副総理としての定例記者会見(平成24年8月28日)
岡田副総理記者会見要旨 平成24年8月28日
(平成24年8月28日(火) 14:59~15:20 於:合同庁舎4号館1階108会議室)
1.発言要旨
私からは冒頭2件。
第1点は、いずれも先程の本会議に関わる話でありますが、衆議院本会議において特例公債法が衆議院可決をいたしました。残念ながら自民党は欠席、そして他の多くの野党の皆さんは反対ということではありましたが、非常に残念なことだと思います。予算が既に成立をして、実施されている中で、特例公債法が通らないということは、結局裏付けになる財源がないということですから、どこかで執行が滞るということになるわけで、そういうことが分かっていて反対をされるということは、大変残念なことだと思っております。
私は幹事長時代に申し上げたといいますか、自民党、公明党に申入れをしたことがあるのですが、やはり特例公債法を毎年毎年法律で、その発行について確認をするということが果たして適切なのかというところを、もう少し各党間で議論すべきだというふうに思います。もちろん特例公債というのは異例なものですから、国会できちんと決議をするということで、毎年確認をするということでスタートしたものだと承知をしておりますが、しかし今や、特例公債の発行なくして予算は組めない状況が続いております。予算が通ると、しかしその裏付けになる財源が法律であって、そこがねじれの中で通らないというのは、事実上、予算について衆議院の優越を憲法が認めていることと、事実上、相反する結果になっているわけで、やはりここはもう少し改革が必要だというふうに思います。そもそも毎年毎年法律を出して通すということが適切なのかと、包括的にそれを認めるような、あるいは予算の中で認めてしまうというようなことができるわけですから、与党、野党それぞれ攻守所を変えることもこれからはあるわけで、毎回毎回人質にとって、そして「やれ総理大臣の首を差し出せ」、「やれ解散をしろ」というようなことは、私は極めて問題だというふうに思っております。
それから、もう一つは政治改革、衆議院の定数の話ですけれども。ここは残念ながら野党各党欠席の中で可決ということになりました。本来はやはりこれは議員の基本的な身分に関わる話でありますので、少なくとも出席をして、反対なら反対というふうに意思表示をしていただきたかったというふうに思います。これも法案が通らないということになりますと、憲法違反の違憲状態ということに、最高裁にも厳しい判決をいただいておりますので、やはり各党が責任を持って法案を出して、そして国会で議論するということが望ましかった。しかし、自民党のほうからは5減案というのは出たけれども、実際に委員会でそれが質疑をされるということはなかったということで、それは誠に遺憾だというふうに思っております。いずれにしてもそれは国会の中の話でありますので、私がこれ以上言うことは差し控えたいと思いますが、残念ながらといいますか、民主党としては、自ら出した案を可決するという選択肢しか残されていなかったということであります。
是非、両法案とも、参議院において野党の皆さんに御協力をいただいて、可決できるように是非お願いしたいというふうに思っております。
私からは以上です。
2.質疑応答
(問)【特例公債法案関連】
朝日新聞の河口です。特に副総理もよくおっしゃっておられましたが、消費増税の3党の合意を経て、一つねじれ国会という難しい中で、決められる政治というのが、一つ形といいますか、そういうものができ上がったと思うのですが、今回、そういう枠組みを一通り消費税で実現した後、今回のこういうぶつかり合いになったわけですけれども、この辺り、やはりなかなか難しいとお考えなのか、そういうねじれ国会なんかで協力していく枠組みを今後続けていくべきなのか。この消費増税やこういった法案について、今おっしゃったような法案について見たときに、どのようにお感じになるかと。
(答)もう一つの問題は、問責という話があって、私は理解不能ですね。3党で協力して、少なくとも社会保障についてはやっていこうということを確認しながら、問責というのは理解不能です。一体どうなっているのかという思いが非常にいたします。是非、そこはもう一度考え直していただきたいというふうに思います。
ただ、これは問責がどうなるかというと、これからのことですから分かりませんが、我々は少なくとも社会保障・税一体改革については3党で合意をして、そして8本の法律を成立させたという責任はありますから、これはいかなる事態になっても、これだけはしっかりやり遂げるという、それが国民に対する我々3党の責任だというふうに思います。国民会議の立上げ、あるいは3党での協議、そういったものが必ずしも順調に進んでいないというふうに思いますけれども、公明党の中には、早く国民会議をしっかり立ち上げるべきだという議論もあると。あるといいますか、そういう御意見が強いというふうに聞いておりますので、自民党にも是非御協力いただいて、この3党合意した社会保障・税一体改革については、少なくともしっかりと前進させていく、そのために御協力いただきたいというふうに思っております。
(問)【選挙制度改革関連】
共同通信の蒔田ですが、今、通過した改革案そのものの中身についてお伺いしたいのですが。今、ねじれ国会というのもあるので、中小も含め、野党の意見を聞かないと成立しないというのも分かるのですが、この一部で連用制などが入っていることによって、これまで岡田副総理を初め、政権交代可能な二大政党制というのを目指したものと、一部ちょっと逆行するような中身、連用制の部分ですけれども、あると思うのですけれども、その辺りの御評価はどうなのでしょうか。
(答)それは逆行するというふうには思っておりません。完全な二大政党を目指すということであれば、それは単純小選挙区制ということが最も望ましいと思いますが、そもそも我々はそういう考え方ではなくて、併用制をとっているわけですから、比例代表と。その背景にあるのは、やはり政党は二つだけではなくて、政権を争う政党は二つであるにしても、少数政党というものをきちんと認めていこうと、そういう考え方が背景としてはあるわけです。
(問)【その他】
フリーランス記者の上出です。最初の二つと絡むのですけれども、結局3党合意の政治というのが、どこまで評価していいのか、それはそれぞれの立場によっていろいろあると思うのですけれども、現時点では一種のねじれがいろいろな面でこれからも起きると思うのです。今後いろいろな問題を考えて、どこまで3党合意というのを基本にしていくのか、あくまでもケース・バイ・ケースなのか。普通の理解でいくと、いろいろな大事な政治は3党合意、今後、選挙があってもですね。特に消費税の問題もそうですけれども、3党合意というのが軸になって進んでいくというような、そういう見方もできる。その辺如何でしょうか。現実の政治の状況を見て、この3党合意の意味合いを改めてちょっと分かりやすく説明していただきたい。
(答)先程申し上げたように、社会保障・税一体改革については、これは責任はあるのですね。ですから、それはしっかりとやっていかなければいけないと思います。それ以外のことについては、それはケース・バイ・ケースだろうというふうに思います。
それから、「近いうちに」のその定義は申し上げませんが、総選挙もあれば、また衆議院の構図も変わるわけです。ですから、それはそのときにまた、いろいろな新しい要素も加わってくるということであります。そのときの第一党、民主党は第一党であることを期待しますけれども、いずれにしてもそのときの第一党が中心になって考えていかなければいけないと。しかし、どういう構図になろうとも、来年の参議院選挙までは新しい政党がいろいろ出てきたとしても、それで参議院の構成が変わるわけではありませんので、民主党中心であれ、自公中心であれ、関さないと、そういう中でやはり協力していかなければできないと。3党が協力しなければいけないという、そういう場面というのは、私は残るというふうに思います。
(問)テレビ朝日の平元です。ごめんなさい、ちょっと今、1問前の質問の最後におっしゃったことに関連してなのですけれども、3党が協力していかないといけない場面は残るとおっしゃいましたけれども、この民自公の3党での選挙後の協力について、総選挙の前に何らか話し合って、その後の協力体制というものを詰めておく必要というのはあるというふうにお考えでしょうか。
(答)そういう問題は、各党党首がお考えになることだと思いますから、私が言及するのは控えたほうがいいと思います。ただ、基本的には、それは選挙をやってみないと分からないというところはかなりあると思います。
(問)日経新聞の辻と申します。2点お願いします。明日で、党代表選で野田首相が選出されて1年になるのですけれども、この1年振り返って、成果や課題をどういうふうに見られているのか、教えてください。
(答)それは総理御自身が語るのが一番いいと思いますので、私が何か論評すべきではないと思いますが、非常に困難な課題が多い中で一つ一つ乗り越えてこられたと、非常に大きな実績を残された。
社会保障・税一体改革一つとっても、これはなかなかできなかった、自公政権の下で5%にした後で、いろいろな試みがあったけれども、それはできなかったことが、できたわけでありますから、それだけでも私は非常に大きな功績で、もちろんそれ以外にもエネルギーの問題とか、外交も含めて様々、非常に困難な中でしっかりと、ぶれることなく対応しておられるというふうに思います。
ちなみに、今日、本会議場で与謝野先生、先般の本会議から久しぶりに出てこられていますので、私も前々からごあいさつしたいと思っておりました。したがって、本会議始まる前に少しお話もさせていただきましたが、与謝野先生の社会保障・税一体改革における役割も極めて大きい。いろいろな方のそういった、まさしく、必死の働きがあって成し遂げられたものなのかなというふうに思っております。
(問)続けて、すみません。もう一つ、もう直ぐ2009年の衆院選からちょうどまた3年になるのですけれども、副総理、幹事長時代、3党まとめて、例えば子ども手当とかそういうマニフェストの修正などもされたこともあったかと思うのですけれども、そういうことも含めて、民主党政権が国民の期待にこたえられていないという声も今ではあるのですけれども、そういった声をどういうふうに受け止められますでしょうか。
それと、そうした反省を踏まえて、どういう姿勢で今後の選挙に挑むべきか、お考えをお聞かせいただければと思います。
(答)政治ですから100%はありません。しかし、かなりのことはやってきているというふうに思っています。
テレビのチャンネルを、スイッチをオンすれば、民主党はマニフェストが全くできていないという、そういうことを言われる方も多いのですが、野党がそう言うのは仕方ないと思いますが、よく現実を見ていただきたいと。例えば、子どもに関することだけとっても、子ども手当、これも我々の理想とはまだ距離がありますが、ねじれの中で、「控除から手当へ」ということは成し遂げて、そして中学生までということで中身も充実したということがあります。35人学級も実現をいたしました。
そして今度、今回の子ども・子育て支援、認定保育、認定こども園をはじめ、新たな保育の形態も補助の対象にしたと。そして、高校授業料無償化と。ただ、子どもに関することだけで、これだけのことがなされているということを、きちんと国民の皆さん、当事者の方々は分かっているわけですけれども、もっと伝える努力は要ると。自民党政権は20年かかってもできなかったようなことを、わずか3年でやり遂げたということであります。
そういった、もちろん、できなかったこともたくさんある、そのことは申し訳ないということは申し上げながら、できたことをきちっと胸を張って伝えていかなければいけないというふうに思っています。
(問)朝日新聞の河口です。先程ちょっと出ましたけれども、国民会議の関係で1点お尋ねですが、昨日、野田総理もテレビ番組の中で、やはり解散後ではなくて早期に設置するようにということで求められておられましたけれども、やはり先程も言及されたように、選挙後、構図といいますか、構成というか、変わる可能性もあるわけで、その辺りもやはり早期に立ち上げておくということについて、民自公3党の合意を基に立ち上げておくことの必要性の根拠というものになるのでしょうか。
(答)質問の趣旨がよく分かりません。法律が通って1年以内に具体的な政策まで持っていかなければいけないときに、いつあるか分からない解散、「近いうちに」ということはありますが、現実にいつあるかということは、これははっきりしていないわけですから、それまでサボってていいという理由は全くないと私は思います。直ぐにでも立ち上げて、しっかり議論を始めるということが3党の責任であって、もしそういうことがきちんとできなければ、私はむしろ総選挙で、そのことが批判、国民の皆さんから批判されると、そのことをよく自民党の皆さんにも考えていただきたいというふうに思っています。
(問)ちょっと今のを補足して説明をするとですね。要は今、例えば維新の会ですとか、ああいった第三極の勢力が伸長するのではないかというお話が出ていて、その中で、やはり民自公3党協議を作られた方の中からも、やはり早く立ち上げて、要するに構成が非常に大きく変動した場合には、3党合意の枠組み自体が国会の中でうまく回らなくなるのではないかという懸念がありますが、その辺りについてどうかという御質問です。
(答)それはそのとき考えればいいのです。法律には別に「3党」と書いてあるわけではありません。法律で我々が作った法律の中に法施行後、立ち上げて、そして国民会議でしっかり議論するということが明記されているわけですから、自分たちが作った法律どおりに進めることは当然だと思います。
(問)朝日新聞の河口です。この間、何度かお伺いしているのですが、対話集会がこの間終わりましたので、ちょっと総括して一つだけ。
ずっと対話集会を拝見していて、やはり特に、例えば財政再建が本当にこの増税でできるのかという、もっと本当は増税がその先も要るのではないかという、合理的なというか、御心配が出ていたり、かなりそういう我々から聞いていると、意外に合理的な判断をしながら質問をしてくるのだなという印象のものがあったのですが、特にそういう、副総理が対話集会に出られていて、これはやはり国民が非常によく考えているな、例えば思っていたより印象が違うなという、特にこういった質問が一番その点、国民の本当の民意というか、考えなのだなというお気付きになったものというのが、もしありましたら。
(答)非常にいい意見をたくさんいただいたと思います。ただ、それが予想外だったかというと、そうは思いません。地元でも20年間いろいろな方のミニ集会などを数限りなく繰り返していく中で、私は、国民は非常によく考えておられると、将来も含めて、自分だけのことではなくて、日本全体のこと、あるいは次の世代のことも含めてしっかり考えておられるというのが私の確信でありますので、それは私の本を読んでいただければよく分かるわけですが、そういう意味では、意外な質問ということではありません。むしろメディアの皆さんのほうが、国民に対してもう少し向き合われたほうがいいのではないかというふうにも思います。
我々は日々、意見を聞いていますから、そういうふうに驚きは特にありません。
(以上)