明いただくということになると思います。
(問)フリーランスの安積です。
20日に長野県で北澤俊美長野県連の代表が、長野3区の羽田孜氏の後継を巡りまして羽田雄一郎氏を推す声について、羽田雄一郎氏は参議院の国対委員長の重責についていて、なおかつ当選回数3回の古参であるので、これは跡をとっても世襲に当たらないというふうな見解を示したという報道がありました。
これは党の話かもしれませんが、世襲問題については前回の2009年の選挙もですね、一つの自民党との色分けといいますか、ある程度、自民党の世襲議員が多いということに対して、民主党はもう少し、そういうのではないと、しがらみがないみたいなところを売りにしていたわけですので、これについて副総理はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)まず北澤先生がどういう発言をされたのかというのは、私は承知をしておりませんので、そのこと自身はコメントをいたしません。
世襲の問題は、三親等以内の親族が同じ選挙区で続けて立候補する場合には、これを認めないということが党の従来の方針であり、マニフェストにも明確に書かれたものであります。それを変える、マニフェストを変えるということであれば、それは党の中でしっかりとした議論をしていただきたいと。私は今、閣内におりますので、それ以上のことは申し上げられません。
(問)朝日新聞の河口です。
質問がちょっと戻って恐縮ですが、輿石幹事長と小沢さんと首相の会談につきまして、ちょっとお尋ねします。
ちょっと唐突かもしれませんが、お三方の会談をされる場合に、岡田副総理がそこに御同席になるような可能性があるのでしょうかというのが問の一つなのですが、なぜこういったことを伺うかというと、輿石幹事長は、従来から党内融和というのを非常に重視して党運営といいますか、政権運営をされているかと思いますが、一方で野田総理は、政治生命は消費増税といいますか、一体改革について政治生命を懸けるとおっしゃっていると。
そういった党内融和を非常に重視する輿石幹事長が行司役で、三者会談をなさるという場合、非常に、何か我々から見るとバランスが悪いような感じがするので、岡田副総理が入ったほうが首相の意向が反映されやすいのではないかというような感じがするのですが、この辺り如何でしょうか。
(答)私は3人でお会いになるというふうに聞いております。
(以上)